説明

エレクトロクロミック化合物

【課題】先行技術の不利を回避または最小化する。
【解決手段】一般式V


のエレクトロクロミック化合物に関する。これらの化合物は、エレクトロクロミックデバイス、特に、ナノ構造化フィルムを含むエレクトロクロミックデバイスに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエレクトロクロミック化合物に関する。これらの化合物は、使用者の要求に応じて色を変更できる電気ウインドウ、電気ディスプレイおよび他の光学デバイスのごときエレクトロクロミックデバイスに有用である。特に、該化合物をナノ構造化したフィルムを含むエレクトロクロミックデバイスに用いることもできる。
【背景技術】
【0002】
ビオロゲン化合物、すなわち、ジピリジウム基を有し、かつ可逆性の還元/配色が可能である化合物は、エレクトロクロミックデバイスに広範囲に用いられている。しかしながら、通常のビオロゲン−ベースの系において、ビオロゲンの並列のオーバーラップのために二量体が形成し、それによって該エレクトロクロミックデバイスにおける効率的な脱色を抑制し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術の不利を回避または最小化することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、一般式I:
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、Rは、−(CH−(式中、mは0もしくは1〜10の整数である);または14個以下の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール;または分岐鎖アルキルもしくはアルケニル、またはシクロアルキル、各々は10個以下の炭素原子を有し;該アリール、ヘテロアリール、分岐鎖アルキル、分岐鎖アルケニルまたはシクロアルキル基は、所望により−(CH−結合を介して−P(O)(OH)基に結合していてもよく、ここに、nは0または1〜10の整数;該アリール、ヘテロアリール、分岐鎖アルキル、分岐鎖アルケニルまたはシクロアルキル基は、所望により、同一または異なっていてもよい1以上の以下の置換基:低級アルキル、低級アルケニル、フェニル−低級アルキル、ジフェニル−低級アルキル、フェニル、フェノキシ、低級アルカノイルオキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、フェニルアミノ、低級アルカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ;低級アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、低級アルカノイル、ベンゾイル、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、ウレイド、N−低級アルキルウレイド、低級アルキルスルホニル;フェニルスルホニル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、カルボキシまたは低級アルコキシカルボニルにより置換された低級アルキル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、カルボキシまたは低級アルコキシカルボニルにより置換された低級アルコキシ;C−C−アルコキシ;および/または二価のメチレンジオキシにより置換されていてもよく;全ての該フェニル基自体または(ベンゾイル、フェニルアミノ等のごとき)構成基(composed radicals)における全てのフェニル基は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよび/またはニトロにより置換されていなくてもまたは置換されていてもよく;および
は、R{式中、Rは−(CHp−(式中、pは0または1〜10の整数である)であって;
は−P(O)(OH);または14個以下の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール;または分岐鎖のアルキルもしくはアルケニル、またはシクロアルキル、これらの各々は10個以下の炭素原子を有し、該アリール、ヘテロアリール、分岐鎖アルキル、分岐鎖アルケニルまたはシクロアルキル基は、Rの定義において与えられた1以上の置換基により置換されていなくともまたは置換されていてもよい};および
は、電荷平衡イオン(charge−balancing ion);
但し、Rが−(CH−P(O)(OH)である場合、Rは−(CH−(式中、mは2または3である)ではなく;およびRがフェニルである場合、Rは−(CH−(式中、mは2である)ではない]
で表される化合物が提供される。
【0007】
また、本発明は、式Iの化合物の製法、該化合物を含むエレクトロクロミックデバイス、およびエレクトロクロミックデバイスの製造におけるそれらの使用を提供する。
【0008】
本発明は、さらに、式Iの化合物の調製に有用である中間体化合物を提供し、該中間体化合物は、一般式V:
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、Rは、但し書きが除かれる以外は式Iにおける定義に同じであり、各Rは、同一または異なってもよいエステル形成(ester forming)基であって、各X'は独立してハロゲンである]を有する。式Vの化合物はエレクトロクロミック特性を有し、エレクトロクロミックデバイスに用いてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に用いた一般的な定義は、本発明の範囲内の以下の意味を有する。
【0012】
「低級」なる用語は、そのように定義された基が、好ましくは、7個以下の炭素原子、特に、4個以下の炭素原子を有することを意味する。
【0013】
低級アルキル自体、または低級アルコキシ等のごとき構成された基における低級アルキルは、例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec.−ブチル、tert.−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルまたはn−ヘプチル、好ましくは、エチルであって、特に、メチルである。
【0014】
ハロゲンにより置換された低級アルキルは、好ましくは、トリフルオロメチルである。
【0015】
低級アルカノイル自体、または低級アルカノイルオキシ等のごとき構成された基における低級アルカノイルは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、ピバロイルまたはバレロイルである。
【0016】
ハロゲンは、好ましくは、クロロまたはフルオロであるが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0017】
フェニルスルホニルアミノは、基−NHSOを意味し、低級アルキルスルホニルは−SO−低級アルキルである。
【0018】
ウレイドおよび低級アルキルウレイドは、各々、基 −NH−CONH および−NH−CONHAlk(3−アルキルウレイド)または−NAlk−CONH(1−アルキルウレイド)[式中、Alkは低級アルキルである]を表す。
【0019】
ヒドロキシ、エポキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノまたはハロゲンにより置換された低級アルコキシ基において、前記の置換基は、通常、少なくとも2つの炭素原子により低級アルコキシ中のオキシ基から分離している。
【0020】
適当なアリール基には、アントリル、フェナントリル、フェニルおよびナフチルが含まれる。フェニルおよびナフチルが好ましい。
【0021】
