説明

エレクトレットウェブを含むオレフィン性ウェブの加工助剤

ポリマーウェブの調製方法は、熱可塑性樹脂及び加工助剤のホットメルト配合を含む。加工助剤はヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む。この配合物から調製されるウェブは、フィルム又は不織繊維ウェブの形態であってよい。不織マイクロファイバーウェブは濾材として有用である。製造されるポリマーウェブに、エレクトレットウェブがある。加工助剤はエレクトレットウェブの帯電強化添加剤としても機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帯電強化添加剤を含むエレクトレットウェブを含む、不織熱可塑性マイクロファイバーウェブなどの不織繊維ウェブを含むウェブ調製用の加工助剤、それらの製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の調製のために、ポリマー材料、特にポリマーオレフィン性材料を加工するために種々の加工方法が使用される。これらの加工方法の多くは、熱、圧力又はこれらの組み合わせの使用を伴う。使用される加工方法の例として、例えば、ホットメルト押し出し及び射出成形が挙げられる。ホットメルト押し出し技術により調製される物品には、ポリマーウェブがある。有用なポリマーウェブの例として、フィルム及び不織繊維ウェブが挙げられる。これらのポリマーウェブの用途には、エレクトレット物品がある。
【0003】
エレクトレットは、準永久帯電を示す誘電材料である。エレクトレットは、例えば、食品包装用フィルム、エアフィルタ、濾過用面体及び呼吸用マスクなどの様々なデバイスにおいて、並びにマイクロフォン、ヘッドフォン及び静電記録装置などの電気音響的装置内の静電的要素として有用である。
【0004】
エアゾール濾過に使用されるマイクロファイバーウェブの性能は、繊維に電荷を付与し、エレクトレット材料を形成することによって改善することができる。特に、エレクトレットはエアゾールフィルタにおける粒子捕捉を向上させるのに有効である。マイクロファイバーウェブ内にエレクトレット材料を形成するために、多くの方法が知られている。このような方法としては、例えば、ダイ開口部から出て繊維が形成された時点で、メルトブローン繊維に電子又はイオンなどの帯電粒子を衝突させる工程が挙げられる。他の方法としては、例えば、ウェブが形成された後で、DCコロナ放電によって繊維を帯電させる工程、又はカーディング及び/又はニードルタッキング(摩擦帯電)によって繊維マットへ電荷を付与する工程が挙げられる。近年、ウォータージェット又は水滴流が、濾過促進エレクトレット電荷を提供するのに十分な圧力で、不織ウェブに衝突する方法(ハイドロチャージング)が述べられてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示において、ポリマーウェブの調製方法が提示される。開示されたポリマーウェブに、エレクトレットウェブがある。
【0006】
幾つかの実施形態において、熱可塑性樹脂と、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む加工助剤とを含む、配合物を調製する工程と、加工助剤及び熱可塑性樹脂の配合物の溶融粘度が、加工助剤を含まない熱可塑性樹脂の溶融粘度より低い、配合物のホットメルト混合工程と、ホットメルト配合物からウェブを形成する工程と、を含む、ウェブの調製方法が開示される。
【0007】
幾つかの実施形態においては、ポリマーウェブはエレクトレットウェブであり、熱可塑性樹脂と、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む加工助剤とを含む、配合物を調製する工程と、配合物のホットメルト混合工程と、ホットメルト配合物からウェブを形成する工程と、静電気的にウェブを帯電する工程と、を含む。
【0008】
また、熱可塑性樹脂及びヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む帯電強化添加剤の配合物を含む、不織マイクロファイバーウェブを含むエレクトレット濾材が、開示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
熱可塑性樹脂及び加工助剤の配合物である、ポリマーウェブの調製方法が開示される。典型的には、熱可塑性樹脂はポリオレフィン性材料である。加工助剤は、より容易なウェブ形成を可能にする。加工助剤は、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーである。加工助剤がエレクトレットウェブの調製に使用される場合には、加工助剤は、また、熱可塑性樹脂のみで調製されたウェブより改良された特性を示すことがあるウェブをも提供する。加工助剤は、熱可塑性樹脂の加工を助けるのみならず、形成されたエレクトレットウェブ中の帯電強化添加剤としても役立つ。
【0010】
ポリマーウェブは様々な形態であってよい。例えば、ウェブは連続又は不連続フィルムであってよく、あるいは繊維ウェブであってよい。繊維ウェブは、濾材などのエレクトレット物品の形成に、特に有用である。幾つかの実施形態では、ウェブは不織マイクロファイバーウェブである。典型的には、マイクロファイバーは有効直径(又は走査型電子顕微鏡などの方法で測定される場合の平均直径)が1〜100マイクロメートル、又はより典型的には2〜30マイクロメートルであり、マイクロファイバーは円形の横断面を有する必要はない。
【0011】
用語「a」、「an」及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
【0012】
用語「エレクトレット」は、準永久帯電を示す材料を意味する。
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「オリゴマー」は、繰り返し単位の数がわずかである化合物を意味する。これは、少なくとも原理的に、無限の繰り返し単位を有するポリマーとは対照的である。通常、オリゴマーは1〜10の繰り返し単位を含んでいる。
【0014】
用語「ヒンダードアミン」は、置換基による立体障害のあるアミン基を意味する。ヒンダードアミンの例は、例えば、米国特許第3,925,376号(Chalmersら)に記述されている。
【0015】
用語「スクシンイミド」は、式1の一般式の複素環式イミドを意味する
【化1】


