説明

エントランス用シャッタ装置およびシールド掘削機の発進または到達方法

【課題】 スライドゲート装置に取付けたエントランスを容易に撤去することができ、エントランスを撤去する際の出水を防止する。
【解決手段】 スライドゲート装置とエントランスとの間にエントランス用シャッタ装置Aを設け、高濃度泥水が充填されているエントランス内に挿入されたシールド掘削機5とシャッタ板4との間の空間をシャッタ板4を移動させて閉塞する。シャッタ板4の背面側の高濃度泥水を抜くと共に裏込め材と置換し、更に、止水剤を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ方向または横方向に構築されたシールドトンネルであって、縦坑と水平坑、あるいは、水平坑と水平坑とを接合する、シールドトンネルの分岐構築に用いられるエントランス用シャッタ装置およびシールド掘削機の発進または到達方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、地中にトンネルを構築する工法としてシールド掘削機を用いるものが知られている。この工法は、構築するトンネルのルートの両端部あるいは中間部に地上から縦坑(立坑)を構築し、縦坑の構築完了後、縦坑に組み込まれたスライドゲート装置にエントランスを取付けると共に、一方の縦坑内にシールド掘削機を搬入し、シールド掘削機を、一方の縦坑のエントランスから他方の縦坑に向けて発進させてセグメントを組み立ててトンネルを構築し、他方の縦坑のエントランス(スライドゲート装置)に到達させ、縦坑内に収納するものである。縦坑と水平坑との間にトンネルを構築する場合もある。
【0003】
従来のスライドゲート装置において、シールド掘削機が到達する状況を説明する。図19〜24は、従来の、縦坑に設けられたスライドゲート装置にシールド掘削機が到達する工程を示す図面であり、図19は、スライドゲート装置にエントランスが取付けられた状態を示す説明図、図20は、スライドゲート装置にシールド掘削機が到達した状況を示す説明図、図21は、スライドゲート装置にシールド掘削機が到達した後の作業を示す説明図、図22は、エントランスが撤去された状態を示す正面図、図23は、図19の部分断面図、図24は、図20の部分断面図である。
【0004】
スライドゲート3を備えるスライドゲート装置1(図23)の前面(スライドゲート装置よりも縦坑の内側)に円筒形のエントランス6を取付ける。エントランス6は、エントランスを構成するエントランス金枠6aと、エントランス金枠6aの内面に設けられた輪状のゴム製のパッキン(エントランスパッキンという)7を備えている。円筒形のシールド掘削機5が到達するときには、図19に示すようにエントランス6内に高濃度泥水が充填される。
【0005】
図20に示すように、シールド掘削機5が近付いたら、図24に示すようにスライドゲート装置1のスライドゲート3を引上げ、シールド掘削機5を到達させる。シールド掘削機5が到達したら、エントランス金枠6a内においてパッキン7を膨らませてシールド掘削機5とエントランス金枠6aとの空隙を閉塞する。
【0006】
図21に示すように、パッキン7を膨らませたら、該パッキン7よりも背面側(パッキンよりも縦坑の外側)において、高濃度泥水を抜くとともに裏込め材22を充填して置換し、背面側を固結させる。
【0007】
エントランス6は大きく縦坑内側に突出しており、縦坑10の躯体に支障することとなるため、図22に示すようにエントランス6を構成するエントランス金枠6aおよびパッキン7を撤去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来は、エントランスを構成するエントランス金枠の内側にゴム製のパッキンが取付けられているため、エントランス撤去の際に該パッキンも併せて撤去する必要があり、下記に示すような問題があった。
【0009】
(1)エントランスパッキンの背面側を、高濃度泥水と置換した裏込め材によって固結しても、完全に置換されているかどうか検証することができない。その結果エントランス撤去時に出水する危険がある。
【0010】
(2)エントランスパッキンの背面側のシールド掘削機とエントランス金枠とのクリアランスは、置換し固結した裏込め材によって充填するため、エントランスを撤去するのに手間と時間を要する。特に、ゴム製のパッキンを焼き切るのに手間を要する。
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の問題を解決し、スライドゲート装置に取付けたエントランスを容易に撤去することができ、エントランスを撤去する際に出水することのない、エントランス用シャッタ装置およびシールド掘削機の発進および到達方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0013】