ヘテロアリール基は、O、NまたはSから選択される同一または異なっていてもよい4個以下のヘテロ原子を有し得る。適当なヘテロアリール基には、ベンゾフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリル、ナフチリジニル、キノキサリニルおよびフェノキサジニルが含まれる。
【0022】
式Iの化合物[式中、Rは、−(CH−(式中、mは1、2もしくは3である);またはフェニル環のパラ位にて−(CH−(式中、nは1または2である)を介して−P(O)(OH)基に結合しているフェニルであり;Rは、R{式中、Rは、−(CHp−(式中、pは0、1、2または3である)であって、Rは、置換されていないフェニルもしくはナフチル、またはC1−4−アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、フェノキシもしくはベンゾイルによりモノ−、ジ−もしくはトリ−置換されたフェニルまたはナフチルである};およびXはCl、Br、ClO PF、BF、CNOもしくはCFSO、特に、ClもしくはPFである]が好ましい。
【0023】
また、式Iの化合物[式中、Rは、フェニル環のパラ位にて−(CH−(式中、nは1または2である)を介して−P(O)(OH)基に結合しているフェニルであり;Rは、R{式中、Rは、−(CHp−(式中、pは0、1、2または3である)であって、Rは−P(O)(OH)である};およびX は、Cl、Br、ClO PF、BF、CNOもしくはCFSO、特に、ClもしくはPFである]が好ましい。
【0024】
以下の式Iの化合物:
(1) 1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(2) 1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート;
(3) 1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(4) 1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート;
(5) 1−ホスホノエチル−1'−(ナフチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(6) 1−ホスホノエチル−1'−(4−シアノナフチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(7) 1−ホスホノエチル−1'−(4−メチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(8) 1−ホスホノエチル−1'−(4−シアノフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(9) 1−ホスホノエチル−1'−(4−フルオロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(10) 1−ホスホノエチル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
【0025】
(11) 1−ホスホノエチル−1'−(4−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(12) 1−ホスホノエチル−1'−(2,6−ジメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(13) 1−ホスホノエチル−1'−(3,5−ジメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(14) 1−ホスホノエチル−1'−(4−ベンゾフェノン)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(15) 1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(16) 1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート;
(17) 1−ホスホノベンジル−1'−(ホスホノエチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(18) 1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(19) 1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート;
(20) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'− ビピリジニウムジクロリド;
【0026】
(21) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート;
(22) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−フルオロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(23) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−メチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(24) 1−ホスホノベンジル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(25) 1−ホスホノベンジル−1'−ベンジル−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(26) 1−ホスホノベンジル−1'−ナフチル−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(27) 1−ホスホノベンジル−1'−フェニル−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(28) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−シアノフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(29) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−ベンゾフェノン)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(30) 1−ホスホノベンジル−1'−(4−シアノナフチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
【0027】
(31) 1−ホスホノベンジル−1'−(2,6−ジメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;
(32) 1−ホスホノベンジル−1'−(3,5−ジメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド;および
(33) 1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム トリフルオロメタンスルホンイミド
が特に好ましい。
【0028】
式Vの化合物[式中、各Rは独立して、メチルもしくはエチル;Rは、−(CH−(式中、mは1、2もしくは3である)、またはフェニル環のパラ位にて−(CH−(式中、nは1または2である)を介して−P(O)(OR基に結合しているフェニルであって;各X'は独立して、BrもしくはClである]が好ましい。
【0029】
好ましい式Vの化合物は、1−ジエチルベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドである。
【0030】
式Iの該化合物は、
(a)適当な場合、式II:
【0031】
【化3】

