説明

エレベータの釣合錘

【課題】限られたスペースにガイドローラを装着したエレベータの釣合錘を提供する。
【解決手段】左右一対の錘側ガイドレールに案内されて昇降する釣合錘は、錘を収納する錘本体と、前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を左右方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第1のガイドローラとを備え、前記第1のガイドローラは、少なくともその一部が前記錘本体の内側に位置するように配設される。これにより、釣合錘を懸架する錘側シーブとの干渉を回避しつつ、限られたスペース内に第1のガイドローラを配設して、昇降に伴う振動や騒音を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの釣合錘に関し、より詳しくは、錘側ガードレールの表面上を転動して釣合錘の昇降を案内するガイドローラを釣合錘の限られたスペースに装着可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータにおいては、巻上機のトラクションシーブにメインロープを巻装するとともに、このメインロープの一端で乗りかごを懸架しつつ他端で釣合錘を懸架するようになっている。
【0003】
ここで図8を参照して釣合錘の構造について概説すると、マシンルームレスエレベータの釣合錘1は、左右一対の錘側ガイドレール2L,2Rに案内されて昇降路の内部を昇降するとともに、その左右一対の縦梁3a,3bの下端同士を連結する下梁4には多数の錘板5が載置されている。
また、左右一対の縦梁3a,3bの上端同士を連結する上梁6には左右一対の錘側シーブ7a,7bが回転自在に支持されてメインロープ8が巻装されている。
さらに、縦梁3a,3bの上部および下部にはガイドシュー9がそれぞれ取り付けられ、錘側ガイドレール2L,2Rの表面上を摺動して釣合錘1の昇降を案内している(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−55773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した釣合錘1はガイドシュー9を用いてその昇降を案内する構造であるため、錘側ガイドレール2L,2Rに定期的に給油する必要があるばかりでなく、ガイドローラを用いる構造の釣合錘に比較すると振動や騒音の面で改善の余地がある。
【0006】
しかしながら、上述した釣合錘1の上部には左右一対の錘側シーブ7a,7bが設けられている。
これにより、錘側ガイドレール2L,2Rの表面上を転動して釣合錘1を前後左右に位置決めしつつその昇降を案内するガイドローラ組立体のうち、釣合錘1を左右方向に位置決めするガイドローラを装着するためのスペースを確保することができない。
【0007】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、その限られたスペース内にガイドローラを装着したエレベータの釣合錘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
左右一対の錘側ガイドレールに案内されて昇降する釣合錘であって、
錘を収納した錘本体と、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を左右方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第1のガイドローラと、を備え、
前記第1のガイドローラは、少なくともその一部が前記錘本体の内側に位置するように配設されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載したエレベータの釣合錘は、その錘本体を左右方向に位置決めする第1のガイドローラの少なくとも一部を錘本体の内側に配設する構造であるから、釣合錘を懸架するための錘側シーブとの干渉を回避しつつ、この第1のガイドローラを錘本体に装着することができる。
また、錘本体を左右方向に位置決めするためのガイドシューを無くすことができから、昇降に伴って発生する振動や騒音を低減することができる。
【0010】
また、請求項2に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータの釣合錘において、 前記錘側ガイドレールは、その断面形状がL字形に形成されるとともに、その隣接する一対の内側側面が前記第1のガイドローラの外周部を前後方向に挟持するように配設されることを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項2に記載したエレベータの釣合錘においては、第1のガイドローラの外周部が、断面形状L字形の錘側ガイドレールのうち隣接する一対の内側側面の両方にまたがって転動する構造である。