[1]縦坑に設けられているシールド発進、到達用の開口部の前面に、開口を有した四角形の鋼板を有し、前記鋼板との間に所定の隙間をあけて、その周辺部に沿って前記隙間の周囲を閉塞して設けられた、開口を有する、四角形の閉塞板と、前記隙間内に、高さ方向および水平方向に移動可能に配された、開口を有し、複数に分割された、シャッタ板と、分割されている前記シャッタ板のそれぞれを、高さ方向および水平方向に移動させるための移動手段とを備えることを特徴とする、エントランス用シャッタ装置。
【0014】
[2]前記シャッタ板は、縦横にほぼ4等分に分割され、前記移動手段は、前記シャッタ板の周囲の前記閉塞板に前記閉塞板から突出して設けられた、その先端を前記シャッタ板の外縁部と当接または係合させて、前記シャッタ板を押付けまたは引上げて、前記シャッタ板を移動自在とする操作棒からなる前記[1]記載のエントランス用シャッタ装置。
【0015】
[3]前記操作棒は、前記シャッタ板を押付けまたは引上げるための棒鋼と、前記閉塞板に固定されたナットと螺合して前記シャッタ板を締付けるためのボルトとからなる前記[2]記載のエントランス用シャッタ装置。
【0016】
[4]前記シャッタ板の開口部にパッキンが設けられている前記[1]から[3]のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【0017】
[5]分割された前記シャッタ板の上部の2枚のシャッタ板間、および/または、下部の2枚のシャッタ板間にガイド板が設けられている前記[2]から[4]のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【0018】
[6]前記シールド発進、到達用の開口部が、水平坑に設けられている前記[1]から[5]のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【0019】
[7]縦坑壁または水平坑壁とエントランスとの間に請求項1から6のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置を設け、高濃度泥水が充填されている前記エントランス内に挿入されたシールド掘削機またはセグメントと前記シャッタ板との間の空間を、前記シャッタ板を前記移動手段により移動させて閉塞し、前記シャッタ装置の背面側の前記高濃度泥水を抜くと共に裏込め材と置換することを特徴とするシールド掘削機の発進または到達方法。
【発明の効果】
【0020】
(1)本発明のエントランス用シャッタ装置は、分割された移動自在のシャッタ板により、ゴムパッキンを使用しないでもシールド掘削機との隙間を閉塞することができ、シールド掘削機の発進、到達作業を効率良く行なうことができる。
【0021】
(2)本発明のエントランス用シャッタ装置は、閉塞板によりスライドゲート装置との間に設けた隙間内にシャッタ板を設けた厚みの薄い構造であるため、スライドゲート装置とエントランスとの間に設けることにより、マシンの発進後または到着後、撤去することなくそのまま残置することができる。
【0022】
(3)本発明のエントランス用シャッタ装置の背面側を裏込め材によって高濃度泥水と置換し固結することにより出水する危険性がない。
【0023】
(4)本発明のエントランス用シャッタ装置は、スライドゲート装置に設置したその位置にそのまま残置することができ、撤去するのはエントランスを構成するエントランス金枠のみであり、撤去作業が容易である。
【0024】
(5)ゴムパッキンを使用しないでも構成することができ経済的に有利である。
【0025】
(6)クリアランス部の固結裏込め材がシャッタ板により閉塞されるため、クリアランス部を鉄板により閉塞する作業が不要となり、作業工程や手間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1〜5、図10〜14は、本発明のエントランス用シャッタ装置の実施の形態を示す図面であり、図1は、シールド掘削機が挿入される前の状態を示す正面図、図2は、図1
