説明

エンジン駆動式空気調和装置の室外機

【課題】三相電源にも単相電源にも接続できると共に、欠相を確実に検出することができるエンジン駆動式空気調和装置を提供する。
【解決手段】三相電源または単相電源に接続可能な電源端子台を備え、電源を単相電源と三相電源とに接続可能としている。三相電源の相間電圧レベルを検出する検出器と、検出器の出力信号に基づいて欠相を判定する判定手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン駆動式空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動式空気調和装置は、エンジンの駆動によって冷媒回路のコンプレッサを駆動させることにより、冷媒の圧縮・吸込を行い、冷房または暖房といった空調を行うものである。
【0003】
特許文献1に係る従来技術は、コンプレッサの駆動電動機として三相誘導電動機を用いる空気調和装置を想定しており、三相誘導電動機を対象としている。三相誘導電動機のみを対象とすれば、正常時は各相電流がバランスした状態であるのに対し、欠相時は相電流がアンバランスな不平衡状態となり、この違いを、電流検出器で検出することが出来る。しかし内蔵している補機が単相の電動機の場合も存在する。更に、熱交換用ファンモータやウォータポンプといった大電力電動機以外にも、電磁弁、スタータモータ、コンプレッサクラッチ、制御系基板のように、単相電源から電源供給される負荷が多数存在する。このような空調装置では、スタンバイ状態や動作中のさまざまな状態により、各相電流は電流値、相間バランスとも刻々と変化する。例えば、制御基板は単相電源(R−S相)を電源とするが、スタンバイ状態では、この制御基板しか通電されておらず、T相には電流が流れていないため、電流アンバランスとなり、欠相との区別が出来ない。
【特許文献1】特開平9−9487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジン駆動式空気調和装置の空調機によれば、電源は経済的理由により三相電源に接続されることが多い。しかしながら空調機の据付場所によっては、三相電源が据付場所に用意されておらず、単相電源しか用意されていない場合もある。この場合、三相電源を新規に据付場所に設備することは、かえってコスト高となる。このため三相電源にも接続できると共に単相電源にも接続できる便利なエンジン駆動式空気調和装置が要望されている。
【0005】
本発明は、三相電源にも単相電源にも接続できると共に、欠相を確実に検出することができるエンジン駆動式空気調和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置の室外機は、三相電源または単相電源に接続可能な電源端子台を備え、電源を単相電源と三相電源とに接続可能としたエンジン駆動式空気調和装置の室外機において、三相電源に対応した相間電圧レベルを検出する検出器と、検出器の出力信号に基づいて欠相を判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置の室外機によれば、三相電源の相間電圧レベルを検出器により検出する。そして判定手段は、検出器の出力信号に基づいて欠相を判定する。室外器がスタンバイ状態、動作中のさまざまな状態により、各相電流が電流値、相間電圧レベルが刻々と変化したとしても、相間電圧を監視することにより欠相を検出することができる。更に、相間電圧レベルを検出することで、三相に均等配分された負荷により、欠相相に中間電圧が発生したとしても、確実に欠相を検出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置の室外機によれば、三相電源にも単相電源にも接続できると共に、欠相を確実に検出することができるエンジン駆動式空気調和装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
空調作用を行うための電動機等の負荷類は、基本的には、三相に均等分配されており、平衡状態性を向上させている。しかし室外機に据えつけられている電気機器等の負荷の動作状態によっては、欠相時において各相間電圧レベルが異なることがある。この点について本発明によれば、検出器は、三相電源に対応するS−T相間に配置され相間電圧レベルを検出する第1検出器と、三相電源に対応するS−R相間に配置され相間電圧レベルを検出する第2検出器と、三相電源に対応するT−R相間に配置され相間電圧レベルを検出する第3検出器とを備えていることが好ましい。この場合、三相に分配された負荷類の動作状態の影響を避けつつ欠相を検出することができる。
