エレベータ
【課題】乗りかごが停止した際に乗りかごを高剛性で支持することができるエレベータを提供する。
【解決手段】昇降路内に敷設されたガイドレール2に沿って昇降する乗りかご3に設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより乗りかごを案内する案内装置6と、電磁石に励時する電流を操作することにより磁気力を制御する制御装置とを備え、制御装置は、乗りかごが走行状態にあるときには案内装置をガイドレールに対して非接触状態とし、乗りかごが停止したときには案内装置をガイドレールに対して接触状態とするように磁気力を制御し、乗りかごが停止中に案内装置が乗りかごを吸着固定する。
【解決手段】昇降路内に敷設されたガイドレール2に沿って昇降する乗りかご3に設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより乗りかごを案内する案内装置6と、電磁石に励時する電流を操作することにより磁気力を制御する制御装置とを備え、制御装置は、乗りかごが走行状態にあるときには案内装置をガイドレールに対して非接触状態とし、乗りかごが停止したときには案内装置をガイドレールに対して接触状態とするように磁気力を制御し、乗りかごが停止中に案内装置が乗りかごを吸着固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごをガイドレールに対して非接触状態で案内するようにしたエレベータの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエレベータは、図13に示すごとく、ロープ105に吊された乗りかご102が昇降路104内に上下方向に敷設された一対のガイドレール103に沿って昇降する。乗りかご102は負荷荷重の不均衡や、乗客の移動により揺動するが、ガイドレール103によって案内することでこれら揺動を抑制する。
【0003】
乗りかご102の案内装置101としては、従来ではガイドレール103に接して転動する車輪とサスペンションとで構成されたローラガイド、もしくはガイドレールに対して摺動するガイドシューなどが用いられていたが、このような接触方式の案内では、ガイドレールの歪みや継目に起因する振動や騒音が車輪もしくは摺動部を介して乗りかご102内に伝達したり、ローラガイドが回転する際に発生する転動音により、エレベータの快適性を損うことがあった。
【0004】
こうした問題点を解決するために、例えば下記特許文献1に示されるように、電磁石により構成された案内装置を乗りかごに搭載し、鉄製のガイドレールに対して磁気力を作用させ、非接触で乗りかごを案内する方法が提案されている。
【0005】
これは乗りかごの四隅に配置された電磁石がガイドレールを3方向から囲んだ状態で磁石を励磁することで、ガイドレールと案内装置との間の磁気力を制御し、乗りかごをガイドレールに対して非接触に案内することを可能としたものである。
【0006】
また、特許文献2の提案では、上記方式によるエレベータの案内装置において問題となる制御性の低下及び消費電力増大を解決する手段として、案内装置に永久磁石を備える構造が提案されている。
【0007】
このように永久磁石と電磁石とを併用することにより、消費電力を抑えつつ、低剛性・長ストロークで乗りかごを案内するエレベータを提供することができる。
【特許文献1】特開平5−178563号公報
【特許文献2】特開2001−19286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の磁気力を応用した案内装置を備えたエレベータにおいては、通常乗りかごが停止した際に、例えば乗りかごの呼びがない場合、もしくはドアが開き乗客が乗降している最中も、乗りかごはガイドレールに対して非接触で案内されている。
【0009】
一般に乗りかごが走行する際には案内装置の支持剛性を低くし、ガードレールの不整や継目などの影響を乗りかごに伝達しにくい構成とした方が乗り心地が良い。磁気力を用いた案内装置を備えたエレベータについても同様で、走行中は低剛性で乗りかごを支持する方が乗り心地を良くすることができる。
【0010】
しかし、乗りかごが停止しているときにも低剛性で支持していると、乗客の乗降動作に伴って水平方向に比較的大きな荷重が加わると、乗りかごが揺れたり、案内装置がガイドレールに衝突するという問題がある。
【0011】
この点において、特許文献1においては、乗りかごの停止中の支持剛性を走行中と停止中途で切替える手法が提案されている。
【0012】
しかし、この場合でも、乗客の乗降の際に発生する可能性のある過大な荷重に対して乗りかごの揺動を止めることは困難である。また、一般に案内制御においては、支持剛性を上げると応答感度を高く設定する必要があり、電磁石のコイルを励磁する電流が増加する。その場合、消費電力が増加するという問題のほか、制御系の安定性が低下したり、構造物との共振が発生する問題を生ずる。
【0013】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的は、乗りかごが停止した際に乗りかごを高剛性で支持することができるエレベータを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、乗りかごを高剛性で支持した状態での消費電力を低減するとともに、制御系の安定性の低下と共振の発生の防止を図ったエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のエレベータは、
昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、前記ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより前記乗りかごを案内する案内装置と、
