説明

エンドシアリンのリガンドへの結合を阻害する方法

本発明はエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法を提供する。該阻害は、細胞表面に発現されたエンドシアリンとフィブロネクチン及びコラーゲンの様なリガンドとの相互作用を、FB5としても知られた抗エンドシアリン抗体M4を使ってブロックすることにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2007年4月5日付け出願の米国特許仮出願第60/910,362号及び2007年10月15日付け出願の米国特許仮出願第60/980,026号に対して優先権を主張するものであり、両出願はこの参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般的には免疫療法の分野に関する。より特異的には、本発明は血管新生及び細胞運動を含む細胞機能を阻害するために、エンドシアリンとその基質との相互作用を破壊するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特許、公開された出願、技術文献及び学術論文を含む様々な文献は、本明細書中で引用される。これらの引用文献は、完全に及びすべての目的のためこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
血管新生は制御されたプロセスで新しい血管の形成に関与する。血管新生は正常な成長、胚発生、創傷治癒、及び他の生理的なプロセスに必要不可欠な役割を担う(Yancopoulos et al.(2000)Nature, 407:242−8)。毛細血管が発生する中で、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質は増殖する血管内皮細胞とがん組織の構造的足場として働き、がん細胞の増殖を支援する。新規の血管新生は、がんを含むいくつかの疾病の状態に関与する。そこでは、新しい「胚様」血管(本願明細書では新血管形成と称する)は構造と機能に関して、正常な脈管構造と異なるように見える(Hanahan et al.(2000)Cell,100:57−70)。多くのインビボとインビトロの研究は、血管新生の様々なモデルシステムを用いて、正常と疾患関連の脈管構造の間に生物学的差異があることを実証する。従って、新血管形成疾患の治療のために胚型、がん関連の血管内皮細胞の血管形成を選択的に阻害する新規な抗血管新生化合物の可能性が挙げられる。治療のためのこれらの機会を考慮すると、がん又は他の血管新生疾患関連の血管内皮細胞やストローマ細胞(線維芽細胞、周皮細胞など)の増殖や機能を特異的に阻害することができる潜在的標的の懸命な探索が進行中である。
【0005】
そのような標的同定しようとして、がんストローマ細胞の表面抗原を同定すること及びがんストローマ細胞に発現する特異的タンパク質やRNAを同定する戦略が練られてきた(Rettig et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10832−6;St.Croix et al.(2000)Science, 289:1197−1202)。これらの戦略でがんストローマ細胞に特異的に発現するように見える細胞表面タンパク質が同定され、エンドシアリン(又は、がん血管内皮細胞マーカー1(TEM1)又はCD248)と称された。
【0006】
正常と腫瘍性の組織における遺伝子発現パターンの検証によると、がん新生血管でエンドシアリンのmRNA発現の上昇が示唆された(St.Croix et al.(2000)Science, 289:1197−1202)。同様のエンドシアリンの発現レベルはヒト結腸直腸がん(Rmali et al.(2005)World J.Gastroenterol.,11:1283−1286)、乳がん組織(Davies et al.(2004)Clin. Exp. Metastasis, 21:31−37)、及び組織球腫(Dolznig et al.(2005) Cancer Immun.,5:10)で記述された。ヒトエンドシアリン発現は、高い浸潤性の神経膠芽腫、未分化星状細胞腫、及びメラノーマを含む浸潤性細胞癌で観察されてきた(Brady et al.(2004)J. Neuropathol. Exp. Neurol., 63:1274−1283;Huber et al.(2006) J. Cutan. Pathol,.33:145−155)。
【0007】
免疫組織化学の研究で抗体を使うことにより、悪性組織中の多くの新血管形成血管内皮細胞、線維芽細胞、及び/又は周皮細胞(Virgintino et al.(2007)Angiogenesis, 10:35−45)で、エンドシアリンの強い発現が見出された。一方、限定はされないがHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)、又はHMVEC(新生児皮膚微小血管内皮細胞)のような胚様血管内皮細胞培養由来の細胞株での発現は限定的である。エンドシアリンに結合することができる抗体、ポリペプチド又は非タンパク質リガンドの解析により、エンドシアリンがその基質に結合する能力を抑制し、及び/又は細胞うっ血や細胞死を誘導する細胞内活性を抑制する分子のサブセットを同定してきた。
【0008】
Rettig et al.は、様々ながんの型で血管上の抗原を認識するモノクローナル抗体を記述した(Rettig et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10832−6)。これらのうち一つはFB5と表記され、ヒト胚線維芽細胞をマウスに免疫することで作製された。FB5は神経膠芽腫の細胞株LA1−5s(米国特許NO.5,342,757)の細胞表面の約100kDaのタンパク質を認識する。FB5はエンドシアリンに結合するマウス抗体(IgG1)で、様々な異なるがんの型に関連した血管内皮細胞を認識することが示されてきた。構造的評価ではエンドシアリンがC型レクチン様で、膜内在性タンパク質で5つの球状細胞外ドメインを含む(C型レクチンドメイン、一つのSushi/ccp/scrパターンと相同性のあるドメイン、3つのEGFリピートを含む)と分類される。該タンパク質はムシン様領域と膜貫通セグメント、及び短い細胞質側末端を含んでいる。該タンパク質は糖タンパク質であるように見える。糖の解析によりエンドシアリンのコアタンパク質はO結合型糖鎖修飾を多く含むことが示されている(Christian et al.(2001)J.Biol.Chem.,276:48588−48595)。引き続く仕事により、マウスFB5の相補性決定領域(CDRs)をヒトIgG1骨格に組み入れることでHMVEC培養中のサブセット細胞と同様に悪性組織中の血管に結合するヒト化抗体を作製した。
【0009】
Tem1ノックアウトマウスは正常に発生し正常な創傷治癒を示す。このことは、エンドシアリンが胎児発生又は創傷修復における新血管形成に必要ではないことを示唆している(Nanda et al.(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 103:3351−3356)。結腸直腸がん細胞がTem1ノックアウトマウスの腹部に移植されると、しかしながら、エンドシアリンの発現の消失は、親動物と比べてがんの増殖、浸潤、及び転移の減少と相関していた。エンドシアリンの発現の消失により、エンドシアリンノックアウトマウス中でのヒトがんの異種移植の増殖、浸潤及び転移が減少することを示した(Nanda et al.(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 103:3351−3356)。さらに付け加えると、エンドシアリンの欠如は小さな未成熟の血管の増加と中程度から大きながんの血管の数の減少を導いた。
【0010】
新血管形成は多くの疾病状態と関連がある。がんでは、新血管形成は腫瘍に血液を供給するために重要であると信じられている。非腫瘍学のがん又は網膜症及び黄斑変性症のような悪性疾患では、制御されていない新血管形成は失明を引き起こす(Wilkinson−Berka(2004)Curr.Pharm.Des.,10:3331−48;Das and McGuire(2003)Prog.Retin.Eye Res.,22:721−48)。さらに、炎症性疾患において新血管形成の役割を同定したいくつかの報告がある(Paleolog and Miotla (1998) Angiogenesis,2(4):295−307)。胚様血管内皮細胞及び前駆細胞、同様にこれらの疾患状態に関連した血管内皮細胞関連細胞(周皮細胞、線維芽細胞など)において分子パスウェイをよりよく理解する方法は、新規な薬剤を開発してこれらの疾患を治療するよう導くだろう。逆に、新血管形成は創傷治癒に関連する(Galiano et al.(2004)Am. J. Pathol., 164:1935−47)。創傷治癒で血管形成を促進する分子パスウェイの同定は、外傷、やけど及び感染と関連した創傷治療を亢進するこれらのプロセスを助長する薬剤や因子を同定する能力を提供することができる。
【0011】
効果的な抗血管新生及び血管新生促進療法の難しい問題は、新血管形成と関連した細胞プロセスを活性化するのに重要な分子及び関連パスウェイの生物学的プロセスの本質が定義されていないことである(Bagley et al.(2003)Cancer Res.,63:5866−73)。既知のパスウェイを制御する分子やその機能を同定し明らかにする能力は、がん、炎症、眼疾患、循環器疾患、及び創傷治癒のような新血管形成関連疾患において刺激性又は阻害性の活性をもつ効果的な化合物の単離へと導くことができる。分子に基づくアッセイによりこれらの化合物を単離し研究する能力は、正常な成体組織での血管に関与する成体様血管内皮細胞と対照的に、新血管形成に関与する細胞の正常な生物活性を特異的に抑制し又は刺激する効果を評価するのにさらなる有用性を提供するであろう(Asahara and Kawamoto(2004)Am.J.Physiol.Cell Physiol.,287:C572−9)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はエンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法を特徴とする。
【0013】
一つの側面として、前記方法は遺伝学的レベルでエンドシアリン発現細胞中でのエンドシアリンの発現を阻害することを含む。エンドシアリンリガンドはコラーゲンやフィブロネクチンの様な細胞外マトリックスタンパク質でもあり得る。いくつかの実施形態では、該リガンドはコラーゲンI又はコラーゲンIVである。好ましい実施形態では、該細胞は哺乳類細胞である。遺伝学的レベルでのエンドシアリン発現制御は、アンチセンス核酸分子、二重鎖RNA、リボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、デコイオリゴヌクレオチド、およびそれと類似するものなど先行技術にある適切な任意の方法で達成され得る。エンドシアリンの発現制御はエンドシアリン遺伝子をノックアウトすることによっても達成され得る。
【0014】
他の側面では、該方法はエンドシアリン発現細胞の細胞表面に発現するエンドシアリンを物理的に妨害し、従って、該細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することを含む。エンドシアリンリガンドはコラーゲン(例えばコラーゲンI又はコラーゲンIV)又はフィブロネクチンのような細胞外マトリックスタンパク質であり得る。
【0015】
細胞表面のエンドシアリンの阻害は、低分子阻害剤、ポリペプチド阻害剤、エンドシアリンに特異的に結合する抗体、エンドシアリンリガンドに特異的に結合する抗体、及びそれと類似するものなど先行技術にある適切な任意の方法で達成され得る。いくつかの実施形態では、競合的阻害剤が、エンドシアリン又はエンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害するために使用される。いくつかの実施形態では、該競合的阻害剤はエンドシアリンのリガンド、エンドシアリンリガンドのエンドシアリン結合断片、例えばコラーゲンやフィブロネクチンのエンドシアリン結合断片であろう。好ましい競合的阻害剤はコラーゲンI、コラーゲンIV又はフィブロネクチンのエンドシアリン結合断片である。最も好ましい競合的阻害剤はフィブロネクチンの70kDaN末端断片、フィブロネクチンの45kDaゼラチン結合断片、及びフィブロネクチンの30kDaへパリン結合断片である。
【0016】
適した抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、抗原に特異的に結合する抗原結合断片、及びそれに類似するものであり得る。いくつかの実施形態では、抗原への抗体の親和性は、好ましくは約1x10−7M未満であり、より好ましくは約1x10−8M未満であり、さらにより好ましくは約1x10−9M未満であり、そして最も好ましくは約1x10−10M未満である。いくつかのより好ましい実施形態では、該抗体はエンドシアリン抗体又はエンドシアリンを特異的に認識する抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、該抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列ID番号28,30,及び32のCDR1、CDR2,及びCDR3を含む重鎖及び、それぞれ配列ID番号13,15,及び17のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号34の可変領域を含む重鎖及び、配列ID番号19の可変領域を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び、配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。M4及びM4.1抗体はヒトエンドシアリンに対するヒト化抗体である。M4及びM4.1抗体は軽鎖の配列を共有しているが、配列ID番号24の429番残基に対応して配列ID番号20の429番残基であるように重鎖が1アミノ酸異なっている。該アミノ酸の変化は配列ID番号23の1286番のヌクレオチドに対応して配列ID番号19の1286番のヌクレオチドに1ヌクレオチド置換の結果である。いくつかの実施形態では、本発明と一致して使用される抗体は、ATCCアクセス番号PTA−7754又はATCCアクセス番号______を有する細胞により生産される。
【0017】
エンドシアリンとエンドシアリンのリガンドとの相互作用の阻害は、正常な相互作用によってもたらされるパスウェイ、カスケード、及び下流の効果に影響を与え得る。例えば、エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を妨害し又は阻害することは、インテグリンの活性化、マトリックスメタロプロテアーゼの活性化、及び/又はマトリックスメタロプロテアーゼの発現を阻害し得る。細胞運動が阻害され得る。最も好ましくは血管新生、新血管形成が阻害される。
【0018】
いくつかの実施形態では、エンドシアリン発現細胞とそのリガンドとの相互作用の阻害は、インテグリンβ1、β2又はβ3の活性化を阻害する。いくつかの実施形態では、エンドシアリン発現細胞とそのリガンドとの相互作用の阻害は、細胞遊走を阻害する。いくつかの実施形態では、エンドシアリン発現細胞とそのリガンドとの相互作用の阻害は、マトリックスメタロプロテアーゼの活性化と発現を阻害し得る。好ましい実施形態では、マトリックスメタロプロテアーゼはMMP−9である。
【0019】
本発明は、血管新生と新血管形成を阻害する方法を特徴とする。該方法はインビトロ及びインビボで血管新生と新血管形成を阻害することを含む。いくつかの側面では、該方法は被検体に、エンドシアリンに特異的に結合する抗体又は抗原結合断片を、又は細胞表面に発現するエンドシアリンを妨害することで細胞とエンドシアリンのリガンドとの相互作用が阻害される組成物を、治療的に有効量投与することを含む。この阻害が、該組成物を投与した被検体中の組織、器官、又は腫瘍の血管新生及び/又は新血管形成を抑制する。エンドシアリンリガンドは、コラーゲン(例えばコラーゲンI又はコラーゲンIV)又はフィブロネクチンのような細胞外マトリックスタンパク質であり得る。該組成物は細胞表面のエンドシアリンとエンドシアリンリガンドの少なくとも一つとの相互作用を物理的に妨害し得る任意の分子、ここに記載されたもの及び本願明細書中に例示されたものを含み得る。そのような分子の例は、限定はされないが、低分子阻害剤、ポリペプチド阻害剤、エンドシアリンに特異的に結合する抗体、エンドシアリンリガンドに特異的に結合する抗体、抗原結合断片及び、それに類似するものを含む。適した抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、抗体断片、及びそれに類似するものであり得る。
【0020】
また、特徴とするのは、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を増強する(作動薬)又は減少させる(拮抗薬)薬剤の同定のためのアッセイと方法である。そのような拮抗薬を同定する方法の一面では、該方法はエンドシアリンとテスト化合物を接触させて、エンドシアリンとテスト化合物複合体を形成させ、エンドシアリンとテスト化合物複合体をエンドシアリンリガンドと接触させ、定量的にエンドシアリンとそのリガンドとの結合をテスト化合物の存在下及び非存在下で測定することを含む。そこでは、テスト化合物の存在下でエンドシアリンとそのリガンドとの相互作用のレベルが減少することは、テスト化合物がエンドシアリンとそのリガンドとの相互作用する拮抗薬であることを示す。一つの実施形態では、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用の作動薬又は拮抗薬を同定する方法は、エンドシアリンとそのリガンドとをテスト化合物の存在下及び非存在下で接触させ、定量的にエンドシアリンとそのリガンドとの相互作用を測定することを含む。そこでは、テスト化合物の存在下でエンドシアリンとそのリガンドとの相互作用のレベルが増加し又は減少することが、テスト化合物がエンドシアリンとそのリガンドとの相互作用のそれぞれ作動薬又は拮抗薬であることを示す。本発明のアッセイでは、エンドシアリンは細胞膜、細胞膜断片、人工脂質二重膜又は固相担体に結合し得る。いくつかの側面では、該リガンドは固相担体に結合し得る。エンドシアリンリガンドはコラーゲン又はフィブロネクチンの様な細胞外マトリックスタンパク質であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の方法と他の側面に関連する様々な用語は本明細書と特許請求の範囲の全体にわたり使用される。そのような用語は他に記述されない限り技術において通常な意味で用いられる。他の特に定義した用語は本明細書中で与えられた定義と矛盾しないように解釈される。
