説明

エンジンの燃料供給装置

【課題】吸気ポートに連なる吸気路を有するボディに、スロットル弁が軸支されるとともに燃料噴射弁が取付けられるスロットルボディに、燃料噴射弁に燃料を供給する電動式の燃料ポンプが付設されるエンジンの燃料供給装置において、燃料通路構造を単純化するとともに各部品の組付け性を高め、振動等によって発生する負荷に対する強度タフネスを高め、燃料ポンプの容量変更の際にスロットルボディ側の変燃料ポンプの容量変更の際にスロットルボディ側の変更を不要とする。
【解決手段】ボディ7とは別体にして該ボディ7に結合されるベース部材15に、該ベース部材15へのボディ7の結合方向と同一側から燃料ポンプ13が組み付けられるとともに、該燃料ポンプ13からの燃料を燃料噴射弁側に導く燃料通路36が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気路を有するボディと、前記吸気路を開閉するようにして前記ボディに軸支されるスロットル弁と、前記吸気路に燃料を噴射するようにして前記ボディに取付けられる燃料噴射弁とを備えるスロットルボディに、前記燃料噴射弁に燃料を供給する電動式の燃料ポンプが付設されるエンジンの燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなエンジンの燃料供給装置は、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−105987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されるエンジンの燃料供給装置では、スロットルボディのボディに一体に形成される有底の収納筒部と、該収納筒部の開口端を塞ぐ蓋部材とで、燃料ポンプを収納するポンプ収納ケースが構成されており、燃料ポンプの組付け性が優れているとは言い難く、燃料ポンプおよび燃料噴射弁間を結ぶ燃料通路の構成が複雑であり、燃料ポンプ容量を変更する場合には、スロットルボディ全体を交換する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料通路構造を単純化するとともに各部品の組付け性を高め、振動等によって発生する負荷に対する強度タフネスを高め、燃料ポンプの容量変更の際にスロットルボディ側の変更を不要としたエンジンの燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンの吸気ポートに連なる吸気路を有するボディと、前記吸気路を開閉するようにして前記ボディに軸支されるスロットル弁と、前記吸気路に燃料を噴射するようにして前記ボディに取付けられる燃料噴射弁とを備えるスロットルボディに、前記燃料噴射弁に燃料を供給する電動式の燃料ポンプが付設されるエンジンの燃料供給装置において、前記ボディとは別体にして該ボディに結合されるベース部材に、該ベース部材への前記ボディの結合方向と同一側から前記燃料ポンプが組み付けられるとともに、該燃料ポンプからの燃料を前記燃料噴射弁側に導く燃料通路が形成されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ベース部材の一端部に、前記燃料ポンプの少なくとも一部を収納する有底の収納筒部が一体に形成されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記ベース部材に取付けられるECU基板と、前記燃料ポンプとを電気的に接続するバスバーが、型成形される合成樹脂製の前記ベース部材にインサート結合されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、型成形される前記ベース部材の前記収納筒部とは反対側の他端部に開口される前記燃料通路が前記ベース部材の型成形時に同時に形成され、該燃料通路の開口部が、蓋部材で液密に閉じられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、相互に結合される前記ボディおよび前記ベース部材の結合面間に、前記燃料噴射弁に接続されるようにして前記ボディに形成されるボディ側燃料通路および前記燃料通路間を結ぶ中継室が形成されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記ボディ側燃料通路が、前記ボディへの前記燃料噴射弁の取付け方向と同一方向に延びるようにして前記ボディに形成されