説明

エレベータのかご室内強制換気装置

【課題】この発明は、簡易なダクト構造でかご室内の空気を昇降路の外部に排出できるようにし、低価格化のエレベータのかご室内強制換気装置を得る。
【解決手段】開口21aの相対する両縁部のそれぞれに沿って鉛直方向に延在し、ピン23周りに回動可能に配設された一対の基部22aと、一対の基部22aのそれぞれから一体に鉛直ダクト20の内部に延設され、当接して開口21aを塞口する一対の舌部22cと、一対の基部22aのそれぞれと鉛直ダクト20の内壁面との間に配設され、一対の舌部22cを当接させるように付勢する戻しばねと、一対の基部22aのそれぞれから一体に鉛直ダクト20の外部に延設され、戻しばねの付勢力に抗する力を受けて一対の基部22aを回動させる一対の作動腕22bと、かご側ダクト12の昇降に連動して一対の作動腕22bを押圧しつつ昇降する押付けローラ17と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータのかご室内強制換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンションなどに設置されたエレベータは、生活環境と同居しており、朝の出勤時に生ゴミを運ぶ人がおり、その直後に乗り込むと、腐った特有の臭いが残っており、不愉快になることがある。
【0003】
そこで、吸気口および排気口を昇降路に開口するようにかご室に設け、送風機により昇降路内の空気を吸気口から吸入し、かご室内の空気を排気口から昇降路に排出する従来のエレベータのかご室の換気装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、従来のエレベータのかご室の換気装置では、かご室内の異臭のある空気が昇降路に排出され、昇降路内に拡散し、薄められて吸入口から取り込まれるので、かご室内の異臭がなかなか消えないという不具合があった。
【0005】
このような状況を鑑み、かご室に取り付けられたかご側ダクトと、かご室内の空気をかご側ダクトを介して排出するかご室排気ファンと、昇降路の上方に設置された第1ベルト車と昇降路の下方に設置された第2ベルト車とに巻き掛けられ、かご側ダクトの排出口側が取り付けられてかご室の昇降に連動して動くベルトと、第1ベルト車と第2ベルト車に巻き掛けられたベルトを収納するとともに、空気の通り道となる収納ダクトと、収納ダクトの上部と昇降路の外部とをつなぐ上部ダクトと、収納ダクトの下部と昇降路の外部とをつなぐ下部ダクトと、を備え、かご室排気ファンによりかご室内の空気をがご側ダクトから収納ダクトに排出し、上部ダクトから昇降路の外部に排出するようにした従来のエレベータのかご室内強制換気装置が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭49−135351号公報
【特許文献2】特開2010−269856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の従来のエレベータのかご室内強制換気装置では、かご室内の空気が昇降路の外部に排出されるので、かご室内に異臭が発生しても、その臭いは速やかに消える。
しかしながら、特許文献2に記載の従来のエレベータのかご室内強制換気装置では、かご側ダクトの排出口側が取り付けられたベルトをかご室の昇降に連動して動かす機構が大掛かり、かつ複雑なものとなり、装置の高価化が避けられないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡易なダクト構造でかご室内の空気を昇降路の外部に排出できるようにし、低価格化のエレベータのかご室内強制換気装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエレベータのかご室内強制換気装置は、排出口となるノズルを有し、吸入口側を上記かご室に取り付けられ、該かご室の昇降に連動して昇降するかご側ダクトと、上記かご側ダクト内に配設され、上記かご室内の空気を上記吸入口から該かご側ダクト内に吸入して上記ノズルから排出させるかご室排気ファンと、昇降路内に上下方向に延設され、上記ノズルが挿入される開口が上下方向に延在する鉛直ダクトと、上記開口を塞口するように上記鉛直ダクトに取り付けられ、上記ノズルが挿入される隙間が形成可能に構成されたファスナー機構部と、上記かご側ダクトに取り付けられ、該かご側ダクトの昇降に連動して上記ファスナー機構部の係合位置を変えつつ昇降し、該隙間を該かご側ダクトの昇降に連動して昇降するように該ファスナー機構部に形成する隙間形成手段と、上記鉛直ダクトの上部開口と上記昇降路の外部とを連通する上部ダクトと、上記鉛直ダクトの下部開口と上記昇降路の外部とを連通する下部ダクトと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノズルが挿入される隙間が形成可能に構成されたファスナー機構部が、開口を塞口するように鉛直ダクトに取り付けられ、隙間形成手段が、かご側ダクトの昇降に連動してファスナー機構部の係合位置を変えつつ昇降し、隙間をかご側ダクトの昇降に連動して昇降するようにファスナー機構部に形成している。