説明

エレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサ

【課題】無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができるエレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサを提供すること。
【解決手段】シリコンマイクロホン100は、背面電極基板200と、背面電極基板200に対向配置された可動電極基板300と、背面電極基板200と可動電極基板300との間に設けられた絶縁体400とを備え、背面電極基板200は、シリコン基板201と、シリコン基板201に形成された貫通孔204と、貫通孔204を避けるようパターニングされて形成された凹部に埋め込まれたシリコン酸化膜202と、シリコン基板201及びシリコン酸化膜202の表面を覆うように形成されたシリコン窒化膜203と、電極205とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体を用いて形成されるエレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン等の無機材料を用いて半導体微細加工技術によって製作されるシリコンマイクロホン、圧力センサ、加速度センサ等の半導体静電容量型センサが実用化されている。これらのセンサは、圧力や加速度等の物理量を受けて変位する可動電極と対向電極とを含み、両電極間に一定の電荷を蓄積させた状態で動作する。圧力等の物理量を受けて可動電極が変位すると、可動電極と対向電極との距離が変わることで、両電極間の静電容量が変化する。両電極間に蓄積された電荷は一定に保たれているため、静電容量変化は両電極間の電圧変化として検出される。
【0003】
このような半導体静電容量型センサでは、従来、電荷を蓄積させるために両電極間に外部からバイアス電圧を印加する方式が主流であったが、近年では酸化シリコン等、半導体微細加工技術で加工可能な無機エレクトレット部材を組み込み、これに電荷を蓄積させる構造のセンサが発表されている。これらエレクトレット型のセンサは外部からのバイアス電圧が不要であるため、センサ全体の小型化や簡素化が可能となる等の利点を有する。
【0004】
ところで、酸化シリコン等の半導体微細加工技術で加工可能な無機エレクトレット部材には、湿度の影響により蓄積された電荷が放電してしまうという問題がある。このため、無機エレクトレット部材(例えばシリコン酸化膜)が直接外気(湿気)に触れないように、窒化シリコン等の保護膜で覆うことが一般的である。その際、無機エレクトレット部材の側面を保護膜で覆いやすくする、すなわち、ステップカバレッジ(Step Coverage:段差被覆性)を改善するために、無機エレクトレット部材の上端部を丸く形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示された従来のエレクトレット構造を図7に示す。図7に示すように、従来のものは、絶縁膜1上に無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜2が形成されている。また、このシリコン酸化膜2を覆うように絶縁膜3が形成されている。特許文献1によれば、シリコン酸化膜2の上端部2aを図示のように丸く形成することで絶縁膜3のステップカバレッジを改善し、シリコン酸化膜2に対する耐湿性を高くすることができるとしている。
【0006】
ところで、シリコン酸化膜の厚さを厚くすることによりシリコン酸化膜に蓄積される電荷による蓄積電圧を大きくすることが可能であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1には、シリコン酸化膜を保護するシリコン窒化膜の厚さ100nmに対して、シリコン酸化膜の厚さを500nmから600nmに厚くするに従い、蓄積電圧が高くなることが記載されている。そこで、蓄積電圧を高めるため、実用上はシリコン窒化膜の数倍の厚さのシリコン酸化膜が用いられることがある。
【特許文献1】特開2006−245398号公報
【非特許文献1】V. Leonov 他, "Stabilization of positive charge in SiO2/Si3N4 electrets", IEEE Transactions on Dielectric and Electrical Insulation誌, vol.13, No.5, pp.1049-1056, October 2006.