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記ボディおよび前記ベース部材が、ともに合成樹脂によって形成されるとともに相互に溶着されることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記燃料通路が、前記バスバーの側方で前記ECU基板および前記ボディ間を通るように配置されることを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、スロットルボディおよび燃料ポンプをベース部材の一側に配置するようにしてコンパクトな構成とすることができるとともに、組立が簡単であり、ベース部材の一側に配置されたスロットルボディおよび燃料ポンプをベース部材で支持するようにして振動に強いレイアウトとすることができる。しかも燃料ポンプからの燃料を燃料噴射弁側に導く燃料通路がベース部材に形成されるので、燃料通路を簡単に形成して燃料通路構造を単純化することができる。また燃料通路の内壁面がリブに機能を果たし、ベース部材の強度を高めることができる。さらに燃料ポンプの容量変更時にはベース部材側のサイズ変更で対処することが可能であり、スロットルボディ側の変更が不要となる。
【0015】
また本発明の第2の特徴によれば、ベース部材の一端部に一体に形成される有底の収納筒部に燃料ポンプの少なくとも一部が収納されるので、収納筒部のベース部材への連設部の強度を高めるとともに、燃料ポンプを保護することができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、型成形される合成樹脂製のベース部材にはECU基板が取付けられており、そのECU基板および燃料ポンプを電気的に接続するバスバーがベース部材にインサート結合されるので、燃料ポンプのECU基板への電気的接続が容易となるとともに、収納筒部のベース部材への連設部の強度をバスバーでより高めることができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、型成形されるベース部材には、収納筒部とは反対側の他端部に開口されるようにして燃料通路が型成形時に同時に形成され、該燃料通路の開口部が蓋部材で液密に閉じられるので、燃料通路を極めて容易に形成することができ、燃料通路の開口端が収納筒部側に配置されることがないので、収納筒部のベース部材への連設部の強度向上に寄与することができる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、ボディおよびベース部材の結合面間に、燃料噴射弁に接続されるボディ側燃料通路および燃料通路間を結ぶ中継室が形成されるので、ベース部材およびボディ以外の他の場所に中継室を設けることを不要として、レイアウト上有利となるようにして中継室を容易に形成することができるだけでなく、コストの低減を図ることができる。
【0019】
本発明の第6の特徴によれば、ボディに、中継室に通じるボディ側燃料通路がボディへの燃料噴射弁の取付け方向と同一方向に延びるように形成されるので、ボディ側燃料通路を成形もしくは加工で容易に形成することができ、ボディ側燃料通路および燃料噴射弁間を結ぶ燃料配管の接続作業が容易となる。また中継室に通じる位置であれば任意の位置にボディ側燃料通路を配置することができ、燃料配管を、その形状設定を容易としつつ小型化することができる。さらにボディの一部を燃料が流通するようにしてボディの冷却に寄与することができる。
【0020】
本発明の第7の特徴によれば、ボディおよびベース部材が相互に溶着されるので、締結部材等を不要として部品点数を少なくしてコスト低減を図ることができるとともに、中継室を容易に形成するようにしつつボディおよびベース部材の結合部の強度を高めることができる。
【0021】
さらに本発明の第8の特徴によれば、燃料通路が、バスバーの側方でECU基板およびボディ間を通るので、燃料通路を流通する燃料でバスバーおよびECU基板を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンの燃料供給装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1の2矢視側面図である。