これにより、第1のガイドローラによって釣合錘を左右方向および前後方向に位置決めすることができるから、釣合錘を前後方向に位置決めするための追加のガイドローラが不要となり、釣合錘の限られたスペース内に第1のガイドローラを容易に装着することができる。
【0012】
また、請求項3に記載した手段は、請求項1に記載したエレベータの釣合錘において、
前記錘側ガイドレールの断面形状がコ字形に形成されるとともに、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を前後方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第2のガイドローラをさらに備え、
前記第1および第2のガイドローラが、前記錘側ガイドレールのうち互いに平行に左右方向に延びる一対の内側側面の間の空間内に配置されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、請求項3に記載したエレベータの釣合錘は、断面形状コ字形の錘側ガイドレールの内側空間内に第1および第2のガイドローラを配設する構造である。
これにより、錘本体を前後方向に位置決めするための一対の第2のガイドローラを前後方向に並べて配置する構造に比較して、第2のガイドローラを配設するために必要な前後方向のスペースを大幅に縮小させることができるから、釣合錘の限られたスペース内にガイドローラを装着することが可能となる。
このとき、上下一対の第2のガイドローラを前後方向にオフセットして配設し、一方の第2のガイドローラが錘側ガイドレールの一方の内側側面上を転動し、他方の第2のガイドローラが他方の内側側面上を転動するように構成することにより、錘本体を前後方向に変位させることなく滑らかに昇降させることができる。
【0014】
また、請求項4に記載した手段は、請求項3に記載したエレベータの釣合錘において、
前記第2のガイドローラは、前記一対の内側側面の前後方向の間隔よりもわずかに小さい外径を有していることを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項4に記載したエレベータの釣合錘においては、断面形状コ字形の錘側ガイドレールの内側空間内に配設した単一の第2のガイドローラが、錘側ガイドレールの互いに平行に左右方向に延びる前後一対の内側側面のいずれかに接触しながら錘本体を前後方向に位置決めする構造である。
これにより、錘本体を前後方向に位置決めするための第2のガイドローラを一つとすることができるから、釣合錘の限られたスペース内にガイドローラを装着することが可能となる。
【0016】
また、上記の課題を解決するための請求項5に記載した手段は、
左右一対の錘側ガイドレールに案内されて昇降する釣合錘であって、
錘を収納した錘本体と、
前記錘側ガイドレールの表面上を摺動して前記錘本体を左右方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第1のガイドシューと、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を前後方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第2のガイドローラと、を備えることを特徴とする。
【0017】
すなわち、請求項5に記載したエレベータの釣合錘は、左右方向の位置決めには第1のガイドシューを用いるが、前後方向の位置決めには第2のガイドローラを用いる構造である。
これにより、第1のガイドシューを小さくして錘側シーブとの干渉を回避することにより、釣合錘の限られたスペース内にガイドローラを装着できるようにしつつ、第2のガイドローラの採用によって振動や騒音を低減することができる。
【0018】
また、請求項6に記載した手段は、請求項5に記載したエレベータの釣合錘において、
前記錘側ガイドレールの表面上を摺動して前記錘本体を前後方向に位置決めする第2のガイドシューをさらに備え、
前記第2のガイドローラおよび前記第2のガイドシューは、前記錘側ガイドレールを前後方向に挟持するように配置されることを特徴とする。
【0019】
