説明

エンジンの冷却装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、エンジンの冷却装置、特にシリンダヘッドを冷却する冷却性能を向上させた多気筒エンジンの冷却装置に関する
【0002】
【従来の技術】 従来、多気筒エンジンの冷却装置においては、一般に、ラジエータ、シリンダブロック内ウォータジャケット、シリンダヘッド内ウォータジャケット、ラジエータの順に冷却水が循環させ、低温時には冷却水をサーモスタットバルブを介してバイパス通路によりラジエータをバイパスさせるように構成してある。
【0003】一方、例えば、特開昭60−125716号公報には、シリンダブロックとシリンダヘッドの温度の均一化を図るため、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間部分にブロック長手方向に延びる縦隔壁を形成し、また各縦隔壁からブロック幅方向へ延び下端に冷却水通路を有する横隔壁を形成してなるエンジンの冷却装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 従来の一般的なエンジンの冷却装置においては、シリンダブロックの冷却に供した後の昇温した冷却水がシリンダヘッド内ウォータジャケットへ供給されるため、シリンダヘッドを冷却する冷却性能を高めることが難しい。しかし、シリンダヘッドは、燃焼室に大きく臨み、排気ポートも形成されている関係上、その熱負荷はシリンダブロックよりも大きく、特にアルミ合金製シリンダヘッドの場合には熱伝導性が高いことから、排気ポートは勿論のこと吸気ポート付近の温度がかなり高くなり、その結果吸気充填効率が低下するという問題がある。
【0005】しかも、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間の狭隘部及びシリンダヘッド内ウォータジャケットの吸排気弁周辺の狭隘部では、冷却水の淀みが生じ、冷却性能が低下するという問題もある。本発明の目的は、シリンダヘッド特にその吸気ポート側の冷却性能を向上させることが出来且つ気筒間の狭隘部の冷却性能も向上し得るようなエンジンの冷却装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 請求項1に係るエンジンの冷却装置は、多気筒エンジンのシリンダヘッド内のウォータジャケットを気筒配列方向に平行に2分割して吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁を設け、シリンダブロックの隣接するシリンダライナを一体形成し、そのシリンダブロックに、その内部のウォータジャケットのうちの気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットに連通する連通孔を形成し、この連通孔を吸気ポート側ウォータジャケットに連通させる為に、前記隔壁に排気ポート側ウォータジャケット側へ膨出した湾曲部を形成したことを特徴とするものである。
【0007】請求項2に係るエンジンの冷却装置は、型の多気筒エンジンのシリンダヘッド内のウォータジャケットを気筒配列方向に平行に2分割して吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁をシリンダヘッドに設け、そのシリンダブロックに、その内部のウォータジャケットのうちの気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットに連通する連通孔を形成し、前記排気ポート側ウォータジャケットをラジエータに接続する第1通路と、前記ラジエータを吸気ポート側ウォータジャケットに接続する第2通路と、サーモスタットバルブを介して低温時に第1通路の冷却水を第2通路へバイパスさせるバイパス通路とを設け、吸気ポート側ウォータジャケットから出た冷却水をポンプで加圧してシリンダブロック内のウォータジャケットへ供給するように構成し、前記隔壁の下流側端部には吸気ポート側へ折曲した折曲部を形成して、排気ポト側ウォータジャケットの下流端部をシリンダヘッド内側部まで延ばし、排気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したことを特徴とするものである。
【0008】請求項に係るエンジンの冷却装置は、請求項に記載の冷却装置において、前記吸気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したことを特徴とするものである。