【0022】
本発明は特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物系に制限されることはなく、当然ながら変更されることは理解されるものとする。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で使用されるものであり、限定する意図はないこともまた理解される。
【0023】
本明細書および添付の請求項に用いられる、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その内容が明らかに別のことを示していない限り、複数の言及を含む。従って、例えば「a cell(細胞)」の言及は2若しくはそれ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
【0024】
本明細書に列挙した各範囲は、本明細書に含まれる特定の数字だけでなく、範囲内のすべての組み合わせ及びサブコンビネーションを含む。
【0025】
本明細書に用いるとおり、「約」という用語は、量、一時的な期間など、測定可能な値を指す場合、特定の値からの±20%又は±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、まださらに好ましくは±0.1%のばらつきを含むことを意味し、そのようなばらつきは開示された方法を実施する上で適応する。
【0026】
「エンドシアリン特異的アッセイ」(ESA)は、エンドシアリンの発現と生物学的活性を直接又は間接的に攪乱させることができる化合物を同定するために用いられるアッセイを称する。そしてそれは、エンドシアリン発現細胞又はエンドシアリンとEMPsとの、エンドシアリンを介した若しくはインテグリンを媒介するメカニズムを介して変更された直接又は間接の結合を生じ、そして、特に限定されないがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)及び/又は細胞増殖と生存の様な細胞内在性のパスウェイを修飾する。
【0027】
「ポリヌクレオチド」、同意語として「核酸」又は「核酸分子」と称するが、これらは任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシヌクレオチドを指し、それらは非修飾のRNA又はDNAあるいは修飾されたRNA又はDNAでもあり得る。「ポリヌクレオチド」は、限定はされないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖と二本鎖領域が混ざったDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖と二本鎖領域が混ざったRNA、一本鎖又はより典型的には二本鎖もしくは一本鎖と二本鎖領域が混ざったDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を含む。さらに、「ポリヌクレオチド」はRNA又はDNAもしくはRNA及びDNAの両者を含む三本鎖領域を指す。ポリヌクレオチドの用語は一以上の修飾された塩基を含むDNAs又はRNAs、安定性又は他の理由で骨格が修飾されたDNAs又はRNAsをもまた含む。「修飾された」塩基は、例えば、トリチル化された塩基及びイノシンのような普通でない塩基を含む。様々な修飾がDNAとRNAにされ得る。従って「ポリヌクレオチド」は典型的に自然界に見出されるような化学的に、酵素学的に、代謝的に修飾された形態を包含し、ウイルスや細胞に特徴的なDNAとRNAの化学的な形態をまた包含する。「ポリヌクレオチド」は比較的短い核酸鎖、しばしばオリゴヌクレオチドと称するものも包含する。
【0028】
「ベクター」はプラスミド、ファージ、コスミド又はウイルスのようなレプリコンであって、別の核酸セグメントが作動的に挿入されて該セグメントの複製と発現をもたらす。
【0029】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は本明細書で同義的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。前記用語は、1または複数のアミノ酸残基が対応する天然型アミノ酸の人工化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマー、および天然型アミノ酸ポリマーおよび非天然型アミノ酸ポリマーにも当てはまる。本発明のポリペプチドには、保存的修飾変異体を含む。当業者であれば、コード化配列中の単一アミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列の置換、欠失、または付加は「保存的修飾変異体」であり、前記変化により、アミノ酸が化学的に類似のアミノ酸と置換されることが認識される。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は当該分野で周知である。そのような保存的修飾変異体は、本発明の多型変異体、種間相同体、および対立遺伝子に追加され、これらを除外しない。
【0030】
核酸分子の「発現する」、「発現された」、又は「発現」の用語は、遺伝子産物の生合成のことを指す。前記用語は遺伝子のRNAへの転写を含む。例えば、限定されるものではないが、アンチセンス核酸又は干渉核酸のような制御的遺伝子はアンチセンスRNA若しくはRNAi又はshRNAとして転写されることで発現され得る。前記用語はまた、RNAが一または複数のポリペプチドに翻訳されることを含み、任意の天然型転写後及び翻訳後修飾を含む。
【0031】
細胞は、DNAが細胞内に導入された時に、外来性又は異種のDNAの様な核酸により「形質転換」又は「トランスフェクト」される。形質転換されるDNAは、細胞のゲノムに組み込まれる(共有結合性に結合)かもしれないし、又はないかもしれない。原核生物、酵母、哺乳類細胞中では、例えば、形質転換されるDNAはプラスミドのようなエピソームの要素として維持される。真核細胞に関しては、安定に形質転換した細胞、又は「安定細胞」は、形質転換したDNAが染色体に組み込まれて、染色体の複製によって娘細胞へと遺伝していく細胞である。この安定性は、真核細胞が形質転換したDNAを含む娘細胞の集団からなる細胞株又はクローンを樹立する能力により示される。「クローン」は単一細胞又は有糸分裂による共通の先祖に由来する細胞集団である。細胞株は多数世代に渡りインビトロで安定的に成長することができるプライマリー細胞のクローンである。
【0032】
本明細書中で用いられる「テスト化合物」は、任意の精製された分子、実質的に精製された分子、化合物の混合物の一つ又は複数の成分である分子、本発明の方法で用いられる得る任意の他の物質をもつ化合物の混合物を指す。テスト化合物は、有機又は無機の化学物質若しくは生体分子、及び任意の断片、類似体、相同体、複合物、並びにその派生物であり得る。「生体分子」はタンパク質、ポリペプチド、核酸、脂質、単糖、多糖、及び任意の断片、類似体、相同体、複合物、並びにその派生物を含む。テスト化合物は天然又は合成起源で、天然由来の原料から単離又は精製され得、若しくは新規に合成され得るものである。テスト化合物は、構造又は組成に関して定義され得、若しくは定義され得ない。該化合物は、構造の知られていない単離された生成物、いくつかの既知の生成物の混合物、又は一つ又は複数の化合物を含む定義されていない組成物であり得る。定義されていない組成物の例は細胞及び組織の抽出物、原核生物、真核生物及び古細菌が培養される成長培地、発酵ブロス、タンパク質発現ライブラリー、並びにその類似物などを含む。
【0033】
「ノックダウン」は、一つ又は複数の遺伝子の発現が減少する細胞や生命体を指す。当業者であれば理解されるように、ノックダウンは、少なくとも発現の約50%減少を示し、好ましくは少なくとも発現の約67%減少を示し、より好ましくは少なくとも発現の約75%減少を示す。より高い減少が可能であり、ノックダウンは、少なくとも発現の約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多くの減少を示す。
【0034】
「阻害する」又は「阻害」もしくは「干渉する」は、遺伝子、遺伝子産物(例えばポリペプチド)、又は標的のパスウェイの生物学的活性若しくは発現を、縮小させ、減少させ、ブロックし、阻止し、遅らせ、抑制し、不活性化し、脱感作し、停止し、ダウンレギュレートすることを意味する。いくつかの本発明の好ましい実施形態では、タンパク質又は標的のパスウェイ、例えばエンドシアリン又は細胞遊走パスウェイの発現若しくは生物活性の阻害は、約50%から約99%より大きな減少(阻害又はダウンレギュレーション)を指し、より具体的には約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多くの減少を示す。阻害は直接的、つまり標的の分子又はパスウェイそのものに作用するかもしれないし、又は間接的、つまり標的の分子やパスウェイに影響を与える分子やパスウェイに作用するかもしれない。
【0035】
「リコンビナント」が例えば細胞、核酸、タンパク質、又はベクターに関して使用された場合、細胞、核酸、タンパク質、又はベクターが異種の核酸又はタンパク質を導入することで修飾されたこと、若しくは、天然の核酸又はタンパク質が変更されたこと、あるいは細胞がそのように修飾された細胞に由来することを指す。従って、例えば、リコンビナント細胞は、天然型の(非リコンビナント)細胞中に見出せない遺伝子を発現し、又は、別の面では異常に発現した天然型の遺伝子を、その発現下又はまったく発現していない状態で発現する。
【0036】
「有効量」及び「治療的に有効量」の用語は本明細書中で同意義に用いられ、本明細書中に記載されるように抗体、抗原結合断片または組成物の、限定はされないが、開示され記載され本明細書中に例示された生物学的結果のような特異的生物学的結果を達成するのに有効な量を指す。そのような結果は、限定はされないが、技術に適した任意の方法により特定される、血管新生又は新血管形成と関連した疾患の治療を含む。
【0037】
本明細書中で使用される「計測する」又は「測定する」の用語は任意の定性的又は定量的測定を指す。
【0038】
「エンドシアリンリガンド」は、エンドシアリンに結合し、相互作用し、刺激し、及び/又は発現を変更する任意の化学物質、生体分子、複合体又は類似物、相同体、若しくはその派生物を指す。
【0039】
記載されない限り、「被検体」又は「患者」は同意義に用いられ、人間の患者及びヒトでない霊長類の様な哺乳類、並びにウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス及び他の動物のような実験動物を指す。従って、本明細書中で使用される「被検体」又は「患者」は、本発明の組成物が投与され得る任意の哺乳類患者又は被検体を意味する。
【0040】
「血管新生」は新しい血管の形成を指す。
【0041】
「新血管形成」は、正常では血管を含まない(複数の)組織や(複数の)器官に新しい血管が病的に増殖すること、もしくは特異的組織や器官に正常と違ったタイプ又は量の血管が病的に増殖することを指す。
【0042】
「エピトープ」は抗体結合部位として働く抗原の免疫学的決定因子を指す。本明細書中で使用される「立体構造的エピトープ」という用語は、アミノ酸の連続的系列よりも抗原のアミノ酸間の空間的関連により形成された不連続のエピトープを指す。
【0043】
「単離された」という用語は自然状態から「人間の手により」変更されたことを意味する。もし分子又は組成物が自然界にあるなら、本来の環境から変化し又は取り除かれた若しくはその両方であるなら「単離された」とされる。例えば、生存している植物や動物に天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離され」ていない。しかし、天然の状態の共存する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離された」と本明細書中で前記用語が用いられる。
【0044】
核酸とアミノ酸配列に関して「実質的に同一」とは、2以上の配列の間で少なくとも約65%同一であることを意味する。好ましくは、前記用語は2以上の配列の間で少なくとも約70%同一であることを指し、より好ましくは少なくとも約75%同一であること、より好ましくは少なくとも約80%同一であること、より好ましくは少なくとも約85%同一であること、より好ましくは少なくとも約90%同一であること、より好ましくは少なくとも約91%同一であること、より好ましくは少なくとも約92%同一であること、より好ましくは少なくとも約93%同一であること、より好ましくは少なくとも約94%同一であること、より好ましくは少なくとも約95%同一であること、より好ましくは少なくとも約96%同一であること、より好ましくは少なくとも約97%同一であること、より好ましくは少なくとも約98%同一であること、及びより好ましくは少なくとも約99%又はそれ以上同一であることを指す。
【0045】
エンドシアリンがフィブロネクチン又はコラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質と特異的に相互作用することが、本発明と一致して発見された。前記相互作用が細胞遊走を促進し、及びさらに血管新生を促進し亢進することも発見されてきた。これらの観察に加えてさらに、エンドシアリンと細胞外マトリックスタンパク質の相互作用を乱すことは細胞遊走を抑制させ及び血管新生を抑制することが発見されてきた。従って、本発明はエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法を特徴とする。
【0046】
一面において、本発明はエンドシアリン発現細胞に発現されるエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法を特徴とする、いくつかの好ましい実施形態では、該方法は細胞でのエンドシアリンの発現を阻害することを含む。エンドシアリンの発現を阻害することは遺伝子レベル又はタンパク質レベルで起こり得る。例えば、エンドシアリンの発現を阻害することは、エンドシアリンをコードするDNAをターゲットとし又はエンドシアリン遺伝子のmRNA転写産物をターゲットすることを含み得る。
【0047】
遺伝子制御の方法は既知であり先行技術で容易に実行され、本発明の方法の中ですべて使用に適している。例えば、エンドシアリン(例えば、配列ID番号1、3、又は5)をコードするトランスジーンを発現するように特異的に操作された細胞中では、該トランスジーンは誘導性プロモーターの制御下に配置され得る。本発明で使用されるのに適した誘導性プロモーターは当業者に知られている。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態では、エンドシアリンをコードする遺伝子は、様々な他の転写後ジーンサイレンシング(RNAサイレンシング)技術を使用することで阻害され得る。RNAサイレンシングは、二重鎖RNA(dsRNA)を小さな21−28ヌクレオチドの断片にRNaseHベースの酵素(「ダイサー」又は「ダイサー様」)により加工することに関与する。該切断産物は、siRNA(低分子干渉RNA)又はmiRNA(マイクロRNA)であるが、配列特異的様式で遺伝子発現を制御するタンパク質エフェクター複合体に取り込まれる。
【0049】
RNA干渉(RNAi)は、二重鎖RNA(dsRNA)によって媒介される転写後ジーンサイレンシングのメカニズムであり、アンチセンス及びリボザイムベースのアプローチとは異なっている(Jain, Pharmacogenomics(2004)5:239−42参照。RNAi及びsiRNAのレビュー)。RNA干渉は、細胞中又はヒトのような動物中で、細胞を形質転換したり又は、エンドシアリンをコードする遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし標的遺伝子の発現を減弱する核酸(例えばdsRNA)を動物に投与することで、エンドシアリンの発現を阻害する方法に有益である。RNA干渉はエンドシアリン遺伝子の一つ又は複数の領域を標的とする複数の配列を含むshRNA又はsiRNAを提供する。二重鎖RNA(dsRNA)分子(shRNA又はsiRNA)は、様々な種類の細胞中でmRNAの配列特異的分解を指揮すると考えられている。それは、第一にRNaseIII様のDICER(Bernstein E et al.(2001)Nature409:363−366)と称する酵素により,二つの21ntの鎖、つまり其々が5’のリン酸基及び3’ヒドロキシル基を持ち、他方の鎖と完全に相補的な19nt領域を含み、従って2ntの3’オーバーハングで隣接された19ntの二重鎖の領域をもつ鎖を含む小さなdsRNAにプロセスされる。RNAiはこのように、典型的には約19ヌクレオチドの二重鎖に1−2ヌクレオチドの3’オーバーハングが其々の鎖についていて、全体の長さが約21及び23ヌクレオチドである低分子干渉RNAs(siRNA)により媒介される。哺乳類細胞では約30ヌクレオチドより長いdsRNAは、典型的にはインターフェロン反応を介した非特異的mRNAの分解を誘導する。しかしながら、哺乳類細胞でsiRNAが存在することは、インターフェロン反応を誘導すること以外では、配列特異的ジーンサイレンシングを生じる。
【0050】
