説明

エラストマーをシースに塗布する方法

本発明は、エラストマー層を被覆(2)の一部分(20)にパッド印刷することによって塗布するステップを含む、エラストマーを被覆(2)に塗布する方法に関する。本発明方法を実施するためのパッド印刷装置(1)をも提供する。本発明は、特に、自動車の排気ガス流パイプの保護に用いられる織物被覆のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーをシースに塗布するための方法に関する。本発明は、また、その方法に使用するようになっているパッド印刷装置に関する。本発明は、さらに、保護シースに関し、且つ特に本発明方法によって得られ且つ所定長さに切断された、エラストマー層で被覆された織物シース(すなわち、織り交ざったフィラメントからなるシース)に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、自動車の排気ガス再循環(EGR)チューブの保護に使用される織物シースに発明の適用を見出す。これらの織物シース、一般的には編みシースは、ひょっとしたら、数メートルまで測れる大きい長さの織物シースを所定長さの長手方向部分に常温切断することによって得られる。織物シースが所定長さに切断されるとき、シースの端部が広がり、この広がりは取扱いによっていっそう悪化される。かくして、シースは、これがチューブ又はパイプの周りに取り付けられるとき、端部が変形され且つその保護特性を失う。
【0003】
相互関係では、シースを切断することが、フィラメントのピースがシースから分離されるので汚染を引き起こす。特に、編成シースが所定長さに切断されるとき、編み目が切断される。これらの編み目のフィラメントのピースが、シースから分離され、汚染を引き起こす。シースを所定長さに切断することによる汚染を防ぐための一つの解決策は、シースを振動台の上に通してシースから分離された編み目のピースを除去することにある。この解決策は、もしシースから分離された編み目のピースがシースに付着したままであり、シースが輸送されるとき又はシースが取付けられているときにのみ分離されることになるならば、十分な汚染防止を達成することができない。さらに、この解決策は、シースの変形も端部の広がりも防止しない。
【0004】
米国特許5,186,992号は、切断後にシースの端部の広がりを回避するための方法を記載する。その方法は、シースを液体エラストマーの浴の中へ通すことによってエラストマーを塗布することにある。次いで、エラストマーで被覆されたシースを、約150℃の温度の高温空気オーブンで乾燥する。しかしながら、この方法によって得られるエラストマー層は、均一ではなく、必要以上に厚い。これは、エラストマーの過剰消費、並びにエラストマーの不正確な塗布を意味する。さらに、シースを加熱することは、シースの寸法及び弾性の変更によってシースの変形に至ることがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、前述の欠点を除去し、且つシースが所定長さに切断されるとき、シースによって引き起こされる汚染、シースの端部の広がり及び端部の変形を減少させる、エラストマーをシースに塗布する方法を提案する。この目的のために、本発明の第1の側面は、エラストマーを織り交ざったフィラメントからなるシースに塗布する方法において、パッド印刷工程によってエラストマー層をシースの一部分に付着させるステップを含み、エラストマー層がシースの織り交ざったフィラメントを結合するようになったことを特徴とする上記方法を提供する。かくして、パッド印刷によって付着されたエラストマー層は、均一であり且つ適切な厚みのものであり、過剰なエラストマーを回避する。これはエラストマーを節約し且つエラストマーをより正確に付着させる。さらに、エラストマーがシースの一部分のみに付着され且つシースの全長にわたって付着されないことによりエラストマーの節約を増す。その結果、シースがエラストマーで被覆されたその一部分で所定長さに切断されるとき、被覆の端部は、広がらず且つ変形されない。さらに、いったんシースがチューブ又はパイプに取り付けられれば(たとえチューブ又はパイプが高温に達した場合でも)、端部は変形されない。さらに、もしシースが織物シースであるならば、シースから分離されたフィラメントのピースによって生じる汚染は、著しく減少される。可撓性のシースに塗布される本発明の1つの好ましい実施形態では、パッド印刷付着ステップは、扁平なシースの第1面の一部分で行われる。かくして、シースは扁平にされ且つエラストマー層はシースの1つの面に位置するシース部分に付着される。この方法は、シースの平面に適用できるパッドを用いて容易に実施することができる。
【0006】
