エレベータの異物検出装置
【課題】本発明は、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができるエレベータの異物検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての紐検出シュー駆動装置13が取り付けられている。紐検出シュー駆動装置13には、可動部材としての紐検出シュー14が取り付けられている。紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に紐検出シュー14を後退位置へ変位させる。また、紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に紐検出シュー14を前進位置まで変位させる。
【解決手段】第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての紐検出シュー駆動装置13が取り付けられている。紐検出シュー駆動装置13には、可動部材としての紐検出シュー14が取り付けられている。紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に紐検出シュー14を後退位置へ変位させる。また、紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に紐検出シュー14を前進位置まで変位させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれていることを検出するエレベータの異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの異物検出装置では、扉の前縁に接触棒が設けられており、扉の前進時に異物が接触して力を受けたときに接触棒の後退を検出する検出器が扉に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−343675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成された従来のエレベータの異物検出装置では、接触棒が異物に接触し力を受けて後退すれば扉の間に異物が挟み込まれているのを検出することができるが、接触棒が異物に接触しても後退しないと扉の間に異物が挟み込まれているのを検出することができなかった。例えば細い紐等の異物は、接触棒に沿って容易に変形されるため、接触棒が後退せず検出されないことがあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができるエレベータの異物検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの異物検出装置は、互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアのうち第1のドアの背部に設けられている当接部材、第2のドアの背部に位置する後退位置と当接部材に当接する前進位置との間で変位可能な可動部材、第2のドアに設けられ、全戸開時に可動部材を後退位置に変位させ、全戸閉時に可動部材を前進位置に変位させる水平方向駆動装置、及び全戸閉時に可動部材が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材と可動部材との間の異物の有無を検出する水平方向検出部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの異物検出装置は、第1及び第2のドアの全戸閉時に可動部材が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材と可動部材との間の異物の有無を検出することができるので、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかご及び乗場の一部を示す側面図、図2は図1のかごの戸の戸開状態を示す正面図、図3は図2のかごの戸の戸閉状態を示す正面図、図4は図2のかごの戸の戸開状態を示す平面図、図5は図4のかごの戸の戸閉状態を示す平面図、図6は図5のVI部を拡大して示す平面図である。
【0009】
図において、かご1には、互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアとしての第1及び第2のかごの戸2,3が設けられている。また、かご1の下方には、かご床4が設けられている。第1及び第2のかごの戸2,3の下方には、かご敷居5が設けられている。かご1の停止階には、乗場6が設けられている。乗場6には、第1及び第2の乗場の戸7,8が設けられている。第1及び第2の乗場の戸7,8の下方には、乗場敷居9が設けられている。
【0010】
第1のかごの戸2の前縁の近傍には、ドアシュー10が設けられている。ドアシュー10は、第1のかごの戸2の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。また、第1のかごの戸2には、ドアシュー10の後退を検知するドアシュー用検出器11が設けられている。
【0011】
第1のかごの戸2の背面部には、ドアシュー10の端部10aに対向して板状の当接部材12が設けられている。当接部材12は、第1のかごの戸2の上下方向の全長に渡って設けられている。
【0012】
第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての紐検出シュー駆動装置13が取り付けられている。紐検出シュー駆動装置13には、モータ(図示せず)が設けられている。また、紐検出シュー駆動装置13には、可動部材としての紐検出シュー14が取り付けられている。紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に紐検出シュー14を後退位置へ変位させる。また、紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に紐検出シュー14を前進位置まで変位させる。
【0013】
紐検出シュー駆動装置13には、ケーブルを介して水平方向検出部15が接続されている。水平方向検出部15は、全戸閉時に紐検出シュー14が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と紐検出シュー14との間の異物の有無を検出することができる。これにより、図6に示すように、第1及び第2のかごの戸2,3の間に紐等の異物が張力の無い状態で挟み込まれ、ドアシュー10及び紐検出シュー14の動作に合わせて変形していても異物を検出することができる。
【0014】
ドアシュー用検出器11及び水平方向検出部15には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16には、ケーブルを介してドアモータ(図示せず)が接続されている。ドア制御装置16は、ドアシュー用検出器11及び水平方向検出部15からの検出信号に応じてドアモータを制御する。ドアモータは、ドア制御装置16からの指令信号によって、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を開閉する。
