説明

エレベータのドア制御装置

【課題】エレベータの乗りかご内の乗客の快適さを損なう事を防止する。
【解決手段】実施形態によれば、交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力の脈動を平滑化し、平滑化された直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して出力する電力変換部をもつ。また、電力変換部から出力された交流電力で駆動して乗りかごのかごドアを開閉駆動させるドアモータとをもつ。また、かごドアが開いている場合に、電力変換部の可変周波数を可聴帯域外でかつ、乗りかごへの害虫の侵入防止効果がある所定の周波数に切り換える周波数切換部をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの乗りかごのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば乗場のドアが屋外に面したエレベータにおいて、乗りかごのドアが開いている際に、蛾や蠅、蚊などの害虫と呼ばれる虫が乗りかご内の照明等に引き寄せられてドアから当該乗りかご内に侵入する場合がある。特に、夏場は虫の飛来数が多いため、多数の虫が乗りかご内に侵入する場合が多い。また、夜間は、乗り場等の照明に多数の虫が引き寄せられて乗りかご内に侵入する場合が多い。乗りかご内に虫が侵入すると乗客に不快感を与えてしまうが、この侵入した虫はなかなか乗りかご外に出ていかない場合が多い上、この虫を人的に乗りかご外に追い払うことは難しい。
【0003】
このような、乗りかご内への虫の侵入への対策としては、乗りかご内へ害虫駆除剤を噴射したり、かご内照明の放射紫外線を吸収したりする事が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−96483号公報
【特許文献2】特開平8−143248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような対処の手法では、人体の健康への影響が懸念されたり、機器の大幅な改造や設備の追加が必要であったりして、実用には適していなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、エレベータの乗りかご内の乗客の快適さを損なう事を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力の脈動を平滑化し、平滑化された直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して出力する電力変換部をもつ。また、実施形態によれば、電力変換部から出力された交流電力で駆動して乗りかごのかごドアを開閉駆動させるドアモータとをもつ。また、実施形態によれば、かごドアが開いている場合に、電力変換部の可変周波数を可聴帯域外でかつ、乗りかごへの害虫の侵入防止効果がある所定の周波数に切り換える周波数切換部をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図3】第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図。
【図4】第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の周波数多段階切り換えの例を示す図。
【図5】第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図6】第3の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図。
【図7】第3の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図8】第4の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図。
【図9】第4の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図示はしないが、エレベータの乗りかごは、巻上機の回転軸に設けられたシーブおよびそらせシーブに巻き掛けられたメインロープを介して吊り合い重りと連結される。乗りかごは、巻上機の駆動によるシーブの回転に伴い、シーブとメインロープの間の摩擦力により吊り合い重りとともに昇降路内を互いに上下反対方向に昇降する。
【0010】
乗りかごの正面にはかごドアが開閉自在に設けられている。乗客は乗りかごが各階の乗場に着床したときに、このかごドアを通じて出入りすることになるが、そのときに例えば蛾や蠅、蚊などの害虫が侵入することがある。本実施形態では、このような害虫が乗りかご内に侵入する事を防止するものである。
【0011】
図1は、第1の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態におけるエレベータのドア制御装置は乗りかごの上部などに設置され、乗りかごのかごドアを駆動させるドアモータ1、電力変換器2、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)出力部3、制御電源部4、電圧指令出力部5、戸開検出部6、キャリア周波数切換部7、キャリア周波数設定部8、ドア駆動電源部9を備える。
