説明

エレベータ装置

【課題】簡単な運転操作で垂直方向を含め垂直以外の方向へも乗り換えることなく移動でき、安全迅速に目的の地点に到達できるエレベータ装置の提供。
【解決手段】移動路室内に1個のかご2を置き、該かごの対向する外側面のそれぞれにガイドローラ6を各軸がかごの外側面に直交となるように取り付け、該ガイドローラを導くガイドウェイ7を移動路室内のかごが垂直移動する部分においては垂直方向に、移動路室内のかごが垂直以外の方向に移動する部分においてはかごの移動方向に平行に備えるとともに、上記かごの対向する外側に動力伝達点を設け、該動力伝達点を移動路室内に設ける動力伝達索10上に置く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置に関するものである。より詳しくは、垂直以外の方向にも移動可能な装置なのでエレベータ様装置とすべきものであるが、エレベータかごを垂直方向にも移動できる点から見るとエレベータ装置の分野といえる。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置は、高低差のある環境で人や物資を移動させる際に非常に有用なものであり、生活空間の利用が多層化するにしたがって、生活や経済活動に不可欠の移動運搬の手段となっている。従来のエレベータ装置のほとんどは、エレベータかごが垂直方向に移動して人や物を搬送するものである。
【0003】
移動や運搬をしたい方向は垂直方向には限られないので、斜め方向に移動しようとする際には、かごの移動路を斜めに設ける斜行エレベータが用いられる。この斜行エレベータは、エレベータかごの移動路が斜めに設けられる点では通常のエレベータと異なるが、基本的には通常のエレベータと大差がなく、かごの床面をほぼ水平に保ちながら、かごが水平方向の成分のある上下方向にほぼ一定の傾斜で移動できるものである。
【0004】
しかし、例えば、駅構内のあるプラットフォームから別のプラットフォームへの乗客の移動のように、単純に垂直、あるいは斜め方向の移動運搬が容易であることだけでは、要求が満たされない場合も多くあり、垂直方向に加えて横方向へも移動できるエレベータ様の装置が望まれている。このような要求を満たすために、垂直方向に移動するエレベータに水平移動するかごを組み合わせた特許文献1の連絡橋用エレベータ運転装置が提案されている。以下の文中では、特に区別の必要がない場合には、エレベータ装置の語をエレベータ様の装置を含む意味で使用する。
【0005】
上記の連絡橋用エレベータ運転装置は、それぞれのプラットフォームに設けた垂直方向に移動できる従来のエレベータに、水平移動するかごを組み合わせたものなので、かごに乗って垂直方向ばかりではなく水平方向へも移動できる点で画期的なものである。しかし、特許文献1の連絡橋用エレベータ運転装置は、乗客があるプラットフォームから別のプラットフォームへ移動しようとする際に、通常のエレベータのように一度の操作で目的地点に到達できるものではなく、移動の方向が変わる地点でかごを乗り換える必要があり、乗り換えの度に時間調整や運転操作が必要なことから不便な面があり、特に連絡橋用エレベータを必要とする高齢者や弱者と言われる人々にとっては、必ずしも使い勝手の良いものではなかった。また、高齢者や脚力の衰えた人々にとっては、複数の車線からなる幅の広い道路や軌条数の多い鉄道踏み切りは横断に要する時間が長くかかることから非常に危険であり、これら危険箇所での歩行者の安全で円滑な通行を確保する必要があった。
【特許文献1】特開2004−137057号公報
【非特許文献1】中井多喜雄著「建築電気・エレベータの技術」学芸出版社1993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、簡単な運転操作で垂直方向を含め垂直以外の方向へも乗り換えることなく移動でき、安全迅速に目的の地点に到達できるエレベータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、かごの移動が垂直方向に加えて垂直以外の方向にも移動可能なエレベータ装置において、移動路室内に1個のかごを置き、該かごの対向する外側面のそれぞれに少なくとも3個のガイドローラを各軸がかごの外側面に直交となるように取り付け、該ガイドローラを導くガイドウェイを移動路室内のかごが垂直移動する部分においては垂直方向に、移動路室内のかごが垂直以外の方向に移動する部分においてはかごの移動方向に平行に備えるとともに、上記かごの対向する外側に動力伝達点を設け、該動力伝達点を移動路室内に設ける動力伝達索上に置くエレベータ装置とする。