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示された従来のエレクトレット構造では、図7に示すように、無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜2の側面2bが絶縁膜1に対して垂直となっているので、ステップカバレッジの改善が限定的であり、特に、蓄積電圧を高めるためにシリコン酸化膜の厚さを厚くしようとするとステップカバレッジの改善効果が期待できず、シリコン酸化膜に対する耐湿性が確保できないという課題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができるエレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレクトレット構造は、凹部が形成された第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板と、前記凹部の底面から前記第1の面の位置までの前記凹部内に埋め込まれた無機エレクトレット部材と、前記第1の面及び前記無機エレクトレット部材の表面を保護する保護膜と、前記第2の面上に形成された電極とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明のエレクトレット構造は、無機エレクトレット部材が、保護膜によって外気に触れないよう保護されるので、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【0011】
また、本発明のエレクトレット構造は、凹部が形成された第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板と、前記凹部の底面から前記第1の面の位置を超える予め定めた位置まで埋め込まれた無機エレクトレット部材と、前記第1の面及び前記無機エレクトレット部材の表面を保護する保護膜と、前記第2の面上に形成された電極とを備え、前記無機エレクトレット部材は、前記シリコン基板の厚さ方向において前記凹部の開口の中央から端に向かって次第に薄くなるようバーズビーク状に形成されている構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明のエレクトレット構造は、無機エレクトレット部材が、バーズビーク状の形状を含む保護膜によって外気に触れないよう保護されるので、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【0013】
また、このバーズビーク状のエレクトレット構造の場合には、従来からあるバーズビーク状半導体部品の製造ラインを利用することができる。
【0014】
さらに、本発明のエレクトレット構造は、前記凹部の開口が設けられた前記第1の面上の領域とは異なる領域から前記第2の面に貫通する少なくとも1つの貫通孔を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明のエレクトレット構造は、無機エレクトレット部材の耐湿性を確実に確保するとともに、第1の面側から印加圧力(空気の振動)が加わった場合でも、貫通孔を通して空気を逃がすことができ、エレクトレット構造が変位しないようにできる。
【0016】
本発明のエレクトレット型静電容量センサは、エレクトレット構造を有する背面電極基板と、該背面電極基板に対向配置され印加圧力に応じて変位する可動電極基板とを備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明のエレクトレット型静電容量センサは、背面電極基板の無機エレクトレット部材が、保護膜によって外気に触れないよう保護されるので、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【0018】
本発明のエレクトレット構造の形成方法は、第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板に無機エレクトレット部材を形成するエレクトレット構造の形成方法であって、前記シリコン基板の前記第1の面に凹部を形成する工程と、前記無機エレクトレット部材を前記凹部に形成する工程と、前記第1の面と前記無機エレクトレット部材の表面とを平坦化する工程と、平坦化した第1の面及び無機エレクトレット部材の表面に保護膜を形成する工程と、前記第2の面上に電極を形成する工程とを含む構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明のエレクトレット構造の形成方法は、無機エレクトレット部材が、保護膜によって外気に触れないよう保護されるので、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができるという効果を有するエレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明のエレクトレット型静電容量センサをシリコンマイクロホンに適用する例を挙げて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態におけるシリコンマイクロホンの構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態におけるシリコンマイクロホンの構成を概念的に示す断面概念図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態におけるシリコンマイクロホン100は、無機エレクトレット部材を含む背面電極基板200と、背面電極基板200と対向配置された可動電極基板300と、背面電極基板200と可動電極基板300との間に設けられた絶縁体400とを備えている。
【0024】
背面電極基板200は、シリコン基板201と、シリコン酸化膜202と、シリコン窒化膜203と、貫通孔204と、外部回路(図示省略)に接続される電極205とを備えている。なお、背面電極基板200の詳細な構成については後述する。また、以下の説明において、シリコン窒化膜203がある側を「表面」、電極205がある側を「裏面」という。
