説明

エラストマー組成物

【課題】本発明は、例えば自動車等に搭載されるエアバッグのカバー等の材料として成形性および耐傷付き性に優れるエラストマー組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むテトラブロック共重合体の水素添加物30〜100質量部と、前記(A)と、前記(B)とを含むトリブロック共重合体の水素添加物0〜70質量部と、鉱物油系軟化剤を上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して5〜100質量部と、ポリプロピレン0〜60質量部とからなり、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と、上記トリブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量は共に7万〜50万の範囲であり、スチレン含有量は共に20質量%以上であるエラストマー組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形物等とした場合に、その表面が耐傷付き性を有するエラストマー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の内装部品(例えば自動車等に搭載されるエアバッグのカバー等)や外装部品等には従来から柔軟性やゴム弾性に優れ、成形性の良いスチレン系エラストマーがその材料として多用されている。
しかし上記スチレン系エラストマーを材料とする成形物は表面が傷付き易く、かつ表面にべたつきを有することから、塗装をすることが必要であった。
このような塗装の手間を省略するために、例えば上記スチレン系エラストマーにポリシロキサンを添加した混合物に部分的架橋処理を施したエラストマー組成物(特許文献1)、数平均分子量が6万以上のスチレン系エラストマーと、数平均分子量が5.9万以下のスチレン系エラストマーとを併用したエラストマー組成物(特許文献2)、数平均分子量が20万以上40万以下のスチレン系エラストマーと、数平均分子量が3万以上14万以下のスチレン系エラストマーとを併用したエラストマー組成物(特許文献3)等が提供されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−67893号公報
【特許文献2】特許第3618762号公報
【特許文献3】特開平11−209559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スチレン系エラストマーにポリシロキサンを添加したエラストマー組成物は、ポリシロキサンを添加するために高価になり、また架橋処理による分子鎖切断のため機械的強度に劣る。また分子量が異なる二種のスチレン系エラストマー組成物では、分子量の違いにより相分離を起こすおそれがあると云う問題点がある。
本発明は、上記従来課題を背景に、更に、成形性および耐傷付き性に優れたスチレン系エラストマーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するための手段として、スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むテトラブロック共重合体の水素添加物30〜100質量部と、スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むトリブロック共重合体の水素添加物0〜70質量部と、鉱物油系軟化剤を、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して5〜100質量部と、ポリプロピレン0〜60質量部とからなり、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物は、重量平均分子量が共に7万〜50万の範囲であり、スチレン含有量が共に20質量%以上であるエラストマー組成物を提供するものである。本発明では更に上記エラストマー組成物にエチレン−α−オレフィン共重合体を50質量部以下で添加したエラストマー組成物が提供される。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むテトラブロック共重合体の水素添加物の分子鎖は柔軟性に富むので、上記エラストマー組成物内において、上記テトラブロック共重合体の水素添加物相互、またはトリブロック共重合体の水素添加物混合の場合は上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物との間に強固なからみ合いが生じ、その結果上記エラストマー組成物は良好な耐傷付き性を有する。
【0007】
上記テトラブロック共重合体の水素添加物単独では組成物の硬さや機械的強度が不充分となるおそれがあるので、このような不具合を解消するために上記トリブロック共重合体の水素添加物を添加することが望ましい。
【0008】
上記エラストマー組成物の耐傷付き性と、硬さと、機械的強度が保障される添加量範囲は、上記テトラブロック共重合体の水素添加物30〜100質量部に対して、上記トリブロック共重合体の水素添加物は70質量部以下であり、好ましくは、テトラブロック共重合体の水素添加物は5〜70質量部である。上記トリブロック共重合体の添加量が70質量部を上回ると、耐傷付き性が阻害される。また、5質量部を下回ると成形性がやや劣る傾向がみられる。
【0009】
