説明

エレベータの釣り合いおもり

【課題】短時間で効率よくエレベータの釣り合いおもりの据え付け作業を行えるようにする。
【解決手段】吊りロープ12の末端が止着され、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー13a、13bを両側に有する上部枠14と、両側にガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー24a、24bを有する下部枠15とからなる枠部材を設け、数個の合計重量が必要な釣り合いおもり重量になるおもり16を所要数だけ上部枠14と下部枠15の間で上下方向に配列し、おもり16同士を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの釣り合いおもりに係り、特に、釣り合い重りの据え付け作業を容易するエレベータの釣り合いおもりに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータでは、乗りかごの重量に釣り合いおもりの重量をバランスさせることにより、巻上機の負荷を軽減させている。従来の釣り合いおもりは、必要な数のおもりを釣り合いおもり枠に搭載することで、乗りかごの重量とバランスさせている。
【0003】
そこで、図6に、従来の釣り合いおもりの例として、特許文献1に記載されているものを示す。
【0004】
この釣り合いおもりは、ガイドレールに沿うように設けられる一対の枠体1と、枠体1に両端が保持される複数のウェイト2と、これらのウェイト2を貫通するように設けられる通しボルト3と、これらの通しボルト3と主ウェイト2とを一体に固定するナット4とを備えている。なお、5は吊りロープを示し、6は、ガイドレールを摺動するガイドシューを示している。
このような釣り合い重りでは、ウェイト2を必要な数だけ枠体1に積載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−313579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、釣り合いおもりに用いられるウェイトには、1個の重量が10〜40kgの鋳物または鉄板が用いられている。乗りかごの重量にバランスさせるためには、一台あたり数十個ものおもりが必要となる。
【0007】
このようなウェイトの積載は、作業員が手で持ち上げて積載しているため、人数を要するとともに作業時間がかかり、効率的ではなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、短時間で効率よく据え付け作業を行えるようにするエレベータの釣り合いおもりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、吊りロープの末端が止着され、ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを両側に有する上部枠と、両側に前記ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを有する下部枠とからなる枠部材を備え、数個の合計重量が必要な釣り合いおもり重量になるおもりを所要数だけ前記上部枠と下部枠の間で上下方向に配列し、該おもり同士を連結したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを上下両端側に有する左縦枠と右縦枠とからなる枠部材と、前機左右縦枠の間に架け渡され、吊りローブの端末が止着されるロープ固定部材と、を備え、
数個の合計重量が必要な釣り合いおもり重量になるおもりを所要数だけ前記左縦枠と右縦枠の間で左右方向に配列し、該おもり同士を連結したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、前記おもりは、1個あたりの重量が50〜300kgのものがもいられる。
【0012】
また、本発明では、前記上部枠または下部枠は、重量調整用の予備おもりを搭載可能に構成することもできる。
また、左縦枠と右縦枠の下端部には、重量調整用の予備おもりを搭載可能に構成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来のように1個の重量が10〜40kgのおもりを数十個おもり枠に積載する必要がなく、釣り合いおもりの据え付け作業を短時間で効率的に行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるエレベータの釣り合いおもりの第1実施形態を示す正面図である。
【図2】同エレベータの釣り合いおもりにおいて、重量調整の補助おもりを搭載した状態を示す正面図である。
【図3】同エレベータの釣り合いおもりにおいて、重量の異なる場合の釣り合いおもりの正面図である。
【図4】本発明によるエレベータの釣り合いおもりの第2実施形態を示す正面図である。
【図5】同エレベータの釣り合いおもりにおいて、重量調整の補助おもりを搭載した状態を示す正面図である。
【図6】従来のエレベータの釣り合いおもりを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるエレベータの釣り合いおもりの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるエレベータの釣り合いおもりを示す。
この図1において、参照番号10は、釣り合いおもりの全体を示している。図1において、参照番号11a、11bは、釣り合いおもり10の昇降を案内するガイドレールを示している。参照番号12は、吊りロープを示している。
【0016】
本実施形態の釣り合いおもり10は、おもりの枠としては、上部枠14と下部枠15のふたつの枠部材から構成されており、従来の釣り合いおもりのように縦枠は用いられていない。そして、上部枠14と下部枠15の間に、横長のおもり16が複数個上下方向に配列されている。
【0017】
上部枠14は、水平方向に平行な梁部材17、18と、縦部材19a、19bを四方組みしてなる枠部材である。吊りロープ12の端末は、上側の梁部材17に固定金具20を介して止着されている。この梁部材17の両端には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー13a、13bが取り付けられている。
【0018】
同様に、下部枠15は、梁部材21、22と縦部材23a、23bとを四方組した枠部材である。下側の梁部材22の両端部には、ガイドレール11a、11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー24a、24bが取り付けられている。
【0019】