【図3】エンジンの燃料供給装置の分解斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図1〜図4を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、たとえば自動二輪車用のエンジンの吸気系に設けられるスロットルボディ5は、エンジンの吸気ポート(図示せず)に連なる吸気路6を有する合成樹脂製のボディ7と、その吸気路6を開閉するようにして前記ボディ7に軸支されるバタフライ形のスロットル弁8と、前記スロットル弁8よりも下流側で前記吸気路6に燃料を噴射するようにして前記ボディ7に取付けられる燃料噴射弁9とを備える。
【0024】
前記スロットル弁8は、前記吸気路6を横切るようにして前記ボディ7に回動自在に軸支される弁軸10に固定されており、前記スロットルボディ5の一側方に突出した前記弁軸10の一端部には、図示しないワイヤが巻き掛け、連結されるスロットルドラム11が固定される。またスロットルドラム11に代えて、図1に鎖線で示すように、電動モータ等を含むアクチュエータ12を前記弁軸10の一端部に連結するようにしてもよい。
【0025】
図3および図4を併せて参照して、前記スロットルボディ5には、前記燃料噴射弁9に燃料を供給する電動式の燃料ポンプ13が付設されるものであり、この燃料ポンプ13は、ポンプ収納ケース14に収納される。ところで前記スロットルボディ5のボディ7には、ベース部材15が一体的に連結されるものであり、この実施の形態では、前記ボディ7とは別体である合成樹脂製のベース部材15が前記ボディ7に結合される。このベース部材15は、前記スロットルドラム11とは反対側で上下に延びるベース部15aを有して型成形され、前記ポンプ収納ケース14は、前記ベース部材15への前記ボディ7の結合方向と同一側、すなわちベース部材15に対して前記スロットルボディ5と同一側に配置されるようにして前記ベース部材15の一側下部に連設される。
【0026】
前記ベース部材15は、前記ベース部15aと、前記燃料ポンプ13の少なくとも一部を収納する収納筒部15bとを一体に有するものであり、前記収納筒部15bは、前記ベース部15aの下部に連なる端壁15cを一端側に有して有底筒状、この実施の形態では有底円筒状に形成される。また前記収納筒部15b内に二重円筒状に配置される円筒状のポンプ保持筒部17が前記端壁15cに一体に連設される。而して前記燃料ポンプ13のポンプケース16は、その一端部に有する吐出管部19を前記端壁15cに設けられる接続筒部21に液密に嵌合せしめるようにして、前記ポンプ保持筒部17に挿入されるものであり、ポンプ保持筒部17の前記ベース部15aとは反対側の端部にキャップ18を係脱可能に係合することで、前記燃料ポンプ13が、前記吐出管部19の先端の吐出口20を前記ベース部15a側に向けて前記ベース部15aの一側下部に一体に連設された前記収納筒部15bに組み付けられることになる。
【0027】
前記キャップ18は前記ポンプケース16の他端に当接するものであり、前記ポンプケース16の他端に設けられるとともに先端開口部を吸入口23とした吸入管部22を液密に嵌合せしめる接続管24が前記キャップ18に設けられ、その接続管24はフィルタ25に接続される。
【0028】
前記ポンプ収納ケース14は、前記ベース部材15におけるベース部15aの一側下部に支持される前記燃料ポンプ13を収納するとともに該燃料ポンプ13で吸入する燃料を貯留する燃料貯留室26を形成するものであり、前記収納筒部15bと、該収納筒部15bに環状のシール部材28を介して結合される収納カバー27とで構成され、前記収納カバー27は、前記ベース部材15とは反対側を閉じた有底筒状、この実施の形態では有底円筒状に形成される。
【0029】
前記収納筒部15bの開口端部および前記収納カバー27の開口端部は、二重筒状となるようにして相互に嵌合されるものであり、この実施の形態では、収納筒部15bの開口端部内に収納カバー27の開口端部が嵌合され、その嵌合部で収納筒部15bおよび収納カバー27間に環状の前記シール部材28が介装される。
【0030】
而して前記収納筒部15bには、周方向に間隔をあけた複数箇所で前記収納筒部15bの開口端から突出する突部29,29…が一体に設けられており、それらの突部29,29…にそれぞれ設けられた係合孔30,30…に、前記収納カバー27の外周面の複数箇所に突設された係合突起31,31…が係合され、それによって収納筒部15bおよび収納カバー27が相互に結合されてポンプ収納ケース14が構成される。
【0031】
