説明

エレクトロスプレイのエミッタ及び製造方法

液体を放出するエレクトロスプレイエミッタ(10)は、流路(65)を有するシート(40)を含み、前記流路は、シート(40)全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャ(55)まで開口する。充電電極(80)は、電源供給部に接続可能であり、流路(65)に流入する液体に電荷を与えるように構成される。制御電極(50)は、流路(65)の近くに位置して電気噴霧放出を制御するものであり、シート内に埋め込み可能である。シートには非湿潤性層又は絶縁層(30)を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気噴霧処理に関し、特に、エレクトロスプレイ(electrospray)エミッタ及びエレクトロスプレイエミッタアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
電気噴霧は、液体表面の静電気力が表面張力に打ち勝つときに生じる。特定の条件下では、エレクトロスプレイデバイスのエミッタにおいてテイラーコーン(Taylor cone)が形成される。このテイラーコーンの頂点から液体ジェットを放出することができる。
【0003】
エレクトロスプレイデバイスは、貯留槽から供給されるガラス又は金属製の毛細管で形成できる。このようなデバイスは、国際公開第2007/066122号に記載されている。ただし、毛細管をベースとするエレクトロスプレイデバイスは、製造、取り扱い、及び洗浄が困難であるか、又は、大量に製造することが困難な場合があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/066122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、前述した問題を克服するエレクトロスプレイエミッタが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタが提供され、このエレクトロスプレイエミッタは、
流路を有するシートにおいて、前記流路が、シート全体に延びる平坦なエミッタ表面上のアパーチャまで開口するシートと、
電源供給部に接続可能であり、流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、
前記流路の近くに位置し、電気噴霧放射を制御する制御電極と、を含む。これにより、より簡単に洗浄でき、かつ、より堅牢であり得るエレクトロスプレイエミッタが提供される。シートは、平坦であるか、実質的に平坦であるか、又は平坦ではなく湾曲している基板であってよい。平坦なエミッタ表面は、特徴物が存在しない状態、又は突起若しくはノズルが存在しない状態でよい。アパーチャは、シートの平面内、又はエミッタ表面の平面内であってよい。このことは、効果的に洗浄できる性能を改善する一方で、埃や破片の蓄積を抑制する。アパーチャは、前記表面と同じ高さであっても、又は窪んでいてもよい。
【0007】
省略可能であるが、制御電極は、エミッタ表面から離れていてよい。エミッタ表面は、電気噴霧が生じる側のデバイス面である。この表面は、液体によって汚れたり、汚染されたり、又は湿り気を帯びる可能性がある。制御又はデバイスを改善するためには、エミッタ表面に、又はその近くに制御電極を備えると有利であり得る。ただし、クリーンな状態を維持するためにエミッタ表面から距離を取って、又は汚染物質から離して電極を配置することも有利であり得る。
【0008】
省略可能であるが、制御電極は流路を少なくとも部分的に取り囲む。これは、例えば、流路の周りの全周リング又は部分リングの形式であってよい。ただし、他の形状や構造も利用できる。
【0009】
省略可能であるが、制御電極はシートに埋め込まれる。シートに制御電極を埋め込むことで、電極を更に保護でき、また、半導体産業で用いられる製造技術を利用してデバイスをより容易に製造できるようになる。したがって、放出された液体を受け取る表面は、浮遊電位を持つことができ、電気回路の一部である必要も、接地される必要もない。制御電極の埋め込みは、他の層(例えば、絶縁層)で電極を覆うことによって、又は電極をシート内に完全に封入することによって実現できる。埋め込むということは、シートの材料内に制御電極の一部を載置すること、及び流路からの液体の放出口であるアパーチャ、開口部、出口と同じ高さ又は後退した高さで電極を配置することの少なくともいずれかも含む。
【0010】
省略可能であるが、エレクトロスプレイエミッタは、シートのエミッタ表面に絶縁層、非湿潤性層、又は液体反発層を更に含んでよい。この非湿潤性層又は液体反発層は、エミッタ表面のアパーチャから液体をはじくことによって、デバイスをより容易に維持及び洗浄できるようにする。非湿潤性又は疎水性の表面は、アパーチャまで延びると好ましい。
【0011】
省略可能であるが、絶縁層、非湿潤性層、又は液体反発層は、フロウロポリマ(flouropolymer)材料である。フロウロポリマは、例えば、デュポン(DuPon)社のテフロン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)であってよい。他の適切な材料も利用でき、電気噴霧される液体に応じて選択することができる。このような代替の非湿潤性層としては、疎水性材料が挙げられるが、これには限定されない。
【0012】
省略可能であるが、エレクトロスプレイエミッタは、エミッタ表面に固定されたガード電極を更に含むことができる。ガード電極は、同一のデバイス上に形成された隣り合うエレクトロスプレイエミッタとのクロストークを防止できる。ガード電極に電源供給部から適切な電圧が提供されても、又はガード電極が接地されてもよい。
【0013】