【0015】
次に、動作について説明する。図7は図2のドア制御装置16の動作を説明するためのフローチャートである。第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉動作を開始させると(ステップS1)、ドアシュー用検出器11からの信号により、ドアシュー10が異物により後退されたかどうかを監視する(ステップS2)。そして、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉動作中にドアシュー10が後退されると、ドアシュー用検出器11からの信号に応じて第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させ(ステップS3)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0016】
また、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、水平方向検出部15からの信号を確認し、紐検出シュー14が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS5)。紐検出シュー14が前進位置まで移動し当接部材12に当接していれば、当接部材12と紐検出シュー14との間に異物が存在しないと判断し、かご1の通常走行を許可する(ステップS7)。そして、かご1が目的階に到着すると、戸開指令をドアモータに出力し(ステップS8)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0017】
全戸閉時に紐検出シュー14が前進位置まで移動していない場合、当接部材12と紐検出シュー14との間に異物が存在すると判断し、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0018】
このようなエレベータの異物検出装置では、紐検出シュー14が当接部材12に当接する前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と紐検出シュー14との間の異物の有無を検出することができるので、第1及び第2のかごの戸2,3の間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。また、第1及び第2のかごの戸2,3の間に異物が挟み込まれている状態でかご1が走行するのを防止することができる。
【0019】
実施の形態2.
次に、図8はこの発明の実施の形態2による第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸開状態を示す平面図、図9は図8の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉状態を示す平面図、図10は図9のX部を拡大して示す平面図、図11は図8の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸開状態を示す側面図、図12は図11の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉状態を示す側面図、図13は図12の要部を拡大して示す側面図である。
【0020】
第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての第1の紐検出シュー駆動装置17が取り付けられている。第1の紐検出シュー駆動装置17には、モータ(図示せず)が設けられている。また、第1の紐検出シュー駆動装置17には、可動部材としての第1の紐検出シュー18が取り付けられている。第1の紐検出シュー18は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、第1の紐検出シュー18は、第2のかごの戸3の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。第1の紐検出シュー駆動装置17は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第1の紐検出シュー18を後退位置へ変位させる。また、第1の紐検出シュー駆動装置17は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第1の紐検出シュー18を前進位置まで変位させる。
【0021】
第1の紐検出シュー駆動装置17には、ケーブル(図示せず)を介して水平方向検出部としての第1の検出部19が接続されている。第1の検出部19は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間の異物の有無を検出することができる。
【0022】
第1のドアとしての第1の乗場の戸7の背面部には、板状の当接部材20が設けられている。当接部材20は、当接部材12に平行に設けられている。また、当接部材20は、第1の乗場の戸7の上下方向の全長に渡って設けられている。
【0023】
第2のドアとしての第2の乗場の戸8の背面部には、水平方向駆動装置としての第2の紐検出シュー駆動装置21が取り付けられている。第2の紐検出シュー駆動装置21には、モータが設けられている。また、第2の紐検出シュー駆動装置21には、可動部材としての第2の紐検出シュー22が取り付けられている。第2の紐検出シュー22は、第2の乗場の戸8の背部に位置する後退位置と当接部材20に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、第2の紐検出シュー22は、第2の乗場の戸8の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。第2の紐検出シュー駆動装置21は、第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸開時に第2の紐検出シュー22を後退位置へ変位させる。また、第2の紐検出シュー駆動装置21は、第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉時に第2の紐検出シュー22を前進位置まで変位させる。
【0024】
第2の紐検出シュー駆動装置21には、ケーブルを介して水平方向検出部としての第2の検出部23が接続されている。第2の検出部23は、全戸閉時に第2の紐検出シュー22が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材20と第2の紐検出シュー22との間の異物の有無を検出することができる。
【0025】
第2の検出部23には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16は、第2の検出部23からの検出信号に応じてドアモータを制御する。