引張りせん断強さ、引張り永久伸び等の機械的性質を考慮して、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と、上記トリブロック共重合体の水素添加物とは、いずれも重量平均分子量が7万以上であることが必要である。重量平均分子量が7万未満あるいはスチレン含有量が20質量%未満であると、耐傷付き性の向上がみられない。また重量平均分子量が50万を超えると分散が悪くなる。
【0010】
上記鉱物油系軟化剤は上記エラストマー組成物中のテトラブロック共重合体の水素添加物またはトリブロック共重合体の水素添加物を良好に分散させ、かつ上記エラストマー組成物に良好な柔軟性と成形性を付与するが、そのためには上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して5質量部以上の添加量で添加することが必要である。しかし上記鉱物油系軟化剤の添加量が100質量部を超えると、組成物の耐傷付き性が悪くなり、かつ組成物にべとつき感が発生し、感触が悪化する。
【0011】
ポリプロピレンは、上記鉱物油系軟化剤と共に上記エラストマー中のテトラブロック共重合体の水素添加物またはトリブロック共重合体の水素添加物の分散性を改良し、また上記エラストマー組成物の硬度を適正に維持するものであるが、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して、上記ポリプロピレンの添加量が60質量部を超えると、組成物の耐傷付き性が悪化する。
【0012】
〔効果〕
本発明のエラストマー組成物は成形性、機械的性質に優れ、かつ良好な耐傷付き性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を以下に詳細に説明する。
〔テトラブロック共重合体〕
本発明において使用されるテトラブロック共重合体とは、スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むものであり、A−B−A−Bの構造を有するスチレン系エラストマーである。
上記スチレン系化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等が例示され、上記共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が例示される。
上記スチレン系化合物および上記共役ジエン化合物は二種以上共重合されてもよい。
【0014】
〔トリブロック共重合体〕
本発明のエラストマー組成物には、前記したようにトリブロック共重合体を添加することが好ましい。上記トリブロック共重合体は、上記スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、上記共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むものであり、A−B−Aの構造を有するスチレン系エラストマーである。
【0015】
〔水素添加物〕
耐熱性、耐候性、耐紫外線を付与するために、本発明にあっては、上記テトラブロック共重合体と、トリブロック共重合体とは水素添加物とされる。上記ブロック共重合体の水素添加物は、不溶性溶媒中で水素添加触媒の存在下で水素添加する周知の方法で行なわれるが、水素添加率としては95質量%以上であることが好ましい。
代表的なテトラブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEPSEP)、代表的なトリブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)等がある。
上記テトラブロック共重合体および上記トリブロック共重合体の重量平均分子量は、前記したように7万以上50万以下とする。
【0016】
ここに重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)により、下記の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
測定条件
a)測定機器:SIC Autosampler Model09
Sugai U―620 COLUMN HEATER
TYPE 30VP
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器:MILLIPORE Waters410
Differential Refractometer
c)カラム:Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶解液:THF 1.0ml/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量:100μl
h)濃度:0.020g/10ml
i)試料調製:2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール(BHT)を0.2重量%添加したTHFを溶媒とし、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正:BHTのピークが検量線測定時と試料測定時と全て0.03333分ずれていたので、それを補正して分子量計算を行った。
更に上記テトラブロック共重合体および上記トリブロック共重合体は共にスチレン含有量が20質量%以上として、良好な機械的性質、耐傷付き性等を確保する。
【0017】
〔鉱物油系軟化剤〕
本発明で使用される鉱物油系軟化剤としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等が使用されるが、スチレン系エラストマーに対する相溶性が良好なパラフィン系オイルの使用が望ましい。