のA−A矢視図、図3は、図2のB−B矢視図、図4は、図1の側面図、図5は、シャッタ板によってシールド掘削機との間の空隙が閉塞された状態を示す正面図である。なお、シールド掘削機の発進の場合および到達の場合で該掘削機を回収する場合は、図5は、シャッタ板によってセグメントとの間の空隙が閉塞された状態を示す。図10は、図6のシャッタを開いている状態の部分断面図、図11は、スポンジパッキンを示す断面図、図12は、図7のシャッタ板が閉じた状態の部分断面図、図13は、シャッタ板を閉塞板に押付けるためのゴムをシャッタ板に装着した形態の部分断面図、図14は、下側のシャッタ板の下部側を示す説明図である。
【0028】
図面に示すように、本発明のエントランス用シャッタ装置Aは、縦坑に設けられているシールド発進、到達用の開口部の前面において、本実施の形態ではスライドゲート装置1の前面に設けられており、閉塞板2と、シャッタ板4と、シャッタ板4の移動手段である操作棒8とを備えている。
【0029】
閉塞板2は、スライドゲート装置1との間に所定の隙間をあけて設けられた四角形の鋼板からなり、スライドゲート装置1に固定されている。閉塞板2は、その中央部に、スライドゲート装置1の円形の開口1aとほぼ同じ高さの位置に、開口1aに沿って円形の開口2aを有している(図12参照)。四角形の閉塞板2の周辺部は、閉塞板2とスライドゲート装置1との間に設けられた隙間を閉塞して設けられている。
【0030】
スライドゲート装置1と閉塞板2との間に設けられた隙間内には、四角形形状の、本実施の形態では正方形のシャッタ板4が配されている。シャッタ板4は、中央部にシールド掘削機5を挟むための円形の開口を有する鋼板からなり、ほぼ同面積で同一の形状になるように縦横に4等分された4枚の板体4a、4b、4c、4dからなっている。
【0031】
シャッタ板4の開口は、シールド掘削機5の外形に合わせて設けられ、シールド掘削機5が到達するまでは、スライドゲート装置1と閉塞板2との間の隙間の外周側に収納配置されている。シャッタ板4の外側の左端部および右端部には、操作棒8がシャッタ板4の端部に当接する位置に操作棒8用の当て板が設置されている。更に、シャッタ板4の上端部には吊上げ操作を行う操作棒8用の当て板9が設置されている(図10、図12、図13参照)。シャッタ板4の開口の円周部には開口を縮めた際の、シャッタ板4とシールド掘削機5とのわずかな隙間を閉塞するためのパッキン12が設置されている。パッキン12は、図10に示すように、ゴム板状のものをシャッタ板4の開口に沿って設置する方法、あるいは、図11に示すように、スポンジタイプのパッキン13、ゴム25を、隙間を閉塞するように設置する方法を用いることができる。また図1、図5に示すように、上部のシャッタ板4aと4bとの間、下部のシャッタ板4cと4dとの間には、ガイド板14が、片側のシャッタ板に届く長さで設けられている。
【0032】
シャッタ板4の周囲の閉塞板2に操作棒8が設けられている。操作棒8は、上側のシャッタ板4aの上端部および左端部、上側のシャッタ板4bの上端部および右端部、下側のシャッタ板4cの下端部および左端部、下側のシャッタ板4dの下端部および右端部の合計8箇所に、それぞれ4本ずつ並列して設けられている。操作棒8は、閉塞板2から突出して、シャッタ板4に向けて設けられている(図1、図5)。また、操作棒8の先端は、シャッタ板4と当接している。
【0033】
シャッタ板4aおよび4bの上部側に4本ずつ配された操作棒8は、それぞれの箇所において、4本の操作棒8のうちの両端(外側)の2本8aはねじ式、すなわち、ボルトで、ねじと螺合するナット15が、閉塞板2に溶接により固定されている。更に、図10に示すように、上部側の操作棒8の下部には、閉塞板2の下側に止水パッキン11が設けられている。内側の2本の操作棒8bは、ねじ切りされた棒鋼からなり、その上部側は水平材16によって一体化され、その下部側は、シャッタ板4a、4bの端部の当て板9を挟むために、図3、図5、図10、図12に示すように、コの字型に成形された鋼材17によって連結されている。このコの字型鋼材17の中にシャッタ板4の端部に設けられた当て板9が挟まれて係合されている。なお、これらの上部側の操作棒8の上端には、落下防止用のナット15が螺合され溶接されないで設けられている。クレーン24またはチェーンブロックで内側の操作棒8bを介してシャッタ板4a、4bを上方に吊上げることができる。外側の操作棒8aをねじ込むことによりシャッタ板4a、4bをシールド掘削機5に固定できる。
【0034】
図1、図5、図14に示すように、シャッタ板4cおよび4dの下部側に、それぞれ4本ずつ配された操作棒8は、それぞれの箇所において、4本の操作棒8のうちの両端(外側)の2本8aはねじ切りされている。内側の2本8bは棒鋼からなり、閉塞板2の下方で水平材18によって一体化されている。閉塞板2の上部側には止水パッキン19が設置され(図14参照)、また、操作棒8の先端には抜け止め用ストッパ20が設置されている。内側の棒鋼8bを介してジャッキ23によりシャッタ板4c、4dを押し上げる。