ウイルスベクター又はDNAベクターは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)をコードし、それは細胞の細胞質中で低分子干渉RNA(siRNA)へと加工される。一般的に低分子干渉RNA(siRNA)は、好ましくは約19塩基対の長さであるRNA二重鎖を含み、選択的にさらに一つ又は二つの一本鎖オーバーハング又はループを含む。一つのsiRNAは、両者がハイブリダイズした二つのRNA鎖を含み得、又は代わりに自己ハイブリダイズする部分を含んだ一本鎖RNAを含み得る。siRNAsは、リン酸基及び/又はヒドロキシル基を含み得る一つ又は複数の自由な鎖の末端を含み得る。siRNAsは標的転写産物とストリンジェントな条件でハイブリダイズする部分を典型的に含む。
siRNAの一つの鎖(又はsiRNAの自己ハイブリダイズする部分)は標的転写産物の領域と典型的に完全に相補的であり、siRNAは標的転写産物と一つのミスマッチもなしにハイブリダイズすることを意味する。完全な相補性が達成されない本発明のある実施形態では、任意のミスマッチはsiRNAの末端又はその近傍に位置していることが一般に好まれる。
【0051】
siRNAは、トランスフェクション、エレクトロポレーション、カチオン性リポソームを媒介するトランスフェクション、又はマイクロインジェクションの様な方法で哺乳類細胞に導入された場合、もしくは様々なプラスミドベースの任意の方法で細胞に発現された場合、遺伝子発現をダウンレギュレートすることが示されてきた。siRNAを用いたRNA干渉は、以下の文献で概説されている。例えば、Tuschl(2002)Nat.Biotechnol.20:446−8、Yu J−Y et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 99:6047−52、Sui G et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 99:5515−20、Paddison et al.(2002)Genes and Dev.,16:948−58、Brummelkamp et al.(2002)Science, 296:550−3,2002、Miyagashi et al.(2002)Nat.Biotechnol.,20:497−500、及びPaul et al.(2002)Nat.Biotechnol.,20:505−8。前記文献や他の文献に記載されるように、siRNAは2つの其々の核酸鎖からなり、又はヘアピン(ステムループ)構造を形成することができる自己相補的な領域を持つ一本鎖からなり得る。構造、長さ、ミスマッチの数、ループの大きさ、オーバーハングにあるヌクレオチドの同一性などの多くの変異体は、siRNAが引き起こす効果的なジーンサイレンシングで一致している。任意の理論に拘束されることを望んではいないが、様々な異なる前駆体を細胞中でプロセスすること(例えば、DICERによって)で、効果的にジーンサイレンシングを媒介することができるsiRNAの生産を生じると考えられている。一般的にイントロンよりもエクソンを標的にすることが好まれる。また、標的転写産物の3’部分中の領域と相補的な配列を選択することも好ましい。一般的に、異なるヌクレオチドがおよそ等モルの割合で含まれる配列を選択し、及び一つの残基が複数回反復される配列を避けることが好まれる。
【0052】
siRNAはこのように、約19ヌクレオチドの二重鎖の領域に1−2ヌクレオチドの3’オーバーハングが其々の鎖についていて、全体の長さが約21及び23ヌクレオチドの間であるRNA分子を含み得る。本明細書中で使用されるように、siRNAはまた、インビボでプロセスされて前記分子を生成する様々なRNA構造を含む。前記構造は、2つの相補的な配列がお互いにハイブリダイズしてステム、ループ、及び選択的にオーバーハング、好ましくは3’オーバーハングを形成することを含有するRNA鎖を含む。好ましくは、該ステムは約19bpの長さで、該ループは約1−20、より好ましくは約4−10、及び最も好ましくは約6−8ntの長さであり、及び/又は該オーバーハングは約1−20、より好ましくは約2−15ntの長さである。本発明のある実施形態では、該ステムは最少19ヌクレオチドの長さで、最大約29ヌクレオチドの長さでもあり得る。4ヌクレオチド又はそれより大きいループは、それより短いループよりも立体障害の影響を受ける可能性が高くないので、従って好ましいといえよう。該オーバーハングは5’リン酸基と3’ヒドロキシル基を含む。該オーバーハングは複数のU残基、例えば1から5の間のU残基を含む必要はないが、含んでもよい。前記の典型的なsiRNAは、標的であるmRNAの分解を引き起こし、従って、タンパク質生成の速度を減少させる。典型的なパスウェイにより機能するsiRNAsに加えて、鋳型転写産物の3’UTRに結合するある種のsiRNAは、鋳型転写産物でコードされるタンパク質の発現を、典型的なRNA干渉と異なるが関連するメカニズムで、例えば安定性を減少させるよりは転写産物の翻訳を減少させることにより阻害しうる。そのようなRNAはマイクロRNAs(miRNAs)と称し、典型的には約20から26ヌクレオチドの長さであり、例えば22ntの長さである。それらは、小分子RNAs(stRNAs)またはmRNA前駆体で、典型的には約70ntの長さで約4−15ntのループを持つとして知られているより大きな前駆体に由来する(Grishok et al.(2001)Cell,106:23−4、Hutvagner et al. (2001)Science,293:834−8、Ketting et al.(2001)Genes Dev.,15:2654−9)。この型の内在性のRNAsは哺乳類を含む様々な生物で同定され、転写後ジーンサイレンシングのこのメカニズムが広範なものであろうことを示唆している(Lagos−Quintana et al.(2001)Science,294:853−8,2001、Pasquinelli(2002)Trends Gen.,18:171−3)。マイクロRNAsは哺乳類細胞で標的部位を含む標的転写産物の翻訳を阻止することが示されている(Zeng et al.(2002)Mol.Cell,9:1327−33)。
【0053】
3’UTR中(又は標的転写産物のどこか)に結合し翻訳を阻害する天然型の又は人工の(ヒトにより設計された)mRNAのようなsiRNAsは、siRNA/鋳型二重鎖中のたくさんのミスマッチを許容し得、特に該二重鎖の中心領域にあるミスマッチを許容するだろう。事実、いくつかのミスマッチは、インビトロで翻訳を阻害することが示されてきたmRNAと同様に天然型のstRNAがしばしばそのようなミスマッチを示すように、望ましくまたは必要とされるだろうという証拠がある。例えば、標的の転写産物とハイブリダイズする場合、そのようなsiRNAはミスマッチの領域により分離された二つの完全に相補的な配列をしばしば含む。様々な構造が可能である。例えば、該mRNAは一致しない(ミスマッチ)の複数の領域を含み得る。一致しない(ミスマッチ)の領域は、ある意味では対称的である必要はなく、標的とmRNAの両者は対になっていないヌクレオチドを含む。典型的には、完全な相補的な配列は少なくとも5ヌクレオチドの長さで、例えば6、7、それ以上のヌクレオチドの長さであり、一方ミスマッチの領域は例えば、1、2、3,4ヌクレオチドの長さである。
【0054】
siRNA及びmRNA前駆体を模倣するように設計されたヘアピン構造は細胞内でプロセスされて標的の転写産物の発現を減少し又は阻害することができる分子になる(McManus et al.(2002)RNA 8:842−50)。前記ヘアピン構造は2つのRNA鎖が19bpの二重鎖を形成することからなる典型的なsiRNAsに基づいているが、クラスI又はクラスIIヘアピンと分類される。クラスIヘアピンは、アンチセンスsiRNA(つまり阻害することが望まれる標的転写産物と相補的な鎖)の5’又は3’末端のループを取り込むが、その他では典型的なsiRNAsと同一である。クラスIIヘアピンは、19nt二重鎖の領域とその二重鎖のアンチセンス鎖の3’又は5’のいずれかの末端のループとさらにステムでの一つ又は複数のヌクレオチドのミスマッチを含むmRNA前駆体に似ている。前記分子は細胞内でサイレンシングを媒介する小さなRNA二重鎖構造に加工される。それらは、天然型mRNAs及びsiRNAsがそうであると考えられるように、翻訳抑制よりは標的mRNAの分解を通して機能するように思われる。
【0055】
このように、二重鎖構造を含むRNA分子の多様な型が様々なメカニズムでサイレンシングを媒介することができることは明白である。本発明の目的のために、任意のそのようなRNAは、その一部分が標的転写産物に結合し、分解を引き起こすこと、翻訳を阻害すること、又は他の手段で発現を減少させるものであるが、siRNAと考えられる。そして、そのようなsiRNA(つまり該RNAの前駆体として働く)を生成する任意の構造は本発明を実行するのに有益である。
【0056】
本発明で用いられるRNA干渉のさらなる方法は低分子ヘアピンRNAs(shRNA)の使用である。特に望まれるsiRNAの配列をコードするDNA配列を含むプラスミドはトランスフェクション又はウイルスを介した感染により、標的細胞に運ばれる。細胞の中にいったん入ると、該DNA配列は継続的にRNA分子に転写され、自分自身に折り重なり、分子内の塩基対合を介してヘアピン構造を形成する。前記ヘアピン構造は細胞で加工されてトランスフェクトされたsiRNAと同等なものになり、細胞により標的タンパク質のRNAiを媒介するものとして用いられる。shRNAの使用はsiRNAのトランスフェクションにおけるよりも前者がタンパク質の発現の安定した長期の阻害を導く点で利点がある。トランスフェクトされたsiRNAsによるタンパク質発現の阻害は、数日よりも長い期間起こらない一過性の現象である。いくつかの場合では、このことは好ましく及び望まれるものであろう。より長い期間タンパク質発現の阻害が必要な場合、shRNAを介した阻害が好まれる。shRNAの使用は特に好まれる。典型的には、siRNAをコードするベクターは、プロモーター、「センス」方向のサイレンスされる標的遺伝子の配列、スペーサー、標的遺伝子配列のアンチセンス、及びターミネーターを含むコンストラクトである。
【0057】
エンドシアリンの発現の阻害は、また、先行技術に知られ容易に実行される他の方法でも達成され得る。例えば、アンチセンス核酸が用いられる。アンチセンスRNA転写産物は同一細胞中の任意の他のRNA転写産物の一部又は全体に相補的な塩基配列を持つ。前記転写産物は、RNAスプライシングの修飾、RNA輸送の修飾、及びmRNAの翻訳の修飾を含む様々なメカニズムで遺伝子発現を修飾することが示されてきた(Denhardt(1992)Ann.NYAcad.Sci.,660:70−6,1992、Nellen et al.(1993)Trends Biochem.Sci.,18:419−23、及びBaker et al.(1999)Biochim.Biophys.Acta.,1489:3−18)。従って、本発明のある実施形態では、細胞中でのエンドシアリンの阻害は該細胞内でアンチセンス核酸分子を発現することで達成される。
【0058】
アンチセンス核酸は一般的に一本鎖の核酸(DNA、RNA、修飾されたDNA,又は修飾されたRNA)で、標的核酸(例えばmRNA転写産物)の一部と相補的であり、従って、標的に結合して二重鎖を形成する。典型的には、それらは、15から35ヌクレオチドの長さの範囲のオリゴヌクレオチドで、10から約50ヌクレオチドの長さの範囲でもあり得る。結合は典型的にはエンドシアリンをコードする遺伝子のような標的核酸の機能を減少させ又は阻害する。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドはゲノムDNAに結合して転写を阻止し、mRNAに結合して翻訳を阻害し、及び/又は核酸の分解を導き得る。エンドシアリンの発現の阻害は、エンドシアリンタンパク質をコードするmRNAの配列と相補的な配列を含むアンチセンス核酸又はペプチド核酸の投与により達成され得る。アンチセンス技術とその応用は当業者にはよく知られ、Phillips(ed.)Antisense Technology, Methods Enzymol.,2000,Volumes 313 and 314,Academic Press,San Diego、及び、その文書中で引用される文献に記載される。また、Crooke(ed.)“ANTISENSE DRUG TECHNOLOGY:PRINCIPLES,STRATEGIES,ANDAPPLICATIONS”(第一版)Marcel Dekker及びその文書中で引用される文献も参照される。
【0059】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは細胞内にある任意のRNA転写産物の一部に相補的な塩基配列で合成される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAスプライシングの修飾、RNA輸送の修飾、及びmRNAの翻訳の修飾を含む様々なメカニズムで遺伝子発現を修飾することができる。安定性、毒性、組織分布、並びに細胞への取り込み及び結合親和性を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの様々な特性は、以下の化学的修飾により変更されるだろう。(i)ホスホジエステル骨格の置換(例えば、ペプチド核酸、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、及びホスホロアミド酸オリゴヌクレオチド)。(ii)糖塩基の修飾(例えば、2’−O−プロピルリボース及び2’−メトキシエトキシリボース)。及び(iii)ヌクレオシドの修飾(例えば、C−5プロピニルU、C−5チアゾールU,及びフェノキサジンC)。(Wagner(1995)Nat.Medicine,1:1116−8、Varga et al.(1999)Immun.Lett.,69:217−24、Neilsen(1999)Curr.Opin.Biotech.,10:71−5、及びWoolf(1990)Nucleic Acids Res.,18:1763−9)。
【0060】
エンドシアリンの発現の阻害は、リボザイムの使用によっても達成される。リボザイム又はデオキシリボザイムと称されるある種の核酸分子はRNA分子の配列特異的切断を触媒することが示されている。切断部位は、ターゲットのRNA中のヌクレオチドを有するRNA又はDNA酵素中の相補的なヌクレオチドの対合によって決定される。このように、RNA及びDNA酵素は任意のRNA分子を切断し、従って分解の速度を増加させるように設計される(Cotten et al.(1989)EMBO J.,8:861−6、及びUsman et al.(1996)Curr.Opin.Struct.Biol., 1:527−33)。ハンマーヘッド型リボザイムはまた、遺伝子制御に日常的に使用される(Lyngstadaas(2001)Crit.Rev.Oral Biol.Med.,12:469−78)。
【0061】
本発明の好ましい面では、本発明の方法でターゲットされた細胞は、shRNA又はsiRNAのような転写をサイレンシングする核酸で特異的に形質転換され、又は、細胞が阻害的な核酸分子を発現するような核酸をコードするベクターで形質転換され得る。細胞の形質転換はここに記載されたもの及び本明細書中で例示されたものを含む先行技術中で適した任意の方法により実行される。
【0062】
デコイオリゴヌクレオチドもまたエンドシアリンをコードする遺伝子の発現を制御するのに適している。最近の臨床治験はデコイオリゴヌクレオチドが病原性のタンパク質を隔離する能力を試験した。デコイオリゴヌクレオチドは一般的に細胞を通過することができるエンハンサー要素を含み、いったん細胞に入ると、該デコイオリゴヌクレオチドは配列特異的DNA結合タンパク質に結合して転写に干渉する(Fichou et al.(2006)Trends Biotechnol.,24:563−70、Nakamura et al.(2002)In Vivo,16:45−8、Tomita et al.(1997)Exp.Nephrol.,5:429−34)。
【0063】
エンドシアリン発現の遺伝学的制御はエンドシアリンをコードする遺伝子のノックダウンにより達成される。当業者であれば理解されるように、エンドシアリン遺伝子の(興味のある任意の生物からの)配列は、例えば配列ID番号1、3、又は5は、エンドシアリン遺伝子の発現をノックダウンする核酸分子及びベクターを作製するのに使用され得る。前記配列に関して考慮すると、配列ID番号1、3、又は5に由来する制御的で特に阻害的な配列をコードする核酸分子は、配列ID番号1、3、又は5の対立遺伝子変異体、相同体及び自然変異体を含む。前記変異体及び相同体がヌクレオチドの配列で数種の違いを保持することを期待されているので、本発明は少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%、より好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、又は80%、さらにより好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、及びさらにより好ましくは90%、91%、92%、93%、94%、95%、及び最も好ましくは96%、97%、98%、及び99%またはそれ以上の配列ID番号1、3、又は5由来の任意のノックダウン核酸と相同性をもつ単離されたヌクレオチドを提供する。異なる生物中で前記制御配列をコードする遺伝子の中に存在するであろう自然の配列変異があるので、当業者は、ノックダウンポリヌクレオチドのユニークな性質をそれでも維持する一方、このレベルの変異を見出すことを期待される。従って、前記変異体及び相同体はお互いに実質的に同一であると考えられ、本発明の範囲に含まれる。
【0064】
ノックダウン核酸分子は二つの一般的な方法で調整され得る。(1)適切なヌクレオチド三リン酸から合成され得る(2)生物原料から単離され得る。両者の方法は先行技術によく知られたプロトコルを利用する。
【0065】