【0025】
可動電極基板300は、シリコン基板301と、シリコン基板301に形成された可動電極膜302と、可動電極膜302上に形成された接続用端子303とを備えている。
【0026】
可動電極膜302は、例えば不純物をドープしたシリコンからなる導電性の薄膜で構成され、音波による音圧変化に応じて変位するようになっている。
【0027】
接続用端子303は、例えばアルミニウム膜で構成され、電極205と同様に外部回路に接続されるものである。
【0028】
絶縁体400は、例えばガラスやセラミックスで構成され、背面電極基板200と可動電極基板300との間隔を所定の寸法に保持するようになっている。
【0029】
前述のように構成されたシリコンマイクロホン100は、音波に応じて可動電極膜302が変位することにより背面電極基板200と可動電極基板300との間の静電容量が変化し、電荷が一定であることから電極205及び303に接続された外部回路においてこの静電容量の変化が電圧の変化として検出され、音波が電気信号に変換されるようになっている。
【0030】
次に、背面電極基板200の詳細な構成について図2を用いて説明する。図2(a)は、本実施の形態における背面電極基板200の断面概念図、図2(b)は、背面電極基板200の平面概念図である。なお、図2(a)は、図2(b)に示すA−A断面における断面概念図であり、図2(b)は、図2(a)に示すB方向から見た平面概念図である。
【0031】
図2に示すように、本実施の形態における背面電極基板200は、シリコン基板201と、無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜202と、保護膜としてのシリコン窒化膜203と、貫通孔204と、電極205とを備えている。
【0032】
シリコン基板201には、貫通孔204を避けるようパターニングされて形成された凹部201aが設けられ、凹部201aには側面201bが形成されている。無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜202は、この凹部201aに埋め込まれて形成されている。
【0033】
シリコン窒化膜203は、段差無く形成された、シリコン基板201の表面201cとシリコン酸化膜202の表面202aとを覆うように形成されている。なお、シリコン窒化膜203に代わる保護膜として、例えばアルミニウム酸化膜やフッ素樹脂膜等を用いてもよい。
【0034】
前述の構成により、シリコン酸化膜202の側面は、シリコン基板201に設けられた凹部201aの側面201bに保護される。また、シリコン基板201の表面201cと、シリコン酸化膜202の表面202aとには段差がないので、シリコン窒化膜203によってシリコン酸化膜202の表面202aを確実に保護することができる。
【0035】
すなわち、本実施の形態における背面電極基板200は、従来のものとは異なり、シリコン酸化膜202を厚くしてもステップカバレッジの問題が発生せず、耐湿性の高いエレクトレット構造を有するものである。
【0036】
次に、本実施の形態における背面電極基板200の製造方法について図3〜図5を用いて説明する。
【0037】
まず、シリコン基板201の表面及び裏面にそれぞれ例えば熱酸化法によってシリコン酸化膜11を形成する(図3(a))。このシリコン酸化膜11は、後工程においてシリコン基板201に凹部201aを形成するためのマスク膜である。
【0038】
続いて、シリコン基板201の表面及び裏面にそれぞれフォトレジスト12を塗布し、フォトリソグラフィ法により、シリコン基板201の表面に開口部12aを形成する(図3(b))。
【0039】
さらに、開口部12aからシリコン酸化膜11をエッチングした後、フォトレジスト12を除去する。これによりシリコン基板201の表面201cに開口部11aが形成される(図3(c))。
【0040】
次に、開口部11aからシリコン基板201をエッチングし、凹部201aを形成する。例えば、シリコン基板201が単結晶シリコンである場合、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のエッチング液を使ってエッチングすると、凹部201aの側面201bは斜めに形成される(図3(d))。
【0041】
引き続き、エッチングによりシリコン基板201の表面及び裏面にそれぞれに形成したシリコン酸化膜11を除去する(図4(e))。
【0042】
次に、熱酸化法等を用いて、無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜202を形成する。シリコン酸化膜202の厚さは、凹部201aの深さより厚くしておくことが望ましい。なお、熱酸化法でシリコン酸化膜202を形成する場合、シリコン基板201の裏面にもシリコン酸化膜13が形成される(図4(f))。
【0043】
続いて、シリコン酸化膜202とシリコン基板201の表面201cとの段差が無くなるように、シリコン基板201の表面側を研磨する(図4(g))。
【0044】