前記電磁石に励磁する電流を操作することにより前記磁気力を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記乗りかごが走行状態にあるときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して非接触状態とし、前記乗りかごが停止したときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して接触状態とするように前記磁気力を制御し、前記乗りかごが停止中に前記案内装置が前記ガイドレールを吸着固定するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエレベータによれば、乗りかごが停止したときには乗りかごがガイドレールに固定された状態で乗客が乗降動作を行うため、乗りかごが揺れたり、案内装置がガイドレールに衝突したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の第1実施形態のエレベータの斜視図を示す。
【0018】
同図において昇降路1の内部には、鉄製で強磁性体からなる断面T字形の一対のガイドレール2が上下方向に敷設されている。
【0019】
乗りかご3は、その両側を矩形状に枠組みされたフレーム部4の内側に固定され、前面ドア3aをエレベータホール側に対面させたものであり、フレーム部4の上部に一端が連結されたロープ5によって昇降路1内に吊下げられ、ロープ巻上機などの駆動手段によって昇降路1内を昇降する。
【0020】
フレーム部4の上下四隅には各ガイドレール2に対向して案内装置6が固定され、これら案内装置6を介して乗りかご3がガイドレール2に沿って昇降可能に案内される。
【0021】
各案内装置6は、図2に示すように、磁石ユニット7と、この磁石ユニット7とガイドレール2とのx,y軸方向距離を検出する縦横一対のギャップセンサ8と、これらを支持する台座9とにより構成されている。
【0022】
磁石ユニット7は、図3に示すように、ガイドレール2を挟んでその両側に位置する一対の永久磁石10a,10bと、これら永久磁石10a、10bと一体化されて略E形に組立てられ、ガイドレール2の両側面及び端面を3方向から包囲する形で磁極を対向させた継鉄11a,11b,11cと、これら継鉄11a,11b,11cを鉄心としてその外周に巻回され、磁極部分の磁束を操作することのできる電磁石を構成するコイル12a,12b,12c,12dと、各磁極のガイドレール2に対向する面に設けた固体潤滑部材13とからなっている。
【0023】
なお、固体潤滑部材13は、磁石ユニット7がガイドレール2に接触した場合であっても摺動支持を可能とするためのものであり、例えばテフロン(登録商標)、黒鉛若しくは二硫化モリブデンを含有する材料を用いて構成される。
【0024】
この構造において、各ギャップセンサ8等によって検出された磁気回路中の状態量を元に各コイル12に励磁する電流量を演算することにより、ガイドレール2と磁石ユニット7とを接触させることなく安定して浮上案内できるようになっている。
【0025】
図4にこの非接触案内を行う制御装置の概要図を示す。制御装置21は、磁石ユニット7及びガイドレール2によって形成される磁気回路中の物理量を検出するセンサ部22と、センサ部22からの信号に基づき乗りかご3を非接触状態に案内すべく、各コイル12に印加する電圧を演算する演算回路25と、演算回路25の出力に基づいて各コイル12に電力を供給するパワーアンプ24とにより構成されており、これらで各案内装置6の吸引力を制御している。
【0026】
センサ部22は、磁石ユニット7とガイドレール2の間の空隙の大きさを検出する前述のギャップセンサ8と、各コイル12に流れる電流値を検出する電流検出器23とで構成されている。
【0027】
演算回路25は、定常状態においてコイル12の励磁電流を零に収束させることによって非接触案内制御を行っており、乗りかご3の重量及び不平衡力の大きさの如何にかかわらず永久磁石10の吸引力で乗りかご3を安定に支持する、いわゆるゼロパワー制御を行う。
【0028】
以上のようにして、ゼロパワー制御により磁気案内系が構成されることにより、乗りかご3がガイドレール2に対して非接触で安定に支持され、定常状態にあるときには、各コイル12に流れる電流は零に収束し、安定支持に必要となる力は全て永久磁石10による磁気力でまかなわれることになる。
【0029】
これは、乗りかご3の重量やバランスが変化した場合でも同様であり、乗りかご3に何らかの外乱が加えられた場合、各案内装置6とガイドレール2との間の空隙の大きさを所定の大きさにするために過渡的にコイル12に電流が流れることになるが、再度安定状態になった際には、上記制御手法を用いることにより、コイル12に流れる電流は零に収束し、そのときの乗りかご3に加わる荷重と、永久磁石10の磁気力によって発生する吸引力とが釣合う大きさの空隙が形成される。
【0030】
なお、浮上案内における磁石ユニットの構成およびゼロパワー制御の更に詳細な内容については特願2004−140763、特開2001−19286に示されている。
【0031】
通常、乗りかご3が走行している場合には、図5に示すように、案内装置6とガイドレール2との隙間が維持され、各々を接触させることなく乗りかご3を案内している。このときの案内装置6とガイドレール2との関係を図6に拡大して示す。
【0032】
乗りかご3が所定の位置で停止すると、この停止状態を受けて制御装置21はコイル12に対する励磁電流を調節し、案内装置6とガイドレール2との間の相対位置を徐々に変化させ、乗りかご3が、図7中矢印に示すごとく、乗客が乗降するドア3aの方(ホール側)に変位して、最終的に図7に示すように、案内装置6の一部がガイドレール2に接触するまで変位させる。このときの案内装置6とガイドレール2との関係を図8に拡大して示す。このようにして、案内装置6が永久磁石10の吸引力により、ガイドレール2に接触したところで、案内装置6のコイル12への励磁電流を断とする。
【0033】
これにより、電磁石による吸引力制御はなくなるため、磁石ユニット7の永久磁石10による磁気力のみが案内装置6とガイドレール2との間に作用することになる。したがって、案内装置6はコイル12に電流を励磁していない状態でもガイドレール2に吸着した状態を維持し、乗りかご3はガイドレール2に対して接触支持される。
