説明

エレベータ敷居受装置

【課題】敷居に下方への力が加わったときに、敷居が下方へ移動してしまうことを抑制することができるエレベータ敷居受装置を得る。
【解決手段】昇降路の壁1に突出して固定されるアンカーボルト2と、このアンカーボルト2が挿入可能な長孔3aが形成され、この長孔3aにアンカーボルト2が挿入されることで、鉛直方向に移動可能な第1の取付具3と、壁1に取り付けられる敷居7を支持する第2の取付具4と、アンカーボルト2に設けられ、第2の取付具4が敷居7を支持したときに、第2の取付具4が下方に移動することを規制する第3の取付具5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、昇降路の壁に突出して固定される取付用ボルトと、取付用ボルトが挿入可能な長孔が形成され、この長孔に取付用ボルトが挿入されることで、鉛直方向に移動可能な第1の取付具と、壁に取り付けられる敷居を支持する第2の取付具とを備えたエレベータ敷居受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路の壁に突出して固定されるアンカーボルトと、前記アンカーボルトが挿入可能な長孔が形成され、前記長孔に前記アンカーボルトが挿入されることで、鉛直方向に移動可能な第1の取付具と、前記第1の取付具に支持され、前記壁に取り付けられる敷居を支持する第2の取付具とを備えたエレベータ敷居受装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実公昭60−6535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このものの場合、ナットを用いて第1の取付具とアンカーボルトとを固定しても、ナットによる第1の取付具とアンカーボルトとの固着力より大きい力が敷居を介して第1の取付具に下方へ加えられると、アンカーボルトが第1の取付具の長孔を移動してしまい、第1の取付具が下方へ移動して、第2の取付具が下方へ移動するので、敷居が下方へ移動してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、敷居に下方への力が加えられたときに、敷居が下方へ移動してしまうことを抑制することができるエレベータ敷居受装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータ敷居受装置は、被取付部に突出して固定される取付用ボルトと、前記取付用ボルトが挿入可能な長孔が形成され、前記長孔に前記取付用ボルトが挿入されることで、鉛直方向に移動可能な第1の取付具と、前記被取付具に取り付けられる敷居を支持する第2の取付具と、前記取付用ボルトに設けられ、前記第2の取付具が前記敷居を支持したときに、前記第2の取付具が下方に移動することを規制する下方移動規制手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベータ敷居受装置によれば、敷居に下方への力が加えられたときに、下方移動規制手段により第2の取付具が下方に移動することが規制されるので、第2の取付具に支持された敷居が下方へ移動してしまうことを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの実施の形態に係るエレベータ敷居受装置を用いて昇降路の壁1に敷居7が取り付けられた様子を示す正面図、図2は図1の壁1、敷居7およびエレベータ敷居受装置を示す側面図、図3は図2のエレベータ敷居受装置の分解斜視図、図4(a)は図2のエレベータ敷居受装置の正面図である。
この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置は、被取付部である昇降路の壁1に垂直な方向に突出して固定される取付用ボルトである一対のアンカーボルト2と、このアンカーボルト2に支持される第1の取付具3と、この第1の取付具3に支持される第2の取付具4と、アンカーボルト2に支持される下方移動規制手段である第3の取付具5とを備えている。