【0012】
電力変換器2は、ドアモータ1に対する供給電力を制御するものであり、スイッチング素子を用いてインバータ回路やチョッパ回路で構成される。
PWM出力部3は、かごドアの開閉状態に応じて電圧指令出力部5から出力される電圧指令値と、キャリア周波数切換部7から出力される、ドアモータ1の駆動にかかるPWM制御のためのキャリア周波数とに応じてPWMスイッチングパターンを生成し、このPWMスイッチングパターンを電力変換器2に出力する。
【0013】
ドア駆動電源部9は、電力変換器2にドア駆動電源となる三相交流電源を供給する。ドア駆動電源部9から供給される三相交流電源は電力変換器2の整流器で直流に全波整流され、平滑コンデンサでリップル分が吸収され電力変換器2のインバータ回路に供給される。このインバータ回路においては、ダイオードとスイッチング素子との並列回路をブリッジ接続している。そして、このインバータの各スイッチング素子をPWM出力部3からのPWMスイッチングパターンに従ってチョッパ回路で高速に通電遮断制御することによって、入力された直流を任意の周波数及び電圧を有した三相交流に変換してドアモータ1に供給する。そして、電圧指令出力部5からの電圧指令値に応じてドアモータ1の回転速度および回転トルクが制御され、かごドアの駆動制御が行われる。
【0014】
制御電源部4は、電力変換器2内のスイッチング素子のPWMスイッチングを所定の制御電源キャリア周波数により行なうDC/DCコンバータでなり、電力変換器2内のスイッチング素子の駆動用の電圧を供給する。
キャリア周波数設定部8は、ドアモータ1の駆動にかかるPWM制御のためのキャリア周波数の標準値である標準キャリア周波数f0および、標準キャリア周波数f0より高い高キャリア周波数fHをキャリア周波数切換部7に設定する。標準キャリア周波数f0は、可聴帯域(20Hz〜20kHz)外でかつ電力変換器2内のスイッチング素子の損失を極力低減した周波数が選択される。また、高キャリア周波数fHは、可聴帯域外でかつ虫が嫌悪する周波数に設定されている。
【0015】
キャリア周波数設定部8による標準キャリア周波数f0および高キャリア周波数fHは、図示しない設定用スイッチを操作することで任意に変更することができる。
【0016】
キャリア周波数切換部7は、かごドアの戸閉時、つまりかごドアが完全に閉扉している場合には、キャリア周波数設定部8により設定された標準キャリア周波数f0をPWM出力部3に出力する。
【0017】
戸開検出部6は、かごドアの戸開、つまりかごドアが少しでも開扉した状態となった事を検出すると、戸開信号をキャリア周波数切換部7に出力する。キャリア周波数切換部7は、戸開信号を入力すると、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を標準キャリア周波数f0からキャリア周波数設定部8により設定された高キャリア周波数fHに切り換える。これにより、PWM出力部3は、前述した電圧指令値と高キャリア周波数fHとに応じてPWMスイッチングパターンを生成する。
【0018】
図2は、第1の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
初期状態では、かごドアは閉扉しており、キャリア周波数切換部7は、標準キャリア周波数f0をPWM出力部3に出力しているものとする。
戸開検出部6は、かごドアの戸開を検出すると(ステップS1)、戸開信号をキャリア周波数切換部7に出力し、この出力を継続する(ステップS2)。
【0019】
キャリア周波数切換部7は、戸開信号を入力すると(ステップS3)、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を標準キャリア周波数f0から高キャリア周波数fHに切り換える(ステップS4)。
【0020】
戸開検出部6は、かごドアの戸閉がなされると(ステップS5)、出力していた戸開信号を停止する(ステップS6)。すると、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を、高キャリア周波数fHから標準キャリア周波数f0に切り換える(ステップS7)。
【0021】
以上のように、第1の実施形態におけるエレベータのかごドア制御装置は、かごドアの戸閉時以外において、電力変換器2のPWM制御のためのキャリア周波数を、虫が嫌悪する高い周波数に切り換えるので、ドアモータや電力変換器から高いキャリア周波数に応じた高周波騒音が発生し、かごドアから乗りかご内への虫が侵入を防止する事が可能となる。虫が嫌悪する周波数は人間の可聴域よりも高い周波数であるため、乗りかご内の乗客に対して不快感を与える事はない。よって、乗客はエレベータを快適に利用する事ができる。
【0022】
また、電力変換器2のPWM制御のためのキャリア周波数を高キャリア周波数とした状態が継続すると、電力変換器2内のスイッチング素子の温度が徐々に上昇してしまうが、本実施形態では、戸閉時は、電力変換器2のPWM制御のためのキャリア周波数を標準キャリア周波数f0としているので、前述したようなスイッチング素子の温度の上昇を最小限に留める事が出来る。
