説明

エレベータのかご室照明装置

【課題】透光板の受光面を外部の塵埃による汚れから保護でき、かつ、かご室内への出張り寸法を小さくできるエレベータのかご室照明装置を提供すること。
【解決手段】かご室の天井板2と、この天井板2と略平行に広がっておりLED22が設けられた発光パネル20と、この発光パネル20の下面21aを覆って設けられた透光板30と、発光パネル20および透光板30を天井板2に対し固定する固定手段40とを備え、天井板2に開口部3が設けられ、透光板30は、発光パネル20側で開口する凹部31aを成し開口部3に挿入された本体部31と、この本体部31の外周全体から突出して設けられ、開口部3の周囲で天井板2に引っ掛かる環状の抜け止め部32と、この抜け止め部32よりも上方に位置し発光パネル20の縁部21cが載置された環状の支持部33とを備え、発光パネル20の縁部が支持部33に載置された状態において発光パネル20は凹部を塞いで位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に配列された複数の発光素子を光源としてエレベータの乗りかご内を照明するエレベータのかご室照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの乗りかごの天井には、乗りかご内を照明するかご室照明装置が設けられている。このかご室照明装置は、乗りかごのかご室の天井を成す天井板の下面(かご室側の面)に取り付けられた補強板と、この補強板の下面に取り付けられ発光素子が設けられた発光パネルと、この発光パネルの下面に支柱を介して取り付けられ発光素子を覆って位置する透光板とを備えている。発光パネルと透光板と間には、支柱の長さ分の隙間があいている。このように構成されたかご室照明装置において、発光素子により発せられた光は透光板で拡散されつつこの透光板を透過し、かご室内を照明する。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−338825公報(段落0029〜0033,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のかご室照明装置では、発光パネルと透光板とは支柱の長さ分の隙間があいている。このため、発光素子からの光を受ける透光板の受光面は、発光パネルと透光板との間に入った塵埃により汚れやすく、したがって受光面を頻繁に清掃する必要があった。また、従来のかご室照明装置は、かご室内に出張っているため、乗客に圧迫感を与える懸念がある。
【0005】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、透光板の受光面を外部の塵埃による汚れから保護でき、かつ、かご室内への出張り寸法を小さくできるエレベータのかご室照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために本発明は次のように構成されている。
【0007】
〔1〕 本発明に係るエレベータのかご室照明装置は、乗りかごのかご室の天井を成す天井板と、この天井板の広がり方向と略平行な方向に広がって位置し前記かご室側の面に発光素子が設けられた発光パネルと、この発光パネルの前記かご室側の面を覆って設けられた透光板と、前記発光パネルおよび前記透光板を前記天井板に対して固定する固定手段と、を備え、前記発光素子により発せられた光は、前記透光板で拡散されつつこの透光板を透過し、前記かご室内を照明するエレベータのかご室照明装置において、前記天井板にはこれを貫通した開口部が設けられ、前記透光板は、前記発光パネル側で開口する凹部を成し前記開口部に前記発光パネル側から挿入された本体部と、この本体部の外周全体から前記天井板の広がり方向に突出して設けられ、前記開口部の周囲において前記天井板に引っ掛かる環状の抜け止め部と、この抜け止め部よりも上方に位置し、前記発光素子の周囲に位置する前記発光パネルの縁部が載置された環状の支持部と、を備え、前記発光パネルの縁部が前記支持部に載置された状態において、前記発光パネルは前記凹部を塞いで位置することを特徴とする。
【0008】
この「〔1〕」に記載のエレベータのかご室照明装置はかご室内を照明する際、発光素子により発せられた光を、透光板の本体部の凹部の内面、すなわち受光面で受ける。本体部は天井板の開口部に挿入されているので、受光面で受けられた光は本体部で拡散されつつこれを透過し、かご室内に至る。
【0009】
特に、「〔1〕」に記載のエレベータのかご室照明装置においては、発光パネルの縁部が透光板の支持部に載置された状態において、発光パネルは透光板の本体部の凹部を塞いで位置するので、外部から凹部内に塵埃が入ることはなく、したがって、透光板の受光面(凹部の内面)を外部の塵埃による汚れから保護することができる。