有利な特徴によれば、本発明方法は、パッド印刷工程によってエラストマー層を扁平なシースの第2面の一部分に付着させる第2ステップをさらに含む。かくして、エラストマー層は、シースの両面に位置するシース部分に付着されることができる。第1面及び第2面の一部分は、実質的にシースの同じ横断部に配置されることが好ましい。その結果、もしシースが管状であるならば、例えば、横断シース部分は、管状面のまわりすべてがエラストマー層で被覆される。
【0007】
好ましい特徴によれば、本発明方法は、長手方向にシースの機械的な張力を制御するステップを含む。かくして、シースの機械的な張力は、エラストマーが均一に且つ効果的に付着されるために、シースが過剰に伸ばされ或いは緩められないように制御される。その結果、シースが織物シースである場合、シースの第1面の織り交ざったフィラメントが第2面の織り交ざったフィラメントに結合されることなく、シースが織り交ざったフィラメントを互いに結合させるようになったエラストマー層で被覆されるように、織り交ざったフィラメントの間の空間が固定され且つ決定される。有利には、エラストマーはポリクロロプレンである。エラストマーのこのタイプは、パッド印刷付着段階中にパッド及び版上でその使用に適した粘性特性を有する。さらに、付着されたエラストマー層は、均一であり且つ即座に乾燥する。かくして、シースを加熱してエラストマー層を乾燥させる必要がなく、シースをパッド印刷によって付着させた後に所定長さに直ちに切断できる。
【0008】
本発明の第2の目的は、エラストマー層をシース部分に付着させるようになった少なくとも1つのパッド印刷モジュールを含み、且つエラストマーを収容するタンクを含むパッド印刷装置であって、シースをエラストマー層を付着させた部分で切断するようになっている常温切断手段を、少なくとも1つのパッド印刷モジュールの下流に含むことを特徴とするパッド印刷装置を提供することにある。この装置は、本発明方法を参照して上で述べたものに似た特徴及びメリットを有する。パッド印刷装置は、好ましくは、シースの2つのそれぞれの面に面して配置されるようになっている2つのパッド印刷モジュールを含み、パッド印刷モジュールの一つは、パッドを180度だけ回動させるための手段に取付けられたパッドを含む。かくして、同じパッド印刷装置においてエラストマー層をシースの両面に塗布することができる。本発明の1つの実施上の特徴によると、各パッド印刷モジュールは、凹部を実質的に中心に含むパッドを含む。かくして、パッドの中心部によって加えられる圧力は、パッドの縁部によって加えられる圧力よりも低く且つその結果、エラストマーはパッド印刷によって付着される段階中にパッドの縁部を越えて流出しない。
【0009】
本発明の1つの特徴によれば、各パッド印刷モジュールは、扁平にされたときにシースよりも広く且つ長さ25mm乃至60mmである版を含む。かくして、シースの全幅は付着されたエラストマー層で被覆され、そして、後に、エラストマー層を含む所定長さのエラストマー層付着部分は、切断されるシースの端部が過剰量のエラストマーを用いることなしに結合されている切断領域を構成するのに十分である。
【0010】
本発明の第3の目的は、本発明による塗布方法によってシースに付着されたエラストマー層を含む多数の横断部分を含む保護シースを提供し、横断部分は、互いに間隔を隔てられ、長手方向にシースの所定長さを超えて延びる。かくして、非常に長いシースを製造することができ、あとでエラストマーで塗布される横断部分はシースを所定長さに切断するための切断領域を構成する。このシースは、本発明の方法及びパッド印刷装置を参照して上で述べたのと似た特徴及びメリットを有する。最後に、本発明の第4の目的は、シースの端部を常温切断することによって所定長さに切断された織り交ざったフィラメントからなるシースを提供することである。
【0011】
本発明によれば、このシースは織り交ざったフィラメントからなり且つ、シースが所定長さに切断されるとき、本発明による塗布方法によって塗布されるエラストマー層で被覆される2つのそれぞれに間隔を隔てられた端部分を端部に含む。本発明の他の特徴及びメリットは、以下の記述でより明らかになろう。添付図面において、添付図面は非限定の例示として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に一致するパッド印刷装置の側面図である。
【図2a】本発明の第1実施形態のパッドの正面図である。
【図2b】図2aのパッドの平面図である。
【図3a】本発明の織物シースを示す図である。
【図3b】所定長さに切断された本発明の織物シースを示す図である。
【図4a】本発明の第2実施形態のパッドの概略斜視図である。
