説明

エンジンのバランサー装置

【課題】バランスハウジング内のオイルを排出通路から排出しても、オイルパンに貯留されているオイルの油面変動を抑制することができるエンジンのバランサー装置を提供すること。
【解決手段】バランスハウジング16には、該バランスハウジング16内に供給されたオイルを排出するための排出通路31,32が、一対のバランスシャフト21,22の径方向側と対応する位置にギヤ室27と連通して形成されている。排出通路31,32には、該排出通路31,32の出口311,321を通過するオイルの排出方向をバランスシャフト21,22の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部31a,32aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの振動を抑制するエンジンのバランサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなエンジンのバランサー装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1のエンジンのバランサー装置は、クランクシャフトが収容されるクランク室の下方に、ピストン、コネクティングロッド等の往復運動部の慣性力による振動を低減するためのバランスシャフトが配設されている。バランスシャフトは、クランク室を形成するシリンダブロックの下面に取り付けられたバランスハウジング内に収容されている。シリンダブロックの下方には、オイルを貯留するためのオイルパンが取り付けられているとともに、バランスハウジングは、オイルパン内に収容されている。このバランスハウジングの機能は、バランスシャフトとオイルパン内のオイルとの干渉を防止するためのものである。バランスシャフトは、バランスハウジングの筒状部の各軸受によって回転可能に支持されるとともに、バランスシャフトの一端は、バランスハウジングの端面より突出しており、この突出した部分にクランクシャフトからの回転駆動力を得るためのギヤが取り付けられている。バランスシャフトには、偏心したウエイト部がバランスシャフトの軸方向に設けられるとともに、ウエイト部は、バランスハウジング内に形成されるウエイト室に収納されている。ウエイト室の内周壁面は、バランスシャフトの軸方向にテーパ状に形成されるとともに、この内周壁面はウエイト室の中央を境に左右対称に形成される。そして、中央に近づくにしたがって径が大きくなるとともに、左右の内周壁面の接続部分が最大径部となる。この最大径部にクランク室と連通するオイルを排出するための排出通路が設けられている。排出通路の位置は、オイルパンに貯留されたオイルの油面の位置よりも高く設定されている。
【0003】
エンジンが起動されると、クランクシャフトの回転駆動力によってバランスシャフトがクランクシャフトの回転速度の2倍の速度で回転される。そのため、バランスシャフトの作用によって、エンジン2次慣性力が除去され、エンジンの振動が低減される。この場合、バランスハウジングの各軸受を潤滑し、ウエイト室に漏れ出たオイルは、ウエイト部の回転によって内周壁面に飛ばされ付着される。ウエイト室は、内周壁面がバランスシャフトの軸方向に左右対称なテーパ上の壁面とから構成されているので、ウエイト部の回転によって内周壁面に付着したオイルは、この内周壁面に沿って最大径部に寄せ集められる。そして、最大径部に集められたオイルは、ウエイト部の回転に伴う空気の連れ回りによって排出通路に導かれ、排出通路からクランク室に排出される。
【特許文献1】実開平2−33948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のエンジンのバランサー装置は、ウエイト室の内周壁面に形成されたオイルを排出する排出通路の向きが、オイルパンの壁面に向かって形成されているため、ウエイト部の回転に伴う空気の連れ回りによって排出通路から噴き出されるオイルが、オイルパンの壁面に直接正面衝突してしまう。そして、オイルパンの壁面に直接正面衝突したオイルが飛散し、飛散したオイルが、オイルパンに貯留されたオイルの油面へ直接落下してしまい、オイルパンに貯留されているオイルの油面変動が大きくなる。オイルの油面変動が大きいエンジンには、オイルレベルセンサの点灯タイミングの設定が困難なこと、油中の気泡が増加しやすいこと、オイルストレーナが気泡を含んだオイルを吸い込みやすいこと等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、バランスハウジング内のオイルを排出通路から排出しても、オイルパンに貯留されているオイルの油面変動を抑制することができるエンジンのバランサー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダブロックの下部にバランスハウジングが装着されるとともに、前記バランスハウジング内には、クランクシャフトの回転動力が伝達される一対のバランスシャフトが収容されるエンジンのバランサー装置であって、前記バランスハウジングには、該バランスハウジング内に供給されたオイルを排出する排出通路が形成されるとともに、前記排出通路には、該排出通路の出口を通過するオイルの排出方向を前記バランスシャフトの径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部が形成されていることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、オイルの排出通路には、該排出通路の出口を通過するオイルの排出方向をバランスシャフトの径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部が形成されていることにより、バランスハウジング内のオイルが、排出通路を介してバランスハウジングの外部へ排出する際に、バランサー装置を収容する壁面に直接正面衝突することを回避することができる。よって、バランスハウジング内から排出されたオイルが、バランサー装置を収容する壁面に直接正面衝突することでオイルが飛散し、飛散したオイルがオイルパンに貯留されているオイルの油面へ直接落下することを防止することができる。ひいては、バランスハウジング内のオイルを排出通路から排出しても、オイルパンに貯留されているオイルの油面変動を抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バランサー装置が、オイルパン内に配置されていることを要旨とする。