【0032】
のピリジンと、1−ハロ−2,4−ジニトロベンゼンとを反応させて、
式III:
【0033】
【化4】

【0034】
の化合物を形成し;
(b)式IIもしくはIIIの化合物と式Y−R−P(O)(OR)のホスホニル化剤とを反応させて、式IV:
【0035】
【化5】

【0036】
の化合物を形成し;
(c)適当な場合、式IVの化合物と1−ハロ−2,4−ジニトロベンゼンとを反応させて、式V:
【0037】
【化6】

【0038】
の化合物を形成し;
(d)式IVもしくはVの化合物と、式R−Yの化合物とを反応させて、式VI:
【0039】
【化7】

【0040】
の化合物を形成し;
(e)式VIの化合物を加水分解して、式I’:
【0041】
【化8】

【0042】
の化合物を形成し、次いで、適当な場合、
(f) 式I’の化合物を式I:
【0043】
【化9】

【0044】
の化合物に変換することにより調製でき、
ここに、前記の式において、各Rは、同一もしくは異なってもよいエステル形成(ester forming)基であり、Yは、ハロゲンもしくはアミノ、X'はハロゲン、好ましくは、BrもしくはCl、およびR、RおよびXは既に定義されたものと同一である。
【0045】
前記工程の工程(a)は、式Iの化合物[式中、Rは、−(CH−以外である]が必要な場合だけ行い;工程(c)は、式Iの化合物のRが、−(CHp− P(O)(OH)以外である場合にだけ行う。工程(a)および(c)に用いた1−ハロ−2,4−ジニトロベンゼンは、好ましくは、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンである。
【0046】
工程(b)に用いたホスホニル化剤は、好ましくは、ジエチルブロモエチルホスホネートのごときジアルキルハロアルキルホスホネート類、およびジエチル−4−アミノベンジル ホスホネートもしくはジエチル−4−アミノナフチル ホスホネートのごときジアルキル−4−アミノアリールもしくは置換アリールホスホネート類である。
【0047】
工程(d)に用いた式R−Yの適当な試薬は、ブロモプロピルベンゼンのごときハロアルキルベンゼン類、およびアニリンもしくは置換アニリン類である。
【0048】
反応工程(a)〜(d)は、一般的に、適当な溶媒中で還流温度にて行われる。好ましい溶媒には、トルエン、アセトニロリルおよびエタノールが含まれる。
【0049】
加水分解工程(e)は、典型的には、塩酸もしくは臭化水素酸の溶液中で行われる。
【0050】
工程(f)は、式Iの化合物[式中、XはBrもしくはCl以外である]が必要な場合に行う。X'のXへの変換は、水溶液中で式I'の化合物と所望の平衡イオンの塩とを反応させることにより達成される。X'のXへの変換は、より広範囲の溶媒中での該発色団(chromophore)のより高い安定性およびより大きな溶解性を与えることができ、その結果、エレクトロクロミックデバイス中のあまり高濃度はでない溶液の使用がその後のコストを低減させる。
【0051】
該式Iの化合物は、エレクトロクロミックデバイス、特に、ナノ構造化フィルムを含むものの効率を改善する。式Iの該化合物は、複数の色を提供でき、緑色についての安定性を増強し、それは従前には達成されていなかった。
【実施例】
【0052】
本発明は、以下の実施例において例示される。
【0053】
実施例1
1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド (化合物1)の合成
(i)1−ジエチル エチルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムブロミドの合成
1L 丸底フラスコにおけるトルエン(500ml)中の4,4'−ビピリジン(100g、0.64モル)およびジエチル ブロモエチルホスホネート(157g、0.64モル)をモノカチオン塩の固体沈殿物が形成されるまで還流した。沈殿物を加熱濾過した。濾液を再度還流し、さらに固体が形成されなくなるまでこの工程を繰り返した。95gの収量のモノカチオンを得た。
【0054】
(ii)1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジブロミドの合成
1−ジエチル エチルホスホネート−4,4'−ビピリジニウム ブロミド(0.005モル)をアセトニロリル(60ml)中の1−ブロモ−3−フェニルプロパン(0.075モル)に添加し、次いで、24時間撹拌しつつ還流した。得られた沈殿物を濾過し、熱アセトニロリルで洗浄し、次いで真空下で乾燥して1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジブロミドを得た。
【0055】
(iii)1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジブロミドを50%塩酸溶液(60ml)に添加し、次いで、撹拌しつつ24時間還流させた. 溶媒を真空下で除去し、該化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドを得た。この化合物は還元状態下で紫色である。
