説明

エレベータロープ取替装置

【課題】水平方向の寸法を小さくすることができるエレベータロープ取替装置を得る。
【解決手段】土台2と、土台2に立てられた軸部材3と、軸部材3を中心に回転可能な回転部材4と、土台2と回転部材4との間に設けられ、回転部材4が土台2に対して回転できるように回転部材4を支持するキャスタ7と、回転部材4の周囲に設けられ、回転部材4に取り付けられたエレベータロープ14が回転部材4の径方向外側へ移動することを規制する規制部材6と、回転部材4から送り出される各エレベータロープ14を別々に案内する案内部材5とを備え、回転部材4は、軸部材3の軸線方向に並べて配置された複数の回転盤8を有し、各回転盤8には、軸部材3を中心に巻回されたエレベータロープ14が載せられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータロープが出し入れされるエレベータロープ取替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸線方向が水平方向となるように設けられた軸部材と、軸部材に設けられた複数の巻胴体とを備えたエレベータロープ巻取装置が知られている。巻胴体は、軸部材の軸線方向に並べて配置されている。各巻胴体は、それぞれが同期して軸部材を中心に回転するようになっている。エレベータロープを取り替える際には、複数の旧エレベータロープは、各巻胴体に巻回されることにより、エレベータロープ巻取装置に巻き取られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−205884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軸部材は、軸線方向が水平方向となるように配置されているので、エレベータロープの本数が多い場合には、装置全体の水平方向の寸法が大きくなってしまい、作業者が作業を行う作業スペースが狭くなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、水平方向の寸法を小さくすることができるエレベータロープ取替装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータロープ取替装置は、土台と、前記土台に立てられた軸部材と、前記軸部材を中心に回転可能な回転部材とを備え、前記回転部材は、前記軸部材の軸線方向に並べて配置された複数の回転盤を有し、各前記回転盤には、前記軸部材を中心に巻回されたエレベータロープが載せられる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータロープ取替装置によれば、軸部材が土台に立てられ、エレベータロープが載せられる複数の回転盤が、軸部材の軸線方向に並べて配置されているので、エレベータロープ取替装置全体の水平方向の寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータロープ取替装置を示す斜視図である。
【図2】図1のエレベータロープ取替装置を示す正面図である。
【図3】図1のエレベータロープ取替装置を示す側面図である。
【図4】図3の土台、軸部材、回転部材およびキャスタを示す側面図である。
【図5】図3の土台、軸部材、回転部材、キャスタおよび案内部材を示す側面図である。
【図6】図3の土台、軸部材、キャスタ、案内部材および規制部材を示す平面図である。
【図7】図6の土台、軸部材、キャスタ、案内部材および規制部材を示す側面図である。
【図8】図1の台座を示す側面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータロープ取替装置を示す斜視図、図2は図1のエレベータロープ取替装置を示す正面図、図3は図1のエレベータロープ取替装置を示す側面図である。図において、エレベータロープ取替装置は、床1の上に載せられる円板形状の土台2と、土台2の中央部に立てられた軸部材3と、軸部材3に設けられ軸部材3を中心に回転可能な回転部材4と、エレベータロープ(図示せず)を案内する案内部材5と、回転部材4の周囲に設けられた3個の規制部材6と、土台2の上面に設けられ、回転部材4が土台2に対して回転可能となるように回転部材4を支持する複数のキャスタ7とを備えている。
【0010】
図4は図3の土台2、軸部材3、回転部材4およびキャスタ7を示す側面図である。図において、回転部材4は、軸部材3に軸線方向に並べて配置された3個の回転盤8を有している。各回転盤8は、円板形状の回転円板9と、回転円板9の上面に固定された中空円柱形状の台座10とを有している。台座10は、回転円板9の上面の中央部分に配置されている。回転円板9の軸線は、台座10の軸線と重なるようになっている。回転円板9および台座10は、回転円板9および台座10の軸線が軸部材3の軸線と重なるように、軸部材3に配置されている。回転円板9および台座10は、軸部材3に対して回転自在となっている。
【0011】
