説明

エレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置

【課題】エレベータ昇降路内の障害物が存在したとしても、これらの障害物を避けながら物質を昇降路内に散布することができるエレベータ昇降路内への物質散布装置を提供する。
【解決手段】エレベータの昇降路1内の被散布物に物質を散布する物質散布装置であって、昇降路1内を昇降するかご30の天井面の外側上部に配置され、かご30を懸垂支持する主ロープ31の通線用の孔が設けられる架台30aに移動可能に支持されていて、物質が格納される本体と、本体から供給される物質が噴出される噴口66を備えるノズル65と、ノズル65が取り付けられる連結部64と、を有してなり、連結部64は、かご30の昇降方向に水平に延びる方向に架台30aに固定されているガイドレール42に摺動可能に支持されているガイドホルダー41に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごが昇降する昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの建物に設置されているエレベータの乗りかごが昇降する昇降路内の内周面に付着しているアスベストの封じ込め(飛散防止措置)や除去などの作業を行う場合、作業員が昇降路内に立ち入り、乗りかごの天井面の上などに乗って、作業を行う必要があった。
【0003】
しかし、このような昇降路内での作業員による作業は、作業に長時間を要するほか、乗りかごからの落下の危険や、昇降路内に飛散しているアスベストによる健康被害の問題が存在していた。そのため、作業員が昇降路内に立ち入ることなく、昇降路内のアスベストの封じ込め等を実現することができる設備や装置の開発が要望されていた。
【0004】
これまでにも、アスベストの除去や封じ込めに関する提案がされている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−120033号公報
【特許文献2】特開2007−247240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、エレベータ昇降路内には、乗りかごを懸垂する主ロープやつり合いおもり、あるいは、梁背や補強梁など、ロボットなどの装置を用いてアスベストの封じ込めなどを行う際の障害物が多数存在する。
【0007】
本発明は、以上説明した従来技術の問題点を解消するためになされたもので、エレベータ昇降路内の障害物が存在したとしても、これらの障害物を避けながら物質を昇降路内に散布することができるエレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置であって、昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置され、かごを懸垂支持する主ロープの通線用の孔が設けられる架台に移動可能に支持されていて、物質が格納される本体と、本体から供給される物質が噴出される噴口を備えるノズルと、ノズルが取り付けられる連結部と、を有してなり、連結部は、かごの昇降方向に水平に延びる方向に架台に固定されているガイドレールに摺動可能に支持されているガイドホルダーに固定されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、架台は、ガイドレールが取り付けられる天板と、天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにしてかごの天井面の外側上部に配置固定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、脚支柱とかごとの接触面には弾性部材が配設されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいてガイドホルダーのガイドレール上での位置を決定し、ガイドレール上を決定された位置までガイドホルダーの移動を制御する移動制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、ガイドホルダーは垂直方向に変動可能に構成されていて、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、ガイドホルダーの垂直方向の変動を制御する高さ位置制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、ノズルは、垂直方向または水平方向の少なくともいずれか一方の方向の角度が変動可能に構成されていて、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、ノズルを所定の角度に制御する角度制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、噴口から噴出される単位時間当たりの物質の量を制御する噴出量制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報を取得する位置情報取得手段、を備え、位置情報取得手段は、被散布物をレーザ光で走査して、走査されたレーザ光の被散布物からの反射光を受光して被散布物までの距離を計測し、計測された被散布物までの距離と被散布物へのレーザ光の照射角度とに基づいて被散布物の位置情報を測定するレーザスキャナを有してなり、レーザスキャナは、ガイドホルダーに移動可能に支持されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置を移動可能に支持するガイド装置であって、昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置される架台と、かごの昇降方向に水平な方向に延びる方向に架台に固定されるガイドレールと、物質散布装置が取り付けられ、ガイドレール上を摺動可能なガイドホルダーと、
を有してなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、架台は、ガイドレールが配置される天板と、天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにしてかごの天井面の外側上部に配置固定されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、架台には、かごを懸垂支持する主ロープが通線される孔が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、脚支柱とかごとの接触面には、弾性部材が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エレベータ昇降路内の障害物が存在したとしても、これらの障害物を避けながら物質を昇降路内に散布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】エレベータ昇降路の概要を示す模式図である。
【図2】エレベータ昇降路内の位置情報取得装置とガイド装置の実施の形態を示す模式図である。
【図3】上記ガイド装置を構成するガイドホルダーの例を示す斜視図である。
【図4】上記ガイド装置を構成するガイドレールのレイアウトの例を示す模式図である。
【図5】上記位置情報取得装置が備えるレーザスキャナの走査範囲の例を示す模式図である。
【図6】上記レーザスキャナが走査できない範囲の例を示す模式図である。
【図7】上記レーザスキャナの走査位置と走査できない範囲(死角)の位置関係の例を示す模式図である。
【図8】上記位置情報取得装置とガイド装置の機能ブロック図である。
【図9】上記位置情報取得装置が取得する位置情報の例を示す模式図である。
【図10】上記位置情報取得装置とガイド装置の動作例1を示すシーケンス図である。
【図11】上記位置情報取得装置とガイド装置の別の動作例2を示すシーケンス図である。
【図12】上記位置情報取得装置の移動による死角解消の例を示す模式図である。