【0034】
乗りかご3が停止している間は案内制御を施す必要はなく、また案内装置6がガイドレール2に接触しているため、コイル12を励磁しなくても乗りかご3を安定に支持することができる。
【0035】
エレベータの乗りかご3は、一般に、走行時にはガイドレール2の不整や継目などの外乱を乗りかご3に伝達しにくくするために低剛性で支持している方が乗り心地は良い一方で、停止中は乗客の乗降の際に発生する過大な荷重変動や、積荷の積降ろしなどの外乱を支持するために剛性を高くした方がよい。停止時に案内装置6をガイドレール2に対して浮上させた状態で支持剛性を高めるためには、案内装置6の応答感度を高めることになるが、その場合、従来では外乱に対する応答性を高めるために、大きな電力を必要とするとともに、ガイドレール2や乗りかご3などの機械的剛性がある程度高くなければ、非接触案内状態を安定に維持できなくなる。
【0036】
これに対し、本実施形態においては、走行中は乗りかご3をガイドレール2に対して非接触で案内することで、ガイドレール2からの外乱が大幅に軽減する。一方、停止時には、案内装置6とガイドレール2を接触させることによって、乗りかご3を強固に支持し、停止時の過大な外乱に対し、安定して乗りかご3を支持することができる。
【0037】
また、磁石ユニット7が永久磁石10を備えており、コイル12への励磁がなくてもガイドレール2との間に吸引力が作用するため、吸着状態を維持するのに電力を必要とすることはない。また、制御系の安定性が低下したり、構造物との共振が発生することもない。
【0038】
更に、乗りかご3をドア3a側に変位して停止させることにより、乗りかご3と昇降口のホールとの間の隙間を狭くすることができ、昇降路1内に物を落下させたりする危険を減らすことができる。
【0039】
加えて、乗りかご3が停止し、案内装置6の一部がガイドレール2と接触している際に、案内装置6の永久磁石10により、案内装置6とガイドレール2の間に発生する吸引力よりも大きな外乱が作用し、案内装置6とガイドレール2とが離間しようとした場合には、案内装置6とガイドレール2の相対位置の変化をギャップセンサ7で検出し、案内装置6とガイドレール2の間の吸引力を大きくするように、各コイル12に電流を励磁する。これにより、永久磁石10による吸引力よりも大きな荷重が乗りかご3に加えられた場合でも、案内装置6がガイドレール2からほとんど離れることなく、乗りかご3を支持することが可能となる。
【0040】
次に、乗りかご3の動きと案内装置6の動作について説明する。図9は、乗りかご3の走行に連動して案内装置6を操作する場合の乗りかご3の動作、ドア3aの動作、案内装置6の動作について示したものの一例である。
【0041】
上から乗りかご3の走行速度、ドア3aの開閉状態、案内装置6の浮上・吸着状態の変化を示している。なお、案内装置6の状態変化のグラフにおいて、浮上案内とは案内装置6がガイドレール2から離れて安定に非接触案内状態となったことを示しており、吸着支持とは、案内装置6の一部がガイドレール2に接触し、永久磁石10の作用で案内装置6がガイドレール2に吸着している状態を示している。
【0042】
図9の初期状態では、乗りかご3は停止しており、ドア3aは閉まっている。このとき、乗りかご3は停止中なので、案内装置6はガイドレール2に吸着した状態となっており、乗りかご3はガイドレール2に対して接触支持されている。したがって、ドア3aの開閉及び乗客の乗降による外乱に対して、高剛性で乗りかご3を支持することができる。
【0043】
時間A1の時点、すなわちドア3aが閉まったところで案内装置6の非接触案内制御を開始し、時間A2からA3までの間で徐々に浮上させ、乗りかご3が安定浮上したところで乗りかご3を走行させる。
【0044】
次に乗りかご3が目的階床に到着し、停止した時点をA5とすると、その後、A6からA7までの間で徐々に案内装置6をガイドレール1に吸着させ、案内装置6の一部がガイドレール2に接触して吸着支持状態になったところで、乗りかご3のドア3aを開く。
【0045】
このような手順で非接触案内制御を操作することにより、乗りかご3が走行するときにはガイドレール2に接触せずに案内され、停止時に乗客が乗降するときにはガイドレール2に接触しつつ強固に支持されるエレベータを提供することができるのである。
【0046】
次に、第2の実施の形態のエレベータの動作について図10を参照して説明する。第1の実施の形態と同様、図10の初期状態では乗りかご3は停止しているものとする。ここで、時間B1でドア3aが閉じた後、接触案内制御を開始し、時間B2からB4までの間で徐々に案内装置6とガイドレール2との間の空隙を広げ、乗りかご3を浮上させる。その際、案内装置6が安定浮上位置に到達する前の時間B3の時点で乗りかご3の走行を開始し、走行中に案内装置6を安定浮上位置まで移動させる。
【0047】
一方、乗りかご3が減速したところ、もしくは、目的階床に近づいたところで、まだ乗りかご3が走行している間に、案内装置6をガイドレール2に近づけ始める。そして、乗りかご3が停止した後、案内装置6をガイドレール2に吸着させ、その後ドア3aを開く。
【0048】
このような手順で走行することにより、ドア3aが閉じてから乗りかご3が走行し始めるまでの時間、及び乗りかご3が停止してからドア3aが開くまでの時間が短縮し、乗客が快適に乗降することができるようになる。
【0049】
次に、第3の実施形態のエレベータの動作について図11を参照して説明する。この実施形態では、乗りかご3が停止しており、ドア3aが閉まり始めたところ(時間C1)で浮上を開始し、ドア3aが閉まった後、乗りかご3が走行する前(時間C3)に案内装置6を安定浮上状態とし、その後乗りかご3を走行させる。一方、目的階床に到着したときには、乗りかご3が停止してから案内装置6をガイドレール2に徐々に吸着させていくと同時にドア3aを開く動作をさせる。このようにしても、ドア3aの開閉と乗りかご3の走行の間の時間を短縮することができる。
【0050】
