説明

エレベータの安全装置

【課題】乗降口を撮影する撮像手段から得られた画像信号に基づいて異物を検知する第1異物検知手段と乗降口を横切る光ビームを用いて異物を検知する第2異物検知手段とを具え、これらの異物検知手段の故障の発生を検知することが可能なエレベータの安全装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るエレベータの安全装置は、第1異物検知手段、第2異物検知手段及び故障検知手段を具えている。故障検知手段は、かごドアが全開状態から全閉状態となるまでの過程で、第1異物検知手段による異物検知動作及び第2異物検知手段による異物検知動作が実行されている期間に、第1異物検知手段及び第2異物検知手段の内、一方の異物検知手段によって異物検知信号が生成されているのに対し、他方の異物検知手段によっては異物検知信号が生成されていないときに、何れか一方の異物検知手段に故障が発生していると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータの安全装置に関し、より具体的には、かごドアが閉じる過程で異物が挟み込まれたときの安全を図るエレベータの安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいては、例えば犬等のペットを紐に繋いで乗りかごに乗るとき、ペットが乗り場フロアに残ったまま人が乗りかごに乗り込むと、乗りかごの内部と乗り場フロアに跨って紐が張られた状態で、かごドアと乗り場ドアが閉じて、乗りかごが上昇若しくは下降することになる。この結果、ペットに繋がっている紐によって人の手が強く引っ張られ、場合によっては手首等に大きな傷を受ける虞がある。
【0003】
そこで、乗りかごの乗降口を横切る光ビームを生成して、該光ビームを人や異物が遮ると、かごドア及び乗り場ドアを閉じ動作から開き動作に反転させることが行なわれている(例えば特許文献1参照)。
又、撮像装置によって乗降口が撮影され、撮影によって得られた画像信号に基づいて紐状の異物が存在すると判断されると、かごドア及び乗り場ドアを閉じ動作から開き動作に反転させることが行なわれている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−169009号公報
【特許文献2】特開2006−89190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光ビームを用いて異物を検知する異物検知手段を具えたエレベータ及び撮像装置から得られた画像信号に基づいて異物を検知する異物検知手段を具えたエレベータの何れのエレベータにおいても、異物検知手段に乗りかごの乗降口に異物が存在するにも拘わらず異物を検知できない何らかの故障が発生した場合に、危険回避動作が行なわれないという異常事態が発生する問題があった。逆に、異物検知手段に乗降口に異物が存在しないにも拘わらず異物を検知してしまう何らかの故障が発生した場合には、反転戸開き動作が何度も繰り返されるという異常事態が発生する問題があった。
そこで本発明の目的は、乗降口を撮影する撮像手段から得られた画像信号に基づいて異物を検知する第1異物検知手段と乗降口を横切る光ビームを用いて異物を検知する第2異物検知手段とを具え、これらの異物検知手段の故障の発生を検知することが可能なエレベータの安全装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータの安全装置は、乗降口を開閉する少なくとも1つのかごドアを具えたエレベータの安全装置であって、
乗降口を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段から得られた画像信号に基づいて前記乗降口に異物が存在するか否かを判断し、異物が存在すると判断したときに異物検知信号を生成する第1異物検知手段と、
乗降口を横切る光ビームを出射する投光手段と該投光手段から出射された光ビームを検知する受光手段と該受光手段による光ビームの検知が中断されたときに異物検知信号を生成する信号生成手段とによって構成される第2異物検知手段と、
前記かごドアが全開状態から全閉状態となるまでの過程で、前記第1異物検知手段による異物検知動作及び前記第2異物検知手段による異物検知動作が実行されている期間に、前記第1異物検知手段及び前記第2異物検知手段の内、一方の異物検知手段によって異物検知信号が生成されているのに対し、他方の異物検知手段によっては異物検知信号が生成されていないときに、何れか一方の異物検知手段に故障が発生していると判断する故障検知手段
とを具えている。
【0007】
上記本発明に係るエレベータの安全装置においては、かごドアが全開状態から全閉状態となるまでの過程で、少なくとも一部の期間に、第1異物検知手段による異物検知動作及び第2異物検知手段による異物検知動作が実行される。
第1異物検知手段及び第2異物検知手段の両異物検知手段が正常である場合、前記期間には、両異物検知手段による異物検知信号の生成の有無は一致する。そこで、前記期間に、第1異物検知手段及び第2異物検知手段の内、一方の異物検知手段によって異物検知信号が生成されているのに対し、他方の異物検知手段によっては異物検知信号が生成されていないときに、何れか一方の異物検知手段に故障が発生していると判断される。
【0008】
具体的構成において、前記第2異物検知手段の前記投光手段と前記受光手段と前記信号生成手段とによって投光/受光ユニットが構成され、該投光/受光ユニットは乗降口の上方に光ビームの出射方向を下方へ向けて配備されており、更に、
乗降口の下方に上方へ向けて配備された反射部材と、
前記撮像手段から得られた画像信号に基づいて、前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在するか否かを検出する光点有無検出手段
とを具えている。そして、前記故障検知手段は、