【0010】
本システムは瞬間的な欠相が生じたとしても、負荷の動作不良、負荷故障を引き起こすものではない。そこで判定手段は、検出器が一定時間T1(例えば10秒であるが、これに限定されるものではない)以上にわたり、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と判定する形態を採用することができる。これにより瞬間的な停電、近傍に配置された大型電動機等の起動時の電圧歪等により誤動作することが抑制され、欠相の判定の信頼性を高めることができる。
【0011】
本システムは瞬間的な欠相が生じたとしても、負荷の動作不良、負荷故障を引き起こすものではない。そこで判定手段は、検出器が一定時間T1以上を越える長さの一定時間T2(例えば1分間であるが、これに限定されるものではない)以上、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と確定し、異常報知処理を行う形態を採用することができる。これにより欠相の判定の信頼性を高めつつ、異常を報知することができる。
【0012】
検出器には、交流電圧の一方向にのみ電流を流す逆方向電流素子手段が接続されている形態を採用することができる。検出器に回り込んで誤検知することを抑制できるため、欠相を確実に検出することができる。
【0013】
判定手段は、電源投入時に、供給電源が三相電源か単相電源かの判定を行うと共に、供給電源が三相電源であるとき、その後、検出器の出力信号に基づいて欠相を判定することができるこの場合、供給電源が三相電源か単相電源かの判定については、三相電源に対応した相間電圧レベルを検出する検出器の出力信号に基づいて欠相を判定し、欠相が存在するときには、判定手段は、供給電源が単相電源であると判定することができる。
【0014】
電源端子台に接続される第2コネクタと、電源端子台に接続される第3コネクタと、第2コネクタに接続される形態と第3コネクタに接続される形態とにそれぞれ切替可能な切替コネクタとを備えることができる。また単相電源または三相電源のいずれかにより駆動される空気調和用の動作を行う負荷類を備えることができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。エンジン駆動式空気調和装置の室外機は、単相電源及び三相電源の双方に対応できるものである。室外機は、図1に示すように、電源端子台10、切替コネクタとして機能する第1コネクタ20、単相電源に接続されるとき使用される第2コネクタ30、三相電源に接続されるとき使用される第3コネクタ40をもつ。更に、室外機は、マイコンを搭載するコントローラ(判定手段)380、欠相を検出して欠相信号をコントローラ380に入力する電源監視回路400をもつ。電源端子台10は、AC200ボルト単相電源と、AC200ボルト三相電源とに切替え接続可能とされている。電源端子台10は第1端子11、第2端子12、第3端子13を有する。
【0016】
第1コネクタ20、第2コネクタ30、第3コネクタ40は互いに独立している。第1コネクタ20は、電源端子台10に接続される供給電源が単相電源が三相電源かによって切り替えられるコネクタである。第1コネクタ20は、三相電源を室外機に接続するときには第3コネクタ40に接続される。第1コネクタ20は、単相電源を室外機に接続するときには第2コネクタ30に接続される。
【0017】
第1コネクタ20は第1端子21、第2端子22、第3端子23を有する。第2コネクタ30は第1端子31、第2端子32、第3端子33を有する。第3コネクタ40は第1端子41、第2端子42、第3端子43を有する。第1コネクタ20については、第1コネクタ20の第3端子23はトランジスタTrのベースに電流制限用の抵抗500を介して接続されている。トランジスタTrのコレクタはコントローラ380及び抵抗500を介して電源回路の電源電位(Vdd)に接続されている。トランジスタTrのエミッタは接地されている。第1コネクタ20の第1端子21は、トランスTrを介して電源端子台10の第2端子12に接続されている。
【0018】
第2コネクタ30については、第2コネクタ30の第1端子31は電源端子台10の第1端子11に接続されている。第2コネクタ30の第2端子32は電源端子台10の第2端子12に接続されている。第2コネクタ30の第3端子33は電源回路の電源電位(Vdd)に接続されている。
