説明

エレベータ装置

【課題】二つの乗り場間を跨いで移動できるかごを備え、構造が簡単で設置も保守管理も容易であって、途中の乗り換えの必要のないエレベータ装置を提供する。
【解決手段】第1乗り場1から上方の連絡部13を経由して第2乗り場2に至るほぼ逆U字型の移動経路10内に設けられ、かご案内レール装置14に案内されて2つの乗り場間を移動するかご4と、かごを移動させる駆動装置と、駆動装置の運転を制御する制御装置20とを備えたエレベータ装置。かご案内レール装置は、2つの昇降レール15,16の間で上方に設けられて、かご位置に応じて移動する切換レール17あるいは可動レールを持っている。
【効果】乗客の乗り換え無しでかごを第1の乗り場から一旦上昇した後に降下して第2の乗り場に移動させることができ、しかも構造が簡単で設置も保守管理も容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ装置は少なくとも2つの高さの異なる乗り場間でかごが往復運転されるものである。近年連絡橋用エレベータ装置の需要が高まってきており、例えば鉄道駅構内の連絡橋あるいは横断歩道橋等の高架連絡橋に設けられる連絡橋用エレベータ装置も、特許文献1に記載されているように提案されている。
【0003】
この連絡橋用エレベータ装置は、縦に延びた2本の平行な昇降路内でそれぞれ昇降するかごを、昇降路の上端を連結する連絡橋に沿って水平方向に走行するリニアモータにロープで連結し、リニアモータが連絡橋に沿って走行するときにかごが昇降路内を昇降するようにしたものであり、第1のかごに乗った乗客は昇降路の上端部でかごを降りて連絡橋を歩いて移動し、第2のかごに乗って降りるのである。
【0004】
【特許文献1】特公昭54−536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の連絡橋用エレベータ装置に於いては、かごが2台必要であって事実上2台のエレベータ装置を設ける必要があるため設備、保守管理に費用と時間が掛かる。また利用に当たっては、乗客は乗り換えねばならず、しかも乗り換えのために比較的長い距離を歩行する必要がある。
【0006】
従ってこの発明の目的は、第1の乗り場から一旦上昇した後に降下して第2の乗り場に移動できるかごを備え、構造が簡単で設置も保守管理も容易であって、途中の乗り換えの必要のないエレベータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のエレベータ装置は、少なくとも水平方向に互いに離間した第1乗り場と第2乗り場との間で運転されるエレベータ装置であって、上記第1乗り場から上方に延びた第1昇降路、上記第2乗り場から上方に延びた第2昇降路ならびに上記第1および第2昇降路を上端部で互いに接続する連絡部を有し、全体としてほぼ逆U字型の概略形状の移動経路と、上記移動経路内に設けられて上記第1乗り場および上記第2乗り場間に亘って延びたかご案内レール装置と、上記かご案内レール装置に沿って案内されて、上記第1乗り場および上記第2乗り場間を移動するかごと、上記かごを上記かご案内レール装置に沿って移動させる駆動装置と、上記駆動装置の運転を制御する制御装置とを備えたことを特徴とするエレベータ装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明のエレベータ装置によれば、かごを第1の乗り場から一旦上昇させた後に降下させて第2の乗り場に移動させることができ、構造が簡単で設置も保守管理も容易であって、途中での乗り換えの必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1にはこの発明のエレベータ装置の一実施形態を概略正面図で示してある。エレベータ装置は、少なくとも水平方向に互いに離間した第1乗り場1と第2乗り場2との間で運転されるエレベータ装置であって、第1の乗り場1から一旦上昇した後に降下して障害物あるいは空間領域3を越え、第2の乗り場2に移動させることができるかご4を備えている。従って、このエレベータ装置は跨線橋、連絡橋、歩道橋、河川用橋のような設備と共に用いると特に有用である。図示の例では第1乗り場1および第2乗り場2はいずれも鉄道の駅構内にあって、プラットフォーム5と同じ高さにあり、ピット6も掘られている。第1乗り場1と第2乗り場2との間には列車7が走行する軌道8が敷設されている。