前記第1異物検知手段によって異物検知信号が生成されていないのに対し、前記第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されている場合に、前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されたか否かを判断する第1判断手段と、
前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されたと判断された場合に、前記第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判定する第1故障判定手段
とを具えている。
【0009】
上記具体的構成においては、乗りかごの乗降口に異物が存在しない場合、第2異物検知手段から出射される光ビームは反射部材の反射面により反射されて第2異物検知手段へ入射する。従って、第2異物検知手段による光ビームの検知が中断されることはなく、第2異物検知手段によって異物検知信号は生成されない。これに対し、乗降口に異物が存在する場合には、第2異物検知手段から出射される光ビームが該異物によって遮られるので、第2異物検知手段による光ビームの検知が中断され、その結果、第2異物検知手段によって異物検知信号が生成される。
上記具体的構成においては、反射部材の反射面に光ビームの光点が存在する場合には、乗降口に光ビームを遮る異物は存在しないと考えられる。そこで、第1異物検知手段によって異物検知信号が生成されていないのに対し、第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されている場合であって、反射部材の反射面に光ビームの光点が存在する場合には、第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判断される。尚、この場合のオン故障は、異物検知信号の出力回路におけるトランジスタのオン故障或いは断線によるもの、投光手段からの光ビームの出射量不足によるもの、反射部材の傾斜による受光量不足によるものであると考えられる。
【0010】
又、具体的構成において、前記故障検知手段は、
前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されなかったと判断された場合に、前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があったか否かを判断する第2判断手段と、
前記第2判断手段によって前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点がなかったと判断された場合に、前記第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判定する第2故障判定手段
とを具えている。
【0011】
乗降口に異物が存在する場合には、第2異物検知手段から出射される光ビームが該異物に遮られる時点或いは期間にのみ異物検知信号が生成されることになるので、第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があるはずである。
そこで上記具体的構成においては、反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在しない場合であって、第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点がなかった場合に、第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判定される。尚、この場合のオン故障は、投光手段からの光ビームの出射量不足によるものであると考えられる。
【0012】
更に具体的構成において、前記故障検知手段は、
前記第2判断手段によって前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があったと判断された場合に、前記第1異物検知手段に異物が存在するにも拘わらず異物検知信号を生成できない故障が発生していると判定する。
【0013】
上述の如く、乗降口に異物が存在する場合には、第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があるはずである。
そこで上記具体的構成においては、反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在しない場合であって、第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があった場合に、第1異物検知手段に異物が存在するにも拘わらず異物検知信号を生成できない故障が発生していると判定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエレベータの安全装置によれば、第1異物検知手段及び第2異物検知手段の何れかの異物検知手段に故障が発生したことを検知することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るエレベータの全体構成を表わすブロック図である。
【図2】画像処理による異物検知手続きを表わすフローチャートである。
【図3】上記エレベータにおいて実行される制御手続きの第1部を表わすフローチャートである。
【図4】上記制御手続きの第2部を表わすフローチャートである。
【図5】敷居上に異物が存在しない場合に2値化処理後に得られる画像を表わす図である。
【図6】敷居上に紐状の異物が存在する場合に2値化処理後に得られる画像を表わす図である。
【図7】異物が細い紐である場合や紐状の異物が敷居を含む背景と同じ様な色であって背景と溶け込んでいる場合に2値化処理後に得られる画像を表わす図である。