【図4b】図4aのパッドの概略正面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に一致するパッド印刷装置を示す、図1に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、エラストマーをシース上に付着させるために用いられる本発明のパッド印刷装置を、図1を参照して記載する。本発明の第1実施形態では、本発明方法は、管状織物シース2に適用される。非限定の例示として、このシース2は、黒鉛を含有するアクリル溶液を含浸させたガラス繊維マルチフィラメントで編まれた織物シースである。かくして、シース2は、可撓性であり、扁平にすることができる。もちろん、シース2は、他の材料、例えば、シリカ、セラミック又はポリマーで製造してもよい。織物シースの場合では、シースは、例えば、編成、織成又は編組みマルチフィラメント又はモノフィラメントからなるのがよい。扁平にされたシース2は、例えば、一連の駆動ローラーのような標準のコンベヤ手段10によってパッド印刷装置1にそって輸送される。
【0014】
この実施形態では、装置1は、2つのパッド印刷モジュール3、4を含む。各パッド印刷モジュール3、4は、図2a及び図2bに示すようなパッド7又は図4a及び図4bに示すようなパッド7’を含む。パッド7、7’は、以下に記載する。このパッド印刷モジュール3、4は、従来のパッド印刷に使用されるパッド印刷装置と似ている。印刷モジュールは、塗布されるべきエラストマーを収容するタンクを含む。このタンクは、従来のパッド印刷に使用されたインクタンクに相当する。このタンクは、エラストマー溶媒蒸気の逃げを防止するために閉じられている。
【0015】
標準の方法では、パッド7に加えて、パッド印刷モジュール3、4は、以下に記載される版(図示せず)を含む。シース2の2つの両面2A、2Bにエラストマー付着を生じさせるために、パッド印刷装置によって用いられる方法に関して下記に詳細に記述されるように、パッド印刷モジュールの一つ、例えば、第2パッド印刷モジュール4は、パッド7を取付ける回動手段4aを含む。これらの回動手段4aは、パッド7をパッド印刷装置1の中を通るシース2の第2の面2B、この実施形態ではシースの下面にパッド7を適用させることができるようにするためにほぼ180度の角度回動させるようになっている。パッド印刷装置1は、機械的張力をモニターするためのセンサ5aと関連したシース2の機械的な張力を制御するための手段5をさらに含む。パッド印刷装置1は、いったんエラストマー層がパッド印刷によって付着されたら、シース2を所定長さに切断するために常温切断手段6を含む。かくして、パッド印刷装置1を出るとき、シース2’は所定長さに切断され、かくして、例えば自動車の排気管を保護するために用いられる準備がととのう。
【0016】
パッド印刷装置1の要素、特に、パッド印刷モジュール3、4、シース2の機械的な張力を制御するための手段5、コンベヤ手段10及び常温切断手段6は、パッド印刷装置1の作動を制御するための電子回路カードに接続される。当業者に知られる方法では、この電子回路カードは、エラストマーをシース2に塗布するために、下記のアルゴリズムを実行するためのマイクロプロセッサーを含む。特に、以下に記載されるエラストマーを塗布する方法の使用を可能にするために、制御電子回路カードは、また、例えば、エラストマーが塗布されることになっているシースの適当な機械的な張力、シース2がパッド印刷装置1に沿って且つパッド印刷モジュール3、4の前で進まなければならない速度、方法のステップが実行されなければならない時間、エラストマー付着サイクル及びパッド7の移動の調整(特にパッド7の垂直移動及び第2パッド印刷モジュール4のパッド7の回動移動)のようなパラメータを記憶するようになっている非揮発性メモリを含む。
【0017】
エラストマーをシースに塗布する本発明の一実施形態に一致する方法を次に記述する。図1から明らかであるように、この方法のステップは、パッド印刷装置1に沿うシース2の位置により連続して実行される。この方法は、エラストマー層をパッド印刷工程によってシース2の部分20に付着させるステップを含む。このパッド印刷付着ステップは、第1パッド印刷モジュール3によって、扁平にされたシース2の第1面2Aの一部分20に行われる。
【0018】
この実施形態では、いったん上述のパッド印刷ステップが実行されると、方法は、パッド印刷工程によってエラストマー層を扁平シース2の第2面2Bの一部分20に付着させる第2ステップを含む。この第2付着ステップは、第2パッド印刷モジュール4によって実行される。実際には、この第2パッド印刷モジュール4は、パッド印刷装置1の中を通るシース2の下に配置される。パッド7は、上で説明したように、シース2の下面にパッド印刷を可能にするために回動手段4aに取付けられる。従来のパッド印刷におけると同じ方法で、パッド印刷付着ステップは、パッド7及び版によって実行される。パッド上に付着されたエラストマーは、パッド7によってシース2上に移される。