なお、アンカーボルト2は、この数に限らない。
【0009】
第1の取付具3は、断面コ字形状に形成されており、アンカーボルト2に取り付けられたときに、水平方向の両端部が壁1から離れる方向を向き、中央部が壁1に平行となる。
第1の取付具3の中央部には、アンカーボルト2が挿入可能な長孔3aが2ヶ所形成されており、それぞれの長孔3aにアンカーボルト2が挿入されると、長孔3aの長径の方向は鉛直方向となり、第1の取付具3は鉛直方向に移動可能となる。
アンカーボルト2には、ナット6が取り付けられており、このナット6を締めると、第1の取付具3がアンカーボルト2に固定される。
第1の取付具3の両端部には、それぞれに、ボルト8が挿入可能な長孔3bが2ヶ所形成されており、第1の取付具3がアンカーボルト2に取り付けられると、この長孔3bは、長径の方向が水平方向であって壁1に離接する方向となる。
【0010】
第2の取付具4は、L字形状に形成されており、一端部が第1の取付具3の両端部のそれぞれに取り付けられ、他端部には上側から敷居7が取り付けられる。
第2の取付具4の一端部には、ボルト8が挿入可能な孔4aが2ヶ所形成されており、それぞれの孔4aには、第1の取付具3の長孔3bに挿入されたボルト8が挿入される。
ボルト8が長孔3bを移動することにより、第2の取付具4は水平方向であって壁1に離接する方向に移動する。
なお、水平方向であって壁1に離接する方向とアンカーボルト2の軸線方向とは、同一の方向である。
ボルト8には、ナット9が取り付けられており、このナット9を締めると、第1の取付具3と第2の取付具4とが固定される。
第2の取付具4の他端部には、長孔4bが形成されており、第2の取付具4が第1の取付具3に取り付けられると、この長孔4bは、長径の方向が水平方向であって壁1に沿った方向となる。
【0011】
敷居7には、一方向に延びた孔7aが形成されており、この孔7aにボルト10が挿入される。
このボルト10は、第2の取付具4の長孔4bにも挿入されており、ボルト10が孔7aを移動することにより、敷居7が水平方向であって壁1に沿った方向に移動する。
なお、第2の取付具4の長孔4bは、敷居7との接触する第2の取付具4の面が製造の誤差等により傾いた場合に、ボルト10を長孔4bに沿って移動させて第2の取付具4と敷居7とを確実に接触させるために形成されている。
ボルト10には、ナット11が取り付けられており、このナット11を締めると、第2の取付具4と敷居7とが固定される。
【0012】
第3の取付具5は、アンカーボルト2に取り付けられたときの下端部に、壁1から離れる方向に折曲された当接部である下端折曲部5aが形成され、アンカーボルト2に取り付けられたときの水平方向の両端部に、水平方向であって壁1に離接する方向に折曲された延長部である側端折曲部5bが形成されている。
下端折曲部5aは、第3の取付具5がアンカーボルト2に取り付けられたときに、第1の取付具3の下端面に当接する。
これにより、第3の取付具5は、第1の取付具3を介して第2の取付具4が下方へ移動することを規制することができる。
第3の取付具5の中央部には、アンカーボルト2が挿入可能な長孔5cが2ヶ所形成されており、それぞれの長孔5cにアンカーボルト2が挿入されると、第3の取付具5は鉛直方向および水平方向に同時に移動可能となる。
アンカーボルト2に取り付けられたナット6を締めると、第1の取付具3と第3の取付具5とがアンカーボルト2に固定される。
【0013】
次に、この実施の形態に係るエレベータ敷居装置を用いて、昇降路の壁1に敷居7を取り付ける手順について説明する。
まず、2本のアンカーボルト2を壁1に固定する。
次に、長孔5cにアンカーボルト2を挿入して第3の取付具5をアンカーボルト2に取り付け、さらに、長孔3aにアンカーボルト2を挿入して第1の取付具3をアンカーボルト2に取り付ける。
このとき、第3の取付具5の下端折曲部5aを第1の取付具3の下端部の端面に当接させる。
なお、このとき、ナット6は、軽く緩んだままの状態にする。