【0026】
第1及び第2のかごの戸2,3の戸閉側の出入口の上部には、上側垂直方向駆動装置としての第3の紐検出シュー駆動装置24が設けられている。第3の紐検出シュー駆動装置24には、上側移動部材としての第3の紐検出シュー26が取り付けられている。第3の紐検出シュー26は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18と第2の紐検出シュー22との間を所定の範囲に渡って上部からせり出す構造となっている。
【0027】
第1及び第2のかごの戸2,3の戸閉側の出入口の下部には、下側垂直方向駆動装置としての第4の紐検出シュー駆動装置25が設けられている。第4の紐検出シュー駆動装置25には、下側移動部材としての第4の紐検出シュー27が取り付けられている。第4の紐検出シュー27は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18と第2の紐検出シュー22との間を所定の範囲に渡って下部からせり出す構造となっている。
【0028】
即ち、図10,12に示すように、第1及び第2の紐検出シュー18,22によって当接部材12,20に押し当てられている紐等の細い異物には、上下方向からせり出す第3及び第4の紐検出シュー26,27に対して張力が作用する。
【0029】
第3の紐検出シュー26は、出入口の上部に位置する後退位置と第1及び第2のかごの戸2,3の高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能となっている。第3の紐検出シュー駆動装置24は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第3の紐検出シュー26を後退位置へ変位させる。また、第3の紐検出シュー駆動装置24は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第3の紐検出シュー26を前進位置に変位させる。
【0030】
第4の紐検出シュー27は、出入口の下部に位置する後退位置と第1及び第2のかごの戸2,3の高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能となっている。第4の紐検出シュー駆動装置25は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第4の紐検出シュー27を後退位置へ変位させる。また、第4の紐検出シュー駆動装置25は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第4の紐検出シュー27を前進位置に変位させる。
【0031】
第3の紐検出シュー26には、ケーブルを介して上側垂直方向検出部としての第3の検出部28が接続されている。第3の検出部28は、全戸閉時に第3の紐検出シュー26が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、第3の紐検出シュー26の前進方向の異物の有無を検出することができる。
【0032】
第4の紐検出シュー27には、ケーブルを介して下側垂直方向検出部としての第4の検出部29が接続されている。第4の検出部29は、全戸閉時に第4の紐検出シュー27が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、第4の紐検出シュー27の前進方向の異物の有無を検出することができる。
【0033】
第3及び第4の検出部28,29には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16は、第3及び第4の検出部28,29からの検出信号に応じてドアモータを制御する。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0034】
次に、動作について説明する。図14は図8のドア制御装置16の動作を説明するためのフローチャートである。ドアシュー用検出器11からの信号により、ドアシュー10が異物により後退されたかどうかを監視する(ステップS2)までは、実施の形態1の動作と同様である。
【0035】
第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、第1及び第2の検出部19,23からの信号を確認し、第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS5)。第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで移動し当接部材12,20に当接していれば、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間及び当接部材20と第2の紐検出シュー22との間に異物が存在しないと判断する。
【0036】
全戸閉時に第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで移動していない場合、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間及び当接部材20と第2の紐検出シュー22との間に異物が存在すると判断し、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0037】
また、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、第3及び第4の検出部28,29からの信号を確認し、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS9)。第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置まで所定の範囲に渡って移動していれば、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在しないと判断し、かご1の通常走行を許可する(ステップS7)。
【0038】
かご1を通常走行させると(ステップS7)、第3及び第4の検出部28,29からの信号を確認し、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ変位されたどうかを確認する(ステップS10)。第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置のままであれば、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在しないと判断し、かご1は目的階に到着する。そして、戸開指令をドアモータに出力し(ステップS8)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0039】