次に、第4の実施形態のエレベータの動作について図12を参照して説明する。この実施形態では、第2、第3の実施形態の動作を複合して行い、乗りかご3が停止中、ドア3aが閉り始めたところから浮上を開始し、且つ、浮上状態の安定を待たずに時間D3の時点で乗りかご3の走行を開始する。案内装置6は、走行中の時間D4で安定浮上状態となる。一方、停止する場合は、乗りかご3の減速が始まった後、もしくは、目的階床に近づいたところで案内装置6をガイドレール2に近づけていき、乗りかご3が停止し、ドア3aが完全に開くまでの間に、案内装置6をガイドレール2に吸着させるような手順で走行する。この場合、ドア3aの開閉と乗りかご3の走行の間の時間を短縮するとともに、案内装置6の位置は、時間D1〜D4,D5〜D8と長い時間を緩やかに推移するため、吸着・浮上動作時に乗客に与える乗り心地の影響を低減させることができる。
【0051】
なお、ここでは案内の手順として4つの実施の形態を例に挙げて説明したが、それらを組合わせて運用しても差支えない。
【0052】
なお、上記の各実施形態では、磁石ユニットが永久磁石を含んでおり、案内装置がガイドレールに接触した際に永久磁石の吸引力でガイドレールを吸着固定するようにした場合について説明したが、磁石ユニットを電磁石のみで構成し、電磁石の吸引力でガイドレールを吸着固定するようにしてもよい。
【0053】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施形態に種々の改変を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態の案内装置を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態の案内装置における磁石ユニットを示す斜視図。
【図4】第1の実施形態の制御装置を示すブロック図。
【図5】第1の実施形態の走行時における状態を示す上面図。
【図6】図5の案内装置付近の拡大図。
【図7】第1の実施形態の停止時における上面図。
【図8】図7の案内装置付近の拡大図。
【図9】第1の実施形態の動作を示すグラフ。
【図10】第2の実施形態の動作を示すグラフ。
【図11】第3の実施形態の動作を示すグラフ。
【図12】第4の実施形態の動作を示すグラフ。
【図13】従来のエレベータの説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 昇降路
2 ガイドレール
3 乗りかご
3a ドア
6 案内装置
7 磁石ユニット
8 ギャップセンサ
10a,10b 永久磁石
11a,11b,11c 継鉄(鉄心)
12a,12b,12c,12d コイル
21 制御装置
22 センサ部
25 演算回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごをガイドレールに対して非接触状態で案内するようにしたエレベータの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエレベータは、図13に示すごとく、ロープ105に吊された乗りかご102が昇降路104内に上下方向に敷設された一対のガイドレール103に沿って昇降する。乗りかご102は負荷荷重の不均衡や、乗客の移動により揺動するが、ガイドレール103によって案内することでこれら揺動を抑制する。
【0003】
乗りかご102の案内装置101としては、従来ではガイドレール103に接して転動する車輪とサスペンションとで構成されたローラガイド、もしくはガイドレールに対して摺動するガイドシューなどが用いられていたが、このような接触方式の案内では、ガイドレールの歪みや継目に起因する振動や騒音が車輪もしくは摺動部を介して乗りかご102内に伝達したり、ローラガイドが回転する際に発生する転動音により、エレベータの快適性を損うことがあった。
【0004】
こうした問題点を解決するために、例えば下記特許文献1に示されるように、電磁石により構成された案内装置を乗りかごに搭載し、鉄製のガイドレールに対して磁気力を作用させ、非接触で乗りかごを案内する方法が提案されている。
【0005】
これは乗りかごの四隅に配置された電磁石がガイドレールを3方向から囲んだ状態で磁石を励磁することで、ガイドレールと案内装置との間の磁気力を制御し、乗りかごをガイドレールに対して非接触に案内することを可能としたものである。
【0006】
また、特許文献2の提案では、上記方式によるエレベータの案内装置において問題となる制御性の低下及び消費電力増大を解決する手段として、案内装置に永久磁石を備える構造が提案されている。
【0007】
このように永久磁石と電磁石とを併用することにより、消費電力を抑えつつ、低剛性・長ストロークで乗りかごを案内するエレベータを提供することができる。
【特許文献1】特開平5−178563号公報
【特許文献2】特開2001−19286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の磁気力を応用した案内装置を備えたエレベータにおいては、通常乗りかごが停止した際に、例えば乗りかごの呼びがない場合、もしくはドアが開き乗客が乗降している最中も、乗りかごはガイドレールに対して非接触で案内されている。
【0009】
一般に乗りかごが走行する際には案内装置の支持剛性を低くし、ガードレールの不整や継目などの影響を乗りかごに伝達しにくい構成とした方が乗り心地が良い。磁気力を用いた案内装置を備えたエレベータについても同様で、走行中は低剛性で乗りかごを支持する方が乗り心地を良くすることができる。
【0010】
しかし、乗りかごが停止しているときにも低剛性で支持していると、乗客の乗降動作に伴って水平方向に比較的大きな荷重が加わると、乗りかごが揺れたり、案内装置がガイドレールに衝突するという問題がある。
【0011】
この点において、特許文献1においては、乗りかごの停止中の支持剛性を走行中と停止中途で切替える手法が提案されている。
【0012】