【0014】
次に、第1の取付具3の長孔3bにボルト8を挿入し、さらに、第2の取付具4の孔4aにボルト8を挿入して、第2の取付具4を第1の取付具3に取り付ける。
このとき、ナット9は、軽く緩んだままの状態である。
さらに、敷居7の孔7aにボルト10を挿入した後、長孔4bにボルト10を挿入して、第2の取付具4に敷居7を取り付ける。
このとき、ナット11は、軽く緩んだままの状態である。
次に、ボルト8を長孔3bに沿って移動させて、敷居7の水平方向であって壁1に離接する方向の位置を調節した後、ナット9を締めて第1の取付具3と第2の取付具4とを固定する。
【0015】
次に、ハンマー12を用いて第3の取付具5を横方向からたたくと、アンカーボルト2が長孔5cに沿って移動して、第3の取付具5は水平方向へ移動するとともに鉛直方向へも移動する。
第3の取付具5が鉛直方向へ移動することにともない、第3の取付具5に支持された第1の取付具3も鉛直方向へ移動し、第1の取付具3に固定された第2の取付具4も鉛直方向へ移動して、第2の取付具4に支持された敷居7も鉛直方向に移動する。
ハンマー12による敷居7の鉛直方向の位置の調節が終了すると、ナット6を締めて、第1の取付具3と第3の取付具5とをアンカーボルト2に固定する。
次に、ボルト10を孔7aに沿って移動させて、敷居7の水平方向であって壁1に沿った方向の位置を調節した後、ナット11を締めて、第2の取付具4と敷居7とを固定する。
【0016】
次に、この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置により昇降路の壁1に取り付けられた敷居7に下方への力が加えられた場合について説明する。
利用者等が敷居7の上に乗ると、敷居7には下方への力が加えられる。
敷居7に加えられた下方への力は、第2の取付具4を介して第1の取付具3に伝達され、第1の取付具3には下方への力が加えられる。
第1の取付具3はナット6によりアンカーボルト2に固定されているものの、第1の取付具3に加えられた力がナット6による第1の取付具3とアンカーボルト2との固着力より強い場合には、アンカーボルト2が長孔3aに沿って移動して、第1の取付具3が下方へ移動しようとする。
しかしながら、第1の取付具3の下端部の端面が第3の取付具5の下端折曲部5aに当接されて、第1の取付具3が第3の取付具5に支持されているので、第1の取付具3が下方へ移動するのが規制される。
これにより、第1の取付具3に支持された第2の取付具4が下方へ移動することが規制され、第2の取付具4に支持された敷居7が下方へ移動することが抑制される。
【0017】
以上説明したように、この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置によれば、第3の取付具5は、第1の取付具3を介して第2の取付具4が下方に移動することを規制するので、敷居7に下方への力が加わっても、敷居7が下方へ移動することを抑制することができる。
【0018】
また、第3の取付具5は、長孔5cにアンカーボルト2が挿入されると、鉛直方向および水平方向に同時に移動可能であるので、第3の取付具5を水平方向に移動させることで、簡単に敷居7の鉛直方向の位置を調節することができる。
【0019】
第1の取付具3が第2の取付具4を支持し、第3の取付具5が第1の取付具3を支持しているので、第3の取付具5を移動させるだけで、敷居7の鉛直方向の位置を簡単に調節することができる。
【0020】
第3の取付具5の下端部には、第1の取付具3の下端部の端面に当接する下端折曲部5aが形成されているので、簡単に第3の取付具5が第1の取付具3を支持することができる。
【0021】
なお、この実施の形態では、ハンマー12を用いて第3の取付具5を横方向からたたくことで、第3の取付具5を水平方向および鉛直方向へ移動させたが、勿論このものに限らず、図4(a)および図4(b)に示すように、バール13を用いて第3の取付具5を水平方向および鉛直方向へ移動させてもよい。
【0022】
実施の形態2.