省略可能であるが、ガード電極は、流路を取り囲む、又はその外周を取り巻くことができる。ガード電極は、アパーチャを取り囲む、又はその外周を取り巻くこともできる。
【0014】
省略可能であるが、非湿潤性層は、ガード電極とシートの間に位置し、この位置において、非湿潤性層はアパーチャの周りに露出している。実際には、ガード電極内にアパーチャが存在でき、ガード電極は、このアパーチャ以外のところでは完全な平面又は平坦な層として形成されてよい。ガード電極内のこのアパーチャは、流路内のアパーチャよりも若干大きくてよく、これによりシートとガード電極の間で非湿潤性層が露出する。この構成により、アパーチャの周りの非湿潤性層の利点及びガード電極の利点が保全される。
【0015】
省略可能であるが、制御電極は流路から分離される。制御電極は、流路に当接して、又は流路から離して形成できるため、流路内を流れる液体を更に直接充電することを防止できる。
【0016】
省略可能であるが、流路は、エミッタ表面のアパーチャに向かって先細りになってよい。すなわち、流路の液体の入口は、エミッタ表面のアパーチャより大きくてよい。直径は、流路に沿って滑らかに変化することが好ましい。
【0017】
省略可能であるが、エレクトロスプレイエミッタは、それぞれが対応する制御電極を備える2つ以上の流路を更に含むことができる。デバイス上に、又はシートに形成されて更に多くのエレクトロスプレイエミッタが存在してよい。各エレクトロスプレイエミッタは、同一又は異なる液体を放出するように構成されてよい。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタが提供され、このエレクトロスプレイエミッタは、
流路を有するシートにおいて、前記流路が、シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口するシートと、
シートのエミッタ表面に設けられた非湿潤性又は液体反発性の層と、を含む。この非湿潤性層は、アパーチャの周りでの液体の堆積を低減できるため、デバイスをクリーンに維持することに役立つ。シートは、平面状であってよく、複数の流路を含むことができる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタが提供され、このエレクトロスプレイエミッタは、
流路を有するシートにおいて、前記流路が、シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口するシートと、
電源供給部に接続可能であり、一つ以上の流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、
エミッタ表面に設けられたガード電極と、を含む。ガード電極は、隣接するエレクトロスプレイエミッタとのクロストークを抑制する。ガード電極は、適切な電圧に保持され(又は適切に定義された時間で電圧波形が変化して流路のクロストークを低減するように変動し)ても、又は接地されてもよい。シートは平坦であってよく、複数の流路を含むことができる。
【0020】
省略可能であるが、ガード電極は、流路、若しくはエレクトロスプレイエミッタアレイの各流路を取り囲む、又はその外周を取り巻くことができる。
【0021】
省略可能であるが、ガード電極は、シートのエミッタ表面のアパーチャから分離される。
【0022】
省略可能であるが、制御電極及びガード電極の両方をシートに埋め込むことができ、ガード電極は、非導電層又は非導電領域によって制御電極から分離され、シートの表面全体が、非湿潤性層又はフッ素重合体フィルムによって被覆される(アパーチャを除く)。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタが提供され、このエレクトロスプレイエミッタは、
流路を有するシートにおいて、前記流路が、シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口すると共に、液体供給口を備える、シートと、
流路の外側に位置し、電源供給部に接続可能であり、且つ、流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、を含み、
アパーチャは、流路の液体供給口より狭い。流路の直径は、流路に沿って滑らかに変化できると好ましい。シートは、平坦であってよく、また、複数の流路を含むことができる。
【0024】
省略可能であるが、流路は先細りになっていてもよい。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、前述したいずれかのエレクトロスプレイエミッタから形成されるエレクトロスプレイエミッタアレイが提供される。本発明の各態様の省略可能な特徴又は好ましい特徴は、いずれか他の態様又は実施形態で容易に利用できることは明らかであろう。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、エレクトロスプレイエミッタの製造方法が提供される。この方法は、シートを設けるステップと、シートに穴をあけて、シート全体に延びる平坦な表面のアパーチャまで開口する流路を形成するステップと、流路に近接してシートに溝を設けるステップと、溝に部分的に導電体を充填して電極を形成するステップと、溝内に電極を封止するステップと、を含む。したがって、電極は、デバイスに埋め込むことができる。これにより絶縁破壊が抑制される。溝は、部分的に、又は完全に流路を取り囲むことができる。流路は、円筒状、円錐状、又はこれら両方の混合型であってよい。流路の液体供給経路としてマニホルドを設けることができる。
【0027】
省略可能であるが、シート内の溝及び流路の少なくとも一方は、エンボス加工、注入成形、又は射出成形のいずれかで設けることができる。これにより製造方法が簡略化される。また、流路及び溝は、同一の製造工程で製造することができる。