【0010】
エレベータ装置は、第1乗り場1と第2乗り場2との間で一旦上昇した後に降下して往復するかご4を移動させるために、全体として門型あるいはほぼ逆U字型の概略形状の移動経路10を備えている。移動経路10は、第1乗り場1から上方に延びた第1昇降路11と、第2乗り場2から上方に延びた第2昇降路12と、第1および第2昇降路11および12をそれらの上端部で互いに接続する連絡部13とを備えている。図示の例では、移動経路10はほぼアーチ状になって2つの乗り場1および2間で、軌道8上の列車7を含む空間領域3の上方を越えて跨いで延びている。
【0011】
エレベータ装置はまた、移動経路10内に設けられて第1乗り場1および第2乗り場2間に亘って延びて、かご4を第1乗り場1および第2乗り場2間で移動するように案内するかご案内レール装置14を備えている。かご案内レール装置14は、第1乗り場1から上方に延びて上レール15aおよび下レール15bを備えた第1昇降レール15と、第2乗り場2から上方に延びて上レール16aおよび下レール16bを備えた第2昇降レール16とを備えている。第1昇降レール15および第2昇降レール16の両者の上端部は互いに離間していて、その間の空間に切換レール17が設けられている。
【0012】
切換レール17は、第1乗り場1と第2乗り場2との間の空間3の上方で、第1昇降レール15および第2昇降レール16の両者の上端部間に設けられ、第1および第2昇降レール15および16間でのかご4の案内移動をさせるレールである。切換レール17は回動できるように支持されていて、第1位置では第1昇降レール15の上端部に一端が近接して実質的な延長部分となり、第2位置では第2昇降レール16の上端部に他端が近接して実質的な延長部分となるように、選択的に可動である。
【0013】
図8乃至図11に示す例では、切換レール17は、それぞれ中間部分で回動可能に支持されて、切換駆動装置18により選択的に切換が可能な上レール17aおよび下レール17bを備えている。これら上レール17aおよび下レール17bは、昇降路壁に固定された軸17cおよび17dにより第1位置と第2位置との間で回動できるように支持されている。これら上レール17aおよび下レール17bは、第1位置(図8および図9)に於いては一端で第1昇降レールの上端に、第1昇降レール15の上レール15aおよび下レール15bにそれぞれ対応して、連結され、他端で第2昇降レールの上端から離間するように構成され、第2位置(図10および図11)に於いては一端で第1昇降レールの上端から離間し、他端で第2昇降レールの上端に、第2昇降レール15の上レール15aおよび下レール15bにそれぞれ対応して、連結されるように構成されている。
【0014】
切換レール17を上述のように選択的に切り換えるために、切換駆動装置18が設けられていて、切換レール17の姿勢をかご案内レール装置14上のかご4の位置に応じて第1位置および第2位置間で切り換えることができるようにしてある。
【0015】
エレベータ装置はまた、かご4をかご案内レール装置14に沿って移動させるための駆動装置19と、この駆動装置19の運転を制御する制御装置20とを備えている。駆動装置19および制御装置20は、それら自体はいずれも公知のものと同様のもので良い。駆動装置19は、かご4に一端で接続された主索23、主索23を巻き掛けて駆動する巻上機21、主索23の位置を規制するそらせ車22、主索23の他端に接続された釣合錘24等を備えている。しかしながら、かご4の移動経路10はアーチ型であるため、後に詳しく説明するように、巻上機21は始めに主索23を巻き取ってかご4を第1昇降レール15に沿って引き上げ、かご4が切換レール17上に乗った位置で切換レール17の位置を切り換えると共に巻上機21の回転方向を逆転させる必要がある。
【0016】