【図13】上記位置情報取得装置とガイド装置のさらに別の動作例3を示すシーケンス図である。
【図14】上記位置情報取得装置とガイド装置のさらに別の動作例4を示すシーケンス図である。
【図15】本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【図16】上記物質散布装置の斜視図である。
【図17】上記物質散布装置の動作例を示すシーケンス図である。
【図18】上記物質散布装置の別の動作例を示すシーケンス図である。
【図19】上記物質散布装置のさらに別の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置の実施の形態について説明する。
【0023】
ここで、物質散布装置が散布する物質は、固体、液体、気体のいずれでもよいが、以下の説明では、昇降路内の内周面に付着しているアスベストを封じ込めるための溶剤を、付着している状態のアスベストに散布するものとする。
【0024】
また、物質散布装置が物質を散布するのに先立って、昇降路内の位置情報、つまり、昇降路の寸法(幅、奥行、高さ)や梁などの位置を示す情報を取得し、取得された位置情報に基づいて物質散布装置は物質を散布する。
【0025】
そこで、まずは、昇降路内の位置情報を取得するための位置情報取得装置と、位置情報取得装置を昇降路内で移動可能に支持するガイド装置について説明する。
【0026】
位置情報取得装置とガイド装置は、エレベータの利用者が乗り込む乗りかご(かご)が昇降する昇降路の内部の位置情報を取得するための装置である。ここで、昇降路の内部の位置情報とは、昇降路内の被測定物(昇降路の内壁や昇降路内に存在する梁など)の3次元座標である。
【0027】
なお、位置情報取得装置は、後述するように、被測定物の3次元座標を取得することができるレーザスキャナを備えている。レーザスキャナは、レーザ光を被測定物に照射してから被測定物からの反射光を受光するまでの時間を計測して光源から被測定物までの距離を特定し、同時に、出射したレーザ光の方向(仰角、方位角)を計測することで、被測定物の3次元座標を取得する。レーザスキャナは、光源を回転させながら被測定物の3次元座標の取得を連続的に行い、短時間に大量の点群データを取得することができる。なお、レーザスキャナが取得する3次元座標は、GPS(Global Positioning System)との連携による絶対値(座標)でもよいし、あるいは、昇降路1内の所定の基準点からの相対位置を示す相対値(座標)でもよい。
【0028】
また、ガイド装置は、後述するように、レーザスキャナを備える位置情報取得装置を移動可能に支持する装置である。
【0029】
図1は、昇降路の概要を示す模式図である。符号1は、かご30が昇降する昇降路を示す。昇降路1の上部には、機械室2が設けられている。機械室2には、かご30の昇降を制御する制御盤21、主ロープ31を駆動してかご30を昇降する巻上機(モータ)22、主ロープ31が巻きかけられたそらせ車23、昇降路1内でのかご30の高さ位置を検知する高さ位置検知部(センサ)24が配置されている。
【0030】
高さ位置検知部24によるかご30の高さ位置の検知方法は、例えば、制御盤21からの巻上機22に対する制御信号を受信して検知する、あるいは、昇降路1の天井面からかご30の天井面に向けて照射したレーザ光の反射時間から検知する方法などがある。
【0031】
かご30は、主ロープ31の一端部に連結され、主ロープ31の他端部には、つり合いおもり32が連結されている。つり合いおもり32は、かご30を懸垂する主ロープ31にかかる荷重の差を小さくしてかご30とのつり合いを取るためのものである。符号35は、利用者がかご30に乗り込むための乗場戸である。
【0032】
昇降路1のピット(底部)3には、かご30またはつり合いおもり32が、何らかの原因で最下階を行きすぎてピット3に衝突した場合の衝撃を緩和するための緩衝器33と34が、それぞれ、かご30とつり合いおもり32の直下部に設けられている。
【0033】
図2は、位置情報取得装置とガイド装置の実施の形態を示す模式図である。位置情報取得装置が備えるレーザスキャナ10は、かご30の天井面の外側上部に配置されたガイド装置に移動可能に支持されている。ガイド装置は、平面視コ字状の架台30aと、架台30aに固定されているガイドレール42(上部ガイドレール42a,下部ガイドレール42b)と、ガイドレール42が取り付けられている支柱43(43a〜43f)とを備える。
【0034】
架台30aは、かご30の天井面と略同じ面積の矩形状の天板30a1と、天板30a1から垂設された2つの脚支柱30a2とを有し、開口端側を下向きにして、かご30の天井面の外側上部に配置固定されている。なお、かご30の天井面の外側上部との固定面である脚支柱30a2の裏面に、弾性体を貼り付けるなど、脚支柱30a2とかご30との接触面に弾性部材を配設することで、かご30の昇降に伴う振動を弾性体で吸収して架台30aに伝えない(振動エネルギーを減少させる)ようにしてもよい。
【0035】
天板30a1には、かご30を懸垂する主ロープ31(31a,31b,31c,31d,31e,31f)を通線させる孔30b(30b1,30b2)が形成されている。また、天板30a1の上面には、天板30a1の3辺に沿って、支柱43が立設固定されている。
【0036】
ガイドレール42は、上部ガイドレール42aと下部ガイドレール42bとが所定の高さ方向(かご30の昇降方向)の間隔を保って、天板30a1の上面から所定の高さに位置するように支柱43に固定されている。すなわち、ガイドレール42は、かご30の昇降方向に水平に延びる方向に、配置されている。
【0037】
ガイドレール42の外面には、ガイドホルダー41が摺動可能に嵌合されている。ガイドホルダー41は、ガイドレール42上を転動する車輪(不図示)を備えている。ガイドホルダー41は、車輪の転動により、ガイドレール42の延設方向(ガイドレール42の軸方向)に沿って、ガイドレール42を摺動する。
【0038】
図3は、ガイドホルダー41の具体的な構成例を示す斜視図である。ガイドホルダー41は、ホルダー4aと、スライダ4bと、基台4cとを備える。
【0039】
ホルダー4aは、ガイドレール42に摺動可能に嵌合された部材である。ホルダー4aには、車輪(不図示)が設けられていて、車輪の転動により、ガイドレール42の延設方向(矢印A1方向)に沿って、ガイドレール42上を摺動する。
【0040】
スライダ4bは、ホルダー4aにスライド可能に連結された部材である。スライダ4bには、スライドモータ(不図示)が設けられていて、スライドモータの駆動により、ホルダー4aに対して上下方向(矢印A2方向)にスライド可能にホルダー4aに連結されている。
【0041】
基台4cは、スライダ4bのスライド方向に直交する方向にスライダ4bから延設された部材である。基台4cには、スライドモータ(不図示)と回転モータ(不図示)とが設けられていて、スライドモータの駆動により、スライダ4bに対して上下方向(矢印A2方向)にスライド可能で、回転モータの駆動により、スライダ4bからの延設方向を回転軸とした回転方向(矢印A3方向)に回転可能(例えば、360°回転)に構成されている。
【0042】
位置情報取得装置を構成するレーザスキャナ10は、その下端が基台41cに固定されていて、ホルダー41aの車輪が転動することで、ガイドレール42の延設方向に移動する。また、レーザスキャナ10は、スライド41bのスライドモータや基台41cの駆動により、かご30の昇降方向に移動する。さらに、位置情報取得装置10は、基台41cの回転モータの駆動により、基台41cのスライダ41bからの延設方向を回転軸として回転移動する。
【0043】
図4は、天板30a1上に配置されたガイドレール42の配置例を示す、機械室2側から昇降路1内を見たときの模式図である。ガイドレール42は、天板30a1の4辺のうち、補強梁1a側(乗場戸35側)を除く3辺に沿って、主ロープを避けながら配置されている。
【0044】