【0028】
シートは、非湿潤性の材料で形成されると好ましい。
【0029】
省略可能であるが、シートは、非湿潤性材料層及び基板層の積層体で形成できる。非湿潤性材料は、フッ素重合体(例えば、FEP等)であってよい。基板層は、プラスチック材料、例えば、カプトンであってよい。流路は、基板層内において円錐形であってよいが、非湿潤性層内では円筒形であってよい。
【0030】
省略可能であるが、溝は、非湿潤性材料層に設けることができる。この溝は、非湿潤性材料層と基板の間の境界において、又は境界の手前で終了してよい。
【0031】
省略可能であるが、溝は、アパーチャの反対側でシートに設けられてよい。すなわち、溝は、シートの、電気噴霧放出側と反対の側に形成できるため、使用時に露出する表面から距離を取ってデバイスに埋め込むことができる。
【0032】
第7の態様によれば、エレクトロスプレイエミッタの製造方法が提供され、この方法は、
基板を貫通して一つ以上の中ぐり穴をドリル加工するステップと、
一つ以上の中ぐり穴を埋める高分子フォトレジスト層で基板を被覆するステップと、中ぐり穴内のフォトレジスト層を通る一つ以上の流路をフォトリソグラフィによって形成するステップと、流路に液体を供給するように構成されるマニホルドを形成するステップとを含む。
【0033】
第8の態様によれば、エレクトロスプレイエミッタの製造方法が提供され、この方法は、フォトリソグラフィを用いて、基板にパターン(回路や他の特徴物)を付与するステップと、重合体層(例えば、フォトレジスト)で基板を被覆するステップと、付与されたパターンをマスクとして利用して、基板及び重合体層を貫通する一つ以上の流路をアブレーション除去するステップと、流路に液体を供給するように構成されるマニホルドを形成するステップとを含む。
【0034】
本方法を利用して、単一、複数、又はアレイ状のエレクトロスプレイエミッタを作製することができる。
【0035】
省略可能であるが、本製造方法は、流路の開口部の周りに非湿潤性層を設けるステップを更に含むことができる。流路には、電極として機能する金属層を設けてもよい。
【0036】
第9の態様によれば、前述した製造方法のうちのいずれかによって作製されるエレクトロスプレイエミッタ又はエレクトロスプレイエミッタのアレイが提供される。
【0037】
本製造方法を利用して、前述したいずれかのエレクトロスプレイエミッタを作製することができる。
【0038】
前述した各種の特徴は、本発明のいずれかの特定の態様又は実施形態で利用できることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】例としてのみ提示する一例の実施形態に係るエレクトロスプレイエミッタの模式的断面図である。
【図1a】他の実施形態に係るエレクトロスプレイエミッタを断面で示す模式図である。
【図2】更に他の例の実施形態を断面で示す模式図である。
【図3】エレクトロスプレイエミッタのアレイを示す平面図である。
【図4】更に他の例の実施形態を断面で示す模式図である。
【図5】図4のエレクトロスプレイエミッタのアレイを示す平面図である。
【図6】電極配置を含む、エレクトロスプレイエミッタのアレイの平面図である。
【図7】図6に示したエレクトロスプレイエミッタの平面図の一部を拡大して示す図である。
【図8】更に他の例の実施形態を断面で示す模式図である。
【図9】更に他の例の実施形態を断面で示す模式図である。
【図10】更に他の例の実施形態を断面で示す模式図である。
【図11】エレクトロスプレイエミッタの製造方法を示す一連の断面模式図である。
【図12】図11に示した製造方法で作製されるエレクトロスプレイエミッタを断面で示す模式図である。
【図13】エレクトロスプレイエミッタの代替の製造方法を示す一連の断面模式図である。
【図14】図13に示した製造方法で作製されるエレクトロスプレイエミッタを断面で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明はいくつかの方式で実施することができ、次に実施形態について、附属の図面を参照しながら単なる例として説明する。
図面は、簡略化して示したものであり、必ずしも正しい縮尺ではないことに留意されたい。
【0041】
図1に、エレクトロスプレイエミッタ10の模式的断面図を示す。単一のエレクトロスプレイエミッタ10が記載されているが、単一のデバイスに形成された多数のエレクトロスプレイエミッタが存在してもよい。液体管路85は、矢印Cで示されるように流路65内に放出される液体を供給する。液体管路85は、図1に記載したように単一のエレクトロスプレイエミッタ10への供給を行うこと、又は、液体管路85は、単一の液体管路85に連通する多数の独立したエレクトロスプレイエミッタ10への供給を行なうことができる。また、いくつかの独立した液体管路85を設けて、単一のデバイス上の一つ以上のエレクトロスプレイエミッタ10に種類の異なる液体を供給してもよい。
【0042】
電荷は、充電電極80によって液体に付与できる。これらの充電電極80は、液体管路85内に延びていても、又は他の適切な場所に配置されてもよく、例えば、円推形等の各種の形状を持つことができる。充電電極80は、液体が流れる流路85,65を形成する複数の材料面のうちの一つ又はいくつかに存在してよい。特に、先の尖った充電電極80を利用して液体に電荷を与えることができ、この液体は、必要に応じて、導電性又は非導電性であってよい。
【0043】