図5は、この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置を用いて昇降路の壁1に敷居7が取り付けられた様子を示す側面図、図6は図5のエレベータ敷居受装置の分解斜視図、図7(a)は図5のエレベータ敷居受装置の正面図、図7(b)は図7(a)の要部拡大図である。
この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置は、壁1に取り付けられたときに、第1の取付具3の水平方向の一方の端部と、この端部と対向した第3の取付具5の側端折曲部5bとの間に、第1の取付具3と第3の取付具5との水平方向の相対位置を変化させる水平方向移動手段14を備えている。
水平方向移動手段14は、側端折曲部5bに設けられた、回転することで第1の取付具3に向かって進退可能なボルト15と、このボルト15の先端部に設けられた、ボルト15と第1の取付具3とを保持する保持手段である止輪19とを有している。
【0023】
ボルト15は、基部に頭部、中間部にネジ溝を外周に有した大径部15a、先端部に小径部15b、大径部15aと小径部15bとの間に段部15cが形成されている。
側端折曲部5bにはネジ溝を有した孔16が形成され、この孔16にボルト15の大径部15aが挿入されており、ボルト15が回転すると第1の取付具3に向かってボルト15が進退する。
第1の取付具3の一端部には、ボルト15が挿入可能な長孔17が形成されており、この長孔17にはボルト15の小径部15bが挿入されている。
なお、第1の取付具3の一端部には、長孔17に限らず、ボルト15が挿入可能な丸孔が形成されてもよい。
【0024】
小径部15bの先端部は、長孔17を通って第1の取付具3の内側に臨んでおり、この小径部15bには、側端折曲部5bの両面から挟んだ一対の座金18が取り付けられている。
止輪19は、C型形状をしており、段部15cとともに一対の座金18を挟んでおり、第1の取付具3とボルト15とを保持する。
止輪19により、第1の取付具3とボルト15とが保持されたまま、ボルト15が回転して第1の取付具3に向かって進退すると、連動して、第1の取付具3と第3の取付具5との水平方向の相対位置が変化する。
第1の取付具3と第3の取付具5との水平方向の相対位置が変化すると、第1の取付具3はアンカーボルト2に対して水平方向に移動することが規制されているので、第3の取付具5がアンカーボルト2に対して水平方向に移動する。
第3の取付具5がアンカーボルト2に対して水平方向に移動すると、同時に第3の取付具5はアンカーボルト2に対して鉛直方向に移動するので、第1の取付具3も鉛直方向に移動する。
したがって、ボルト15を回転させることで、第1の取付具3、第2の取付具4および敷居7の鉛直方向の位置を簡単に調節することができる。
その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0025】
この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置によれば、第1の取付具3と第3の取付具5との間に、第1の取付具3と第3の取付具5との水平方向の相対位置を変化させる水平方向移動手段14が取り付けられているので、第1の取付具3の鉛直方向の位置を簡単に調節することができ、その結果、敷居7の鉛直方向の位置を簡単に調節することができる。
【0026】
また、側端折曲部5bには、回転することで第1の取付具3に向かって進退するボルト15が設けられ、このボルト15の先端部には、ボルト15と第1の取付具3とを保持する止輪19が設けられているので、ボルト15を回転することで、簡単に第1の取付具3と第3の取付具5との水平方向の相対位置を変化させることができ、敷居7の鉛直方向の位置を簡単に調節することができる。
また、ボルト15の回転角度を小さくすることで、敷居7の鉛直方向の位置を小さく調節することができる。
【0027】
実施の形態3.
図8(a)はこの実施の形態に係るエレベータ敷居受装置を示す斜視図、図8(b)は図8(a)の第2の取付具4および第3の取付具5を示す分解斜視図、図9は図8のエレベータ敷居受装置と敷居7とを示す正面図である。
この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置は、壁1に垂直な方向に突出して固定される5本のアンカーボルト2と、1本のアンカーボルト2に支持される第1の取付具3と、一対のアンカーボルト2に支持される第3の取付具5と、第3の取付具5に支持される第2の取付具4とを備えている。
アンカーボルト2は、水平方向の両端に2本ずつ、中央に1本配置される。
なお、アンカーボルト2は、この数に限らない。
【0028】
第3の取付具5は、断面コ字形状に形成されており、アンカーボルト2に取り付けられたときに、水平方向の両端部が壁1から離れる方向を向き、中央部が壁1に平行となる。