【0056】
H NMR(CDCN):δ 2.33−2.46(m,4H)、2.81−2.83(m,2H)、4.6−4.71(d,2H)、4.74−4.93(m,2H)、7.23−7.37(m,5H)、8.44−9.3(m,8H).
【0057】
実施例2
1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(化合物2)の合成
水(20ml)中のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(5g)の溶液を水(20ml)中の実施例1において調製した1−ホスホノエチル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(2g)の冷却溶液に添加した。1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(3g)の沈殿が直ちに形成し、それを濾過し冷水で洗浄し、乾燥させた。
【0058】
実施例3
1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(化合物3)の合成
(i)1−(ジエチル エチルホスホネート)−4,4'−ビピリジニウム ブロミドの合成
1L 丸底フラスコ内のトルエン(500ml)中の4,4'−ビピリジン(100g、0.64モル)およびジエチル ブロモエチルホスホネート(157g、0.64モル)をモノカチオン塩の固体沈殿物が形成するまで還流した。その沈殿物を加熱濾過した。濾液を再度還流し、固体が形成しなくなるまでそのプロセスを繰り返した。95gの収量のモノカチオンを得た。
【0059】
(ii)1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド モノクロリドの合成
1−ジエチル エチルホスホネート−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド(50g、0.12モル)を1L 丸底フラスコ内のアセトニロリル(400ml)に添加し、30分間還流した。その澄明な溶液を1L 丸底フラスコにデカントし、次いで、2,4−ジニトロクロロベンゼン(150g、0.74モル)を添加し、18時間還流した。形成した沈殿物を濾過し、熱アセトニロリルで消化し、濾過し、次いで、真空下で乾燥して50gの1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド モノクロリドを得た。.
【0060】
(iii)1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド モノクロリドの合成
1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド モノクロリド(0.005モル)をエタノール(60 ml)中の2,4,6−トリメチルアニリン(0.075モル)に添加し、撹拌しつつ24時間還流した。エタノールを真空下で除去し、水(80ml)を添加した。その懸濁液を撹拌し、濾過した。濾液を木炭で脱色し、水を真空下で除去した。得られた生成物をアセトニロリル中で消化し、濾過し、真空乾燥して、化合物を得た。
【0061】
(iv)1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル エチルホスホネート−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム モノブロミド モノクロリドを50%塩酸溶液(60ml)に添加し、24時間還流した。溶媒を真空下で除去し、化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、ジクロリド ホスホン酸誘導体を得た。この化合物は、還元状態下で青色である。
【0062】
H NMR (DO): δ 1.91(s,6H)、2.24(s,3H)、2.28−2.37(m,2H)、4.76−4.85(m,2H)、7.09(s,2H)、8.46−9.1(m,8H).
【0063】
実施例4
1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(化合物4)の合成
水(20ml)中のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(4.3g)の溶液を水(20ml)中の実施例3において調製した1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(2g)の溶液をに添加した。1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(2.5g)の沈殿が直ちに形成し、それを濾過し乾燥させた。
【0064】
実施例5〜14
工程(iii)における2,4,6−トリメチルアニリンを表1に示す置換アニリンにより置き換える以外は、実施例3の手順を繰り返した。
【0065】
【表1−1】