【図8】上記画像に対し膨張処理を施して得られる画像を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るエレベータは、図1に示す如く、乗りかごの乗降口を開閉する左右一対のかごドア(11)(12)を具えたセンターオープンタイプのエレベータであって、かごの内壁には、行先階を指定するため行先階ボタンやかごドアを開閉するための開閉ボタンを具えた操作部(51)と、停止している階数や通過した階数などの種々の情報を表示するための表示部(52)とが配備されている。これらの操作部(51)及び表示部(52)には、エレベータ全体の動作を制御するエレベータ制御装置(7)が接続されている。
上記エレベータの上部には、かごドアを駆動するドアモータ(図示省略)及び該ドアモータに取り付けられたロータリエンコーダ(60)を具えたドア駆動装置(6)と、前記ドアモータの回転を制御すると共に前記ロータリエンコーダ(60)から得られるエンコーダパルス信号に基づいて両かごドア(11)(12)の閉じ位置を検出するドアモータ制御装置(61)とが配備されている。ドアモータ制御装置(61)は、前記エレベータ制御装置(7)に接続されており、ドアモータ制御装置(61)からエレベータ制御装置(7)に両かごドア(11)(12)の閉じ位置を表わすドア位置信号が供給される。
【0017】
乗降口上方のフレーム(41)には、撮像装置(2)が乗降口下方の敷居(42)の上方空間が撮影範囲Aとなる様に撮影方向を敷居(42)に向けて固定されている。該撮像装置(2)は前記エレベータ制御装置(7)に接続されており、該撮像装置(2)から得られる画像信号は該エレベータ制御装置(7)に供給される。
【0018】
又、一対のかごドア(11)(12)が全閉状態にて互いに当接する当接位置を上下に延びる直線上の位置において、前記フレーム(41)には鉛直下方へ向けて投光/受光ユニット(3)が配備される一方、前記敷居(42)には鉛直上方へ向けて反射部材(30)が配備されている。
投光/受光ユニット(3)は、レーザ光を出射すべき投光器と入射してくるレーザ光を検知すべき受光器とを一体に具えている。投光/受光ユニット(3)の投光器としては例えば赤色半導体レーザが採用され、これによって直径1〜2mmのスポットが形成される。投光/受光ユニット(3)の受光器は、入射光による受光量が所定の閾値を上回っているときは異物検知信号を生成しないのに対し、入射光による受光量が所定の閾値を下回っているときは異物検知信号を生成する。投光/受光ユニット(3)は、前記エレベータ制御装置(7)に接続されており、投光/受光ユニット(3)によって生成された異物検知信号は該エレベータ制御装置(7)に供給される。
【0019】
上記エレベータ制御装置(7)は入出力回路(71)を具えており、該入出力回路(71)に、上記の操作部(51)、表示部(52)、ドアモータ制御装置(61)、撮像装置(2)及び投光/受光ユニット(3)が接続されている。
又、前記入出力回路(71)には、バス(70)を介して、前記操作部(51)からの操作信号に応じて乗りかごの昇降動作を制御する昇降制御手段(72)と、前記表示部(52)の表示動作を制御する表示案内制御手段(73)と、前記投光/受光ユニット(3)に対してレーザ投光オン指令或いはレーザ投光オフ指令を出力するレーザ投光オン/オフ指令手段(74)と、前記ドアモータ制御装置(61)に対してかごドア開指令或いはかごドア閉指令を出力するかごドア開閉指令手段(75)と、前記撮像装置(2)から得られる画像信号に基づいて異物の存在の有無を判断し、異物が存在すると判断したときに異物検知信号を生成する後述の異物検知処理を実行する異物検知手段(76)と、前記投光/受光ユニット(3)の出力及び該異物検知手段(76)の出力に基づいてかごドア開閉指令手段(75)の指令動作を制御すると共に前記ドアモータ制御装置(61)から得られるドア位置信号に基づいてレーザ投光オン/オフ指令手段(74)の指令動作を制御する安全制御手段(77)とが接続されている。
前記安全制御手段(77)は、投光/受光ユニット(3)及び異物検知手段(76)の故障を検知することが可能であって、前記バス(70)には更に、前記撮像装置(2)から得られる画像信号に基づいて反射板(30)の反射面上にレーザ光の光点が存在するか否かを検出する光点有無検出手段(78)と、公衆回線(8)を介して監視センター(9)と通信を行なうための通信手段(79)とが接続されている。
【0020】
図2は、上記異物検知手段(76)によって実行される異物検知処理の具体的手続きを表わしている。先ずステップS1では、撮像装置から1フレーム分の画像信号を取り込む。次にステップS2にて、取り込んだ画像信号に対して、画像サイズを所定サイズに変換するリサイズ処理を施した後、ステップS3では、リサイズ処理の施された画像信号に対して所定の領域成分を抽出するトリミング処理を施す。これによって、撮影画像から不要な領域が削除された、所定の解像度を有する画像が得られる。
【0021】
続いてステップS4では、トリミング処理によって得られた画像信号に対して2値化処理を施す。
図5は、敷居(42)上に異物が存在しない場合に2値化処理後に得られる画像を表わし、図6は、敷居(42)上に乗りかごと乗り場フロアに跨る紐状の異物が存在する場合に2値化処理後に得られる画像を表わしている。敷居(42)上に異物が存在しない場合には、図5に示す如く敷居(42)の溝部分のみが黒色に変換された画像が得られるのに対して、紐状の異物が存在する場合には、図6に示す如く敷居(42)の溝部分と異物部分が黒色に変換された画像が得られる。この様に、2値化処理後、乗りかごと乗り場フロアに跨る紐状の異物は黒色の縦エッジとなって画像中に表われることになる。
【0022】
その後、図2のステップS5では、2値化処理後の画像信号に対して黒色領域を膨張させる膨張処理を施す。この様に、2値化処理後の画像信号に対して膨張処理を施す理由は、次の通りである。
異物が細い紐である場合や、紐状の異物が敷居を含む背景と同じ様な色であって背景と溶け込んでいる場合には、異物部分が断片的に黒色に変換され、その結果、紐状の異物が図7に示す如く不鮮明な縦エッジとなって画像中に表われることになる。敷居(42)上に乗りかごと乗り場フロアに跨る紐状の異物が存在するか否かの判断は、後述の如く、画像中に黒色の縦エッジが存在するか否かによって行なわれるのであるが、上述の如く紐状の異物が不鮮明な縦エッジとなって表われた場合には、異物が存在するにも拘わらず、異物が検知されない虞がある。このため、2値化処理後の画像信号に対して膨張処理が施されるのである。この膨張処理によって、図8に示す如く黒色の縦エッジが強調されることになる。