オイルパン内には、バランサー装置を配置する上で好適な空間を有しており、オイルパン内は、バランサー装置を収容する場所として好適である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記バランスハウジングには、前記クランクシャフトの回転動力を前記バランスシャフトへ伝達させるためのギヤを収容するギヤ室が形成されるとともに、前記排出通路は、前記ギヤ室に連通されていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、排出通路をギヤ室と連通させることによって、ギヤ室内で回転するギヤの回転により発生する遠心力を利用して、バランスハウジング内のオイルをバランスハウジングの外部へ排出することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記斜状通路部は、該斜状通路部を形成する側壁部を湾曲させて形成されていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、斜状通路部は、該斜状通路部を形成する側壁部を湾曲させて形成されていることで、排出通路内を流れるオイルが斜状通路部に沿って抵抗を受けずに流れ、バランスハウジングの外部へ排出されやすくなる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記斜状通路部は、該斜状通路部を形成する底部を降らせて形成されていることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、斜状通路部は、該斜状通路部を形成する底部を降らせて形成されていることで、バランスハウジング内のオイルがオイルパンの壁面に沿って排出されやすくなる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記バランスハウジングには、前記一対のバランスシャフトの径方向側と対応する位置に前記排出通路となる第1排出通路及び第2排出通路がそれぞれ形成されているとともに、前記第1排出通路の出口を通過するオイルの排出方向が前記バランスシャフトの一方の端部に向かうとともに、前記第2排出通路の出口を通過するオイルの排出方向が前記バランスシャフトの他方の端部に向かっていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、バランスハウジングに形成された第1排出通路及び第2排出通路から排出されるそれぞれのオイルが、オイルパンの周方向へ同じ方向に排出される。よって、第1排出通路及び第2排出通路から排出されるそれぞれのオイルが、オイルパンの周方向へ相反する方向に排出される場合と比して、オイルの流れが抵抗なく流れる。ひいては、バランスハウジングの外部へ排出したオイルは、オイルパンの壁面を伝いながらオイルパン内に貯留されたオイル内へ静かに落下することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、バランスハウジング内のオイルを排出通路から排出しても、オイルパンに貯留されているオイルの油面変動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明をエンジンのバランサー装置に具体化した第1実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0019】
図1に示すように、エンジンのシリンダブロック11内の下方には、シリンダブロック11間に支持されたクランクシャフト12が回転可能に設けられている。クランクシャフト12には、コンロッド(図示せず)を介してピストン(図示せず)が連結されている。エンジンの運転時には、ピストンの上下往復運動がコンロッドによってクランクシャフト12の回転へと変換されるようになる。また、クランクシャフト12には、駆動ギヤ13がクランクシャフト12と矢印Rの方向に一体回転可能に固定されている。
【0020】
シリンダブロック11の下方には、オイルを貯留するためのオイルパン14が取り付けられている。また、シリンダブロック11の下端には、エンジンの運転時にピストンの移動方向に働くピストンの慣性力を打ち消すためのバランサー装置15が、オイルパン14内に収容されるように固定されている。
【0021】
バランサー装置15のハウジングとしてのバランスハウジング16は、オイルパン14の壁面14aと隣接するように配置されるとともに、バランスハウジング16内には、該バランスハウジング16に互いに平行に支持される一対の第1バランスシャフト21と第2バランスシャフト22とが回転自在に収容されている。バランスハウジング16は、アルミ合金や鋳鉄等からなるとともに、複数本のボルトによりシリンダブロック11の下端に固設されている。
【0022】