【0035】
シャッタ板4a〜4dの左部側および右部側にそれぞれ4本ずつ配された操作棒8のうち、上下端(外側)の2本8aはねじ式でナット15が閉塞板2に溶接されている。内側の2本の操作棒8bは棒鋼からなり、閉塞板2の内部側にはパッキン(図示せず)が設置されている。また、棒鋼の先端には抜け止め用ストッパ(図示せず)が設置されている。外側の操作棒8aをねじ込むことによりシャッタ板4a〜4dをシールド掘削機5に固定できる。
【0036】
図1、図5に示すように、閉塞板2の上下左右のそれぞれの縁部の中間部には、止水剤注入用のバルブ21が設置されている。
【0037】
このように構成された本発明のエントランス用シャッタ装置は、シールド工法ばかりでなく、推進工法にも適用が可能である。
【実施例1】
【0038】
次に、本発明のエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置にシールド掘削機が到達する場合を説明する。本実施例は、縦坑に設けられたスライドゲート装置に適用するものである。
【0039】
図6〜9は、本発明のエントランス用シャッタ装置を用いたスライドゲート装置にシールド掘削機が到達する工程を示す図面であり、図6は、スライドゲート装置に本発明のエントランス用シャッタ装置およびエントランスが取付けられた状態を示す説明図、図7は、スライドゲート装置にシールド掘削機が到達した状況を示す説明図、図8は、スライドゲート装置にシールド掘削機が到達した後の作業を示す説明図、図9は、エントランスが撤去された状態を示す説明図である。
【0040】
図6に示すように、本発明のシャッタ装置Aが設けられたスライドゲート装置1の前面(縦坑内側)には、エントランス6を構成する円筒形のエントランス金枠6aが取付けられ、その先端にはエントランス閉塞板6bが設置されている。
【0041】
図7に示すように、エントランス6内に高濃度泥水が充填され、スライドゲート3が引上げられ、シールド掘削機5が、開口を充分に開けたシャッタ板4の前記開口を通過して、エントランス金枠6a内に到達する。
【0042】
シャッタ板4を閉じてシールド掘削機5との空隙(クリアランス)を閉塞する。閉塞の手順は、次の通りである。
【0043】
まず、下部のシャッタ板4c、4d(図1、図5参照)を、ジャッキ(図示せず)により、左右均等にしながらシールド掘削機5の下端部にガイド板14が当るまで押し上げて行く。その後左右側から操作棒8でシールド掘削機5に当って止まるまで押し付けて行く。
【0044】
上部のシャッタ板4a、4bをクレーンまたはチェーンブロック(図示せず)により吊上げ、落下防止ナット15を緩め、シャッタ板4a、4bを均等に下げて行く。ガイド板14がシールド掘削機5の頂部に当ったら下げるのをやめて、今度は左右側から操作棒8によってシールド掘削機5に当って止まるまで押し付けて行く。
【0045】
以上の作業が終わったら、ねじ式の操作棒8によりシャッタ板4をシールド掘削機5に完全に固定する。
【0046】
次いで、図8に示すように、スライドゲート装置1に設けられたバルブからセメントおよび急硬剤等を配合した裏込め材22を注入し、他方のバルブから高濃度泥水を抜いて置換を行う。
【0047】
なお、この際、裏込め材の注入圧により、シャッタ板は閉塞板に押付けられるため、その隙間を通って裏込め材がエントランス側に流出することはない。また、図13に示すように、あらかじめシャッタ板にゴム26を貼っておいて、シャッタ板を閉塞板に確実に密着させる方法もある。
【0048】
あるいは、シャッタ板の閉塞板側に薄い帯状のスポンジを外周に沿って貼り付け、シャッタ板と閉塞板との隙間を閉塞する方法もある。
【0049】
次いで、閉塞板2に設置された注入用バルブ21を開放し、止水状態をチェックし、止水が不完全な場合、バルブ21を通じて、止水剤を注入する。
【0050】
次いで、図9に示すように、エントランス閉塞板6bを一部開閉して止水状況を確認し、問題がなければエントランス閉塞板6bおよびエントランス金枠6aを撤去する。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明のエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置からシールド掘削機が発進する例について説明する。本実施例も、縦坑に設けられたスライドゲート装置に適用するものである。
【0052】