しかもポンプ収納ケース14と、該ポンプ収納ケース14内にフィルタ25とともに収納される燃料ポンプ13とは、前記ベース部材15のベース部15aに一体に設けられる前記端壁15c側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜した姿勢となり、ポンプ収納ケース14の上部側壁14aも、前記端壁15c側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜する。
【0032】
前記ポンプ収納ケース14における収納カバー27の前記ベース部材15とは反対側端部の上部には上方に延びる燃料入口管33が設けられており、スロットルボディ5よりも高所に配置される燃料タンク34内の底部から燃料を導く燃料供給管35が前記燃料入口管33に接続される。
【0033】
ところで前記燃料噴射弁9は、前記ポンプ収納ケース14との間に前記吸気路6を挟む位置で前記ボディ7に取付けられており、前記スロットルドラム11もしくは前記アクチュエータ12は、前記スロットル弁8の回動軸線および前記吸気路6の中心軸線と直交する方向(図1の上下方向)での投影図上では前記ポンプ収納ケース14に少なくとも一部が重なるようにしつつ前記吸気路6を前記ベース部材15のベース部15aとの間に挟む位置に配置される。
【0034】
前記ベース部材15のベース部15aには、前記燃料ポンプ13からの燃料を導く燃料通路36が上下に延びるようにして形成されるものであり、この燃料通路36は、前記収納筒部15bとは反対側の前記ベース部15aの端部すなわち前記ベース部15aの上端部に開口するようにして前記ベース部材15の型成形時に同時に形成されるものであり、この燃料通路36の開口部は、前記ベース部15aの上端部に圧入される蓋部材37で液密に閉じられる。また前記燃料ポンプ13がその一端部に有する吐出管部19は、図4で示すように、前記ベース部15aの下部に一体に形成される前記端壁15cに設けられる接続筒部21に前記ベース部15aの一側から液密に嵌合されており、前記吐出管部19の先端の吐出口20は前記ベース部15aの一側から前記燃料通路36の下端部に連通される。
【0035】
ところで前記ボディ7および前記ベース部材15は溶着によって結合されるものであり、ボディ7およびベース部材15の結合面間には、前記燃料通路36と、前記ボディ7側に設けられるボディ側燃料通路38(図3参照)間を接続する中継室39が形成されるものであり、この中継室39は、前記ボディ7の前記ベース部材15側に臨む面に設けられる凹部40と、前記ボディ7部材の前記ボディ7側に臨む面に設けられる凹部41との協働で形成される。
【0036】
前記ボディ側燃料通路38は、前記ボディ7への前記燃料噴射弁9と略同一方向で前記ボディ7に形成されており、平行に配置される管路部42a,42bを両端部に有する燃料配管42の両端部が、前記ボディ側燃料通路38および前記燃料噴射弁9間を結ぶようにして前記ボディ7および前記燃料噴射弁9に接続される。
【0037】
前記ベース部材15の前記スロットルボディ5とは反対側に臨む部分には、収納凹部43が形成されており、前記燃料ポンプ13の作動を制御するECUが配設されるECU基板44が前記ボディ7部材に取付けられるようにして前記収納凹部43に収納される。
【0038】
しかも前記ベース部材15におけるベース部15aの下部すなわち収納筒部15bの端壁15cには、前記ECU基板44および前記燃料ポンプ13を電気的に接続するバスバー45が、前記ベース部材15の型成形時にインサート結合される。
【0039】
而して前記燃料通路36は、前記バスバー45の側方で前記ECU基板44および前記ボディ7間を通るようにして前記ベース部材15のベース部15aに形成される。
【0040】
また前記ベース部15aの上部には、前記燃料配管42側に突出するターミナル支持部47が一体に突設されており、前記ECU基板44に連なる複数のターミナル46,46…が、前記ターミナル支持部47から突出するようにして、前記ベース部材15の型成形時にインサート結合される。
【0041】
前記ベース部材15のベース部15aには、前記燃料貯留室26で生じたベーパーを排出するベーパー排出路48が、前記燃料貯留室26内の上部に通じて上下に延びるようにして形成される。このベーパー排出路48は、前記ベース部材15の型成形時に同時に形成されるものであり、このベーパー排出路48の上端に連なるようにして前記ベース部15aの上端部に設けられる戻り管49が、戻り管路50を介して前記燃料タンク34の底部に接続される。