【0023】
続いて図2のステップS6では、膨張処理の施された画像信号に基づいて敷居上に異物が存在するか否かを判断する。ここで、該判断は、画像中に図6及び図8に示す如く水平方向に対する傾き角度θが所定の角度θ0よりも大きい黒色の縦エッジが存在するか否かによって行なわれる。
画像中に黒色の縦エッジが存在しない場合には、図2のステップS6にてノーと判断されてステップS1に戻る一方、画像中に黒色の縦エッジが存在する場合には、ステップS6にてイエスと判断されてステップS7に移行し、異物検知信号を生成して安全制御手段に出力した後、ステップS1に戻る。
【0024】
本発明に係るエレベータにおいては、両かごドア(11)(12)の戸開状態での待機中には、エレベータ制御装置(7)の安全制御手段(77)は、投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を停止させると共に、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作及び異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。尚、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作が無効とされると、その後に投光/受光ユニット(3)によって生成される異物検知信号が無効化され、異物検知手段(76)による異物検知動作が無効とされると、その後に異物検知手段(76)によって生成される異物検知信号が無効化されることになる。
その後、両かごドア(11)(12)の戸閉動作が開始されたときに、安全制御手段(77)は、異物検知手段(76)による異物検知動作を有効とし、その後、両かごドア(11)(12)が閉方向端面間の幅が人(幼児)の通過できない所定幅(例えば70mm)となる所定の閉じ位置まで閉じたときに、投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を開始させると共に、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を有効とする。このとき、異物検知手段(76)による異物検知動作は有効な状態に維持される。
安全制御手段(77)は、両かごドア(11)(12)が全開状態から前記所定の閉じ位置まで閉じる過程では、異物検知手段(76)によって異物検知信号が生成されない限り、両かごドア(11)(12)の閉じ動作を継続する。これに対し、異物検知手段(76)は、紐状の異物を検知したとき、異物検知信号を生成して安全制御手段(77)へ出力する。これに応じて、安全制御手段(77)は、両かごドア(11)(12)を閉じ動作から開き動作に反転させると共に、異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。
【0025】
その後、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じてから全閉状態となるまでの過程では、投光/受光ユニット(3)から出射されたレーザ光は、図中に破線の矢印で示す如く、その進路に異物が存在しない限り、反射板(30)によって反射され、投光/受光ユニット(3)へ戻ってくることになる。投光/受光ユニット(3)は、レーザ光が検知されているときは異物検知信号を生成しない。安全制御手段(77)は、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じてから全閉状態となるまでの過程で、投光/受光ユニット(3)或いは異物検知手段(76)によって異物検知信号が生成されない限り、両かごドア(11)(12)の閉じ動作を継続する。
これに対し、投光/受光ユニット(3)は、レーザ光の検知が中断されたとき、異物検知信号を生成して安全制御手段(77)へ出力する。又、異物検知手段(76)は、紐状の異物を検知したとき、異物検知信号を生成して安全制御手段(77)へ出力する。安全制御手段(77)は、投光/受光ユニット(3)或いは異物検知手段(76)からの異物検知信号に応じて、両かごドア(11)(12)を閉じ動作から開き動作に反転させると共に、投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を停止させる。又、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作及び異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。
【0026】
本発明に係るエレベータにおいては、上述の如く、両かごドア(11)(12)が全開状態から前記所定の閉じ位置まで閉じるまでは異物検知手段(76)によって異物を検知することが出来、その後、両かごドア(11)(12)が全閉状態となるまでは異物検知手段(76)及び投光/受光ユニット(3)によって異物を検知することが出来る。
又、上述の如く、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じた後においても異物検知手段(76)による異物検知動作を有効とすることによって、より確実に異物を検知することが出来る。
【0027】