【0019】
第3コネクタ40の第1端子41と第2端子42はいずれも電源端子台10の第3端子13に接続されている。第3コネクタ40の第3端子43は接地されている。第1コネクタ20、第2コネクタ30、第3コネクタ40によれば、第3端子23、33、43は、切り替え設定時における過誤接続を検出する検出端子になっている。
【0020】
熱交換機ファンモータFM1、熱交換機ファンモータFM2、冷却水ポンプWP等を単相負荷として設けられている。スタータモータSTR、コンプレッサクラッチC/Pの電源用トランスT1を単相負荷として設けられている。ガス電磁弁GV、その他の電磁弁EV、コントローラ380等の制御系ユニットの電源用トランスT2を単相負荷として設けられている。
【0021】
上記した負荷はすべていずれも単相電源(200ボルト)で駆動可能な単相負荷とされている。定格運転時において不平衡状態とならないように、単相負荷は三相にほぼバランスがとれるように振り分けられている。なお、単相負荷は欠相が生じたとしても、電動機の過電流や発熱といった問題を抑制できる。
【0022】
マイコン及び記憶媒体を備えるコントローラ380は、電源監視回路400の信号に基づいて欠相を判定する判定手段を構成している。コントローラ380は、リレー310、320、350、360をオンまたはオフさせることにより、上記した各負荷をそれぞれオン動作またはオフ動作させる。
【0023】
室外機と三相電源(200ボルト)とを接続する接続するときについて説明を加える。この場合、図1に示すように、作業者が三相電源のR相、S相、T相をそれぞれ電源端子台10の第1端子11、第2端子12、第3端子13に接続する。更に第1コネクタ20を第3コネクタ40と接続する。これにより図1に示すように第1端子21と第1端子41とを接続し、第2端子22と第2端子42とを接続し、第3端子23と第3端子43とを接続する。第1コネクタ20とコネクタ40とは、この接続構造とは逆には接続されないようにされている。このように第1コネクタ20と第3コネクタ40と接続した状態において、リレー310、320がオンとなると、三相電源のS相−T相間に接続されている負荷は駆動される。リレー350、360がオンとなると、三相電源のR相−S相間に接続されている負荷は駆動される。モータドライバ370により熱交換機ファンモータFM1、熱交換機ファンモータFM2、熱交換機ファンモータFM3、冷却水ポンプWPが駆動される。
【0024】
上記したように室外機と三相電源(200ボルト)とが接続されているときには、図1に示すように、三相電源のR相、S相、T相はそれぞれ電源端子台10の第1端子11、第2端子12、第3端子13に接続されている。更に図1に示すように第1コネクタ20の第3端子23は、第3コネクタ40のうち接地されている第3端子43に接続されているため、Low状態である。このため第1コネクタ20の第3端子23に接続されているトランジスタTrのベースにはベース電圧が供給されず、トランジスタTrはターンオフ状態である。この場合、トランジスタTrのコレクタ・エミッタ間が非導通であり、トランジスタTrのコレクタ電位がHighとなるため、信号線513を介してHigh信号がコントローラ380に入力される。このため室外機が三相電源に接続されていることがコントローラ380により検出される。この結果、コントローラ380は報知手段としての7セグメントLED(LED)の点灯及び消灯の一方を行い、室外機が三相電源に接続されている旨がコントローラ380により検出される。このように7セグメントLED(LED)の点灯及び消灯状態を検出すれば、室外機が三相電源に接続されている旨が報知される。
【0025】
また、室外機を単相電源(200ボルト)に接続するときについて説明を加える。この場合、作業者は、図2に示すように、単相電源を電源端子台10の第1端子11と第2端子12に接続する。更に、第1コネクタ20と第2コネクタ30とを接続する。これにより第1端子21と第1端子31とを接続し、第2端子22と第2端子32とを接続し、第3端子23と第3端子33とを接続する。第1コネクタ20と第2コネクタ30は、この接続形態とは逆に接続されないようになっている。このように第1コネクタ20の第1端子21は電源端子台10の第1端子11に接続されると共に、第1コネクタ20の第2端子22は電源端子台10の第2端子12に接続されるが、負荷には接続されていない。