この切換と逆転とは制御装置20によって適切に行うことができ、かご4は切換レール17から第2昇降レール16上に移動し、第2昇降レール16に沿って降下して第2乗り場2に移動する。また、このとき釣合錘24は釣合錘案内レール装置25に沿って往復移動する。釣合錘案内レール装置25は、第1レール26と第2レール27とで構成されており、第1昇降路11および第2昇降路12のいずれか一方だけに設けられ、釣合錘24を一方の昇降路11あるいは12内でだけで往復移動可能に案内支持するようにしてある。図示の例では、釣合錘24の上下にそれぞれ一組のローラで構成された上案内ローラ28と下案内ローラ29が設けられていて、釣合錘案内レール装置25の第1レール26によって上案内ローラ28が案内され、第2レール27によって下案内ローラ29が案内され、釣合錘24とかご4とが移動経路内で干渉しないようにしている。
【0017】
かご4はかご4の上部に設けられた上案内装置30と、かご4の下部に設けられた下案内装置31とを備えている。また、第1乗り場1から上方に延びた第1昇降レール15も、第2乗り場2から上方に延びた第2昇降レール16も、それぞれ、かご4の上案内装置30を案内する上レール15aと、かご4の下案内装置31を案内する下レール15bとを備えていて、かご4の姿勢を案内レールの傾斜に拘わらず常に一定に維持するようにしてある。上案内装置30は、かご4の上部に回転可能に取り付けられた回動支持部材34と、回動支持部材34の回動中心から離れた位置で回動支持部材34上に設けられ、上レール15a上を走行するローラである上ガイド36とを備えている。また、下案内装置31は、かご4の下部に回転可能に取り付けられた回動支持部材37と、回動支持部材37上に設けられ、下レール15b上を走行するローラである下ガイド38とを備えている。
【0018】
図12および図13に示す上案内装置30および下案内装置31の例に於いては、上レール15a、16a上を走行する上ガイド36は、回動支持部材34の径方向に整列して間に上レール15a、16aを挟持するように配置された一対のローラ39であって、下レール15b、16b上を走行する下ガイド38は回動支持部材37の径方向に整列して間に下レール15b、16bを挟持するように配置された一対のローラ40である。この構成により、かご4は、案内レール装置14の傾斜や間隔に無関係にその垂直位置を維持することができる。しかしながら、かご4内の荷重が偏ったような場合には、上下ガイド36、38がそれぞれ一対のローラ39、40で構成されているので、かご4は図14に示すように傾くことがある。
【0019】
図15乃至図17に示す上案内装置30および下案内装置31の例に於いては、上レール15a、16a上を走行する上ガイド36は、回動支持部材34の径方向に整列して間に上レール15a、16aを挟持するように配置された二対のローラ41であって、下レール15b、16b上を走行する下ガイド38は回動支持部材37の径方向に整列して間に下レール15b、16bを挟持するように配置された配置された二対のローラ42である。この構成により、かご4は、案内レール装置14の傾斜や間隔に無関係にその垂直位置を維持することができ、しかも、かご4内の荷重が偏ったような場合にも、平行な二対のローラ41、42で構成された上下ガイド36、38が、かご4の傾きを図13に示すものに比較して僅かな傾きに抑えることができる。図17には二対のローラ41の配置を概略斜視図で示してある。
【0020】
図18に示す例に於いては、上レール15aおよび下レール15bが互いに離間していてかご4の側面側に配置されており、かご4の出入り口(図示してない)はこれらのレールと干渉しないのでかご4の前後両面に設けることができる。上案内装置30は図でかご4の左上角部に取り付けられていて、下案内装置31がかご4の図で右下角部に取り付けられている。
【0021】