流路65は、シート又は基板40内に形成され、この基板40は、例えば、シリコンやプラスチック材料(例えば、カプトン)等の適切な材料で形成することができる。シート40には、非湿潤性層又は絶縁層30を設けることができる。非湿潤性層30は、FEPや、他のポリイミドや、液体によって湿潤し難い他の材料等、疎水性の材料であってよい。非湿潤性層30は、水性及び非水性の液体を始めとする任意の特定の液体をある程度はじくように選択されてよい。したがって、湿潤するという用語は、水に限定されない。非湿潤性層30は、液体によって、又は、液体が電気噴霧面75において蒸発又は乾燥したときに形成される凝結物によって、流路65のアパーチャ55が閉塞することを防ぐ。図1に示すように、非湿潤性層30はアパーチャ55を取り囲み、このアパーチャ55から、テイラーコーン60の頂点70において液体を放出できる。層30は、非湿潤性層ではなく、又は非湿潤性層であると共に、絶縁層であってよい。
【0044】
非湿潤性層30は、単分子層又はより厚い層として形成されてよく、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(PFOTES)等の疎水性被膜であってよいため、洗浄の容易さと、放出された液体のメニスカス性とを提供し、湿り気を帯びることがない。この層は、好ましくは、約1μmから約20μmの間の厚さであってよい。例えば、この層は、12μmの厚さに形成できる。更なる例として、非湿潤性層30は、PTFE等のフォトレジスト材料又は同様の材料で形成することができる。
【0045】
基板40は、デバイスに十分な剛性を提供するように形成できる。例えば、基板は、90μmというような数十マイクロメートルの厚さであってよく、好ましくは40〜50μm、更に好ましくは25μmの厚さであってよい。基板40は、例えば、カプトン(デュポン製)から作製できる。
【0046】
非湿潤性層30の上面にガード電極層20を配置して、アレイ又はエレクトロスプレイエミッタ10として形成できるような多重エレクトロスプレイエミッタに存在し得る他の放出流路との電気的クロストークを防止することができる。非湿潤性層30は、アパーチャ55の周りで露出していてよく、これにより、アパーチャ55の周囲に疎水性又は液体をはじくリング90が形成される。ガード電極層20は、一部の実施形態において存在しなくてもよい。存在する場合、ガード電極層20は、5μm未満、好ましくは2〜3μmの厚さを持つことができる。
【0047】
液体は、エミッタ表面75において、流路65のアパーチャ55から放出されてよい。多重エレクトロスプレイエミッタデバイスでは、多数のアパーチャ55が、同時に、又は特定の所望のパターンでエミッタ表面75から液体を放出できる。
【0048】
制御電極50は、シート40内に埋め込まれて、流路65の周りに形成されてよい。制御電極50は、矢印Bで示した距離で流路65から離れていてよい。また、制御電極50は、エレクトロスプレイエミッタ内に密封されてよく、矢印A’で示した距離でエミッタ表面75から離れることができる。
【0049】
図1に示した実施形態において、制御電極50は、非湿潤性層に接すると共に、その非湿潤性層によって被覆される。これに代えて、制御電極50は、エレクトロスプレイエミッタ10の他の層又はシート40を形成する層の中に埋め込まれてもよい。制御電極50がエミッタ表面75から離れて位置することで、デバイスの洗浄及び保守管理の容易さが向上し、且つ、高電圧の電極が存在しない露出したエミッタ表面75が提供される。ただし、制御電極50は、代替の実施形態において、エミッタ表面75に露出してもよい。
【0050】
制御電極50は、下記の方式で電気噴霧を制御できる。電圧としては、電気噴霧を発生させ得る電圧より高い電圧を、充電電極80に印加することができる。ただし、制御電極50に同符号の電圧を印加することで、電気噴霧の発生を阻止できる。例えば、1800Vの電圧を充電電極80に印加し、300Vの電圧を制御電極50に印加するとよい。これらの条件で、特定の構成のエミッタ及び液体を用いると、通電された制御電極50とアパーチャ55との近接状態が放出を防止するため、電気噴霧は生じない。制御電極50への電圧を、例えば、0Vまで低下させれば(又は負の電圧を印加すれば)、電気噴霧を開始することができる。これらは、特定の構成についての電圧例であり、異なる構成を利用してもよい。また、充電電極80及び制御電極50の少なくともいずれかに各種の波形を適用して、形状の異なる電気噴霧を提供することができる。各種異なる特性(例えば、粘度)を有する異なる液体は、それぞれ異なる電圧を必要とし得る。
【0051】
ガード電極20(導線であると好ましい)には、例えば、300Vというような一定の電圧を印加できる。これにより、同一のシート40に形成され得る隣接するエレクトロスプレイエミッタとの間のエレクトロスプレイエミッタの電気絶縁性が向上する。繰り返すが、ガード電極に印加される電圧を変化させることで、デバイスの特性を変えることができる。
【0052】
代替の実施形態は、距離A’と距離Bの比を変えることを含んでよい。この比を変えることで、電気噴霧された液体を受け取る表面との相互作用を回避できる。このような受け取り表面は、アパーチャ55から各種の距離、例えば、1〜2mmの距離で配置されてよい。シリコンベースのデバイスの場合、電極は、非晶質シリコンから形成されても、又はドーピング処理で形成されてもよい。電極間の絶縁領域は、シリコン酸化膜で形成することができる。既知のパターニング及びエッチングの技法を用いて、エレクトロスプレイエミッタ10又はエミッタアレイを作製することができる。
【0053】
図1aに、ガード電極層20が存在しない代替の実施形態を示す。本実施形態では、非湿潤性層又は絶縁層30が完全に露出している。更なる代替例として、非湿潤性層又は絶縁層30は存在しなくてもよい。この場合、制御電極50は、露出しても、部分的に露出しても、又はシート40内に埋め込まれてもよい。
【0054】