しかし、この場合でも、乗客の乗降の際に発生する可能性のある過大な荷重に対して乗りかごの揺動を止めることは困難である。また、一般に案内制御においては、支持剛性を上げると応答感度を高く設定する必要があり、電磁石のコイルを励磁する電流が増加する。その場合、消費電力が増加するという問題のほか、制御系の安定性が低下したり、構造物との共振が発生する問題を生ずる。
【0013】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的は、乗りかごが停止した際に乗りかごを高剛性で支持することができるエレベータを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、乗りかごを高剛性で支持した状態での消費電力を低減するとともに、制御系の安定性の低下と共振の発生の防止を図ったエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のエレベータは、
昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、前記ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより前記乗りかごを案内する案内装置と、
前記電磁石に励磁する電流を操作することにより前記磁気力を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記乗りかごが走行状態にあるときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して非接触状態とし、前記乗りかごが停止したときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して接触状態とするように前記磁気力を制御し、前記乗りかごが停止中に前記案内装置が前記ガイドレールを吸着固定するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエレベータによれば、乗りかごが停止したときには乗りかごがガイドレールに固定された状態で乗客が乗降動作を行うため、乗りかごが揺れたり、案内装置がガイドレールに衝突したりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の第1実施形態のエレベータの斜視図を示す。
【0018】
同図において昇降路1の内部には、鉄製で強磁性体からなる断面T字形の一対のガイドレール2が上下方向に敷設されている。
【0019】
乗りかご3は、その両側を矩形状に枠組みされたフレーム部4の内側に固定され、前面ドア3aをエレベータホール側に対面させたものであり、フレーム部4の上部に一端が連結されたロープ5によって昇降路1内に吊下げられ、ロープ巻上機などの駆動手段によって昇降路1内を昇降する。
【0020】
フレーム部4の上下四隅には各ガイドレール2に対向して案内装置6が固定され、これら案内装置6を介して乗りかご3がガイドレール2に沿って昇降可能に案内される。
【0021】
各案内装置6は、図2に示すように、磁石ユニット7と、この磁石ユニット7とガイドレール2とのx,y軸方向距離を検出する縦横一対のギャップセンサ8と、これらを支持する台座9とにより構成されている。
【0022】
磁石ユニット7は、図3に示すように、ガイドレール2を挟んでその両側に位置する一対の永久磁石10a,10bと、これら永久磁石10a、10bと一体化されて略E形に組立てられ、ガイドレール2の両側面及び端面を3方向から包囲する形で磁極を対向させた継鉄11a,11b,11cと、これら継鉄11a,11b,11cを鉄心としてその外周に巻回され、磁極部分の磁束を操作することのできる電磁石を構成するコイル12a,12b,12c,12dと、各磁極のガイドレール2に対向する面に設けた固体潤滑部材13とからなっている。
【0023】
なお、固体潤滑部材13は、磁石ユニット7がガイドレール2に接触した場合であっても摺動支持を可能とするためのものであり、例えばテフロン(登録商標)、黒鉛若しくは二硫化モリブデンを含有する材料を用いて構成される。
【0024】
この構造において、各ギャップセンサ8等によって検出された磁気回路中の状態量を元に各コイル12に励磁する電流量を演算することにより、ガイドレール2と磁石ユニット7とを接触させることなく安定して浮上案内できるようになっている。
【0025】
図4にこの非接触案内を行う制御装置の概要図を示す。制御装置21は、磁石ユニット7及びガイドレール2によって形成される磁気回路中の物理量を検出するセンサ部22と、センサ部22からの信号に基づき乗りかご3を非接触状態に案内すべく、各コイル12に印加する電圧を演算する演算回路25と、演算回路25の出力に基づいて各コイル12に電力を供給するパワーアンプ24とにより構成されており、これらで各案内装置6の吸引力を制御している。
【0026】
センサ部22は、磁石ユニット7とガイドレール2の間の空隙の大きさを検出する前述のギャップセンサ8と、各コイル12に流れる電流値を検出する電流検出器23とで構成されている。
【0027】
演算回路25は、定常状態においてコイル12の励磁電流を零に収束させることによって非接触案内制御を行っており、乗りかご3の重量及び不平衡力の大きさの如何にかかわらず永久磁石10の吸引力で乗りかご3を安定に支持する、いわゆるゼロパワー制御を行う。
【0028】
以上のようにして、ゼロパワー制御により磁気案内系が構成されることにより、乗りかご3がガイドレール2に対して非接触で安定に支持され、定常状態にあるときには、各コイル12に流れる電流は零に収束し、安定支持に必要となる力は全て永久磁石10による磁気力でまかなわれることになる。
【0029】
これは、乗りかご3の重量やバランスが変化した場合でも同様であり、乗りかご3に何らかの外乱が加えられた場合、各案内装置6とガイドレール2との間の空隙の大きさを所定の大きさにするために過渡的にコイル12に電流が流れることになるが、再度安定状態になった際には、上記制御手法を用いることにより、コイル12に流れる電流は零に収束し、そのときの乗りかご3に加わる荷重と、永久磁石10の磁気力によって発生する吸引力とが釣合う大きさの空隙が形成される。
【0030】