そこで、かご側ダクトの排出口側が取り付けられたベルトをかご室の昇降に連動して動かすような大掛かりな機構が不要となり、かご室内強制換気装置の低価格化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータのかご室内強制換気装置が設置されたエレベータの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図1のIII−III矢視断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエレベータのかご室内強制換気装置におけるかご側ダクトと鉛直ダクトとの係合状態を説明する要部斜視図である。
【図5】図1のV−V矢視断面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のエレベータのかご室内強制換気装置の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータのかご室内強制換気装置が設置されたエレベータの構成を模式的に示す断面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1のIII−III矢視断面図、図4はこの発明の実施の形態1に係るエレベータのかご室内強制換気装置におけるかご側ダクトと鉛直ダクトとの係合状態を説明する要部斜視図、図5は図1のV−V矢視断面図、図6は図5のVI−VI矢視断面図である。
【0014】
図1において、かご室3は、例えば、駆動綱車(図示せず)に巻き掛けられた主ロープ(図示せず)の端部に固着され、昇降路1に上下方向に延設されたガイドレール(図示せず)に案内されて、昇降可能に配設されている。かご室3は、かご床4、かご床4上に立設され、かご室3内を昇降路1に対して隔離する側壁5、側壁5の上部を塞口する天井6、乗り場2との間で乗客8の乗降を行う出入り口のかご戸7、などを備えている。
【0015】
かご室内強制換気装置は、天井6に設置され、昇降路1内の空気をかご室3内に吸い込む天井ファン11、側壁5に取り付けられた排気用のかご側ダクト12、かご側ダクト12内に設置され、かご室3内の空気を排出するかご室排気ファン15、昇降路1内に上下方向に延設された鉛直ダクト20、鉛直ダクト20の上部と昇降路1の外部とを連通する上部ダクト25、鉛直ダクト20の下部と昇降路1の外部とを連通する下部ダクト27、上部ダクト25内に設置された排気ファン26、下部ダクト27内に設置された吸気ファン28などを備えている。
【0016】
かご側ダクト12は、図2および図4に示されるように、一端にノズル12aが延設された筒状体であり、ノズル12aが昇降路1内に延出するようにかご室3の一側壁5に取り付けられている。防塵フィルター13が、保護網14に支持されてかご側ダクト12の吸入口に配設されている。また、かご室排気ファン15がかご側ダクト12内の防塵フィルター13の排気側に配設されている。さらに、化粧カバー16がかご側ダクト12の吸入口を覆うように、側壁5の内面に取り付けられている。
【0017】
隙間形成手段としての押し付けローラ17は、図2および図4に示されるように、かご室3に取り付けられたかご側ダクト12に、ノズル12aの根元側の上端および下端のそれぞれに、ノズル12aを挟んで一対ずつ、ノズル12aの延出方向と直交する水平軸18回りに回転可能に取り付けられている。
【0018】
鉛直ダクト20は、図1、図3および図4に示されるように、開口21aが一壁面の長さ方向に延在する略断面矩形の所定長さのダクト21を、開口21aをかご側ダクト12が取り付けられた側壁5に向けて、昇降路1内に上下方向に連設して構成されている。開口21aには、ファスナー機構部が装着され、鉛直ダクト20内を昇降路1から隔離している。
【0019】
ファスナー機構部は、複数対のファスナー部材22と複数の戻しばね24とを備えている。
【0020】