第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22には、一対の第1ギヤ23と第2ギヤ24とがそれぞれ固定されている。第1ギヤ23及び第2ギヤ24は、同一の歯数を備えるとともに互いに噛合する。よって、第1バランスシャフト21と第2バランスシャフト22とが相互に反対方向に同じ速度で回転する。第1ギヤ23は矢印Pの方向に回転するとともに、第2ギヤ24は矢印Qの方向に回転する。第1ギヤ23は駆動ギヤ13に対して2倍の歯数を備えるとともに、第1ギヤ23は駆動ギヤ13と噛合する。よって、第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22は、クランクシャフト12の2倍の回転数で回転する。
【0023】
第1バランスシャフト21は第1バランスウエイト25を備えるとともに、第2バランスシャフト22は第2バランスウエイト26を備えている。第1バランスウエイト25及び第2バランスウエイト26は半円状に形成され、第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22の軸線Lに対して重心が偏心した状態となるようにバランスシャフト21,22と一体的に形成されている。したがって、バランサー装置15は、重心位置が回転中心に対して偏心した第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22を回転させることで、エンジンの二次の慣性力に起因する上下振動を抑制する。
【0024】
次にバランスハウジング16及び第1バランスシャフト21を図2,図3にしたがって説明する。なお、第2バランスシャフト22及びそれに関わるバランスハウジング16の構成は、第1バランスシャフト21及びそれに関わるバランスハウジング16の構成と概略同じであるため、その説明を省く。
【0025】
図2(a)に示すように、バランスハウジング16は、ギヤ室27及び第1ウエイト室281を有し、ギヤ室27には第1ギヤ23が収容されるとともに、第1ウエイト室281には第1バランスウエイト25が収容されている。ギヤ室27及び第1ウエイト室281は、第1バランスシャフト21を回動可能に支持する軸受部29により区画されている。第1バランスシャフト21は、第1回転軸301と第1バランスウエイト25とを有している。第1回転軸301は略円柱状に形成され軸受部29により回転可能に支持されている。第1回転軸301には、第1ギヤ23が固定されるとともに、第1回転軸301と第1ギヤ23とが一体的に回転する。なお、図2(b)に示す第2バランスシャフト22側に関わる第2ウエイト室282、第2回転軸302は、それぞれ、第1ウエイト室281、第1回転軸301の構成と概略同じであるため、その説明を省く。
【0026】
第1ウエイト室281の下部には、第1ウエイト室281からバランスハウジング16の外部へオイルを排出するための円孔状の第1排出孔28aが形成されている。第1ウエイト室281は、第1排出孔28aを介してバランスハウジング16の外部へ連通する。バランスハウジング16の下端には、第1排出孔28aを覆うフランジ状の第1排出通路18が設けられている。図2(b)に示すように、第1排出通路18は、バランスハウジング16の下端から下方に向かって延在するとともに、オイルパン14の壁面14aに向かって屈曲している。さらに、その屈曲した部分は、図3に示すように、第1排出通路18の出口181を通過するオイルの排出方向を第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部18aを有している。すなわち、第1排出通路18の出口181を通過するオイルの排出方向は、バランスシャフト21,22の軸線Lに沿う方向(以下、軸方向とする)に対して直交する方向から、バランスシャフト21,22の軸方向側に傾けた方向へ設定されている。斜状通路部18aは、第1排出通路18の出口181を通過するオイルの排出方向が、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かうとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S1(以下、オイルの排出方向S1とする)に排出されるように形成されている。
【0027】
斜状通路部18aは、オイルの排出方向S1に対して内側の側壁部18bと、該側壁部18bとバランスシャフト21,22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S1に対して外側の側壁部18cと、側壁部18bと側壁部18cとを繋ぐ底部18dとで形成され、断面凹状である。第1排出通路18の上面は、バランスハウジング16の第1排出孔28aを有した下壁面によって閉塞されている。底部18dは、側面視すると、オイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成されている。側壁部18bは、オイルの排出方向S1と平行に沿う方向に形成されるとともに、側壁部18cは、第1排出通路18の出口181に向かうにつれて、第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向するように、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かって湾曲している。
【0028】
第2ウエイト室282の下部には、第2ウエイト室282からバランスハウジング16の外部へオイルを排出するための円孔状の第2排出孔28bが形成されている。第2ウエイト室282は、第2排出孔28bを介してバランスハウジング16の外部へ連通する。バランスハウジング16の下端には、第2排出孔28bを覆うフランジ状の第2排出通路19が設けられている。図2(b)に示すように、第2排出通路19は、バランスハウジング16の下端から下方に向かって延在するとともに、オイルパン14の壁面14aに向かって屈曲している。さらに、その屈曲した部分は、図3に示すように、第2排出通路19の出口191を通過するオイルの排出方向を第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部19aを有している。すなわち、第2排出通路19の出口191を通過するオイルの排出方向は、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向から、バランスシャフト21,22の軸方向側に傾けた方向へ設定されている。斜状通路部19aは、第2排出通路19の出口191を通過するオイルの排出方向が、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かうとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S2(以下、オイルの排出方向S2とする)に排出されるように形成されている。