又、本発明に係るエレベータにおいては、両かごドア(11)(12)が全開状態から前記所定の閉じ位置まで閉じる過程で、異物検知手段(76)による異物検知信号の生成によって反転戸開きが所定回数以上繰り返された場合に、安全制御手段(77)は、その旨を監視センター(9)に通知する。監視センター(9)では、この通知を受けて、かご内の監視カメラ(図示省略)により異物検知手段(76)に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成するオン故障が発生しているか否かが確認される。尚、このオン故障は、異物検知信号を出力する回路におけるトランジスタのオン故障或いは断線によるもの、異物検知処理を実行するソフトウエアのバグによるものであると考えられる。異物検知手段(76)にオン故障が発生していると判断された場合には、監視センター(9)からその旨が安全制御手段(77)に通知される。
安全制御手段(77)は、監視センター(9)からの通知を受けて、異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。その後、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じた時点で、投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を開始させると共に、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を有効とし、投光/受光ユニット(3)の出力に基づいて上述の危険回避動作を行なう。
【0028】
又、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じてから全閉状態となるまでの過程では、投光/受光ユニット(3)によって異物検知信号が生成されているのに対し、異物検知手段(76)によっては異物検知信号が生成されていない場合に、投光/受光ユニット(3)及び異物検知手段(76)の何れかに故障が発生しているものと推定される。
そこで、この場合、異物検知手段(76)或いは投光/受光ユニット(3)による異物検知信号の生成によって反転戸開きが所定回数以上繰り返された場合に、安全制御手段(77)は、光点有無検出手段(78)に検出動作を実行させる。光点有無検出手段(78)は、異物検知手段(76)による上述の異物検知方法と同様の方法により、撮像装置(2)から得られた画像信号に基づいて反射板(30)の反射面上にレーザ光の光点が存在するか否かを検出する。尚、光点検出方法としては、周知の種々の方法を採用することが出来る。
【0029】
反射板(30)の反射面にレーザ光の光点が存在する場合には、乗降口にレーザ光を遮る異物が存在しないと考えられるため、安全制御手段(77)は、投光/受光ユニット(3)に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成するオン故障が発生していると判断し、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を無効とすると共に投光/受光ユニット(3)にオン故障が発生している旨を監視センター(9)に通知する。尚、この場合のオン故障は、異物検知信号の出力回路におけるトランジスタのオン故障或いは断線によるもの、投光器からのレーザ光の出射量不足によるもの、反射板(30)の傾斜による受光量不足によるものであると考えられる。その後、安全制御手段(77)は、両かごドア(11)(12)を全閉状態まで閉じると共に、異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。
【0030】
これに対し、反射板(30)の反射面にレーザ光の光点が存在しない場合には、安全制御手段(77)は更に、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じた時点で投光/受光ユニット(3)によるレーザ光の出射動作が開始されてから投光/受光ユニット(3)によって異物検知信号が生成されない時点があったか否かを判断する。
乗降口に異物が存在する場合には、投光/受光ユニット(3)から出射されるレーザ光が該異物に遮られる時点或いは期間にのみ異物検知信号が生成されることになるので、投光/受光ユニット(3)によって異物検知信号が生成されない時点があるはずである。
そこで、投光/受光ユニット(3)によって異物検知信号が生成されない時点がなかった場合には、安全制御手段(77)は、投光/受光ユニット(3)にオン故障が発生していると判断し、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を無効とすると共に投光/受光ユニット(3)にオン故障が発生している旨を監視センター(9)に通知する。尚、この場合のオン故障は、投光器からのレーザ光の出射量不足によるものであると考えられる。その後、安全制御手段(77)は、両かごドア(11)(12)を全閉状態まで閉じると共に、異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とする。
【0031】
投光/受光ユニット(3)によって異物検知信号が生成されない時点があった場合には、上述の如く乗降口に異物が存在すると考えられるため、安全制御手段(77)は、異物検知手段(76)に異物が存在するにも拘わらず異物検知信号を生成できないオフ故障が発生していると判断し、異物検知手段(76)による異物検知動作を無効とすると共に異物検知手段(76)にオフ故障が発生している旨を監視センター(9)に通知する。又、この場合、乗降口に異物が存在するものと推定されるため、両かごドア(11)(12)を閉じ動作から開き動作に反転させると共に投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を停止させ、更に投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を無効とする。その後、両かごドア(11)(12)の閉じ動作を開始し、両かごドア(11)(12)が前記所定の閉じ位置まで閉じた時点で、投光/受光ユニット(3)にレーザ光の出射動作を開始させると共に、投光/受光ユニット(3)による異物検知動作を有効とし、投光/受光ユニット(3)の出力に基づいて上述の危険回避動作を行なう。
【0032】