【0009】請求項に係るエンジンの冷却装置は、請求項に記載の冷却装置において、前記隔壁の折曲部の頂部に、吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとを連通する連通穴を形成したことを特徴とするものである
【0010】
【作用】 請求項1に係るエンジンの冷却装置においては、多気筒エンジンのシリンダヘッド内のウォータジャケットを気筒配列方向に平行に2分割して吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁を設け、シリンダブロックに、その内部のウォータジャケットのうちの気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットに連通する連通孔を形成したので、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間部分から連通孔を通って冷却水が吸気ポート側ウォータジャケットに流入することになる。
【0011】その結果、シリンダヘッド内ウォータジャケットの吸気ポート側ウォータジャケットの流量が増えてシリンダヘッドの吸気ポート側を冷却する冷却性能が向上するうえ、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間部分の冷却水の淀みが解消して気筒間部分の冷却性能も向上する
【0012】更に、前記シリンダブロックの隣接するシリンダライナを一体形成してあるため、気筒間部分に冷却水の淀みが発生しやすくなるが、吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁には連通孔を吸気ポート側ウォータジャケットに連通させる為に排気ポート側ウォータジャケット側へ膨出した湾曲部を形成したので、湾曲部と連通孔を介して気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットへ冷却水が流れるため、気筒間部分の冷却性能を十分に高めることが出来る。
【0013】請求項に係るエンジンの冷却装置においては、シリンダヘッド内のウォータジャケットは隔壁により、吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割され、シリンダヘッド内の排気ポート側ウォータジャケットの冷却水は第1通路からラジエータへ導入され、ラジエータで冷却された冷却水は第2通路を通ってシリンダヘッド内の吸気ポート側ウォータジャケットへ導入され、吸気ポート側ウォータジャケットから出た冷却水はポンプで加圧してシリンダブロック内のウォータジャケットへ導入される。
【0014】このように、ラジエータで冷却された冷却水が直接吸気ポート側ウォータジャケットへ導入されるため、シリンダヘッドの吸気ポート側の冷却性能が著しく向上し、これにより吸気の充填効率が向上する。更に、多気筒エンジンがV型エンジンであり、前記隔壁の下流側端部には吸気ポート側へ折曲した折曲部を形成して、排気ポート側ウォータジャケットの下流端部をシリンダヘッド内側部まで延ばし、排気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したので、排気ポート側ウォータジャケット内に空気が溜るのを防ぐことが出来、且つV型エンジンのバンク間スペース又はその付近のスペースを活用して第1通路の一部を配設できる。
【0015】請求項に係るエンジンの冷却装置においては、基本的に請求項と同様の作用が得られる。更に、前記吸気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したので、V型エンジンのバンク間スペースを活用してポンプとこのポンプが介設される冷却水通路の一部を配設できる。
【0016】請求項に係るエンジンの冷却装置においては、基本的に請求項と同様の作用が得られる。
【0017】更に、前記隔壁の折曲部の頂部に、吸気ート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとを連通する連通穴を形成したので、この連通穴から空気が流れるため最も高く位置する吸気ポート側ウォータジャケットに空気が溜まることがない
【0018】