すなわち、請求項6に記載したエレベータの釣合錘においては、第2のガイドシューを小さくすることにより、第2のガイドローラおよび第2のガイドシューを前後方向に並設するために必要な前後方向のスペースを縮小させることができるから、釣合錘の限られたスペース内にガイドローラを装着することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、その限られたスペース内にガイドローラを装着したエレベータの釣合錘を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態のエレベータの釣合錘を示す正面図。
【図2】図1に示したガイド装置の要部拡大断面図。
【図3】図2に示したガイド装置の平面図。
【図4】第1変形例のガイド装置を示す平面図。
【図5】第2変形例のガイド装置を示す平面図。
【図6】第2実施形態のガイド装置を示す平面図。
【図7】第3実施形態のガイド装置を示す平面図。
【図8】第3変形例のガイド装置を示す平面図。
【図9】従来のエレベータの釣合錘を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1乃至図7を参照し、本発明に係るエレベータの釣合錘の各実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、前述した従来技術を含めて同一の部分には同一の符号を用いて重複した説明を省略するとともに、左右一対の錘側ガイドレールを結ぶ方向を左右方向とし、鉛直方向を上下方向とし、左右方向および上下方向に対して垂直な方向を前後方向と言う。
【0023】
第1実施形態
まず最初に図1〜図3を参照し、第1実施形態の釣合錘について説明する。
【0024】
図1に示したエレベータの釣合錘100は、左右一対の錘側ガイドレール2L,2Rに案内されて昇降路の内部を昇降するものであり、錘本体10と、この錘本体10の上下左右の各部にそれぞれ取り付けられた4つのガイド装置20とを備えている。
【0025】
錘本体10は、左右一対の縦梁11a,11bの下端同士を下梁12によって連結するとともに、この下梁12に多数の錘板5を載置する構造である。
また、左右一対の縦梁11a,11bの上端同士を連結する上梁13には、この釣合錘100を懸架するための左右一対の錘側シーブ7a,7bがそれぞれ回転自在に支持されてメインロープ8が巻装されている。
【0026】
4つのガイド装置20の構造は同一であるから、釣合錘100の右側上部に取り付けられているガイド装置20について、図2および図3を参照して説明する。
ガイド装置20は、右側の縦梁11bにボルト(図示せず)で固定されたブラケット21と、このブラケット21にそれぞれ回転自在に支持された第1のガイドローラ22、および前後一対の第2のガイドローラ23,24を有している。
【0027】
ブラケット21は、縦梁11bの右側の端面に密着して上下方向に延びる固定部分21aと、この固定部分21aに連設されて縦梁11bの開口11cから錘本体10の内部に水平に延びる水平部分21bと、この水平部分21bにさらに連設されて上下方向に延びる縦壁部分21cとを具備している。
そして、図2に示したように、錘側ガイドレール2Rの先端面2a上を転動して錘本体10を左右方向に位置決めする第1のガイドローラ22が、ブラケット21の縦壁部分21cに支持されて、前後方向に延びる水平軸線の回りに回転するようになっている。
さらに、図3に示したように、錘側ガイドレール2Rの前後の側面2b,2c上をそれぞれ転動して錘本体10を前後方向に位置決めする前後一対の第2のガイドローラ23,24が、ブラケット21の固定部分21aに支持されて、左右方向に延びる水平軸線の回りにそれぞれ回転するようになっている。
【0028】
すなわち、本第1実施形態のエレベータの釣合錘100においては、錘本体10の上部の左右にそれぞれ取り付けられた各ガイド装置20における第1のガイドローラ22が、そのほぼ全体が錘本体10の内側に位置するように配設されている。
これにより、これらの第1のガイドローラ22は、左右一対の錘側シーブ7a,7bとそれぞれ干渉することがない。
また、これらの第1のガイドローラ22は、上梁13と錘板5との間の隙間内に配置されているから、錘板5と干渉することもない。
さらに、図1に示したように、錘本体10の下部の左右にそれぞれ取り付けられた各ガイド装置20における第1のガイドローラ22は、それぞれ錘本体10の下方に配設されていて錘本体10と干渉することがない。
【0029】
したがって、本第1実施形態のエレベータの釣合錘100においては、錘本体10の限られたスペース内に第1のガイドローラ22をそれぞれ装着して、錘本体10を左右方向に位置決めするためのガイドシューを無くすことができるから、昇降に伴って発生する振動や騒音を低減することができる。