かご1の通常走行時に(ステップS7)、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ移動した場合、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在すると判断し、かご1を非常停止させ、直前の停止階まで反転走行を開始させる(ステップS11)。そして、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップ4)。
【0040】
このようなエレベータの異物検出装置では、第3及び第4の紐検出シュー26,27が所定の範囲に渡って移動したときの前進位置に変位されたどうかを検出することができるとともに、かご1が走行を開始した後も第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ変位されたかどうかを検出することができるので、第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。また、第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に異物が挟み込まれている状態でかご1が走行するのを防止することができる。
【0041】
なお、上記の例では、紐検出シュー14及び第1及び第2の紐検出シュー18,22は第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8とは、独立して動作させたが、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の機構に従動して動作させてもよい。
また、かご1の走行によって紐等の異物が紐検出シュー14及び第1及び第2の紐検出シュー18,22を上下方向に引きずる力を利用して異物の挟み込みを検出してもよい。
さらに、第3及び第4の紐検出シュー26,27のストローク量は限定されるものではなく、例えば、第1及び第2のかごの戸2,3の高さを二分するストローク量やそれ以下のストローク量であってもよい。
【0042】
仮に、第3及び第4の紐検出シュー26,27のストローク量が第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の高さの1/2以下の場合は、第1、第2、第3及び第4の紐検出シュー18,22,26,27が交差しない箇所に紐等の細い異物が挟まると、かご1は動作可能と判断される。この場合は、かご1の移動により第3及び第4の紐検出シュー26,27に対して紐等の細い異物が押し付けられる力を利用して第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に挟み込まれた紐等の異物を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかご室及び乗場の一部を示す側面図である。
【図2】図1の第1及び第2のかごの戸の戸開状態を示す正面図である。
【図3】図2の第1及び第2のかごの戸の戸閉状態を示す正面図である。
【図4】図2の第1及び第2のかごの戸の戸開状態を示す平面図である。
【図5】図4の第1及び第2のかごの戸の戸閉状態を示す平面図である。
【図6】図5のVI部を拡大して示す平面図である。
【図7】図2のドア制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2による第1及び第2のかごの戸及第1及び第2の乗場の戸の戸開状態を示す平面図である。
【図9】図8の第1及び第2のかごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸閉状態を示す平面図である。
【図10】図9のX部を拡大して示す平面図である。
【図11】図8の第1及び第2かごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸開状態を示す側面図である。
【図12】図11の第1及び第2のかごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸閉状態を示す側面図である。
【図13】図12の要部を拡大して示す側面図である。
【図14】図8のドア制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2 第1のかごの戸(第1のドア)、3 第2のかごの戸(第2のドア)、7 第1の乗場の戸(第1のドア)、8 第2の乗場の戸(第2のドア)、12 当接部材、13 紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、14 紐検出シュー(可動部材)、15 水平方向検出部、17 第1の紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、18 第1の紐検出シュー(可動部材)、19 第1の検出部(水平方向検出部)、20 当接部材、21 第2の紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、22 第2の紐検出シュー(可動部材)、23 第2の検出部(水平方向検出部)、24 第3の紐検出シュー駆動装置(上側垂直方向駆動装置)、25 第4の紐検出シュー駆動装置(下側垂直方向駆動装置)、26 第3の紐検出シュー(上側移動部材)、27 第4の紐検出シュー(下側移動部材)、28 第3の検出部(上側垂直方向検出部)、29 第4の検出部(下側垂直方向検出部)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれていることを検出するエレベータの異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの異物検出装置では、扉の前縁に接触棒が設けられており、扉の前進時に異物が接触して力を受けたときに接触棒の後退を検出する検出器が扉に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−343675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成された従来のエレベータの異物検出装置では、接触棒が異物に接触し力を受けて後退すれば扉の間に異物が挟み込まれているのを検出することができるが、接触棒が異物に接触しても後退しないと扉の間に異物が挟み込まれているのを検出することができなかった。