【0008】
また、かごに取り付けるガイドローラの数を3個として、3個のうちの2個を1群としたものと残る1個の組合せからなり、2個1群のガイドローラ用ガイドウェイを1条と1個のガイドローラ用ガイドウェイを1条とした2条のガイドウェイを備え、上記の2条のガイドウェイに交差がある上記のエレベータ装置としたり、かごに取り付けるガイドローラの数を4個として、4個のうちの2個ずつを1群としたものを2組用意し、2条のガイドローラ用ガイドウェイを備え、上記の2条のガイドウェイに交差があることを特徴とする上記のエレベータ装置としたりする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、一度の簡単な運転操作で垂直方向を含め垂直以外の方向へも乗り換えることなく移動できるものとなり、乗り換えの煩雑さやかごの待ち合わせ時間が不要なことから、安全迅速に目的の地点に到達できるエレベータ装置を実現させたものである。本発明エレベータ装置は、利用者が出発点でかごに乗り込み、たとえば通常のエレベータを操作するように目的地点を指示することによって、垂直移動路や水平移動路を経由して目的の地点に到達できるものである。出発点から最遠点までの間に適宜停止点を設けることによって途中地点での乗降も可能である。また、複数の車線からなる幅の広い道路や軌条数の多い鉄道踏み切りに本発明エレベータ装置を設置することで歩行者の安全で円滑な通行ができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明のエレベータ装置1を示す図である。図は移動路室内にあるかご2を横から見たものであり、移動路室自体は描かれていない。図の両側にはエレベータ装置1のかご2が垂直移動する垂直移動路3があり、図の中央部はかご2が水平方向に移動する水平移動路4となっている。
【0011】
本発明のエレベータ装置1では、1つの移動路室につき1台のかご2を備えるものであるが、ここでは、かご2の動きを説明するために複数台のかご2を記載している。また、エレベータ装置1の動きを説明する際に、以下の文では特に断わらない限り、かご2が右下の位置を出発点として左下の位置に達する経路で説明を加えるが、他の経路によっても支障がないものである。さらに、かご2の水平断面は、円形や多角形などの複雑な形状であっても差し支えないものであるが、ここでは方形のものとして説明する。
【0012】
前述のように図中では複数個記載しているが、移動路室内に1台のかご2を置き、該かご2の対向する外側面5のそれぞれ(図に正面として表れる側とその逆側)に少なくとも3個のガイドローラ6を各軸がかご2の外側面5に直交となるように回動自在に取り付ける。この際に、各ガイドローラ6間の距離をできるだけ大きく取ると、移動路室内を移動するかご2の安定が増すが、図1のものは、かご2下部両端に各1個とかご2上部中央付近に1個のガイドローラ6を備える。
【0013】
図の両側には、エレベータ装置1のかご2が垂直移動する垂直移動路3があり、図の中央部はかご2が水平方向に移動する水平移動路4となっている。移動路室の内面に前記ガイドローラ6を案内するガイドウェイ7を個々のガイドローラ6用に設けるが、ガイドウェイ7は垂直移動部分では縦方向に、水平移動部分では横方向に取り付け、移動方向が変化する箇所では丸みを設けて緩やかに変化させる。また、個々のガイドローラ6用ガイドウェイ7は、図の水平移動路4に設けるガイドウェイ7のように、ガイドローラ6の軌跡が重複する部分ではガイドウェイ7を共用するとよい。
【0014】
図1のエレベータ装置1では、移動路室内にガイドローラ6毎のガイドウェイ7を取り付ける際に、かご下部ガイドローラ6の2個は、かご2上部中央付近のガイドローラ6よりかご2に接近させて取り付けて各ガイドウェイ7が相互に干渉するのを回避している。図17は図1のガイドウェイ7が交差する個所12を図1とは逆の移動路室内側から見た斜視図である。かご下部のガイドローラ6用ガイドウェイ7は移動路室内壁のかご寄りに、かご上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7は移動路室内壁のかご2から離れた位置に取り付けることになる。かご下部ガイドローラ6用ガイドウェイ7とかご上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7とが交差する箇所12では、かご2の移動に伴って移動するかご上部中央ガイドローラ6がかご下部のガイドローラ6用ガイドウェイ7に衝突することになるので、かご下部ガイドローラ6用ガイドウェイ7をガイドローラ6の直径を少し上回る寸法だけ切欠いて切欠き部13を設け、かご上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7を優先させる。