【0030】
第1変形例
次に図4を参照し、第1変形例のエレベータの釣合錘110について説明する。
【0031】
図4に示した第1変形例の釣合錘110においては、錘本体10の上部の左右にガイド装置30がそれぞれ取り付けられている。
これらのガイド装置30は、縦梁11bにボルト(図示せず)で固定されたブラケット31と、このブラケット31に固着された第1のガイドシュー32、およびブラケット31に回転自在に支持された前後一対の第2のガイドローラ33,34を有している。
【0032】
第1のガイドシュー31は、錘側ガイドレール2Rの先端面2a上を摺動して錘本体10を左右方向に位置決めする。
また、前後一対の第2のガイドローラ33,34は、ブラケット31に支持されて、錘側ガイドレール2を前後方向に挟持しながら、左右方向に延びる水平軸線の回りにそれぞれ回転するようになっている。
【0033】
すなわち、本第1変形例の釣合錘110は、上述した第1実施形態の釣合錘100における第1のガイドローラ22を、第1のガイドシュー32に置き換えたものである。
これにより、錘側シーブ7a,7bと錘板5との間に第1のガイドローラ22を配設するスペースを確保できない場合でも、錘本体10を確実に左右方向に位置決めすることができる。
また、ガイド装置30の左右方向の寸法を大幅に短縮することができるから、錘本体10の左右一対の縦梁11a,11bの左右の側面のうち、上下方向の任意の場所にこのガイド装置30を装着することができる。
さらに、前後一対の第2のガイドローラ33,34によって錘本体10を前後方向に位置決めする構造であるから、錘本体10の昇降に伴って発生する振動や騒音を低減することができる。
【0034】
第2変形例
次に図5を参照し、第2変形例のエレベータの釣合錘120について説明する。
【0035】
図5に示した第2変形例の釣合錘120は、上述した第1変形例におけるガイド装置30を、別個のガイド装置35に置き換えたものである。
このガイド装置35は、第1変形例のガイド装置30における前後一対の第2のガイドローラ33,34の一方を第2のガイドシュー36に置き換えるとともに、平板状のブラケット31をL字形のブラケット37に置き換えたものである。
【0036】
すなわち、第2変形例の釣合錘120においては、ガイド装置35の前後方向の寸法を大幅に短縮することができる。
これにより、錘本体10の左右一対の縦梁11a,11bの左右の側面のうち、上下方向の任意の場所にこのガイド装置35を装着することができる。
【0037】
第2実施形態
次に図6を参照し、第2実施形態のエレベータの釣合錘200について説明する。
【0038】
本第2実施形態の釣合錘200は、前述した第1実施形態の釣合錘100における各ガイド装置20を、図6に示したガイド装置40に置き換えるとともに、錘側ガイドレールの断面形状をL字形に変更したものである。
【0039】
図6に示したように、ガイド装置40は、縦梁11bにボルト(図示せず)で固定されたブラケット41と、このブラケット41にそれぞれ回転自在に支持された第1のガイドローラ42を有している。
【0040】
ブラケット41は、縦梁11bの右側面に密着して上下方向に延びる固定部分41aと、この固定部分41aに連設されて縦梁11bの開口11cから錘本体10の内部に水平に延びる水平部分41bと、この水平部分41bに連設されて上下方向に延びる縦壁部分41cとを具備している。
そして、第1のガイドローラ42は、ブラケット41の縦壁部分41cに支持されて、前後方向に延びる水平軸線の回りに回転するようになっている。
【0041】
錘側ガイドレール43は、その断面形状がL字形に形成されるとともに、その隣接する一対の内側側面43a,43bが第1のガイドローラ42の外周部を前後方向に挟持するように配設されている。
具体的に説明すると、一対の内側側面43a,43bは、第1のガイドローラ42の中心を通って左右方向に延びる軸線Cに対し、それぞれ45度をなすように傾斜しつつ軸線Cに対して前後方向に対称となるように配設されている。
【0042】
すなわち、本第2実施形態の釣合錘200においては、第1のガイドローラ42の外周部が、断面形状L字形の錘側ガイドレール43のうち隣接する一対の内側側面43a,43bの両方にまたがって転動する構造である。
これにより、一つの第1のガイドローラ42によって錘本体10を左右方向および前後方向にそれぞれ位置決めすることができるから、錘本体10を前後方向に位置決めするための追加のガイドローラが不要である。
これにより、釣合錘200の限られたスペース内に第1のガイドローラ42を容易に装着することができる。