図15〜18は、本発明のエントランス用シャッタ装置を用いたスライドゲート装置からシールド掘削機が発進する工程を示す図面であり、図15は、スライドゲート装置に本発明のエントランス用シャッタ装置、エントランスおよびパッキンが取付けられた状況を示す説明図、図16は、エントランス内にシールド掘削機を配した状況を示す説明図、図17は、シールド掘削機が発進してセグメントが組まれた状況を示す説明図、図18は、シールド仮発進を終って仮セグメント、エントランスおよびパッキンが撤去された状態を示す説明図である。
【0053】
本発明のエントランス用シャッタ装置を発進縦坑に使用する場合、従来用いられているパッキン7(図19〜22参照)を組合せて使用することができる。以下に、その使用方法を説明する。
【0054】
図15に示すように、本発明のエントランス用シャッタ装置Aにエントランスパッキン7を装備したエントランス6をスライドゲート装置1の前面に設置する。
【0055】
次いで、図16に示すように、シールド掘削機5をエントランス6内に配し、パッキン7を膨らませ、高濃度泥水を充填する。
【0056】
次いで、図17に示すように、スライドゲート3を引上げてシールド掘削機5を発進し、セグメントを組み立てていく。仮発進が終了したら、エントランス用シャッタ装置Aを閉じて背面側の泥水を裏込め材22と置換する。
【0057】
次いで、図18に示すように、エントランス用シャッタ装置Aを残して、エントランス金枠6aおよびパッキン7を切断して撤去する。
【0058】
以上は、縦坑用のスライドゲート装置の場合について説明したが、本発明は水平坑用(トンネル用)のスライドゲート装置に適用することもできる。この場合は、水平坑に設けられたエントランス用シャッタ装置のシャッタ板を移動させる上下左右の操作棒は、縦坑用と同じ形態となるが、シャッタ板および閉塞板は、水平坑(筒状のトンネル)の稜線が左右方向に直線状となり、上下方向においては湾曲(円形)形状となるため、縦坑に設ける場合とは90度の角度その位置を回転して設けられ、この点が異なるだけで、基本的には縦坑用と同じ方式で適用が可能である。
【0059】
また、本エントランス用シャッタ装置は、スライドゲート装置ばかりでなく、縦坑および水平坑の発進、到達のすべてに適用が可能である。なお、この場合、スライドゲート装置1に代わって、背面板1´が必要であり、背面板1´を土留壁やセグメントに背面から水が漏れないよう密着して設置し、閉塞板をボルト止めする必要がある。
【0060】
また、本発明は、スライドゲート装置の開口が矩形であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のエントランス用シャッタ装置の実施の形態に係るシャッタ板によってシールド掘削機との間の空隙を閉塞する前の状態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】本発明のエントランス用シャッタ装置の実施の形態に係るシャッタ板によってシールド掘削機との間の空隙が閉塞された状態を示す正面図である。
【図6】本発明の実施例1に係るエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置に本発明のエントランス用シャッタ装置およびエントランスが取付けられた状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例1に係る本発明のエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置にシールド掘削機が到達した状況を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例1に係る本発明のエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置にシールド掘削機が到達した後の作業を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例1に係るエントランスが撤去された状態を示す説明図である。
【図10】図6のシャッタを開いている状態を示す部分断面図である。
【図11】スポンジパッキンを示す断面図である。
【図12】図7のシャッタ板が閉じた状態を示す部分断面図である。
【図13】シャッタ板を閉塞板に押付けるためのゴムをシャッタ板に装着した形態を示す部分断面図である。
【図14】下側のシャッタ板の下部側を示す説明図である。