例えば細い紐等の異物は、接触棒に沿って容易に変形されるため、接触棒が後退せず検出されないことがあった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができるエレベータの異物検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの異物検出装置は、互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアのうち第1のドアの背部に設けられている当接部材、第2のドアの背部に位置する後退位置と当接部材に当接する前進位置との間で変位可能な可動部材、第2のドアに設けられ、全戸開時に可動部材を後退位置に変位させ、全戸閉時に可動部材を前進位置に変位させる水平方向駆動装置、及び全戸閉時に可動部材が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材と可動部材との間の異物の有無を検出する水平方向検出部を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のエレベータの異物検出装置は、第1及び第2のドアの全戸閉時に可動部材が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材と可動部材との間の異物の有無を検出することができるので、第1及び第2のドアの間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータのかご及び乗場の一部を示す側面図、図2は図1のかごの戸の戸開状態を示す正面図、図3は図2のかごの戸の戸閉状態を示す正面図、図4は図2のかごの戸の戸開状態を示す平面図、図5は図4のかごの戸の戸閉状態を示す平面図、図6は図5のVI部を拡大して示す平面図である。
【0009】
図において、かご1には、互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアとしての第1及び第2のかごの戸2,3が設けられている。また、かご1の下方には、かご床4が設けられている。第1及び第2のかごの戸2,3の下方には、かご敷居5が設けられている。かご1の停止階には、乗場6が設けられている。乗場6には、第1及び第2の乗場の戸7,8が設けられている。第1及び第2の乗場の戸7,8の下方には、乗場敷居9が設けられている。
【0010】
第1のかごの戸2の前縁の近傍には、ドアシュー10が設けられている。ドアシュー10は、第1のかごの戸2の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。また、第1のかごの戸2には、ドアシュー10の後退を検知するドアシュー用検出器11が設けられている。
【0011】
第1のかごの戸2の背面部には、ドアシュー10の端部10aに対向して板状の当接部材12が設けられている。当接部材12は、第1のかごの戸2の上下方向の全長に渡って設けられている。
【0012】
第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての紐検出シュー駆動装置13が取り付けられている。紐検出シュー駆動装置13には、モータ(図示せず)が設けられている。また、紐検出シュー駆動装置13には、可動部材としての紐検出シュー14が取り付けられている。紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、紐検出シュー14は、第2のかごの戸3の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に紐検出シュー14を後退位置へ変位させる。また、紐検出シュー駆動装置13は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に紐検出シュー14を前進位置まで変位させる。
【0013】
紐検出シュー駆動装置13には、ケーブルを介して水平方向検出部15が接続されている。水平方向検出部15は、全戸閉時に紐検出シュー14が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と紐検出シュー14との間の異物の有無を検出することができる。これにより、図6に示すように、第1及び第2のかごの戸2,3の間に紐等の異物が張力の無い状態で挟み込まれ、ドアシュー10及び紐検出シュー14の動作に合わせて変形していても異物を検出することができる。
【0014】
ドアシュー用検出器11及び水平方向検出部15には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16には、ケーブルを介してドアモータ(図示せず)が接続されている。ドア制御装置16は、ドアシュー用検出器11及び水平方向検出部15からの検出信号に応じてドアモータを制御する。ドアモータは、ドア制御装置16からの指令信号によって、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を開閉する。
【0015】
次に、動作について説明する。図7は図2のドア制御装置16の動作を説明するためのフローチャートである。第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉動作を開始させると(ステップS1)、ドアシュー用検出器11からの信号により、ドアシュー10が異物により後退されたかどうかを監視する(ステップS2)。そして、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉動作中にドアシュー10が後退されると、ドアシュー用検出器11からの信号に応じて第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させ(ステップS3)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0016】
また、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、水平方向検出部15からの信号を確認し、紐検出シュー14が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS5)。紐検出シュー14が前進位置まで移動し当接部材12に当接していれば、当接部材12と紐検出シュー14との間に異物が存在しないと判断し、かご1の通常走行を許可する(ステップS7)。そして、かご1が目的階に到着すると、戸開指令をドアモータに出力し(ステップS8)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0017】
全戸閉時に紐検出シュー14が前進位置まで移動していない場合、当接部材12と紐検出シュー14との間に異物が存在すると判断し、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0018】
このようなエレベータの異物検出装置では、紐検出シュー14が当接部材12に当接する前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と紐検出シュー14との間の異物の有無を検出することができるので、第1及び第2のかごの戸2,3の間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。また、第1及び第2のかごの戸2,3の間に異物が挟み込まれている状態でかご1が走行するのを防止することができる。
【0019】
実施の形態2.