ファスナー部材22は、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどの軟質材を用いて、作動腕22bと舌部22cとが基部22aから両側に延設された断面「へ」状の帯状体に作製されている。そして、ファスナー部材22は、図4に示されるように、基部22aをダクト21の開口21aの相対する両縁部のそれぞれに沿って鉛直方向に延在させて、基部22aを鉛直方向に挿通されたピン23周りに回動可能に、舌部22cをダクト21内に位置させて相対するように取り付けられている。両作動腕22bは開口21aの外部に基部22aから延設されている。両舌部22cは、開口21aから離れるにつれ互いに近づくようにダクト21内に配設されている。さらに、戻しばね24が、図3に示されるように、各ファスナー部材22の基部22aとダクト21の内壁面との間に、上下方向に所定の間隔で縮設されている。
【0021】
このように開口21aの相対する両縁部に配設されたファスナー部材22の対が、開口21aの上下方向の全域に連なって配設されている。そして、各対のファスナー部材22が、戻しばね24の付勢力によりピン23周りに回動し、相対する舌部22cが当接して、ダクト21内を昇降路1から隔離している。
【0022】
舌部22cは基部22aから離れるほど薄肉に形成され、可撓性を有している。また、基部22aおよび作動腕22bは、舌部22cに比べて肉厚に形成され、戻しばね24の付勢力や押し付けローラ17の押し付け力を受けて、ファスナー部材22をピン23周りに回動できるとともに、ピン23周りの回動力が付勢力や押し付け力の作用点からピン23の軸方向に離れるにつれ弱まるような剛性に調整されている。
【0023】
ここで、鉛直ダクト20は、図2に示されるように、かご側ダクト12のノズル12aの先端側が開口21aからダクト21内に入るような位置に配設されている。また、押し付けローラ17は、一対のファスナー部材22の作動腕22bを押圧してファスナー部材22をピン23周りに回動させ、舌部22c間にノズル12aが挿入可能な隙間を形成するように位置調整されて、かご側ダクト12に取り付けられている。
【0024】
上部ダクト25は、図5および図6に示されるように、鉛直ダクト20の上部開口と昇降路1の外部とを連通するように配設されている。そして、排気ファン26が上部ダクト25内に設置され、保護網14が上部ダクト25内の排気ファン26の排気側に設置されている。同様に、下部ダクト27が、鉛直ダクト20の下部開口と昇降路1の外部とを連通するように配設され、吸気ファン28が、下部ダクト27内に設置され、保護網14が下部ダクト27内の吸気ファン28の吸気側に設置されている。
【0025】
なお、開口21aの上端および上部ダクト25は、かご室3が最上階に着床したときに、かご側ダクト12より高い位置に設置され、開口21aの下端および下部ダクト27は、かご室3が最下階に着床したときに、かご側ダクト12より低い位置に設置されている。
また、かご室排気ファン15、排気ファン26および吸気ファン28などの換気ファンには、有圧換気ファンが用いられる。
【0026】
つぎに、このように構成されたかご室内強制換気装置の動作について説明する。
押し付けローラ17が、一対のファスナー部材22の作動腕22bを押圧すると、ファスナー部材22が戻しばね24の付勢力に抗してピン23周りに回動される。これにより、一対のファスナー部材22が開けられ、舌部22c間に隙間が形成される。
また、一対のファスナー部材22の作動腕22bへの押し付けローラ17の押圧を解除すると、戻しばね24の蓄勢力が放勢され、ファスナー部材22がピン23周りに回動される。これにより、一対のファスナー部材22が閉じられ、舌部22c同士が当接する。
このように、一対のファスナー部材22の押し付けローラ17に押し付けられている領域およびその前後の領域が開けられた状態となる。
【0027】
そして、かご側ダクト12は、かご室3の昇降に連動して昇降する。このかご側ダクト12の昇降に連動して、押し付けローラ17は、図4に示されるように、ファスナー部材22の作動腕22bを押圧しながら昇降する。これにより、一対のファスナー部材22の開けられた領域がかご室3の昇降に連動して昇降する。そこで、かご側ダクト12がノズル12aを一対のファスナー部材22の開けられた領域の舌部22c間の隙間から鉛直ダクト20内に延出させてかご室3の昇降に連動して昇降する。
【0028】
排気ファン26および吸気ファン28が駆動されると、図1に矢印で示されるように、下部ダクト27から鉛直ダクト20内に吸気され、鉛直ダクト20内を上方に流れ、上部ダクト25から外部に排気される空気の流れが形成される。そして、天井ファン11およびかご室排気ファン15が駆動されると、昇降路1内の空気がかご室3内に吸気され、かご室3内の空気がかご側ダクト12から鉛直ダクト20内に排気される。鉛直ダクト20内に排気されたかご室3内の空気は、鉛直ダクト20内を流れる空気の流れにのって鉛直ダクト20の上部にのぼり、昇降路1内に漏れることなく、上部ダクト25から外部に排気される。そこで、乗客8が持ち込んだゴミ袋9から発生した生ゴミなどの異臭は、かご室3内の空気とともに、昇降路1の外部に排気される。これにより、かご室3内の異臭をある空気が、天井ファン11により吸気された昇降路1内の空気と入れかえられ、かご室3内の異臭がなくなる。