第3の取付具5の中央部には、アンカーボルト2が挿入可能な長孔5cが2ヶ所形成されており、それぞれの長孔5cにアンカーボルト2が挿入されると、第3の取付具5は鉛直方向および水平方向に同時に移動可能となる。
アンカーボルト2に取り付けられたナット6を締めると、第3の取付具5がアンカーボルト2に固定される。
第3の取付具5の両端部には、それぞれに、ボルト20が挿入可能な長孔5dが2ヶ所形成されており、第3の取付具5がアンカーボルト2に取り付けられると、この長孔5dは、長径の方向が水平方向であって壁1に離接する方向となる。
【0029】
第2の取付具4は、L字形状に形成されており、一端部が第3の取付具5の両端部のそれぞれに取り付けられ、他端部には上側から敷居7が取り付けられる。
第2の取付具4の一端部には、ボルト20が挿入可能な孔4aが形成され、第3の取付具5の長孔5dに挿入されたボルト20は、第2の取付具4の孔4aに挿入される。
ボルト20が長孔5dを移動することにより、第2の取付具4は水平方向であって壁1に離接する方向に移動する。
ボルト20には、ナット21が取り付けられており、このナット21を締めると、第3の取付具5と第2の取付具4とが固定される。
第2の取付具4の他端部には、長孔4bが形成されており、第2の取付具4が第3の取付具5に取り付けられると、この長孔4bは、長径の方向が水平方向であって壁1に沿った方向となる。
【0030】
敷居7の孔7aには、ボルト22が挿入され、さらに、このボルト22は第2の取付具4の長孔4bにも挿入されており、ボルト22が孔7aを移動することにより、敷居7が水平方向であって壁1に沿った方向に移動する。
ボルト22には、ナット23が取り付けられており、このナット23を締めると、第2の取付具4と敷居7とが固定される。
【0031】
第1の取付具3は、L字形状に形成されており、一端部がアンカーボルト2に取り付けられ、他端部には上側から敷居7が取り付けられている。
第1の取付具3の一端部には、アンカーボルト2が挿入可能な長孔3aが形成され、この長孔3aにアンカーボルト2が挿入されると、長孔3aの長径の方向は鉛直方向となり、第1の取付具3は鉛直方向に移動可能となる。
このアンカーボルト2にもナット6が取り付けられており、このナット6を締めると、第1の取付具3がアンカーボルト2に固定される。
第1の取付具3の他端部には、ボルト24が挿入可能な長孔(図示せず)が形成されており、第1の取付具3がアンカーボルト2に取り付けられると、この長孔は、長径の方向が水平方向であって壁1に離接する方向となる。
この長孔には、敷居7の孔7aに挿入されたボルト24が挿入される。
ボルト24には、ナット25が取り付けられており、このナット25を締めると、第1の取付具3と敷居7とが固定される。
その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0032】
次に、この実施の形態に係るエレベータ敷居装置を用いて、昇降路の壁1に敷居7を取り付ける手順について説明する。
まず、5本のアンカーボルト2を壁1に固定する。
次に、長孔3aに中央のアンカーボルト2を挿入して第1の取付具3をアンカーボルト2に取り付け、長孔5cに両端のアンカーボルト2を挿入して第3の取付具5をアンカーボルト2に取り付ける。
このとき、ナット6は、軽く緩んだままの状態にする。
【0033】
次に、ボルト20を介して第3の取付具5に第2の取付具4を取り付ける。
このとき、ナット21は、軽く緩んだままの状態にする。
次に、第1の取付具3および第2の取付具4の上側に敷居7を取り付け、敷居7の水平方向であって壁1に離接する方向の位置および水平方向であって壁1に沿った方向の位置を調節した後に、ナット25を締めて第1の取付具3と敷居7とを固定し、さらに、ナット21を締めて第2の取付具4と第3の取付具5とを固定する。
このとき、ナット23は、軽く緩んだままの状態にする。
【0034】
次に、第3の取付具5を長孔5cの方向に移動させる。
このとき、第2の取付具4は第3の取付具5に固定され、第2の取付具4と敷居7とは固定されていないので、第2の取付具4は、第3の取付具5とともに長孔5cの方向に移動する。
第2の取付具4が長孔5cの方向に移動するので、第2の取付具4に支持された敷居7
が鉛直方向に移動する。
このようにして、第3の取付具5を移動させて、敷居7の鉛直方向の位置を調節する。
最後に、ナット6を締めて第1の取付具3および第3の取付具5をアンカーボルト2に固定し、ナット23を締めて第2の取付具4と敷居7とを固定する。
【0035】
この実施の形態に係るエレベータ敷居受装置によれば、第3の取付具5が敷居7を支持した第2の取付具4を支持しているので、敷居7に下方への力が加えられても、第3の取付具5が第2の取付具4を介して敷居7が下方へ移動することを規制することができる。
【0036】