エンドシアリンの全長の核酸配列、例えば配列ID番号1、3、及び5のようなヌクレオチド配列情報を利用することで、オリゴヌクレオチド合成により本発明の単離された核酸分子の調製を可能にする。合成されるオリゴヌクレオチドはApplied Biosystems 38A DNA合成装置又は類似の機器で使用されるホスホアマダイト法により調製され得る。結果として生じるコンストラクトは高機能液体クロマトグラフィー(HPLC)のような先行技術で知られた方法により精製される。そのように作製された合成DNA分子はクローン化され適切なベクターで増幅され得る。
【0066】
ノックダウン核酸は任意の便利なクローニングベクター中でDNAとして保持され得る。いくつかの好ましい面では、クローンはプラスミドのクローニング又は発現ベクター中で保持され、どちらも適切な原核生物又は真核生物宿主細胞中で増殖され得る。
【0067】
ノックダウン核酸分子は、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖でもあるcDNA,ゲノムDNA、RNA及びその断片を含む。このように、本発明は、本発明の核酸分子の少なくとも一つの配列、特に配列ID番号1、3、又は5とハイブリダイズすることができる配列を有するオリゴヌクレオチド(DNA又はRNAのセンス又はアンチセンス鎖)を提供する。前記オリゴヌクレオチドはエンドシアリンをコードする遺伝子を検出するための、若しくは、mRNAが翻訳されてタンパク質になるその時又は以前に、エンドシアリンをコードする遺伝子の発現の正又は負の制御のためのプローブとして有益である。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドがアッセイのプローブとして利用される方法は、特に限定はされないが、(1)インサイツハイブリダイゼーション(2)サザンハイブリダイゼーション(3)ノーザンハイブリダイゼーション(4)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)のような様々な増幅反応を含む。
【0068】
本発明に一致して特徴的なのは、センスとアンチセンスの方向のエンドシアリン又は相同体、類似体、又はその変異体の発現を阻害する制御配列をコードするポリヌクレオチドを含む、若しくは細胞又は組織特異的なプロモーター及び/又は他の制御配列の制御下にあるコンストラクトを含む、トランスジェニックな宿主細胞を生産するベクター及びキットである。前記ベクターはエンドシアリンの発現を修飾し及び好ましくは阻害するのに適している。
【0069】
適した宿主細胞は、限定はされないが、エンドシアリンを発現する植物細胞、バクテリア細胞、酵母及び他の真菌細胞、昆虫細胞、並びに哺乳類細胞を含む。該細胞は、腫瘍性に形質転換され得る。より好ましくはヒト細胞である。
【0070】
多種多様な前記宿主細胞を形質転換するベクターは当業者には周知である。それらは、限定はされないが、プラスミド、ファジミド、コスミド、バキュロウイルス、バックミド、バクテリア人工染色体(BACs),酵母人工染色体(YACs)、又は他のバクテリア、酵母、ウイルスベクターを含む。
【0071】
制御配列のコードする領域は強力な恒常的プロモーター、例えば、以下の遺伝子のプロモーターの下流に配置される。ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、ベータアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、及び他のものである。さらに、多くのウイルスのプロモーターが真核細胞で恒常的に機能し、本発明に使用するのに適している。前記ウイルスプロモーターは、限定はされないが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、SV40の初期及び後期プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、マローニー白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプステインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及びその他レトロウイルスの長い末端反復配列(LTRs)、及び単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターを含む。他のプロモーターは当業者に周知である。一つの実施形態では、制御配列のコードする領域は、誘導プロモーターの下流に配置されている。誘導プロモーターは、メタロチオニンプロモーター、テトラサイクリン誘導プロモーター、ドキシサイクリン誘導プロモーター、タンパク質キナーゼR2’,5’−オリゴアデニレート合成酵素、Mx遺伝子、ADAR1及びそれに類似するもののような一つ又は複数のインターフェロン刺激反応要素(ISRE)を含むプロモーターを含む。他の適した誘導プロモーターは当業者に周知であろう。
【0072】
ノックダウンベクターが、制御核酸配列で様々なエンドシアリン発現細胞を形質転換するのに使用される。様々な技術が、外部の遺伝子を細胞中に導入するための先行技術中で知られていて、本発明の様々な実施形態と一致して本発明の方法を実行する目的で、リコンビナント細胞を作製するのに使用されるだろう。使用される技術は、異種の遺伝子配列を宿主細胞に安定的に移動するために提供され、該異種の遺伝子配列は細胞の子孫によって遺伝され及び発現可能であり、受容細胞の必要な発生と生理学的機能が乱されない。使用される技術は、限定はされないが、染色体移動(例えば、細胞融合、染色体を媒介する遺伝子移動、マイクロ細胞を媒介する遺伝子移動)、物理的方法(例えば、トランスフェクション、スフェロプラスト融合、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム担体)、ウイルスベクター移動(例えば、リコンビナントDNAウイルス、リコンビナントRNAウイルス)、及びそれに類似するもの(Cline(1985)Pharmac.Ther.,29:69−92に記載)を含む。
【0073】
エンドシアリンの発現が阻害されるノックダウン細胞は、「転写後ジーンサイレンシング」により輸送タンパク質をコードするmRNAの翻訳を阻害することで作製され得る。ダウンレギュレーションの標的とされる種からの遺伝子、又はその断片は、コードされるタンパク質の生産を制御するために利用されるだろう。全長のアンチセンス分子がこの目的のために使用され得る。代わりに、翻訳に重要なmRNAの特異的な領域を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用されるだろう。アンチセンス分子が、転写によりアンチセンスRNA配列を生産するDNAコンストラクトで細胞を形質転換することにより、シンサイツで提供されるだろう。前記コンストラクトは全長又は部分的なアンチセンスの配列を生産するように設計され得る。前記ジーンサイレンシング効果は、トランスジェニックに遺伝子をコードする配列のセンス及びアンチセンスRNAの両者を過剰生産することで多量のdsRNAが生産され、増強され得る(例えば、Waterhouse et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,95:13959−64を参照)。この点で、少なくとも一つのイントロンの部分又は全体に対応する配列を含むdsRNAが特に効果的であることが見出されてきた。一つの実施形態では、コードする配列のアンチセンス鎖の一部又は全体がトランスジーンにより発現された。他の実施形態では、一つのエンドシアリンをコードする配列の一部又は全部がハイブリダイズするセンス及びアンチセンス鎖がトランスジェニックに発現された。
【0074】
標的とされる又は他に本発明の方法中で使用される細胞は、天然にエンドシアリンを発現するエンドシアリン発現細胞又はエンドシアリンを発現するリコンビナントプラスミドをトランスフェクトした細胞を含む。本発明のプライマリーエンドシアリン発現細胞は、組織から単離され、若しくは、限定はされないがプライマリー及び培養された線維芽細胞と同様にHUVEC又はHMVECのような供給メーカーから販売されている血管内皮細胞を購入され得る。本発明のトランスフェクトされた細胞は、任意の既知の昆虫発現細胞株、例えばSpodoptera frugiperda細胞を含む。発現細胞株は酵母細胞株でもあり得、例えば、出芽酵母及び分裂酵母である。発現細胞はまた、哺乳類細胞でもあり得、例えば、チャイニーズハムスター卵巣、ベビーハムスター腎臓細胞、ヒト胎児腎臓株293、正常イヌ腎臓細胞株、正常ネコ腎臓細胞株、サル腎臓細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、COS細胞、非腫瘍性マウス筋芽細胞G8細胞、線維芽細胞株、ミエローマ細胞株、マウスNIH/3T3細胞、LMTK細胞、マウスセルトリ細胞、ヒト子宮頚癌細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳癌細胞、TRI細胞、MRC5細胞及びFS4細胞である。
【0075】
エンドシアリンの発現を阻害することはエンドシアリンと任意のエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する。エンドシアリンリガンドはフィブロネクチン及びコラーゲンのような細胞外マトリックスタンパク質を含む。
【0076】
本発明と一致して特徴的なのは、エンドシアリン発現細胞により発現されるエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法であり、細胞によりエンドシアリンの発現をブロック又は妨害することを含む。このように、例えば、物理的障害が発現されたエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、妨害し、又は邪魔するのに役立つ。任意の化学物質又は生体分子が前記相互作用を妨害するのに貢献し得る。例えば、エンドシアリンに特異的に結合する又は、代わりにエンドシアリンリガンドに特異的に結合する小分子、ポリペプチド、抗体、その抗原結合断片が前記方法に使用され得る。
【0077】
いくつかの好ましい実施形態では、エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することはエンドシアリンリガンドと発現されたエンドシアリンとの結合を阻害することを含む。例えば、エンドシアリンとそのリガンドとの相互作用は、分子障害で邪魔され、ブロックされ、妨害され、又は他に妨げられる。このように、リガンドによる細胞へのアクセスが、邪魔され、阻害され、ブロックされ、妨害され、妨げられ又は防止される。エンドシアリンの妨害は、化学物質又は生体分子のような先行技術中で適した任意の方法で引き起こされ得る。
【0078】
例えば、本発明の方法で使用するのに適した化学物質は、限定はされないが、アミノ酸構造、ステロイド、サイクリックヌクレオチド、アントラセン、重金属、キニロン、テルペン、フェノール類、グリコシド、アルキロイド、脂質、又はその混合物などエンドシアリン発現細胞に生物学的効果を与えることができるものを含む。化学物質は化学合成で製造されるか、生体触媒に由来するか、又は、体液に由来し得る。化学物質はヒト、非ヒト哺乳類、植物、酵母、真菌及び/又は原核生物の原料に由来し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、競合的阻害剤が、エンドシアリン又はエンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害するのに用いられる。「競合的阻害剤」は該リガンドとエンドシアリンへの結合部位において競合する。いくつかの実施形態では、該競合的阻害剤はエンドシアリンリガンドであり、例えばコラーゲン(例えばコラーゲンI又はIV)、フィブロネクチン、又はそのエンドシアリン結合断片である。最も好ましい競合的阻害剤はフィブロネクチンの70kDaN末端断片、フィブロネクチンの45kDaゼラチン結合断片、及びフィブロネクチンの30kDaへパリン結合断片である。
【0080】
非常に好ましい実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、発現されたエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を妨害するために使用される。該抗体又は抗原結合断片はエンドシアリンのエピトープに特異的であり、又はエンドシアリンリガンドのエピトープに特異的であり得る。エンドシアリンに特異的な抗体及びその抗原結合断片がより好まれる。フィブロネクチン、コラーゲン、その他類似物のようなリガンドに対する抗体は商業的に入手できる。
【0081】
適した抗体はポリクローナル又はモノクローナルであり、エンドシアリン又はエンドシアリンリガンドに対して特異性を保持する抗体の派生物又は断片であり得る。該抗体は抗体の5つのクラスの任意であり得る。つまり、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMアイソタイプである。適した抗体はまた、IgYアイソタイプを含み、一般に、ニワトリや七面鳥の血清及び、ニワトリや七面鳥の卵黄に見出される。
【0082】
抗体派生物及び抗原結合断片は、本発明の方法で使用するのに適しており、そのような派生物は、元の抗体分子の抗原結合特異性を保持する完全な抗体の一部を含む。例えば、派生物は少なくとも一つの可変領域(重鎖又は軽鎖の可変領域のいずれか)を含み得る。適した抗体の派生物及び断片の例は、限定はされないが、複数のエピトープの特異性を持つ抗体、二重特異性抗体、二特異性抗体及び一本鎖分子であり、例えば、Fab、F(ab’)2,Fd、Fabc、及びFv分子、一本鎖(Sc)抗体、個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖と他の分子のキメラ融合体、重鎖のモノマー又はダイマー、軽鎖のモノマー又はダイマー、一つの重鎖と一つの軽鎖からなるダイマー、及びそれに類似するものを含む。任意の抗体のアイソタイプが抗体派生物及び断片を生産するのに使用され得る。抗体派生物及び断片は組換えで生産され得る。
【0083】
本発明の方法で使用されるのに適した抗体は、任意の種に由来するものであり得る。例えば、該抗体はマウス、ラット、ヤギ、ウマ、ブタ、ウシ、ニワトリ、ウサギ、ロバ、ヒト、及びそれに類似するものであり得る。治療方法での使用又はヒトへの投与のためには、非ヒト由来の抗体は、ヒト患者に投与する際に抗原性が低くなるように構造的に変更され得る。
【0084】
このように、本発明のいくつかの実施形態では、本発明の方法中で使用される抗体はキメラ抗体である。キメラ抗体及びそれを生産する方法は先行技術に周知で確立されたものである。例えば、キメラ抗体はヒトFc又は他のそのような構造ドメインを有するマウスの抗原結合ドメインを含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の配列を最小限含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えば、Fv、Fab、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合配列)であり得る。大部分では、ヒト化抗体はヒトの免疫グロブリン(受容抗体)であり、受容体の相補性決定領域(CDR)の残基は、望ましい特異性、親和性、及び能力を持ったマウス、ラット、又はウサギのような非ヒト種(供給抗体)のCDRの残基に置き換わる。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FWR)の残基は対応する非ヒトの残基で置き換わる。さらに、ヒト化抗体は、受容抗体中にも輸入されたCDR又はフレームワーク配列にも見つからない残基を含み得る。前記修飾は抗体の性能をさらに洗練し及び最適化するためになされる。一般的にはヒト化抗体は、実質的に全ての、少なくとも一つ、及び典型的には2つの可変領域を含み、そこでは、全ての又は実質的に全てのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、及び全ての又は実質的に全てのFWR領域は、ヒトの免疫グロブリンの配列のものである。ヒト化抗体は最適にはまた、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常部(Fc)の一部を少なくとも含む。さらに詳細には、Jones et al.(1986)Nature,321:522−5、Reichmann et al.(1988)Nature,332:323−9、Presta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−6を参照。
【0086】
本発明の好ましい面では、該抗体は完全にヒトのものである。このことは、該抗体はもっぱらヒト起源であり、又は、他にヒト型の抗体と同一のアミノ酸配列からなることを意味している。
【0087】
本発明の抗体は、例えば治療や診断に適用するため、様々な化学物質又は生体分子の成分でラベルされ又は他には抱合され得る。該成分は細胞傷害性のものであり得、例えば、バクテリア毒素、ウイルス毒素、放射性同位体、及びそれに類似するものである。該成分は検出できるラベルであり得、例えば、蛍光ラベル、放射能ラベル、ビオチン、及びそれに類似するものである。さらなる成分は、限定はされないが、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、及びアミド化を含む。本発明の方法に有益な抗体は、既知の保護/ブロック基、タンパク質切断、細胞リガンド又は他のタンパク質に結合するもの、及びそれに類似するものにそれ自身誘導体化するものであり得る。
【0088】