さらに、シリコン基板201の表面201cをフォトレジスト(図示せず)で保護して、シリコン基板201の裏面に形成されたシリコン酸化膜13をエッチングして除去する。フォトレジストはシリコン酸化膜13をエッチングした後に除去する(図4(h))。
【0045】
また、シリコン基板201の両面に化学気相成長法等でシリコン窒化膜203及び14を形成する(図4(i))。
【0046】
次に、シリコン基板201の表面及び裏面にそれぞれフォトレジスト15を塗布し、フォトリソグラフィ法により、シリコン基板201の裏面に開口部15aを形成する(図5(j))。
【0047】
さらに、開口部15aからシリコン窒化膜203をエッチングし、続いて、フォトレジスト15を除去する。これによりシリコン基板201の裏面に開口部14aが形成される(図5(k))。
【0048】
また、開口部14aからシリコン基板201をエッチングし、開口部201dを形成する。例えば、シリコン基板201が単結晶シリコンの場合、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のエッチング液を使ってエッチングすると、開口部201dの側面201eは図示のように斜めに形成される(図5(l))。
【0049】
次に、例えばドライエッチング法を用いて、シリコン基板201の裏面からシリコン窒化膜14を除去する。このとき、開口部201dの底のシリコン窒化膜203(図5(l)参照)も同時にエッチングされ貫通孔204が形成される(図5(m))。
【0050】
そして、シリコン基板201の裏面にスパッタ法等で電極205を形成することで、本発明のエレクトレット構造を有する背面電極基板200が得られる(図5(n))。
【0051】
この後、背面電極基板200のシリコン窒化膜203側から、図示しないメッシュを通して針電極よりコロナ放電を行い、電荷を蓄積して背面電極基板200が完成する。
【0052】
次に、本実施の形態に係るシリコンマイクロホン100の可動電極基板300は公知の製造方法で製作することができる。この後、背面電極基板200と可動電極基板300との間に絶縁体400を設けて接合することによってシリコンマイクロホン100が得られる。
【0053】
以上のように、本実施の形態におけるシリコンマイクロホン100によれば、シリコン基板201の表面201cと、無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜202の表面202aとを段差無くシリコン窒化膜203で保護するとともに、シリコン酸化膜202が形成されていない領域に貫通孔204を形成する構成としたので、シリコン酸化膜202は外気に触れないこととなる。したがって、本実施の形態におけるシリコンマイクロホン100は、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【0054】
なお、前述の実施の形態において、本発明のエレクトレット型静電容量センサをシリコンマイクロホン100に適用する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、音波以外の圧力や加速度等に応じて可動電極が変位するものに適用することができる。
【0055】
(第2の実施の形態)
本実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面基板を図6に示す。図6(a)は、図6(b)に示すA−A断面における断面概念図であり、図6(b)は、図6(a)に示すB方向から見た平面概念図である。また、図6(c)は、図6(a)におけるC部を拡大した断面概念図である。
【0056】
図6に示すように、本実施の形態における背面電極基板500は、第1の実施の形態における背面電極基板200(図2参照)に対し、C部の構成が異なっている。なお、第1の実施の形態における背面電極基板200と同様な構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
本実施の形態におけるシリコン酸化膜202は、その一部がシリコン基板201の凹部201aに埋め込まれ、シリコン基板201の表面201cから予め定めた位置まで盛り上がった形状で形成されている。そして、シリコン酸化膜202の端部202cはバーズビーク(鳥のくちばし)状に形成されている。また、シリコン窒化膜203は、シリコン基板201の表面201cと、シリコン酸化膜202の表面202aとを覆うように形成されている。
【0058】
本実施の形態における背面電極基板500は、前述のように構成されているので、シリコン酸化膜202の表面202aとシリコン基板201の表面201cとが、段差無く、緩やかに接続されるため、シリコン酸化膜202の厚さに関わらず、シリコン酸化膜202の表面202aをシリコン窒化膜203で確実に保護することができ、耐湿性の高いエレクトレット構造を有するものとなる。
【0059】
なお、バーズビーク形状の断面をもつシリコン酸化膜202をシリコン基板201に一部埋め込んで形成するには、例えば既に確立している半導体製造技術であるLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon:選択酸化法)プロセスを用いることができる。このLOCOSプロセスは公知であるので、背面電極基板500の製造方法の説明を省略する。
【0060】