【0066】
【表1−2】

【0067】
実施例15
1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(化合物15)の合成
(i)1−(2,4 ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の4,4'−ビピリジン(10g、0.065モル)およびクロロ−2,4−ジニトロベンゼン(13g、0.065モル)を15時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、アセトン(200ml)を添加し、混合物を撹拌した。懸濁液を濾過し、真空下で乾燥して1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(17.5g)を得た。
【0068】
(ii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(7.3g、0.02モル)およびジエチル 4−アミノベンジルホスホネート(5.5g、0.022モル)を6時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、水(200ml)を添加し、撹拌させた。沈殿物を濾過し、濾液を木炭で脱色した。水を真空下で除去して、粗製の1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(8g)を得た。
【0069】
(iii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,1'−ビピリジニウムクロリド(5g、0.0095モル)を250mlフラスコ内のアセトニトリル(100ml)に添加し、30分間還流した。上澄み溶液を250mlフラスコにデカントし、1−ブロモ−3−フェニルプロパン(3.8g、0.018モル)を添加し、48時間還流した。形成した沈殿物を濾過し、次いで、熱アセトニロリルで消化し、次いで真空下で乾燥して1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(4g)を得た。
【0070】
(iv)1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(3−プロピルフェニル)−ビ−ピリジニウムジクロリド(4g)を50%塩酸溶液(60ml)に添加し、還流しつつ24時間還流した。溶媒を真空下で除去し、化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(3.2g)を得た。この化合物は、還元状態下で緑色である。
【0071】
H NMR(CDCN):δ 2.4(m,4H)、2.8(m,2H)、3.35(d,2H)、4.8(m,2H)、7.22(m,5H)、8.6−9.4(m,8H).
【0072】
実施例16
1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(化合物16)の合成
水(20ml)中のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(4g)の溶液を水(20ml)中の実施例15において調製した1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(2g)の溶液に添加した。1−ホスホノベンジル−1'−(3−プロピルフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェートの沈殿物(2.2g)が直ちに形成し、それを濾過し乾燥させた。
【0073】
実施例17
1−ホスホノベンジル−1'−(ホスホノエチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(化合物17)の合成
(i)1−(2,4 ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の4,4'−ビピリジン(10g、0.065モル)およびクロロ−2,4−ジニトロベンゼン(13g、0.065モル)を15時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、アセトン(200ml)を添加し、混合物を撹拌した。その懸濁液を濾過し、真空下で乾燥して1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(17.5g)を得た。
【0074】
(ii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(7.3g、0.02モル)およびジエチル 4−アミノベンジルホスホネート(5.5g、0.022モル)を6時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、水(200ml)を添加し、撹拌させた。沈殿物を濾過し、濾液を木炭で脱色した。水を真空下で除去して、粗製の1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(8g)を得た。
【0075】
(iii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−ジエチル エチルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(5g、0.013モル)を250mlフラスコ内のアセトニロリル(100ml)に添加し、30分間還流した。上澄み溶液を250mlフラスコにデカントし、ジエチル ブロモエチルホスホネート(6.3g、0.026モル)を添加し、48時間還流した。形成した沈殿物を濾過し、熱アセトニロリルで消化し、濾過し、次いで真空下で乾燥して1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−ジエチル エチルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(8g)を得た。