図19乃至図21には切換レール17とその切換駆動装置18との一例の詳細を概略的に示してある。切換レール17は、第1乗り場1と第2乗り場2との間の空間3の上方で、第1昇降レール15および第2昇降レール16の両上端部間に設けられている。切換レール17は、上レール17aおよび下レール17bのほぼ中央部で軸17cおよび17dにより回動可能に支持されていて、切換駆動装置18によって図19および図20に示す第1位置と、図21に示す第2位置とに選択的に移動可能にされている。第1位置では、切換レール17はその一端部が第1昇降レール15の上端部に突き合わせられた位置で第1昇降レール15の延長部分の作用をする。上レール17aおよび下レール17bは互いに平行リンク43、44により結合されている。上レール17aの両端部にチェーン45が接続されていて、チェーン45はモータ46に接続された駆動スプロケット47と案内スプロケット48とに掛け回されている。モータ46を駆動すると駆動スプロケット47によりチェーン45が駆動されて図19の第1位置から図21の第2位置に移動する。切換レール17が第1位置あるいは第2位置への移動を完了したことを検知してモータ46のそれ以上の駆動を停止するために、第2昇降レール16の上端部に確認スイッチ49および50が設けられている。
【0022】
本発明のエレベータ装置は、図2乃至図11に示すような動作をする。即ち、図1および図2に於いて、かご4は第1乗り場1に位置している。この位置では、かご4の上案内装置30の上ガイド36は回動支持部材34によって垂直方向に延びた上レール15aに沿って移動できる位置にされており、下案内装置31の下ガイド38は回動支持部材37によって垂直方向に延びた下レール15bに沿って移動できる位置にされている。この位置で巻上機21を駆動して主索23を駆動すると、かご4は第1昇降レール15に沿って第1昇降路11内を上昇する。このとき釣合錘24は釣合錘案内レール25に沿って第2昇降路12内を降下する。
【0023】
図3に示すように、かご4が第1昇降路11を上昇し続けて、第2昇降路12との間に設けられた遷移部である連絡部13に入ろうとするとき、かご4は第1昇降レール15の上端部に達する。このとき、切換レール17は上レール17aおよび下レール17b共に図8および図9に示す第1位置にあって、上レール17aおよび下レール17bの一端(図で左端)が、それぞれ第1昇降レール15の上レール15aおよび下レール15bの上端に対応して近接した位置にあって互いに実質的に連結されていて、機能的には第1昇降レール15の延長部分となっている。従って、巻上機21の運転を続ければ、図8に示すように、かご4の上案内装置30および下案内装置31が第1昇降レール15から切換レール17上に滑らかに乗り移ることができる。このとき切換レール17の他端は第2昇降レール16の上端に対して離間している。
【0024】
図4および図9に示すようにかご4が切換レール17上を更に上昇して、移動経路10の最高位置に到達したとき、かご4は昇降路の切換レール17の回動支点17aに達することになる。このとき、制御装置20によって切換駆動装置18を作動させ、切換レール17を支点17c、17d回りに回動させて図10および図11に示す第2位置に移動させる。第2位置では、上レール17aおよび下レール17bの他端(図で右端)が、それぞれ第2昇降レール16の上レール16aおよび下レール16bの上端に対応して近接した位置にあって互いに実質的に連結されていて、機能的には第2昇降レール16の延長部分となっている。このとき釣合錘24は第2昇降路12内の最下位置にある。従って、巻上機21を逆転運転すれば、かご4は重力によって切換レール17の傾斜に沿って降下し、図5および図11に示すように、かご4の上案内装置30および下案内装置31が切換レール17から第2昇降レール16上に滑らかに乗り移ることができる。このとき切換レール17の一端(図で左端)は第2昇降レール16の上端に対して離間している。
【0025】
図6に示すように、かご4が第2昇降レール16上に乗り移った後は、巻上機21の逆転によってかご4を次第に降下させて図7に示すように第2乗り場2にまで降下させる。このとき釣合錘24は再び第2昇降路12の最下位置から最上位置にまで移動する。
【0026】
かご4を第2昇降路12から第1昇降路11にまで運転する場合にはこれまで説明した運転操作を逆に行えば良い。
【0027】
このように、本発明のエレベータ装置によれば、乗客の乗り換え無しでかご4を第1の乗り場から一旦上昇した後に降下して第2の乗り場に移動させることができ、しかも構造が簡単で設置も保守管理も容易であって、途中の乗り換えの必要がない。
【0028】
実施の形態2.