かご30の天井面の外側上部に配置した架台30aにガイドレール42を設置することで、たとえ、かご30の天井面の外側上部に主ロープ31以外の装置類が存在したとしても、これらの装置類によって配置レイアウトの制限を受けることはなく、ガイドレール42の配置レイアウトの自由度を確保することができる。
【0045】
なお、ガイドレール42の配置レイアウトは、図4に示した天板30a1の3辺に沿ったものに限らず、昇降路1内でのかご30の位置や、主ロープ31のかご30への取り付け位置、あるいは、昇降路1内の位置情報を取得目的などに応じて、適宜、決定する。
【0046】
図5は、レーザスキャナ10の計測範囲(走査範囲)の例を示す模式図である。(a)は、レーザスキャナの走査範囲が、レーザ光を発光する光源Oを中心とした球状の範囲のうち、光源O直下の円錐部分(図中、斜線で示した部分)を除いた範囲であることを示している。(b)は、レーザスキャナ10が、光源Oから最長79m先まで走査可能であることを示している。
【0047】
図6は、昇降路1内の空間中、レーザスキャナが走査できない範囲(死角)の例を示した模式図である。図中に斜線で示すように、レーザスキャナの光源Oから出射されたレーザ光は、昇降路1内に存在するつり合いおもり32や乗場戸35などに遮断され、遮断された範囲は死角となる。なお、図中のドットは、レーザスキャナにより位置情報が取得された位置の例を示している。
【0048】
図7は、レーザ光を出射したときの光源Oの位置と、光源Oからのレーザ光が昇降路1内の障害物Mにより遮断されて生じる死角の位置、との関係の例を示した模式図である。光源Oが(a)の位置から走査したとき、障害物Mの紙面左右に死角C11,C12が生じている。光源Oが(b)の位置から走査したとき、障害物Mの右側にのみ死角C21が生じている。光源Oが(c)の位置から走査したとき、障害物Mの左側にのみ死角C31が生じている。このように、(a)の位置から走査したときに障害物Mの左右に生じる死角は、それぞれ、(b)(c)の位置から走査したときには生じない。したがって、障害物Mに対して異なる走査位置(b)(c)から走査することで、死角が生じることはなく、昇降路1内に存在する障害物Mの位置情報を正確に取得することができる。
【0049】
位置情報取得装置やガイド装置は、昇降路1内でレーザスキャナを移動させて、異なる位置からのレーザ光の走査を可能にすることで、レーザ光の遮断による死角の発生を防止し、昇降路1内の正確な位置情報を取得することができるように構成されている。なお、レーザスキャナによる走査は、かご30が停止したときにのみ行うようにしてもよいし、かご30の昇降中に行うようにしてもよい。
【0050】
図8は、位置情報取得装置とガイド装置の機能ブロック図である。
【0051】
位置情報取得装置は、レーザスキャナ10と制御装置50とを有してなる。制御装置50は、レーザスキャナ10と昇降装置20とガイド装置40の動作を制御するための情報処理装置であり、走査制御部51,位置情報特定部52,記憶部53,高さ位置特定部54,移動制御部55,画像作成部56を有してなる。なお、制御装置50ではコンピュータプログラムが動作していて、制御装置50内の各手段を制御して、後述する情報処理を実現している。
【0052】
走査制御部51は、レーザスキャナ10の走査タイミングを制御する手段であり、走査タイミングを決定してレーザスキャナ10の発光走査部11の動作を制御する。
【0053】
位置情報特定部52は、レーザスキャナ10が測定した位置情報を取得して記憶部53に記憶する手段である。
【0054】
記憶部53は、レーザスキャナ10が測定した位置情報をはじめ、後述する制御装置50が実行する情報処理に必要な情報を記憶している手段である。
【0055】
高さ位置特定部54は、高さ位置検知部24が検知したかご30の高さ位置を特定する情報を取得して、かご30の高さ位置を特定し、記憶部53に記憶する手段である。ここで、かご30の高さ位置とは、例えば、標高xx(m)と距離で特定する情報でもよいし、あるいは、「4階」とエレベータが設置されている建物の階数のうち、かご30が存在(停止)している階数を示す情報でもよい。
【0056】
移動制御部55は、ガイドホルダー41が備える前述の各種モータの駆動を制御して、ガイドレール42上でのガイドホルダー41の位置を制御する手段である。また、移動制御部55は、スライダ41bに対する基台41cの高さや回転方向の向きを制御して、基台41cに固定されているレーザスキャナ10の出射位置や出射方向を制御する。さらに、移動制御部55は、制御盤21の動作を制御して、かご30の昇降動作を制御する。
【0057】
画像作成部56は、記憶部53に記憶されている位置情報を読み出して、昇降路1内の画像(例えば、レンダリング画像)を作成する手段である。
【0058】
なお、制御装置50は、レーザスキャナ10に内蔵されていてもよい(制御装置50の機能は、レーザスキャナ10の一部の機能として提供される)し、あるいは、レーザスキャナ10と情報交換可能に接続(通信回線を介して)されたレーザスキャナ10とは別の筐体として提供されるものでもよい。
【0059】
レーザスキャナ10は、光源Oのほか、光源Oからのレーザ光を走査する発光走査部11と、被測定物からの反射光を受光して被測定物までの距離を測定すると同時にレーザ光の方向とから被測定物の3次元座標を測定する位置情報測定部12と、位置情報測定部12により測定された位置情報を記憶するメモリ13とを有してなる。
【0060】
図9は、メモリ13に記憶されるレーザスキャナ10により測定された位置情報の例を示す模式図であり、3次元の座標データからなる位置情報(x,y,z)が、その地点の色データ(I)と関連付けて記憶されていることを示している。なお、色データは、昇降路1内の色が特定可能となるように、照明機などで昇降路1内を照らした場合にのみ取得可能である。したがって、レーザスキャナ10は、昇降路1内の色が特定可能なときにのみ、色情報を位置情報と共にメモリ13に記憶し、色が特定可能ではないときには、位置情報のみをメモリ13に記憶する。
【0061】
昇降装置20は、かご30の昇降を制御する装置であり、制御盤21と巻上機22と高さ位置検知部24とを有してなる。
【0062】
ガイド装置40は、レーザスキャナ10を移動(搬送)させる装置であり、架台30aとガイドホルダー41とガイドレール42とを有してなる。
【0063】
次に、位置情報取得装置とガイド装置の動作例について説明する。
【0064】
(位置情報取得装置とガイド装置の動作例1)
図10は、位置情報取得装置とガイド装置の動作例を示すシーケンス図である。
【0065】
まず、制御装置50は、移動制御部55を用いて、レーザスキャナ10の走査位置(ガイドレール42上でのガイドホルダー41の停止位置)を決定してガイド装置40に通知する(S11)。
【0066】
ここで、レーザスキャナ10の走査位置は、支柱43(43a〜43f)がガイドレール42を支持している位置、つまり、ガイドホルダー41が支柱43と対向する位置のいずれかとする。また、走査位置は、支柱43a,43b,43c,43d,43e,43fの順に決定されるものとし、記憶部53には現在の走査位置が記憶されているものとする。移動制御部55は、所定の時間間隔で記憶部53から現在の走査位置を読み出し、次の走査位置を決定してガイド装置40に通知すると共に、決定した次の走査位置を現在の走査位置として記憶部53に記憶する(現在の走査位置の情報を更新する)。なお、制御装置50からガイド装置40に通知されるのは、ガイドホルダー41のホルダー41aが備える車輪の回転方向を特定する情報である。
【0067】
ガイド装置40は、制御装置50から通知された回転方向にホルダー41aの車輪を回転させてレーザスキャナ10を搬送する(S12)。
【0068】
ここで、ホルダー41aの車輪は、次の走査位置(隣の支柱43)まで回転して停止する。車輪の回転制御は、例えば、支柱43の位置に到着したことを検知するセンサをホルダー41aに取り付けておき、制御装置50から通知があると車輪は回転を開始し、センサが作動したときに車輪は回転を停止する。
【0069】