図3及び図4は、上記安全制御手段(77)によって実行される制御手続きを表わしており、先ずステップS11では、戸開完了(全開状態)で待機する。このとき、異物検知手段による異物検知動作及び投光/受光ユニットによる異物検知動作は無効とされている。又、投光/受光ユニットによるレーザ光の出射動作は停止している。
その後、戸開開放時間が満了したときに、ステップS12にて戸閉動作を開始し、続いてステップS13では、異物検知手段による異物検知動作を有効とした後、ステップS14にて、異物が検知されたか否かを判断する。
ここで、異物検知手段によって異物検知信号が生成された場合には、ステップS15に移行して、ステップS12にて最初に戸閉動作が開始されてから異物検知信号の生成によって反転戸開が所定回数以上繰り返されたか否かを判断し、ノーと判断された場合には、ステップS16にて反転戸開を開始すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS11に戻って戸開完了で待機する。
【0033】
その後、異物検知信号の生成によって反転戸開が所定回数繰り返されてステップS15にてイエスと判断された場合には、ステップS17に移行して、反転戸開が所定回数繰り返された旨を監視センターに通知する。監視センターでは、かご内の監視カメラによって異物検知手段にオン故障が発生しているか否かが確認される。異物検知手段にオン故障が発生していると判断された場合には、その旨が安全制御手段に通知される一方、異物検知手段にオン故障が発生しているのではなく実際に異物が存在する場合には、その旨が安全制御手段に通知される。
【0034】
続いてステップS18では、監視センターから異物検知手段にオン故障が発生している旨の通知を受けたか否かを判断する。監視センターから異物が存在する旨の通知を受けた場合には、ステップS16にて、反転戸開を開始すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS11に戻って戸開完了で待機する。
【0035】
一方、監視センターから異物検知手段にオン故障が発生している旨の通知を受けた場合には、ステップS19に移行して、異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS20にて、ドアモータ制御装置から得られるドア位置信号に基づいて両かごドアを前記所定の閉じ位置まで閉じる。続いてステップS21では、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を開始させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を有効とした後、ステップS22にて異物が検知されたか否かを判断する。
【0036】
ここで、投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されたときには、乗りかごの乗降口に異物が存在するものと推定されるため、ステップS24に移行して、反転戸開を開始する。又、ステップS24では、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を停止させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効とした後、ステップS25にて戸開完了で待機する。その後、戸開開放時間が満了したときに、ステップS26にて戸閉動作を開始して、ステップS20に戻る。
【0037】
一方、ステップS22にて異物が検知されなかったと判断されたときは、ステップS23に移行して、戸閉終端位置検出装置(図1にて図示省略)から得られるオン/オフ信号に基づいて戸閉動作が完了したか否かを判断し、ノーと判断されたときはステップS22に戻って異物が検知されたか否かの判断を繰り返す。その後、戸閉動作が完了してステップS23にてイエスと判断されたときは、図4のステップS32にて、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を停止させると共に、投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効として、上記手続きを終了する。
上述の如く、異物検知手段にオン故障が発生している場合には、その後、投光/受光ユニットの出力に基づいて危険回避動作が実行されることになる。
【0038】
異物検知手段によって異物検知信号が生成されず、図3のステップS14にてノーと判断された場合には、ステップS27に移行して、ドアモータ制御装置から得られるドア位置信号に基づいて両かごドアが前記所定の閉じ位置まで閉じたか否かを判断し、ノーと判断されたときはステップS14に戻って、異物が検知されたか否かの判断を繰り返す。
【0039】
その後、両かごドアが前記所定の閉じ位置まで閉じてステップS27にてイエスと判断されたときは、図4のステップS28に移行して、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を開始させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を有効とした後、ステップS29にて異物が検知されたか否かを判断する。
ここで、異物検知手段及び投光/受光ユニットの何れによっても異物検知信号が生成されない場合には、ステップS30に移行して、戸閉終端位置検出装置(図1にて図示省略)から得られるオン/オフ信号に基づいて戸閉動作が完了したか否かを判断し、ノーと判断されたときはステップS29に戻って異物が検知されたか否かの判断を繰り返す。その後、戸閉動作が完了してステップS30にてイエスと判断されたときは、ステップS31にて、異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS32にて、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を停止させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効として、上記手続きを終了する。