図22乃至図34には、本発明のエレベータ装置の別の実施の形態を示す。この実施の形態と図1乃至21に示す実施の形態とを比較すると、移動経路50の形状が相違していることがわかる。特に、第1乗り場1から上方に延びた第1昇降路51の形状と、第2乗り場2から上方に延びた第2昇降路52の形状と、第1昇降路51および第2昇降路52の上端部を互いに接続する連絡部53の構造とがこれまで説明してきた実施の形態1のものと相違している。このため、第1昇降路51および第2昇降路52内に設けられている第1昇降レール54および第2昇降レール55の形状も、また連絡部53内に設けられている切換レール56の形状も変えられている。
【0029】
第1昇降路51内の第1昇降レール54はそれぞれ上レール57および下レール58を備えていて、第1乗り場1からほぼ垂直に上方に延びており、移動経路50が跨ぐべき空間3の頂部に近い位置で内側に向かって比較的浅い角度となるように曲げられている。第1昇降レール54の上レール57の上端部は、滑らかに曲がった曲線部57aと、ほぼ垂直な直線先端部57bとを持っている。下レール58の上端部は上述の比較的浅い角度のまま延びていて、先端が上レール57が湾曲し始める位置に対して垂直方向に対応した位置にある。第2昇降レール55もそれぞれ上レール57および下レール58を備えていて、第1昇降レール54と対称の形であって、両上レール57の直線先端部57bは互いに平行に離間している。
【0030】
図30および図32に詳細を示すように、第1および第2昇降レール54、55間に設けられた切換レール56は、第1および第2昇降レール54、55の上レール57および下レール58から離間してそれらの中間位置でほぼ垂直に配置された直線状の固定レール59を備えている。切換レール56はまた、一端で第1昇降レール54の下レール58の上端に設けた蝶番60によって回動可能に連結され、他端で固定レール59の下端に離接できる第1可動レール61と、一端で第2昇降レール55の下レール58の上端に蝶番60によって回動可能に連結され、他端で固定レール59の下端に離接できる第2可動レール62とを備えている。これら第1および第2可動レール61、62は選択的に固定レール59の下端に連結されるよう構成されていて、図30に示す第1位置に於いては、第1可動レール61が固定レール59に連結されて固定レール60と共に延長部分を構成し、第2可動レール62は固定レール59から離れており、図32に示す第2位置に於いては、第2可動レール62が固定レール59に連結されて固定レール60と共に延長部分を構成し、第1可動レール61は固定レール59から離れている。
【0031】
第1および第2昇降レール54、55の上レール57の直線先端部57bの両側には、直線状のかご案内レール63が設けられている。かご案内レール63はかご4に設けられたかご案内ローラ64に接触してかご4を垂直方向に案内する。かご4には先に説明したのと同様の上案内装置30と下案内装置31とが設けられているが、このかご案内レール63は、後に説明するように上案内装置30が上レール57から外れたときに、かご4の姿勢を安定させるために設けられている。なお、上案内装置30と下案内装置31とは図示のような一対のローラを持つものとしても良いが、かご4の安定をより高めるためには図15乃至図17に示すような2対のローラを用いることもできる。
【0032】
図31には、かご4に取り付けた上案内装置30と下案内装置31とを図13と同様の側面図で示してある。この実施の形態に於いては、上案内装置30の図で左右の回動支持部材34が軸65によって連結されていて、軸65はかご4上に設けられたモータ66により、モータ66の駆動スプロケット67、チェーン68および軸65上に固着されたスプロケット69を介して回転駆動される。回動支持部材34の回転角度を検出するために、軸65に角度検出板70が設けられていて、かご4に固定された支持アーム71に角度検出スイッチ72が取り付けられている。
【0033】
図33乃至図35には切換レール56の第1および第2可動レール61および62の切換駆動装置75を図式的に示してある。図33は切換レール56の第1位置を示し、図34は第1位置の切換レール56の側面図であり、図34は切換レール56の第2位置を示す。
【0034】