【0029】
斜状通路部19aは、オイルの排出方向S2に対して内側の側壁部19bと、該側壁部19bとバランスシャフト21,22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S2に対して外側の側壁部19cと、側壁部19bと側壁部19cとを繋ぐ底部19dとで形成され、断面凹状である。第2排出通路19の上面は、バランスハウジング16の第2排出孔28bを有した下壁面によって閉塞されている。底部19dは、側面視すると、オイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成されている。側壁部19bは、オイルの排出方向S2と平行に沿う方向に形成されるとともに、側壁部19cは、第2排出通路19の出口191に向かうにつれて、第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向するように、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かって湾曲している。
【0030】
図4に示すように、バランスハウジング16には、該バランスハウジング16内に供給されるオイルをバランスハウジング16の外部へ排出するための第1排出通路31及び第2排出通路32が、一対の第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22の径方向側と対応する位置に形成されている。第1排出通路31は、第1ギヤ23側のギヤ室27の側面27aからバランスハウジング16の外面16aに向かって形成されている。第2排出通路32は、第2ギヤ24側のギヤ室27の側面27bからバランスハウジング16の外面16bに向かって形成されている。よって、第1排出通路31及び第2排出通路32は、ギヤ室27と連通している。
【0031】
第1排出通路31は、第1排出通路31の出口311を通過するオイルの排出方向を第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向させる第1斜状通路部31aを有している。すなわち、第1排出通路31の出口311を通過するオイルの排出方向は、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向から、バランスシャフト21,22の軸方向側に傾けた方向へ設定されている。第1斜状通路部31aは、第1排出通路31の出口311を通過するオイルの排出方向が、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かうとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S3(以下、オイルの排出方向S3とする)に排出されるように形成されている。
【0032】
第1斜状通路部31aは、オイルの排出方向S3に対して内側の側壁部31bと、該側壁部31bと第1バランスシャフト21の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S3に対して外側の側壁部31cと、側壁部31bと側壁部31cとを繋ぐ底部31dとで形成され、断面凹状である。第1排出通路31の上面は、シリンダブロック11の下壁面によって閉塞されている。底部31dは、側面視すると、オイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成されている。側壁部31bは、オイルの排出方向S3と平行に沿う方向に形成されるとともに、側壁部31cは、第1排出通路31の出口311に向かうにつれて、第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向するように、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かって湾曲している。また、第1排出通路31の出口311におけるバランスシャフト21,22の軸方向の幅は、ギヤ室27の側面27aにおけるバランスシャフト21,22の軸方向の幅と同一である。
【0033】
第2排出通路32は、第2排出通路32の出口321を通過するオイルの排出方向を第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向させる第2斜状通路部32aを有している。すなわち、第2排出通路32の出口321を通過するオイルの排出方向は、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向から、バランスシャフト21,22の軸方向側に傾けた方向へ設定されている。第2斜状通路部32aは、第2排出通路32の出口321を通過するオイルの排出方向が、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かうとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S4(以下、オイルの排出方向S4とする)に排出されるように形成されている。
【0034】