【0042】
また前記燃料貯留室26内の上部を前記ベーパー排出路48の下部に通じさせる通路51(図4参照)が、水平もしくは前記ベーパー排出路48側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜して、収納筒部15bの前記端壁15cに設けられる。
【0043】
ところで前記燃料ポンプ13から吐出される燃料圧を調整するレギュレータ52が、前記ベーパー排出路48をリターン通路として利用すべく、前記燃料ポンプ13の吐出口20および前記燃料貯留室26間に介在するようにして前記端壁15cに配設されるものであり、このレギュレータ52は前記燃料ポンプ13の吐出口20よりも上方に配置され、前記燃料ポンプ13の吸入口23すなわち前記吸入管部22の開口端は前記吐出口20よりも下方に配置される。
【0044】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、スロットルボディ5のボディ7にはベース部材15が一体的に連結されており、そのベース部材15の一側に、前記ボディ7と同一側に配置されるポンプ収納ケース14が、燃料貯留室26を形成するようにして連設され、ベース部材15に前記一側から組み付けられる燃料ポンプ13が、その吐出口20をベース部材15側に向けてポンプ収納ケース14に収納されるので、スロットルボディ5および燃料ポンプ13をベース部材15の一側に配置するようにしてコンパクトな構成とすることができるとともに、組立が簡単であり、ベース部材15の一側に配置されたスロットルボディ5および燃料ポンプ13をベース部材15で支持するようにして振動に強いレイアウトとすることができる。
【0045】
しかも前記ボディ7とは別体である前記ベース部材15が前記ボディ7に結合されるので、燃料ポンプ13の容量変更時にはベース部材15側のサイズ変更で対処することが可能であり、スロットルボディ5側の変更が不要となる。また燃料ポンプ13を予め組み付けた状態のベース部材15をスロットルボディ5のボディに組み付け得るようにして燃料ポンプの組付け性を高めることができる。
【0046】
またベース部材15は、前記スロットルボディ5の側方で上下に延びるベース部15aを一体に有しており、このベース部材15には、前記ベース部15aの下部に連なる端壁15cを一端側に有する有底円筒状の収納筒部15bが、前記ポンプ収納ケース14の一部を構成するとともに前記燃料ポンプ13の少なくとも一部を収納しつつ該燃料ポンプ13を支持するようにして一体に形成されるので、収納筒部15bのベース部材15への連設部の強度を高めるとともに、燃料ポンプ13を保護するようにして収納筒部15b内への燃料ポンプ13の挿入、または収納および固定構造を容易とすることができる。
【0047】
また収納筒部15b内に二重円筒状に配置される円筒状のポンプ保持筒部17が前記端壁15cに一体に連設され、前記燃料ポンプ13のポンプケース16が、その一端部に有する吐出管部19を前記端壁15cに設けられる接続筒部21に液密に嵌合せしめるようにして、前記ポンプ保持筒部17に挿入されるので、収納筒部15bのベース部材15への連設部の強度をさらに高めることができ、ポンプ収納ケース14内への燃料ポンプ13の収納、固定を容易とすることができ、燃料ポンプ13の軸方向長さを変更したい場合にベース部材15を変更する必要がない。
【0048】
またポンプ保持筒部17の前記ベース部15aとは反対側の端部にキャップ18を係脱可能に係合することで、前記燃料ポンプ13が、吐出管部19の先端の吐出口20を前記ベース部15a側に向けて前記ベース部15aの一側下部に一体に連設された前記収納筒部15bに組み付けられるので、簡単な組立で燃料ポンプ13を支持することができる。しかもこのような構成だと、燃料ポンプ13のサイズを変更する場合でも、ベース部材15と一体の前記収納筒部15bのサイズを変える必要がない。
【0049】
また前記ポンプ保持筒部17と、燃料ポンプ13のポンプケース16との寸法関係をルーズに設定しておくとともに、燃料ポンプ13を、その吐出管部19を液密に嵌合せしめるようにして前記端壁15cに設けられる接続筒部21と、前記キャップ18とで支持するようにしておくことで、燃料ポンプ13のサイズを変更する場合でも、キャップ18を変更するのみで燃料ポンプ13を支持することができ、燃料ポンプ13のサイズ変更を容易に行うことができる。
【0050】