図2に、代替のエレクトロスプレイエミッタ100を示す。同様の要素には、図1と同じ参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態は、図1に示したものと同様であるが、シート40内の流路65’及び非湿潤性層30が、エミッタ表面75内のアパーチャ55に向かって先細りになっている点が異なる。したがって、流路65’は、例えば、円錐台状(frusto-conical)であってよい。
【0055】
アパーチャ55のこの先細り又は狭窄は、向上した高振動電気噴霧放出(より小さいアパーチャ55により促進)を提供する一方で、流路65’を通る液体流への液圧インピーダンスを低減するが、これは、開口部すなわち液体管路85から流路65’への液体供給口が広がったためである。図2には先細の流路65’が図示されているが、アパーチャ55の直径Dが液体供給口の直径Eよりも小さくなる他の構造の流路65’も有利であり得る。図2に示すように、流路65に流入する液体は、この流路の外側にある充電電圧80によって予め帯電させることができる。ただし、これに代えて、液体の充電電極80は、流路65’内に配置されてもよい。
【0056】
図3に、図1又は図2に示したエレクトロスプレイエミッタのアレイの、エミッタ表面75から見た平面図を示す。本例において、ガード電極20は、エミッタ表面75の全体に延びる。ただし、非湿潤性表面30は、各アパーチャ55の周りで露出してよく、これ以外は、ガード電極20によって被覆される。シート40内のアパーチャ55は、列状に形成され、この列を千鳥に構成することで、受け取り表面上の液体飛沫の分離度を改善できる。ただし、他の配列構成も利用できる。電気接続は図示されていない。
【0057】
図4に、更に他の例のエレクトロスプレイエミッタ200の断面模式図を示す。この図は、原寸に比例した縮尺である。本例の流路65’は、円錐台状又は先細りになっている。ただし、制御電極50は、エミッタ表面75と同一平面で周囲に開放されており、アパーチャ55の端縁で終端するように形成される。また、制御電極は、非湿潤性層30と同じ高さである。この図には液体管路が記載されていない。ただし、液体は、液体供給口から流路65’に導入できる。非湿潤性層30(本例ではFEP)の厚さは、12.5μmであり、他の要素の適切な寸法は、この特定の例のデバイスを記載したこの縮尺図から導出できる。図4は、非導電性流体で利用でき、且つ、先細の流路又は先細でない流路を備えることができる。
【0058】
図5に、エレクトロスプレイエミッタ10のアレイの平面図を示す。アパーチャ55は、行列状に示され、そのうちの一つが線A−Aで示されている。エレクトロスプレイエミッタ10の列は、個々のエレクトロスプレイエミッタ10の間に電気接続部を配置できるように千鳥に並べられる。
【0059】
図6に、エレクトロスプレイエミッタ10のアレイの表面上、又はこのようなデバイス内に埋め込まれた電気接続部の構成を示す。各電気接続部により、個々のエレクトロスプレイエミッタ10を個別に、すなわち独立して制御することができる。このデバイスのほんの一部を領域300として目印を付けた。
【0060】
図7に、図6の領域300を拡大して示した。この図には、それぞれがアパーチャ55を有する、12個の個別のエレクトロスプレイエミッタが含まれている。
【0061】
図7に示した電気接続部320は、各制御電極50と接続される。これらの電気接続部320は、エレクトロスプレイエミッタ10間のラスタパターンとして設けられる。電気接続部320及び制御電極50は、エミッタ表面75に配置されても、又はデバイス内に埋め込まれてもよい。
【0062】
図8〜図10に、エンボス加工技術、注入成形技術、及び射出成形技術の少なくともいずれかを用いて作製できる一例のエレクトロスプレイエミッタの模式図を示す。図8に、更に他の例のエレクトロスプレイエミッタ400の一部の模式的断面図を示す。この例において、非湿潤性層は、カプトン基板140上に積層されたFEP30,130の2つの層から成る。これに代えて、FEP又は他の非湿潤性材料の単一層を利用してもよい。
【0063】
積層構造が形成された後、非湿潤性層30,130を貫通するアパーチャ55をエンボス加工できる。溝170は、上部の非湿潤性層30を貫通して、又は、単一の非湿潤性層である場合は、湿潤性層を部分的に貫いて形成することができる。図8の断面図において、この溝170はリング形状である。溝は、アレイ内の他のエミッタと連通するように延長することができる。溝170の底面に金属層50’を導入(例えば、蒸着)して制御電極を形成できる。溝170内の金属層50’は、溝170の残りの部分に、フォトレジスト(例えば、SU8)等の適切な充填剤を充填することによって埋め込むことができる。流路165は、下面(図8に示した底面)からのレーザアブレーションによって、アパーチャ55と連通するように作製できる。レーザアブレーションを利用して、円錐形の流路165を形成できる。
【0064】
図9に、更に他の例のエレクトロスプレイエミッタ420の一部の模式的断面図を示す。この例は、図8を参照して説明したものと同様の構造を有する。ただし、本例のアパーチャ55及び溝170は、いずれもエンボス加工により、非湿潤性層30(例えば、FEP)を貫通して基板140(例えば、カプトン)の表面まで、すなわち、これら2つの層間の境界まで形成される。したがって、本例では、絶縁破壊の防止については境界面(例えば、FEP/カプトン)の結合力により大きく依存するが、製造はより簡単である。
【0065】
