説明

エレベーターの制御装置

【課題】エレベーターの乗客の手間を省いてサービス性能を向上し,かつ運行効率の向上を可能とする。
【解決手段】カメラ7の画像より、乗かご4内に予め定められた人数以上の乗客を検出すると信号を出力する乗かご内乗客検出手段14と、カメラ7の画像より、乗場側に乗客がいることを検出すると信号を出力する乗場待ち客検出手段15と、ドア制御手段3からドア閉指令信号が出力され、乗かご内乗客検出手段14及び乗場待ち客検出手段15から信号がそれぞれ出力されたとき、乗かご4が走行すると、乗場呼び登録手段13へ当該乗場の呼び登録を行う乗場呼び再登録手段S12とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの制御装置に係り、特に、画像により乗客の有無を検出可能としたエレベーターの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターにおいて各階の乗場呼び登録装置として、利用したい乗客が自分で各階の乗場呼び釦を操作することで乗場呼び信号を登録する方式が一般的であり、乗場呼びが登録されるとエレベーターは呼び信号が登録されている階に対して運転を開始し、到着時に登録された乗場呼びを消去した後、ドアを開閉して乗客にサービスを行う。
【0003】
エレベーターの利用客が乗かごの定員を上回っている場合、乗り込めない乗客が発生し、再度乗場呼びを登録しなおさなければならないが、群管理等で複数台のエレベーターがある場合でも乗り込めなかったかごが出発するまで再登録できず、操作が早すぎると再度ドアを開いてしまい運行に支障を来すなどの不都合が生じる。
【0004】
そこで、このような従来技術における問題を解決する手段として、乗場に待ち客を検出するセンサを設けて、乗り込めなかった乗客を検出した場合に自動で呼び登録を行うようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、所定時間に所定回数乗場呼びが登録されたことを検出すると、当該階の乗場呼びサービスを優先して行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平1−317966号公報
【特許文献2】特開平5−97333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術にあって特許文献1に提案されているものは、各階の乗場に待ち客を検出するためのセンサを取り付ける必要があり、構造が複雑になることと費用がかかることから、実施が困難であった。
【0007】
また、特許文献2に提案されているものは、サービスを優先させるために所定回数以上の乗場呼び登録が必要なため、急な交通需要の増加にすぐに対応できない問題があった。
【0008】
本発明の目的は、乗かごに乗れなかった乗客に対してエレベーターの呼び寄せを、手間を掛けさずに確実に行うエレベーターの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、各階の乗場に設けられ、乗場呼びを登録してエレベーターの乗かごを呼び寄せ、かご到着時に登録した乗場呼びを消去する乗場呼び登録手段と、乗かごのドアの開閉を制御するドア制御手段と、乗かごの後方上部に設けられ、ドア方向を撮影するカメラとを備えたエレベーターの制御装置において、前記カメラの画像より、乗かご内に予め定められた人数以上の乗客を検出すると信号を出力する乗かご内乗客検出手段と、前記カメラの画像より、乗場側に乗客がいることを検出すると信号を出力する乗場待ち客検出手段と、前記ドア制御手段からドア閉指令信号が出力され、前記乗かご内乗客検出手段及び前記乗場待ち客検出手段から信号がそれぞれ出力されたとき、前記乗かごが走行すると、前記乗場呼び登録手段へ当該乗場の呼び登録を行う乗場呼び再登録手段とを備えたものである。
【0010】
このようにしたので、カメラの画像により乗客を検出する乗客検出手段をかごに設け、エレベーターが停止してドアの開放時に乗場側の乗客の有無を検出するとともに、ドア閉開始時に乗場側に待ち客の存在を検出したとき、当該乗場呼びを再登録する乗場呼び登録手段を設けたので、乗場に残された乗客が乗場登録釦を押さなくとも乗場登録が行なえる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、かごに設けた乗客検出装置にて乗場側で乗り込めなかった待ち客を検出して、乗場呼びを再登録するようにしたので、乗客の利便性を向上することができるとともに、既存のカメラの画像を用いて乗かご及び乗場の乗客検出が行なえるので、安価な装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明によるエレベーター制御装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態を示すシステム構成図で、図2はこの実施形態における乗客検出手段の概念を例示する上方断面図で、図3はこの実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0013】
図1において、エレベーター制御部1は、巻き上げ機2を制御して、ロープ3によって釣り合いおもり5に接続された乗かご4を昇降させる運行制御を行っている。
【0014】
乗かご4にはドア開閉装置6と画像により乗客の有無を検出するカメラである乗客検出装置7、運行に係る情報を音声で報知する音声出力装置8を備え、それぞれ通信線9でエレベーター制御部1に接続されている。
【0015】