(式中、R、R及びRはすべて水素原子である)。用語「N−置換スクシンイミド」は、Rが水素以外の基である式1の分子を意味する。
【0016】
本明細書において使用されるとき、「ポリオレフィン」及び「ポリオレフィン性」は、ポリマーを議論する場合において使用されるとき、オレフィン又はアルケンモノマーから調製されるポリマーを意味する。ポリオレフィンポリマーとして、ポリプロピレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ環状オレフィンなどが挙げられる。
【0017】
本明細書において使用されるとき、用語「プロピレン系」及び「ポリプロピレン系」は、ポリマーを議論する場合において使用されるとき、ポリプロピレンホモポリマー、及びプロピレンが主たる構成成分であるプロピレン含有コポリマーを含む。
【0018】
用語「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を意味する。アルキルは、直鎖状、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個又は1〜4個の炭素原子を含む。アルキル基の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三級ブチル(t−ブチル)、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル及びエチルヘキシルが挙げられる。
【0019】
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素であるアルケンのラジカルである一価の基を意味する。アルケニルは、直鎖、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には、2〜20個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個又は2〜4個の炭素原子を含む。代表的なアルケニル基としては、エテニル、n−プロペニル及びn−ブテニルが挙げられる。
【0020】
用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素3重結合を有する炭化水素であるアルキンのラジカルである一価の基を意味する。アルキニルは、直鎖、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであってよく、典型的には、2〜20個の炭素原子を含む。幾つかの実施形態では、アルキニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個又は2〜4個の炭素原子を含む。代表的アルキニル基としては、エチニル、n−プロピニル及びn−ブチニルが挙げられる。
【0021】
用語「ヘテロアルキル」は、ヘテロ原子を含有するアルキル基を意味する。これらヘテロ原子は側枝原子、例えばフッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素のようなハロゲンであるか、又は窒素、酸素若しくはイオウのような鎖状原子であってよい。ヘテロアルキル基の一例は、−CHCH(OCHCHOCHCHなどのポリオキシアルキル基である。
【0022】
用語「置換アルキル」は、炭化水素主鎖に沿って置換基を有するアルキル基を意味する。これらの置換基は、アルキル基、ヘテロアルキル基又はアリール基であり得る。置換アルキル基の一例は、ベンジル基である。
【0023】
用語「アリール」は、1〜5個の環(連結又は縮合していてもよい)を有するラジカルである芳香族炭素環基を意味する。アリール基は、アルキル基又はヘテロアルキル基によって置換されてよい。アリール基の例としては、フェニル基、ナフタレン基及びアントラセン基が挙げられる。
【0024】
用語「アルキレン」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである二価の基を意味する。アルキレンは、直鎖状、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキレン基は1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。アルキレン基の例として、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は置換アリール基で、置換されてよい。
【0025】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」は、1つのモノマーから調製した材料、例えばホモポリマー、又は2つ若しくはそれ以上のモノマーから調製した材料、例えばコポリマー、ターポリマーなど、の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得るポリマー材料の作製プロセスを意味する。用語「コポリマー」及び「コポリマー材料」は、少なくとも2つのモノマーから調製されたポリマー材料を意味する。
【0026】
用語「室温」及び「周囲温度」は同じ意味で用いられ、20℃〜25℃の範囲の温度を意味する。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「ホットメルト加工可能」とは、例えば、熱及び圧力によって固体から粘稠な流体へと変化することができる組成物を意味する。組成物は、実質的に化学的に変化したり、あるいは目的とした用途に使用不能になったりすることなく、ホットメルト加工が可能でなければならない。
【0028】
特に指示がない限り、明細書及び請求項に使用される外観の寸法、量及び物理的特性を表すすべての数字は、用語「約」によりすべての事例において修正されると理解される。したがって、反対の指示がない限り、本明細書の数字は、本明細書で開示される教示を使用する所望の特性によって変化し得る近似値である。
【0029】
ポリマーウェブは、典型的には、ブローンマイクロファイバー(BMF)技術を含むホットメルトプロセスにより調製される。押出成形機を使用するホットメルトプロセスでは、熱可塑性樹脂及び望ましい添加剤は加熱された押出成形機に加えられ、押出成形機内で熱、圧力及びせん断力の影響を受け、次いでダイを通って押出成形機から出る。熱可塑性樹脂の材料特性により、樹脂の押し出しに適する温度、スクリュー構成及びスクリュースピードが決まり、それゆえ、その樹脂の使用で達成可能な押し出し速度が決まる。あるホットメルト押し出しプロセスでは加工助剤が加えられ、この助剤は溶融樹脂の溶融粘度を低下させ、それゆえ処理能力の向上、処理温度の低下、又は加工助剤なしでは使用できなかった樹脂の使用能力までをも提供することができる。
【0030】
本開示の加工助剤は、ポリオレフィン性熱可塑性樹脂とともに使用されるとき、溶融熱可塑性樹脂の熱溶融粘度を低下させ、それゆえより容易な加工を可能にする。一般的に、熱溶融粘度の低下は、加工中の材料のレオロジーの制御に役立つ3つの効果を提供する。これらの3つの効果は、ポリマーウェブをより迅速に作る能力、加工助剤なしで可能な温度より低い温度で材料を加工する能力、及び加工助剤なしでは実質的に加工できない材料を使用する能力である。
【0031】
一般的に、熱可塑性樹脂はポリオレフィン性熱可塑性樹脂である。加工助剤の使用は、ポリオレフィン性熱可塑性樹脂の熱溶融粘度を低下させる。一般的には、押出成形機の最後部の領域は温度が最も高い。この温度は低ければ低いほど望ましい。幾つかの実施形態では、ポリオレフィン性熱可塑性樹脂はポリプロピレン系である。これらの実施形態においては、加工助剤の効果は一般的により顕著である。典型的には、多くのポリプロピレン系の熱可塑性樹脂は、約200〜400℃、より典型的には250〜350℃の温度でホットメルト加工される。加工助剤が使用される場合には、約290℃又はこれより高い温度における熱可塑性樹脂の熱溶融粘度は、熱可塑性樹脂のみの粘度から劇的に低下する。幾つかの実施形態においては、所与の温度の熱溶融粘度は加工助剤のない熱可塑性樹脂の粘度から、20%、30%若しくは50%又はそれ以上さえも低下する。好ましい加工温度範囲におけるこの劇的な粘度の低下は、加工速度の増大を可能にする。材料が押し出しプロセスを通過しポリマーウェブとなることができる速度を表現するために、ポリマーウェブを生成する加工速度は、時に処理能力と称さる。処理能力の増加はより速い速度でのウェブの調製を可能にし、改善されたウェブの作製とコストの低下又はこの両方を可能にする。
【0032】
加工速度の増大に加え、加工助剤の使用は、他の方法で可能であったより低い温度での加工、又は他の方法では使用できなかった材料の使用をも可能とすることがある。幾つかのポリプロピレン系ポリマーの等級は、上述の望ましい加工温度範囲では加工できない。これらの材料の幾つかでは、加工可能な粘度を達成するために、非常に高い温度、400℃、又はそれ以上の温度が要求される。これらの温度は、ポリマーウェブ調製の達成には実用的ではなく、又は不可能でさえある。加工助剤の使用は、これらの材料の加工に要求される温度を下げることができ、そうでなければ有用ではなかった加工における材料の使用を可能にする。例えば、有効繊維直径が10マイクロメートル又はそれ未満のブローンマイクロファイバーの作製に、加工助剤を使用せずに、メルトフローインデックスが25未満の材料などの低メルトフローのポリプロピレンを使用することは、商業的に非実用的であろう。
【0033】
理論に束縛されるものではないが、加工助剤はポリプロピレン系材料の分子量を低下させ、これが熱溶融粘度の低下を可能とすると信じられている。この効果はエレクトレットウェブの調製において非常に顕著であり、特にメルトブローンプロセスにより調製されるマイクロファイバーエレクトレットウェブにおいてそうである。メルトブロープロセスでは、有効繊維直径が1〜100マイクロメートル、特に有効繊維直径が10マイクロメートル未満の繊維を形成するためには、比較的低いメルトフロー粘度が望ましい。
【0034】
過酸化物系の材料が、オレフィン性ポリマー、特にポリプロピレンのメルトフロー粘度を低下させる加工助剤として使用できるが、しかし、過酸化物系加工助剤は過酸化物に関連する固有の安全及び取扱上の問題点があり、問題がより大きい。本開示の加工助剤の更なる利点は、これらは取扱い及び使用がより安全であるのみならず、これらはまた多くの場合に酸化防止剤としても機能することができ、形成されるポリマーウェブに追加の効果を提供する。
【0035】
この開示において加工助剤として使用される材料の幾つかの具体例は、高分子安定剤として販売されているので、これらがオレフィン性ポリマーの加工助剤として機能することは驚くべきことである。更に驚くべきことは、これらの加工助剤はエレクトレットウェブを含むポリマーウェブの加工を助けるのみならず、これらはまたエレクトレットウェブの帯電強化添加剤としても機能することである。
【0036】
この開示の方法により調製される有用なポリマーウェブには、エレクトレットウェブがある。本開示のエレクトレットウェブは、配合され押し出された熱可塑性樹脂及び加工助剤を含む。これらの加工助剤は、形成されたエレクトレットウェブ中において帯電強化添加剤として役立つ、予期せぬ追加の特徴を有する。
【0037】
エレクトレットウェブの形成に有用な熱可塑性樹脂としては、ウェブに形成し帯電させた際に、多量の捕捉された静電荷を保持することが可能な、任意の熱可塑性非導電性ポリマーが挙げられる。典型的には、このような樹脂は、使用目的における温度で、1014オームセンチメートルより大きいDC(直流)固有抵抗を有する。捕捉電荷を得ることができるポリマーとしては、ポリプロピレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリ環状オレフィン及びポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリラクチドを含むポリエステル;及び過フッ化ポリマー及びコポリマーが挙げられる。特に有用な材料としては、ポリプロピレン系ポリマー、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ環状オレフィン、これらの混合物、又はプロピレン及び4−メチル−1−ペンテンの少なくとも1つから形成されるコポリマーが挙げられる。
【0038】
一般に、有用な熱可塑性ポリマーは、「メルトフローインデックス」の記述により特性を示すことができる。メルトフローインデックス(MFI)は、熱可塑性ポリマーの溶融物の流れ易さの尺度である。これは、選択可能な規定の重力加重により加えられる圧力により、選択可能な規定の温度において、特定の直径及び長さのキャピラリーを通して10分間に流れるポリマーの、グラムで表示される質量として定義される。この方法はASTM D1238及びISO 1133に示されている。一般的に、ポリプロピレンのメルトフローインデックスは230℃において測定される。
【0039】
好適な熱可塑性樹脂の例として、例えば、ポリプロピレン樹脂:Exxon−Mobil Corporation,Irving,TXから市販されているESCORENE PP 3746G、Total Petrochemicals USA Inc.,Houston TXから市販されているTOTAL PP3960、TOTAL PP3860及びTOTAL PP3868、LyondellBasell Industries,Inc.,Rotterdam,Netherlandsから市販されているMETOCENE MF 650W;ポリ−4−メチル−1−ペンテン樹脂:Mitsui Chemicals,Inc.,Tokyo,Japanから市販されているTPX−MX002;及びポリ環状オレフィン樹脂:TOPAS Advanced Polymers,Frankfurt,Germanyから市販されているTOPAS−6013が挙げられる。
【0040】
加工助剤は、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーである。ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーは、下記の式2の一般構造の繰り返し単位を有すると記述することができる
【化2】