【0010】
さらに、「〔1〕」に記載のかご室照明装置において、透光板は抜け止め部により開口部の周囲において天井板に引っ掛かり、抜け止め部よりも上方において発光パネルを支持部により本体部の下端(かご室側の端部)に対し位置決めする。これにより、発光パネル全体と、天井板の下面から発光パネルのかご室側の面までの領域に位置する透光板の部分とが天井板よりも下方に出張らない。したがって、かご室内へのかご室照明装置の出張り寸法を従来よりも小さくすること、または、出張り寸法をなくすことができる。
【0011】
〔2〕 本発明に係るエレベータのかご室照明装置は「〔1〕」に記載のエレベータのかご室照明装置において、前記抜け止め部と前記支持部との間には、前記発光パネルから前記本体部の下端までが占める領域の一部を、前記天井板よりも上方の領域に吸収するスペーサ部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
この「〔2〕」に記載のかご室照明装置は、スペーサ部によって、発光パネルから本体部の下端までが占める領域のうち天井板よりも上方の領域に吸収した領域の上下方向の寸法分だけ、天井板からかご室内への出張り寸法を短縮することができる。また、発光パネルと本体部の凹部の内面(受光面)との上下方向の間隔を、天井板からの透光板の出張り寸法を大きくすることなく確保できる。その間隔の確保が特に必要な場合としては、例えば、透光板の本体部のかご室内に露出した面を略均一に発光させる面発光を生じさせる場合が挙げられる。
【0013】
〔3〕 本発明に係るエレベータのかご室照明装置は、「〔1〕」または「〔2〕」に記載のエレベータのかご室照明装置において、前記固定手段は、前記発光パネルを上方から覆って前記天井板の上面に着脱可能に取り付けられたカバー部材と、このカバー部材または前記発光パネルに設けられ、前記発光パネルを弾性力により前記支持部に押し付ける押付手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この「〔3〕」に記載のエレベータのかご室照明装置は、固定手段が天井板の上面に位置するので固定手段をかご室内に露出させないようにすることができ、かつ、カバー部材で発光パネルを保護することができる。また、カバー部材の天井板への取付けと同時に発光パネルを押付手段により透光板の支持部に押し付けて発光パネルおよび透光板を天井板に対して固定でき、また、カバー部材の天井板からの取外しと同時に発光パネルおよび透光板の天井板に対する固定を解くことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るかご室照明装置は、前述のように透光板の受光面を外部の塵埃による汚れから保護でき、かつ、かご室内への出張り寸法を小さくできる。これによって、かご室照明装置の清掃の頻度を少なくでき、かつ、かご室照明装置により乗かごの乗客に対し与えられる圧迫感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエスカレータのかご室を、このかご室の奥側からかご戸側に向かって見た場合の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るかご室照明装置の分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るかご室照明装置の縦断面図である。
【図4】図3に示したかご室照明装置の一方の側部の拡大図である。
【図5】図1等に示したかご室照明装置にリニューアルされる前のかご室照明装置の縦断面図である。
【図6】第2実施形態に係るかご室照明装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1,第2実施形態に係るかご室照明装置について説明する。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るかご室照明装置について図1〜図4を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、エレベータのかご室1の天井は天井板2により形成されている。この天井板2には、第1実施形態に係るかご室照明装置10が4灯設けられている。なお、図1中の4はかご戸である。
【0020】