3個の回転盤8のうち、最下段にある回転盤8は、キャスタ7に載せられている。キャスタ7に載せられている回転盤8の台座10の上面には、その回転盤8の上方に位置する回転盤8の回転円板9が載せられている。また、その回転盤8の台座10の上面には、その回転盤8の上方に位置する回転盤8の回転円板9が載せられている。各回転円板9の上方には、軸部材3を中心に巻回されたエレベータロープを配置するスペースが形成されている。
【0012】
図5は図3の土台2、軸部材3、回転部材4、キャスタ7および案内部材5を示す側面図である。図において、案内部材5は、土台2に立てられた一対の柱部材11と、各柱部材11の上端部を連結する連結板12と、各柱部材11の間に設けられた4個のローラ13とを有している。4個のローラ13は、柱部材11の長手方向に並べて配置されている。隣接するローラ13の間の距離は、エレベータロープの直径よりも大きくなっている。ローラ13の回転軸の方向は、水平方向となっている。柱部材11には、ローラ13の回転軸13aが挿入される複数の貫通孔11aが形成されている。複数の貫通孔11aは、柱部材11の長手方向に等間隔に並べて配置されている。これにより、柱部材11の長手方向についての各ローラ13の位置を調節することができる。
【0013】
図6は図3の土台2、軸部材3、キャスタ7、案内部材5および規制部材6を示す平面図、図7は図6の土台2、軸部材3、キャスタ7、案内部材5および規制部材6を示す側面図である。図において、規制部材6は、1本の棒をU字形状に折り曲げることにより形成されている。各規制部材6は、規制部材6の湾曲部が上部に位置するように、土台2の周縁部に立てられている。規制部材6の高さ方向の寸法は、軸部材3の高さ方向の寸法よりも大きくなっている。
【0014】
3個の規制部材6のうちの1個の規制部材6は、軸部材3を挟んで案内部材5に対向するように配置されている。3個の規制部材6のうちの残りの2個の規制部材6は、軸部材3を挟んで互いに対向するように配置されている。また、3個の規制部材6のうちの残りの2個の規制部材6は、上方から視たときに、互いを結ぶ直線と、案内部材5と案内部材5に対向する規制部材6とを結ぶ直線とが互いに直交するように配置されている。
【0015】
6個のキャスタ7は、土台2の周縁部に周方向に沿って等間隔に並べて配置されている。
【0016】
図8は図1の台座10を示す側面図、図9は図8のIX−IX線に沿った矢視断面図である。図において、台座10の外周壁には、エレベータロープ14の端部が挿入可能な開口部10aが形成されている。台座10も内部には、台座10の底面から軸部材3に沿って上方に延びた引っ掛け棒(固定部材)15が設けられている。エレベータロープ14の端部には、引っ掛け棒15が挿入可能な貫通孔14aが形成されている。エレベータロープ14の貫通孔14aに引っ掛け棒15が挿入されるように、エレベータロープ14を引っ掛け棒15に取り付けることにより、エレベータロープ14の端部は、回転盤8に固定される。
【0017】
次に、エレベータロープ取替装置を用いたエレベータロープ14の送り出し手順について説明する。まず、図3に示すように、軸部材3およびキャスタ7が取り付けられている土台2を床1の上に載せ(土台設置工程)、さらに、土台2に案内部材5を取り付ける(案内部材設置工程)。
【0018】
その後、巻回されたエレベータロープ14が予め取り付けられている回転盤8を1個ずつ軸部材3に取り付ける(回転部材設置工程)。このとき、図8に示すように、エレベータロープ14の貫通孔14aに引っ掛け棒15が挿入されるように、エレベータロープ14を引っ掛け棒15に取り付ける。その後、土台2に規制部材6を取り付ける(規制部材設置工程)。
【0019】
その後、各エレベータロープ14が別々に案内されるように、台座10に固定されている端部とは反対側のエレベータロープ14の端部を案内部材5のローラ13に載せる。その後、各回転盤8を回転させながら、エレベータロープ14をエレベータロープ取替装置から送り出す(エレベータロープ送り出し工程)。
【0020】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータロープ取替装置によれば、軸部材3が土台2に立てられ、エレベータロープ14が載せられる複数の回転盤8が、軸部材3の軸線方向に並べて配置されているので、エレベータロープ取替装置全体の水平方向の寸法を小さくすることができる。これにより、作業者が作業を行う作業スペースを広くすることができ、作業効率を向上させることができる。
【0021】
また、エレベータロープ取替装置は、土台2と回転部材4との間に設けられ、回転部材4が土台2に対して回転可能となるように回転部材4を支持するキャスタ7を備えているので、回転部材4を土台2に対して安定して回転させることができる。
【0022】
また、エレベータロープ取替装置は、回転部材4の周囲に設けられ、回転盤8に載せられたエレベータロープ14が回転部材4の径方向外側へ移動することを規制する規制部材6を備えているので、エレベータロープ14をエレベータロープ取替装置から送り出すときに、エレベータロープ14が回転部材4の径方向外側へ移動して、回転盤8からエレベータロープ14が落下することを防止することができる。