(式中、基Rはヒンダードアミン基を含み;
基R及びRは、独立して、他のスクシンイミド環に連結するアルキレン又は置換されたアルキレン連結基を含むか、又はアルキル末端基であり;
基R及びRは、独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は置換アリールを含む)。一般的に、加工助剤は1つ以上の反復単位、一般的に100又はそれより少数の反復単位を含み、つまり、R及びR基は、式2の単位を100まで互いに連結する。幾つかの実施形態においては、加工助剤は50、30若しくはそれより少数の反復単位、25若しくはそれより少数の反復単位、20若しくはそれより少数の反復単位、又は10若しくはそれより少数の反復単位を含む場合さえある。
【0041】
式2で記述される異なる様々な材料が、帯電強化添加剤としても機能する加工助剤として有用である。式2のR、R、R、R及びRが水素原子である場合、この分子はスクシンイミドとして知られているので、時々これらの添加剤は「スクシンイミド類」と称される。好適なスクシンイミ類としては、例えば、式2のスクシンイミド類が挙げられ、ここでRはヒンダードアミン基を含む。典型的には、これらのヒンダードアミン基は、立体的にアミンの窒素をブロックするアルキル基を有する環式基である。
【0042】
式2のR及びR基は、独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は置換アリール基であり得る。典型的には、これらは水素原子である。基R及びRは、独立して、他のスクシンイミド環又はアルキル末端基に連結するアルキレン又は置換アルキレン連結基を含む。幾つかの実施形態においては、帯電強化添加剤として機能する加工助剤においては、Rは2,2,6,6テトラメチルピペリジン基などのアルキル置換6員環複素環を含み、R基はスクシンイミド基のN原子にピペリジン環の3、4又は5の位置で連結する。特に好適な実施形態においては、帯電強化添加剤として機能する加工助剤は、BASF,Ludwigshafen,Germanyから「UVINUL 5050H」として市販されている。この添加剤の構造を下の式3に示す。この材料は、3,000〜4,000グラム/モルの分子量を有すると報告されており、これはこのオリゴマーの繰り返し単位の数nが約5〜7であることを意味する。
【化3】