【図15】本発明の実施例2に係るエントランス用シャッタ装置を備えるスライドゲート装置に本発明のエントランス用シャッタ装置、エントランスおよびパッキンが取付けられた状態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例2に係るエントランス内にシールド掘削機を配した状況を示す説明図である。
【図17】本発明の実施例2に係るシールド掘削機が発進しセグメントを組立てた状況を示す説明図である。
【図18】本発明の実施例2に係るエントランスおよびパッキンが撤去された状態を示す説明図である。
【図19】従来例においてスライドゲート装置にエントランスが取付けられた状況を示す説明図である。
【図20】従来例においてスライドゲート装置にシールド掘削機が到達した状況を示す説明図である。
【図21】従来例においてスライドゲート装置にシールド掘削機が到達した後の作業を示す説明図である。
【図22】従来例においてエントランスが撤去された状態を示す説明図である。
【図23】図19の部分断面図である。
【図24】図20の部分断面図である。
【符号の説明】
【0062】
A エントランス用シャッタ装置
1 スライドゲート装置
1a 開口
1´ 背面板
2 閉塞板
2a 開口
3 スライドゲート
4、4a、4b、4c、4d シャッタ板
5 シールド掘削機
6 エントランス
6a エントランス金枠
6b エントランス閉塞板
7 パッキン
8、8a、8b 操作棒
9 当て板
10 縦坑
11 止水パッキン
12 パッキン
13 パッキン
14 ガイド板
15 ナット
16 水平材
17 コの字型鋼材
18 水平材
19 止水パッキン
20 ストッパ
21 注入用バルブ
22 裏込め材
23 ジャッキ
24 クレーン
25 ゴム
26 ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦坑に設けられているシールド発進、到達用の開口部の前面に、開口を有した四角形の鋼板を有し、前記鋼板との間に所定の隙間をあけて、その周辺部に沿って前記隙間の周囲を閉塞して設けられた、開口を有する、四角形の閉塞板と、前記隙間内に、高さ方向および水平方向に移動可能に配された、開口を有し、複数に分割された、シャッタ板と、分割されている前記シャッタ板のそれぞれを、高さ方向および水平方向に移動させるための移動手段とを備えることを特徴とする、エントランス用シャッタ装置。
【請求項2】
前記シャッタ板は、縦横にほぼ4等分に分割され、前記移動手段は、前記シャッタ板の周囲の前記閉塞板に前記閉塞板から突出して設けられた、その先端を前記シャッタ板の外縁部と当接または係合させて、前記シャッタ板を押付けまたは引上げて、前記シャッタ板を移動自在とする操作棒からなる請求項1記載のエントランス用シャッタ装置。
【請求項3】
前記操作棒は、前記シャッタ板を押付けまたは引上げるための棒鋼と、前記閉塞板に固定されたナットと螺合して前記シャッタ板を締付けるためのボルトとからなる請求項2記載のエントランス用シャッタ装置。
【請求項4】
前記シャッタ板の開口部にパッキンが設けられている請求項1から3のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【請求項5】
分割された前記シャッタ板の上部の2枚のシャッタ板間、および/または、下部の2枚のシャッタ板間にガイド板が設けられている請求項2から4のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【請求項6】
前記シールド発進、到達用の開口部が、水平坑に設けられている請求項1から5のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置。
【請求項7】
縦坑壁または水平坑壁とエントランスとの間に請求項1から6のうちの何れか1つに記載のエントランス用シャッタ装置を設け、高濃度泥水が充填されている前記エントランス内に挿入されたシールド掘削機またはセグメントと前記シャッタ板との間の空間を、前記シャッタ板を前記移動手段により移動させて閉塞し、前記シャッタ装置の背面側の前記高濃度泥水を抜くと共に裏込め材と置換することを特徴とするシールド掘削機の発進または到達方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−307455(P2006−307455A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128422(P2005−128422)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(000252207)六菱ゴム株式会社 (41)
【Fターム(参考)】