【0023】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態におけるエレベータのドア制御装置のうち、図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
乗りかごに侵入する虫には様々な種類があり、虫の種類によって、この虫が嫌悪する周波数は異なるので、前述した高キャリア周波数が単一の周波数である場合は、複数種類の虫の乗りかごへの侵入を防げない場合がある。本実施形態は、複数種類の虫の乗りかごへの侵入を防ぐものである。
【0024】
図3は、第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態におけるドア制御装置は、第1の実施形態と比較して、キャリア周波数設定部8を備える代わりに、可変キャリア周波数設定部11を備える。
可変キャリア周波数設定部11は、第1の実施形態と同様に、標準キャリア周波数f0および、高キャリア周波数fHをキャリア周波数切換部7に設定する。ただし、可変キャリア周波数設定部11は、高キャリア周波数fHの設定値を所定の複数種類の設定値から所定時間間隔で例えばランダムに選択した設定値をキャリア周波数切換部7に設定する。これらの複数種類の高キャリア周波数fHは、複数種類のいずれかの虫が嫌悪する任意のキャリア周波数帯域に属する。
【0025】
図4は、第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の周波数多段階切り換えの例を示す図である。
本実施形態では、可変キャリア周波数設定部11が選択した高キャリア周波数fHが属する周波数帯域は、周波数f1と周波数f2(>f1)の間の帯域とする。この場合、可変キャリア周波数設定部11が設定する高キャリア周波数fHは、周波数分解能をΔfとすると、f1,f1+Δf,f1+Δf×2,…,f1+Δf×n,f2となる。この分解能Δfは図示しない操作用スイッチを操作することで任意に設定できる。
【0026】
図5は、第2の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、前述した第1の実施形態で説明したS1からS4の動作により、高キャリア周波数fHへの切り換えがなされた後、可変キャリア周波数設定部11は、内蔵タイマによる計時の結果、高キャリア周波数fHへの切り換え時から所定時間が経過すると(ステップS11のYES)、高キャリア周波数fHを、前述した周波数f1と周波数f2の間の複数種類の設定値から選択した設定値をキャリア周波数切換部7に設定する。この結果、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を、新たに設定された高キャリア周波数fHに切り換え(ステップS12)、ステップS11に戻る。
【0027】
また、所定時間経過前においては(ステップS11のNO)、かごドアが戸閉していなければステップS11に戻り、戸閉した場合は(ステップS13のYES)、戸開検出部6は、戸開信号を停止する(ステップS6)。すると、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を、高キャリア周波数fHから標準キャリア周波数f0に切り換える(ステップS7)。
【0028】
以上のように、第2の実施形態におけるエレベータのかごドア制御装置は、第1の実施形態で説明した特徴に加え、複数の種類の虫のそれぞれが嫌悪するキャリア周波数が異なる場合にも、これらの異なるキャリア周波数のそれぞれを出力するので、複数の種類の虫のそれぞれの乗りかごへの侵入を防止することが可能となり、防虫効果を向上させることができる。
【0029】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
前述したようにPWM出力部3に出力するキャリア周波数を高キャリア周波数fHに切り換えると、電力変換器2内のスイッチング素子の温度が上昇し、当該スイッチング素子の破損を引き起こす可能性がある。本実施形態は、スイッチング素子の温度上昇を抑制するものである。
【0030】
図6は、第3の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態におけるドア制御装置は、第1の実施形態と比較して、電力変換器2内のスイッチング素子の温度を検出する温度検出部12をさらに備える。
【0031】
温度検出部12は、電力変換器2内のスイッチング素子の温度の検出値が所定の温度基準値を超過した場合に、温度超過信号を電圧指令出力部5及びキャリア周波数切換部7に出力し、この温度検出値が温度基準値以下となるまで当該温度超過信号の出力を継続する。また、温度検出部12は、温度検出値が温度基準値以下となった場合は、温度超過信号の出力を停止する。
温度基準値としては、電力変換器2内のスイッチング素子の許容ジャンクション温度に対して余裕度を持たせた設定値や当該スイッチング素子のパワーサイクル寿命から算出した設定値が挙げられる。