なお、移動制御部55が決定する走査位置には、スライダ41bのホルダー41aに対する高さ方向(図3の矢印A2で示す方向)の位置や、基台41cのスライダ41bに対する回転方向(図3の矢印A3で示す方向)の位置などを含めてもよい。ガイド制御装置40は、これら移動制御部55が決定した情報を制御装置50から通知されると、通知された位置にスライダ41bや基台41cの車輪などを駆動してレーザスキャナ10を搬送する。
【0070】
その後、制御装置50は、走査制御部51を用いて、走査タイミングを決定してレーザスキャナ10に通知する(S13)。
【0071】
ここで、走査タイミングの通知は、走査位置を通知(S11)から所定の時間、例えば、レーザスキャナ10が次の走査位置に移動するまでの時間を考慮して記憶部53に予め記憶されている時間が経過した時点である。走査制御部51は、移動制御部55が走査位置をガイド装置40に通知した後に記憶部53から前述の時間を読み出し、この時間の経過を待って、レーザスキャナ10に通知する。なお、記憶部53には、走査位置ごと、つまり、支柱43ごとに走査タイミングのための時間(走査制御部51が記憶部53から読み出す時間)が記憶されている。すなわち、支柱43aから支柱43bに移動するときはTa(秒)、支柱43bから支柱43cに移動するときはTb(秒)、・・・、などである。あるいは、走査タイミングのための時間は、走査位置にかかわらず一定であってもよい。
【0072】
レーザスキャナ10は、制御装置50から走査タイミングの通知を受けると、発光走査部11を用いて、光源からレーザ光を出射して昇降路1内を走査する(S14)。さらに、レーザスキャナ10は、位置情報測定部12を用いて、昇降路1内の位置情報を測定してメモリ13に記憶する(S15)。
【0073】
制御装置50は、位置情報特定部52を用いて、レーザスキャナ10が測定した位置情報を取得して(例えば、メモリ13から読み出して)、記憶部53に記憶する(S16)。
【0074】
ここで、メモリ13には、支柱43a,43b,43c,43d,43e,43fの順に搬送されたレーザスキャナ10が各走査位置で測定された位置情報、つまり、異なる走査位置で計測された位置情報で測定された位置情報が記憶されている。ここで、計測される位置情報、例えば、昇降路1内の特定の場所Pの3次元座標は、レーザスキャナ10の走査位置に関わらず一定である。すなわち、例えば、場所Pの3次元座標(Xp,Yp,Zp)は、支柱43aの走査位置で走査されたときと、支柱43bの走査位置で走査されたときとで一致する。そのため、各走査位置で測定された位置情報が記憶されているメモリ13には、同じ位置情報が重複して記憶される場合がある(もちろん、特定の走査位置でのみ測定可能な位置情報もあり得る)。
【0075】
そこで、位置情報特定部52は、メモリ13に記憶されているすべての位置情報を記憶部53に記憶する場合のほか、例えば、メモリ13に記憶されている異なる走査位置で測定された位置情報同士を比較して、重複する位置情報は記憶部53に記憶しないようにしてもよい。ここで、「重複する位置情報は記憶部53に記憶しない」とは、記憶部53に記憶されている位置情報に重複がない(状態となる)ように記憶することを指す。すなわち、例えば、メモリ13に場所Pの位置情報「(Xp,Yp,Zp)」が3レコード記憶されていた場合(3箇所の走査位置で場所Pの位置情報が測定された場合)に、1レコードは記憶部53に記憶されるが、残り2レコードは記憶部53に記憶されない。
【0076】
なお、レーザスキャナ10がメモリ13に重複する位置情報を記憶しないように構成することで、記憶部53に重複する位置情報を記憶させないようにしてもよい。すなわち、例えば、レーザスキャナ10は、位置情報を測定すると、メモリ13に記憶されている位置情報(過去に測定して記憶されている位置情報)を読み出して参照し、今回測定した位置情報がメモリ13に記憶されていないときにのみ、今回測定した位置情報をメモリ13に記憶する。
【0077】
(位置情報取得装置とガイド装置の動作例2)
図11は、位置情報取得装置とガイド装置の別の動作例を示すシーケンス図である。この動作例は、記憶部53に記憶されているレーザスキャナ10がすでに取得した位置情報に基づいて、レーザスキャナ10の走査位置を決定するものである。以下、先に説明した動作例と異なる部分を中心に説明する。
【0078】
まず、制御装置50は、移動制御部55を用いて、記憶部53に記憶されている位置情報を読み出して走査位置を決定し、ガイド装置40に通知する(S21,S22,S23)。
【0079】
ここで、すでに取得された位置情報に基づいて、その後の走査位置を決定する方法について説明する。図12は、(a)は、レーザスキャナ10の光源Oからのレーザ光が昇降路1内の障害物Mに遮断されて、障害物Mの紙面右側の斜線で示した部分に死角が生じた様子を示す模式図であり、(b)はレーザスキャナ10が取得して記憶部53に記憶された位置情報の例を示す模式図である。(a)(b)に示すように、レーザ光の走査により、位置Pn,Pn+1,Pn+2,Pn+3,・・・の位置情報が取得されて記憶部53に記憶されている。なお、位置Pn,Pn+1,Pn+2,Pn+3のそれぞれのX座標は、Xn,Xn+1,Xn+2,Xn+3であり、
位置PnとPn+1のX軸方向の距離L1=|Xn−Xn+1|,
位置Pn+1とPn+2のX軸方向の距離L2=|Xn+1−Xn+2|,
位置Pn+2とPn+3のX軸方向の距離L3=|Xn+2−Xn+3|
により算出できる。ここで、L1,L2,L3を比較すると、L3がL1,L2に比べて長いことが分かる。これは、障害物Mが存在しなければ、L1,L2,L3は略等しくなるところ、障害物Mにより前述の死角が生じたためである。この場合、X座標がXn+2よりXn+3側(紙面右側)に光源O(レーザスキャナ10)を移動させると、障害物Mの右側からレーザ光を障害物Mに向けて走査することができ、前述の死角部分も走査が可能となり、位置情報を取得することができる。
【0080】
このように、すでに取得されて記憶部53に記憶されている位置情報から、隣同士の被測定点の間隔を算出して比較し、他の間隔に比べて長いところには、障害物が存在してレーザ光が遮断された可能性がある、と判定することができる。移動制御部55は、このような隣同士の被測定点の間隔を算出して比較し、レーザ光が遮断された可能性のある箇所を特定した上で、次の走査位置を決定する。
【0081】
ガイド装置40は、制御装置50からの通知に基づいてホルダー41aの車輪を回転させてレーザスキャナ10を搬送する(S24)。
【0082】
ここで、制御装置50は、移動制御部55が決定した走査位置をガイド装置40に通知するが、ガイド装置40に通知されるのは、例えば、ホルダー41aの車輪の回転方向と回転時間を特定する情報である。すなわち、例えば、記憶部53には、現在のガイドホルダー41のガイドレール42上での位置を特定する情報が記憶されていて、制御装置50は、この現在のガイドホルダー41のガイドレール42上での位置と、移動制御部55が決定した次の走査位置とに基づいて、ホルダー41aの回転方向と回転時間とを算出する。
【0083】
なお、制御装置50がガイド装置40に通知する情報の別の例としては、移動制御部55が決定した次の走査位置を特定する情報、例えば、図12に示した例において、「X座標>Xn+2」(X座標の値がXn+2より大きい位置)、を通知する。この場合、例えば、ガイド装置40にはガイドホルダー41の現在位置を特定することができるようにGPS機能が搭載されていて、このGPS機能と連携してホルダー41aの車輪の回転を制御(回転方向、回転の開始・停止など)し、制御装置50から通知された位置(またはその近く)にガイドホルダー41を移動制御する。
【0084】