【0015】
さらに、かご2のガイドローラ6のある側上部中央付近には動力伝達点8を設けるとともに、移動路室内壁の垂直移動部下部と上部のそれぞれに滑車9を取り付けることで、索がガイドウェイ7とほぼ平行に移動するようにして動力伝達索10とし、動力伝達索10の一点を前記動力伝達点8に結合する。図では動力伝達索10を破線で表わしており、動力伝達索10の方向をガイドウェイ7に沿わせる形で緩やかに変化させる箇所には、大径のガイドシーブ11を設けている。上記の動力伝達索10は走行を正逆自在とし、緊張装置を介して駆動輪に結び付ける。
【0016】
今、エレベータ装置1のかご2が移動路室内の右下の位置にあるとすれば、駆動輪を矢印の方向へ回転させると、動力伝達索10に動力伝達点8で結合されたかご2が上昇する。かご2にはガイドローラ6が取り付けられており、ガイドローラ6は移動路室内壁にあるガイドウェイ7に導かれるので、かご2は垂直移動路3では上昇するが、垂直移動路3の頂上付近で曲げられたガイドウェイに導かれてしだいに横方向の移動に変化する。動力伝達索10もガイドシーブ11によって緩やかに方向を変えて横方向に進むため、移動路室の水平移動路4ではガイドローラ6で支えられたかご2が左方へ移動する。
【0017】
移動路室の水平移動路4の左端に達したかご2は、水平移動路4の左端で緩やかに下方に曲げられたガイドウェイ7に導かれてしだいに下方向の移動に変化するが、動力伝達索10も水平移動路4左端のガイドシーブ11によって下方向に進むため、垂直移動路3のガイドローラ6でガイドウェイ7上を案内されたかご2が下降する。かご2が所定の位置に達した後に停止させる。かご2の逆向き移動の際には、動力伝達索10の走行を逆向きにする。
【0018】
図2は、本発明エレベータ装置1の垂直移動路3A−A断面図である。図では外側にある4個のかご下部ガイドローラ6は、かご上部中央のガイドローラ6よりかご2に接近させて取り付けることで、かご下部のガイドローラ6用ガイドウェイ7は移動路室内壁のかご2寄りに、かご上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7は移動路室内壁のかご2から離れた位置となり、互いのガイドウェイ7が干渉するのを回避できる。さらに、かご2のガイドローラ6のある側上部中央付近に動力伝達点8を設け、動力伝達索10と結んでいる。動力伝達索10は移動路室内の壁寄りを走行するので、かご2の移動時の障害とならない。
【0019】
図3は、本発明エレベータ装置1の移動路室水平移動路4B−B断面図である。斜線で示す移動路室のほぼ中央にガイドウェイ7上にガイドローラ6で支持されたかご2が置かれている。図の上方には、原動機14があり、動力は回転軸によって、左右の駆動輪へ伝えられるようになっている。駆動輪の上下に断面で表示される動力伝達索10は図1の経路を経てかご2の動力伝達点8に結合される。図3においては、かご2は図の紙面に対して垂直方向へ移動することになる。
【0020】
図3で示すかご2は、図1ではB−Bの位置に達したものであるが、図1上でかご2が更に左方に進むと、かご下部左側のガイドローラ6がガイドウェイ7水平部の分岐点に脱落するかに見える。しかし、この時点ではかご上部にあるガイドローラ6がかご2を吊り下げる形で支持し、かご下部右側のガイドローラ6がかご2の姿勢を保持するので、水平移動路4にあるかご2は安定した状態でガイドウェイ7水平部の分岐点を通過できる。ここでは図中の左側ガイドウェイ7水平部の分岐点についてかご2の動きを説明したが、右側ガイドウェイ7水平部の分岐点についても同様の作用となる。
【実施例1】
【0021】
図4は、本発明エレベータ装置1の1つの実施例を示す側面図である。本発明エレベータ装置1は、移動路室内に設けるガイドウェイ7とこれに対応するかごのガイドローラ6との関係と動力伝達経路の選択によって様々な構成の実施例が可能であるが、図4に示すものはその1つである。
【0022】