【0032】
キャリア周波数切換部7は、温度検出部12から入力した温度超過信号に応じて、PWM出力部3に出力していた高キャリア周波数fHの値を所定時間が経過するごとに徐々に低減させ、温度超過信号が停止すると高キャリア周波数fHの低減を停止する。
【0033】
キャリア周波数切換部7は、電力変換器2内のスイッチング素子の温度が下がらない場合は、最終的には当初の高キャリア周波数fHの値を標準キャリア周波数f0まで低減させる。これにより電力変換器2内のスイッチング素子の温度上昇を抑制することが出来る。
【0034】
また、電圧指令出力部5は、温度検出部12から入力した温度超過信号に応じて、PWM出力部3に出力していた電圧指令値を所定時間が経過するごとに徐々に低減させ、温度超過信号が停止すると電圧指令値の低減を停止する。
【0035】
図7は、第3の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
まず、前述した第1の実施形態で説明したS1からS4の動作により、高キャリア周波数fHへの切り換えがなされた後、電力変換器2内のスイッチング素子の温度検出値が温度基準値を超過して温度検出部12が温度超過信号を出力し、この温度超過信号をキャリア周波数切換部7および電圧指令出力部5が入力した場合(ステップS21のYES)、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力している高キャリア周波数fHを所定値だけ低減させる(ステップS22)。また、電圧指令出力部5は、PWM出力部3に出力する電圧指令値を所定値だけ低減させる(ステップS23)。
【0036】
温度検出部12による電力変換器2内のスイッチング素子の温度検出値が温度基準値以下となり、温度超過信号の出力が停止すると(ステップS24のYES)、キャリア周波数切換部7は、高キャリア周波数fHの低減を停止し(ステップS25)、電圧指令出力部5は、電圧指令値の低減を停止し(ステップS26)、ステップS21に戻る。
【0037】
また、温度検出部12による温度検出値が温度基準値を超過したままで、温度超過信号の出力が停止していない状態では(ステップS24のNO)、キャリア周波数切換部7は、内蔵タイマによる計時の結果、所定時間が経過すると、PWM出力部3に出力している高キャリア周波数fHをさらに低減し、電圧指令出力部5は、内蔵タイマによる計時の結果、所定時間が経過すると、PWM出力部3に出力している電圧指令値をさらに低減する(ステップS27→S22,S23)。
【0038】
また、温度超過信号の出力が停止していない状態における所定時間が経過していない状態では(ステップS27のNO)、かごドアが戸閉していなければステップS24に戻り、戸閉した場合は(ステップS28のYES)、戸開検出部6は、戸開信号を停止する(ステップS6)。すると、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を、高キャリア周波数fHから標準キャリア周波数f0に切り換える(ステップS7)。そして、電圧指令出力部5は、PWM出力部3に出力している電圧指令値を初期値に戻す(ステップS29)。
【0039】
以上のように、第3の実施形態におけるエレベータのかごドア制御装置は、第1の実施形態で説明した特徴に加え、電力変換器2内のスイッチング素子の温度が基準値を超過した場合に、PWM制御のための高キャリア周波数および電圧指令値を低減させるので、電力変換器2内のスイッチング素子の温度上昇を抑制することができ、当該素子の異常加熱による破損を開扉することができる。なお、電圧指令値を低減させる事により、かごドアの開閉速度は低減するが、高キャリア周波数fHの値のみを低減させる場合と比較して、電力変換器2内のスイッチング素子の温度上昇の抑制効果を高めることができる。
【0040】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図8は、第4の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
本実施形態におけるドア制御装置は、第1の実施形態と比較して、制御電源キャリア周波数切換部13をさらに備える。この制御電源キャリア周波数切換部13は制御電源部4に接続され、制御電源キャリア周波数を、通常の制御電源キャリア周波数と通常より高い制御電源キャリア周波数との間で切り換える。
【0041】
本実施形態では、戸開検出部6は、かごドアの戸開を検出すると、戸開信号をキャリア周波数切換部7および制御電源キャリア周波数切換部13に出力する。
【0042】
図9は、第4の実施形態におけるエレベータのドア制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
初期状態では、かごドアは閉扉しており、キャリア周波数切換部7は、標準キャリア周波数f0をPWM出力部3に出力し、制御電源キャリア周波数切換部13は、制御電源部4による制御電源キャリア周波数を通常の制御電源キャリア周波数に切り換えているものとする。
戸開検出部6は、かごドア戸開を検出すると(ステップS31)、戸開信号をキャリア周波数切換部7及び制御電源キャリア周波数切換部13に出力する(ステップS32)。