次に、図8はこの発明の実施の形態2による第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸開状態を示す平面図、図9は図8の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉状態を示す平面図、図10は図9のX部を拡大して示す平面図、図11は図8の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸開状態を示す側面図、図12は図11の第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の戸閉状態を示す側面図、図13は図12の要部を拡大して示す側面図である。
【0020】
第2のかごの戸3の背面部には、水平方向駆動装置としての第1の紐検出シュー駆動装置17が取り付けられている。第1の紐検出シュー駆動装置17には、モータ(図示せず)が設けられている。また、第1の紐検出シュー駆動装置17には、可動部材としての第1の紐検出シュー18が取り付けられている。第1の紐検出シュー18は、第2のかごの戸3の背部に位置する後退位置と当接部材12に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、第1の紐検出シュー18は、第2のかごの戸3の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。第1の紐検出シュー駆動装置17は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第1の紐検出シュー18を後退位置へ変位させる。また、第1の紐検出シュー駆動装置17は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第1の紐検出シュー18を前進位置まで変位させる。
【0021】
第1の紐検出シュー駆動装置17には、ケーブル(図示せず)を介して水平方向検出部としての第1の検出部19が接続されている。第1の検出部19は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間の異物の有無を検出することができる。
【0022】
第1のドアとしての第1の乗場の戸7の背面部には、板状の当接部材20が設けられている。当接部材20は、当接部材12に平行に設けられている。また、当接部材20は、第1の乗場の戸7の上下方向の全長に渡って設けられている。
【0023】
第2のドアとしての第2の乗場の戸8の背面部には、水平方向駆動装置としての第2の紐検出シュー駆動装置21が取り付けられている。第2の紐検出シュー駆動装置21には、モータが設けられている。また、第2の紐検出シュー駆動装置21には、可動部材としての第2の紐検出シュー22が取り付けられている。第2の紐検出シュー22は、第2の乗場の戸8の背部に位置する後退位置と当接部材20に当接する前進位置との間で変位可能となっている。また、第2の紐検出シュー22は、第2の乗場の戸8の上下方向のほぼ全長に渡って設けられている。第2の紐検出シュー駆動装置21は、第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸開時に第2の紐検出シュー22を後退位置へ変位させる。また、第2の紐検出シュー駆動装置21は、第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉時に第2の紐検出シュー22を前進位置まで変位させる。
【0024】
第2の紐検出シュー駆動装置21には、ケーブルを介して水平方向検出部としての第2の検出部23が接続されている。第2の検出部23は、全戸閉時に第2の紐検出シュー22が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、当接部材20と第2の紐検出シュー22との間の異物の有無を検出することができる。
【0025】
第2の検出部23には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16は、第2の検出部23からの検出信号に応じてドアモータを制御する。
【0026】
第1及び第2のかごの戸2,3の戸閉側の出入口の上部には、上側垂直方向駆動装置としての第3の紐検出シュー駆動装置24が設けられている。第3の紐検出シュー駆動装置24には、上側移動部材としての第3の紐検出シュー26が取り付けられている。第3の紐検出シュー26は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18と第2の紐検出シュー22との間を所定の範囲に渡って上部からせり出す構造となっている。
【0027】
第1及び第2のかごの戸2,3の戸閉側の出入口の下部には、下側垂直方向駆動装置としての第4の紐検出シュー駆動装置25が設けられている。第4の紐検出シュー駆動装置25には、下側移動部材としての第4の紐検出シュー27が取り付けられている。第4の紐検出シュー27は、全戸閉時に第1の紐検出シュー18と第2の紐検出シュー22との間を所定の範囲に渡って下部からせり出す構造となっている。
【0028】
即ち、図10,12に示すように、第1及び第2の紐検出シュー18,22によって当接部材12,20に押し当てられている紐等の細い異物には、上下方向からせり出す第3及び第4の紐検出シュー26,27に対して張力が作用する。
【0029】
第3の紐検出シュー26は、出入口の上部に位置する後退位置と第1及び第2のかごの戸2,3の高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能となっている。第3の紐検出シュー駆動装置24は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第3の紐検出シュー26を後退位置へ変位させる。また、第3の紐検出シュー駆動装置24は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第3の紐検出シュー26を前進位置に変位させる。
【0030】
第4の紐検出シュー27は、出入口の下部に位置する後退位置と第1及び第2のかごの戸2,3の高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能となっている。第4の紐検出シュー駆動装置25は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸開時に第4の紐検出シュー27を後退位置へ変位させる。また、第4の紐検出シュー駆動装置25は、第1及び第2のかごの戸2,3の全戸閉時に第4の紐検出シュー27を前進位置に変位させる。
【0031】
第3の紐検出シュー26には、ケーブルを介して上側垂直方向検出部としての第3の検出部28が接続されている。第3の検出部28は、全戸閉時に第3の紐検出シュー26が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、第3の紐検出シュー26の前進方向の異物の有無を検出することができる。