図10に、更に他の例のエレクトロスプレイエミッタ430の一部の模式的断面図を示す。本例において、基板及び非湿潤性層は、FEP440の単一のシート材料として結合される。ただし、溝170’は、ここでは下面、すなわち、電気噴霧表面の反対側(図10に示される下方部分)から形成(例えば、エンボス加工によって形成)される。また、アパーチャ及び流路265は、単一のエンボス加工工程で形成され、この工程は、溝170’を形成するエンボス加工工程と組み合わせることができる。流路/アパーチャ170’は、図において円錐形として示されているが、これに代えて直線状の側面を持っていてもよい。代替の構成として、溝170は、電気噴霧表面と同じ側に形成されてもよい。いずれの場合においても、溝170の底面の金属層50’を導入(例えば蒸着)して、制御電極を形成することができる。溝170内の金属層50’は、溝170の残りの部分にフォトレジスト(例えば、SU8)等の適切な充填剤を充填することによって埋め込むことができる。
【0066】
図8〜図10に示した例において、液体管路85は、これらの図に示したエレクトロスプレイ部品とマニホルド(図示せず)との間に形成することができる。この液体管路85は、流路165,265と連通して、エレクトロスプレイエミッタ400,420,430に液体を供給することができる。このマニホルドは、基板140から独立したプレート又はカバーの形式で液体管路84を形成できる。
【0067】
先に説明した例に対する図80〜図10に示した例の利点、すなわち、積層構造のデバイスの利点は、下記のとおりである。
制御電極50’をデバイス内に埋め込んで、絶縁破壊を生じ難くすることができる。これにより、アパーチャ55により近接して制御電極50’を配置できるため、十分な電界を生成するために必要な電圧が低くなる。また、必要な駆動電子機器回路が簡略化される。層状の例は、層間の境界面においてより破断し易い可能性がある。埋め込み式の例では、電極と流体との間の界面が存在しない。
【0068】
図8〜図10に示した例の製造は更に簡略化することができる。これらのデバイスは、非湿潤性のフッ素樹脂材料(例えば、FEP等)で作製することができる。層状の例には、FEPの層とカプトン(又は他の適切な材料)の層を組み込めるが、これら2種類の材料は、アパーチャ55と流路65の形成に異なる処理を必要とし得る。例えば、FEPのレーザ切断は困難である場合がある。一方、カプトンのレーザ切断は、容易であり得る。
【0069】
エンボス加工技術、注入成形技術、又は射出成形技術を利用してデバイスを作製することで、更にいくつかの利点が得られる。
電子導電路(特に、エレクトロスプレイエミッタアレイに用いられる導電路)は、溝170として形成することができ、これらの溝には、金属を被覆(例えば、蒸着により被覆)し、他の高破断材料(SU8レジスト等)を充填することができる。次に、上面の全ての金属をエッチ除去して所望のパターンを残すことができる。これにより、より高価で複雑な処理であるフォトリソグラフィを用いて電極をパターニングする必要性が抑制される。
【0070】
アパーチャ55は、型枠を用いて画定することができるため、アパーチャ55の形状の境界をより明確にできる。これらの利点は、製造を容易にすると共に、品質及び歩留まりを改善できる。
【0071】
図11に、エレクトロスプレイエミッタアレイを作製する方法のステップ(a〜e)の模式図を示す。ステップaにおいて、回路510が、フォトリソグラフィを用いて基板500(例えば、カプトン)にパターニングされる。ステップbにおいて、レーザドリル(又は他のドリル)を用いて、穴又は中ぐり穴520が基板500にドリル加工される。フォトレジスト(SU8等)530が基板に適用されて、レーザドリル加工された穴520を埋める、又は部分的に埋める(ステップc)。フォトレジスト530内に、リソグラフィ技法を用いて、ノズルすなわち流路565がエッチングされる(ステップd)。これにより、ステップbにおけるレーザドリル加工よりも微細な寸法公差が中ぐり穴に提供される。
【0072】
流路565内の開口部又はアパーチャの周りに、省略可能な非湿潤性層570を設けることができる(ステップe)。非導電性の液体又はインクの場合は、流路565の内面に金属被膜を施すことができる。
【0073】
図12に、液体マニホルド585を備える、組み立て結果のデバイスの模式図を示す。電気接続部は図示されていない。
【0074】
図13に、エレクトロスプレイエミッタアレイの更に他の作製方法のステップ(a〜d)の模式図を示す。ステップaにおいて、回路510は、ここでもフォトリソグラフィを用いて、基板500(例えば、カプトン)にパターニングされる。この処理中に、更に他の回路、特徴物、又はマスク600が、基板500の反対側にパターニングされてもよい。フォトレジスト(SU8等)又は他の高分子層530’は、穴又は中ぐり穴をドリル加工しない状態で、基板500に設けられる。ノズルすなわち流路565は、回路又は特長物600をマスクとして利用して、層530’及び基板500から除去(例えば、レーザアブレーション加工)される。このアブレーション加工により、流路565の寸法及び位置が画定される。
【0075】
省略可能な非湿潤性層570は、ステップdにおいて(アブレーションステップの前又は後)、流路565内の開口部又はアパーチャの周りに設けることができる。
【0076】
図14に、液体マニホルド585を備える、組み立て結果のデバイスの模式図を示す。この図に、電気接続部は示されていない。
【0077】
両方の方法の回路510は、デバイスの内部電極層であってよい。
【0078】
上記の実施形態の特徴についての多数の組み合わせ、変形、又は変更は、当業者には直ちに明らかになるであろう。これらの組み合わせ、変形、又は変更は、本発明の一部を構成することが意図される。
【0079】
当業者であれば理解されるように、上記の実施形態の詳細内容は、付属の請求項に定義される本発明の範囲から逸脱することなく変更することができる。
【0080】
例えば、層の相対厚さ及び寸法を変えることができる。シートは、シリコン等の半導体基板であってよい。各種実施形態の流路は、先細りになっていても、又は先細りにならなくてもよい。
【0081】