なお、浮上案内における磁石ユニットの構成およびゼロパワー制御の更に詳細な内容については特願2004−140763、特開2001−19286に示されている。
【0031】
通常、乗りかご3が走行している場合には、図5に示すように、案内装置6とガイドレール2との隙間が維持され、各々を接触させることなく乗りかご3を案内している。このときの案内装置6とガイドレール2との関係を図6に拡大して示す。
【0032】
乗りかご3が所定の位置で停止すると、この停止状態を受けて制御装置21はコイル12に対する励磁電流を調節し、案内装置6とガイドレール2との間の相対位置を徐々に変化させ、乗りかご3が、図7中矢印に示すごとく、乗客が乗降するドア3aの方(ホール側)に変位して、最終的に図7に示すように、案内装置6の一部がガイドレール2に接触するまで変位させる。このときの案内装置6とガイドレール2との関係を図8に拡大して示す。このようにして、案内装置6が永久磁石10の吸引力により、ガイドレール2に接触したところで、案内装置6のコイル12への励磁電流を断とする。
【0033】
これにより、電磁石による吸引力制御はなくなるため、磁石ユニット7の永久磁石10による磁気力のみが案内装置6とガイドレール2との間に作用することになる。したがって、案内装置6はコイル12に電流を励磁していない状態でもガイドレール2に吸着した状態を維持し、乗りかご3はガイドレール2に対して接触支持される。
【0034】
乗りかご3が停止している間は案内制御を施す必要はなく、また案内装置6がガイドレール2に接触しているため、コイル12を励磁しなくても乗りかご3を安定に支持することができる。
【0035】
エレベータの乗りかご3は、一般に、走行時にはガイドレール2の不整や継目などの外乱を乗りかご3に伝達しにくくするために低剛性で支持している方が乗り心地は良い一方で、停止中は乗客の乗降の際に発生する過大な荷重変動や、積荷の積降ろしなどの外乱を支持するために剛性を高くした方がよい。停止時に案内装置6をガイドレール2に対して浮上させた状態で支持剛性を高めるためには、案内装置6の応答感度を高めることになるが、その場合、従来では外乱に対する応答性を高めるために、大きな電力を必要とするとともに、ガイドレール2や乗りかご3などの機械的剛性がある程度高くなければ、非接触案内状態を安定に維持できなくなる。
【0036】
これに対し、本実施形態においては、走行中は乗りかご3をガイドレール2に対して非接触で案内することで、ガイドレール2からの外乱が大幅に軽減する。一方、停止時には、案内装置6とガイドレール2を接触させることによって、乗りかご3を強固に支持し、停止時の過大な外乱に対し、安定して乗りかご3を支持することができる。
【0037】
また、磁石ユニット7が永久磁石10を備えており、コイル12への励磁がなくてもガイドレール2との間に吸引力が作用するため、吸着状態を維持するのに電力を必要とすることはない。また、制御系の安定性が低下したり、構造物との共振が発生することもない。
【0038】
更に、乗りかご3をドア3a側に変位して停止させることにより、乗りかご3と昇降口のホールとの間の隙間を狭くすることができ、昇降路1内に物を落下させたりする危険を減らすことができる。
【0039】
加えて、乗りかご3が停止し、案内装置6の一部がガイドレール2と接触している際に、案内装置6の永久磁石10により、案内装置6とガイドレール2の間に発生する吸引力よりも大きな外乱が作用し、案内装置6とガイドレール2とが離間しようとした場合には、案内装置6とガイドレール2の相対位置の変化をギャップセンサ7で検出し、案内装置6とガイドレール2の間の吸引力を大きくするように、各コイル12に電流を励磁する。これにより、永久磁石10による吸引力よりも大きな荷重が乗りかご3に加えられた場合でも、案内装置6がガイドレール2からほとんど離れることなく、乗りかご3を支持することが可能となる。
【0040】
次に、乗りかご3の動きと案内装置6の動作について説明する。図9は、乗りかご3の走行に連動して案内装置6を操作する場合の乗りかご3の動作、ドア3aの動作、案内装置6の動作について示したものの一例である。
【0041】
上から乗りかご3の走行速度、ドア3aの開閉状態、案内装置6の浮上・吸着状態の変化を示している。なお、案内装置6の状態変化のグラフにおいて、浮上案内とは案内装置6がガイドレール2から離れて安定に非接触案内状態となったことを示しており、吸着支持とは、案内装置6の一部がガイドレール2に接触し、永久磁石10の作用で案内装置6がガイドレール2に吸着している状態を示している。
【0042】
図9の初期状態では、乗りかご3は停止しており、ドア3aは閉まっている。このとき、乗りかご3は停止中なので、案内装置6はガイドレール2に吸着した状態となっており、乗りかご3はガイドレール2に対して接触支持されている。したがって、ドア3aの開閉及び乗客の乗降による外乱に対して、高剛性で乗りかご3を支持することができる。
【0043】
時間A1の時点、すなわちドア3aが閉まったところで案内装置6の非接触案内制御を開始し、時間A2からA3までの間で徐々に浮上させ、乗りかご3が安定浮上したところで乗りかご3を走行させる。
【0044】
次に乗りかご3が目的階床に到着し、停止した時点をA5とすると、その後、A6からA7までの間で徐々に案内装置6をガイドレール1に吸着させ、案内装置6の一部がガイドレール2に接触して吸着支持状態になったところで、乗りかご3のドア3aを開く。
【0045】
このような手順で非接触案内制御を操作することにより、乗りかご3が走行するときにはガイドレール2に接触せずに案内され、停止時に乗客が乗降するときにはガイドレール2に接触しつつ強固に支持されるエレベータを提供することができるのである。
【0046】
次に、第2の実施の形態のエレベータの動作について図10を参照して説明する。第1の実施の形態と同様、図10の初期状態では乗りかご3は停止しているものとする。ここで、時間B1でドア3aが閉じた後、接触案内制御を開始し、時間B2からB4までの間で徐々に案内装置6とガイドレール2との間の空隙を広げ、乗りかご3を浮上させる。その際、案内装置6が安定浮上位置に到達する前の時間B3の時点で乗りかご3の走行を開始し、走行中に案内装置6を安定浮上位置まで移動させる。