以上のように、本実施の形態におけるシリコンマイクロホンによれば、無機エレクトレット部材であるシリコン酸化膜202を、バーズビーク状の形状を有するシリコン窒化膜203で保護する構成としたので、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明に係るエレクトレット構造及びその形成方法並びにエレクトレット型静電容量センサは、無機エレクトレット部材の厚さに関わらず、その耐湿性を確実に確保することができるという効果を有し、シリコンマイクロホン、圧力センサ、加速度センサ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの構成を示す断面概念図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面電極基板の構成を示す概念図 (a)背面電極基板の断面概念図 (b)背面電極基板の平面概念図
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面電極基板の製造工程を示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面電極基板の製造工程を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面電極基板の製造工程を示す図
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるシリコンマイクロホンの背面電極基板の構成を示す概念図 (a)背面電極基板の断面概念図 (b)背面電極基板の平面概念図
【図7】従来のエレクトレット構造を示す断面図
【符号の説明】
【0063】
11 シリコン酸化膜
11a シリコン酸化膜の開口部
12 フォトレジスト
12a フォトレジストの開口部
13 シリコン酸化膜
14 シリコン窒化膜
14a シリコン窒化膜の開口部
15 フォトレジスト
15a フォトレジストの開口部
100 シリコンマイクロホン
200 背面電極基板
201 シリコン基板
201a シリコン基板の凹部
201b 凹部の側面
201c シリコン基板の表面
201d シリコン基板の開口部
201e 開口部の側面
202 シリコン酸化膜(無機エレクトレット部材)
202a シリコン酸化膜の表面
202b シリコン酸化膜の側面
202c シリコン酸化膜の端部
203 シリコン窒化膜(保護膜)
204 貫通孔
205 電極
300 可動電極基板
301 シリコン基板
302 可動電極膜
303 接続用端子
400 絶縁体
500 背面電極基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板と、前記凹部の底面から前記第1の面の位置までの前記凹部内に埋め込まれた無機エレクトレット部材と、前記第1の面及び前記無機エレクトレット部材の表面を保護する保護膜と、前記第2の面上に形成された電極とを備えたことを特徴とするエレクトレット構造。
【請求項2】
凹部が形成された第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板と、前記凹部の底面から前記第1の面の位置を超える予め定めた位置まで埋め込まれた無機エレクトレット部材と、前記第1の面及び前記無機エレクトレット部材の表面を保護する保護膜と、前記第2の面上に形成された電極とを備え、
前記無機エレクトレット部材は、前記シリコン基板の厚さ方向において前記凹部の開口の中央から端に向かって次第に薄くなるようバーズビーク状に形成されていることを特徴とするエレクトレット構造。
【請求項3】
前記凹部の開口が設けられた前記第1の面上の領域とは異なる領域から前記第2の面に貫通する少なくとも1つの貫通孔を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレクトレット構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエレクトレット構造を有する背面電極基板と、該背面電極基板に対向配置され印加圧力に応じて変位する可動電極基板とを備えたことを特徴とするエレクトレット型静電容量センサ。
【請求項5】
第1の面及び該第1の面とは反対側の第2の面を有するシリコン基板に無機エレクトレット部材を形成するエレクトレット構造の形成方法であって、
前記シリコン基板の前記第1の面に凹部を形成する工程と、前記無機エレクトレット部材を前記凹部に形成する工程と、前記第1の面と前記無機エレクトレット部材の表面とを平坦化する工程と、平坦化した第1の面及び無機エレクトレット部材の表面に保護膜を形成する工程と、前記第2の面上に電極を形成する工程とを含むエレクトレット構造の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−164539(P2009−164539A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3314(P2008−3314)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(000173728)財団法人小林理学研究所 (15)
【出願人】(000115636)リオン株式会社 (128)