【0043】
典型的には、加工助剤は熱可塑性樹脂に、配合物の総重量の約10重量%まで、より典型的には、0.1〜5重量%の範囲まで配合される。幾つかの実施形態では、加工助剤は、0.1〜3重量%、又は0.25〜2重量%の範囲の量で存在する。
【0044】
熱可塑性樹脂及び加工助剤の配合物は、周知の方法により調製することができる。典型的には、配合物は溶融押出技術を使用して処理されるので、当該配合物をバッチプロセスで事前に配合しペレットに成形したり、又は熱可塑性樹脂及び加工助剤を連続プロセスにて押出成形機内で混合したりしてよい。連続プロセスが使用される場合、熱可塑性樹脂及び加工助剤を予め固体状態で混合して、又は個別に押出成形機に加えたりして、溶融状態で混ぜ合わせてよい。
【0045】
事前配合ペレットを形成するために使用してよい溶融混合機の例としては、分散混合、分配混合、又は分散混合及び分配混合の組み合わせを提供するようなものが挙げられる。バッチ法の例としては、BRABENDER(例えばC.W.Brabender Instruments,Inc.;South Hackensack,NJから市販されているBRABENDER PREP CENTER)、又はBANBURY内部混合及びロールミリング装置(例えば、Farrel Co.;Ansonia,CTから入手できる装置)を使用するようなものが挙げられる。バッチ混合後、生成した混合物を直ちにクエンチし、後で加工するために、混合物の溶融温度未満で保管してよい。
【0046】
連続法の例として、一軸スクリュー押出成形、二軸スクリュー押出成形、ディスク押出成形、往復式一軸スクリュー押出成形、及びピンバレル一軸押出成形が挙げられる。連続法としては、キャビティトランスファーミキサー(例えば、Shrewsbury,EnglandのRAPRA Technology,Ltd.から市販されているCTM)及びピン混合要素などの両分配要素、静的混合要素、又は分散混合要素(例えば、MADDOCK混合要素又はSAXTON混合要素として市販されている)を利用するものが挙げられる。
【0047】
バッチプロセスにより調製された、事前配合ペレットを押し出すために使用してよい押出機の例としては、前述した連続加工用の装置と同じ型が挙げられる。上述したように加工助剤の使用は加工条件の選択に大きな柔軟性を与えるが、一般的に有用な押し出し条件は、加工助剤を使用しない樹脂の押し出しに適した条件である。
【0048】
熱可塑性樹脂及び加工助剤の押し出された配合物を、フィルム又はシートへとキャスト又はコーティングしてよく、あるいは既知の技術を使用して不織繊維ウェブへとメルトブローしてよい。メルトブローン不織マイクロファイバーウェブは、濾材として特に有用である。
【0049】
メルトブローン不織マイクロファイバーのエレクトレットフィルタは、濾過用接顔部などの呼吸用マスクのエアフィルタ要素として、あるいは家庭用及び工業用空調機、空気清浄機、真空掃除機、医療用エアラインフィルタ、乗り物用空調システム、並びにコンピュータ、コンピュータディスクドライブ及び電子機器などの一般装置用空調システムなどの目的のために、特に有用である。幾つかの実施形態においては、エレクトレットフィルタは人工呼吸器アセンブリと組み合わされ、ヒトが使用するよう設計された人工呼吸器デバイスを形成する。人工呼吸器の用途においては、エレクトレットフィルタは、成形された、ひだのある又は折り畳まれた半面の呼吸用マスク、取り換え可能なカートリッジ若しくはキャニスター又は前置フィルタの形態であってよい。
【0050】
本開示において有用なメルトブローンマイクロファイバーは、Van A.Wente、「Superfine Thermoplastic Fibers」、Industrial Engineering Chemistry,vol.48,pp.1342〜1346及びReport No.4364 of the Naval Research Laboratories,published May 25,1954,entitled「Manufacture of Super Fine Organic Fibers」by Van A.Wenteらに記載されているようにして調製することができる。
【0051】
繊維エレクトレットフィルタのための有用なメルトブローンマイクロファイバーは、典型的には、約1〜100マイクロメートル、より典型的には2〜30マイクロメートル、ある実施形態においては約7〜15マイクロメートルの有効繊維直径を有する。この有効繊維直径は、Davies,C.N.、「The Separation of Airborne Dust and Particles」、Institution of Mechanical Engineers,London,Proceedings 1B,1952に記載の方法に従って計算される。
【0052】
ステープルファイバーもまた、ウェブ内に存在してよい。一般的に、ステープルファイバーが存在することで、ブローンマイクロファイバーのみからなるウェブよりも、より嵩高で、より密度の小さいウェブとなる。一般的に約90重量%以下のステープルファイバーが存在し、より典型的には、約70重量%以下である。ステープルファイバーを含むウェブの例は、米国特許第4,118,531号(Hauser)に開示されている。
【0053】
活性炭又はアルミナなどの吸着粒子材料もまたウェブ内に含まれてよい。このような粒子は、ウェブ内容物の約80容積パーセントまで存在してよい。粒子充填ウェブの例は、例えば米国特許第3,971,373号(Braun)、同第4,100,324号(Anderson)及び同第4,429,001号(Kolpinら)に記載されている。
【0054】
例えば、顔料、光安定剤、主及び二次酸化防止剤、金属不活性剤、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、脂肪酸金属塩、トリエステル亜リン酸塩、リン酸塩、フッ素含有化合物及びこれらの組み合わせを含む、種々の任意の添加剤を熱可塑性組成物に配合することができる。これに加えて、他の帯電強化添加剤を熱可塑性組成物に組み合わせてよい。可能な帯電添加剤としては、トリアジン環の窒素原子に加えて少なくとも1つの窒素原子を含有する、熱的に安定な有機トリアジン化合物又はオリゴマーが挙げられ、例えば、Rousseauらの米国特許第6,268,495号、同第5,976,208号、同第5,968,635号、同第5,919,847号及び同第5,908,598号を参照。エレクトレットを強化することが知られている他の添加剤は、「CHIMASSORB 944 LF」(ポリ[[6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミの]])であり、Ciba Specialty Chemicals,Inc.から入手できる。帯電強化添加剤はN−置換アミノ芳香族化合物、特に「UVINUL T−150」としてBASF,Ludwigshafen,Germanyから市販されている、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルへキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジンなどの、トリアミノ置換化合物であってよい。他の帯電添加剤は、2,4,6−トリス−(オクタデシルアミノ)−トリアジンであり、トリステアリルメラミン(「TSM」)としても知られている。帯電強化添加剤の更なる例は、米国特許出願第61/058,029号、同第61/058,041号、米国特許第7,390,351号(Leirら)、同第5,057,710号(Nishiuraら)並びに米国特許第4,652,282号及び同第4,789,504号(Ohmoriら)に載せられている。
【0055】
更に、ウェブをその表面を化学的に修正するために処理してもよい。表面のフッ素化は、ポリマー物品をフッ素含有化学種及び不活性ガスを含む雰囲気中に置き、次に電気的に放電し、ポリマー物品の表面化学を変えることにより達成することができる。電気放電は、ACコロナ放電等のプラズマの形態であってよい。このプラズマフッ素化工程によって、フッ素原子がポリマー物品の表面上に存在するようになる。プラズマフッ素化工程は、Jones/Lyonsらの多くの米国特許第6,397,458号、第6,398,847号、第6,409,806号、第6,432,175号、第6,562,112号、第6,660,210号及び第6,808,551号に記載されている。高フッ素飽和比を有するエレクトレット物品はSpartzらの米国特許第7,244,291号に記載されており、ヘテロ原子とともに低フッ素飽和比を有するエレクトレット物品はKirkらの米国特許第7,244,292号に記載されている。フッ素化技術を開示する他の公報としては、米国特許第6,419,871号、第6,238,466号、第6,214,094号、第6,213,122号、第5,908,598号、第4,557,945号、第4,508,781号及び第4,264,750号;米国特許公報US 2003/0134515 A1号及びUS 2002/0174869 A1号;並びに国際特許公報WO 01/07144号が挙げられる。
【0056】