【0076】
(iv)1−ホスホノベンジル−1'−ホスホノエチル−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−ジエチル エチルホスホネート −4,4'−ビピリジニウムジクロリド(5g)を50%塩酸溶液(60ml)に添加し、撹拌しつつ24時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、その化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、1−ホスホノベンジル−1'−ホスホノエチル−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(3.6g)を得た。この化合物は、還元状態下で緑色である。
【0077】
H NMR(DO):δ 2.4(m,2H)、3.32(d,2H)、4.85(m,2H)、7.8(m,4H)、8.6−9.2(m,8H).
【0078】
実施例18
1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(化合物18)の合成
(i)1−(2,4 ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の4,4'−ビピリジン(10g、0.065モル)およびクロロ−2,4−ジニトロベンゼン(13g、0.065モル)を15時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、アセトン(200ml)を添加し、混合物を撹拌した。懸濁液を濾過し、真空下で乾燥して1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(17.5g)を得た。
【0079】
(ii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(7.3g、0.02モル)およびジエチル 4−アミノベンジルホスホネート(5.5g、0.022モル)を6時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、水(200ml)を添加し、撹拌させた。撹拌させた。沈殿物を濾過し、濾液を木炭で脱色した。水を真空下で除去して、粗製の1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(8g)を得た。
【0080】
(iii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(5g、0.013モル)を250mlフラスコ内のアセトニロリル(100ml)に添加し、30分間還流した。上澄み溶液を250mlフラスコにデカントし、2,4−ジニトロクロロベンゼン(10g、0.05モル)を添加し、48時間還流した。形成した沈殿物を濾過し、熱アセトニロリルで消化し、濾過し、次いで真空下で乾燥して1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(6g)を得た。
【0081】
H NMR(DO):δ 1.15(6H)、3.42(2H)、4.02(4H)、7.57(1H)、7.71(1H)、8.18(1H)、8.78(4H)、9.31(4H).
【0082】
(iv)1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(5g)を50%塩酸溶液(60ml)に添加し、撹拌しつつ24時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(3.8g)を得た。この化合物は、還元状態下で緑色である。
【0083】
H NMR(DO):δ 2.45(m,2H)、4.85(m,2H)、8.2(m,2H)、8.45(d,1H)、8.8−9.4(m,8H).
【0084】
実施例19
1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(化合物19)の合成
水(20ml)中のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(4g)の溶液を水(20ml)中の実施例18において調製した1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(2g)の溶液に添加した。1−ホスホノベンジル−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(2.8g)の沈殿物が直ちに形成し、それを濾過し、乾燥させた。
【0085】
実施例20
1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(化合物20)の合成
(i)1−(2,4 ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の4,4'−ビピリジン(10g、0.065モル)およびクロロ−2,4−ジニトロベンゼン(13g、0.065モル)を15時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、アセトン(200ml)を添加し、混合物を撹拌した。懸濁液を濾過し、真空下で乾燥して1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(17.5g)を得た。
【0086】
(ii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリドの合成
250mlフラスコ内のエタノール(150ml)中の1−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムクロリド(7.3g、0.02モル)およびジエチル 4−アミノベンジルホスホネート(5.5g、0.022モル)を6時間還流し、冷却させた。エタノールを真空下で除去し、水(200ml)を添加し撹拌させた。沈殿物を濾過し、濾液を木炭で脱色した。水を真空下で除去して、粗製の1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(8g)を得た。