図2,図3に示すように、かご室照明装置10は、かご室1の天井を成す天井板2と、この天井板2の広がり方向(水平方向)と略平行な方向に広がって位置しかご室1側の面に発光素子であるLED22(図3参照)が設けられた発光パネル20と、この発光パネル20の下面21a(かご室1側の面)を覆って設けられた透光板30とを備えている。
【0021】
発光パネル20は、天井板2の広がり方向と略平行な方向に広がって位置し長方形状に形成された板部材である基板21を備えている。この基板21の下面21a(かご室1側の面)には、LED22が複数配列されている。隣り合うLED22の間隔は一定であり、基板21のかご室1側の面の略全体に均一に点在している。ただし、基板21の縁部21cにはLED22は設けられていない。基板21の上面21b(かご室1側とは反対側の面)には、コネクタ23が設けられている。このコネクタ23は全てのLED22に電気的に接続されているとともに、配線24に接続されている。配線24を介して電源から供給される電力により複数のLED22は点灯するようになっている。
【0022】
天井板2には、これを貫通した長方形状の開口部3が設けられている。透光板30は透光性および光拡散性により面発光性能を発揮するアクリル製の部材であり、上面視において長方形状に形成されている。この透光板30は、発光パネル20側で開口する凹部31aを成し開口部3に発光パネル20側から挿入された上面視長方形状の本体部31と、この本体部31の外周全体から天井板2の広がり方向に突出して設けられた環状の抜け止め部32と、抜け止め部32よりも上方に位置した環状の支持部33とを備えている。抜け止め部32は、開口部3の周囲において天井板2の上面に引っ掛かっている。支持部33には、複数のLED22全体の周囲に位置する発光パネル20の縁部21cが載置されている。発光パネル20の縁部21cが支持部33に載置された状態において、縁部21c全体が支持部33に面接触または線接触し、これによって発光パネル20は凹部31aを塞いで位置する。
【0023】
天井板2の下面2aに対する本体部31の出張り寸法X1は、抜け止め部32からの本体部31の突出寸法hにより決まる。当然、この突出寸法hが小さいほど出張り寸法X1は小さくなる。したがって、出張り寸法X1が乗りかごの乗客に圧迫感を与えることが懸念される場合には突出寸法hを小さく設定すればよく、これによって例えば天井板2の下面2aと略同一面となるよう突出寸法hを設定してもよい。
【0024】
かご室照明装置10において、透光板30の本体部31は前述のように天井板2の開口部3に挿入されている。したがって、かご室照明装置10は、かご室1内を照明する際、LED22により発せられた光を、透光板30の本体部31の凹部31aの内面、すなわち受光面で受け、本体部31の下面31cで面発光させてかご室1内を照明する。
【0025】
透光板30は抜け止め部32と支持部33との間にスペーサ部34を備えている。このスペーサ部34は、抜け止め部32および支持部33のそれぞれの広がり方向(水平方向)に対して略垂直に立ち上がっている。本体部31と抜け止め部32とスペーサ部と支持部33は全体として階段状を成している。スペーサ部34は、発光パネル20から本体部31の下端までが占める領域の一部を、天井板2よりも上方の領域に吸収するものである。抜け止め部32から支持部33までの高さ寸法は、スペーサ部34により高さ寸法iに設定されている。この高さ寸法iと突出寸法hとの合計寸法jは、透光板30の本体部31のかご室1に露出した面である下面31cに、略均一に発光する面発光を生じさせるために適切な寸法として設定されている。LED22の輝度および本体部31の面発光性能を変更しない場合、合計寸法jは短縮できない。したがって、出張り寸法X1を小さくするために突出寸法hを小さく設定すると、高さ寸法hを大きく設定することになり、同時に、天井板2の上面2bに対するカバー部材41の出張り寸法X2も大きく設定することになる。出張り寸法X2を大きく変更するには、乗りかごの昇降路のオーバーヘッドの寸法も大きくする必要が生じる場合がある。一般的にはエレベータの省スペース化が望まれている中で、昇降路のオーバーヘッドの寸法を大きくするような設計変更は好ましくないので、このオーバーヘッドの設計変更が伴はない範囲で、出張り寸法X1が小さくなるよう突出寸法hと高さ寸法iが設定されている。
【0026】
本体部31と開口部3との寸法関係は、透光板30の本体部31の外側面31bと天井板2の開口部3の内側面3aとの間に、隙間Sが生じるよう設定されている。この隙間Sは、本体部31の開口部3に対する抜き差しを可能にしている。また、開口部3の内側面3aは、本体部31の水平方向への移動を抑えている。
【0027】