【発明の効果】 前記作用の項で説明したように、次のような効果が得られる。請求項1に係るエンジンの冷却装置によれば、シリンダヘッド内ウォータジャケットを吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁を設け且つ前記連通孔を設けたことにより、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間部分から連通孔を通って冷却水が吸気ポート側ウォータジャケットに流入することになるから、シリンダヘッド内ウォータジャケットの吸気ポート側ウォータジャケットの流量が増えてシリンダヘッドの吸気ポート側を冷却する冷却性能が向上するうえ、シリンダブロック内ウォータジャケットの気筒間部分における冷却水の淀みが解消して気筒間部分の冷却性能も向上する
【0019】かも、前記シリンダブロックの隣接するシリンダライナが一体形成された場合にも、隔壁と、湾曲部とを設けたことにより、湾曲部と連通孔を介して気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットへ冷却水を導入して、気筒間部分の冷却性能を十分に高めることが出来る。
【0020】請求項に係るエンジンの冷却装置によれば、前記吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁と、第1通路と、第2通路とを設け、吸気ポート側ウォータジャケットから出た冷却水はポンプで加圧してシリンダブロック内のウォータジャケットへ導入するように構成したことにより、ラジエータで冷却された冷却水が直接吸気ポート側ウォータジャケットへ導入されるため、シリンダヘッドの吸気ポート側の冷却性能が著しく向上し、これにより吸気の充填効率が向上する
【0021】に、V型の多気筒エンジンにおいて隔壁の下流側端部に折曲部を形成し、排気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成することで、排気ポート側ウォータジャケット内に空気が溜るのを防ぐことが出来、且つV型エンジンのバンク間スペース又はその付近のスペースを活用して第1通路の一部を配設できる。
【0022】請求項に係るエンジンの冷却装置によれば、基本的に請求項と同様の効果が得られる。更に、吸気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したので、V型エンジンのバンク間スペースを活用してポンプとこのポンプが介設される冷却水通路の一部を配設できる。
【0023】請求項に係るエンジンの冷却装置によれば、基本的に請求項と同様の効果が得られる。更に、前記隔壁の折曲部の頂部に連通穴を形成することで、この連通穴から空気が流れるため、最も高く位置する吸気ポート側ウォータジャケットに空気が溜まることがない。
【0025】
【実施例】 以下、本発明の実施例について図面に基いて説明する。本実施例は、V型6気筒エンジンの冷却装置に本発明を適用した場合の実施例であり、図1〜図3に示すように、このエンジン1の左右の各バンク2の各々には、3つの気筒3が直列状に配設され、このエンジン1のシリンダブロック4と左右のバンク2のシリンダヘッド5は、夫々アルミ合金製のもので、各バンク2のシリンダライナ6は、サイアミーズ型のものであって鋳鉄にて一体形成されて気筒間部分には隙間が設けられていない。但し、サイアミーズ型のものにせずに各気筒3のシリンダライナを独立のものに構成してもよい。前記各バンク2においてシリンダブロック4内には、気筒3の外周側を包囲するウォータジャケット7が形成され、前記シリンダヘッド7には、各気筒3に通ずる吸気ポートや排気ポートが形成されているが、これらについては通常のシリンダヘッドと同様であり、前記吸気ポートは、各バンク2の内側部(バンク間空間8側の部分)に形成され、各バンク2において3本の吸気分岐管9はバンク間空間8に延びてシリンダヘッド5の内側面に接続され、また各バンク2においてシリンダヘッド5の外側面には3本の排気分岐管10が接続されている。
【0026】前記シリンダヘッド5内には通常のエンジンのシリンダベットと同様の複雑な形状のウォータジャケット11が形成されているが、以下に説明する隔壁14を設けた点と冷却水の循環方式において通常のシリンダヘッドのウォータジャケットと異なっている。前記シリンダヘッド5内のウォータジャケット11は、模式的に図示すると図1に示すように構成され、前記各シリンダヘッド5にはその内部のウォータジャケット11を吸気ポート側ウォータジャケット12と排気ポート側ウォータジャケット13とに分割するシリンダ配列方向に延びる隔壁14が設けられ、その隔壁14のうち気筒間部に対応するする部分には排気ポート側ウォータジャケット13側へU字状に膨出した湾曲部15が設けられ、また隔壁14のうちの後端部には排気ポート側ウォータジャケット13をシリンダヘッド5の内側部まで延ばす為にバンク間空間8の方向へ直角に折曲された折曲隔壁部16が設けられ、排気ポート側ウォータジャケット13の後端(下流端)はシリンダヘッド5の内側部に達している。