【0023】
また、エレベータロープ取替装置は、回転部材4から送り出される各エレベータロープ14を別々に案内する案内部材5を備えているので、エレベータロープ14を円滑に送り出すことができる。
【0024】
また、回転盤8は、エレベータロープ14の端部に形成された貫通孔14aに挿入されることによりエレベータロープ14の端部が回転盤8に固定される引っ掛け棒15を有しているので、エレベータロープ14の端部を回転盤8に容易に固定することができる。
【0025】
また、各回転盤8は、互いに分離可能であるので、エレベータロープ14が取り付けられた回転盤8を1個ずつ軸部材3に取り付けることができる。これにより、エレベータロープ取替装置の設置作業の効率を向上させることができる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、ロープ取替装置として、エレベータロープを送り出すエレベータロープ取替装置を例に説明したが、エレベータロープを巻き取るエレベータロープ取替装置であってもよい。
【0027】
また、上記実施の形態では、エレベータロープ取替装置がキャスタ7を備えた構成について説明したが、エレベータロープ取替装置がキャスタ7を備えない構成であってもよい。この場合、回転部材4が軸部材3に支持される。
【0028】
また、上記実施の形態では、キャスタ7が土台2に取り付けられる構成について説明したが、回転部材4の中の最下段にある回転盤8の回転円板9の下面にキャスタ7が取り付けられる構成であってもよい。
【0029】
また、上記実施の形態では、エレベータロープ取替装置が規制部材6を備えた構成について説明したが、エレベータロープ取替装置が規制部材6を備えない構成であってもよい。
【0030】
また、上記実施の形態では、エレベータロープ取替装置が案内部材5を備えた構成について説明したが、エレベータロープ取替装置が案内部材5を備えない構成であってもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、回転盤8が引っ掛け棒15を有した構成について説明したが、回転盤8が引っ掛け棒15を有しない構成であってもよい。
【0032】
また、上記実施の形態では、複数の回転盤8が互いに分離可能である構成について説明したが、複数の回転盤8が一体に形成された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 床、2 土台、3 軸部材、4 回転部材、5 案内部材、6 規制部材、7 キャスタ、8 回転盤、9 回転円板、10 台座、10a 開口部、11 柱部材、11a 貫通孔、12 連結板、13 ローラ、13a 回転軸、14 エレベータロープ、14a 貫通孔、15 引っ掛け棒(固定部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台と、
前記土台に立てられた軸部材と、
前記軸部材を中心に回転可能な回転部材とを備え、
前記回転部材は、前記軸部材の軸線方向に並べて配置された複数の回転盤を有し、
各前記回転盤には、前記軸部材を中心に巻回されたエレベータロープが載せられることを特徴とするエレベータロープ取替装置。
【請求項2】
前記土台と前記回転部材との間に設けられ、前記回転部材が前記土台に対して回転可能となるように前記回転部材を支持するキャスタをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータロープ取替装置。
【請求項3】
前記回転部材の周囲に設けられ、前記回転盤に載せられた前記エレベータロープが前記回転部材の径方向外側へ移動することを規制する規制部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータロープ取替装置。
【請求項4】
前記回転部材に出し入れされる各前記エレベータロープを別々に案内する案内部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のエレベータロープ取替装置。
【請求項5】
前記回転盤は、前記エレベータロープの端部に形成された貫通孔に挿入されることにより前記エレベータロープの端部が前記回転盤に固定される固定部材を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のエレベータロープ取替装置。
【請求項6】
各前記回転盤は、互いに分離可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のエレベータロープ取替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−144364(P2012−144364A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6176(P2011−6176)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】