また、制御装置50がガイド装置40に通知する情報のさらに別の例としては、過去に位置情報を測定した際の走査位置に基づいて決定された次の走査位置を特定する情報であってもよい。すなわち、記憶部53には、位置情報が、この位置情報を測定した際のレーザスキャナ10のガイドレール42上での位置を特定する情報(走査位置情報)と関連付けて記憶されていて、移動制御部55は、記憶部53に記憶されている走査位置情報に基づいて、レーザスキャナ10の走査位置を決定する。つまり、図12に示した例であれば、(a)の走査位置(例えば、支柱43b)で測定した位置情報((b)に示す)に基づいて、X軸座標のXn+2とXn+3の間に存在する次の捜査位置(例えば、支柱43d)を決定する。
【0085】
レーザスキャナ10がガイド装置40に搬送された後、制御装置50は、走査タイミングを決定してレーザスキャナ10に通知し(S25)、レーザスキャナ10は、昇降路1内をレーザ光で走査して位置情報を取得し(S26,S27)、制御装置50は、レーザスキャナ10が取得した位置情報を記憶部53に記憶する(S28)。なお、これらの処理S25〜S28は、図10に示した動作例中の処理S13〜S16と同様の処理である。
【0086】
(位置情報取得装置とガイド装置の動作例3)
図13は、位置情報取得装置とガイド装置の別の動作例を示すシーケンス図である。この動作例は、かご30の高さ位置に基づいて、レーザスキャナ10の走査位置や走査タイミング(走査するか否かも含む)を決定するものである。以下、先に説明した動作例と異なる部分を中心に説明する。
【0087】
まず、昇降装置20は、制御盤21,巻上機22を用いて、かご30を昇降させ(S31)、高さ位置検知部24を用いて、かご30の高さ位置を検知して制御装置50に通知する(S32)。
【0088】
高さ位置の通知を受けた制御装置50は、高さ位置特定部54を用いて、かご30の高さ位置を特定し、移動制御部55を用いて、走査位置を決定してガイド装置40に通知する(S33)。ガイド装置40は、制御装置50からの通知に基づいてレーザスキャナ10を搬送する(S34)。その後、制御装置50は、走査制御部51を用いて、走査タイミングを決定してレーザスキャナ10に通知する(S35)。その後、レーザスキャナ10が昇降路1内を走査して位置情報を取得し(S36,S37)、制御装置50は、位置情報特定部52を用いて、レーザスキャナ10が取得した位置情報を記憶部53に記憶する(S38)。
【0089】
ここで、記憶部53にはレーザスキャナ10が測定した位置情報を、この位置情報が測定された時点のかご30の高さ位置を特定する情報と関連付けて記憶しておき、移動制御部55や走査制御部51は、位置情報と関連付けて記憶されている高さ位置に基づいて、走査位置や走査タイミングを決定する。
【0090】
すなわち、例えば、移動制御部55は、図12に示したように、記憶部53に記憶されている位置情報のうち、隣同士の被測定点の間隔を算出して比較し、他の間隔に比べて長いところには、障害物が存在してレーザ光が遮断された可能性がある、と判定する。移動制御部55は、このような隣同士の被測定点の間隔を算出して比較し、レーザ光が遮断された可能性のある箇所を特定する。なお、図12は、かご30の昇降方向と水平な方向(X軸方向)の座標データからレーザ光の遮断された箇所を特定するものであったが、ここでは、かご30の昇降方向(Z座標)の座標データからレーザ光の遮断された箇所を特定する。移動制御部55は、このようにして特定された過去の走査においてレーザ光の遮断された可能性のある箇所の位置情報と関連付けて記憶されているかご30の高さ位置と、現在のかご30の高さ位置(つまり、現在のレーザスキャナ10の高さ位置)とを比較し、高さ位置が異なるときに、支柱43aから支柱43fのすべて、または、一部の位置を走査位置として決定する。
【0091】
また、走査制御部51は、現在のかご30の高さ位置を特定する情報が記憶部53に記憶されていれば、その高さ(N階)では、過去に走査済であるから今回は走査をしない、と決定する(この場合、図13の処理S34以降の処理は行われない)。
【0092】
(位置情報取得装置とガイド装置の動作例4)
図14は、位置情報取得装置とガイド装置の別の動作例を示すシーケンス図である。この動作例は、過去の走査において計測された位置情報に基づいて、かご30を昇降させた上で、位置情報を取得するものである。以下、先に説明した動作例と異なる部分を中心に説明する。
【0093】
まず、制御装置50は、移動制御部55を用いて、記憶部53に記憶されている位置情報を読み出して高さ位置を決定し、昇降装置20に通知する(S41,S42,S43)。
【0094】
ここで、移動制御部55による昇降装置20に通知する高さ位置の決定方法について説明する。例えば、記憶部53には、「レーザスキャナ10が位置情報を測定した時点のかご30の高さ位置を特定する情報」が記憶されていて、移動制御部55は、この記憶されている「かご30の高さ位置を特定する情報」に基づいて、昇降装置20に通知する「かご30の高さ位置」を決定する。すなわち、例えば、記憶部53には、予め、「かご30が昇降可能な高さ位置を特定する情報」(例えば、1階,2階,・・・,N階)が記憶されていて、移動制御部55は、これら「かご30が昇降可能な高さ位置を特定する情報」のうち、記憶部53に記憶されている「レーザスキャナ10が位置情報を測定した時点のかご30の高さ位置を特定する情報」に含まれていない情報を特定する。つまり、かご30が昇降可能(停止可能)な階数のうち、過去にレーザスキャナ10が位置情報を測定したことのない階数を特定する。移動制御部55は、この特定した階数に相当する高さ位置を、昇降装置20に通知する。
【0095】
その後、昇降装置20は、かご30を昇降させ(S44)、制御装置50から通知された高さ位置にかご30が昇降したこと(停止したこと)を検知して、制御装置50にその旨(あるいは、高さ位置を特定する情報)を通知する(S45)。
【0096】
高さ位置の通知を受けた制御装置50は、高さ位置特定部54を用いて、かご30の高さ位置を特定し、移動制御部55を用いて、走査位置を決定してガイド装置40に通知する(S46)。ガイド装置40は、制御装置50からの通知に基づいてレーザスキャナ10を搬送する(S47)。その後、制御装置50は、走査制御部51を用いて、走査タイミングを決定してレーザスキャナ10に通知する(S48)。その後、レーザスキャナ10が昇降路1内を走査して位置情報を取得し(S49,S49A)、制御装置50は、位置情報特定部52を用いて、レーザスキャナ10が取得した位置情報を記憶部53に記憶する(S49B)。なお、これらの処理S46〜S49Bは、図10に示した動作例中の処理S11〜S16と同様の処理である。
【0097】
以上説明した位置情報取得装置とガイド装置により、異なる走査位置にレーザスキャナを搬送して昇降路内を走査させることができる。そのため、たとえ、エレベータ昇降路内にレーザ光を遮断する障害物が存在して、ある走査位置からのレーザ光が遮断されて走査できずに位置情報を測定できないとしても、別の走査位置から走査して位置情報を測定することができる。その結果、昇降路内の正確な位置情報を取得することができる。
【0098】
次に、エレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置について説明する。
【0099】
図15は、物質散布装置とそのガイド装置の機能ブロック図である。物質散布装置は、散布ロボット60と制御装置70とを有してなる。
【0100】
まず、散布ロボット60について説明する。散布ロボット60は、散布制御部61,撮像部62,メモリ63,連結部64,ノズル65,噴口66と、を有してなる。散布ロボット60では、コンピュータプログラムが動作して、散布ロボット60内の各手段を制御して、後述する物質散布処理を実現している。
【0101】
散布制御部61は、散布ロボット60の本体(不図示)に充填されている溶剤を散布する散布ロボット60の動作を制御する手段である。
【0102】
なお、散布ロボット60の本体は、溶剤を充填した状態で、例えば、架台30aの天板30a1の上、あるいは、下(例えば、天板30a1とかご30の天井面の外側上部との間の空間)に設置しておく。
【0103】