【0027】更に、各バンク2においてシリンダブロック4内ウォータジャケット7から排気ポート側ウォータジャケット13へ冷却水を導入するための複数の連通孔17がシリンダブロック4とシリンダヘッド5とに形成され、またシリンダブロック4のウォータジャケット7のうちの各気筒間部から吸気ポート側ウォータジャケット12へ冷却水を導入する為の連通孔18が形成されている。更に、各シリンダヘッド5の前端部には吸気ポート側ウォータジャケット12へ冷却水を導入する為の冷却水入口19が形成され、また前記各折曲隔壁部16の前側近くにおいて各シリンダヘッド5の内側部には吸気ポート側ウォータジャケット12内の冷却水をポンプ21へ取り出す為の冷却水出口20が形成され、各折曲隔壁部16の頂部(最内側部分の最も高い部位)には空気を排出する為の連通穴22が形成されている。そして、各シリンダヘッド5の内側部後端には、排気ポート側ウォータジャケット13から冷却水を導出する為の冷却水出口23が形成されている。また、各バンク2においてシリンダブロックにはウォータジャケット7内へ冷却水を導入する冷却水入口24が設けられている。
【0028】前記エンジン1の前側には、ラジエータ25が配設され、前記左右バンク2の排気ポート側ウォータジャケット13の冷却水出口23からラジエータ25のアッパタンクへ冷却水を導く第1通路26と、ラジエータ25のロアタンクから左右バンク2の吸気ポート側ウォータジャケット12の冷却水入口19へ冷却水を導く第2通路27と、左右バンク2の吸気ポート側ウォータジャケット13の冷却水出口20から左右バンク2のシリンダブロック内ウォータジャケット7へ冷却水を導く第3通路28と、第1通路26から分岐して第2通路27に介設されたサーモスタットバルブ29に連通し、低温時に第1通路26の冷却水をラジエータ25をバイパスして第2通路27へ導くバイパス通路30とが設けられ、第3通路28の合流部にはポンプ21が介設されている。
【0029】次に、以上説明したエンジンの冷却装置の作用について説明する。先ず、冷却水の循環について説明すると、ラジエータ25で冷却された冷却水は、そのロアタンクから第2通路27により両バンク2の吸気ート側ウォータジャケット12へ導入され、シリンダヘッド5の吸気ポート側部分を冷却した後冷却水は第3通路28のポンプ21で加圧され第3通路28によりシリンダブロック4内の両ウォータジャケット7内へ導入され、シリンダブロック4を冷却した後大部分の冷却水は複数の連通孔17から両排気ポート側ウォータジャケット13内へ導入されてシリンダヘッド5の排気ポート側部分を冷却した後第1通路26によりラジエータ25へ送られることになる。そして、シリンダブロック4内ウォータジャケット7の冷却水の一部は、気筒間部の連通孔18から吸気ポート側ウォータジャケット12内へ導入されることになる。
【0030】ここで、シリンダブロック4内のウォータジャケット7のうちの気筒間部の冷却水が連通孔18から吸気ポート側ウォータジャケット12内へ流れるため、ウォータジャケット7の気筒間部に冷却水が淀むことなく流れるので、気筒間部の冷却性能が向上し、しかも、連通孔18から吸気ポート側ウォータジャケット12内へ導入される冷却水によりその冷却水の流量が増して流速が大きくなるからシリンダヘッド5の吸気ポート側部分を冷却する冷却性能が高くなる。ラジエータ25で冷却された冷却水は直接両バンク2の吸気ポート側ウォータジャケット12へ導入されるため、温度の低い冷却水でもってシリンダヘッド5の吸気ポート側部分を強力に冷却することが出来るから吸気ポート側部分を冷却する冷却性能が飛躍的に向上し、循環する冷却水の全量が両吸気ポート側ウォータジャケット12内を流れるため流速が高くなる分冷却性能が向上する。従って、吸気の充填効率を高めることが出来る。
【0031】排気ポート側ウォータジャケット13においても、循環する冷却水の全量が両排気ポート側ウォータジャケット13内を流れるため流速が高くなる分冷却性能が向上する。但し、シリンダヘッド5の排気ポート側部分を冷却する冷却性能を一層高めることが必要である場合には、第2通路27の冷却水の一部をウォータジャケット13へ導入させる通路を設けることも考えられる。前記折曲隔壁部16の頂部に連通穴22を形成したため、エンジン1において最も高い部位である吸気ポート側ウォータジャケット12内の空気が吸気ポート側ウォータジャケット12の頂部に溜まることなく排気ポート側ウォータジャケット13の下流端部の冷却水流にのって確実に排出される。