切換駆動装置75は、蝶番60によって下レール58の上端に回動可能に取り付けられた第1および第2可動レール61、62を互いに枢着結合して、両者が同時に移動するようにするリンク76を備えている。リンク76の中央部は継手77により2つのスプロケット78、79に掛け回されて固定レール59を横切るように配置されたチェーン80に結合されている。スプロケット78はモータ81に連結されていて、モータ81の回転によりチェーン80を図で左右に駆動して継手77、リンク76を介して第1および第2可動レール61、62をかご4の位置に応じて第1位置あるいは第2位置に選択的に移動させることができる。両可動レール61、62の上端にはそれぞれ確認スイッチ82が設けられていて、それぞれの可動レール61あるいは62が固定レール59と整列して接続された位置に在ることを確認できるようにしてある。
【0035】
この実施の形態による本発明のエレベータ装置は、図23乃至図29に示すような動作をする。即ち、図22および図23に於いて、かご4は第1乗り場1に位置している。この位置では、かご4の上案内装置30の上ガイド36は回動支持部材34によって垂直方向に延びた上レール15aに沿って移動できる位置にされており、下案内装置31の下ガイド38は回動支持部材37によって垂直方向に延びた下レール15bに沿って移動できる位置にされている。この位置で巻上機21を駆動して主索23を駆動すると、かご4は第1昇降レール15に沿って第1昇降路11内を上昇する。このとき釣合錘24は釣合錘案内レール25に沿って第2昇降路12内を降下する。
【0036】
図24および図25に示すように、かご4が第1昇降路11を上昇し続けて、第2昇降路12との間に設けられた遷移部である連絡部53に入ろうとするとき、かご4は第1昇降レール54の上端部に達する。このとき、切換レール56は第1可動レール61および第2可動レール62共に図30に示す第1位置にあって、第1可動レール61が下レール58を固定レール59に整列して実施的に連結され、機能的には第1昇降レール15の下レール58の延長部分となっている。従って、巻上機21の運転を続ければ、図26および図30に示すように、かご4の上案内装置30の上ガイド36が上レール57の上端に位置することになり、図30で左側の上レール57の先端に設けた検出スイッチ57cが作動する。このとき下案内装置31の下ガイド38は第1昇降レール15の下レール58から第1可動レール61を経て固定レール59上に滑らかに乗り移っている。
【0037】
かご4の上案内装置30が第1昇降レール54の上端に達したことが検出スイッチ57aによって検出されると、図32に示すモータ66が附勢され、モータ駆動力はスプロケット67、チェーン68、スプロケット69、軸65を介して回動支持部材34を上ガイド36と共に図30で時計方向に約180度回転させ、上ガイド36を第1昇降レール54の上レール57の先端部57bから上方に外して第2昇降レール55の上レール57の先端部57bに係合させて図31の位置とする。この位置となったことは、検出スイッチ57aにより検出されてモータ66が停止される。
【0038】
一方、検出スイッチ57aにより上案内装置30が第1昇降レール54の上端に達したことが検出されると、図32に示す切換駆動装置75のモータ81が駆動され、スプロケット78、79、チェーン80、継手77およびリンク76を介して第1および第2可動レール61、62を回転駆動させて、図32に示す第1位置から図34に示す第2位置に移動させる。図34には上案内装置30も第1および第2可動レール61、62も第2位置に切換られた状態を示してある。即ち、かご4の上案内装置30は第2昇降レール55の上レール57によって案内される位置にあり、また下案内装置31は第2可動レール62によって第2昇降レール55の下レール58に実質的に接続された固定レール59によって案内される位置にある。
【0039】
次に巻上機21を逆転運転すれば、かご4は重力によって案内レールの傾斜に沿って降下し、図27乃至図29に示すように、かご4は次第に降下して第2乗り場2にまで降下させることができる。このとき釣合錘24は再び第2昇降路12の最下位置から最上位置にまで移動する。
【0040】
かご4を第2昇降路12から第1昇降路11にまで運転する場合にはこれまで説明した運転操作を逆に行えば良い。
【0041】