前記ポンプ収納ケース14は、前記収納筒部15bと、該収納筒部15bにシール部材28を介して結合される有底筒状の収納カバー27とで構成されるものであり、簡単な構造でポンプ収納ケース14を構成して燃料ポンプ13を保護することができる。
【0051】
しかも収納筒部15bの開口端部および収納カバー27の開口端部が、二重筒状に重なるようにして相互に嵌合されるので、メンテナンス時に燃料ポンプ13の取り替えを容易としつつポンプ収納ケース14の強度向上に寄与することができる。
【0052】
またポンプ収納ケース14との間にスロットルボディ5の吸気路6を挟む位置でボディ7に燃料噴射弁9が取付けられ、スロットル弁8に連結されるスロットルドラム11もしくはスロットル弁8を開閉駆動するアクチュエータ12が、スロットル弁8の回動軸線および吸気路6の中心軸線と直交する方向での投影図上でポンプ収納ケース14に少なくとも一部が重なるようにしつつ前記吸気路6を前記ベース部材15との間に挟む位置に配置されるので、ポンプ収納ケース14のスロットルボディ5側に生じるスペースにスロットルドラム11もしくはアクチュエータ12を効果的に配置してスペースを有効利用することができるとともに、スロットルドラム11もしくはアクチュエータ12の組付けを容易とすることができる。またスロットル弁8をスロットルドラム11で駆動する状態と、スロットル弁8をアクチュエータ12で駆動する状態とを簡単に切換えることができる。
【0053】
また前記ベース部材15は型成形されるものであり、そのベース部材15が一体に有するベース部15aは前記スロットルボディ5におけるボディ7の側方で上下に延びて前記ボディ7に結合されており、燃料ポンプ13からの燃料を燃料噴射弁9側に導く燃料通路36が、収納筒部15bとは反対側の他端部に開口されるようにしてベース部材15の型成形時に前記ベース部15aに同時に形成され、燃料通路36の開口部が蓋部材37で液密に閉じられるので、燃料通路36を形成するための特別な加工が不要であり、燃料通路構造を単純化することができる。しかも燃料通路36の内壁面がリブの機能を果たし、ベース部材15の強度を高めることができる。また燃料通路36の開口端が収納筒部15b側に配置されることがないので、収納筒部15bのベース部材15への連設部に燃料通路36を形成するための金型による孔や切欠きがなく、前記連設部の強度向上に寄与することができる。またベース部材15に、燃料通路36が形成されることによって、ベース部材15に、ボディ7および燃料ポンプ13が存在する側と、ボディ7および燃料ポンプ13が無い側とを仕切る壁ができ、燃料通路36を形成するための金型による孔や切欠きがベース部材15に形成されることがないので、強度タフネスの向上に寄与することができる。
【0054】
またベース部15aの下部に連なる端壁15cに設けられる接続筒部21にベース部15aの一側から吐出管部19を液密に嵌合せしめるようにして燃料ポンプ13の吐出口20を前記燃料通路36の下部に連通させるので、簡単な組立で燃料ポンプ13をベース部材15で支持しつつ燃料ポンプ13の吐出口20を燃料通路36に容易に連通させることができる。
【0055】
また相互に結合されるボディ7およびベース部材15の結合面間に、前記燃料通路36と、燃料噴射弁9に接続されるようにしてボディ7に形成されるボディ側燃料通路38間を結ぶ中継室39が形成されており、ベース部材15およびボディ7以外の他の場所に中継室39を設けることを不要として、レイアウト上有利となるようにして中継室39を容易に形成することができるだけでなく、コストの低減を図ることができる。
【0056】
またボディ側燃料通路38は、前記ボディ7への前記燃料噴射弁9と略同一方向で前記ボディ7に形成されており、ボディ側燃料通路38を成形もしくは加工で容易に形成することができ、また平行に配置される管路部42a,42bを両端部に有する燃料配管42の両端部が、前記ボディ側燃料通路38および前記燃料噴射弁9間を結ぶようにして前記ボディ7および前記燃料噴射弁9に接続されるので、ボディ側燃料通路38および燃料噴射弁9間を結ぶ燃料配管42の接続作業が容易となる。また中継室39に通じる位置であれば任意の位置にボディ側燃料通路38を配置することができ、燃料配管42を、その形状設定を容易としつつ小型化することができる。さらにボディ7の一部を燃料が流通するようにしてボディ7の冷却に寄与することができる。
【0057】