【0029】
この実施の形態1によれば、鉛直ダクト20が上下方向に延設され、上部ダクト25および下部ダクト27が鉛直ダクト20の上部開口および下部開口と昇降路1の外部とを連通するように配設されている。一対のファスナー部材22が基部22aを鉛直ダクト20の開口21aの両縁部のそれぞれに沿わせて鉛直方向に延在させ、基部22aを鉛直方向に挿通するピン23周りに回動可能に取り付けられ、戻しばね24が舌部22c同士を当接させるように基部22aと鉛直ダクト20の内壁面との間に縮設されている。そして、押し付けローラ17が、一対のファスナー部材22の作動腕22bを押圧して、一対のファスナー部材22をピン23周りに回動させ、舌部22c間に隙間を形成するように、かご側ダクト12に取り付けられ、かご側ダクト12のノズル12aが舌部22c間に形成された隙間から鉛直ダクト20内に延出している。そして、かご室排気ファン15がかご側ダクト12内に配設されている。
【0030】
これにより、かご室3の昇降に連動して押し付けローラ17が昇降し、舌部22c間に形成される隙間が昇降し、ノズル12aが当該隙間内に位置しながら昇降するので、鉛直ダクト20内に排出されたかご室3内の空気の昇降路1内への漏れを抑えて、かご室3内の空気を昇降路1の外部に排出できる。そこで、乗客8が持ち込んだゴミ袋9から発生した生ゴミなどの異臭が昇降路1内に漏れ出てかご室3内に戻されるようなことが抑えられ、かご室3内の異臭がいつまでも残るような事態がなくなる。このように、かご側ダクト12の排出口側が取り付けられたベルトをかご室3の昇降に連動して動かすような大掛かりな機構が不要となり、かご室3内の空気を換気できるかご室内強制換気装置を簡易な構成を実現でき、低コスト化が図られる。
【0031】
また、上部ダクト25および下部ダクト27に排気ファン26および吸気ファン28が配設されているので、下部ダクト27から上部ダクト25に至る空気の上昇気流が鉛直ダクト20内に形成される。これにより、鉛直ダクト20内に排出されたかご室3内の空気は、鉛直ダクト20内の空気の上昇気流に乗って昇降路1の外部に排出されるので、鉛直ダクト20内に排出されたかご室3内の空気の昇降路1内への漏洩が抑えられる。そこで、鉛直ダクト20内に排出されたかご室3内の空気がかご室3内に戻されることがなく、かご室3内の空気がスムーズに換気される。
【0032】
ここで、排気ファン26の排気能力を吸気ファン28の吸気能力より大きくすれば、鉛直ダクト20内が負圧となり、鉛直ダクト20内に排出されたかご室3内の空気が昇降路1内に漏れ出ることが防止される。
【0033】
また、かご室排気ファン15、排気ファン26および吸気ファン28に有圧換気ファンが用いられているので、かご室3内の汚れた空気を昇降路1の外部に効率的に排出することができる。
また、防塵フィルター13がかご側ダクト12内に配設されているので、塵やごみが昇降路1の外部に排出されるのを防止できる。
【0034】
なお、上記実施の形態1では、上部ダクト25および下部ダクト27に排気ファン26および吸気ファン28を配設するものとしているが、排気ファン26および吸気ファン28を省略してもよし、排気ファン26および吸気ファン28の一方を省略してもよい。排気ファン26および吸気ファン28を省略した場合には、鉛直ダクト20内に排気されたかご室3内の空気は、かご室排気ファン15の送風能力により鉛直ダクト20内を流通し、上部ダクト25又は下部ダクト27から昇降路1の外部に排出される。また、排気ファン26および吸気ファン28の一方を省略した場合には、鉛直ダクト20内に下部ダクト27から上部ダクト25に向う空気の流れを形成できるので、鉛直ダクト20内に排気されたかご室3内の空気を効果的に昇降路1の外部に排出できる。
【0035】
また、上記実施の形態1では、排気ファン26を上部ダクト25内に配設して上部ダクト25を排気ダクトとして機能させ、吸気ファン28を下部ダクト27内に配設して下部ダクト27を吸気ダクトとして機能させるものとしているが、排気ファン26を下部ダクト27内に配設して下部ダクト27を排気ダクトとして機能させ、吸気ファン28を上部ダクト25内に配設して上部ダクト25を吸気ダクトとして機能させてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態1では、換気ファンが鉛直ダクト20内に配設されていないが、鉛直ダクト20内の空気の流速を補う必要があれば、換気ファンを鉛直ダクト20内に配設してもよい。