【0047】
一方、乗りかご3が減速したところ、もしくは、目的階床に近づいたところで、まだ乗りかご3が走行している間に、案内装置6をガイドレール2に近づけ始める。そして、乗りかご3が停止した後、案内装置6をガイドレール2に吸着させ、その後ドア3aを開く。
【0048】
このような手順で走行することにより、ドア3aが閉じてから乗りかご3が走行し始めるまでの時間、及び乗りかご3が停止してからドア3aが開くまでの時間が短縮し、乗客が快適に乗降することができるようになる。
【0049】
次に、第3の実施形態のエレベータの動作について図11を参照して説明する。この実施形態では、乗りかご3が停止しており、ドア3aが閉まり始めたところ(時間C1)で浮上を開始し、ドア3aが閉まった後、乗りかご3が走行する前(時間C3)に案内装置6を安定浮上状態とし、その後乗りかご3を走行させる。一方、目的階床に到着したときには、乗りかご3が停止してから案内装置6をガイドレール2に徐々に吸着させていくと同時にドア3aを開く動作をさせる。このようにしても、ドア3aの開閉と乗りかご3の走行の間の時間を短縮することができる。
【0050】
次に、第4の実施形態のエレベータの動作について図12を参照して説明する。この実施形態では、第2、第3の実施形態の動作を複合して行い、乗りかご3が停止中、ドア3aが閉り始めたところから浮上を開始し、且つ、浮上状態の安定を待たずに時間D3の時点で乗りかご3の走行を開始する。案内装置6は、走行中の時間D4で安定浮上状態となる。一方、停止する場合は、乗りかご3の減速が始まった後、もしくは、目的階床に近づいたところで案内装置6をガイドレール2に近づけていき、乗りかご3が停止し、ドア3aが完全に開くまでの間に、案内装置6をガイドレール2に吸着させるような手順で走行する。この場合、ドア3aの開閉と乗りかご3の走行の間の時間を短縮するとともに、案内装置6の位置は、時間D1〜D4,D5〜D8と長い時間を緩やかに推移するため、吸着・浮上動作時に乗客に与える乗り心地の影響を低減させることができる。
【0051】
なお、ここでは案内の手順として4つの実施の形態を例に挙げて説明したが、それらを組合わせて運用しても差支えない。
【0052】
なお、上記の各実施形態では、磁石ユニットが永久磁石を含んでおり、案内装置がガイドレールに接触した際に永久磁石の吸引力でガイドレールを吸着固定するようにした場合について説明したが、磁石ユニットを電磁石のみで構成し、電磁石の吸引力でガイドレールを吸着固定するようにしてもよい。
【0053】
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記の各実施形態に種々の改変を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態の案内装置を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態の案内装置における磁石ユニットを示す斜視図。
【図4】第1の実施形態の制御装置を示すブロック図。
【図5】第1の実施形態の走行時における状態を示す上面図。
【図6】図5の案内装置付近の拡大図。
【図7】第1の実施形態の停止時における上面図。
【図8】図7の案内装置付近の拡大図。
【図9】第1の実施形態の動作を示すグラフ。
【図10】第2の実施形態の動作を示すグラフ。
【図11】第3の実施形態の動作を示すグラフ。
【図12】第4の実施形態の動作を示すグラフ。
【図13】従来のエレベータの説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 昇降路
2 ガイドレール
3 乗りかご
3a ドア
6 案内装置
7 磁石ユニット
8 ギャップセンサ
10a,10b 永久磁石
11a,11b,11c 継鉄(鉄心)
12a,12b,12c,12d コイル
21 制御装置
22 センサ部
25 演算回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、前記ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより前記乗りかごを案内する案内装置と、
前記電磁石に励磁する電流を操作することにより前記磁気力を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記乗りかごが走行状態にあるときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して非接触状態とし、前記乗りかごが停止したときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して接触状態とするように前記磁気力を制御し、前記乗りかごが停止中に前記案内装置が前記ガイドレールを吸着固定するようにしたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記磁石ユニットは永久磁石を含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記案内装置が前記ガイドレールを吸着した状態で前記電磁石に対する励磁電流を断つことを特徴とする請求項2記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記乗りかごが通常走行状態にあるときには前記乗りかごに作用する外力の有無に関わらず前記電磁石の励磁電流の定常値を零に収束させることを特徴とする請求項2記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止したときに、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙の一部を減少させるように前記乗りかごを徐々に変位させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記乗りかごが走行を開始するときに、前記案内装置と前記ガイドレールとの間に空隙を形成するように前記乗りかごを徐々に変位させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項7】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止位置に接近している際に、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙を減少させるように前記乗りかごを徐々に変位させ、前記乗りかごが停止した後に、前記案内装置と前記ガイドレールを接触させることを特徴とする請求項5記載のエレベータ。