しかもボディ7およびベース部材15が、ともに合成樹脂によって形成されるとともに相互に溶着されるので、締結部材等を不要として部品点数を少なくしてコスト低減を図ることができるとともに、中継室39を容易に形成するようにしつつボディ7およびベース部材15の結合部の強度を高めることができる。
【0058】
ところで前記ベース部材15の前記スロットルボディ5とは反対側に臨む部分には、部品を収納する収納凹部43が形成されており、この収納凹部43に収納されるようにしてECU基板44が前記ボディ7部材に取付けられるので、燃料ポンプ13および前記ECU基板44が相互の組み付け時に相互に邪魔になることはなく、組付けが容易となるとともにベース部材15を強化することができ、ECU基板44を収納凹部43内に収納することで該ECU基板44を保護することができる。
【0059】
また前記ECU基板44と、前記燃料ポンプ13とを電気的に接続するバスバー45が、前記ベース部材15にインサート結合されるので、燃料ポンプ13のECU基板44への電気的接続が容易となるとともに、収納筒部15bのベース部材15への連設部の強度をバスバー45でより高めることができる。
【0060】
また前記燃料通路36が、前記バスバー45の側方で前記ECU基板44および前記ボディ7間を通るように配置されるので、燃料通路36を流通する燃料でバスバー45およびECU基板44を冷却することができる。
【0061】
前記ベース部材15のベース部15aには、前記ポンプ収納ケース14内の燃料貯留室26で生じたベーパーを排出するベーパー排出路48が、燃料貯留室26内の上部に通じて上下に延びるように形成されるので、燃料貯留室26内で生じたベーパーを効果的に抜くことができ、加工または型成形でベーパー排出路48を簡単に形成することができる。またベース部15a以外の部分に特別にベーパー排出路を設置ことを不要としてコンパクトな構成とすることができ、ベーパー排出路48を形成するための特別の部品を組み付ける必要がなく、さらにベーパー排出路48の内壁面がリブの機能を果たすことでベース部の強度を高めることができる。しかもベース部材15が型成形されるものであるので、ポンプ収納ケース14の一部を構成する有底筒状の収納筒部15bをベース部15aと同時に形成することができるとともに、ベーパー排出路48がベース部材15の型成形時に形成されるものであるので、ベーパー排出路48を形成するための特別の加工が不要であり、前記収納筒部15bおよびベーパー排出路48を簡単にかつ同時に形成することができる。
【0062】
また前記燃料貯留室26内の上部を前記ベーパー排出路48の下部に通じさせる通路51が、水平もしくは前記ベーパー排出路48側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜して、前記収納筒部15bの端壁15cに設けられるので、燃料貯留室26のベーパーをベーパー排出路48側に抜け易くすることができる。しかも前記通路51が、有底円筒状にしてベース部材15に一体に設けられる収納筒部15bの端壁15cに設けられるので、ベース部材15の型成形時に前記収納筒部15bの開口端から金型を抜くようにして前記通路51を容易に形成することができる。
【0063】
またポンプ収納ケース14の上部側壁14aが、水平もしくはベース部15a側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜して配置されるので、燃料貯留室26内のベーパーをベーパー排出路48側により抜け易くすることができる。
【0064】
また燃料ポンプ13から吐出される燃料圧を調整するレギュレータ52が、前記ベーパー排出路48をリターン通路として利用すべく、前記燃料ポンプ13の吐出口20および前記燃料貯留室26間に介在するようにして前記端壁15cに配設されるので、ベーパー排出路48以外にリターン通路を新たに設けることを不要としてコンパクトな構成とすることができ、またレギュレータ52から燃料貯留室26側に戻った燃料に含まれるベーパーは燃料貯留室26の上部からベーパー排出路48側に抜けることとなる。また有底円筒状にしてベース部材15に一体に設けられる収納筒部15bの端壁15cにレギュレータ52が配設されるので、レギュレータ52を収納筒部15bの開口端側から容易に組み付けることができる。
【0065】
またレギュレータ52が燃料ポンプ13の吐出口20よりも上方に配置され、燃料ポンプ13の吸入口23が、前記吐出口20よりも下方に配置されるので、レギュレータ52から燃料貯留室26側に戻った燃料に含まれるベーパーを燃料ポンプ13が吸い込み難くすることができ、またレギュレータ52から燃料貯留室26側に戻る燃料を導く通路長を短くすることができる。