【0019】
特に、第2パッド印刷モジュール4では、版によるエラストマーの移し後、そしてシース2の第2面2Bに向うパッドの垂直移動前にパッド7を180度回動させる。版は、例えば、シース2に移されるべき圧痕を含む金属版である。この圧痕を、版に食刻し且つ従来のパッド印刷に用いられる技術によって、圧痕にエラストマーを詰める。かくして、シースに付着されるエラストマー層の厚みは、版に食刻された圧痕の深さの関数である。この深さは、例えば、50μm乃至130μmの値を有し、好ましくは90μmの値を有する。
【0020】
上で示したように、パッド印刷装置1によって用いられるエラストマーは、エラストマーが空気との接触によって乾燥されないように閉じられたタンク内にある。シース2の第1面2A及び第2面2Bの部分は、実質的にシース2の同じ横断部分に配置されるのが好ましい。それにもかかわらず、パッド印刷装置1の公差のために、第1面2Aの部分20と第2面2Bの部分20の間に数ミリメートルの食い違いを有することは可能である。この実施形態では、エラストマーは、扁平なシース2の全幅にわたって付着される。かくして、管状シース2のこの例では、横断シース部分には、シース2の管状面のまわりすべてにエラストマー層が被覆される。このために、版は矩形形状を有する。版の幅は、好ましくは、扁平なシースの幅より大きいものである。例えば、版の幅は、25mmに実質的に等しい幅をもつシースでは40mm乃至60mmである。これは、扁平なシースの幅全体にわたってエラストマーを確実に塗布する。版の長さは、エラストマー層が付着される横断部分の長さに相当する。部分20及び版の長さd’は、例えば、25mm乃至60mmであり、好ましくは30mm乃至35mmである(図3a参照)。もちろん、版は、他の形状及び寸法を有していてもよい。
【0021】
図3aは、本発明の方法により塗布されたエラストマー層で被覆される少なくとも1つの部分20を有する織物シース2を示す。実際には、そのようなシースは、シース2に付着されたエラストマー層を含む多数の横断部分20を含む、横断部分20は、互いに間隔を隔てられ、長手方向Xにシースの所定の長さd'にわたって延びる。2つの連続した部分20を分離する距離dは、例えば、所定長さに切断されるとき、シース2’の要求される長さの関数である所定の値を有する。所定長さに切断された織物シース2’を、図3bを参照して次に記述する。シースの端を常温切断することによって所定長さに切断された織物シース2’は、本発明の塗布方法によって塗布されたエラストマー層で被覆された2つの端部分20’を含む。このシース2’は、パッド印刷装置1の常温切断手段6によって所定長さに切断される。これらの手段6は、エラストマーで被覆された横断部分20を含むシース2を、第1部分20の実質的に中間で、及び次いで第2部分20の実質的に中間で切断する。所定長さに切断された織物シース2’は、このように得られる。例示として、有効であるためには、端部20’の長さd’’は少なくとも10mmでなければならない。かくして、もしエラストマー層を含む横断部分20の長さが例えば20mmであるならば、端部20’の長さd’は10mmである。
【0022】
この例で用いられるエラストマーは、ネオプレン(登録商標)としてよく知られている、Du Pont de Nemours のポリクロロプレンである。したがって、この特定のエラストマーの特性のため、エラストマー層は、開放空気中で急速に乾燥する。熱を加えることによってエラストマー層を乾燥させることは必要ではない。かくして、エラストマー層で被覆されたシース2の横断部分20は、パッド印刷ステップの直後に常温切断することができる。所定長さに切断されたシース2’が得られる。その上、ネオプレンは、非常に高い粘性であるエラストマーである。かくして、所定長さに切断され、例えば排気管に取付けられるシースは、端部で変形することも広がることもなく、かくして、排気管の適所におけるままである。所定長さに切断されたシース2’を排気管に取付けた後に排気管の温度を上昇させると、エラストマーは、シース上で結晶化し且つわずかに収縮し、所定長さに切断されたシース2’を排気管の適所に保持するのを助ける。さらに、汚染が、シース2の編み目からのフィラメントの損失によって引き起こされない。
【0023】
本発明方法は、さらに、長手方向Xにシース2の機械的な張力を制御するステップを含む。かくして、機械的な張力は、特に、シースの材料及びシースの構造(織成、編組又は編成)の関数である所定の値を有する。かくして、シースは、比較的緊張しているから、パッド印刷によってエラストマー層を付着させることは、シース2の第1面2Aとシース2の第2面2Bとの間の結合を引き起こさず、均質なパッド印刷をシース2上に確保する。同時に、シースは、かなり弛緩されるので、エラストマーは、また、フィラメント間に浸透してフィラメントを互いに結合させる。