本実施形態による釣り合いおもり10にあっては、横長のおもり16を枠に積み上げる構成は採用せずに、おもり16同士を連結部材25で上下に連結する構成になっている。そして最上部にあるおもり16は、上部枠14の梁部材18に連結部材25により連結されている。最下部のおもり16は、下部枠15の上側の梁部材21に連結部材25により連結されている。
【0020】
本実施形態では、一つ一つのおもり16の重量は、従来のおもりに較べると格段に重いものが用いられており、好ましくは、50〜300kgの重量がある。この実施形態では、乗りかごにバランスさせるために4つのおもり16を連結部材25で連結している。
【0021】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、上部枠14は、案内のためのガイドシュー13a、13bの支持と、懸架のための吊りローブ12を止着する機能を主として担い、下部枠15は、案内のためのガイドシュー24a、24bの支持の機能を主として担うようになっている。その上で、一つ一つのおもり16を大重量のものとして、数個のおもり16で乗りかごの重量とバランスさせ、上部枠14、これらのおもり16、下部枠15を上下に連結する構成になっている。
【0022】
このため、従来のように1個の重量が10〜40kgのおもりを数十個おもり枠に積載する必要がなく、数個、この実施例では4つのおもり16で間に合い、釣り合いおもりの据え付け作業を短時間で効率的に行えるという利点がある。
【0023】
さらに、図2に示すように、上部枠14と下部枠15には、それぞれ梁部材17、180の間または梁部材21、22の間に補助おもり26を積むことも可能である。これは、個々のエレベータごとに重量の微調整するためのおもりであるので、個数も少ないので、積む作業に時間はかからない。
【0024】
なお、図3は、図1に較べて軽量のエレベータに適用される釣り合いおもりを示している。
この図3に示されるように、ガイドレール11a、11bの幅が同じであれば、上部枠14と下部枠14とともにおもり16は共通になり、おもり16の数が異なってくる。重量の微調整は、補助おもり26で行う点は同様である。
【0025】
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係るエレベータの釣り合い重りについて、図4を参照して説明する。
この第2実施形態は、縦長のおもり30を左右方向に配列するようにした実施形態である。
本実施形態の釣り合いおもり10の枠としては、左縦枠31と右縦枠32のふたつの枠部材から構成されている。
【0026】
左縦枠31と右縦枠32は、上下方向に平行に配置される形材である。左縦枠31の上下両端には、ガイドレール11aに摺動自在に嵌合するガイドシュー13a、24aが取り付けられている。同様に、右縦枠32の上下両端には、ガイドレール11bに摺動自在に嵌合するガイドシュー13b、24bが取り付けられている。
【0027】
この実施形態では、左縦枠31と右縦枠32の間に3つのおもり30が左右方向に配列されて、おもり同士が連結部材35、36によって連結されている。一つ一つのおもり30の重量は、従来のおもりに較べると格段に重いものが用いられており、好ましくは、50〜300kgの重量がある。
【0028】
上側の連結部材35には、吊りロープ12が止着される固定金具37が固定されている。また、おもり30の下端を連結する連結部材36の下方には、梁部材38が配置されており、第1実施形態と同様に重量微調整用の補助おもり26を積められるようになっている。
【0029】
以上のように構成される釣り合いおもり10によれば、左縦枠31と右縦枠32に、案内のためのガイドシュー13a、13b、24a、24bの支持を主として担わせ、懸架のための吊りローブ12を止着する機能は連結部材35が担うようにしている。その上で、一つ一つのおもり30の重量を大きなものとして、数個のおもり30で乗のかごの重量とバランスさせ、左縦枠31、右縦枠32とこれらのおもり30を左右に連結する構成になっている。
このため、従来のように1個の重量が10〜40kgのおもりを数十個おもり枠に積載する必要がなく、釣り合いおもりの据え付け作業を短時間で効率的に行えるという利点がある。
【0030】
なお、図5に示されるように、ガイドレール11a、11bの幅が大きい場合であれば、上部枠14と下部枠14とともにおもり30は共通になり、おもり24の数が異なってくる。重量の微調整は、補助おもり26で行う点は同様である。
【符号の説明】
【0031】
10…釣り合いおもり、11a、11b…ガイドレール、12…吊りロープ、13a、13b…ガイドシュー、14…上部枠、15…下部枠、16…おもり、20…固定金具、24a、24b…ガイドシュー、25…連結部材、26…補助おもり、30…おもり、31…左縦枠、32…右縦枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊りロープの末端が止着され、ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを両側に有する上部枠と、両側に前記ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを有する下部枠とからなる枠部材を備え、
数個の合計重量が必要な釣り合いおもり重量になるおもりを所要数だけ前記上部枠と下部枠の間で上下方向に配列し、該おもり同士を連結したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項2】
前記上部枠または下部枠は、重量調整用の予備おもりを搭載可能であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの釣り合いおもり。
【請求項3】
ガイドレールに摺動自在に嵌合するガイドシューを上下両端側に有する左縦枠と右縦枠とからなる枠部材と、前機左右縦枠の間に架け渡され、吊りローブの端末が止着されるロープ固定部材と、を備え、
数個の合計重量が必要な釣り合いおもり重量になるおもりを所要数だけ前記左縦枠と右縦枠の間で左右方向に配列し、該おもり同士を連結したことを特徴とするエレベータの釣り合いおもり。
【請求項4】
前記左縦枠と右縦枠の下端部には、重量調整用の予備おもりを搭載可能であることを特徴とする請求項3に記載のエレベータの釣り合いおもり。
【請求項5】
前記おもりは、1個あたりの重量が50〜300kgであることを特徴とする請求項1または3に記載のエレベータの釣り合いおもり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37577(P2011−37577A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186420(P2009−186420)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】