当業者は、抗体の特異性は主に6つのCDR領域、特に重鎖のCDR3によって決定されると認識する(Kala et al.(2002)J.Biochem.,132:535−41、Morea et al.(1998)J.Mol.Biol.,275:269−94、及びChothia et al.(1987)J.Mol.Biol.,196:901−17)。抗体のフレームワーク領域は、しかしながら、抗原―抗体相互作用に役割を果たし(Panka et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:3080−4)、特にCDRのループの立体構造に役割を果たし得る(Foote et al.(1992)J.Mol.Biol.,224:487−99)。このように本発明の方法で使用されるのに適した抗体は、エンドシアリン又はエンドシアリンリガンドに抗体の特異性を与える、H又はL鎖CDR又はFWR領域の任意の組み合わせを含み得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明はエンドシアリンに特異的に結合する単離されたヒト抗体及びその抗原結合断片の使用を意図する。いくつかの実施形態では、適した抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列ID番号28、30、及び32のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖、並びに配列ID番号13、15、及び17のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ配列ID番号27、29、及び31のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ配列ID番号12、14、及び16のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、該抗体又は抗原結合断片は配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖の可変ドメインは配列ID番号33のヌクレオチド配列でコードされている。いくつかの実施形態では、軽鎖の可変ドメインは配列ID番号18のヌクレオチド配列でコードされている。いくつかの実施形態では、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖は配列ID番号21又は25のヌクレオチド配列でコードされており、及び軽鎖は配列ID番号10のヌクレオチド配列でコードされている。いくつかの実施形態では、該抗体又は抗原結合断片は配列ID番号20又は24を含む重鎖及び配列ID番号9を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号8又は23の核酸配列によりコードされる重鎖を含む。抗体と抗原結合断片は配列ID番号7を含む核酸配列によりコードされる軽鎖を含み得る。
【0090】
本発明と一致して使用される抗体を生産する抗体生産細胞は、Amer.Type Cult.Coll.(10801 University Blvd.,Manassas,Virginia 20110−2209)に2006年4月24日及び2008年3月11日に設置され、それぞれアクセス番号PTA−7554及び_____を割り当てられた。
【0091】
重鎖と軽鎖及びそれらをコードする遺伝子に存在するであろう天然の配列変異のため、当業者は、本発明の抗体がもつユニークな結合特性(例えば特異性及び親和性)を維持しながら、それをコードするアミノ酸配列又はその遺伝子の中にある程度の変異を見出すことが期待されるだろう。そのような期待は一部では遺伝コードの縮重によるもので、コードされたタンパク質の性質をかなり変更することなしに、保存されたアミノ酸配列変異においての既知の進化的成功と同様である。従って、そのような変異体及び相同体はお互いに実質的に同一であると考えられ、本発明の範囲に含まれる。
【0092】
本明細書中で記載される抗体の生物学的特性(例えば、結合親和性又は免疫エフェクター活性)を保持する、一つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は交換を有する変異体は本発明で使用されることを意図している。当業者は、一つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、又は交換を有する変異体を作製することができる。そのような変異体は、例えば、(a)一つ又は複数のアミノ酸残基が保存された又は非保存のアミノ酸と置換されている変異体、(b)一つ又は複数のアミノ酸がポリペプチドに付加し又は欠失している変異体、(c)一つ又は複数のアミノ酸が置換基を含む変異体、(d)融合パートナー、タンパク質標識、又は他の化学的成分のように他のペプチド又はポリペプチドとポリペプチドが融合し、抗体のエピトープ、ポリヒスチジン、ビオチン成分及びそれに類似するものなどのそのポリペプチドに有益な特性を付与し得る変異体を含み得る。本発明の抗体は、保存された又は非保存の位置のいずれかで、一つの種からのアミノ酸残基が別の種のそれに対応する残基に置換された変異体を含み得る。他の実施形態では、非保存の位置のアミノ酸残基が保存された又は非保存の残基と置換される。遺伝学的(抑制、欠失、変異など)、化学的、酵素学的技術を含む前記変異体を得る技術は当業者に周知である。
【0093】
本発明は、前記記載のアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有する抗体、又はその抗原結合断片を意図する。例えば、前記抗体又は抗原結合断片は、重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3がそれぞれ配列ID番号28、30、及び32と少なくとも90%同一で、並びに/又は軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3がそれぞれ配列ID番号13、15、及び17と少なくとも90%同一であるものを含み得る。いくつかの実施形態では、前記抗体又は抗原結合断片は、重鎖の可変ドメインが配列ID番号34と少なくとも90%同一で、及び/又は軽鎖の可変ドメインが配列ID番号19と少なくとも90%同一であるものを含み得る。いくつかの実施形態では、前記抗体又は抗原結合断片は、重鎖が配列ID番号22又は26と少なくとも90%同一で、及び/又は軽鎖が配列ID番号11と少なくとも90%同一であるものを含み得る。いくつかの実施形態では、前記抗体又は抗原結合断片は、重鎖が配列ID番号20又は24と少なくとも90%同一で、及び/又は軽鎖が配列ID番号9と少なくとも90%同一であるものを含み得る。例えば、抗体M4及びM4.1はヒトエンドシアリンに対するヒト化抗体である。抗体M4及びM4.1は軽鎖を共有しているが、それらは以下に示される重鎖が一アミノ酸配列で異なっている。例えば配列ID番号24の429番残基に対して配列ID番号20の429番残基である。本発明はさらに、エンドシアリンが抗体M4又はM4.1に結合するのと競合する抗体又はその抗原結合断片を意図する。本発明はさらに抗体M4又はM4.1とエンドシアリンの同じエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片を意図する。
【0094】
本発明の方法で使用されるのに適した抗体は、エンドシアリン又はエンドシアリンリガンドのような標的抗原に対する結合親和性を持ち、それは解離定数(KD)が1x10−2M未満である。いくつかの実施形態ではKDは1x10−3M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−4M未満である。いくつかの実施形態では、KDは1x10−5M未満である。まだ他の実施形態では、KDは1x10−6M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−7M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−8M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−9M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−10M未満である。まだ他の実施形態では、KDは1x10−11M未満である。いくつかの実施形態では、KDは1x10−12M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−13M未満である。他の実施形態では、KDは1x10−14M未満である。まだ他の実施形態では、KDは1x10−15M未満である。
【0095】
エンドシアリンに結合する抗体の特異性及び/又は親和性は、抗体産生細胞に導入されたPMS1、PMS2、PMS2−134、PMSR2、PMSR3、MLH1、MLH2、MLH3、MLH4、MLH5、MLH6、PMSL9、MSH1、及びMSH2のようなミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブアレルを使用することで、該抗体を産生する細胞の定向進化によって選択的に最適化され得る。該ドミナントネガティブ変異体を含む細胞はトランスフェクトされていないコントロールの細胞に比べて、超可変及びより高率で変異を蓄積するだろう。変異した細胞のプールは、抗体又は結合タンパク質のより高い親和性/特異性を作り出すクローン、又は抗体又は結合タンパク質のより高い力価を生産する、若しくはある種の条件で単純に早くよく増殖するクローンがスクリーニングされ得る。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブアレルを使用した超可変細胞の作製技術は米国特許番号6,146,894に記載されている。代わりに、ミスマッチ修復は、WO02/054856に記載されるミスマッチ修復の化学物質阻害剤を使うことで阻害され得る。ミスマッチ修復遺伝子のドミナントネガティブアレル又はミスマッチ修復の化学物質阻害剤を使って抗体を機能向上させる技術は、クローン化された免疫グロブリン又はタンパク質遺伝子をも発現する哺乳類、酵母、植物、原核生物発現細胞に適用され得る。ドミナントネガティブアレル又は低分子を発現する細胞は、ドミナントネガティブアレルがもし誘導的なら遮断され細胞から除去されることで、一方低分子化学物質は成長培地から除去され結果として遺伝学的に再び安定であり及びもはや異常に高率で変異を蓄積しない細胞になることで「治癒」され得る。
【0096】
エンドシアリンの発現を阻害することは、エンドシアリンと任意のエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する。エンドシアリンリガンドはフィブロネクチン及びコラーゲンの様な細胞外マトリックスタンパク質を含む。コラーゲンI及びコラーゲンIVがより好まれる。
【0097】
エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することは、前記相互作用の結果アップレギュレート又あるいは活性化されるパスウェイ及びカスケードを阻害する。例えば、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドの相互作用は、インテグリンの様な接着分子の発現及び/又は活性化を促進し得、細胞外マトリックス又は他の細胞への細胞接着を媒介し、及び細胞のシグナルパスウェイを媒介し、その他のことも含み得る。
【0098】
インテグリンはα(アルファ)とβ(ベータ)サブユニットの2つの異なる鎖を含有するヘテロダイマーとして存在する。そこには、約18α及び8βの特性づけられたサブユニットがある。さらに、多くのインテグリンサブユニットは異なるスプライシングによる変異体として存在する。アルファとベータインテグリンサブユニットの様々な組み合わせは、24を超えるユニークな活性型インテグリン複合体を生じる(Hynes(2002)Cell,110:673)。インテグリンのサブユニットは細胞膜を貫通し、一般的に約40−70アミノ酸の短い細胞質ドメインを含む。細胞膜の外側では、アルファとベータ鎖は約23nmの長さで、お互いに緊密に近接して位置する。其々のインテグリン鎖のアミノ末端はお互いに5nmに隣接し、EMP相互作用のリガンド結合領域を形成する。インテグリンはいくつかの判断基準で分類される。フォンウイルブランド因子中のAドメインに類似する構造モチーフを持つので、α鎖のサブセットはアルファAドメインと呼ばれるアミノ末端近くに挿入された構造要素を持つために、アルファ鎖はそのように分類される。このドメインを有するインテグリンはコラーゲンに結合するか(インテグリン複合体α1β1及びα2β1)又は、β2ファミリーのインテグリンを含む前記複合体を有する細胞間接着分子として機能する。インテグリンの2つの主要な機能は、細胞の細胞外マトリックスへの接着及びEMP−インテグリンの細胞への結合を介するシグナル伝達である。さらに、インテグリンは他の広範囲の生物学的活性にも関与する。例えば、免疫巡回及び細胞遊走のための細胞間接触に関与する細胞への結合と同様に、アデノウイルス、エコーウイルス、ハンタウイルス、口蹄疫ウイルスの様なウイルスとの結合に関与する。インテグリンは、細胞内でEMPs(インテグリン複合体に依存する)と細胞骨格を共役する。いくつかのインテグリンリガンドが同定されてきた。より共通するリガンドはフィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、及びラミニンである。インテグリン、EMPと細胞内のマイクロフィラメントとの相互作用は、タリン、パキシリン、及びアルファアクチニンを含む足場タンパク質を介して結びつけられる。これらの相互作用がFAK(接着斑キナーゼ)及びSrcキナーゼファミリーメンバーの様なキナーゼを制御し、p130CASの様な基質をリン酸化し、従ってCrkの様なシグナルアダプターをリクルートしてパスウェイの活性化、細胞の増殖及び/又は生存を含む細胞反応を媒介する。前記インテグリン関連の機能の任意は、エンドシアリン活性の機能としてインテグリンの活性をモニターし、本発明の薬剤又は効果的なエンドシアリンを標的とする分子の同定をするアッセイのためのスクリーニングアッセイとして構築され得る。さらに、本明細書中に開示される発明を考慮すると、エンドシアリン発現細胞中においてエンドシアリンに対する薬剤でインテグリンを標的とすることは、インテグリンを介したウイルス感染及び他の病態を抑制する幅広い機会を有する。
【0099】
このようにエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することは、エンドシアリン発現細胞上のインテグリン分子の発現及び/又は活性化を阻害する。いくつかの好ましい実施形態では、インテグリンβ1、β2、又はβ3の発現又は活性化が該阻害により抑制される。
【0100】
エンドシアリンリガンドとエンドシアリンの相互作用を阻害することで発現及び/又は活性化が影響を受ける他の分子及びパスウェイは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)を含む。MMPsは、他の事の中で、細胞外マトリックスタンパク質、細胞表面受容体及びそれに類似するものの分解に役割を担う亜鉛依存的プロテアーゼである。MMPsは、細胞遊走、増殖、血管新生、他の事象に役割を担う。MMP酵素ファミリーは、その活性部位中に共通する亜鉛結合モチーフ(HExxHxxGxxH)及び活性部位に引き続く保存されたメチオニンを有する。MMPsは、お互いの相同性、基質特異性、及び部分的には細胞局在により分類される。それらは広くは4つのクラスにグループ化される。それは、コラーゲナーゼ、ストロメライシン、ゼラチナーゼ、及び膜型MMPs(MT−MMPs)である。コラーゲナーゼ型MMPsは、三重鎖線維状コラーゲンを異なる断片に分解することができる。前記コラーゲンは骨と軟骨の主要な構成成分であり、このクラスのMMPsはそれらを分解できるただ一つの既知の哺乳類酵素である。それらは、MMP-1(間質性のコラーゲナーゼ)、MMP−8(好中球コラーゲナーゼ)、MMP−13(コラーゲナーゼ3)、及びMMP−18である。ストロメライシン型MMP酵素は、EMPsを切断する広範な能力を示すが、三重鎖線維状コラーゲンを切断しえない。このクラスはMMP−3(ストロメライシン1)、MMP−10(ストロメライシン2)、MMP−11(ストロメライシン3)、MMP−12(マクロファージメタロプロテアーゼ)、MMP−19(RASI−1、又はストロメライシン4と称する)、及びMMP−20(エナメライシン)、MMP−22(C−MMP)、及びMMP−27を含む。ゼラチナーゼ型MMPsはIV型コラーゲン及びゼラチンを分解し、触媒ドメイン中に挿入された付加的なドメインの存在により区別される。このゼラチン結合領域は亜鉛結合モチーフの直前に位置し、触媒ドメインの構造を乱さない別の折りたたみユニットを形成する。このクラスは、MMP−2(72kDaゼラチナーゼ、ゼラチナーゼ―A)、MMP9(92kDaゼラチナーゼ、ゼラチナーゼ―B)を含む。最後に、膜結合MMPsは、細胞外膜に付着したものである。それらは、以下のものを含む。II型膜貫通システインアレイMMP−23、グリコシルフォスファチジルイノシトール付着MMPs17及び25(それぞれMT4−MMP及びMT6−MMP)、I型膜貫通MMPs14、15、16、24(それぞれMT1−MMP、MT2−MMP、MT3−MMP、及びMT5−MMP)。前記MMPsの全ては、プロペプチド中のフューリン切断部位を有し、その特徴はMMP−11によっても共有される。
【0101】
このように、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することは、エンドシアリン発現細胞上のMMPsの発現及び/又は活性化を阻害する。いくつかの好ましい実施形態では、MMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9、MMP−12、MMP−13、又はMMP−18の発現又は活性化が該阻害により抑制される。
【0102】
任意の特定の理論又は作動メカニズムに拘束されるよう意図するものではないが、エンドシアリンは血管新生、特に新血管形成及びがんの様な疾患において、直接的又は間接的に機能すると信じられている。従って、エンドシアリン又はエンドシアリン発現細胞がエンドシアリンリガンドに結合するのを妨害すること、又は、エンドシアリンを介したインテグリンの活性化、MMPsの発現及び/又は細胞の増殖と生存を妨害することは、新血管形成疾患と関連する血管形成を抑制することができる。
【0103】