【0024】
本発明の1実施形態に一致するパッドを、次いで、図2a及び図2bを参照して記述する。パッド7は、支持部7a及び、パッド印刷面7cの作用部を有するパッド印刷部7bを含む。このパッド7は、さらに好ましくは、パッド7の中心に位置される凹部8を含む。この凹部8のおかげで、パッドの中心でシースに加えられる圧力は、低い。これは、パッド印刷による付着のステップ中エラストマーの流れをパッド7の中心部に向かって強め、かくして、付着されるエラストマーの量を最適にする。パッド7のパッド印刷部7bは、例えば、5乃至70のショアー硬さを有するシリコンで作られる。支持部7は、スチールで作られるのがよい。図2a及び図2bに示すように、凹部8は、パッド7のパッド印刷部7b内に作られるのがよい。特に、この凹部8は、支持部7aと接触する、パッド印刷部7bの中心領域での材料の欠如によって形成される。パッドの作用面7cは、ほぼ凸面である。もちろん、他のタイプのパッドを、本発明のパッド印刷装置1に使用してもよい。
【0025】
第2実施形態を、図4a及び図4bに例示として示す。前述のように、パッド7’は、支持部7’aとパッド印刷面7’cの作用部を有するパッド印刷部7’bを含む。前述のように、パッド7’の中心に位置される凹部9を含む。前述のように、この凹部9は、エラストマーの流れをパッド7’の中心部に向かって強め、付着されるエラストマーの量を最適にする。この実施形態では、凹部9は、パッド印刷面7’cに作られる。図4a及び図4bに示すように、パッド印刷面7’cは、パッド印刷面7’c上に対称に延びる2つの凸面部からなり、凹部9を形成するパッド印刷面7’cの中心線でほぼ連続的に移行する。凹部9は、パッド7’の横方向の溝のようであり、このパッド7’が使用されるとき、凹部9は、シース2の長手方向Xと直交方向に配置される。もちろん、たくさんの修正が、本発明の範囲から逸脱することなく上述の実施形態になすことができる。特に、図1に示すパッド印刷装置を再び参照すると、パッド印刷モジュール3、4は、上下に配置されてもよく、エラストマー層は、シースの2面2A、2Bに同時に塗布される。
【0026】
その上、図5に示すように、パッド7のための回動手段4aを有するパッド印刷モジュール4を用いる代わりに、パッド印刷装置1でのシース2の移動の長手方向Xに連続的に配置される2つの等しいパッド印刷モジュール3、3’を使用することが可能である。図1と共通の図5の要素は、同じ参照番号を持ち、以下に再び記述されない。この特定の実施形態では、シースをひっくり返すための手段15が2つのパッド印刷モジュール3、3’の間に配置される。実際には、これらの反転手段15は、シースをおおよそ180度の角度回すようになったガイドレールからなるのがよい。シースの摺動と移動を促進するために、これらのガイドレールは、Du Pont de Nemours からのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプ(テフロン:登録商標)の材料で被覆されるのがよい。
【0027】
この実施形態では、いったん第1パッド印刷モジュール3によって付着するステップを完了すると、シース2をシースの長手方向軸線Xを中心におおよそ180度回転させるステップが続き、シース2の第2面2Bは、パッド印刷によって付着されたエラストマー層を受け入れる準備ができる。かくして、次いで、方法は、第2パッド印刷モジュール3’によって行われるパッド印刷によってエラストマー層を付着させる第2ステップを含む。特に、急速−乾燥できるエラストマーを用いることによって、エラストマー層をシースを回転させることによってシースの2面2A、2Bに連続して付着させることを可能にすることに気づくであろう。
【0028】
他の修正を、上記実施形態になしてもよい。かくして、各パッド印刷モジュールは、それぞれのエラストマー層を多数のシースに付着させるために多数のパッドを含んでもよい。その上、パッド印刷装置は、可変数のパッド印刷モジュールを含んでもよい。その上、シースは、例えば、長手方向に開かれるように構成されてもよい。次いで、1つのパッド印刷モジュールのみを用いながら、エラストマー層をシースの扁平部に付着させることが可能となる。更に、パッド印刷装置は、2つの連続したパッド印刷モジュールの間でシースを横方向に移動させるための手段を含んでもよい。かくして、エラストマー層は、扁平シースの幅よりも小さい版を用いながら、扁平シースの幅の全体に付着されてもよい。