撮像部62は、昇降路1内の画像(動画または静止画)を撮像する手段であり、照明手段も備えている。撮像部62は、例えば、連結部64のノズル65取付位置の近傍に撮像方向が噴口66の噴出方向と同方向となるように取り付けられていて、例えば、噴口66からの溶剤の噴出と連動して、噴口66から噴出された溶剤が所定の被散布物に吹き付けられた状態を撮像する。ここで、撮像部62の撮像動作は、散布ロボット60の散布制御部61により制御される。
【0104】
メモリ63は、撮像部62が撮像した画像情報や、後述する散布ロボット60の情報処理に必要な情報が記憶されている手段である。
【0105】
図16は、散布ロボット60の外観の例を示す斜視図である。散布ロボット60は、先に説明した位置情報取得装置のレーザスキャナ10が固定されていたガイドホルダー41の基台41cに固定されている。すなわち、ガイドホルダー41は、レーザスキャナ10または散布ロボット60のいずれか一方、あるいは、双方同時に取り付けることができる構成を備えている。
【0106】
散布ロボット60は、連結部64の一端が基台41cに固定されていて、他端にはノズル65が取り付けられている。連結部64は、複数の回動可能な関節軸を供え、各関節軸は駆動モータ(不図示)の駆動により回動する。したがって、連結部64の関節軸の回動を制御することで、ノズル65や噴口66の位置や向き(角度)を制御することができる。ここで、連結部64の関節軸の回動は、散布ロボット60の散布制御部61により制御される。すなわち、散布制御部61は、後述するように、ガイドホルダー41が制御装置70と連携して昇降路1内の被散布物の近傍に移動した後に、連結部64の関節軸の回動を制御して、噴口66を被散布物の近くに移動、あるいは、噴口66を被散布物に向けることができる。
【0107】
散布ロボット60の本体とノズル65とは、供給ホース(不図示)により連結されていて、本体に充填されている溶剤は、圧送ポンプ(不図示)の駆動により供給ホースを介してノズル65に供給されて噴口65から噴出(圧出)される。ここで、圧送ポンプの駆動は、散布ロボット60の散布制御部61により制御される。すなわち、散布制御部61は、圧送ポンプの駆動を制御して、噴口66からの溶剤の噴出の開始や停止、あるいは、噴口66から噴出される溶剤の単位時間当たりの量を制御することができる。
【0108】
次に、制御装置70について説明する。制御装置70は、散布ロボット60と昇降装置20とガイド装置40の動作を制御するための情報処理装置であり、散布指示部71,撮像結果取得部72,記憶部73,高さ位置特定部74,移動制御部75を有してなる。なお、制御装置70ではコンピュータプログラムが動作していて、制御装置70内の各手段を制御して、後述する情報処理を実現している。
【0109】
散布指示部71は、散布ロボット60の散布制御部61を介して、先に説明した、送圧ポンプの送圧制御や、撮像部62の撮像制御を実行する手段である。すなわち、散布制御部61は、散布指示部71からの通知により、送圧ポンプや撮像部62の動作を制御する。
【0110】
撮像結果取得部72は、散布ロボット60の撮像部62が撮像した画像データを取得して記憶部73に記憶する手段である。
【0111】
記憶部73は、散布ロボット60の撮像部62が撮像した画像データが記憶される手段であると共に、制御装置70が実行する情報処理に必要な情報を記憶している手段である。また、記憶部73には、先に説明した位置情報取得装置により取得された昇降路1内の位置情報、つまり、物質散布装置により物質が散布される被散布物の位置情報が記憶されている。
【0112】
高さ位置特定部74は、高さ位置検知部24が検知したかご30の高さ位置を特定する情報を取得して、かご30の高さ位置を特定し、記憶部73に記憶する手段であり、先に説明した位置情報取得装置の高さ位置特定部54と同様の機能を提供する。
【0113】
移動制御部75は、ガイドホルダー41が備える前述の各種モータの駆動を制御して、ガイドレール42上でのガイドホルダー41の位置を制御する手段である。また、移動制御部75は、スライダ41bに対する基台41cの高さや回転方向の向きを制御して、基台41cに固定されている散布ロボット60の噴口66からの溶剤の噴出位置や噴出方向を制御する。さらに、移動制御部75は、制御盤21の動作を制御して、かご30の昇降動作を制御する。
【0114】
さらにまた、移動制御部75は、散布ロボット60の散布制御部61を介して、先に説明した、連結部64の関節軸の回動制御を実行する。すなわち、散布制御部61は、移動制御部75からの通知により連結部64の関節軸の回動制御を実行する。
【0115】
なお、移動制御部75は、先に説明した位置情報取得部により取得された昇降路1内の位置情報に基づいて、ガイドレール42上でのガイドホルダー41の散布位置を決定し、あるいは、散布ロボット60の連結部64の関節軸の回動制御を行う。すなわち、昇降路1内に散布ロボット60の移動の邪魔となる位置に障害物が存在したとしても、これらの障害物の位置情報はあらかじめ取得されているため、この障害物の位置情報を参照することで、障害物を避けながら散布ロボット60を移動させることができる。また、昇降路1内に散布ロボット60による溶剤の散布の邪魔となる位置に障害物が存在したとしても、これらの障害物の位置情報は予め取得されているため、この障害物の位置情報を参照して散布ロボット60の連結部64の関節軸の回動を制御し、障害物を避けるようにして所定の被測定物に溶剤を散布することができる。
【0116】
なお、制御装置70は、散布ロボット60内蔵されていてもよい(制御装置70の機能は、散布ロボット60の機能の一部として提供される)し、あるいは、散布ロボット60と情報交換可能に接続(通信回線を介して)されている散布ロボット60とは別の筐体として提供されるものでもよい。
【0117】
また、物質散布装置は、先に説明した位置情報取得装置とは別の装置として提供されるものでもよいし、あるいは、位置情報取得装置の一部または全部の機能を有する装置として提供されるものでもよい。
【0118】
次に、物質散布装置の動作例について説明する。
【0119】
(物質散布装置の動作例1)
図17は、物質散布装置の動作例を示すシーケンス図である。この動作例は、例えば、昇降路1の特定の位置にだけ散布するのではなく、昇降路1内の内周面全域に亘って溶剤を散布する場合などである。
【0120】
まず、制御装置70が、移動制御部75を用いて、散布ロボット60の散布位置(ガイドレール42上でのガイドホルダー41の停止位置)を決定してガイド装置40に通知する(T11)。
【0121】
ここで、散布ロボット60の散布位置の決定は、図10に示した位置情報取得装置によるレーザスキャナ10の走査位置の決定(S11)と同様に行われるものとする。すなわち、散布位置は、支柱43a,43b,43c,43d,43e,43fの順に決定される。
【0122】
ガイド装置40は、制御装置70から通知された回転方向にホルダー41aの車輪を回転させて散布ロボット60を搬送する(T12)。
【0123】
ここで、ガイド装置40による散布ロボット60の搬送は、図10に示したガイド装置40によるレーザスキャナ10の搬送(S12)と同様に行なわれるものとする。
【0124】
その後、制御装置70は、散布指示部71を用いて、散布タイミングを決定して散布ロボット60に通知する(T13)。
【0125】
ここで、散布タイミングの決定は、図10に示した走査タイミングの決定(S13)と同様に行われるものとする。
【0126】
散布ロボット60は、制御装置70から散布タイミングの通知を受けると、散布制御部61を用いて、ノズル65の噴口66から溶剤を噴出して被散布物にする(T14)。
【0127】
さらに散布ロボット60は、撮像部62を用いて、溶剤を噴出した先の被散布物の画像を撮像してメモリ63に記憶する(T15)。
【0128】
制御装置70は、散布結果取得部72を用いて、撮像部62が撮像した画像データを取得して記憶部73に記憶する(T16)。
【0129】