エミッタ表面は、平坦である必要はなく、滑らかな状態、特徴物の存在しない状態、又は突起が存在しない状態で代用することができる。エミッタ表面は、シート全体に亘って延びる必要はなく、少なくとも部分的にシート又はシートの一部の上に延びていればよい。シートは平面状であってよいが、必ずしも平面でなくてもよい。
【0082】
下部電極支持構造層は、埋め込み式の制御電極50を含むことができる。この電極支持構造は、基板40の全部又は一部を構成でき、数十マイクロメートルの厚さであってよい。この寸法に影響する設計要件は、機械的安定性に必要な層の剛性であり得る。ガード電極20は、機械的安定性を更に追加できる。一例において、2つの構成要素が電極支持構造を形成でき、この2つの構成要素は、埋め込み電極を含まない30μm厚さのカプトン層、及び〜90μmの厚さを持つ独立したPCB層構造である。埋め込み電極50の厚さは、数マイクロメートル、例えば、〜5μmであり、一例において厚さは38μmである。
【0083】
アパーチャは、数十マイクロメートルの範囲の寸法を持っていてよい。直径は30μm〜50μmの範囲であると好ましいが、例えば、100μmの大きさであってもよい。省略可能な構成として、本システムは、〜4μmの小さいアパーチャ直径であっても動作可能であるが、このように小さい直径のアパーチャは閉塞する可能性がある。
【0084】
制御電極50の直径は、エレクトロスプレイエミッタ10のアレイのピッチに応じて異なってよい。制御電極50は、エレクトロスプレイエミッタ10のアパーチャ55よりも大きく、かつ、非導電性の電極支持構造又は基板40からの放電を防止することに適した最小直径を持ち得る。例えば、100μmの電極幅を有する直径400μmの制御電極55を利用できる。これに代わり、よりピッチ密度の高いエレクトロスプレイアレイにおいて、電極直径は、アパーチャ55より大きい〜20μm、例えば、50〜70μmの直径であってよい。制御電極55の幅は、例えば、10〜20μmの範囲であればよい。
【0085】
流体特性は、本出願人の以前の出願(すなわち、EP06820456.9及びEP08750639.0)において特定したものと同様であってよい。検査した流体は、表1に示した特性を有する。
【0086】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を有するシートにおいて、前記流路が、前記シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口するシートと、
電源供給部に接続可能で、前記流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、
前記流路の近くに位置し、電気噴霧放出を制御する制御電極と、
を含む、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項2】
前記制御電極は前記エミッタ表面から離れている、請求項1に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項3】
前記制御電極は前記流路を少なくとも部分的に取り囲む、請求項1又は請求項2に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項4】
前記制御電極は前記シートに埋め込まれる、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項5】
前記シートのエミッタ表面に非湿潤性層を更に含む、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項6】
前記非湿潤性層はフロウロポリマ材料である、請求項5に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項7】
前記エミッタ表面に固定されたガード電極を更に含む、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項8】
前記ガード電極は前記流路を取り囲む、請求項7に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項9】
前記非湿潤性層は前記ガード電極と前記シートの間であり、更に、前記非湿潤性層は前記アパーチャの周りで露出している、請求項5又は6に従属する請求項8に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項10】
前記制御電極は前記流路から離れている、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項11】
前記流路は、前記エミッタ表面のアパーチャに向かって先細りになる、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項12】
それぞれが対応する制御電極を有する、2つ以上の流路を更に含む、先行する請求項のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項13】
流路を有するシートにおいて、前記流路が、前記シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口する、シートと、
前記シートの前記エミッタ表面に設けられる非湿潤性層と、
を含む、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項14】
流路を有するシートにおいて、前記流路が、前記シートの全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口する、シートと、
電源供給部に接続可能であり、前記流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、