第1コネクタ20の第3端子23は第2コネクタ30の第3端子33を介して電源回路の電源電圧(Vdd)に接続される。このためトランジスタTrのベースにベース電流が電流制限用の抵抗500を介して流れ、トランジスタTrがターンオンし、トランジスタTrのコレクタ・エミッタ間が導通状態となり、トランジスタTrのコレクタの電位がLowとなるため、信号線513を介してLow信号がコントローラ380に入力される。このため室外機が単相電源に接続されていることがコントローラ380により検出される。この結果、コントローラ380は報知手段としての7セグメントLED(LED)の点灯及び消灯の他方を行い、室外機が単相電源に接続されている旨を報知する。
【0026】
従って、トランジスタTrは、第1コネクタ20が単相給電用の第2コネクタ30に接続されているか、あるいは、三相給電用の第3コネクタ40に接続されているかを検出する検出手段(半導体検出素子)として機能できる。換言すると、トランジスタTrは、室外機が三相電源に接続されているか単相電源に接続されているかどうかを検出する検出手段として機能することができる。故に、コントローラ380は、電源投入時における電源端子台10に繋がれている電源が三相電源であるか単相電源であるかを判定する判定手段として機能することができる。
【0027】
図3を参照して電源監視回路400について説明を加える。図3に示すように、電源監視回路400は、欠相を検出する検出器として機能するスイッチング素子としてのフォトカプラPC1、PC2、PC3を備える。図3に示すように、フォトカプラPC1は三相電源接続時におけるS−T相間に接続された第1検出器であり、発光素子としてのフォトダイオードPD1と、フォトダイオードPD1の光を受光してターンオンする受光素子としてのフォトトランジスタPT1とを有する。フォトカプラPC2は三相電源接続時におけるR−S相間に接続された第2検出器であり、フォトダイオードPD2と、フォトダイオードPD2の光を受光してターンオンするフォトトランジスタPT2とを有する。フォトカプラPC3は三相電源接続時におけるR−T相間に接続された第3検出器であり、フォトダイオードPD3と、フォトダイオードPD3の光を受光してターンオンするフォトトランジスタPT3とを有する。図3から理解できるように、フォトダイオードPD1、PD2、PD3には各相間電圧レベルに応じた電流が流れる。
【0028】
図3に示すように、S−T間において、抵抗R2、フォトダイオードPD1、ダイオードD14、抵抗R1が直列に接続されている。S−R間において、抵抗R2、フォトダイオードPD2、ダイオードD15、抵抗R3が直列に接続されている。R−T間において、抵抗R4、第1フォトダイオードPD3、ダイオードD20、抵抗R1が直列に接続されている。抵抗R1、R2、R3、R4は電流制限用のの抵抗値は基本的には等しいものとされている。フォトダイオードPD1に対してバイパス用の抵抗R5が並行に接続されている。フォトダイオードPD2に対してバイパス用の抵抗R6が並行に接続されている。フォトダイオードPD3に対してバイパス用抵抗R7が並行に接続されている。抵抗R5、R6、R7の抵抗値は基本的には等しいものとされている。フォトカプラPC1、PC2、PC3は同種のものとされている。ダイオードD14、D15、D20は、交流電圧の一方向にのみ電流を流す逆方向電流素子手段として機能することができる。つまり、ダイオードD14は、交流電圧の一方向にのみ、即ちS相→T相のみへ電流を流す逆方向電流素子手段として機能することができる。ダイオードD15は、交流電圧の一方向にのみ、即ちS相→R相のみへ電流を流す逆方向電流素子手段として機能することができる。ダイオードD20は、交流電圧の一方向にのみ、即ちR相→T相のみへ電流を流す逆方向電流素子手段として機能することができる。
【0029】
図3に示すように、フォトトランジスタPT1のコレクタはプルアップ抵抗R8を介して電源電圧(Vcc)に接続されている。フォトトランジスタPT2のコレクタはプルアップ抵抗R9を介して電源電圧(Vcc)に接続されている。フォトトランジスタPT3のコレクタはプルアップ抵抗R10を介して電源電圧(Vcc)に接続されている。図3に示すように、フォトトランジスタPT1のコレクタに繋がる信号線101、フォトトランジスタPT2のコレクタに繋がる信号線102、フォトトランジスタPT3のコレクタに繋がる信号線103が設けられている。信号線101、102、103はコントローラ380に検出信号として入力される。フォトトランジスタPT1〜PT3のエミッタは接地されている。