【0043】
第3実施形態
次に図7を参照し、第3実施形態のエレベータの釣合錘300について説明する。
【0044】
本第3実施形態の釣合錘300は、前述した第1実施形態の釣合錘100における各ガイド装置20を、図7に示したガイド装置50に置き換えるとともに、錘側ガイドレールの断面形状をコ字形に変更したものである。
【0045】
図7に示したように、ガイド装置50は、縦梁11bにボルト(図示せず)で固定されたブラケット51と、このブラケット51にそれぞれ回転自在に支持された第1および第2のガイドローラ52,53とを有している。
【0046】
ブラケット51は、縦梁11bの右側面に密着して上下方向に延びる固定部分51aと、この固定部分51aに連設されて縦梁11bの開口11cから錘本体10の内部に水平に延びる水平部分51bと、この水平部分51bに連設されて上下方向に延びる縦壁部分51cとを具備している。
そして、第1のガイドローラ52は、ブラケット51の縦壁部分51cに支持されて、前後方向に延びる水平軸線の回りに回転するようになっている。
また、第2のガイドローラ53は、ブラケット51の固定部分51aに支持されて、左右方向に延びる水平軸線の回りに回転するようになっている。
【0047】
錘側ガイドレール54は、その断面形状がコ字形に形成されるとともに、その内側側面のうち奥部の側面54aが前後方向に延びるとともに、互いに対向しつつ平行に延びる前後一対の側面54b,54cが左右方向に延びるように配設されている。
これにより、第1のガイドローラ52は奥部の側面54a上を転動して、錘本体10を左右方向に位置決めする。
【0048】
一方、第2のガイドローラ53の外径Dの値は、錘側ガイドレール54の互いに平行に延びる一対の側面54b,54cの前後方向の間隔寸法Wの値よりもわずかに、例えば1〜2ミリメートル程度小さく設定されている。
これにより、第2のガイドローラ53は、あるときには一方の側面54b上を転動し、あるときには他方の側面54c上を転動して、錘本体10を前後方向に位置決めする。
【0049】
すなわち、本第3実施形態の釣合錘300は、断面形状コ字形の錘側ガイドレール54の内側空間内に第1および第2のガイドローラ52,53を配設する構造である。
これにより、このガイド装置50は、図1に示した第1実施形態のガイド装置20のように第2のガイドローラ23,24を前後方向に並設する構造に比較すると、その前後方向の寸法を大幅に縮小することができるから、釣合錘300の限られたスペース内に第1および第2のガイドローラ52,53を容易に装着することができる。
【0050】
第3変形例
次に図8を参照し、上述した第3実施形態のエレベータの釣合錘300の変形例について説明する。
【0051】
上述した第3実施形態の釣合錘300におけるガイド装置50は、第2のガイドローラ53を一つだけ用いる構造であった。
これに対して、本第3変形例の釣合錘310のガイド装置55は、上下一対の第2のガイドローラを用いる構造となっている。
【0052】
具体的に説明すると、断面形状コ字形の錘側ガイドレール54の内側空間には、第1のガイドローラ52の上側に一方の第2のガイドローラ56が配設され、第1のガイドローラ52の下側に他方の第2のガイドローラ57が配設されている。
また、第2のガイドローラ56,57の外径D2は、第3実施形態のガイド装置50における第2のガイドローラ53の外径D1に比較するとかなり小さい値となっている。
そして、一方の第2のガイドローラ56が常に一方の内側側面54b上を転動するとともに、他方の第2のガイドローラ56が常に他方の内側側面54c上を転動して、錘本体10を前後方向に位置決めするようになっている。
【0053】
すなわち、本第3変形例の釣合錘310は、上下一対の第2のガイドローラ56,57が錘側ガイドレール54の内側側面54b,54cに常に接触する構造である。
これにより、昇降に伴って錘本体10が前後方向に変位することはないから、重量の大きい釣合錘310の昇降を案内するガイド装置として特に適している。
【0054】
以上、本発明に係るエレベータの釣合錘の各実施形態について詳しく説明したが、本発明は上述した各実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した第1実施形態の釣合錘100においては、錘本体10の下部に取り付けたガイド装置20の第1のガイドローラ22が錘本体10の下方に配設されているが、錘本体10の上部に取り付けたガイド装置20のように、第1のガイドローラ22を錘本体10の内側に配設することができることは言うまでもない。