【0032】
第4の紐検出シュー27には、ケーブルを介して下側垂直方向検出部としての第4の検出部29が接続されている。第4の検出部29は、全戸閉時に第4の紐検出シュー27が前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、第4の紐検出シュー27の前進方向の異物の有無を検出することができる。
【0033】
第3及び第4の検出部28,29には、ケーブルを介してドア制御装置16が接続されている。ドア制御装置16は、第3及び第4の検出部28,29からの検出信号に応じてドアモータを制御する。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0034】
次に、動作について説明する。図14は図8のドア制御装置16の動作を説明するためのフローチャートである。ドアシュー用検出器11からの信号により、ドアシュー10が異物により後退されたかどうかを監視する(ステップS2)までは、実施の形態1の動作と同様である。
【0035】
第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、第1及び第2の検出部19,23からの信号を確認し、第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS5)。第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで移動し当接部材12,20に当接していれば、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間及び当接部材20と第2の紐検出シュー22との間に異物が存在しないと判断する。
【0036】
全戸閉時に第1及び第2の紐検出シュー18,22が前進位置まで移動していない場合、当接部材12と第1の紐検出シュー18との間及び当接部材20と第2の紐検出シュー22との間に異物が存在すると判断し、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0037】
また、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の全戸閉後には、第3及び第4の検出部28,29からの信号を確認し、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置まで完全に移動したかどうかを確認する(ステップS9)。第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置まで所定の範囲に渡って移動していれば、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在しないと判断し、かご1の通常走行を許可する(ステップS7)。
【0038】
かご1を通常走行させると(ステップS7)、第3及び第4の検出部28,29からの信号を確認し、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ変位されたどうかを確認する(ステップS10)。第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置のままであれば、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在しないと判断し、かご1は目的階に到着する。そして、戸開指令をドアモータに出力し(ステップS8)、戸開状態で所定時間待機する(ステップS4)。
【0039】
かご1の通常走行時に(ステップS7)、第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ移動した場合、第3及び第4の紐検出シュー26,27の前進方向に異物が存在すると判断し、かご1を非常停止させ、直前の停止階まで反転走行を開始させる(ステップS11)。そして、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8を反転戸開させるとともに、かご1内に注意のアナウンスを流し(ステップS6)、戸開状態で所定時間待機する(ステップ4)。
【0040】
このようなエレベータの異物検出装置では、第3及び第4の紐検出シュー26,27が所定の範囲に渡って移動したときの前進位置に変位されたどうかを検出することができるとともに、かご1が走行を開始した後も第3及び第4の紐検出シュー26,27が前進位置から後退位置方向へ変位されたかどうかを検出することができるので、第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に異物が挟み込まれているのをより確実に検出することができる。また、第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に異物が挟み込まれている状態でかご1が走行するのを防止することができる。
【0041】
なお、上記の例では、紐検出シュー14及び第1及び第2の紐検出シュー18,22は第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8とは、独立して動作させたが、第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の機構に従動して動作させてもよい。
また、かご1の走行によって紐等の異物が紐検出シュー14及び第1及び第2の紐検出シュー18,22を上下方向に引きずる力を利用して異物の挟み込みを検出してもよい。
さらに、第3及び第4の紐検出シュー26,27のストローク量は限定されるものではなく、例えば、第1及び第2のかごの戸2,3の高さを二分するストローク量やそれ以下のストローク量であってもよい。
【0042】
仮に、第3及び第4の紐検出シュー26,27のストローク量が第1及び第2のかごの戸2,3及び第1及び第2の乗場の戸7,8の高さの1/2以下の場合は、第1、第2、第3及び第4の紐検出シュー18,22,26,27が交差しない箇所に紐等の細い異物が挟まると、かご1は動作可能と判断される。この場合は、かご1の移動により第3及び第4の紐検出シュー26,27に対して紐等の細い異物が押し付けられる力を利用して第1及び第2のかごの戸2,3の間及び第1及び第2の乗場の戸7,8の間に挟み込まれた紐等の異物を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施の形態1によるエレベータのかご室及び乗場の一部を示す側面図である。
【図2】図1の第1及び第2のかごの戸の戸開状態を示す正面図である。
【図3】図2の第1及び第2のかごの戸の戸閉状態を示す正面図である。
【図4】図2の第1及び第2のかごの戸の戸開状態を示す平面図である。
【図5】図4の第1及び第2のかごの戸の戸閉状態を示す平面図である。
【図6】図5のVI部を拡大して示す平面図である。