本開示に従って製造されたエレクトレット濾材は一般に、約10〜500g/cmの範囲の坪量(単位面積当たりの質量)を有し、幾つかの実施形態では、約10〜100g/cmの範囲の坪量を有する。メルトブローンマイクロファイバーウェブの作製において、坪量は、例えばコレクター速度又はダイの処理能力のいずれかを変化させることによりコントロールすることができる。濾材の厚さは、典型的には約0.25〜20ミリメートルであり、幾つかの実施形態では約0.5〜2ミリメートルである。通常、多層繊維エレクトレットウェブは、フィルタ要素に使用される。繊維エレクトレットウェブの固体性は、典型的には、約1%〜25%、より典型的には約3%〜10%である。固体性は、ウェブの固体部分を画定する単位のないパラメータである。一般に本開示の方法は、濾材の坪量、厚さ又は固体性に関わりなく、エレクトレットウェブに概して均一な電荷分布をウェブ全域にわたって提供する。エレクトレット濾材及びそれを製造する樹脂には、その電気伝導率を増大させる可能性のあるあらゆる不必要な処理、例えば、電離放射線、ガンマ線、紫外線照射、熱分解、酸化等への曝露を施してはならない。
【0057】
エレクトレットウェブは、それが形成された時点で帯電されてよく、あるいはウェブはウェブ形成後に帯電されてもよい。エレクトレット濾材では、濾材は一般的に、ウェブが形成された後で帯電される。一般的に、当該技術分野において既知の任意の標準的な帯電方法を使用してよい。例えば、帯電は、摩擦帯電、DCコロナ放電及びハイドロチャージングを含む様々な方法で実施してよい。種々の方法の組み合わせも使用できる。
【0058】
好適なDCコロナ放電プロセスの例は、米国特許参照番号第30,782号(van Turnhout)、同第31,285号(van Turnhout)、同第32,171号(van Turnhout)、米国特許第4,215,682号(Davisら)、同第4,375,718号(Wadsworthら)、同第5,401,446号(Wadsworthら)、同第4,588,537号(Klaaseら)、同第4,592,815号(Nakao)及び同第6,365,088号(Knightら)に記述されている。
【0059】
ウェブのハイドロチャージングは、ウェブに濾過促進エレクトレット帯電を提供するのに十分な圧力で、水の噴流又は水滴流をウェブ上へと衝突させることによって実施される。最適な結果を達成するために必要となる圧力は、使用する噴霧器の種類、ウェブを形成するポリマーの種類、ポリマーへの添加剤の種類及び濃度、ウェブの厚さ及び密度、並びにハイドロチャージングに先立って行われるDCコロナ表面処理などの前処理の実施の有無によって変化する。一般に、約10〜500psi(69〜3450kPa)の範囲の水圧が好適である。望むならば、DCコロナ表面処理もポストハイドロチャージング処理として使用できるが、このような後処理は典型的ではない。
【0060】
水の噴流又は水滴流は、いずれかの好適な噴霧手段により提供され得る。一般的に、繊維の水流による交絡に有用な装置が、本開示の方法において有用であるが、ハイドロチャージングでは、操作は一般的に水流交絡にて使用される場合よりも低圧で実施される。ハイドロチャージングは、米国特許第5,496,507号(Angadjivand)に記載された方法、並びに流体ウエッティング及びディウェッティングプロセスを使用して、エレクトレット電荷を付与するための、その他の各種派生的方法、例えば、日本特許出願第2002161467号(Horiguchi)、同第2002173866号(Takeda)、同第2002115177号(Takeda)、同第2002339232号(Takeda)、同第2002161471号(Takeda)、日本特許第3,780,916号(Takeda)、日本特許出願第2002115178号(Takeda)、同第2003013359号(Horiguchi)、米国特許第6,969,484号(Horiguchi)、同第6,454,986号(Eitzman)、日本特許出願第2004060110号(Masumori)、同第2005131485号(Kodama)、及び同第2005131484号(Kodama)に記載されている方法を包含すると理解されている。
【0061】
ウェブのハイドロチャージングはまた「ゼータ電位に基づくエレクトレット物品の作製方法(Method of Making Electret Articles Based On Zeta Potential)」という名称の2008年6月2日に出願された米国特許出願(米国特許出願番号第12/131770号)に開示された新しい方法によっても行うことができる。この方法は、(a)帯電されるポリマー物品を提供する工程と、(b)帯電されたポリマー物品を以下のpHと伝導度とを有する水性液と接触させる工程であって、(i)物品が−7.5ミリボルト(mV)未満のゼータ電位を有する場合、接触水はセンチメートル当り約5〜9,000マイクロシーメンス(μS/cm)の伝導度と7を超えるpHとを有し、(ii)物品が−7.5ミリボルト(mV)を超えるゼータ電位を有する場合、接触水はセンチメートル当り約5〜5,500マイクロシーメンス(μS/cm)の伝導度と7以下のpHとを有する工程と、を含む。物品は、積極的に(真空又は熱で)若しくは受動的に(吊るし乾燥)又はそれらの組み合わせで乾燥させてもよい。
【0062】
濾過性能をモデル化するために、様々な試験プロトコルが開発されてきた。これらの試験は、ジオクチルフタレート(DOP)などの標準暴露用エアゾールを使用したフィルタウェブのエアゾール透過の測定を含み、これは通常、フィルタウェブを抜けるエアゾール透過のパーセント(% Pen)及びフィルタウェブを横断する圧力低下(ΔP)で表される。これら2つの測定値から、品質係数(QF)として知られている量が、次の式
QF=−ln(% Pen/100)/ΔP
(式中、lnは自然対数を表すによって)計算することができる。より大きいQF値はよりよい濾過性能を示し、低下したQF値は、濾過性能の低下と有効な相関関係がある。これらの値の測定についての詳細は、実施例の項目で示す。典型的には、本開示の濾材は、毎秒6.9cmの面速度にて0.3(mmHO)−1又はこれを超える測定QF値を有する。
【0063】
特定の濾材が自然に静電気を帯びていることを証明するために、その性能をイオン化X線照射の前後に調べることができる。例えば、文献、R.C.BrownによるAir Filtration(Pergamon Press,1993)及び「Application of Cavity Theory to the Discharge of Electrostatic Dust Filters by X−Rays」、A.J.WAKER及びR.C.BROWN,Applied Radiation and Isotopes,Vol.39,No.7,pp.677〜684,1988に記載されているように、もし静電気を帯びたフィルタがX線に暴露すると、X線により繊維間のガスの空洞に生成するイオンが電荷を幾らか中和してしまうので、フィルタを通過するエアゾールの透過は、暴露前に比較して暴露後が大きくなる。したがって、累積X線暴露において、透過が一定のレベルまでの着実な増加を示し、その後は照射を続けても変化は起きない、累積X線暴露に対する透過のプロットが得られる。この時点で、すべての電荷がフィルタから除去されてしまっている。
【0064】
これらの観察により、濾過性能評価のもう一つの試験プロトコル、X線放電試験、の採用に到達した。この試験プロトコルでは、選択した濾材片をX線照射に暴露し、エレクトレットウェブを放電させる。この試験の一つの特性は、試験はウェブがエレクトレットであることを確認することである。X線がエレクトレットの電荷を消すことが知られているので、濾材をX線に暴露し、この暴露前後におけるフィルタ性能の測定及びフィルタ性能の比較は、濾材がエレクトレットであるかどうかを示す。フィルタの性能がX線照射後に変化しなければ、これは電荷が消されなかったこと及び材料がエレクトレットではないことを示す。しかし、もしフィルタ性能がX線暴露後に低下すれば、これは濾材がエレクトレットであることを示す。
【0065】
試験を行うとき、典型的には、濾材のX線照射の前後において濾過性能を測定する。下記実施例の項目に記載した濾過性能試験方法により試験した場合、%透過比は次の式により計算できる。%透過比=(ln(初期% DOP透過/100)/(ln(X線暴露後60minの% DOP透過)))×100。ウェブがフィルタとしての使用に十分な電荷を有するためには、%透過比は、典型的には、少なくとも300%である。%透過比が増加するに従い、ウェブの濾過性能もまた増加する。幾つかの実施形態においては、%透過比は少なくとも、400%、500%又は600%である。好ましい実施形態においては、%透過比は少なくとも、750%又は800%である。幾つかの実施形態においては、ウェブは少なくとも1000%又は少なくとも1250%の透過比を示す。
【0066】
下記の実施例の項に記した濾過性能試験方法により試験した場合、面速度6.9cm/sの初期品質係数(X線への暴露前)は、典型的には、少なくとも0.3(mmHO)−1、より典型的には少なくとも0.4又は実に0.5(mmHO)−1である。幾つかの実施形態においては、初期品質係数は少なくとも0.6又は0.7(mmHO)−1である。他の実施形態においては、初期品質係数は少なくとも0.8、少なくとも0.90、少なくとも1.0又は実に1.0(mmHO)−1を超える。X線への60分の暴露後の品質係数は、典型的には、初期品質係数の50%未満である。幾つかの実施形態においては、初期品質係数は、少なくとも0.5(mmHO)−1又はこれを超え、X線への60分の暴露後の品質係数は0.15(mmHO)−1未満である。
【実施例】
【0067】
これらの実施例は、単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した請求項の範囲を限定することを意味するものではない。本明細書の実施例及びその他の部分におけるすべての部、百分率、比などは、特に注記がない限り重量による。使用した溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee,Wisconsinから入手した。
【0068】
【表1】