従って、本発明は血管新生を阻害する方法をも特徴とする。該方法はインビトロ又はインビボで実行され得る。一つの面では、血管新生を阻害する方法は、細胞の表面に発現されたエンドシアリンを妨害する治療的に有効量の組成物を被検体に投与することを含む。そこでは、前記妨害は、前記細胞とエンドシアリンリガンドが相互作用するのを阻害し、及びそこでは、前記細胞と前記リガンドとの前記相互作用を阻害することは、被検体中の組織、器官、又は腫瘍の血管新生を阻害する。
【0104】
他の面では、血管新生を阻害する方法は、細胞、培養細胞、組織、器官と、細胞表面に発現されたエンドシアリンを妨害する組成物とを接触させることを含み、そこでは、前記妨害は前記細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、及びそこでは、前記細胞と前記リガンドとの前記相互作用を阻害することは前記細胞、培養細胞、組織、器官の血管新生を阻害する。
【0105】
いくつかの好ましい実施形態では、該組成物は本明細書中に記載される少なくとも一つの競合的阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、該競合的阻害剤はエンドシアリンリガンド、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、又はそのエンドシアリン結合断片である。好ましい競合的阻害剤はコラーゲンI、コラーゲンIV又はフィブロネクチンの断片である。最も好ましい競合的阻害剤はフィブロネクチンの70kDaN末端断片、フィブロネクチンの45kDaゼラチン結合断片、及びフィブロネクチンの30kDaへパリン結合断片である。
【0106】
好ましい実施形態では、該組成物はエンドシアリンに特異的に結合する少なくとも一つの抗体を含む。そのような抗体は好ましくはエンドシアリンに対する親和性が約1x10−7M未満であり、より好ましくは約1x10−8M未満であり、より好ましくは約1x10−9M未満であり、より好ましくは約1x10−10M未満である。エンドシアリンに特異的に結合する抗体は、その特性が本明細書中に記載され及び例証された抗体を含み得る。例えば、いくつかの好ましい面では、エンドシアリンに特異的に結合する抗体は、それぞれ配列ID番号28、30、及び32のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖、及びそれぞれ配列ID番号13、15、及び17のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ配列ID番号27、29、及び31のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ配列ID番号12、14、及び16のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖の可変ドメインは配列ID番号33のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、軽鎖の可変ドメインは配列ID番号18のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖は配列ID番号21又は25のヌクレオチド配列によりコードされており、及び軽鎖は配列ID番号10のヌクレオチド配列によりコードされている。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号20又は24を含む重鎖及び配列ID番号9を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号8又は23の核酸配列によりコードされる重鎖を含む。抗体は、配列ID番号7を含む核酸配列によりコードされる軽鎖を含み得る。本発明に一致して使用され得る抗体を生産する抗体生産細胞はAmer.Type Cult. Coll.(10801 University Blvd, Manassas, Virginia 20110−2209)に2006年4月24日及び2008年3月11日に設置され、それぞれアクセス番号PTA−7754及び______を割り当てられた。該抗体は本明細書に記載されるようにポリクローナル、モノクローナル、抗原結合断片、キメラ、ヒト化、完全ヒト及びそれに類似するものであり得る。
【0107】
エンドシアリンの発現を阻害することは、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドの任意との相互作用を阻害する。エンドシアリンのリガンドはフィブロネクチン及びコラーゲンの様な細胞外マトリックスタンパク質を含む。
【0108】
本発明はまた、新血管形成を阻害する方法も特徴とする。該方法は、インビトロ又はインビボで実行され得る。一つの面では、新血管形成を阻害する方法は、細胞表面に発現されるエンドシアリンを妨害する治療的に有効量の組成物を被検体に投与することを含み、そこでは、前記妨害は前記細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、及びそこでは前記細胞と前記リガンドとの前記相互作用を阻害することは被検体中の組織、器官、腫瘍の新血管形成を阻害する。
【0109】
別の面では、新血管形成を阻害する方法は、細胞、培養細胞、組織、又は器官と細胞表面上に発現したエンドシアリンを妨害する組成物を接触させ、そこでは、前記妨害が前記細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、及びそこでは前記細胞と前記リガンドとの前記相互作用を阻害することは前記細胞、培養細胞、組織、又は器官の新血管形成を阻害する。
【0110】
いくつかの好ましい実施形態では、該組成物は本明細書中に記載される少なくとも一つの競合的阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、該競合的阻害剤はエンドシアリンリガンド、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、又はそのエンドシアリン結合断片である。好ましい競合的阻害剤はコラーゲンI、コラーゲンIV、又はフィブロネクチンの断片である。最も好ましい競合的阻害剤はフィブロネクチンの70kDaN末端断片、フィブロネクチンの45kDaゼラチン結合断片、及びフィブロネクチンの30kDaへパリン結合断片である。
【0111】
好ましい実施形態では、該組成物はエンドシアリンに特異的に結合する少なくとも一つの抗体を含む。そのような抗体は好ましくはエンドシアリンに対する親和性が約1x10−7M未満であり、より好ましくは約1x10−8M未満であり、より好ましくは約1x10−9M未満であり、より好ましくは約1x10−10M未満である。エンドシアリンに特異的に結合する抗体は、その特性が本明細書中に記載され及び例証された抗体を含み得る。例えば、いくつかの好ましい側面では、エンドシアリンに特異的に結合する抗体は、それぞれ配列ID番号28、30、及び32のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖、及びそれぞれ配列ID番号13、15、及び17のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ配列ID番号27、29、及び31のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ配列ID番号12、14、及び16のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖の可変ドメインは配列ID番号33のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、軽鎖の可変ドメインは配列ID番号18のヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、重鎖は配列ID番号21又は25のヌクレオチド配列によりコードされており、及び軽鎖は配列ID番号10のヌクレオチド配列によりコードされている。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号20又は24を含む重鎖及び配列ID番号9を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、該抗体は配列ID番号8又は23の核酸配列によりコードされる重鎖を含む。抗体は、配列ID番号7を含む核酸配列によりコードされる軽鎖を含み得る。本発明に一致して使用され得る抗体を生産する抗体生産細胞はAmer.Type Cult. Coll.(10801 University Blvd, Manassas, Virginia 20110−2209)に2006年4月24日及び2008年3月11日に設置され、それぞれアクセス番号PTA−7754及び______を割り当てられた。該抗体は本明細書に記載されるようにポリクローナル、モノクローナル、抗原結合断片、キメラ、ヒト化、完全ヒト及びそれに類似するものであり得る。
【0112】
エンドシアリンの発現を阻害することはエンドシアリンとエンドシアリンリガンドの任意との相互作用を阻害する。エンドシアリンリガンドはフィブロネクチン、例えばヒトフィブロネクチン(配列ID番号35)及びコラーゲンの様な細胞外マトリックスタンパク質を含む。
【0113】
本発明はまた、エンドシアリンとエンドシアリンのリガンドとの相互作用の作動薬及び拮抗薬を同定するアッセイ及び方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、該方法は、エンドシアリンとテスト化合物とを接触させ、エンドシアリン―テスト化合物複合体をエンドシアリンリガンドと接触させ、及びテスト化合物の存在下及び非存在下でエンドシアリンと該リガンドとの相互作用を定量的に測定することを含む。テスト化合物の存在下でエンドシアリンとリガンドとの相互作用のレベルの増加又は減少することは、該テスト化合物がエンドシアリンと該リガンドとの相互作用のそれぞれ作動薬又は拮抗薬であることを示す。
【0114】
いくつかの実施形態では、該方法は、エンドシアリン発現細胞とテスト化合物を接触させ、エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとを接触させ、及び、テスト化合物の存在下及び非存在下で細胞上のインテグリンβ1、β2、又はβ3の様なインテグリン分子の発現又は活性化を定量的に測定することを含む。テスト化合物の存在下で細胞上のインテグリン分子の発現又は活性化のレベルの増加又は減少することは、該テスト化合物がエンドシアリンと前記リガンドとの相互作用のそれぞれ作動薬又は拮抗薬であることを示す。
【0115】
いくつかの実施形態では、該方法は、エンドシアリン発現細胞とテスト化合物を接触させ、エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとを接触させ、及び、テスト化合物の存在下及び非存在下で細胞上のMMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9、MMP−12、MMP−13、又はMMP−18の様なMMPsの発現又は活性化を定量的に測定することを含む。テスト化合物の存在下で細胞上のMMP分子の発現又は活性化のレベルの増加又は減少することは、該テスト化合物がエンドシアリンと前記リガンドとの相互作用のそれぞれ作動薬又は拮抗薬であることを示す。
【0116】
発明のアッセイ中では、エンドシアリンは細胞膜、好ましくは哺乳類細胞膜、細胞膜断片、人工脂質二重膜又は、適した固相担体に結合され得る。エンドシアリンリガンドは、限定はされないがフィブロネクチン又はコラーゲンを含む細胞外マトリックスタンパク質であり得る。
【0117】
エンドシアリン又はエンドシアリン発現細胞、つまりエンドシアリンと潜在的に相互作用することに対する潜在的生物学的活性を有するテスト化合物を作製する一つの戦略は、限定はされないが、ファージのコートペプチドを生産するファージライブラリーをスクリーニングすることに関与する。それは、エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害するように潜在的に働くライブラリー中のポリペプチドを同定するためにスクリーニングされ得ることに関与する。
【0118】
以下の実施例は、本発明をより詳細に記述するために提供される。それらは、本発明を限定するものではなく説明する意図である。
【実施例1】
【0119】
悪性組織上のエンドシアリン発現の免疫組織化学的解析。
エンドシアリン発現細胞を検出するための抗体の使用により悪性組織の免疫組織化学が示された。抗エンドシアリン又は正常IgG抗体は、新鮮に凍結されたヒト結腸直腸癌組織に、二つの濃度(0.5μg/mL及び2.5μg/mL)で適用された。リン酸緩衝食塩水[PBS(0.15M NaCl,pH7.2)]+1%ウシ血清アルブミンが一次抗体の希釈剤として用いられた。組織はTissue−Tek(R)O.C.T.培地に埋め込まれ、ドライアイス上で凍結され、−70℃以下に封されたプラスチック袋中に保管された。組織は約5μmで切片化され室温のアセトン中で10分間固定された。スライドは染色まで−70℃以下で保管された。染色の直前にスライドは10%中性緩衝ホルマリン中で10秒間固定された。
【0120】
凍結切片はリン酸緩衝食塩水(PBS[0.15M NaCl,pH7.2])中で2度リンスされた。内在性のペルオキシダーゼは、スライドをDako EnVisionTMキット中に提供されるペルオキシダーゼ溶液で5分間インキュベートすることでブロックされ、PBS(0.15M NaCl,pH7.2)で2度リンスされる。次に、スライドは非特異的結合を減少させるようにデザインされたタンパク質ブロックで20分間処置された。該タンパク質ブロックは以下のように調製される。PBS(0.15M NaCl,pH7.2)、0.5%カゼイン、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、及び1.5%正常ヤギ血清。プロテインブロックに引き続き、一次抗体(被検物質M4、ネガティブコントロール抗体、又は無[アッセイのコントロールとして緩衝液だけ])が室温で一時間アプライされた。次に、スライドはPBS(0.15M NaCl,pH7.2)を用いて2度リンスされ、Dako EnVisionTMキットで供給されるペルオキシダーゼで標識されたヤギ抗IgGポリマーで30分処置され(EnVisionTMポリマーは製造元の推奨する濃度で使用され)、PBS(0.15M NaCl,pH7.2)で2度リンスされ、Dako EnVisionTMキットで供給される発色基質(DAB)溶液で8分間処置される。全てのスライドは水でリンスされ、ヘマトキシリンで対比染色され、脱水され、解釈のためカバースリップで封入された。ここに示されるように、腫瘍の血管(図1A)はエンドシアリンに陽性であり、一方連続切片を染めたアイソタイプコントロール抗体は陰性(図1B)であった。
【実施例2】
【0121】
健常組織上でのエンドシアリン発現の免疫組織学的解析。
エンドシアリン発現細胞を検出するための抗体の使用により正常組織の免疫組織化学が示された。手短には、正常組織検体がクリオスタットで切片化され、上記されたようにエンドシアリンの発現を解析された。正常組織は、腫瘍の血管に観察されたように強く又は同種のものでないようにエンドシアリンを発現した、非常に少ない数の線維芽細胞/樹状様細胞を含む(図2A及びB)。これらの細胞は、新血管形成の効果を研究するのに有益であり、細胞増殖、分化、遊走、又は署名照合のプロフィールを研究するために遺伝子発現用に単離され得る。それらは、以下にリスト化されたものと同様に当業者に知られた方法を使って、インビボ、エキソビボ、又はインビトロで研究され得る。
【実施例3】
【0122】
エンドシアリン発現細胞の単離と濃縮。
エンドシアリンに結合することができるタンパク質が、血管内皮細胞又は線維芽細胞様エンドシアリン発現細胞を濃縮するために効果的な方法として役立つことを実証するために、ヒト微小血管内皮細胞(HMVECs)がエンドシアリンに結合できる抗体を使って選別され、5−10%のエンドシアリン発現細胞を含む最初のプールからエンドシアリン発現細胞の濃縮された集団を単離された。以下の方法又は特異的試薬に拘束されることを望んではいないが、この実施例はエンドシアリン発現細胞を単離出来るエンドシアリン抗体の使用を示す。
【0123】
手短には、96ウエルプレートは無菌状態でヤギ抗ヒトIgGFcγを用いてコートされた。次に、20μg/mlのヒト抗エンドシアリン抗体M4がプレートに加えられ、3つのウエル(A、B、C)は抗体を入れないコントロールとしてあり、そして4℃で1時間インキュベートされた。HMVECsは、細胞膜への任意のダメージを避けるためにトリプシンよりDPBS/EDTAで10cmペトリ皿培養から回収され、従って、エンドシアリン細胞の細胞表面のタンパク質は無傷である。プールされた細胞は、任意の非結合の抗エンドシアリン抗体を吸引し洗い流した後に、2つの異なる濃度、100,000細胞/ウエル又は50,000細胞/ウエルのいずれかで蒔いて培養された。細胞は4℃で1時間プレート中にインキュベートされた。プレートはそれからDPBS/FBSで4回洗浄された(コントロールウエルのA、B、及びCがそのウエル中に細胞がなくなるまで)。50,000細胞/ウエルのプレートはほとんど細胞がなかったが、一方100,000細胞/ウエルのウエルは、プレートに接着した多数の細胞を含んでいた。細胞はそれから適切な成長培地で3日間インキュベートされた。コントロールのB及びCのウエルが100,000細胞/ウエルのプレートから免疫染色のため選ばれた。カルセイン、AM染料が細胞を染めてニコン(R)Eclipse TS100蛍光顕微鏡を使って可視化するのに用いられた。ポジティブに選別された培養細胞は、増殖及び下記する均一なエンドシアリンの発現のためのさらなる解析のために増やされた。
【0124】
エンドシアリン発現細胞を単離する能力をさらに測定するために、HMVEC細胞を選別し及びHMVEC培養細胞を選別しない抗エンドシアリン抗体は、蛍光標識されたエンドシアリン抗体又は蛍光標識されたα―β1−インテグリン抗体をコントロールとして使用する免疫染色のために調製された。期待されたように、選別された及び選別されていない培養細胞から90%より多くの細胞がα―β1−インテグリンに対して陽性に染色された(図に示されていない)。選別された細胞から90%より多くの細胞がエンドシアリンに陽性に染色される一方、選別されていないHMVEC培養細胞では、たったの5−7%の細胞しかエンドシアリンに陽性に染色されなかった。これらのデータは抗体の様なエンドシアリン結合タンパク質を使って生きたエンドシアリン発現細胞を単離及び濃縮する能力を実証する。