また、上記実施の形態1では、押し付けローラ17が作動腕22bを押圧してファスナー部材22を開いて舌部22c間に隙間を形成するものとしているが、押し付けローラ17が舌部22cの基部22a側を押圧してファスナー部材22を開いて舌部22c間に隙間を形成するようにしてもよい。この場合、基部22aをピン23周りに回動させて、あるいは舌部22cの根元側を弾性変形させて、舌部22c間に隙間を形成することになり、作動腕を省略できる。また、舌部22cの根元側を弾性変形させる形態では、舌部22cの復元力により舌部22c間を当接できるので、戻しばねを省略できる。
【符号の説明】
【0037】
3 かご室、12 かご側ダクト、12a ノズル、15 かご室排気ファン、20 鉛直ダクト、21 ダクト、21a 開口、22 ファスナー部材(ファスナー機構部)、22a 基部、22b 作動腕、22c 舌部、23 ピン、24 戻しばね(ファスナー機構部)、25 上部ダクト、26 排気ファン、27 下部ダクト、28 吸気ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご室内の空気を換気するエレベータのかご室内強制換気装置であって、
排出口となるノズルを有し、吸入口側を上記かご室に取り付けられ、該かご室の昇降に連動して昇降するかご側ダクトと、
上記かご側ダクト内に配設され、上記かご室内の空気を上記吸入口から該かご側ダクト内に吸入して上記ノズルから排出させるかご室排気ファンと、
昇降路内に上下方向に延設され、上記ノズルが挿入される開口が上下方向に延在する鉛直ダクトと、
上記開口を塞口するように上記鉛直ダクトに取り付けられ、上記ノズルが挿入される隙間が形成可能に構成されたファスナー機構部と、
上記かご側ダクトに取り付けられ、該かご側ダクトの昇降に連動して上記ファスナー機構部の係合位置を変えつつ昇降し、該隙間を該かご側ダクトの昇降に連動して昇降するように該ファスナー機構部に形成する隙間形成手段と、
上記鉛直ダクトの上部開口と上記昇降路の外部とを連通する上部ダクトと、
上記鉛直ダクトの下部開口と上記昇降路の外部とを連通する下部ダクトと、
を備えたエレベータのかご室内強制換気装置。
【請求項2】
上記ファスナー機構部は、上記開口の相対する両縁部のそれぞれに沿って鉛直方向に延在し、鉛直軸周りに回動可能に配設された一対の基部と、上記一対の基部のそれぞれから一体に上記開口から離れるにしたがい互いに近づくように上記鉛直ダクトの内部に延設され、当接して上記開口を塞口する一対の舌部と、上記一対の基部のそれぞれと上記鉛直ダクトの内壁面との間に配設され、上記一対の舌部を当接させるように付勢する戻しばねと、上記一対の基部のそれぞれから一体に上記鉛直ダクトの外部に延設され、上記戻しばねの付勢力に抗する力を受け、上記一対の舌部間に上記隙間を形成するように上記一対の基部を回動させる一対の作動腕と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のエレベータのかご室内強制換気装置。
【請求項3】
上記隙間形成手段は、上記ノズルの上端側および下端側に、それぞれ該ノズルを挟んで水平軸周りに回転可能に配置され、上記かご側ダクトの昇降に連動して上記一対の作動腕を押圧しつつ昇降する押し付けローラであることを特徴とする請求項2記載のエレベータのかご室内強制換気装置。
【請求項4】
上記上部ダクトおよび上記下部ダクトの少なくとも一方に換気ファンを備え、該下部ダクトから該上部ダクトに向う空気の流れ、若しくは該上部ダクトから該下部ダクトに向う空気の流れを上記鉛直ダクト内に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータのかご室内強制換気装置。
【請求項5】
上記換気ファンは有圧換気ファンであることを特徴とする請求項4記載のエレベータのかご室内強制換気装置。
【請求項6】
防塵フィルターが、上記かご側ダクト内に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエレベータのかご室内強制換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107756(P2013−107756A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255063(P2011−255063)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】