【0032】吸気ポート側ウォータジャケット12の冷却水出口20をシリンダヘッド5の内側部に設けるため、ポンプ21や第3通路28の接続フランジ部などをバンク間空間8を有効活用して配設でき、また排気ポート側ウォータジャケット13の冷却水出口23をシリンダヘッド5の内側部後端部に設けるため、第1通路26の一部やその接続フランジ部などをバンク間空間8又はその付近の空間を活用して配設できる。但し、排気ポート側ウォータジャケット13の冷却水出口23をシリンダヘッド5の内側部内面側に形成することも有り得る。
【0033】次に、エンジンの冷却装置の別実施例について説明する。但し、前記実施例と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。図5に図示のように、シリンダブロック4内にはウォータジャケット7が設けられ、シリンダヘッド5内のウォータジャケット11は、前記と略同様の隔壁14Aにより吸気ポート側ウォータジャケット12Aと排気ポート側ウォータジャケット13Aとに分割され、隔壁14Aの前記折曲隔壁部16は設けられておらず、吸気ポート側ウォータジャケット12Aの下流端に排気ポート側ウォータジャケット13Aの上流端が接続され、前記連通孔17は設けられておらず、吸気ポート側ウォータジャケット12Aからウォータジャケット7の気筒間部に冷却水を供給する連通孔18A(これらは、前記連通孔18と同様のものであるが、冷却水の流れの方向が逆になっている)が設けられている。
【0034】更に、各バンク2において、吸気ポート側ウォータジャケット12Aへ冷却水を導入する為の冷却水入口19Aががシリンダヘッド5の内側部前端に設けられ、また排気ポート側ウォータジャケット13Aから冷却水を取り出す冷却水出口23Aがシリンダヘッド5の前端部に設けられ、各バンク2において、シリンダブロック4のウォータジャケット7から冷却水を取り出す冷却水出口43がシリンダブロック4の後端部に設けられ、ラジエータ25のロアタンクから両バンク2の吸気ポート側ウォータジャケット12Aへ冷却水を導入する第1冷却水通路40が設けられ、この第1冷却水通路40にはポンプ21Aが介設されている。更に、各バンク2において、排気ポート側ウォータジャケット13Aからシリンダブロック4内のウォータジャケット7へ冷却水を導入する第2冷却水通路41が設けられ、両バンク2のウォータジャケット7からラジエータ25へ冷却水を導く第3冷却水通路42が設けられている。
【0035】以上説明したエンジンの冷却装置の作用について説明する。ラジエータ25で冷却された冷却水は、第1冷却水通路40のポンプ21Aで加圧され第1冷却水通路40により両バンク2の吸気ポート側ウォータジャケット12Aへ圧送され、最初にシリンダヘッド5の吸気ポート側部分を冷却してから排気ポート側ウォータジャケット13Aへ圧送され、シリンダヘッド5の排気ポート側部分を冷却してから第2冷却水通路41によりウォータジャケット7内へ圧送され、シリンダブロック4を冷却してから、第3冷却水通路42によりラジエータ25のアッパタンクへ圧送され、ラジエータ25で冷却されてから、再びポンプ21Aにより加圧圧送される。この実施例の冷却装置では、ラジエータ25で冷却した冷却水を最初に吸気ポート側ウォータジャケット12Aへ圧送してシリンダヘッド5の吸気ポート側部分を冷却するため、この吸気ポート側部分を十分に冷却して吸気充填効率を向上させることが出来る。次に、その冷却水を排気ポート側ウォータジャケット13Aへ圧送するため、比較的低温の冷却水でシリンダヘッド5の排気ポート側部分を十分に冷却することが出来る。
【0036】シリンダブロック4については、冷却水入口24から流入した冷却水がウォータジャケット7の両側を略均等に流れて冷却水出口43から取り出されるため、シリンダブロック4が全体に亙って一様に冷却される。しかも、吸気ポート側ウォータジャケット12A内の低温の冷却水の一部は、連通孔18Aからウォータジャケット7の気筒間部に流れるためウォータジャケット7のうちの気筒間部に低温の冷却水が供給されて冷却水の流れが確保されるため、気筒間部の冷却が十分に促進されることになる。尚、本実施例においても、シリンダライナ6がサイアミーズ型のものであるが、これに限らず気筒毎に独立型のものでもよい。尚、前記実施例は、V型多気筒エンジンの冷却装置に本発明を適用した場合の例であるが、これに限らず直列多気筒エンジンにも本発明を適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るエンジンの冷却装置の構成図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】別実施例に係るエンジンの冷却装置の構成図である。