前記エミッタ表面に設けられるガード電極と、
を含む、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項15】
前記ガード電極は前記流路を取り囲む、請求項14に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項16】
前記ガード電極は、前記シートの前記エミッタ表面のアパーチャから離れている、請求項14又は請求項15に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項17】
流路を有するシートにおいて、前記流路が、前記シート全体に延びる平坦なエミッタ表面のアパーチャまで開口し、前記流路は、液体供給口を有する、シートと、
前記流路の外側に位置し、電源供給部に接続可能であり、かつ、前記流路に流入する液体に電荷を与えるように構成される充電電極と、を含み、
前記アパーチャは、前記流路の前記液体供給口よりも狭い、液体を放出するエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項18】
前記流路は先細りになっている、請求項17に記載のエレクトロスプレイエミッタ。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載のエレクトロスプレイエミッタのアレイ。
【請求項20】
シートを設けるステップと、
前記シートに穴をあけて、前記シート全体に延びる平坦な表面のアパーチャまで開口する流路を形成するステップと、
前記流路の近くで前記シートに溝を設けるステップと、
前記溝に部分的に導電体を充填して電極を形成するステップと、
前記溝内に前記電極を封止するステップと、
を含む、エレクトロスプレイエミッタの製造方法。
【請求項21】
前記シート内の前記溝及び流路の少なくとも一方は、エンボス加工、注入成形、又は射出成形のうちのいずれかによって設けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シートは非湿潤性材料で形成される、請求項20又は請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シートは、非湿潤性材料層及び基板層の積層体で形成される、請求項20又は請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記溝は非湿潤性材料層内に設けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溝は、前記アパーチャの反対側で前記シート内に設けられる、請求項20乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
基板に中ぐり穴をドリル加工するステップと、
前記中ぐり穴を塞ぐフォトレジスト層で基板を被覆するステップと、
前記中ぐり穴内の前記フォトレジスト層を貫通する流路を、フォトリソグラフィを利用して形成するステップと、
前記流路に液体を供給するように構成されるマニホルドを形成するステップと、
を含む、エレクトロスプレイエミッタの製造方法。
【請求項27】
フォトリソグラフィを利用して基板にパターンを付与するステップと、
重合体層で前記基板を被覆するステップと、
付与されたパターンをマスクとして利用して、前記基板及び前記重合体層を通る流路をアブレーション除去するステップと、
前記流路に液体を供給するように構成されるマニホルドを形成するステップと、
を含む、エレクトロスプレイエミッタの製造方法。
【請求項28】
前記流路の開口部の周りに非湿潤性層を設けるステップを更に含む、請求項26又は請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a)】
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【図11b)】
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【図11c)】
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【図11d)】
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【図11e)】
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【図12】
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【図13a)】
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【図13b)】
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【図13c)】
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【図13d)】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−510704(P2013−510704A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538398(P2012−538398)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002085
【国際公開番号】WO2011/058320
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(507078256)クイーン マリー アンド ウエストフィールド カレッジ (5)
【Fターム(参考)】