図4の本発明エレベータ装置1では、かご2側面の左下方に水平に2個のガイドローラ6を並べて配置した1群と、この1群と同一平面上のかご2側面右上に1個のガイドローラ6を配置したものである。1群と1個からなる3個のガイドローラ6を回動自在に固定し、移動路室内にはこれらのガイドローラ6と対応する位置に2組のガイドウェイ7を持つとともに、動力伝達経路を図中の破線で示すように移動路室内に配置している。垂直移動路3の上下端と垂直移動路3から水平移動路4に変わる位置にある二重円は動力伝達索10の方向を変える複数個のガイドシーブ11であり、かご2側面右上方のガイドローラ6軸上の端部寄りに動力伝達点8を設けている。図の右上方にあるのは、動力伝達索10の駆動輪と緊張装置であるが、ここでは動力伝達索10の駆動輪と緊張装置を移動路室の垂直移動路3側方に配置することで、エレベータ装置に必要な空間を少なくしたものである。
【0023】
また、ガイドウェイ7の交差する箇所12は、移動路室内の左側垂直移動路3の垂直移動路と水平移動路4のガイドウェイ6が交わる箇所に設けている。図18は図4のガイドウェイが交差する個所12を図4とは逆の移動路室内側から見た斜視図である。図18に示すように、このガイドウェイ7が交差する箇所12では、交差するガイドウェイ7のうち一方の水平移動路4ガイドウェイ7をガイドローラ6の直径を少し上回る寸法だけ切欠いた切欠き部13を設けるが、かご2側面の左下方に水平に2個のガイドローラ6を並べて配置するので、切欠き部13を通過中のガイドローラ6の少なくとも1個がかご2の荷重を支持することとなり、ガイドローラ6が水平移動路4のガイドウェイ7切欠き部13に脱落することなくガイドウェイ7を通過できる。
【0024】
図5は実施例1の本発明エレベータ装置1の右側垂直移動路3C−C断面図であり、斜線は移動路室壁を表している。図では左側にある4個のかご2下部ガイドローラ6は、図右側のかご2上部ガイドローラ6と異なる平面上に置かれている。図4では、かご2下部のガイドローラ6用ガイドウェイ7とかご2上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7はで交差する箇所12が生じるが、これを図5には表れない左側の移動路室垂直移動部に設けている。さらに、かご2の右側ガイドローラ6の軸端寄りに動力伝達点8を設けて動力伝達索10と結んでいる。動力伝達索10は移動路室内の壁寄りを走行するので、かご2の移動時の障害とならない。
【0025】
図6は、実施例1の本発明エレベータ装置1の移動路室水平移動路4D−D断面図である。斜線で示す移動路室のほぼ中央にガイドウェイ7上にガイドローラ6で支持されたかご2が置かれている。図では、かご2側面下方に水平に並べて配置した2個ガイドローラ6が前後に重なるので、そのうちの前側の1個と、かご2側面上方のガイドローラ6が見える。かご2側面上方のガイドローラ6とかご2側面下方のガイドローラ6はかご2側面からの突出量を違えてある。断面で表示される動力伝達索10は図4の経路を経てかご2の動力伝達点8に結合される。なお、図6においては、かご2は図の紙面に対して垂直方向へ移動することになる。
【0026】
説明では、本発明エレベータ装置1のかご2を移動させる手段として動力伝達索10を用いているが、この動力伝達索10を鎖状の動力伝達鎖としても支障ない。この場合、ガイドシーブや滑車は用語として鎖車に変わるが、その他の構成や作用はほぼ同じである。
【実施例2】
【0027】
図7は、本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。図7の本発明エレベータ装置1では、かご側面の左下方に水平に2個のガイドローラ6を並べて配置した1群と同一平面上のかご側面右上に縦に2個のガイドローラ6を並べて配置した1群との2群からなる4個のガイドローラ6を固定し、移動路室内にはこれらのガイドローラ6と対応する位置にガイドローラ6群毎の2組のガイドウェイ7を持つとともに、動力伝達経路を図中の破線で示すように移動路室内に配置している。垂直移動路3の上下端と垂直移動路3から水平移動路4に変わる位置にある二重円は動力伝達索10の方向を変える複数個のガイドシーブ11であり、かご2側面の上方中央付近に動力伝達点8を設けている。図の左上方にあるのは、駆動輪と動力伝達索10の緊張装置である。また、ガイドウェイ7の交差する箇所12は、移動路室内の左側垂直移動路3と水平移動路4の交わる箇所に設けている。図19は図7のガイドウェイが交差する個所12を図7とは逆の移動路室内側から見た斜視図であり、図中に3点鎖線で示すものはかご2である。このガイドウェイ7とが交差する箇所12では、かご2の左方向への移動の際に移動するかご下部のガイドローラ6がかご上部ガイドローラ6用ガイドウェイ7に衝突することになるので、図19で示すように、交差する箇所12のガイドウェイ7をガイドローラ6の直径を少し上回る寸法だけ切欠いて双方のガイドローラ6がガイドウェイ7を通過できるようにする。
【0028】