このように、本発明のエレベータ装置によれば、乗客の乗り換え無しでかご4を第1の乗り場から一旦上昇した後に降下して第2の乗り場に移動させることができ、しかも構造が簡単で設置も保守管理も容易であって、途中の乗り換えの必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明のエレベータ装置の実施形態を示す概略正面図である。
【図2】図1のかごが第1乗り場にある状態を示す動作説明図である。
【図3】かごが上昇途中にある状態を示す動作説明図である。
【図4】かごが切換部にある状態を示す動作説明図である。
【図5】かごが降下初期にある状態を示す動作説明図である。
【図6】かごが降下途中にある状態を示す動作説明図である。
【図7】かごが第2乗り場にある状態を示す動作説明図である。
【図8】かごが切換レール上に移動した状態を示す切換レールの動作説明図である。
【図9】かごが切換レール上の上死点にあるが切換レールは切換えられてない状態を示す動作説明図である。
【図10】かごが切換レール上の上死点にあり、切換レールは切換えられた状態を示す動作説明図である。
【図11】かごが切換レール上の終端近くにあり、切換レールは切換えられた状態を示す動作説明図である。
【図12】かごと上下案内装置との関係を示す概略正面図である。
【図13】図12の上下案内装置の概略側面図である。
【図14】図12の上下案内装置の動作を示す概略正面図である。
【図15】上下案内装置の変形例を示す概略正面図である。
【図16】図15の上下案内装置の動作を示す概略正面図である。
【図17】図15の上下案内装置の案内ローラの配置を示す概略斜視図である。
【図18】上下案内装置の変形例を示す概略正面図である。
【図19】切換駆動装置が第1位置にある状態を示す概略正面図である。
【図20】図19の切換駆動装置の概略側面図である。
【図21】切換駆動装置が第2位置にある状態を示す概略正面図である。
【図22】この発明のエレベータ装置の別の実施の形態を示す概略正面図である。
【図23】かごが第1乗り場にある状態を示す動作説明図である。
【図24】かごが上昇途中で垂直案内レール上にある状態を示す動作説明図である。
【図25】かごが上昇途中で傾斜案内レール上にある状態を示す動作説明図である。
【図26】かごが切換部にある状態を示す動作説明図である。
【図27】かごが降下途中で傾斜案内レール上にある状態を示す動作説明図である。
【図28】かごが降下途中で垂直案内レール上にある状態を示す動作説明図である。
【図29】かごが第2乗り場にある状態を示す動作説明図である。
【図30】かごが切換レール上の上死点にあるが切換レールは切換えられてない状態を示す動作説明図である。
【図31】図30の上下案内装置の概略側面図である。
【図32】かごが切換レール上の上死点にあるが既に切換レールは切換えられている状態を示す動作説明図である。
【図33】切換駆動装置が第1位置にある状態を示す概略正面図である。
【図34】図32の切換駆動装置の概略側面図である。
【図35】切換駆動装置が第2位置にある状態を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 第1乗り場
2 第2乗り場
3 空間
4 かご
10 移動経路
11 第1昇降路
12 第2昇降路
13 連絡部
14 案内レール装置
15 第1昇降レール
15a 上レール
15b 下レール
16 第2昇降レール
17 切換レール
17a 上レール
17b 下レール
18 切換駆動装置
19 駆動装置
20 制御装置
21 巻上機
23 主索
24 釣合錘
25 釣合錘案内レール装置
28 上案内ローラ
29 下案内ローラ
30 上案内装置
31 下案内装置
34 回動支持部材
36 上ガイド
37 回動支持部材
38 下ガイド
56 切換レール
59 固定レール
60 蝶番
61 可動レール
62 可動レール
75 切換駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも水平方向に互いに離間した第1乗り場と第2乗り場との間で運転されるエレベータ装置であって、
上記第1乗り場から上方に延びた第1昇降路、上記第2乗り場から上方に延びた第2昇降路ならびに上記第1および第2昇降路を上端部で互いに接続する連絡部を有し、全体としてほぼ逆U字型の概略形状の移動経路と、
上記移動経路内に設けられて上記第1乗り場および上記第2乗り場間に亘って延びたかご案内レール装置と、