【0066】
さらに燃料ポンプ13が、端壁15c側に向かうにつれて上方位置となるように傾斜して前記ポンプ収納ケース14に収納されるので、燃料貯留室26内のベーパーをベーパー排出路48側により抜け易くすることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0068】
5・・・スロットルボディ
6・・・吸気路
7・・・ボディ
8・・・スロットル弁
9・・・燃料噴射弁
13・・・燃料ポンプ
15・・・ベース部材
15b・・・収納筒部
36・・・燃料通路
37・・・蓋部材
38・・・ボディ側燃料通路
39・・・中継室
44・・・ECU基板
45・・・バスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気ポートに連なる吸気路(6)を有するボディ(7)と、前記吸気路(6)を開閉するようにして前記ボディ(7)に軸支されるスロットル弁(8)と、前記吸気路(6)に燃料を噴射するようにして前記ボディ(7)に取付けられる燃料噴射弁(9)とを備えるスロットルボディ(5)に、前記燃料噴射弁(9)に燃料を供給する電動式の燃料ポンプ(13)が付設されるエンジンの燃料供給装置において、前記ボディ(7)とは別体にして該ボディ(7)に結合されるベース部材(15)に、該ベース部材(15)への前記ボディ(7)の結合方向と同一側から前記燃料ポンプ(13)が組み付けられるとともに、該燃料ポンプ(13)からの燃料を前記燃料噴射弁(9)側に導く燃料通路(36)が形成されることを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項2】
前記ベース部材(15)の一端部に、前記燃料ポンプ(13)の少なくとも一部を収納する有底の収納筒部(15b)が一体に形成されることを特徴とする請求項1記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項3】
前記ベース部材(15)に取付けられるECU基板(44)と、前記燃料ポンプ(13)とを電気的に接続するバスバー(45)が、型成形される合成樹脂製の前記ベース部材(15)にインサート結合されることを特徴とする請求項1または2記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項4】
型成形される前記ベース部材(15)の前記収納筒部(15b)とは反対側の他端部に開口される前記燃料通路(36)が前記ベース部材(15)の型成形時に同時に形成され、該燃料通路(36)の開口部が、蓋部材(37)で液密に閉じられることを特徴とする請求項2記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項5】
相互に結合される前記ボディ(7)および前記ベース部材(15)の結合面間に、前記燃料噴射弁(9)に接続されるようにして前記ボディ(7)に形成されるボディ側燃料通路(38)および前記燃料通路(36)間を結ぶ中継室(39)が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項6】
前記ボディ側燃料通路(38)が、前記ボディ(7)への前記燃料噴射弁(9)の取付け方向と同一方向に延びるようにして前記ボディ(7)に形成されることを特徴とする請求項5記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項7】
前記ボディ(7)および前記ベース部材(15)が、ともに合成樹脂によって形成されるとともに相互に溶着されることを特徴とする請求項5記載のエンジンの燃料供給装置。
【請求項8】
前記燃料通路(38)が、前記バスバー(45)の側方で前記ECU基板(44)および前記ボディ(7)間を通るように配置されることを特徴とする請求項3記載のエンジンの燃料供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−225293(P2012−225293A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94763(P2011−94763)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)