【請求項8】
前記制御装置は、前記乗りかごのドアが開閉する際に、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙を増減するように前記乗りかごを徐々に変位させることで、前記案内装置と前記ガイドレールとを接触もしくは離間させることを特徴とする請求項5または6記載のエレベータ。
【請求項9】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止したときに、前記乗りかごを停止階のホール側に移動させて前記案内装置と前記ガイドレールとを接触させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項10】
前記乗りかごが停止しており、且つ前記案内装置とガイドレールとが接触しているときに、前記案内装置が前記ガイドレールから離間しようとする動作をした際に、前記制御装置は、前記案内装置と前記ガイドレールとの接触部の吸引力を増加させるように前記電磁石に電流を励磁することを特徴とする請求項1または2記載のエレベータ。
【請求項1】
昇降路内に上下方向に敷設されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って昇降する乗りかごと、
前記乗りかごに設けられ、電磁石を構成する鉄心及びコイルを含む磁石ユニットを有し、前記ガイドレールに対して空隙を介して磁気力を発生させることにより前記乗りかごを案内する案内装置と、
前記電磁石に励磁する電流を操作することにより前記磁気力を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記乗りかごが走行状態にあるときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して非接触状態とし、前記乗りかごが停止したときには前記案内装置を前記ガイドレールに対して接触状態とするように前記磁気力を制御し、前記乗りかごが停止中に前記案内装置が前記ガイドレールを吸着固定するようにしたことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記磁石ユニットは永久磁石を含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記案内装置が前記ガイドレールを吸着した状態で前記電磁石に対する励磁電流を断つことを特徴とする請求項2記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記乗りかごが通常走行状態にあるときには前記乗りかごに作用する外力の有無に関わらず前記電磁石の励磁電流の定常値を零に収束させることを特徴とする請求項2記載のエレベータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止したときに、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙の一部を減少させるように前記乗りかごを徐々に変位させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記乗りかごが走行を開始するときに、前記案内装置と前記ガイドレールとの間に空隙を形成するように前記乗りかごを徐々に変位させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項7】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止位置に接近している際に、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙を減少させるように前記乗りかごを徐々に変位させ、前記乗りかごが停止した後に、前記案内装置と前記ガイドレールを接触させることを特徴とする請求項5記載のエレベータ。
【請求項8】
前記制御装置は、前記乗りかごのドアが開閉する際に、前記案内装置と前記ガイドレールとの間の空隙を増減するように前記乗りかごを徐々に変位させることで、前記案内装置と前記ガイドレールとを接触もしくは離間させることを特徴とする請求項5または6記載のエレベータ。
【請求項9】
前記制御装置は、前記乗りかごが停止したときに、前記乗りかごを停止階のホール側に移動させて前記案内装置と前記ガイドレールとを接触させることを特徴とする請求項1記載のエレベータ。
【請求項10】
前記乗りかごが停止しており、且つ前記案内装置とガイドレールとが接触しているときに、前記案内装置が前記ガイドレールから離間しようとする動作をした際に、前記制御装置は、前記案内装置と前記ガイドレールとの接触部の吸引力を増加させるように前記電磁石に電流を励磁することを特徴とする請求項1または2記載のエレベータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−188316(P2006−188316A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−563(P2005−563)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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