また、支持部33の外縁部には環状の規制部35が上方に突出して設けられており、この規制部35によって、天井板2の広がり方向に平行な方向への発光パネル20の移動が規制されている。
【0028】
また、かご室照明装置10は、天井板2に発光パネル20および透光板30を天井板2に対して固定する固定手段40を備えている。この固定手段40は、発光パネルを上方から覆って天井板2の上面に着脱可能に取り付けられたカバー部材と、このカバー部材41に設けられ発光パネル20を弾性力により支持部33に押し付ける押付手段としての鋼製の板バネ42とを備えた。
【0029】
カバー部材41は、外形が直方体状に形成されており、下側が開口した凹状を成す。このカバー部材41の側部には取付孔41bが設けられており、この取付孔41bにネジ44でL字状の取付金具43の一辺43aが取り付けられている。取付金具43の他辺43bは、天井板2の上面に固定されている。
【0030】
板バネ42は、カバー部材41の内側において上板部41aの略中央に2つ設けられている。これらの板バネ42は下方向に末広がり状を成している。発光パネル20は透光板30の支持部33に載置された状態で水平方向の移動を透光板30の規制部35より規制されることに加え、板バネ42により支持部33に押し付けられていることにより、天井板2に対して固定されている。
【0031】
ところで、既存のかご室照明装置には、図5に示す既存のかご室照明装置100がある。この既存のかご室照明装置は、第1実施形態に係るかご室照明装置10のカバー部材41と同形状のカバー部材101を備えている。このカバー部材101は、天井板2に固定された取付金具43にネジ止めされている。このカバー部材101の内側の略中央には、円環状の蛍光管102が取り付けられている。天井板2には開口部3があけられており、この開口部3には、第1実施形態における透光板30とは異なる形状の透光板103が挿入されている。この既存のかご室照明装置100の構成は、第1実施形態に係るかご室照明装置10の構成と、天井板2に開口部3が開いている点で共通している。したがって、既存のかご室照明装置100をリニューアルする場合、開口部3を流用して第1実施形態に係るかご室照明装置10に取り替えることができる。このリニューアルであれば、かご室の天井の構造全体を刷新するよりも、工期を短くコストを安く済ませることができる。
【0032】
そのリニューアルの手順を次に説明する。
【0033】
はじめに、既存のかご室照明装置100の撤去作業を行う。この撤去作業では、作業員は始めに、乗りかごの上部に乗って制御ボックス(図示してない)に接続されている配線24を取り外す。次に、取付金具43からカバー部材101を取り外す。次に、カバー部材101から蛍光管102を取り外し、透光板103を天井板2から取り外す。最後に、透光板103が取り外されて露出した開口部3の周囲を清掃し、これで撤去作業が終了する。
【0034】
次に、かご室照明装置10の新設作業を行う。この新設作業では、作業員は始めに、乗りかごの上部に乗って透光板30の本体部31を、天井板2の開口部3に挿入し、開口部3の周囲において天井板2に透光板30の抜け止め部32を載置して引掛ける。これにより、透光板30は開口部3の位置に保持される。次に、発光パネル20の縁部21cを透光板30の支持部33に載置する。この状態では、発光パネル20は規制部35により水平方向の移動を規制されている。次に、発光パネル20のコネクタ23に配線24を電気的に接続する。次に、配線24をカバー部材41の通線孔41cに通し、その状態のカバー部材41で発光パネル20および透光板30を上方から覆いつつ、2つの取付孔41bのそれぞれが2つ取付金具43のそれぞれの位置に配されるよう天井板2の上面2bにカバー部材41を載置する。次に、カバー部材41を2つの取付金具43にネジ止めする。この状態では、発光パネル20は2つの板バネ42の弾性力により透光板30の支持部33に押し付けられ、透光板30の抜け止め部32は2つの板バネ42の弾性力により発光パネル20越しに天井板2の上面に押し付けられ、これにより、天井板2に対して発光パネル20および透光板30が固定された状態となる。最後に、配線24を制御ボックスに電気的に接続し、これで新設作業は終了する。
【0035】
第1実施形態に係るかご室照明装置10によれば次の効果を得られる。
【0036】
第1実施形態に係るかご室照明装置10においては、発光パネル20の縁部21cが透光板30の支持部33に載置された状態で発光パネル20は凹部31aを塞いで位置するので、外部から凹部31a内に塵埃が入ることはなく、したがって、透光板30の受光面(凹部の内面)を外部の塵埃による汚れから保護することができる。これにより、かご室照明装置の清掃の頻度を少なくできる。