記憶部73に記憶された画像データは、被散布物への溶剤の散布が完了しているか否かを確認するために利用される。すなわち、例えば、物質散布装置の利用者が、記憶部73に記憶されている画像データをディスプレイ(不図示)に表示して、目視により確認する。
【0130】
(物質散布装置の動作例2)
次に、物質散布装置の別の動作例について、先に説明した動作例と異なる部分を中心に説明する。この動作例は、先に説明した位置情報取得装置により取得された位置情報に基づいて散布位置を決定する場合である。図18は、この動作例を示すシーケンス図である。
【0131】
まず、制御装置70は、移動制御部75を用いて、記憶部73に記憶されている被散布物(位置情報取得装置にとっての被測定物)の位置情報を読み出して散布位置を決定し、ガイド装置40に通知する(T21,T22,T23)。
【0132】
ここで、位置情報取得装置により取得されている位置情報に基づいて、散布位置を決定する方法について説明する。まず、位置情報取得装置による位置情報の取得に先立って、降路1の内周全面に亘って溶剤が散布され、その後、位置情報取得装置により昇降路1の内周全面の位置情報が取得されて記憶部73に記憶される。このとき、位置情報取得装置により取得される位置情報には、各地点の3次元座標データと共にその地点の色データも含まれているものとする。移動制御部75は、記憶部73に記憶されている位置情報を読み出して、他の地点と異なる色データを含む地点の3次元座標データを特定し、この特定した位置情報に基づいて、散布位置を決定する。
【0133】
ガイド装置40は、制御装置70からの通知に基づいて、ホルダー41aの車輪を回転させて散布ロボット60を搬送する(T24)。
【0134】
ここで、制御装置70からガイド装置40に通知される情報は、図11に示した制御装置50からガイド装置40に通知される情報(S24)と同様なものとする。
【0135】
散布ロボット60がガイド装置40に搬送された後、制御装置70は、散布タイミングを決定して散布ロボット60に通知し(T25)、散布ロボット60は、散布制御部61を用いて溶剤を散布した上で(T26)、撮像部62を用いて散布箇所の画像を撮像してメモリ63に記憶し(T27)、制御装置70は撮像部62が撮像した画像データ記憶部73に記憶する(T28)。なお、これらの処理T25〜T28は、図17に示した処理T13〜T16と同様の処理である。
【0136】
(物質散布装置の動作例3)
次に、物質散布装置のさらに別の動作例について、先に説明した動作例と異なる部分を中心に説明する。この動作例は、かご30の高さ位置に基づいて、散布ロボット60の散布位置や散布タイミング(散布するか否かも含む)を決定するものである。図19は、物質散布装置のさらに別の動作例を示すシーケンス図である。
【0137】
まず、昇降装置20は、制御盤21,巻上機22を用いて、かご30を昇降させ(T31)、高さ位置検知部24を用いて、かご30の高さ位置を検知して制御装置70に通知する(T32)。
【0138】
高さ位置の通知を受けた制御装置70は、高さ位置特定部74を用いて、かご30の高さ位置を特定し、移動制御部75を用いて、散布位置を決定してガイド装置40に通知する(T33)。ガイド装置40は、制御装置70からの通知に基づいて散布ロボット60を搬送する(T34)。その後、制御装置70は、散布指示部71を用いて、散布タイミングを決定して散布ロボット60に通知する(T35)。その後、散布ロボット60が昇降路1内に物質を散布して画像を撮像し(T36,T37)、制御装置70は、散布結果取得部72を用いて、撮像部62が撮像した画像データを記憶部73に記憶する(T38)。
【0139】
ここで、記憶部73には散布ロボット60が溶剤を散布した時点のかご30の高さ位置を特定する情報を記憶しておき、移動制御部75や散布指示部71は、この記憶部73に記憶されている高さ位置を特定する情報に基づいて、散布位置や散布タイミングを決定する。すなわち、例えば、散布指示部71は、現在のかご30の高さ位置を特定する情報が記憶部73に記憶されていれば、その高さ(N階)では、過去に散布済であるから今回は散布をしない、と決定する(この場合、図19の処理T34以降の処理は行われない)。一方、散布指示部71は、現在のかご30の高さ位置を特定する情報が記憶部73に記憶されていなければ、その高さ(N階)では、過去に散布が行われていないから今回は散布をする、と決定する
【0140】
以上説明した実施の形態によれば、エレベータ昇降路内の障害物が存在したとしても、これらの障害物を避けながら物質を昇降路内に散布することができる。
【0141】
以下、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置とそのガイド装置の特徴について説明する。
【0142】
本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置であって、昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置され、かごを懸垂支持する主ロープの通線用の孔が設けられる架台に移動可能に支持されていて、物質が格納される本体と、本体から供給される物質が噴出される噴口を備えるノズルと、ノズルが取り付けられる連結部と、を有してなり、連結部は、かごの昇降方向に水平に延びる方向に架台に固定されているガイドレールに摺動可能に支持されているガイドホルダーに固定される。
【0143】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、架台は、ガイドレールが取り付けられる天板と、天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにしてかごの天井面の外側上部に配置固定されるようにしてもよい。
【0144】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、脚支柱とかごとの接触面には弾性部材が配設されるようにしてもよい。
【0145】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいてガイドホルダーのガイドレール上での位置を決定し、ガイドレール上を決定された位置までガイドホルダーの移動を制御する移動制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0146】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、ガイドホルダーは垂直方向に変動可能に構成されていて、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、ガイドホルダーの垂直方向の変動を制御する高さ位置制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0147】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、ノズルは、垂直方向または水平方向の少なくともいずれか一方の方向の角度が変動可能に構成されていて、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、ノズルを所定の角度に制御する角度制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0148】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、噴口から噴出される単位時間当たりの物質の量を制御する噴出量制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0149】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内への物質散布装置は、記憶部に記憶されている被散布物の位置情報を取得する位置情報取得手段、を備え、位置情報取得手段は、被散布物をレーザ光で走査して、走査されたレーザ光の被散布物からの反射光を受光して被散布物までの距離を計測し、計測された被散布物までの距離と被散布物へのレーザ光の照射角度とに基づいて被散布物の位置情報を測定するレーザスキャナを有してなり、レーザスキャナは、ガイドホルダーに移動可能に支持されるようにしてもよい。