【符号の説明】
1 V型エンジン
4 シリンダブロック
5 シリンダヘッド
7 シリンダブロック内のウォータジャケット
11 シリンダヘッド内のウォータジャケット
12 吸気ポート側ウォータジャケット
13 排気ポート側ウォータジャケット
14 隔壁
16 折曲隔壁部
18 連通孔
20 冷却水出口
21 ポンプ
21A ポンプ
22 連通穴
23 冷却水出口
25 ラジエータ
26 第1通路
27 第2通路
28 第3通路
29 サーモスタットバルブ
30 バイパス通路
40 第1冷却水通路
41 第2冷却水通路
42 第3冷却水通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多気筒エンジンのシリンダヘッド内のウォータジャケットを気筒配列方向に平行に2分割して吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁を設け、シリンダブロックの隣接するシリンダライナを一体形成し、そのシリンダブロックに、その内部のウォータジャケットのうちの気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットに連通する連通孔を形成しこの連通孔を吸気ポート側ウォータジャケットに連通させる為に、前記隔壁に排気ポート側ウォータジャケット側へ膨出した湾曲部を形成したことを特徴とするエンジンの冷却装置。
【請求項2】 V型の多気筒エンジンのシリンダヘッド内のウォータジャケットを気筒配列方向に平行に2分割して吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとに分割する隔壁をシリンダヘッドに設け、そのシリンダブロックに、その内部のウォータジャケットのうちの気筒間部分から吸気ポート側ウォータジャケットに連通する連通孔を形成し、前記排気ポート側ウォータジャケットをラジエータに接続する第1通路と、前記ラジエータを吸気ポート側ウォータジャケットに接続する第2通路と、サーモスタットバルブを介して低温時に第1通路の冷却水を第2通路へバイパスさせるバイパス通路とを設け、吸気ポート側ウォータジャケットから出た冷却水をポンプで加圧してシリンダブロック内のウォータジャケットへ供給するように構成し、前記隔壁の下流側端部には吸気ポート側へ折曲した折曲部を形成して、排気ポート側ウォータジャケットの下流端部をシリンダヘッド内側部まで延ばし、排気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したことを特徴とするエンジンの冷却装置。
【請求項3】 前記吸気ポート側ウォータジャケットの下流端の冷却水出口をシリンダヘッド内側部に形成したことを特徴とする請求項に記載のエンジンの冷却装置。
【請求項4】 前記隔壁の折曲部の頂部に、吸気ポート側ウォータジャケットと排気ポート側ウォータジャケットとを連通する連通穴を形成したことを特徴とする請求項に記載のエンジンの冷却装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3132858号(P3132858)
【登録日】平成12年11月24日(2000.11.24)
【発行日】平成13年2月5日(2001.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−276860
【出願日】平成3年9月26日(1991.9.26)
【公開番号】特開平5−86968
【公開日】平成5年4月6日(1993.4.6)
【審査請求日】平成10年7月30日(1998.7.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【参考文献】
【文献】特開 昭60−125716(JP,A)
【文献】実開 昭63−108512(JP,U)
【文献】実開 昭60−153818(JP,U)
【文献】実開 昭64−46462(JP,U)
【文献】実開 平2−63052(JP,U)
【文献】実開 平2−18616(JP,U)