なお、上記各実施の形態では、エレベータの昇降路の壁1に敷居7を取り付けるエレベータ敷居受装置について説明したが、勿論このものに限らず、エレベータのかごに敷居7を取り付けるエレベータ敷居受装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1に係るエレベータ敷居受装置を用いて昇降路の壁に敷居が取り付けられた様子を示す正面図である。
【図2】図1の壁、敷居およびエレベータ敷居受装置を示す側面図である。
【図3】図2のエレベータ敷居受装置の分解斜視図である。
【図4】図4(a)図2のエレベータ敷居受装置の正面図、図4(b)は図4(a)の要部拡大図である。
【図5】実施の形態2に係るエレベータ敷居受装置を用いて昇降路の壁に敷居が取り付けられた様子を示す側面図である。
【図6】図5のエレベータ敷居受装置の分解斜視図である。
【図7】図7(a)図5のエレベータ敷居受装置の正面図、図7(b)は図7(a)の要部拡大図である。
【図8】図8(a)は実施の形態3に係るエレベータ敷居受装置を示す斜視図、図8(b)は図8(a)の第2の取付具および第3の取付具を示す分解斜視図である。
【図9】図8のエレベータ敷居受装置と敷居とを示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 壁、2 アンカーボルト、3 第1の取付具、3a 長孔、3b 長孔、4 第2の取付具、4a 孔、4b 長孔、5 第3の取付具、5a 下端折曲部、5b 側端折曲部、5c 長孔、5d 長孔、6 ナット、7 敷居、7a 孔、8 ボルト、9 ナット、10 ボルト、11 ナット、12 ハンマー、13 バール、14 水平方向移動手段、15 ボルト、15a 大径部、15b 小径部、15c 段部、16 孔、17 長孔、18 座金、19 止輪、20 ボルト、21 ナット、22 ボルト、23 ナット、24 ボルト、25 ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に突出して固定される取付用ボルトと、
前記取付用ボルトが挿入可能な長孔が形成され、前記長孔に前記取付用ボルトが挿入されることで、鉛直方向に移動可能な第1の取付具と、
前記被取付具に取り付けられる敷居を支持する第2の取付具と、
前記取付用ボルトに設けられ、前記第2の取付具が前記敷居を支持したときに、前記第2の取付具が下方に移動することを規制する下方移動規制手段とを備えたことを特徴とするエレベータ敷居受装置。
【請求項2】
前記下方移動規制手段には、前記取付用ボルトが挿入可能な長孔が形成され、
前記下方移動規制手段は、前記長孔に前記取付用ボルトが挿入されることで、鉛直方向および水平方向に同時に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項3】
前記第1の取付具は、前記第2の取付具を支持し、
前記下方移動規制手段は、前記第1の取付具を支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項4】
前記下方移動規制手段には、前記第1の取付具の下端面に当接可能な当接部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項5】
前記下方移動規制手段には、前記第1の取付具側に延びた延長部が形成され、
前記第1の取付具と前記延長部との間には、前記第1の取付具と前記下方移動規制手段との水平方向の相対位置を変化させる水平方向移動手段が設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項6】
前記水平方向移動手段は、
前記延長部に設けられ、回転することで前記第1の取付具に向かって進退可能なボルトと、
前記ボルトの先端部に設けられ、前記ボルトと前記第1の取付具とを保持する保持手段とを有していることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項7】
前記第1の取付具は、前記敷居を支持し、
前記下方移動規制手段は、前記第2の取付具を支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエレベータ敷居受装置。
【請求項8】
前記被取付具は、昇降路の壁であることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項にエレベータ敷居受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−132472(P2009−132472A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307680(P2007−307680)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】