【0150】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置を移動可能に支持するガイド装置であって、昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置される架台と、かごの昇降方向に水平な方向に延びる方向に架台に固定されるガイドレールと、物質散布装置が取り付けられ、ガイドレール上を摺動可能なガイドホルダーと、を有してなる。
【0151】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、架台は、ガイドレールが配置される天板と、天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにしてかごの天井面の外側上部に配置固定されるものでもよい。
【0152】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、架台には、かごを懸垂支持する主ロープが通線される孔が設けられているものでもよい。
【0153】
また、本発明にかかるエレベータ昇降路内のガイド装置は、脚支柱とかごとの接触面には、弾性部材が配設されるものでもよい。
【符号の説明】
【0154】
1 エレベータ昇降路
2 機械室
3 ピット
10 位置情報取得装置
20 昇降装置
21 制御盤
22 巻上機
23 そらせ車
24 高さ位置検知部
30 エレベータ
31 主ロープ
32 つり合いおもり
33 緩衝器
34 緩衝器
35 乗場戸
30a 架台
30b 主ロープ孔
41 ガイドホルダー
42 ガイドレール
43 支柱
50 制御装置
60 散布ロボット
61 散布制御部
62 撮像部
63 メモリ
64 連結部
65 ノズル
66 噴口
70 制御装置
71 散布指示部
72 散布結果取得部
73 記憶部
74 高さ位置特定部
75 移動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置であって、
上記昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置され、上記かごを懸垂支持する主ロープの通線用の孔が設けられる架台に移動可能に支持されていて、
上記物質が格納される本体と、
上記本体から供給される物質が噴出される噴口を備えるノズルと、
上記ノズルが取り付けられる連結部と、
を有してなり、
上記連結部は、上記かごの昇降方向に水平に延びる方向に上記架台に固定されているガイドレールに摺動可能に支持されているガイドホルダーに固定される、
ことを特徴とするエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項2】
上記架台は、上記ガイドレールが取り付けられる天板と、上記天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにして上記かごの天井面の外側上部に配置固定される、
請求項1記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項3】
上記脚支柱と上記かごとの接触面には弾性部材が配設される、
請求項2記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項4】
上記被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、
上記記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて上記ガイドホルダーの上記ガイドレール上での位置を決定し、上記ガイドレール上を上記決定された位置まで上記ガイドホルダーの移動を制御する移動制御部と、
を備える、
請求項1記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項5】
上記ガイドホルダーは垂直方向に変動可能に構成されていて、
上記被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、
上記記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、上記ガイドホルダーの垂直方向の変動を制御する高さ位置制御部と、
を備える、
請求項1記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項6】
上記ノズルは、垂直方向または水平方向の少なくともいずれか一方の方向の角度が変動可能に構成されていて、
上記被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、
上記記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、上記ノズルを所定の角度に制御する角度制御部と、
を備える、
請求項1記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項7】
上記被散布物の位置情報を記憶している記憶部と、
上記記憶部に記憶されている被散布物の位置情報に基づいて、上記噴口から噴出される単位時間当たりの物質の量を制御する噴出量制御部と、
を備える、
請求項1記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項8】
上記記憶部に記憶されている上記被散布物の位置情報を取得する位置情報取得手段、
を備え、
上記位置情報取得手段は、上記被散布物をレーザ光で走査して、上記走査されたレーザ光の上記被散布物からの反射光を受光して上記被散布物までの距離を計測し、上記計測された被散布物までの距離と上記被散布物へのレーザ光の照射角度とに基づいて上記被散布物の位置情報を測定するレーザスキャナを有してなり、
上記レーザスキャナは、上記ガイドホルダーに移動可能に支持される、
請求項4から7のいずれかに記載のエレベータ昇降路内への物質散布装置。
【請求項9】
エレベータの昇降路内の被散布物に物質を散布する物質散布装置を移動可能に支持するガイド装置であって、
上記昇降路内を昇降するかごの天井面の外側上部に配置される架台と、
上記かごの昇降方向に水平な方向に延びる方向に上記架台に固定されるガイドレールと、
上記物質散布装置が取り付けられ、上記ガイドレール上を摺動可能なガイドホルダーと、
を有してなることを特徴とするエレベータ昇降路内のガイド装置。
【請求項10】
上記架台は、上記ガイドレールが配置される天板と、上記天板から垂設される2つの脚支柱とを有する平面視略コ字状で、開口端側を下向きにして上記かごの天井面の外側上部に配置固定される、
請求項9記載のエレベータ昇降路内のガイド装置。
【請求項11】
上記架台には、上記かごを懸垂支持する主ロープが通線される孔が設けられている、
請求項10記載のエレベータ昇降路内のガイド装置。
【請求項12】
上記脚支柱と上記かごとの接触面には、弾性部材が配設される、
請求項10記載のエレベータ昇降路内のガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−235247(P2010−235247A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84331(P2009−84331)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【特許番号】特許第4404949号(P4404949)
【特許公報発行日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(504251333)エヌ・ティ・ティジーピー・エコ株式会社 (13)
【出願人】(509092030)
【Fターム(参考)】