上記かご案内レール装置に沿って案内されて、上記第1乗り場および上記第2乗り場間を移動するかごと、
上記かごを上記かご案内レール装置に沿って移動させる駆動装置と、
上記駆動装置の運転を制御する制御装置と
を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
上記かご案内レール装置は、
上記第1乗り場から上方に延びた第1昇降レールと、
上記第2乗り場から上方に延びた第2昇降レールと、
上記第1昇降レールおよび上記第2昇降レールの上端部に設けられ、上記第1乗り場と上記第2乗り場との間の空間の上方に設けられ、上記第1昇降レールの延長部分となる位置である第1位置および上記第2昇降レールの延長部分となる位置である第2位置に選択的に可動であって、上記第1および第2昇降レール間での上記かごの案内移動をさせる切換レールと、
上記切換レールを上記案内レール装置上の上記かごの位置に応じて上記第1位置および上記第2位置間で切り換える切換駆動装置と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項3】
上記かごはかご上部に設けられた上案内装置と、かご下部に設けられた下案内装置とを備え、
上記第1および第2昇降レールはそれぞれ、上記かごの上記上案内装置を案内する上レールと、上記かごの上記下案内装置を案内する下レールとを備え、
上記かごの姿勢を一定に維持するようにされている
ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のエレベータ装置。
【請求項4】
上記切換レールは、それぞれ中間部分で回動可能に支持されて、上記第1位置に於いては一端で上記第1昇降レールの上端に連結され、他端で上記第2昇降レールの上端から離間し、上記第2位置に於いては上記一端で上記第1昇降レールの上端から離間し、他端で上記第2昇降レールの上端に連結されるように構成された上レールおよび下レールを備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のエレベータ装置。
【請求項5】
上記切換レールは、上記第1および第2昇降レールの上記上レール間から離間してそれらの間に配置された固定レールと、
一端で上記第1昇降レールの上記下レールの上端に回動可能に連結され、他端で上記第1位置に於いて上記固定レールに選択的に連結されて上記固定レールと共に上記延長部分となる第1可動レールと、
一端で上記第2昇降レールの上記下レールの上端に回動可能に連結され、他端で上記第2位置に於いて上記固定レールに選択的に連結されて上記固定レールと共に上記延長部分となる第2可動レールと
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のエレベータ装置。
【請求項6】
上記駆動装置は、
上記かごに一端で接続された主索と、
上記主索の他端に接続された釣合錘と、
上記釣合錘を案内する釣合錘案内レール装置と、
上記主索が巻き掛けられて、これを駆動してかごを駆動する巻上機と
を備え、
上記釣合錘案内レール装置は、上記第1昇降路および上記第2昇降路のいずれか一方だけに設けられ、上記釣合錘を上記一方の昇降路内でだけ往復移動可能に案内支持するものである
ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のエレベータ装置。
【請求項7】
上記かごに設けられた上記上案内装置は、上記かごの上部に回転可能に取り付けられた回動支持部材と、上記回動支持部材の回動中心から離れた位置で上記回動支持部材上に設けられ、上記上レール上を走行する上ガイドとを備え、
上記かごに設けられた上記下案内装置は、上記かごの下部に回転可能に取り付けられた回動支持部材と、上記回動支持部材上に設けられ、上記下レール上を走行する下ガイドとを備えた
ことを特徴とする請求項1あるいは2記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−119165(P2007−119165A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312836(P2005−312836)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】