【0087】
(iii)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−4,4'−ビピリジニウムクロリド(5g、0.013モル)を250mlフラスコ内のアセトニロリル(100ml)に添加し、30分間還流した。上澄み溶液を250mlフラスコにデカントし、2,4−ジニトロクロロベンゼン(10g、0.05モル)を添加し、48時間還流した。形成した沈殿物を濾過し、熱アセトニロリルで消化し、濾過し、次いで真空下で乾燥して1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(6g)を得た。
【0088】
(iv)1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−ビ−ピリジニウムジクロリド(3g、0.005モル)および4−フェノキシアニリン(1g、0.0055モル)を一緒にエタノール(60ml)中で24時間還流した。エタノールを真空下で除去し、水(80ml)を添加した。その懸濁液を撹拌し、濾過した。濾液を木炭で脱色し、水を真空下で除去した。粗生成物をアセトニロリル中で消化し、濾過し、真空乾燥して、1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(2g)を得た。
【0089】
(v)1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドの合成
1−ジエチル ベンジルホスホネート−1'−(4−フェノキシフェニル)−ビ−ピリジニウムジクロリド(2g)を50%塩酸溶液(60ml)に添加し、撹拌しつつ24時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、化合物をエタノールの添加により結晶化させ、濾過し、真空乾燥して、1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(1.6g)を得た。
【0090】
H NMR(DO、ジクロリド): δ 3.16(d,2H)、6.95−7.8(m,13H)、8.6−9.2(m,8H).
【0091】
実施例21
1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(化合物21)の合成
水(20ml)中のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(2g)の溶液を水(20ml)中の実施例20において調製された1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(1g)の溶液に添加した。1−ホスホノベンジル−1'−(4−フェノキシ−フェニル)−4,4'−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロホスフェート(1.4g)の沈殿物が直ちに形成され、それを濾過し乾燥した。.
【0092】
実施例22〜24
工程(iv)における4−フェノキシアニリンを表2に示した置換アニリンにより置き換えた以外は実施例20の手順を繰り返した。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例25
フッ素をドープした酸化スズ(FTO、15Ω/スクエア)を被覆したガラス基材(20mm×10mm)をスクリーン印刷によりナノ結晶性二酸化チタン(20mm×10mm)で被覆した。コーティングを450℃の空気中で45分間加熱して、透明なナノ構造化された二酸化チタンフィルムを得た。
【0095】
そのフィルムを脱イオン水中の実施例3において調製した化合物3、すなわち、1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(0.001M)の溶液中に30分間浸漬した。このように、発色団をナノ構造化フィルムに吸着させた。そのフィルムをエタノール中で15分間すすぎ、空気乾燥させた。電気化学的セルは、調製したフィルムをカソードとして用いて組み立てた。銀/塩化銀電極を参照電極として用い、白金線を対極として用いた。これらの3つの電極を窒素でパージしたガンマブチロラクトン中の過塩素酸リチウムの0.2M電解質溶液中に浸漬した。
【0096】
その電極をSolartron 1285 potentostatに連結し、50mV/sの走査速度にて、+0.5V〜−1.1Vで電圧スイープを行った。吸着された化合物3のカソード還元の結果、該デバイスが青色となった。電圧スイープを続け、化合物3を酸化すると、化合物3の脱色を観察した。
【0097】
実施例5〜14の化合物を含む電極を調製し、前記手順によりテストし、還元状態下で各化合物の色を表1に示す。
【0098】
実施例26
実施例3および17の化合物を含むカソード電極を実施例25と同様に調製した。これらの電極をエポキシ接着剤で第2のFTO(15Ω/スクエア)で覆ったガラス基材に密着させ、130℃に1時間加熱して、その接着を助けた。このようにして形成したセルを真空下で、ガンマブチロラクトン中のフェロセン(0.05M)および過塩素酸リチウム(0.2M)を含有する電解質溶液を充填し、最終的にUV硬化型接着剤(UV curable glue)で密閉した。得られたエレクトロクロミックデバイスを横切る−1.3Vの適用は、均一な配色に導き、電圧の除去に際して、デバイスは、その透明状態に戻った。UV/Visスペクトル測定をShimadzu UV2401PC分光計で行い、透過レベルを550nmにて報告する。
【0099】
得られたデータを表3に示す。これは、透明からカラ―状態へのスイッチング下で透過率のかなりの低下が存在し、各デバイスの機能付けが成功しているを示す。
【0100】
【表3】