【0040】
異物検知手段或いは投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されて、上記ステップS29にて異物が検知されたと判断された場合には、ステップS33に移行して、投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されているが異物検知手段によって異物検知信号が生成されていない状態であるか否かを判断する。
ここで、投光/受光ユニット及び異物検知手段によって異物検知信号が生成されている場合には乗りかごの乗降口に異物が存在するものと推定される。又、投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されていないが異物検知手段によって異物検知信号が生成されている場合であっても、異物検知手段にはオン故障が発生していないので、乗りかごの乗降口に異物が存在するものと推定される。そこで、これらの場合には、ステップS33にてノーと判断されてステップS34に移行し、投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を停止させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効とする。続いて図3のステップS16にて、反転戸開を開始すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS11に戻って戸開完了で待機する。
【0041】
これに対し、投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されているが異物検知手段によって異物検知信号が生成されていない場合には、図4のステップS35に移行して、上記ステップS28にて最初に投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を開始させてから異物検知信号の生成によって反転戸開が所定回数以上繰り返されたか否かを判断し、ノーと判断された場合には、ステップS34にて投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を停止させると共に投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効とし、続いて図3のステップS16にて、反転戸開を開始すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効とした後、ステップS11に戻って戸開完了で待機する。
【0042】
その後、異物検知信号の生成によって反転戸開が所定回数繰り返されてステップS35にてイエスと判断された場合には、ステップS36に移行して、光点有無検出手段によって反射板の反射面上にレーザ光の光点が存在することが検出されたか否かを判断する。
ここでイエスと判断された場合には、ステップS37に移行して、投光/受光ユニットにオン故障が発生しているものと判定すると共に、投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効とする。又、ステップS37では投光/受光ユニットにオン故障が発生している旨を監視センターに通知した後、ステップS40にて戸閉動作を実行すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効として、上記手続きを終了する。
【0043】
これに対し、ステップS36にてノーと判断された場合には、ステップS38に移行して、上記ステップS28にて投光/受光ユニットにレーザ光の出射動作を開始させてから投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されない時点があったか否かを判断する。
ここで、投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されない時点がなかったと判断された場合には、ステップS39に移行して、投光/受光ユニットにオン故障が発生しているものと判定すると共に、投光/受光ユニットによる異物検知動作を無効とする。又、ステップS39では投光/受光ユニットにオン故障が発生している旨を監視センターに通知した後、ステップS40にて戸閉動作を実行すると共に異物検知手段による異物検知動作を無効として、上記手続きを終了する。
ステップS38にて投光/受光ユニットによって異物検知信号が生成されない時点があったと判断された場合には、ステップS41に移行して、異物検知手段にオフ故障が発生しているものと判定すると共に、異物検知手段による異物検知動作を無効とする。又、ステップS41では異物検知手段にオフ故障が発生している旨を監視センターに通知した後、図3のステップS24に移行する。その後、投光/受光ユニットの出力に基づいて危険回避動作が実行されることになる。
【0044】
上記手続きによれば、異物検知手段(76)及び投光/受光ユニット(3)のオン故障を検知することが出来る。これによって、乗りかごの乗降口に紐などの異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号が生成されてしまい、反転戸開き動作が何度も繰り返されるという異常事態を回避することが出来る。
又、異物検知手段(76)のオフ故障を検知することが出来る。これによって、乗りかごの乗降口に異物が存在するにも拘わらず異物検出信号が生成されず、危険回避動作が行なわれないという異常事態を回避することが出来る。