【0037】
第1実施形態に係るかご室照明装置10において、透光板30は抜け止め部32により開口部3の周囲において天井板2に引っ掛かり、抜け止め部32よりも上方において発光パネル20を支持部33により本体部31の下端(かご室1側の端部)に対し位置決めする。これにより、発光パネル20全体と、天井板2の下面2aから発光パネル20の下面2a(かご室1側の面)までの領域に位置する透光板30の部分とが天井板2よりも下方に出張らない。したがって、かご室内へのかご室照明装置の出張り寸法を従来よりも小さくすること、または、出張り寸法をなくすことができる。これにより、かご室照明装置により乗かごの乗客に対し与えられる圧迫感を低減できる。
【0038】
第1実施形態に係るかご室照明装置10は、透光板30のスペーサ部34によって、発光パネル20から透光板30の本体部31の下端までが占める領域(寸法jに係る領域)のうち天井板2よりも上方の領域に吸収した領域の上下方向の寸法「j−X1」分だけ、天井板2からかご室1内への出張り寸法を短縮することができる。また、発光パネル20と本体部31の凹部31aの内面(受光面)との上下方向の間隔、すなわち、透光板30の本体部31の下端で適切な面発光を生じさせるための間隔(寸法j)を、天井板2からの透光板30の出張り寸法を大きくすることなく確保できる。
【0039】
第1実施形態に係るかご室照明装置10は、固定手段40が天井板2の上面2bに位置するので固定手段40をかご室1内に露出させないようにすることができ、かつ、カバー部材41で発光パネル20を保護することができる。また、カバー部材41の天井板2への取付けと同時に発光パネル20を2つの板バネ42(押付手段)により透光板30の支持部33に押し付けて発光パネル20および支持部33を天井板2に対して固定でき、また、カバー部材41の天井板2からの取外しと同時に発光パネル20および透光板30の天井板2に対する固定を解くことができる。
【0040】
第1実施形態に係るかご室照明装置10は、既存のかご室照明装置100の天井板2の開口部3、取付金具43およびネジ44を利用して、その既存のかご室照明装置100からのリニューアルを行うことができ、これによってリニューアルの工期の短縮およびコストの削減に貢献できる。
【0041】
なお、前述の第1実施形態において、カバー部材41に設けられ発光パネル20を弾性力により支持部33に押し付ける押付手段は板バネ42であったが、本発明における押圧手段は板バネに限定されるものではなく、ゴム製の弾性部材、ウレタン樹脂製の弾性部材であってもよい。また、押圧手段の設けられる個所は、カバー部材41ではく発光パネル20であってもよい。
【0042】
また、第1実施形態において、発光パネル20の縁部21cは透光板30の支持部33に直接載置されているが、ゴム製、シリコン製等のパッキングを発光パネル20の縁部21cと支持部33との間に介在させてもよく。これにより、透光板30の受光面の汚れを防止する性能を向上させることができる。
【0043】
また、第1実施形態に係るかご室照明装置10は、かご室1内から見て長方形状になるよう形成されていたが、長方形以外の多角形、円形、楕円形など、どんな形状であってもよい。
【0044】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るかご室照明装置について図6を用いて説明する。
【0045】
図6に示すように、第2実施形態に係るかご室照明装置200は、第1実施形態に係る透光板30とは異なる形状の透光板201を備えている。この透光板201の面発光性能は透光板30と同じである。透光板201以外のかご室照明装置200の構成は、かご室照明装置10の構成と同様である。
【0046】
かご室照明装置200の透光板201は、かご室照明装置10の透光板30のようにスペーサ部34を備えていない。なお、透光板201の板厚がスペーサ部として機能していると考えることもできるが、第2実施形態においてその板厚によるスペーサ部としての機能は実質的ではないため、第2実施形態においてはその考えを採用していない。このように透光板201がスペーサ部34を備えてない場合、本体部31の天井板2の下面に対する出張り寸法X1は、適切な面発光に必要な寸法jを確保するために第1実施形態の透光板30よりも大きく設定されている。
【0047】