【0101】
実施例27
2つのビオロゲン、1−ホスホノエチル−1'−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(実施例3において調製した化合物3)および1−ホスホノベンジル−1'−(ホスホノエチル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリド(実施例17において調製した化合物17)の等モル(0.001M)溶液中にフィルムを浸漬する以外は、カソード電極を実施例25と同様に調製した。該カソードを第2の基材に密閉し、濾過し、最終的に実施例26により密閉した。得られたエレクトロクロミックデバイスを横切る−1.3Vの適用は、均一な緑/灰色の配色に導き、その電圧の除去に際して、そのデバイスをその透明状態まで戻す。UV/Visスペクトル測定を実施例26に記載されたごとく行った。
【0102】
このデバイスは、実施例26におけるものと同様に機能することが観察できる。しかしながら、その色は、一種だけのビオロゲンを有する従前のデバイスと比較して、2種のビオロゲン(すなわち、緑/灰色)を用いた場合には異なる。
【0103】
【表4】

【0104】
実施例28
実施例3、7、9、10、11、13および17の化合物を含むカソード電極を実施例25のごとく調製した。アノードは、各々の第2のFTO基材(50mm×50mm)から構築した。これらの基材は、スクリーン印刷し、60℃にて20〜30分間加熱することによりアンチモンでドープした酸化スズ(ATO)でコーティングした。シリカでコーティングした二酸化チタンを含む白色反射体ペーストを各ATO層にわたりスクリーン印刷することにより適用し、各二重層を450℃にて45分間焼結させた。各セットの2つの電極をサンドイッチ配置で一緒に結合して、セルを形成した。各セルにガンマブチロラクトン中のリチウムトリフルオロメタンスルホンイミドの電解質溶液を充填した。得られたデバイスを密閉し、初期の反射率測定を積分球を装備したOcean Optics SD2000分光計で行った。
【0105】
各デバイスを36%の透明状態下での拡散反射率を有した。−1.3Vの電圧を各デバイスを横切り印加した場合、それは着色し、550nmでの反射率値は、約2.5%まで低下した。その透明状態反射率−対−カラー状態反射率の比は、コントラスト比(CR)と呼ばれる尺度である。各ケースにおいて、そのコントラスト比は、36/2.5=14.4であった。
【0106】
前記に調製されたデバイスの安定性をカラー状態と透明状態との間でそれらをサイクルさせることにより約70℃の温度にて何千回も試験した。そのコントラスト比(CR)は、該デバイスの劣化レベルを評価するためにサイクリングの前後に測定した。その結果を表5に示す。
【0107】
【表5】

【0108】
この結果は、コントラスト比の劣化が、1×10サイクルでさえ極めてわずかであることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式V:
【化1】

[式中、Rは、−(CH−(式中、mは1、3〜10の整数である);または14個以下の炭素原子を有するアリーレンもしくはヘテロアリーレン;または分岐鎖アルキレンもしくはアルケニレン、またはシクロアルキレン、各々は10個以下の炭素原子を有し;該アリーレン、ヘテロアリーレン、またはシクロアルキル基は、−(CH−結合を介して−P(O)(OH)基に結合していてもよく、ここに、nは0または1〜10の整数;該アリーレン、ヘテロアリーレン、分岐鎖アルキレン、分岐鎖アルケニレンまたはシクロアルキレン基は、同一または異なっていてもよい1以上の以下の置換基:低級アルキル、低級アルケニル、フェニル−低級アルキル、ジフェニル−低級アルキル、フェニル、フェノキシ、低級アルカノイルオキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、フェニルアミノ、低級アルカノイルアミノ、ベンゾイルアミノ;低級アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、低級アルカノイル、ベンゾイル、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、ウレイド、N−低級アルキルウレイド、低級アルキルスルホニル;フェニルスルホニル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、カルボキシまたは低級アルコキシカルボニルにより置換された低級アルキル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、ハロゲン、カルボキシまたは低級アルコキシカルボニルにより置換された低級アルコキシ;C−C−アルコキシ;および/または二価のメチレンジオキシにより置換されていてもよく;全てのフェニル基自体または構成基における全てのフェニル基は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、および/またはヒドロキシにより置換されていなくてもまたは置換されていてもよく;および
各Rは、同一もしくは異なってもよいエステル形成基であって、各X'は独立してハロゲンである]
で表される化合物。
【請求項2】
各Rが独立して、メチルもしくはエチル;Rが−(CH−(式中、mは1もしくは3である)、またはフェニル環のパラ位にて−(CH−(式中、nは1もしくは2である)を介して−P(O)(OR基に結合したフェニルであって;各X'が独立して、BrもしくはClである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1−ジエチルベンジルホスホネート−1'−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4'−ビピリジニウムジクロリドである請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の化合物を含む電極またはエレクトロクロミックデバイス。
【請求項5】
電極またはエレクトロクロミックデバイスの製造における請求項1〜3のいずれか1記載の化合物の使用。

【公開番号】特開2010−235615(P2010−235615A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114153(P2010−114153)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【分割の表示】特願2006−502615(P2006−502615)の分割
【原出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(504000096)エヌテラ リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】NTERA LIMITED
【Fターム(参考)】