鉱物油系軟化剤は40℃での動粘度が30cSt以上400cSt以下のものが望ましい。40℃での動粘度が30cSt未満の場合は成形品表面への鉱物油系軟化剤のブリードアウトが顕著になり、40℃での動粘度が400cStを越えると成形品表面に鉱物油系軟化剤がブリードアウトした場合にべとつき感が顕著になるおそれがある。
【0018】
〔ポリプロピレン〕
本発明で使用されるポリプロピレンとしては、プロピレンホモポリマーの他、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体も使用される。
【0019】
〔エチレン−α−オレフィン共重合体〕
本発明のエラストマー組成物の弾性、成形性等を改良するために、エチレン−α−オレフィン共重合体が添加されることが好ましい。上記エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−ブチレン共重合体、エチレン−α−ヘキセン共重合体、エチレン−α−オクテン共重合体等が例示される。
【0020】
〔改質剤〕
上記成分に、ノフアロイ(登録商標)KA832(日油株式会社製)を改質剤として添加することが望ましい。該改質剤を添加すると、耐傷付き性(耐スクラッチ性の数値)を更に向上させることができる。なお、該改質剤は、0.5〜15質量部添加することが好ましい。
【0021】
〔その他の成分〕
上記成分の他、配合物には例えばシリカ等の充填剤、顔料、染料、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤の1種または2種以上等が混合されてもよい。
【0022】
〔配合〕
上記エラストマー組成物にあっては、上記テトラブロック共重合体の水素添加物30〜100質量部に、上記トリブロック共重合体の水素添加物を添加する場合には、合計100質量部となるように70質量部以下の添加量で添加され、好ましくは上記テトラブロック共重合体の水素添加物30〜95質量部に対して、上記トリブロック共重合体の水素添加物は合計100質量部となるように5〜70質量部で添加される。更に上記鉱物油系軟化剤は上記テトラブロック共重合体の水素添加物100質量部に対して5〜100質量部添加され、または上記テトラブロック共重合体の水素添加物に上記トリブロック共重合体の水素添加物を添加する場合には、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物との合計100質量部に対して5〜100質量部添加される。更に上記ポリプロピレンを添加する場合には60質量部以下で添加される。ポリプロピレンの添加量が60質量部を超えると硬度が高くなる。
またエチレン−α−オレフィン共重合体を添加する場合には、上記テトラブロック共重合体の水素添加物100質量部に対し、または上記テトラブロック共重合体の水素添加物に上記トリブロック共重合体の水素添加物を添加する場合には、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物との合計100質量部に対して50質量部以下で添加される。エチレン−α−オレフィン共重合体が50質量部を超えると耐傷付き性の向上がみられない。
【0023】
上記材料は例えばバンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の周知の攪拌混合機を使用して混合される。一般には上記鉱物油系軟化剤以外の材料をドライブレンドし、これに上記鉱物油系軟化剤を添加含浸させて混合物とし、所望なれば該混合物を押出機で通常シリンダー温度180℃〜220℃に設定して加熱溶融混錬し、紐状に冷水中に押出し、カッターで切断してペレットとする。
【0024】
〔実施例〕
以下に本発明を更に具体的に説明するための実施例を記載する。
実施例および比較例で使用した材料は下記の通りである。
1.テトラブロック共重合体の水素添加物
SEPSEP(I):スチレン含有量23質量%、重量平均分子量10.7万
SEPSEP(II):スチレン含有量23質量%、重量平均分子量5.3万
SEPSEP(III):スチレン含有量23質量%、重量平均分子量55.3万
SEPSEP(IV):スチレン含有量13質量%、重量平均分子量10.7万
2.トリブロック共重合体の水素添加物
SEBS(I):スチレン含有量33質量%、重量平均分子量24.7万
SEBS(II):スチレン含有量29質量%、重量平均分子量10.9万
SEBS(III):スチレン含有量30質量%、重量平均分子量5.6万
SEBS(IV):スチレン含有量33質量%、重量平均分子量54.4万
SEBS(V):スチレン含有量13質量%、重量平均分子量24.8万
3.鉱物油系軟化剤
パラフィンオイル(I):動粘度(40℃)84cSt
パラフィンオイル(II):動粘度(40℃)383cSt
4.ポリプロピレン
ポリプロピレン(I):曲げ弾性率1350MPa、MFR17g/10min
ポリプロピレン(II):曲げ弾性率470MPa、MFR21g/10min
5.エチレン−α−オレフィン共重合体
a)密度:0.870
(単位:gm/cc 方法:ASTM D−792)
b)ムーニー粘度:23
(単位:ML1+4 at121°C 方法:ASTM D−1646)
c)コモノマー重量%:24
(単位:オクテン 方法:ダウ法)
d)メルトインデックス:1
(単位:g/10分 方法:ASTM D−1238)
e)引張強度:101
(単位:kg/cm 方法:ASTM D−638)
f)100% 引張モジュラス:24
(単位:kg/cm 方法:ASTM D−638)
g)伸び:800
(単位:% 方法:ASTM D−638)