第2斜状通路部32aは、オイルの排出方向S4に対して内側の側壁部32bと、該側壁部32bと第2バランスシャフト22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S4に対して外側の側壁部32cと、側壁部32bと側壁部32cとを繋ぐ底部32dとで形成され、断面凹状である。第2排出通路32の上面は、シリンダブロック11の下壁面によって閉塞されている。底部32dは、側面視すると、オイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成されている。側壁部32bは、オイルの排出方向S4と平行に沿う方向に形成されるとともに、側壁部32cは、第2排出通路32の出口321に向かうにつれて、第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向するように、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かって湾曲している。また、第2排出通路32の出口321におけるバランスシャフト21,22の軸方向の幅は、ギヤ室27の側面27bにおけるバランスシャフト21,22の軸方向の幅と同一である。
【0035】
次に、オイルの流れについて説明する。バランスハウジング16内に供給されたオイルは、バランスシャフト21,22及び軸受部29を潤滑した後、ギヤ室27内及びウエイト室281,282内へ流入する。ウエイト室281,282内へ流入したオイルは、バランスウエイト25,26の回転によってウエイト室281,282内の壁面に付着するとともに、排出孔28a,28bに向かって流れ出す。排出孔28a,28bに向かって流れ出したオイルは、排出孔28a,28bを介して排出通路18,19を通過するとともに、図3に示すように、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S1,S2に排出される。第1排出通路18及び第2排出通路19からバランスハウジング16の外部へ排出されたオイルは、それぞれオイルパン14の周方向へ同じ方向に螺旋状の通路を描きながら、オイルパン14の壁面14aを伝ってオイルパン14内に貯留されたオイル内へ静かに落下する。
【0036】
一方、ギヤ室27内へ流入したオイルは、ギヤ23,24の遠心力がオイルに付与されて排出通路31,32に向かってオイルが掻き出される。ギヤ23,24によって掻き出されたオイルは、図4に示すように、排出通路31,32を通過するとともに、排出通路の出口311,321を介してオイルパン14の壁面14aに対して角度θ1傾く方向S3,S4に排出される。第1排出通路31及び第2排出通路32からバランスハウジング16の外部へ排出されたオイルは、それぞれオイルパン14の周方向(図4の矢印が示す反時計回りの方向)へ同じ方向に螺旋状の通路を描きながら、オイルパン14の壁面14aを伝ってオイルパン14内に貯留されたオイル内へ静かに落下する。すなわち、ウエイト室281,282内からバランスハウジング16の外部へ排出されたオイルのそれ以降の流れと、ギヤ室27内からバランスハウジング16の外部へ排出されたオイルのそれ以降の流れとは、同一の流れ方をしている。
【0037】
第1実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)排出通路31,32は、該排出通路31,32の出口311,321を通過するオイルの排出方向S3,S4をバランスシャフト21,22に対して斜めに偏向させる斜状通路部31a,32aを有している。よって、バランスハウジング16内のオイルが、排出通路31,32を介してバランスハウジング16の外部へ排出する際に、オイルパン14の壁面14aに直接正面衝突することを回避することができる。よって、バランスハウジング16内から排出されたオイルが、オイルパン14の壁面14aに直接正面衝突することでオイルが飛散し、飛散したオイルがオイルパン14に貯留されているオイルへ直接落下することを防止することができる。ひいては、バランスハウジング16内のオイルを排出通路31,32から排出しても、オイルパン14に貯留されているオイルの油面変動を抑制することができる。
【0038】
(2)オイルパン14内には、バランサー装置15を配置する上で好適な空間を有しており、オイルパン14内は、バランサー装置15を収容する場所として好適である。
(3)排出通路31,32は、ギヤ室27とそれぞれ連通させている。よって、ギヤ室27内で回転するギヤ23,24の回転により発生する遠心力を利用して、バランスハウジング16内のオイルをバランスハウジング16の外部へ排出することができる。
【0039】
(4)斜状通路部31aを形成する側壁部31cを第1排出通路31の出口311に向かうにつれて、第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向するように、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かって湾曲させている。また、斜状通路部32aを形成する側壁部32cを第2排出通路32の出口321に向かうにつれて、第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向するように、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かって湾曲させている。よって、排出通路31,32内を流れるオイルが斜状通路部31a,32aに沿って抵抗を受けずに流れ、バランスハウジング16の外部へ排出されやすくなる。
【0040】