また、錘本体10の下部に第1実施形態のガイド装置20を用いつつ、錘本体10の上部に第1変形例のガイド装置30を用いることにより、錘側シーブ7a,7bとの干渉を回避しつつ、釣合錘の限られたスペース内にガイドローラを配設することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 従来の釣合錘
2L,2R 錘側ガイドレール
3a,3b 縦梁
4 下梁
5 錘板
6 上梁
7a,7b 錘側ガイドシーブ
8 メインロープ
9 ガイドシュー
10 錘本体
11a,11b 縦梁
11c 開口
12 下梁
13 上梁
20 ガイド装置
21 ブラケット
22 第1のガイドローラ
23,24 第2のガイドローラ
30 第1変形例のガイド装置
31 ブラケット
32 第1のガイドシュー
33,34 第2のガイドローラ
35 第2変形例のガイド装置
36 第2のガイドシュー
37 ブラケット
40 第2実施形態のガイド装置
41 ブラケット
42 第1のガイドローラ
43 第2実施形態の錘側ガイドレール
50 第3実施形態のガイド装置
51 ブラケット
52 第1のガイドローラ
53 第2のガイドローラ
54 第3実施形態の錘側ガイドレール
55 第3変形例のガイド装置
56,57 第2のガイドローラ
100 第1実施形態の釣合錘
110 第1変形例の釣合錘
120 第2変形例の釣合錘
200 第2実施形態の釣合錘
300 第3実施形態の釣合錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の錘側ガイドレールに案内されて昇降する釣合錘であって、
錘を収納した錘本体と、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を左右方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第1のガイドローラと、を備え、
前記第1のガイドローラは、少なくともその一部が前記錘本体の内側に位置するように配設されていることを特徴とするエレベータの釣合錘。
【請求項2】
前記錘側ガイドレールは、その断面形状がL字形に形成されるとともに、その隣接する一対の内側側面が前記第1のガイドローラの外周部を前後方向に挟持するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの釣合錘。
【請求項3】
前記錘側ガイドレールの断面形状がコ字形に形成されるとともに、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を前後方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第2のガイドローラをさらに備え、
前記第1および第2のガイドローラが、前記錘側ガイドレールのうち互いに平行に左右方向に延びる一対の内側側面の間の空間内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載したエレベータの釣合錘。
【請求項4】
前記第2のガイドローラは、前記一対の内側側面の前後方向の間隔よりもわずかに小さい外径を有していることを特徴とする請求項3に記載したエレベータの釣合錘。
【請求項5】
左右一対の錘側ガイドレールに案内されて昇降する釣合錘であって、
錘を収納した錘本体と、
前記錘側ガイドレールの表面上を摺動して前記錘本体を左右方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第1のガイドシューと、
前記錘側ガイドレールの表面上を転動して前記錘本体を前後方向に位置決めする、前記錘本体に回転自在に支持された第2のガイドローラと、を備えることを特徴とするエレベータの釣合錘。
【請求項6】
前記錘側ガイドレールの表面上を摺動して前記錘本体を前後方向に位置決めする第2のガイドシューをさらに備え、
前記第2のガイドローラおよび前記第2のガイドシューは、前記錘側ガイドレールを前後方向に挟持するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載したエレベータの釣合錘。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−37581(P2011−37581A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186441(P2009−186441)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】