【0069】
試験方法
粘度測定
粘度の測定には2つの異なる技術を使用した。これらは、粘度測定方法−1及び粘度測定方法−2として定義されている。
【0070】
a)粘度測定方法1−キャピラリーレオメーター
オリフィスの直径が0.318センチメートル(0.125インチ)で、長さが20.3センチメートル(8インチ)のキャピラリーレオメーターを、円錐型2軸スクリューを備えたBRABENDER B−K(Brabender Instruments,Inc.から入手可能)に連結した。押出成形機を、0.9〜3.6kg/hr(2〜8lb/hr)の押し出し速度及び250〜310℃の温度で操作した。
【0071】
実験試料の粘度データを得るため、添加剤をポリマー樹脂に所望の重量濃度で乾燥配合し、配合物を表3に規定した温度及び速度で押し出した。比較実施例は、添加剤を含まないポリマーの対応ロットから調製した。表3に各実施例の実験結果をまとめる。
【0072】
試料の見かけ粘度及びせんだん速度は、ニュートン流体を仮定して、キャピラリーレオメーターを通過する試料の圧力低下及び流速から計算できる。これは、例えば、Chris MacoskoによるRheology:Principles,Measurements,and Applications(Wiley,John and Sons,Inc.,1994)242ページ、式6.2.12に述べられている。実験結果を次の式に入れ、見かけ粘度を計算した。ポリプロピレンの溶融密度は0.91g/cmと仮定した。
【0073】
見かけ粘度の計算式:
【数1】