また、乗場には乗かご4を呼び寄せるための乗場呼び釦を押圧するとともに、押圧すると図示しないランプが点灯することで登録を認識させる乗場呼び登録装置10や、エレベーターの到着予報や到着を点灯や点滅により報知する乗場表示装置11が設置され、それぞれ通信線9を介してエレベーター制御部1に接続されている。
【0016】
エレベーター制御部1には、呼びを検出した階に乗かごを走行させサービスする運転制御手段12、乗場呼び登録装置10からの入力を検出して運転制御手段12に呼び信号を出力する乗場呼び登録手段13、乗客検出装置7からの信号によりかご内の乗客の有無および混雑度を判定するかご内乗客検出手段14、乗客検出装置7からの信号により乗場の待ち客の有無を検出する乗場待ち客検出手段15、エレベーターの運行状態をかご内の音声出力装置8や乗場表示装置11に出力して乗客に報知する運行情報出力手段16を備える。
【0017】
図2はこの実施形態における、乗かご4内の乗客検出装置7の配置と、かご内及び乗場における乗客検出の範囲を示す概念図である。
【0018】
通常かご内乗客検出手段14は乗客検出装置7からの信号によりかご内乗客21のかご内の検出範囲22の面積に占める割合から混雑状況を判定し、また、エレベーターが停止してドア23が開いた状態にあるとき、乗場側の検出範囲23内に乗場待ち客24の有無を検出する。
【0019】
この実施形態にあっては、図3に示す処理手順にしたがって乗場呼びへのサービスを実施するようになっている。
【0020】
図3に示すフローチャートによる処理は周期的に、例えば0.05秒毎に実行される。
【0021】
まず手順Slで乗場呼び登録装置10からの入力があったことを検出したとき、登録された呼びにサービスするために手順2でエレベーターの走行を開始し、手順3でサービス階への到着を検出するまで走行する。
【0022】
手順3でサービス階に到着したことを検出すると、手順4で登録された乗場呼びを消去し、手順5でドアが開く。
【0023】
サービス階にて乗客が乗り込み手順5でドア閉の開始を検出したとき手順7で乗客検出装置7がかご内の乗客を検出して、手順8でかご内乗客検出手段14がかご内の検出範囲22に予め定められた規定値以上の乗客がいることを検出したとき、手順9で乗場待ち客検出手段15により乗場側の待ち客の有無を乗客検出装置7で検出する処理を行う。
【0024】
手順10で乗場待ち客検出手段15が乗場側の検出範囲23内に待ち客がいることを検出した場合、手順11で逆方向の乗場呼びの有無を判定し、逆方向の乗場呼びがない場合、すなわち、乗場の待ち客が乗り切れなかった乗客であると判断できるとき、手順12で乗場呼び登録手段13により乗場呼びの再登録を行う。
【0025】
このとき、手順13で音声出力装置8からのアナウンス、乗場呼び登録装置10の呼び釦の点灯または乗場表示部11の到着予報灯の点灯などにより、再度乗場呼びを登録しなくてよいことを乗場の待ち客に報知する。
【0026】
その後、かごに乗った乗客の目的階にサービスするために手順14で出発する。
【0027】
以上説明したように、乗かご4内に設けた乗客検出装置7により、乗場側の乗客の有無を検出して乗場呼びを再登録することで、乗場の待ち客の手間を省き、快適なサービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のエレベーター制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による乗客検出手段の概念を例示する上方断面図。
【図3】本発明の一実施形態による乗場呼びの追加登録処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 エレベーター制御部
2 巻き上げ機
3 ロープ
4 乗かご
5 釣り合いおもり
6 ドア開閉装置
7 乗客検出装置
8 音声出力装置
9 通信線
10 乗場呼び登録装置
11 乗場表示装置
12 運行制御手殴
13 乗場呼び登録手段
14 かご乗客検出手段
15 乗場待ち客検出手段
16 運行情報出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各階の乗場に設けられ、乗場呼びを登録してエレベーターの乗かごを呼び寄せ、かご到着時に登録した乗場呼びを消去する乗場呼び登録手段と、乗かごのドアの開閉を制御するドア制御手段と、乗かごの後方上部に設けられ、ドア方向を撮影するカメラとを備えたエレベーターの制御装置において、
前記カメラの画像より、乗かご内に予め定められた人数以上の乗客を検出すると信号を出力する乗かご内乗客検出手段と、
前記カメラの画像より、乗場側に乗客がいることを検出すると信号を出力する乗場待ち客検出手段と、
前記ドア制御手段からドア閉指令信号が出力され、前記乗かご内乗客検出手段及び前記乗場待ち客検出手段から信号がそれぞれ出力されたとき、前記乗かごが走行すると、前記乗場呼び登録手段へ当該乗場の呼び登録を行う乗場呼び再登録手段とを備えたことを特徴とするエレベーターの制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のエレベーターの制御装置において、
前記乗場呼び再登録手段にて当該乗場の呼びが登録されると、乗場へ報知する乗場呼び登録報知手段を設けたことを特徴とするエレベーターの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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