(5)一対の第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22の径方向側と対応する位置にそれぞれ第1排出通路31及び第2排出通路32が形成されている。そして、第1排出通路31の出口311を通過するオイルの排出方向S3が、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かっているとともに、第2排出通路32の出口321を通過するオイルの排出方向S4が、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かっている。よって、バランスハウジング16に形成された第1排出通路31及び第2排出通路32から排出されるそれぞれのオイルが、オイルパン14の周方向へ同じ方向に排出される。すなわち、第1排出通路31及び第2排出通路32から排出されるそれぞれのオイルが、オイルパン14の周方向へ相反する方向に排出される場合と比して、オイルの流れが抵抗なく流れる。ひいては、バランスハウジング16の外部へ排出したオイルは、オイルパン14の壁面14aを伝いながらオイルパン14内に貯留されたオイル内へ静かに落下することができる。
【0041】
(6)バランスハウジング16の下端に排出孔28a,28bを覆うように形成されたフランジ状の排出通路18,19を設けた。そして、排出通路18,19は、排出孔28a,28bと連通して下方に向かって延在させるとともに、オイルパン14の壁面14aに向かって屈曲させる。さらに、屈曲した部分には、排出通路18,19の出口181,191を通過するオイルの排出方向S1,S2をバランスシャフト21,22の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部18a,19aを有している。よって、ウエイト室281,282内のオイルが、排出通路18,19を介してバランスハウジング16の外部へ排出する際に、オイルパン14の壁面14aに直接正面衝突することを回避することができる。よって、バランスハウジング16内から排出されたオイルが、オイルパン14の壁面14aに直接正面衝突することでオイルが飛散し、飛散したオイルがオイルパン14に貯留されているオイルへ直接落下することを防止することができる。ひいては、バランスハウジング16内のオイルを排出通路18,19から排出しても、オイルパン14に貯留されているオイルの油面変動を抑制することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。なお、図5において、第1実施形態の図1〜図4に付した符号と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示し、その重複する説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、バランスハウジング16には、該バランスハウジング16内に供給されるオイルをバランスハウジング16の外部へ排出するための排出通路40が第1バランスシャフト21の径方向側と対応する位置に形成されている。排出通路40は、第1ギヤ23側のギヤ室27の側面27aからバランスハウジング16の外面16aに向かって形成されている。よって、排出通路40とギヤ室27とは連通している。
【0044】
排出通路40は、該排出通路40の出口401を通過するオイルの排出方向を第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部40aを有している。斜状通路部40aは、排出通路40の出口401を通過するオイルの排出方向が、オイルパン14の下方に向かうとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ2傾く方向T(以下、オイルの排出方向Tとする)に排出されるように形成されている。
【0045】
斜状通路部40aは、両側の側壁部(図示せず)と、両側の側壁部を繋ぐ底部40dとで形成され、断面凹状である。排出通路40の上面は、シリンダブロック11の下壁面によって閉塞されている。両側の側壁部は、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に互いに平行に延在している。底部40dは、側面視すると、ギヤ室27の側面27aからオイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成される水平部401dと、排出通路40の出口401に向かうにつれて、オイルパン14の下方に向かって、オイル排出方向Tと平行に沿う方向に降る傾斜部402dとから形成されている。
【0046】
第1ギヤ23によって掻き出されたオイルは、排出通路40の底部40dを降り、排出通路40の出口401を通過するとともに、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ2傾く方向Tに排出される。バランスハウジング16の外部へ排出されたオイルは、オイルパン14の壁面14aをオイルパン14の下方へ伝いながらオイルパン14内に貯留されたオイル内へ静かに落下する。なお、本実施形態では、排出通路40は、第2バランスシャフト22の径方向側と対応する位置にも形成されているが、その構成は排出通路40と概略同じであるため、その説明を省く。
【0047】
第2実施形態では、第1実施形態の(6)に対応する効果を得ることができるとともに、以下の効果を得ることができる。
(7)排出通路40は、該排出通路40の出口401を通過するオイルの排出方向を第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部40aを有している。そして、斜状通路部40aを形成する底部40dは、ギヤ室27の側面27aからオイルパン14の壁面14aと直交する方向に向かって水平に形成される水平部401dと、排出通路40の出口401に向かうにつれて、オイルパン14の下方に向かってオイル排出方向Tと平行に沿う方向に降る傾斜部402dとから形成されている。よって、排出通路40を通過するオイルはバランスハウジング16内のオイルがオイルパン14の壁面14aに沿って排出されやすくなる。