【0125】
図3に示されるように、選別された培養細胞は、選別されていない元の培養細胞に比べて、エンドシアリン陽性細胞がよりずっと高くなっている。それは、抗エンドシアリン抗体を介してその後蛍光標識された二次抗体で処理して、免疫染色することで測定される。それぞれのフィールドの細胞数は、光学顕微鏡で測定された。
【実施例4】
【0126】
細胞外マトリックスタンパク質とエンドシアリンの相互作用。
TEM1及びFc−TEM1発現プラスミドの構築。
LA1−5SゲノムDNAから、TEM1のオープンリーディングフレーム(GenBank番号AF279142)のアミノ酸1−685を示すDNA断片が、PCRを使用することによって増幅された。生じた増幅産物はEcoRI及びXbaIで消化し、pEF6−V5−HisA(インビトロジェン)に連結された。Fc−TEM−1を作製するために、TEM1の細胞外領域が単量体のマウスIgG2bFcγドメインに融合され、その派生物であるpEF6−EK−Mm−IgG2b−Fcγ―NDベクターに連結される。該ベクターはエンテロキナーゼ認識領域(DDDD)に引き続いて修飾されたマウスIgG2bFCγ(CH3を通してヒンジされる)ドメインを含む。二量体化を防ぐため、重鎖間ジスルフィド結合に原因がある4つのシステイン残基はセリンに変更された。結果として生じた、単量体の分泌型融合タンパク質はTEM1細胞外ドメインの全長とマウスIgG2bFCγからなる。全てのプラスミド配列の完全性はベックマン(R)DTCSケミストリー(ベックマンコールター、Fullerton,CA)を使用して確認された。生データはCEQ8000DNAシークエンサーを用いて得られ、VectorNTI(R)ソフトウエア(インビトロジェン)を使用して解析された。
【0127】
Fc−TEM−1の精製
CHO−TEM1−Fcγ細胞は、2mML−グルタミン、1xペニシリン/ストレプトマイシン、6g/Lダイズ加水分解物及び2.2g/L炭酸水素ナトリウム(Irvine Scientific)を補充したIS−CHO−CD培地(Irvine Scientific、Santa Ana、CA)中で25Lスケールにおいて培養された。その培養は、培養の生存性が50−70%になるまで、Cellbag50(R)(GE ヘルスケア、Piscataway、NJ)を装着したWAVE20/50EHプラットフォーム上で行われた。細胞外の条件培地は、保持容器に0.5Lの培養液が残るまで、0.2μmの中空繊維カートリッジ(GE ヘルスケア)を装着したFlexstand(R)ベンチトップパイロット中空繊維システム(GE ヘルスケア)を使って濾過された。この時点で、濃縮された細胞塊は、4Lのリン酸緩衝食塩水(PBS、20mMカリウムリン酸、150mM NaClpH7.2)で洗浄され、残存した細胞外溶液を回収した。該4Lの洗浄液は濾過された原料とともにプールされた。濾過された培養上清は、それから12倍濃縮(29Lから2.5Lへ)された。Prep/Scale(R)ホルダー(ミリポア、Billerica、MA)中でPrep/Scale(R)Spiral Wound2.5ft 100k限外濾過カートリッジセットを使って、入口圧力20PSIでペリスタポンプにより駆動され、及び再循環速度が約400ml/minである。生じた濃縮原料は0.2μmの膜を備えたボトルトップフィルター(Nalgene)で滅菌濾過された。TEM1−FcγはプロテインAアフィニティークロマトグラフィーで捕獲され、10x100mmProSep−vA(R)(ミリポア)カラムを通し、5カラム量の溶出溶液(100mMクエン酸/10mM酢酸pH3.0)を加えることで溶出された。溶出された溶液はQA溶液(20mM Tris−Cl pH8.0)で透析され、さらに、イオン交換クロマトグラフィーで5mlHiTrap(R)Q−FFカラム(GE ヘルスケア)を通して精製された。結合タンパク質は、15%QB溶液(20mM Tris−Cl、1M NaCl pH8.0)で洗浄し、引き続いて35%QB溶液を使って結合したFc−TEM1を溶出した。溶出したタンパク質は、100kDaMWCO膜(ミリポア)を装着したモデル8400ポジティブプレッシャー限外濾過モジュール(ミリポア)で限外濾過することで濃縮し、約5mlの最終容量になった。濃縮されたFc−TEM−1は、調製用の分子ふるいクロマトグラフィーでSephacryl(R)S−300HR26x60カラム(GE ヘルスケア)を通して精製され、PBSで平衡化された。精製されたFc−TEM−1を含む画分はプールされ、100kDaMWCO膜を使った限外濾過により0.1−1mg/mLの名目上の範囲に濃縮され、−80℃で一回に使う分量ごとに貯蔵された。
【0128】
精製されたFc−TEM−1(2.9μg)は4−12%Bis−Trisゲル(インビトロジェン、Inc.)上にロードされ、MOPSランニングバッファー(50mM MOPS、50mM Tris、3.5mM SDS、1mM EDTA pH7.7)で40分間電気泳動された。染色のため、ゲルは固定液(50% メタノール、10%酢酸)中で15分間固定され、脱イオン水で10分間2回洗浄し、GelCode Blue colloidal Coomassie blue染色(Pierce)を使って少なくとも1時間染色された。該ゲルは脱イオン水で何回も洗浄することにより脱染色された。
【0129】
フィブロネクチン(FN)、コラーゲンI(Col I)、コラーゲンIV(Col IV)、ラミ二ン(LN)(BD Biosciences、San Diego CA)、ビトロネクチン(VN)、又はゼラチン(Gel)(Chemicon Intl.)でプレコートされた96ウエルプレートがFc−TEM−1の結合を評価するために使用された。TEM1のColI,ColIV及びFNへの結合は、ヒト血漿から精製したタンパク質中の混合物を追跡するためではない。なぜなら、抗Col抗体ELISAによってColI又はColIVがFN中に検出されず、FNがCol中にも検出されないからである(データは示されない)。全てのプレートは、Fc−TEM−1融合タンパク質、つまりN末端リーダー配列及び細胞外ドメイン全体をマウスのガンマ重鎖に融合することで作製された可溶性エンドシアリンを添加する前に2時間アッセイバッファー(PBS中に0.5%BSA、0.5%Tween−20)でブロックされた。1時間室温でインキュベートしたのち、プレートは洗浄され、HRP標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories、West Grove、PA)を1時間加えられた。カラー現像は、SureBlueTMTMBペルオキシダーゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)を使って評価された。BSAとヒトアイソタイプコントロール抗体の両者がネガティブコントロールとして使用された。Fc−TEM−1はBSAに結合せず、ヒトアイソタイプはECMタンパク質の任意に結合しなかった(データは示されない)。
【0130】
図4Aで示されるように、Fc−TEM−1は、容量依存的にフィブロネクチン並びにコラーゲンI及びIVに結合し、一方、容量範囲の全体に渡り、LN又はVNには結合しなかった。興味深いことに、Fc−TEM1はコラーゲンに結合する一方、ゼラチン(熱変成したコラーゲン)への結合は検出されなかった。テストされた4つのマウスアイソタイプIgG抗体はECMタンパク質の任意に結合しなかった。このことは、該相互作用がFc−TEM1融合タンパク質のマウスFc骨格によって媒介される可能性を除外する(データは示されない)。マウスガンマ重鎖及びエンドシアリンのレクチンドメインのみを含む融合タンパク質は、またFNへ結合する(データは示されない)。
【0131】
Fc−TEM1とECMタンパク質相互作用の選択性を確認するために、Fc−TEM1は、異なる精製蛋白質でコートされたELISAプレートにアプライされた。抗原特異的ELISAsは、TP Immunomini ELISAプレートを、4℃オーバーナイトで炭酸水素コーティングバッファー(pH9.6)(Sigma)に溶解した以下のものでコートすることで行われた。1μg/mlSTEB(ブドウ球菌エンテロトキシンBワクチン)、2μg/mlウシガンマグロブリン、ほとんど全てのメラノーマ細胞に発現される2μg/mlの癌関連90kD糖タンパク質抗原(TA90)、2μg/ml鶏卵リゾチーム、1:500希釈の破傷風トキソイド、1%BSA、0.2μg/mlヒトメソテリン、2μg/mlオボアルブミン(OVA)、1μg/mlヒトGM−CSF,2μg/mlヤギIgG、2μg/mlマウスIgGである。プレートは室温で2時間1xアッセイバッファーとともにブロックされ洗浄バッファー(0.5%TWEEN−20を含む)で3回洗浄し、ELISAが上記のように実行された。図4Bに示されるように、Fc−TEM1は、ポジティブコントロールとして使用された抗マウスFcを除いて、テストされた任意のタンパク質に結合しなかった。
【実施例5】
【0132】
ヒト血漿フィブロネクチンへのTEM1結合の阻害。
96ウエルプレートがフィブロネクチン(FN)でプレコートされ、抗TEM−1抗体によるFc−TEM−1の媒介する接着を阻害する能力がELISAにより評価された。手短には、融合タンパク質を添加する前2時間の間、FNコートされたプレートはアッセイバッファー(PBS中に0.5%BSA,0.5%Tween−20)でブロックされた。Fc−TEM−1は、M4抗体(米国特許公開番号20060239911中にES1として記載されたヒト化抗エンドシアリン抗体)、ヒトアイソタイプ(HuIgG)、又はウサギで作製された抗TEM−1抗体(RbtTEM1)と共に4℃で1時間プレインキュベートされた。M4は、非ヒト霊長類を除いて、エンドシアリンの種間の相同体に結合しない。M4の結合エピトープはエンドシアリンの細胞外レクチンドメインにマップされた。タンパク質/抗体複合体はFNコートプレートに加えられ、室温で1時間接着させられた。その時点で、プレートは洗浄され、HRP標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories、West Grove、PA)が1時間加えられた。カラー現像は、SureBlueTMTMBペルオキシダーゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)を使って評価された。図6に示されるように、M4は、フィブロネクチンへのFc−TEM1結合を抑制した。一方、非特異的コントロール(HuIgG)は結合を抑制しなかった。RbtTEM1は、また、フィブロネクチンへのFc−TEM1結合を抑制した(データは示されない)。
【実施例6】
【0133】
エンドシアリンはフィブロネクチンへの接着を媒介する。
エンドシアリンを安定に発現するCHO−TEM1細胞(M4抗体を使ったFACSにより確認された。データは示されない)が作製された。CHO−K1細胞は、L−グルタミン、1%最小限必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、及び10%熱非働化したFBS(インビトロジェン、Carlsbad、CA)を添加したRPMI中で維持された。CHO−K1細胞(3E6)(ATCC、Manassas、VA)は、0.4mmのエレクトロポレーションキュベット中で、10μgの直線化DNAと共にエレクトロポレートされた。ジーンパルサー(BioRad、Hercules、CA)を使って170V/1000μFのパルスが送達された。エレクトロポレートされた細胞は24時間回復され、その後ブラストサイジン(5μg/ml)抵抗クローンが選択された。エンドシアリンの発現はFACSで確認され、細胞は高発現のものが選別された。
【0134】
細胞(1.5x10細胞/ウエル)は洗浄され、Mg2+/Ca2+を含むPBS中に懸濁され、フィブロネクチンでコートされた96穴プレートに4重に加えられ、1時間接着させられた。表示されるように、細胞は、アッセイの始まる前1時間、M4抗体(100μg/mL)又はヒトアイソタイプ(IgG)でプレインキュベートされた。細胞が接着させられた後、プレートはPBSで5回洗浄され、生存性がCellTiter−Glo(R)(プロメガ、Madison、WI)を使って測定された。図9Bは、エンドシアリンの過剰発現がフィブロネクチンへの細胞結合を増加させ、非特異的IgGの様なコントロールと比べ、M4抗体の様なエンドシアリンの阻害剤によりブロックされることを示す。
【実施例7】
【0135】
フィブロネクチン及びフィブロネクチン断片へのエンドシアリン結合。
フィブロネクチンはタンパク質のC末端にジスルフィド架橋で共有結合的に連結された二量体として存在する大きな糖タンパク質複合体である(Ruoslahti et al.(1981)J.Biol.Chem.,256:7277−7281、Wierzbicka−Patynowski&Schwarzbauer(2003)J.Cell Sci.,116:3269−3276、Magnusson&Mosher(1998)Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,18:1363−1370)。酵素分解又は選択的スプライシングのいずれかに由来するフィブロネクチン断片は、ある種の疾患状態に関連するか、及び別々の生物学的機能を保持することが報告されてきた(Magnusson&Mosher(1998)Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,18:1363−1370、Labat−Robert(2002)Semin.Cancer Biol.,12:187−195、Homandberg(1999)Front Biosci.,4:D713−730)。
【0136】
Fc−TEM−1が異なるフィブロネクチン断片に結合する能力が評価された。等モル量のタンパク質がコーティングバッファー(50mM 炭酸―炭酸水素、pH9.4)に希釈され、ELISAプレート(Greiner Bio−one、Monroe、NC)に加えられ、4℃でオーバーナイトインキュベートされた。全てのプレートは、Fc−TEM−1の添加前2時間の間アッセイバッファー(PBS中に、0.5%BSA、0.5%Tween−20)でブロックされた。室温で1時間インキュベーションすることに引き続いて、プレートは洗浄され、HRP標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories、West Grove、PA)が1時間加えられた。カラー現像は、SureBlueTMTMBペルオキシダーゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)を使って評価された。コートされたフィブロネクチンタンパク質の完全性を評価するために、フィブロネクチンに対するウサギポリクローナル抗体(FN Ab)が、全てのFN断片が認識され均一にコートされていることを検出するために使用された。
【0137】
全長のヒト血漿精製フィブロネクチン及び120kDa細胞接着FN断片は、Chemicon Intl.(Temucula、CA)から購入された。タンパク質分解の30kDa、45kDa、70kDa断片はシグマ(St.Louis、MO)から、組換えヒトフィブロネクチン断片2及び4(それぞれFN2及びFN4)はR&DSystems(Minneapolis、MN)から購入された。
【0138】
図7Aで示されるように、Fc−TEM1はフィブロネクチンのアミノ末端70kDa断片、及びそのタンパク質分解産物(45kDa及び30kDa断片)に結合する。結合の程度は異なる断片の間で変わるが、FN全長で見られるよりは小さい。対照的に、Fc−TEM1は120kDaFN断片若しくは組換え断片FN2又はFN4に結合しない。この結合の欠如は、不均一なコーティング又は分解によるものではないようだ。なぜなら全てのFN断片は抗FNポリクローナル抗体により強く検出されるからだ。これは、FNドメインが70kDaアミノ末端部分中でエンドシアリン残基と相互作用することに関与する証拠である。70kDa断片をさらに消化することで結合能力が減少することは、Fc−TEM1がタンパク質分解部位に非常に近接した部分に位置する領域に結合すること又はTEM1がさらなる消化の後に変更されるFNのアミノ末端中にある立体構造依存的エピトープを認識することを示すかどうかを決定するために、Fc−TEM1がFNタンパク質の還元した型に結合する能力が検討された。抗FN抗体は、還元型のFNを認識できる一方、このことは等価のコーティングを示しているが、Fc−TEM1の結合は図7Bに示すように完全に喪失している。FN全体と似ているように、抗エンドシアリン抗体M4は、Fc−TEM1の70kDa断片への結合を容量依存的に阻止する(図7C)。一方、アイソタイプコントロール抗体は、影響がなかった(図7D)。これらの結果は、Fc−TEM1が、さらなるタンパク質分解により障害されるFNのアミノ末端中に位置する立体構造依存的エピトープを認識することを示している。
【実施例8】
【0139】
細胞表面のフィブロネクチンとエンドシアリンとの会合。
エンドシアリンを安定に発現するCHO−TEM1細胞(M4抗体を使ったFACSにより確認された。データは示されない)が作製された。CHO−K1細胞は、L−グルタミン、1%最小限必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、及び10%熱非働化したFBS(インビトロジェン、Carlsbad、CA)を添加したRPMI中で維持された。CHO−K1細胞(3E6)(ATCC、Manassas、VA)は、0.4mmのエレクトロポレーションキュベット中で、10μgの直線化DNAと共にエレクトロポレートされた。ジーンパルサー(BioRad、Hercules、CA)を使って170V/1000μFのパルスが送達された。エレクトロポレートされた細胞は24時間回復され、その後ブラストサイジン(5μg/ml)抵抗クローンが選択された。エンドシアリンの発現はFACSで確認され、細胞は高発現のものが選別された。