D:キャピラリーの直径(このケースでは0.3175cm)
ΔP:粘度計で測定中の圧力低下(g/(cms))
Q:体積流量(cm/秒、cm/s)又は密度(W/ρ)で除した、質量流速(グラム/秒、g/s)
L:キャピラリーの長さ(この場合は長さ20.32cm)
【0074】
流れのせんだん速度は、次式により計算できる。
【数2】


γ:せんだん速度(1/秒、s−1
:キャピラリーを通る容積流速(cm/秒、cm/s)
R:キャピラリーの半径(この場合0.1588cm)
D:キャピラリーの直径(この場合、0.3175cm)
M:質量流速(グラム/秒、g/s)
ρ:流れる材料の密度(グラム/cm、g/cm
【0075】
b)粘度測定方法2−平行平板レオメータ
試料の粘度変化はARES Rheometer(TA Instruments,New Castle,Delaware)を使用して測定した。レオロジー測定に使用する試料は、Xplore 15 milliliter Micro−Compounder(DSM Xplore,Geleen,The Netherlands)を使用してコンパウンドした。実施例及び比較実施例は、熱履歴が粘度に及ぼす影響を避けるため、同じ熱履歴でコンパウンドした。PP−1及びPP−2を含む試料は、220℃で6分間コンパウンドした。PMP−1を含む試料は280℃で6分間コンパウンドし、COC−1を含む試料は260℃で6分間コンパウンドした。すべての試料は、それらのコンパウンド温度で、0.6〜1.0ミリメートルのフィルムにホットプレスした。これらのレオロジー試料を、直径が25ミリメートルのディスクにダイカットした。試料ディスクを2枚のレオメータ平行プレート(31.5ミリメートルのアルミニウム製パン及び25ミリメートルの板)の中に取り付けた。動的せんだん粘度を、PP−1及びPP−2については180℃から350℃へ及び180℃へ戻し、COC−1については220℃から350℃へ及び220℃に戻し、並びにPMP−1試料については250℃から350℃へ及び250℃へ戻す温度走査で、1Hz(動的せんだん速度、6.28rad/sec)の周波数で測定した。また、一定の温度(300、320、330及び340℃)において、1Hzの周波数で15分間、時間に対する動的粘度を測定した。10分後の粘度のデータを選び、実施例及び比較実施例の粘度のデータとして使用し、表3に示した。
【0076】
濾過試験
試料を、% DOPエアゾール透過(% Pen)及び圧力低下(ΔP)について試験し、品質係数(QF)を計算した。不織マイクロファイバーウェブの濾過性能(% PEN及びQF)は、自動フィルタ試験機(AFT)型式8130(TSI,Inc.,St.Paul,MNから入手可能)を使用し、標準暴露用エアゾールとしてジオクチルフタレート(DOP)を使用して評価した。DOPエアゾールは、70〜120mg/mの上流側濃度を有する、名目単分散の、0.3マイクロメートル質量中央径である。エアゾールを、TSI AFT Model 8130エアゾール中和装置を停止させ、濾材試料を通して、42.5リットル/分の較正流量(6.9cm/秒の面速度)にて押し出した。総試験時間は23秒であった(立ち上がり時間15秒、サンプル時間4秒及びパージ時間4秒)。装置により、% Penと同時に、フィルタを通した圧力低下(ΔP mm水柱)を測定した。DOPエアゾールの濃度は、濾材の上流側と下流側の両方にて、較正した光度計を使用して、光散乱により測定した。DOPの% Penは、次のように定義される、% Pen=100×(DOP下流側濃度/DOP上流側濃度)。各材料について、BMFウェブ上の異なる箇所で6個の別個測定を行い、結果を平均した。
【0077】
% Pen及びΔPを使用して、次式
QF=−ln(% Pen/100)/ΔP、
(式中、lnは自然対数を表す)によりQFを計算した。より大きいQF値は濾過性能がより高いことを示し、低下したQF値は濾過性能の低下と有効な相関関係があることを示す。
【0078】
X線放電試験
X線照射への暴露に先だち、上述の試験方法を使用して、試験されるウェブの品質係数及び%透過を測定した。初期品質係数を「QF」と称する。試料ウェブの両面を以下に記述するシステムを使用して、試料全体が確実に均一にX線照射に暴露するように、X線暴露した。X線暴露後、再度そのフィルタ性能(QF及び% Pen)を測定するために、濾材試料を試験した。この手順を、試料の静電荷がすべて中和されたことを示す、フィルタ性能が平坦となるまで繰り返した。%透過比(% Pen比)も報告した。% Pen比は、0分及び60分における% Penから式を使用して計算した。式でlnは自然対数である。
【数3】

【0079】
X線暴露は、Baltograph 100/15 CP(Balteau Electric Corp.,Stamford,CT)の、定電圧端末接地発生装置、100KV、10mA定格、ベリリウム窓(0.75mm固有濾過)、1.5mm×1.5mmの焦点位置から50cmの位置において960レントゲン/minまでの出力、からなるX線暴露システムを使用して行った。電圧は80KVに設定し、対応する電流は8mAであった。試料ホルダーを、焦点の位置から約57.2センチメートル(22.5インチ)の距離にセットし、約580レントゲン/minの暴露を与えた。
【0080】
熱安定性分析:
各加工助剤の熱安定性は、TA Instruments,New Castle,Delawareから入手可能な熱重量分析器(TGA)型式2950を使用して測定した。約5〜10ミリグラムの材料をTGA内に配置し、空気雰囲気下で、室温から500℃まで、10℃/分の速度で加熱しながら、重量減を測定した。表Aは、2%の重量減が検出された温度、及び5%の重量減が検出された温度を載せている。
【0081】
【表2】

【0082】
実施例1〜20及び比較実施例C1〜C12
実施例及び比較実施例の各々について、下記の手順を続けた。これらの実施例のデータは、表1及び表2に示されている。
【0083】
サンプルの調製:
工程A−マイクロファイバーウェブの調製:
各実施例のウェブ1〜9について、添加剤をポリプロピレン又はポリ−4−メチル−1−ペンテンの1つの等級で表1に示した濃度で乾燥配合し、配合物をVan A.Wente,「Superfine Thermoplastic Fibers,」Industrial Engineering Chemistry,vol.48,pp.1342〜1346に記述されるように、押し出した。押出温度は約250℃〜300℃の範囲であり、押出成形機はBRABENDER円錘2軸スクリュー押出成形機(Brabender Instruments,Inc.から市販されている)であり、約2.5〜3kg/hr(5〜7lb/hr)の速度で操作した。ダイは、25.4センチメートル(10インチ)の幅であり、1センチメートル当たり10ホール(1インチ当たり25ホール)を有していた。約57g/mの坪量、約8.0マイクロメートルの有効繊維直径及び約1ミリメートルの厚さを有するメルトブローンマイクロファイバー(BMF)ウェブが形成された。同じように、各比較実施例C1〜C6に関し、BMFウェブを、対応の実施例ウェブのポリプロピレン又はポリ−4−メチル−1−ペンテンと同じ等級を使用して、添加剤を添加しないか又は添加剤−2を添加して調製した。表1は、実施例及び比較実施例のそれぞれについて、詳しいウェブの特性をまとめている。
【0084】
工程B−エレクトレットの調製:
上記の工程Aの実施例1〜10及びC1〜C6で調製したBMFウェブを、下記の帯電方法により帯電させた。
【0085】
帯電方法1:
上記の工程Aにおいて調製し、選択したBMFを、脱イオン水を使用するハイドロチャージングにより帯電させた。BMFウェブを、896キロパスカル(130psig)の圧力及び約1.4リットル/分の流速で操作しているノズルから発生する脱イオン水の微細噴霧を使用して、ハイドロチャージした。工程Aにて調製し選択したBMFウェブを、多孔質ベルトによって、約10cm/秒の速度で水噴霧を通過させて搬送しながら、同時にウェブを通して水を下方から減圧吸引した。各BMFウェブを、噴霧しながらハイドロチャージャに2回通し(各面を続けて)、次いで噴霧せず吸引のみですべての過剰の水を除去するために2回通した。フィルタの試験に先だち、ウェブを空気中で一晩完全に乾燥させた。
【0086】
フィルタ試験手順:
初期濾過性能:
上述の工程Bで調製した各帯電試料を1メートル切片に切断し、この切片を初期状態で% DOPエアゾール透過(% DOP Pen)及び圧力低下(ΔP)について試験し、品質係数(QF)を上述の試験方法で述べた方法により計算した。下記の表2に、% DOP Pen、圧力低下及びQFの結果を報告する。
【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
実施例21〜25及び比較実施例C13〜C16
下記の実施例及び比較実施例のそれぞれについて、試料の調製及び試験を述べた方法で、上述の粘度試験方法を使用して行った。データを表3に示す。
【0090】
【表5】