図8は、本発明エレベータ装置1の実施例2右側垂直移動路3E−E断面図である。図では左側にある4個のかご下部ガイドローラ6は、図右側のかご上部のガイドローラと同一平面上に置かれているので、図19で示すように、かご下部のガイドローラ6用ガイドウェイ7とかご上部中央のガイドローラ6用ガイドウェイ7には同一平面で交差する箇所12が生じるが、これを図8には表れない図7左側の移動路室垂直移動路に設けている。さらに、かごのガイドローラ6のある側上部に動力伝達点8を設け、動力伝達索10と結んでいる。図8に図19を併せて参照すると、動力伝達索10は移動路室内の壁寄りを走行するので、かご2の移動時の障害とならない。ガイドローラ6がガイドウェイ7交差個所の切欠き部13を通過する際にはそれぞれの群にガイドローラ6が2個ずつあるので、それぞれ少なくとも1個のガイドローラ6がかご2を案内することになり、かご2はガイドウェイ7の切欠き部13を安定した状態で通過できるのが解る。
【0029】
図9は、本発明エレベータ装置1の実施例2移動路室水平移動路4F−F断面図である。斜線で示す移動路室のほぼ中央にガイドウェイ7上にガイドローラ6で支持されたかご2が置かれている。図ではかご2側面下方に水平に並べて配置した2個のガイドローラ6が前後に重なるので、そのうちの前側の1個が見えるのに対して、同一平面上のかご2側面上に縦に配置した2個のガイドローラ6は2個が見えている。断面で表示される動力伝達索10は図4の経路を経てかご2の動力伝達点8に結合される。図9においては、かご2は図の紙面に対して垂直方向へ移動することになる。実施例2のエレベータ装置はガイドローラ6のかご2からの突出量を少なくできるので、設置に必要な空間を少なくすることが可能である。
【実施例3】
【0030】
図10は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。実施例3では、かご2の片側につき3個のガイドローラ6を備えるが、荷重のバランスを保つために、その内のかご2上部に設けるガイドローラ6をかご2のほぼ中央に置き、上記ガイドローラ6軸の先端寄りに動力伝達点8を配置している。本発明エレベータ装置1の場合、水平移動路4の長さには制限がないので長距離の移動も可能である。その場合には経路の途中に停止地点を設けることでより利便性が向上する。また、停止地点の前後で加減速区間を設ける運転制御を行うことで、かご2の運転速度を向上させることができる。
【実施例4】
【0031】
図11は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、図中央上方の移動路室水平移動路4の壁際に動力伝達索10ごとに独立させた駆動輪と緊張装置を配置している。このことによって、エレベータ装置を設置する際の高さ制限を緩和できる。本発明エレベータ装置1は既存の施設に設置する事例も想定できるので、設置する際の自由度の大きさは重要な要素の一つである。
【実施例5】
【0032】
図12は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、図中央上方の移動路室水平移動路4の壁際に動力伝達索10ごとに独立させた駆動輪と緊張装置を配置し、動力伝達索10の方向を緩やかに変える個所に大径のガイドシーブを用いたものである。エレベータ装置を設置する際の高さ制限を緩和できる点では、実施例4と同じである。大径のガイドシーブは、回転速度を小さくできるので回転部の損耗が少なく、装置の維持管理費用の抑制が見込まれる。
【実施例6】
【0033】
図13は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、図中央上方の移動路室水平移動路4の壁際に動力伝達索10ごとに独立させた駆動輪と緊張装置を配置し、動力伝達索10の方向を緩やかに変える個所に大径のガイドシーブを用い、ガイドローラ6軸の先端寄りに動力伝達点8を配置している。移動路室水平移動路4側壁に開口を設けると駆動輪と緊張装置の設置や保守に係る作業が容易になる。
【実施例7】
【0034】
図14は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、図左上方の移動路室垂直移動路3に主軸を共通とした駆動輪と緊張装置を配置し、動力伝達索10の方向を緩やかに変える個所に複数個のガイドシーブを用い、ガイドローラ6軸の先端寄りに動力伝達点8を配置している。
【実施例8】
【0035】
図15は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、かご2の移動経路が下降から始まり水平方向となり、その後上昇となるものである。実施例8のものは、車道や鉄道の地下を迂回する形式の連絡通路などに適している。