h)硬度:75
(単位:ショア A 方法:ASTM D−2240)
硬度:26
(単位:ショア D 方法:ASTM D−2240)
【0025】
上記材料を使用して実施例(表1)および比較例(表2、表3)の試料を作成した。
即ちパラフィンオイル以外の材料をヘンシェルミキサーによってドライブレンドし、次いでパラフィンオイルを添加して上記材料混合物に混合含浸させて混合物とする。
上記混合物を下記の条件で押出機で溶融混錬して、エラストマー組成物のペレットを製造した。
押出機:株式会社テクノベル製 KZW32TW−60MG−NH
シリンダー温度:180〜220℃
スクリュー回転数:300rpm
上記ペレットを使用して下記の条件で硬さ測定用プレートを成形した。
射出成形機:三菱重工業株式会社製 100MSIII−10E
射出成形温度:170℃
射出圧力:30%
射出時間:10sec
金型温度:40℃
上記条件で厚さ6mm、幅25mm、長さ125mmのプレートを作製した。
【0026】
〔試験方法〕
硬さ試験:厚さ6mmの試験片を用い、JIS K 6253Aに準拠して行なった。
耐傷付き試験:テーバー式スクラッチテスターにて、傷がつきはじめたときの荷重を測定した。(耐スクラッチ性:必要性能0.2N以上)
分散:硬さ測定用、厚さ6mmの試験片を切断して、分散状態を確認した。(分散:良○→悪×)
【0027】
試験結果を表1〜3に示す。なお、表中のMwは重量平均分子量、表中のPSCはスチレン含有量である。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
上記表に示すとおり、実施例1〜5は、良好な結果が得られた。比較例1のようにトリブロック共重合体の水素添加物が70質量部を超えると、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例2のように鉱物油系軟化剤が、テトラブロック共重合体の水素添加物とトリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して100質量部を超えると、硬さ、および耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例3のように鉱物油系軟化剤が、テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して5質量部より少ないと、分散が悪かった。比較例4のように、ポリプロピレンが100質量部を超えると、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例5のように、テトラブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量が7万より小さいと、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例6のように、テトラブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量が、50万を超えると、分散が悪かった。比較例7のように、テトラブロック共重合体の水素添加物のスチレン含有量が、20質量%より少ないと、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例8のように、トリブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量が7万より小さいと、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。比較例9のように、トリブロック共重合体の水素添加物重量平均分子量が、50万を超えると、分散が悪かった。比較例10のように、トリブロック共重合体の水素添加物のスチレン含有量が、20質量%より少ないと、耐傷付き性(耐スクラッチ性)が劣った。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のエラストマー組成物は良好な耐傷付き性を有し、かつ成形性、機械的性質にも優れているから、例えば自動車等に搭載されるエアバッグのカバー等の材料として有用であり、産業上利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むテトラブロック共重合体の水素添加物30〜100質量部と、
スチレン系化合物の重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物の重合体ブロック(B)とを含むトリブロック共重合体の水素添加物0〜70質量部と、
鉱物油系軟化剤を、上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物の合計100質量部に対して5〜100質量部と、
ポリプロピレン0〜60質量部とからなり、
上記テトラブロック共重合体の水素添加物と上記トリブロック共重合体の水素添加物は、重量平均分子量が共に7万〜50万の範囲であり、スチレン含有量が共に20質量%以上であることを特徴とするエラストマー組成物。
【請求項2】
さらにエチレン−α−オレフィン共重合体50質量部以下を添加する請求項1記載のエラストマー組成物。

【公開番号】特開2009−298837(P2009−298837A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151899(P2008−151899)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】