【0091】
実施例26及び比較実施例C17
実施例26については、上述の実施例10で調製したウェブ試料を、ハイドロチャージング(チャージン方法−1)を使用して帯電し、上述のX線放電試験方法に従いイオン化X線に暴露した。比較実施例C17については、実施例10で調製した試料ウェブを帯電させずに使用し、同様の試験を行った。データを表4に示す。
【0092】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む加工助剤とを含む、配合物を調製する工程と、
前記加工助剤及び前記熱可塑性樹脂の前記配合物の溶融粘度が、前記加工助剤を含まない前記熱可塑性樹脂の前記溶融粘度より低い、前記配合物のホットメルト混合工程と、
前記ホットメルト配合物からウェブを形成する工程と、
を含む、ウェブの調製方法。
【請求項2】
ウェブの形成が、不織繊維ウェブの形成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウェブの形成が、前記ホットメルト配合物をメルトブローし、マイクロファイバーウェブを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加工助剤が、式の反復単位を100反復単位まで含む
【化1】


(式中、前記基Rが、ヒンダードアミン基を含み、
前記基R及びRが、独立して、他のスクシンイミド環又はアルキル末端基に連結するアルキレン又は置換アルキレン連結基を含み、
前記基R及びRが、独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は置換アリールを含む材料を含む)、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加工助剤が、式の材料を含む
【化2】


(式中、nが約5〜7の数である)、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加工助剤が、前記配合物の0.1〜5.0重量%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
250℃以上の温度で、前記配合物の前記溶融粘度が、前記加工助剤を含まない前記熱可塑性樹脂の前記溶融粘度より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレンを含み、290℃以上の温度で前記配合物の前記溶融粘度が、前記加工助剤を含まない前記熱可塑性樹脂の前記溶融粘度より低い、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性樹脂と、ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む加工助剤とを含む、配合物を調製する工程と、
前記配合物をホットメルト混合する工程と、
前記ホットメルト配合物からウェブを形成する工程と、
前記ウェブを静電帯電させる工程と、
を含む、エレクトレットウェブの調製方法。
【請求項11】
ウェブの形成が、マイクロファイバーウェブを形成するために、前記ホットメルト配合物をメルトブローすることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加工助剤が、式の材料を含む
【化3】


(式中、前記基Rが、ヒンダードアミン基を含み、
前記基R及びRが、独立して、他のスクシンイミド環又はアルキル末端基に連結するアルキレン又は置換アルキレン連結基を含み、
前記基R及びR基が、独立して、水素原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、置換アルキル又は置換アリールを含む、前記材料が100繰り返し単位までを含む)、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記加工助剤が、式の材料を含む
【化4】


(式中、nが約5〜7の数である)、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂が、
ポリエチレン、ポリプロピレン系ポリマー、ポリ環式オレフィン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレン及び4−メチル−1−ペンテンのコポリマー又はこれらの混合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記加工助剤が、前記配合物の0.1〜5.0重量%を構成する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェブの静電気的帯電が、摩擦帯電、DCコロナ処理、ハイドロチャージング又はこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記帯電ウェブが、前記加工助剤を加えずに調製された類似のウェブと比較して、QFによって評価される、より高いフィルタ性能を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記ウェブが、毎秒6.9センチメートルの面速度において、QFによって評価される、0.3(mmHO)−1以上のフィルタ性能を示すために十分な静電荷を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
形成された前記エレクトレットウェブが、
呼吸用マスクフィルタ、室内換気システムフィルタ、車両換気システム
フィルタ、空調装置フィルタ、炉フィルタ、室内空気清浄機フィルタ、真空掃除機フィルタ又はコンピュータディスクドライブフィルタを構成する濾材を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンを含み、290℃で前記配合物の前記溶融粘度が、前記加工助剤を含まない前記熱可塑性樹脂の前記溶融粘度より低い、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
熱可塑性樹脂と、
ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む帯電強化添加剤と、
の配合物を含む、不織マイクロファイバーウェブを含む、エレクトレット濾材。
【請求項23】
前記不織マイクロファイバーウェブがポリオレフィンを含む、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項24】
前記不織マイクロファイバーウェブが、
ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレンと4−メチル−1−ペンテンとのコポリマー又はこれらの混合を含む、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項25】
ヒンダードアミンN−置換スクシンイミドオリゴマーを含む前記帯電強化添加剤が、前記ウェブの0.1〜5.0重量%を構成する、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項26】
前記ウェブが電荷を含み、前記電荷が摩擦帯電、ハイドロチャージング、DCコロナ処理又はこれらの組み合わせによって付与される、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項27】
前記ウェブが、毎秒6.9センチメートルの面速度において、QFによって評価される、0.3(mmHO)−1以上のフィルタ性能を示すのに十分な静電荷を有する、請求項26に記載のエレクトレット濾材。
【請求項28】
前記濾材が、
呼吸用マスクフィルタ、室内換気システムフィルタ、車両換気システム
フィルタ、空調装置フィルタ、炉フィルタ、室内空気清浄機フィルタ、真空掃除機フィルタ又はコンピュータディスクドライブフィルタを構成する、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項29】
人工呼吸器アセンブリと組み合わされた前記濾材が、ヒトが使用するように設計された人工呼吸器デバイスの構成要素である、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項30】
前記濾材が、前記X線放電試験によって試験される時に、毎秒6.9センチメートルの面速度において、少なくとも300%の%透過比を有する、請求項22に記載のエレクトレット濾材。
【請求項31】
前記濾材が前記X線放電試験よって試験される時に、毎秒6.9センチメートルの面速度において、少なくとも0.3(mmHO)−1の初期品質係数を有し、60分のX線暴露後において前記初期品質係数の50%未満の品質係数を有する、請求項22に記載のエレクトレット濾材。

【公表番号】特表2012−522909(P2012−522909A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503595(P2012−503595)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029157
【国際公開番号】WO2010/114820
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】