【0048】
なお、本実施形態では以下のような実施形態も可能である。
○ 第1実施形態において、側壁部31b,32b及び側壁部31c,32cを形成する向きを適宜変更してもよい。例えば、図6(a)に示すように、排出通路50は、第1実施形態におけるオイルの排出方向S4に対して内側の側壁部50aと、該側壁部50aとバランスシャフト21,22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S4に対して外側の側壁部50bとを有する。側壁部50bは、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に形成されるとともに、側壁部50aは、オイルの排出方向S4と平行に沿う方向に形成されている。すなわち、排出通路50は、該排出通路50の出口501に向かうにつれて通路の幅が広がるように形成されている。
【0049】
○ また、図6(b)に示すように、排出通路60は、第1実施形態におけるオイルの排出方向S4に対して内側の側壁部60aと、該側壁部60aとバランスシャフト21,22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S4に対して外側の側壁部60bとを有する。側壁部60bは、オイルの排出方向S4と平行に沿う方向に形成されるとともに、側壁部60aは、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に形成されている。すなわち、排出通路60は、該排出通路60の出口601に向かうにつれて通路の幅が狭くなるように形成されている。
【0050】
○ さらに、図6(c)に示すように、排出通路70は、第1実施形態におけるオイルの排出方向S4に対して内側の側壁部70aと、該側壁部70aとバランスシャフト21,22の軸方向と対向する位置に形成されるオイルの排出方向S4に対して外側の側壁部70bとを有する。側壁部70bは、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に延びるとともに、排出通路70の出口701に向かうにつれてオイルの排出方向S4と平行に沿う方向に屈曲して形成されている。また、側壁部70aも同様に、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に延びるとともに、排出通路70の出口701に向かうにつれてオイルの排出方向S4と平行に沿う方向に屈曲して形成されている。
【0051】
○ 上記各実施形態において、バランサー装置15は、オイルパン14内に配置されていなくてもよい。例えば、図7に示すように、バランサー装置15は、シリンダブロック11の下端に固定され、バランサー装置15の周りには、バランサー装置15を収容する枠体81が設けられている。枠体81は、バランサー装置15を囲むように設けられている。枠体81は、シリンダブロック11の下方に取り付けられている。枠体81の下方には、オイルパン14が取り付けられている。バランサー装置15の下端部は、枠体81とオイルパン14との取り付け面よりも上方に位置している。このような構成において、バランサー装置15に形成されたオイルを排出する排出通路の向きが、枠体81の壁面81aに向かって形成されていると、排出通路から噴き出されたオイルが、枠体81の壁面81aに直接正面衝突してしまう。そして、枠体81の壁面81aに直接正面衝突し、飛散したオイルがオイルパン14に貯留されたオイルの油面へ直接落下してしまい、オイルパン14に貯留されているオイルの油面変動が大きくなる。しかしながら、バランサー装置15に実施形態と同様な排出通路31,32を設けることによって、ギヤ室27内へ流入したオイルは、ギヤ23,24の遠心力が付与されて排出通路31,32に向かって掻き出される。ギヤ23,24によって掻き出されたオイルは、排出通路31,32を通過するとともに、排出通路の出口311,321を介して枠体81の壁面81aに対して実施形態と同様の角度θ1傾く方向S3,S4に排出される。第1排出通路31及び第2排出通路32からバランスハウジング16の外部へ排出されたオイルは、それぞれオイルパン14の周方向へ同じ方向に螺旋状の通路を描きながら、枠体81の壁面81a及びオイルパン14の壁面14aを伝ってオイルパン14内に貯留されたオイル内へ静かに落下する。
【0052】
○ 第1実施形態において、バランスハウジング16には、排出通路18,19を設けずに、排出通路31,32のみ形成するだけでもよい。
○ 第1実施形態において、バランスハウジング16の下端に設けられた排出孔28a,28bを覆うフランジ状の排出通路18,19は、斜状通路部18a,19aを設けずに、バランスシャフト21,22の軸方向に対して直交する方向に向かって設けてもよい。
【0053】
○ 第1実施形態において、側壁部31bは、第1排出通路31の出口311に向かうにつれて、第1バランスシャフト21の径方向に対して斜めに偏向するように、第1バランスシャフト21の第1ギヤ23が配置されている側の端部に向かって湾曲していてもよい。また、側壁部32bは、第2排出通路32の出口321に向かうにつれて、第2バランスシャフト22の径方向に対して斜めに偏向するように、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されていない側の端部に向かって湾曲していてもよい。
【0054】