【実施例9】
【0036】
図16は、本発明エレベータ装置1の他の実施例を示す側面図である。この実施例では、かご2の移動経路が上昇から始まり水平方向となり、再び上昇となるものである。実施例9に限るものではないが、本発明エレベータ装置1は途中の経路に傾斜区間があっても設置が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のエレベータ装置1は様々な方向の移動経路を選べるので跨線橋や道路横断陸橋、空港や港湾施設等にも適している。また、観光施設としても利用が可能であり、物資輸送にも適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明エレベータ装置の側面図である。
【図2】本発明エレベータ装置の断面図である。
【図3】本発明エレベータ装置の断面図である。
【図4】本発明エレベータ装置の1つの実施例を示す側面図である。
【図5】本発明エレベータ装置の1つの実施例を示す断面図である。
【図6】本発明エレベータ装置の1つの実施例を示す断面図である。
【図7】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図8】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図11】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図12】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図13】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図14】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図15】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図16】本発明エレベータ装置の他の実施例を示す側面図である。
【図17】ガイドウェイ交差部の詳細を示す斜視図である。
【図18】ガイドウェイ交差部の詳細を示す斜視図である。
【図19】ガイドウェイ交差部の詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 本発明エレベータ装置
2 かご
3 垂直移動路
4 水平移動路
5 かごの外側面
6 ガイドローラ
7 ガイドウェイ
8 動力伝達点
9 滑車
10 動力伝達索
11 ガイドシーブ
12 交差する箇所
13 切欠き部
14 原動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの移動が垂直方向に加えて垂直以外の方向にも移動可能なエレベータ装置において、移動路室内に1個のかごを置き、該かごの対向する外側面のそれぞれに少なくとも3個のガイドローラを各軸がかごの外側面に直交となるように取り付け、該ガイドローラを導くガイドウェイを移動路室内のかごが垂直移動する部分においては垂直方向に、移動路室内のかごが垂直以外の方向に移動する部分においてはかごの移動方向に平行に備えるとともに、上記かごの対向する外側に動力伝達点を設け、該動力伝達点を移動路室内に設ける動力伝達索上に置くエレベータ装置。
【請求項2】
かごに取り付けるガイドローラの数を3個として、3個のうちの2個を1群としたものと残る1個の組合せからなり、2個1群のガイドローラ用ガイドウェイを1条と1個のガイドローラ用ガイドウェイを1条とした2条のガイドウェイを備え、上記の2条のガイドウェイに交差があることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
【請求項3】
かごに取り付けるガイドローラの数を4個として、4個のうちの2個ずつを1群としたものを2組用意し、2条のガイドローラ用ガイドウェイを備え、上記の2条のガイドウェイに交差があることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−30863(P2008−30863A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202939(P2006−202939)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(391021938)
【Fターム(参考)】