【0043】
キャリア周波数切換部7は、戸開信号を入力すると(ステップS33)、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を標準キャリア周波数f0から高キャリア周波数fHに切り換える(ステップS34)。
【0044】
また、制御電源キャリア周波数切換部13は、戸開信号を入力すると、制御電源部4に出力する制御電源キャリア周波数を、通常の制御電源キャリア周波数から通常より高い制御電源キャリア周波数に切り換える(ステップS35)。
【0045】
戸開検出部6は、かごドアの戸閉がなされると(ステップS36)、戸開信号を停止する(ステップS37)。すると、キャリア周波数切換部7は、PWM出力部3に出力するキャリア周波数を、高キャリア周波数fHから標準キャリア周波数f0に切り換える(ステップS38)。
【0046】
また、制御電源キャリア周波数切換部13は、戸開信号の停止にともない、制御電源部4に出力する制御電源キャリア周波数を通常の制御電源キャリア周波数に切り換える(ステップS39)。
【0047】
以上のように、第4の実施形態におけるエレベータのかごドア制御装置は、かごドアの戸閉時でない場合に、制御電源部4による制御電源キャリア周波数を、通常の制御電源キャリア周波数から通常より高い制御電源キャリア周波数に切り換えるので、制御電源部4から高い制御電源キャリア周波数に応じた高周波騒音が発生し、第1の実施形態と同様に、かごドアの開扉中に乗りかご内に虫が侵入する事を防止することが可能となる。
【0048】
また、制御電源部4による制御電源キャリア周波数を高いキャリア周波数とした状態が継続すると、制御電源部4内のスイッチング素子の温度が徐々に上昇してしまうが、本実施形態では、戸閉時は、制御電源キャリア周波数を通常の制御電源キャリア周波数としているので、前述したような温度の上昇を最小限に留める事が出来る。
【0049】
これらの実施形態によれば、乗りかご内への虫の侵入を防止し、乗りかご内の乗客の快適さを損なう事を防止することが可能になるエレベータのドア制御装置を提供することができる。
【0050】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ドアモータ、2…電力変換器、3…PWM出力部、4…制御電源部、5…電圧指令出力部、6…戸開検出部、7…キャリア周波数切換部、8…キャリア周波数設定部、9…ドア駆動電源部、11…可変キャリア周波数設定部、12…温度検出部、13…制御電源キャリア周波数切換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力を直流電力に変換し、前記変換された直流電力の脈動を平滑化し、前記平滑化された直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換して出力する電力変換部と、
前記電力変換部から出力された交流電力で駆動して乗りかごのかごドアを開閉駆動させるドアモータと、
前記かごドアが開いている場合に、前記電力変換部の可変周波数を可聴帯域外でかつ前記乗りかごへの害虫の侵入防止効果がある所定の周波数に切り換える周波数切換部と
を備えたことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
前記周波数切換部は、
前記可変周波数を、可聴帯域外でかつ、前記乗りかごへの害虫の侵入防止効果がある所定の複数種類の周波数から選択した何れかの周波数に切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
前記電力変換器内のスイッチング素子の温度を測定する温度測定手段をさらに備え、
前記周波数切換部は、
前記温度測定手段により測定した温度が所定の基準値を超えた場合に、前記切り換えた可変周波数を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
前記電力変換部の前記可変電圧の指令値を出力する電圧指令出力部と、
前記電力変換器内のスイッチング素子の温度を測定する温度測定手段とをさらに備え、
前記電圧指令出力部は、
前記温度測定手段により測定した温度が所定の基準値を超えた場合に、前記可変電圧の指令値を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項5】
前記電力変換器内のスイッチング素子の駆動電源を供給するスイッチング電源と、
前記かごドアが開いている場合には、前記スイッチング電源の周波数を、可聴帯域外でかつ、前記乗りかごへの害虫の侵入防止効果がある所定の周波数に切り換える第2の周波数切換部とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−17186(P2012−17186A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156166(P2010−156166)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】