第2実施形態に係るかご室照明装置200によれば、第1実施形態に係るかご室照明装置10と同様に、発光パネル20の縁部21cが透光板201の支持部33に載置された状態において、発光パネル20は凹部31aを塞いで位置するので、外部から凹部31a内に塵埃が入ることはなく、したがって、透光板201の受光面(凹部の内面)を外部の塵埃による汚れから保護することができる。これにより、かご室照明装置の清掃の頻度を少なくできる。また、発光パネル20全体と、天井板2の下面2aから発光パネル20の下面21a(かご室1側の面)までの領域に位置する透光板201の部分とが天井板2よりも下方に出張らない。したがって、かご室1内へのかご室照明装置の出張り寸法を従来よりも小さくすることができ、これによって、かご室照明装置により乗かごの乗客に対し与えられる圧迫感を低減できる。
【0048】
第2実施形態に係るかご室照明装置200は第1実施形態に係るかご室照明装置10と同様に、固定手段40が天井板2の上面2bに位置するので固定手段40をかご室1内に露出させないようにすることができ、かつ、カバー部材41で発光パネル20を保護することができる。また、カバー部材41の天井板2への取付けと同時に発光パネル20を2つの板バネ42(押付手段)により透光板201の支持部33に押し付けて発光パネル20および支持部33を天井板2に対して固定でき、また、カバー部材41の天井板2からの取外しと同時に発光パネル20および透光板201の天井板2に対する固定を解くことができる。
【0049】
第2実施形態に係るかご室照明装置200は第1実施形態に係るかご室照明装置10と同様に、既存のかご室照明装置100の天井板2の開口部3、取付金具43およびネジ44を利用して、その既存のかご室照明装置100からのリニューアルを行うことができ、これによってリニューアルの工期の短縮およびコストの削減に貢献できる。
【符号の説明】
【0050】
1 かご室
2 天井板
2a 下面
2b 上面
3 開口部
10 かご室照明装置
20 発光パネル
21 基板
21a 下面
21b 上面
21c 縁部
22 LED(発光素子)
30 透光板
31 本体部
31a 凹部
31b 外側面
31c 下面
32 抜け止め部
33 支持部
34 スペーサ部
35 規制部
40 固定手段
41 カバー部材
42 板バネ(押付手段)

200 かご室照明装置
201 透光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごのかご室の天井を成す天井板と、この天井板の広がり方向と略平行な方向に広がって位置し前記かご室側の面に発光素子が設けられた発光パネルと、この発光パネルの前記かご室側の面を覆って設けられた透光板と、前記発光パネルおよび前記透光板を前記天井板に対して固定する固定手段と、を備え、
前記発光素子により発せられた光は、前記透光板で拡散されつつこの透光板を透過し、前記かご室内を照明するエレベータのかご室照明装置において、
前記天井板にはこれを貫通した開口部が設けられ、
前記透光板は、前記発光パネル側で開口する凹部を成し前記開口部に前記発光パネル側から挿入された本体部と、この本体部の外周全体から前記天井板の広がり方向に突出して設けられ、前記開口部の周囲において前記天井板に引っ掛かる環状の抜け止め部と、この抜け止め部よりも上方に位置し、前記発光素子の周囲に位置する前記発光パネルの縁部が載置された環状の支持部と、を備え、
前記発光パネルの縁部が前記支持部に載置された状態において、前記発光パネルは前記凹部を塞いで位置する
ことを特徴とするエレベータのかご室照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータのかご室照明装置において、
前記抜け止め部と前記支持部との間には、前記発光パネルから前記本体部の下端までが占める領域の一部を、前記天井板よりも上方の領域に吸収するスペーサ部が設けられた
ことを特徴とするエレベータのかご室照明装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエレベータのかご室照明装置において、
前記固定手段は、前記発光パネルを上方から覆って前記天井板の上面に着脱可能に取り付けられたカバー部材と、
このカバー部材または前記発光パネルに設けられ、前記発光パネルを弾性力により前記支持部に押し付ける押付手段と
を備えたことを特徴とするエレベータのかご室照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168361(P2011−168361A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32924(P2010−32924)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】