○ 第1実施形態において、排出通路18,19,31,32の底部18d,19d,31d,32dを各排出通路18,19,31,32の出口181,191,311,321に向かうにつれて、オイルパン14の下方に向かって、降るように形成させてもよい。この場合、各底部18d,19d,31d,32dを第2実施形態におけるオイル排出方向Tと平行に沿う方向に降るように形成する。なお、各底部18d,19d,31d,32dは、水平よりも上方に昇る傾状に形成するのではなく、水平又は水平よりも下方に降る斜状に形成することが好ましい。
【0055】
○ 第1実施形態において、第2斜状通路部32aは、第2排出通路32の出口321を通過するオイルの排出方向が、第2バランスシャフト22の第2ギヤ24が配置されている側の端部に向かって排出されるように形成されていてもよい。
【0056】
○ 各実施形態において、排出通路18,19,31,32の断面形状は、凹状に限らず、例えば、円状、長孔状、楕円状、矩形状等でもよい。
○ 各実施形態において、排出通路31,32は、バランスハウジング16にドリル等で貫通形成した孔状通路でもよい。
【0057】
○ 各実施形態において、オイルの排出方向S1〜S4,Tは、オイルパン14の壁面14aに対して角度θ1,θ2傾く方向に排出したが、オイルの排出方向におけるオイルパン14に対しての角度は、バランスハウジング16に対してのオイルパン14の設置状況に応じて適宜変更してもよい。
【0058】
○ 各実施形態において、クランクシャフト12の回転を第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22に伝達する方法として、ギヤ駆動方式以外にチェーン駆動方式、ベルト駆動方式などを使用してもよい。
【0059】
○ 各実施形態において、第1バランスウエイト25及び第2バランスウエイト26は、第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22と別体に形成され、ボルト等により第1バランスシャフト21及び第2バランスシャフト22に一体回転可能に締結するようにしてもよい。
【0060】
○ 各実施形態は、各バランスシャフト21,22に各バランスウエイト25,26が一体的に一つ形成されたバランサー装置15に適用したが、各バランスシャフト21,22に二つ以上のバランスウエイトが一体的に形成されたバランサー装置に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態のエンジンの部分正面図。
【図2】(a)はバランサー装置の部分側断面図、(b)は図2(a)におけるA−A線断面図。
【図3】ウエイト室からバランスハウジングの外部へ流れるオイルの流れを示す模式図。
【図4】ギヤ室からバランスハウジングの外部へ流れるオイルの流れを示す模式図。
【図5】第2実施形態のエンジンの部分正面図。
【図6】(a)は別の実施形態の排出通路を示す図、(b)は別の実施形態の排出通路を示す図、(c)は別の実施形態の排出通路を示す図。
【図7】別の実施形態のエンジンの部分正面図。
【符号の説明】
【0062】
11…シリンダブロック、12…クランクシャフト、14…オイルパン、15…バランサー装置、16…バランスハウジング、18,19,31,32,40,50,60,70…排出通路、18a,19a,31a,32a,40a…斜状通路部、18b,18c,19b,19c,31b,31c,32b,32c,50a,50b,60a,60b,70a,70b…斜状通路部を形成する側壁部、18d,19d,31d,32d,40d…斜状通路部を形成する底部、21,22…バランスシャフト、23,24…ギヤ、27…ギヤ室、181,191,311,321,401,501,601,701…排出通路の出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックの下部にバランスハウジングが装着されるとともに、前記バランスハウジング内には、クランクシャフトの回転動力が伝達される一対のバランスシャフトが収容されるエンジンのバランサー装置であって、
前記バランスハウジングには、該バランスハウジング内に供給されたオイルを排出する排出通路が形成されるとともに、前記排出通路には、該排出通路の出口を通過するオイルの排出方向を前記バランスシャフトの径方向に対して斜めに偏向させる斜状通路部が形成されていることを特徴とするエンジンのバランサー装置。
【請求項2】
前記バランサー装置が、オイルパン内に配置されている請求項1に記載のエンジンのバランサー装置。
【請求項3】
前記バランスハウジングには、前記クランクシャフトの回転動力を前記バランスシャフトへ伝達させるためのギヤを収容するギヤ室が形成されるとともに、前記排出通路は、前記ギヤ室に連通されている請求項1又は請求項2に記載のエンジンのバランサー装置。
【請求項4】
前記斜状通路部は、該斜状通路部を形成する側壁部を湾曲させて形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のエンジンのバランサー装置。
【請求項5】
前記斜状通路部は、該斜状通路部を形成する底部を降らせて形成されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のエンジンのバランサー装置。
【請求項6】
前記バランスハウジングには、前記一対のバランスシャフトの径方向側と対応する位置に前記排出通路となる第1排出通路及び第2排出通路がそれぞれ形成されているとともに、前記第1排出通路の出口を通過するオイルの排出方向が前記バランスシャフトの一方の端部に向かうとともに、前記第2排出通路の出口を通過するオイルの排出方向が前記バランスシャフトの他方の端部に向かっている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のエンジンのバランサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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