【0030】
フォトトランジスタPT1、PT2、PT3がターンオフのときには、信号線101、102、103はいずれもHigh状態であり、H−L判定用のスレッショルド電圧を越える。これに対してフォトトランジスタPT1、PT2、PT3がターンオンのときには、信号線101、102、103はいずれもLow状態であり、H−L判定用のスレッショルド電圧未満となる。フォトカプラPC1がターンオンすると、コントローラ380によりS−T相間電圧ありと判定される。フォトカプラPC2がターンオンすると、コントローラ380によりS−R相間電圧ありと判定される。フォトカプラPC3がターンオンすると、コントローラ380によりR−T相間電圧ありと判定される。
【0031】
フォトカプラPC1、PC2、PC3はそれぞれ相間電圧の交流半波に対してターンオンするため、デューティ比が50%を越えることはない。この場合、フォトカプラPC1、PC2、PC3のデューティ比、オン時間は、基本的には相間電圧レベル(電位差)に対応した値となる。このため電源監視回路400における各抵抗の抵抗値の設定により、相間電圧レベルとフォトカプラPC1、PC2、PC3のターンオン時間とを関係づけることができる。三相電源が正常に室外機に接続されて正常に給電されているときには、フォトカプラPC1はS−T相間の電圧によりターンオンし、フォトカプラPC2はS−R相間の電圧によりターンオンし、フォトカプラPC3はR−T相間の電圧により、それぞれ120度の位相差をもって交流入力の半波ごとにターンオンする。欠相時には、欠相につながったフォトカプラがターンオンできなくなる。
【0032】
図3は、図2に示すように室外機を単相電源に接続している場合、あるいは、室外機を三相電源に接続させたにもかかわらず三相のうちT相が欠相している場合を示している。この場合、フォトダイオードPD2が発光するため、フォトトランジスタPT2がターンオンし、フォトトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間が導通し、信号線102の電位はLowとなる。この場合、フォトダイオードPD1は非導通であるため、フォトトランジスタPT1がターンオンせず、フォトトランジスタPT1のコレクタ・エミッタ間は非導通であり、信号線101はHigh状態である。またフォトダイオードPD3は非導通であるため、フォトトランジスタPT3がターンオンせず、フォトトランジスタPT3のコレクタ・エミッタ間は非導通であり、信号線103はHigh状態である。
【0033】
このように図3に示す場合(T相が欠相している)には、フォトカプラPC2はS−R相により位相120度ごとにターンオンするが、フォトカプラPC1、PC3は常時オフ状態となる。他の相の欠相についても同様のことがいえる。この結果、コントローラ380は、図2に示すように単相電源に接続している単相判定、あるいは、三相電源における欠相判定を行うことができる。
【0034】
さて、上記した負荷が基本的には三相に均等配分されている。この場合、欠相相に中間電圧が発生する。即ち、運転中に例えばT相が欠相すると、R−T相に入っている負荷の負荷バランス、電流の回り込みで、T相には中間電位が発生することがある。例えば、定格運転のように負荷バランスがとれた状態で、T相が欠相したとき、S−T相、R−T相には、S−R相電圧の約1/2の電圧(中間電圧)が発生することがある。この場合、抵抗値が等しい抵抗R2及び抵抗R3による分圧により、フォトダイオードPD1のアノード側もS−R相電圧の約1/2の電圧となる。この場合、フォトダイオードPD1のアノードとカソード(T相)間は電位差が基本的にないことから、中間電圧が生じたとしても、フォトカプラPC1は常時オフ状態に維持されることになる。
【0035】
なお、S相が欠相しているときには、フォトダイオードPD2は非導通であるため、フォトトランジスタPT2がターンオンしないため、信号線102はLow状態であり、S相の欠相が検出される。R相が欠相しているときには、フォトダイオードPD3は非導通であるため、フォトトランジスタPT3がターンオンしないため、信号線103はLow状態であり、R相の欠相が検出される。
【0036】