かくして、本発明によると、適当な厚みの均一なエラストマー層を、過剰量のエラストマーを用いることなしにパッド印刷工程によってシースの部分に塗布することが可能となる。その結果、シースが所定長さに切断されるとき、シースは、エラストマー層で被覆された2つの端部を含み、その端部は、広がらず且つ変形されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーを織り交ざったフィラメントからなるシース(2)に塗布する方法であって、パッド印刷工程によってエラストマー層を前記シース(2)の一部分(20)に付着させるステップを含み、前記エラストマー層は、前記シースの前記織り交ざったフィラメントを結合させるようになっていることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
可撓性のシース(2)に塗布され、前記パッド印刷付着ステップは、扁平なシース(2)の第1面(2A)の一部分(20)に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パッド印刷工程によってエラストマー層を前記扁平なシース(2)の第2面(2B)の一部分(20)に付着させる第2ステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1面(2A)及び前記第2面(2B)の前記一部分(20)は、実質的に前記シース(2)の前記同じ横断部分(20)に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記長手方向(X)に前記シース(2)の機械的な張力を制御するステップを含むことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エラストマーはポリクロロプレンであることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
エラストマー層をシース部(2)に付着させるようになっている少なくとも1つのパッド印刷モジュール(3、3’、4)を含み、エラストマーを収容するタンクを含むパッド印刷装置(1)であって、前記シースを前記一部分で切断するようになっている常温切断手段(6)を、前記少なくとも1つのパッド印刷モジュール(3、3’、4)の下流に含むことを特徴とする、前記パッド印刷装置。
【請求項8】
前記シースの2つのそれぞれの面(2A、2B)に面して配置されるようになっている2つのパッド印刷モジュール(3、4)を含み、前記パッド印刷モジュールの一つ(4)は、パッドを180度だけ回動させるための手段(4a)に取付けられたパッドを含むことを特徴とする、請求項7に記載のパッド印刷装置(1)。
【請求項9】
各パッド印刷モジュール(3、3’、4)は、凹部(8、9)を実質的に中心に含むパッド(7、7’)を含むことを特徴とする、請求項7及び8のいずれか1項に記載のパッド印刷装置(1)。
【請求項10】
各パッド印刷モジュール(3、3’、4)は、扁平にされたときに前記シース(2)よりも広く、長さ25mm乃至60mmである版を含むことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のパッド印刷装置(1)。
【請求項11】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記塗布方法によって前記シース(2)に付着されたエラストマー層を含む多数の横断部分(20)を含み、前記横断部分(20)は、互いに間隔を隔てられ、長手方向に前記シースの所定の長さ(d’)にわたって延びることを特徴とする保護シース。
【請求項12】
織り交ざったフィラメントからなり且つ前記シースの前記端部を常温切断することによって所定長さに切断されるシースであって、前記シースは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記塗布方法によって塗布されたエラストマー層で被覆された間隔を隔てた端部分(20’)を、前記端部に含むことを特徴とする前記シース。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−534147(P2010−534147A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517439(P2010−517439)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001044
【国際公開番号】WO2009/030834
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508259629)
【Fターム(参考)】