【図7】図2のドア制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2による第1及び第2のかごの戸及第1及び第2の乗場の戸の戸開状態を示す平面図である。
【図9】図8の第1及び第2のかごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸閉状態を示す平面図である。
【図10】図9のX部を拡大して示す平面図である。
【図11】図8の第1及び第2かごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸開状態を示す側面図である。
【図12】図11の第1及び第2のかごの戸及び第1及び第2の乗場の戸の戸閉状態を示す側面図である。
【図13】図12の要部を拡大して示す側面図である。
【図14】図8のドア制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2 第1のかごの戸(第1のドア)、3 第2のかごの戸(第2のドア)、7 第1の乗場の戸(第1のドア)、8 第2の乗場の戸(第2のドア)、12 当接部材、13 紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、14 紐検出シュー(可動部材)、15 水平方向検出部、17 第1の紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、18 第1の紐検出シュー(可動部材)、19 第1の検出部(水平方向検出部)、20 当接部材、21 第2の紐検出シュー駆動装置(水平方向駆動装置)、22 第2の紐検出シュー(可動部材)、23 第2の検出部(水平方向検出部)、24 第3の紐検出シュー駆動装置(上側垂直方向駆動装置)、25 第4の紐検出シュー駆動装置(下側垂直方向駆動装置)、26 第3の紐検出シュー(上側移動部材)、27 第4の紐検出シュー(下側移動部材)、28 第3の検出部(上側垂直方向検出部)、29 第4の検出部(下側垂直方向検出部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアのうち上記第1のドアの背部に設けられている当接部材、
上記第2のドアの背部に位置する後退位置と上記当接部材に当接する前進位置との間で変位可能な可動部材、
上記第2のドアに設けられ、全戸開時に上記可動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記可動部材を上記前進位置に変位させる水平方向駆動装置、及び
全戸閉時に上記可動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記当接部材と上記可動部材との間の異物の有無を検出する水平方向検出部
を備えていることを特徴とするエレベータの異物検出装置。
【請求項2】
出入口の上部に位置する後退位置と上記第1及び第2のドアの高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能な上側移動部材、
出入口の上部に設けられ、全戸開時に上記上側移動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記上側移動部材を上記前進位置に変位させる上側垂直方向駆動装置、
全戸閉時に上記上側移動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記上側移動部材の前進方向の異物の有無を検出する上側垂直方向検出部、
出入口の下部に位置する後退位置と上記第1及び第2のドアの高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能な下側移動部材、
出入口の下部に設けられ、全戸開時に上記下側移動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記下側移動部材を上記前進位置に変位させる下側垂直方向駆動装置、及び
全戸閉時に上記下側移動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記下側移動部材の前進方向の異物の有無を検出する下側垂直方向検出部、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの異物検出装置。
【請求項1】
互いに反対方向へ移動して出入口を開閉する第1及び第2のドアのうち上記第1のドアの背部に設けられている当接部材、
上記第2のドアの背部に位置する後退位置と上記当接部材に当接する前進位置との間で変位可能な可動部材、
上記第2のドアに設けられ、全戸開時に上記可動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記可動部材を上記前進位置に変位させる水平方向駆動装置、及び
全戸閉時に上記可動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記当接部材と上記可動部材との間の異物の有無を検出する水平方向検出部
を備えていることを特徴とするエレベータの異物検出装置。
【請求項2】
出入口の上部に位置する後退位置と上記第1及び第2のドアの高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能な上側移動部材、
出入口の上部に設けられ、全戸開時に上記上側移動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記上側移動部材を上記前進位置に変位させる上側垂直方向駆動装置、
全戸閉時に上記上側移動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記上側移動部材の前進方向の異物の有無を検出する上側垂直方向検出部、
出入口の下部に位置する後退位置と上記第1及び第2のドアの高さの中間部分へ所定の範囲に渡って移動したときの前進位置との間で変位可能な下側移動部材、
出入口の下部に設けられ、全戸開時に上記下側移動部材を上記後退位置に変位させ、全戸閉時に上記下側移動部材を上記前進位置に変位させる下側垂直方向駆動装置、及び
全戸閉時に上記下側移動部材が上記前進位置に変位されたかどうかを検出することにより、上記下側移動部材の前進方向の異物の有無を検出する下側垂直方向検出部、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの異物検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−1116(P2010−1116A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160594(P2008−160594)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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