従って本実施形態によれば、コントローラ380は、フォトトランジスタPT1、PT2、PT3のコレクタに繋がる信号線101、102、103の信号に基づいて、電源端子台10が三相電源に接続されているか単相電源に接続されているかを検出して判定することができる。更に、三相電源に接続されているとき、コントローラ380は、信号線101、102、103の電位により三相のうちの欠相検出を行うことができる。
【0037】
以上説明したように本実施例によれば、電源投入時において、コントローラ380は、電源端子台10に接続される供給電源が単相電源であるか三相電源であるかの判定を行う。三相電源と判定されたときには、コントローラ380は常時、欠相検知を行う。
【0038】
空調作用を行うための電動機等の負荷類は、基本的には三相に均等分配されており、平衡状態性を向上させている。しかし室外機に据えつけられている電気機器等の負荷の動作状態によっては、欠相時において各相間電圧レベルが異なることがある。この点について本実施例によれば、三相電源に対応するS−T相間に配置され相間電圧レベルを検出するフォトカプラPC1と、三相電源に対応するS−R相間に配置され相間電圧レベルを検出するフォトカプラPC2と、三相電源に対応するT−R相間に配置され相間電圧レベルを検出するフォトカプラPCとを備えている。このため三相に分配された負荷類の動作状態の影響を避けつつ欠相を検出することができる。
【0039】
本実施例に係るシステムは瞬間的な欠相が生じたとしても、負荷の動作不良、負荷故障を引き起こすものではない。そこでコントローラ380は、検出器としてのフォトカプラPC1、PC2、PC3が一定時間T1(例えば10秒)以上にわたり、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と判定することにしている。これにより瞬間的な停電、近傍に配置された大型電動機等の起動時の電圧歪等により、欠相の誤検出することが抑制され、欠相の判定の信頼性を高めることができる。
【0040】
更に本システムは瞬間的な欠相が生じたとしても、負荷の動作不良、負荷故障を引き起こすものではない。そこでコントローラ380は、検出器としてのフォトカプラPC1、PC2、PC3が一定時間T1以上を越える長さの一定時間T2(例えば1分間)、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と確定し、異常報知処理を行うことにしている。これにより欠相の判定の信頼性を高めつつ、異常を報知することができる。検出器としてのフォトカプラPC1、PC2、PC3には、交流電圧の一方向にのみ電流を流す逆方向電流素子手段としてのダイオードD14、D15、D20が接続されている。これによりフォトカプラPC1、PC、PCに電流が回り込んで誤検知することを抑制でき、欠相を確実に検出することができる。
【0041】
図4及び図5はコントローラ380のマイコンが実行する制御則のフローチャートを示す。フローチャートはこれに限定されるものではない。図4に示すように、先ず、電源が投入されているか否かの読み込みを行う(ステップS12)。電源が投入されていなければ、メインルーチンにリターンする。電源が投入されていれば(ステップS14)、供給電源が三相電源であるか単相電源であるか判定する(ステップS16)。判定は、トランジスタTrのコレクタに繋がる信号線513の電位の検出に基づいて行っても良い。あるいは、フォトカプラPC1、PC2、PC3の出力信号に基づいて欠相が生じているかどうか検出し、欠相が生じていれば単相電源に接続されていると判定しても良い。双方おこなっても良い。供給電源が三相電源であれば、その旨を7セグメントLEDに表示すると共に(ステップS18)、欠相検知を行う(ステップS20)。運転終了か否か判定する(ステップS22)。運転終了であればメインルーチンにリターンする。運転継続であれば、ステップS20に戻り、欠相検知を繰り返す。供給電源が三相電源であれば、その旨を7セグメントLEDに表示する(ステップS26)。
【0042】
図5は欠相検知処理を示す。フォトカプラPC1、PC2、PC3の信号線101、102、103の出力信号を読み込む(ステップS202)。欠相が一定時間T1(例えば10秒)以上継続しているか否か判定する(ステップS204)。欠相が一定時間T1(例えば10秒)以上継続していなければ、フォトカプラPC1、PC2、PC3の信号線101、102、103の出力信号の読み込みを続ける。欠相が一定時間T1以上継続していれば、欠相ありと判定される(ステップS206)。更に、欠相が一定時間T2(例えば1分間、T2>T1)以上継続していれば(ステップS208)、警報器や警報灯等の異常報知要素382に警報信号を出力し、異常報知を行ない(ステップS210)、運転を終了する。