【0045】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、本実施の形態においては、画像中に黒色の縦エッジが存在するか否かを判断することによって敷居(42)上に紐状の異物が存在するか否かを判断しているが、異物の存在の有無を判断する方法としては、その他の周知の方法を採用することが可能である。例えば、敷居(42)上に異物が存在しないときに撮像装置から得られた画像信号をメモリに格納しておき、撮像装置から得られた画像信号とメモリに格納されている画像信号と比較することによって紐状の異物を含む何らかの異物が存在するか否かを判断することも可能である。
【0046】
又、本実施の形態においては、異物検知手段(76)をエレベータ制御装置(7)内に設けているが、撮像装置(2)内に設ける構成を採用することも可能である。かかる構成においては、撮像装置(2)は、かごドアの状態やエレベータの状態とは無関係に異物検知信号をエレベータ制御装置(7)に送信し、エレベータ制御装置(7)は、撮像装置(2)から得られる異物検知信号に基づいてかごドアの開閉を制御することになる。
【0047】
又、本実施の形態においては、本発明をセンターオープンタイプのエレベータの安全装置に実施しているが、戸当たりフレームに対して接近離間する方向に移動して乗降口を開閉する少なくとも1つのかごドアを具えたサイドオープンタイプのエレベータの安全装置に実施することも可能である。
更に、本実施の形態においては、本発明を、乗降口を鉛直方向に横切る光ビームを用いて異物の検知を行なうエレベータの安全装置に実施しているが、水平方向に横切る光ビームを用いて異物の検知を行なうエレベータの安全装置に実施することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
(2) 撮像装置
(3) 投光/受光ユニット
(30) 反射板
(7) エレベータ制御装置
(74) レーザ投光オン/オフ指令手段
(75) かごドア開閉指令手段
(76) 異物検知手段
(77) 安全制御手段
(78) 光点有無検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口を開閉する少なくとも1つのかごドアを具えたエレベータの安全装置において、
乗降口を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段から得られた画像信号に基づいて前記乗降口に異物が存在するか否かを判断し、異物が存在すると判断したときに異物検知信号を生成する第1異物検知手段と、
乗降口を横切る光ビームを出射する投光手段と該投光手段から出射された光ビームを検知する受光手段と該受光手段による光ビームの検知が中断されたときに異物検知信号を生成する信号生成手段とによって構成される第2異物検知手段と、
前記かごドアが全開状態から全閉状態となるまでの過程で、前記第1異物検知手段による異物検知動作及び前記第2異物検知手段による異物検知動作が実行されている期間に、前記第1異物検知手段及び前記第2異物検知手段の内、一方の異物検知手段によって異物検知信号が生成されているのに対し、他方の異物検知手段によっては異物検知信号が生成されていないときに、何れか一方の異物検知手段に故障が発生していると判断する故障検知手段
とを具えていることを特徴とするエレベータの安全装置。
【請求項2】
前記第2異物検知手段の前記投光手段と前記受光手段と前記信号生成手段とによって投光/受光ユニットが構成され、該投光/受光ユニットは乗降口の上方に光ビームの出射方向を下方へ向けて配備されており、更に、
乗降口の下方に上方へ向けて配備された反射部材と、
前記撮像手段から得られた画像信号に基づいて、前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在するか否かを検出する光点有無検出手段
とを具えており、前記故障検知手段は、
前記第1異物検知手段によって異物検知信号が生成されていないのに対し、前記第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されている場合に、前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されたか否かを判断する第1判断手段と、
前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されたと判断された場合に、前記第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判定する第1故障判定手段
とを具えている請求項1に記載のエレベータの安全装置。
【請求項3】
前記故障検知手段は、
前記光点有無検出手段によって前記反射部材の反射面上に光ビームの光点が存在することが検出されなかったと判断された場合に、前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があったか否かを判断する第2判断手段と、
前記第2判断手段によって前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点がなかったと判断された場合に、前記第2異物検知手段に異物が存在しないにも拘わらず異物検知信号を生成する故障が発生していると判定する第2故障判定手段
とを具えている請求項2に記載のエレベータの安全装置。
【請求項4】
前記故障検知手段は、
前記第2判断手段によって前記第2異物検知手段による異物検知動作が開始されてから該第2異物検知手段によって異物検知信号が生成されない時点があったと判断された場合に、前記第1異物検知手段に異物が存在するにも拘わらず異物検知信号を生成できない故障が発生していると判定する第3故障判定手段
を具えている請求項3のエレベータの安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−235284(P2010−235284A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86782(P2009−86782)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000112705)フジテック株式会社 (138)
【Fターム(参考)】