【0043】
前述したように、本システムは瞬間的な欠相が生じたとしても、負荷の動作不良、負荷故障を引き起こすものではない。そこで、一定時間T1(例えば10秒)以上にわたり、欠相状態を示す信号が出力されているとき、欠相が生じていると判定する。これにより瞬間的な停電、近傍に配置された大型電動機等の起動時の電圧歪等により誤動作することが抑制され、欠相の判定の信頼性を高めることができる。更に、一定時間T1以上を越える長さの一定時間T2(例えば1分間)、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と確定し、異常報知処理を行う。これにより欠相の判定の信頼性を高めつつ、異常を報知することができる。
【0044】
(他の実施例)その他、本発明は上記した図面に示す実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は空気調和用の動作を行う負荷類を備え、電源を単相電源と三相電源とに接続可能としたエンジン駆動式空気調和装置の室外機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】三相電源が接続されている状態を示す室外機の要部のシステム図である。
【図2】単相電源が接続されている状態を示す室外機の要部のシステム図である。
【図3】電源開始回路の回路図である。
【図4】コントローラのマイコンが実行する制御則のフローチャートである。
【図5】コントローラのマイコンが実行する制御則のフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10は電源端子台、20はコネクタ(切替コネクタ)、30は単相給電用のコネクタ、40は三相給電用のコネクタ、PC1、PC2、PC3…フォトカプラ(検出器)、D14、D15、D20はダイオード(逆方向電流素子手段)、380はコントローラ(判定手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相電源または単相電源に接続可能な電源端子台を備え、電源を単相電源と三相電源とに接続可能としたエンジン駆動式空気調和装置の室外機において、
三相電源に対応した相間電圧レベルを検出する検出器と、前記検出器の出力信号に基づいて欠相を判定する判定手段とを備えていることを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外器。
【請求項2】
請求項1において、前記検出器は、三相電源に対応するS−T相間に配置され相間電圧レベルを検出する第1検出器と、三相電源に対応するS−R相間に配置され相間電圧レベルを検出する第2検出器と、三相電源に対応するT−R相間に配置され相間電圧レベルを検出する第3検出器とを備えていることを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項3】
請求項1において、前記判定手段は、前記検出器が一定時間T1以上にわたり、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と判定することを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、前記判定手段は、前記検出器が一定時間T1以上を越える長さの一定時間T2以上、欠相状態を示す信号を出力したとき、欠相と確定し、異常報知処理を行うことを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記検出器には、交流電圧の一方向にのみ電流を流す逆方向電流素子手段が接続されていることことを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、前記判定手段は、電源投入時に、供給電源が三相電源か単相電源かの判定を行うと共に、供給電源が三相電源であるとき、その後、前記検出器の出力信号に基づいて欠相を判定することを特徴とするエンジン駆動式空気調和装置の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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