【0140】
細胞表面のFNのレベルが親株であるCHO−K1及びCHO−TEM1細胞でポリクローナル抗FN抗体を使用してフローサイトメトリにより調べられた。細胞は細胞解離バッファー(インビトロジェン、Carlsbad、CA)中に回収され、洗浄され、及び氷冷PBS+1%FBSに懸濁された。細胞は、一次抗体M4(10μg/ml)と共に氷上で1時間インキュベートされ、洗浄され、そしてFITCを抱合したヤギ抗ヒト二次抗体(Southern Biotech、Birmingham、AL)とインキュベートし、そしてEASYCYTE フローサイトメーター(Guava Technologies、Hayward、CA)で解析された。CHO−K1細胞に比べCHO−TEM1細胞で15−20%高いレベルの細胞表面FNが常に観察された(データは示されない)。細胞表面FNとエンドシアリンとの会合が調べられた。
【0141】
抗FN抗体を使って、FNがCHO−K1及びCHO−TEM1の両者のライセートから免疫沈降され、引き続いて同じ抗体又は抗TEM1抗体を使ってウエスタンブロットされた。細胞(10E7)は、完全ミニプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を補充した放射性免疫沈降法(RIPA)バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.4、1% NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl、0.1% ドデシル硫酸ナトリウム[SDS])で溶解され、そして、細片を除去するために15分間13,000rpmで遠心分離された。プロテインGセファロース6ファーストフロービーズ(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)がPBSで3回洗浄され、抗FN抗体(1μg)が4℃で緩やかに振とうされることで捕獲された。サンプルあたり等量のタンパク質が非結合のプロテインGを加えることでプレクリアーされた。2時間のインキュベートの後、プロテインGは除去され、上澄み溶液は抗体―セファロース複合体を加えられ、4℃でオーバーナイトインキュベートされた。RIPAバッファーで何度も洗浄したのち、結合したタンパク質は5%β―メルカプトエタノールを含むNuPAGE(R)LDSサンプルバッファー(インビトロジェン)中で10分間沸騰させることで除去された。タンパク質は4−12%のBis−Trisゲル(インビトロジェン)で、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分離され、PVDF膜にトランスファーされた。免疫ブロットがフィブロネクチンに対する(Abcam、Cambridge、MA)又はエンドシアリンに対する(Morphotek,Inc、Exton、PA)特異的なウサギポリクローナル抗体を用いて行われ、ヤギ抗ウサギHRP抱合した抗体で検出され、そして、SUPERSIGNALウエストピコ化学発光基質(Pierce、Rockford、IL)を使って可視化された。可溶化Fc−TEM1の完全性と純度もまたウエスタンブロットを用いてモニターされた。タンパク質(5μg)は、5%β−メルカプトエタノールを含む4xNUPAGE LDSサンプルバッファー(インビトロジェン)中で5分間沸騰され、NUPAGE4−12%Bis−Trisゲル(インビトロジェン)で電気泳動され、そして、PVDF膜にトランスファーされ、上記のように免疫ブロットが実行された。
【0142】
FNはCHO−TEM1ライセートからエンドシアリンを免疫沈降することができることが見出された(データは示されない)。対照的に、FNをプルダウンしない正常IgGを用いて免疫沈降した細胞ライセート中では、エンドシアリンは検出されなかった(データは示されない)。少なくとも2つの異なるやり方は(ELISA及び共免疫沈降法)FNとエンドシアリンの相互作用の強い証拠を提供する。似たような結果が、エンドシアリンを異所的に発現するHEK−293T細胞を使って得られている(データは示されない)。
【実施例9】
【0143】
MATRIGEL上に培養されたエンドシアリン発現細胞はクモの巣状の構造を形成する。
プラスチックの表面で培養された親株であるCHO−K1とCHO−TEM1細胞の間には増殖又は生存に差は観察できなかったが、これらの細胞をMATRIGEL上で培養する場合劇的に異なる形態が観察された。親株であるCHO−K1細胞は2日の培養の後に最小限の突起を有する単離された細胞クラスターに成長するが(図8、上のパネル)、一方CHO−TEM1細胞は、クモの巣状のネットワークを形成するクラスターへと成長した(図8、左下のパネル)。さらに、該クラスター中のCHO−TEM1細胞は他のクラスターへと延びた突起を示す(図8、右下のパネル)。時間がたつと、CHO−K1細胞ではなくCHO−TEM1細胞がお互いに近接して動き、より大きなクラスターを形成した(データは示されない)。
【実施例10】
【0144】
エンドシアリンの発現は、フィブロネクチン及びフィブロネクチンの70kD又は30kDのN末端への細胞接着を増加させる。
FN断片への接着を評価するため、等モル量のタンパク質断片がオーバーナイトでプレコートされ、そして10mg/mL BSAを含むPBSで2時間ブロックされた。MATRIGELはポジティブコントロールとして働く。細胞解離バッファー中に回収されたCHO−K1又はCHO−TEM1細胞(1.5x10細胞/ウエル)は洗浄され、Mg2+/Ca2+を含むPBSに懸濁され、ECM細胞接着アレイキット(Millipore)に4重に加えられるか、又はFN、LN、Gel、ColIが個々にコートされたプレート(BD Biosciences)に蒔いて培養され、1時間接着させられた。インキュベーションに引き続いて、各々のウエルはPBSで5回洗浄され、生存性がCellTiter−Glo(R)を用いて測定された。表示されるように、細胞はアッセイのスタート前1時間抗体とプレインキュベートされた。図9Aに示されるように、接着したCHO−TEM1細胞の数は、FNでコートしたウエル中で、親株のCHO−K1細胞の数より6倍高かった。ラミニン又はビトロネクチンでコートした表面上でのCHO−K1とCHO−TEM1の間では、接着の有意な差は観察されなかった。一方、コラーゲンとテネイシンに対する接着は、任意の価値ある差を評価するには弱すぎた(図9A)。M4抗体でCHO−TEM1細胞を前処理することで、TEM1−FN依存性細胞接着が50%減少し、一方IgGコントロール抗体は影響がなかった(図9B)。M4抗体処理は親株のCHO−K1細胞のFN依存性、エンドシアリン非依存性の細胞接着(ベースラインの接着)に影響を与えなかった。
【0145】
プレートは等モル量のFN全長、FNタンパク質分解断片、及びMATRIGELでプレコートされた。CHO−TEM1細胞は親株のCHO−K1細胞に比べてFN、70kDa及び30kDa断片に対して3から5倍増加の接着を示すが、一方45kDa又はFn2断片に対しては有意な接着が見られなかった。CHO−TEM1細胞は、CHO−K1に比べて5倍よくMATRIGELに結合した(図9C)。これらの結果は、エンドシアリンが細胞外マトリックスへの細胞の結合を向上させ、及びFNのアミノ末端がこれらの相互作用に関与することを示す。
【実施例11】
【0146】
エンドシアリンはコラーゲンIに結合しM4はこの結合を阻害する。
コラーゲンIでプレコートされた96穴プレートがFc−TEM−1結合をブロックするM4の能力を評価するために使用された。示された濃度(μg/mL)でのタンパク質の添加の前2時間の間、プレートはアッセイバッファー(PBS中に0.5%BSA、0.5%Tween−20)でブロックされた。Fc−TEM−1は、4℃で1時間M4抗体又はヒトアイソタイプ抗体(ヒトIgG)とともにプレインキュベートされた。タンパク質/抗体複合体はそれからColIでコートされたプレートに添加され室温で1時間接着させられた。そして、プレートは洗浄され、HRPで標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories、West Grove、PA)が1時間加えられた。カラー現像は、SureBlueTMTMBペルオキシダーゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)を使って評価された。図10に示されるように、エンドシアリンの過剰発現はColIへの細胞結合を増加させ、非特異的IgGの様なコントロールと対照的にM4の様なエンドシアリンの阻害剤によってブロックされ得る。RbtTEM1は、また、ColIへのFc−TEM1結合を抑制する(データは示されない)。
【実施例12】
【0147】
エンドシアリンはコラーゲンへの細胞接着を増加させる。
CHO−K1又はCHO−TEM1細胞(1.5x10細胞/ウエル)は洗浄され、Mg2+/Ca2+を含むPBS中に懸濁され、コラーゲンIでコートされた96穴プレートに4重に加えられ、示された時間の間接着させられた。該細胞が接着させられたのち、プレートはPBSで5回洗浄され、生存性がCellTiter−Glo(R)を使って測定された。図11で示されるように、エンドシアリンの過剰発現がColIへの細胞結合を増加させる。
【実施例13】
【0148】
細胞遊走アッセイ。
BDバイオコート癌浸潤システムTM(BD Bioscience)及びヒトフィブロネクチン細胞培養インサート(BD Bioscience)がTEM1を介する細胞遊走を評価するために使用された。細胞は非酵素的細胞解離バッファーで回収され、2%ウシ胎児血清(FBS)を補充された成長培地中で4E5細胞/mlの濃度に希釈され、そして、500μlの細胞懸濁液が膜の挿入された上部のチャンバーに加えられた。濃度勾配を作るために、20%FBSを含む成長培地が下部のチャンバーに加えられた。細胞は48時間インキュベートされ、その後、インサートが除去され、コートされた膜を通して遊走した細胞がCELLTITER−GLO(Promega)を使って計測された。細胞は、図12での記載に示されるように抗体で前処理されて、遊走は、抗体の継続的な存在下で評価された。MATRIGEL上での管の形成を調べるために、細胞(8E4細胞/ウエル)はMATRIGEL(BD Bioscience)でコートした96穴プレートに加えられ、オーバーナイトインキュベートされ、200−400xの拡大率で写真撮影された。
【0149】
図12Aで示されるように、CHO−K1細胞は中程度の細胞遊走を示したが、一方、CHO−TEM1細胞は10倍以上の亢進した遊走を示した。コントロールのIgGではなく、M4抗体処理がCHO−TEM1細胞の遊走を消失させた。似たような結果が、FNでコートしたトランスウエルチャンバーを使った遊走実験で観察された(図12B)。
【実施例14】
【0150】
エンドシアリンはMMP−9の活性を増加させる。
エンドシアリン、MMP−2及びCOLIVは、初期の血管新生工程の指の様な突起に特徴づけられる組織領域に共局在することが示されてきた(Virgintino et al.(2007)Angiogenesis,10:35−45)MMP活性を評価するために、細胞は6穴プレートに蒔かれ48時間血清を欠乏させた。細胞培養上清が回収され、任意の細片を除去するために4℃で遠心分離(13,000rpm、15分)により濾過された。等量のタンパク質が、製造元のプロトコルに従って、非還元条件でゼラチン及びカゼインザイモグラフィー(インビトロジェン)に供された。ポジティブコントロールのヒトMMP−2及びMMP−9(Chemicon,International)は、MMP−2及びMMP−9の移動を示すのに使用され、CHOK1及びCHO−TEM−1上清の参照として使用された。図13に示されるように、MMP−9の活性が、親株であるCHO−K1細胞と比べてCHO−TEM1細胞で有意に上昇していた。向上したMMP−9活性は、MMP特異的ELISAにより測定されるように、CHO−TEM1細胞の培養上清中の増加したMMP−9タンパク質の分泌と相関した(データは示されない)。これらのデータは、誘導されたMMP−9の分泌が、本明細書中で示されたMATRIGEL及びFN−コートトランスウエルを介したCHO−TEM1細胞の向上した細胞遊走能力に寄与することを示す。
【実施例15】
【0151】
エンドシアリンはβインテグリンの活性を増加する。
インテグリン(例えば、α4β1、α5β1)は、FN依存的な細胞接着を媒介するよく特徴づけられた受容体である(Wierzbicka−Patynowski&Schwarzbauer 2003、Magnusson&Mosher 1998)。さらに、同定されていない細胞受容体が、FNのN末端70kDa領域に結合すること(McKeown−Longo&Mosher(1983)J.Cell Biol.,97:466−472)及びFN−インテグリン及びFN−FN相互作用が関与する可溶性FNの隠れたインテグリン結合サイト(RGDモチーフ)を露出させることが必要なこと(Tomasini−Johansson et al.(2006)Matrix Biol.,25:282−293,McKeown−Longo&Mosher(1985)J.Cell Biol.,100:364−374)が機能的に記載されてきた。本明細書中でエンドシアリンは、N末端70kDaFN領域と相互作用し、FN依存的な細胞接着を向上する新規受容体として同定された。これらのインビトロの細胞システム中で測定された亢進したFN結合は、エンドシアリンとインテグリンとの連続的な相互作用の結果であり得るだろう。
【0152】
ヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞は、エンドシアリンとモックのcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は、細胞表面エンドシアリン(293TEM1)を発現することが確認された。一方、モックをトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、M4抗体の存在下でインテグリンの発現と活性がアップレギュレートする能力があるかをテストされた。図14Bはエンドシアリンの過剰発現がコントロール細胞と比較してインテグリンβ1の活性を増加することを示している。図14Aは細胞表面のインテグリンβ1の発現が変化のないことを示している。エンドシアリン阻害剤M4で処理した細胞は、細胞表面のレベルには全く影響がないが、インテグリンの活性が抑えられる(図14B)。任意の一つの理論に拘束されることを望むわけではないが、エンドシアリンと可溶性FNのN末端70kDa断片との相互作用は、FNがインテグリンに結合する多量体高親和性形態への組み立てを開始するのに関与するかもしれない。
【実施例16】
【0153】
M4.1はマウスTEM−1でなく非還元型ヒトTEM−1を認識する。
CHO−TEM1細胞、マウス2H11細胞、親株であるCHO−K1細胞、マウスNS0細胞及びマウスMS1細胞は、完全RPMI1640(RPMI1640、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、L−グルタミン、及びFBS、インビトロジェン Corp.)中で培養された。ヒトプライマリー周皮細胞は、周皮細胞培地(500mlの基本培地(Cat#1201)、10ml(2%)のウシ胎児血清(FBS、Cat番号0025)、5mlの周皮細胞成長サプリメント(PGS、Cat番号1252)及び5mlのペニシリン/ストレプトマイシン溶液(P/S、Cat番号0503)、インビトロジェン Corp.)で培養された。細胞は、加湿されたインキュベーター中で37℃、5%CO2で培養された。細胞は、TrypLETMSelect(インビトロジェン Corp.、カタログ番号12563−011)ではがされ、洗浄され、数を数えられた。細胞は、プロテアーゼ阻害剤を含むRIPA溶解バッファー中2x10細胞で溶解され、10分間氷上でインキュベートされた。不可溶の物質は10,000G、4℃10分間でペレットされ、上清は新しいチューブにトランスファーされた。一定分量は、等量の2xタンパク質ローディングバッファーに10%2−メルカプトエタノール(還元剤)を入れて又は入れずに混ぜられた。15μl(1.5x10細胞)のライセートが15ウエル4−12%Bis/TrisSDS−PAGEゲルにロードされ、30分間200VでMESランニングバッファー中電気泳動された。ゲルはPVDFに電気ブロットされ、5%ミルク−TBST(5% M−TBST)中でロックされながら室温1時間ブロックされた。M4.1ブロットは、5%M−TBST中3.3μg/mLの濃度、4℃オーバーナイトでM4.1によりプローブされた。
【0154】
ウサギ抗tem−1ポリクローナル抗体ブロットは、5%M−TBST中、4℃オーバーナイトで抗体の1:300希釈(4.5mg/ml、ストックロット番号NB487−76)によりプローブされた。M4抗体の様にM4.1抗体は、ヒトエンドシアリンに対するヒト化抗体である。膜は室温中、30mLのTBSTで5回5分の間洗浄された。HRP抱合したヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson Immuno、1mg/mLストック)は、二次抗体として5%M−TBST中に1:20,000希釈し、室温で30分間M4.1ブロットをプローブされた。HRP抱合したヤギ抗ウサギ(H+L)二次抗体は室温で30分間ポリクローナル抗TEM−1ブロットをブロットするのに使用された。膜は室温中、30mLのTBSTで5回5分の間洗浄された。シグナルは、マニュアル通りフェムトウエスタンブロット検出システム(Pierce)を使って化学発光により検出された。
【0155】
図15に図示するように、M4.1はCHO−TEM−1細胞及びヒトプライマリー周皮細胞の非還元型ヒトTEM−1を認識し、マウス2H11細胞のマウスTEM−1(配列ID番号2)を認識しない(図15)。ヒトTEM−1に対するウサギポリクローナル(rabPAbTEM−1)は、CHO−TEM−1細胞とヒト周皮細胞中のヒトTEM−1を認識し、また、マウス2H11細胞中のマウスTEM−1も認識する。M4.1又はrabPAb TEM−1のどちらも、親株であるCHO−K1細胞又はマウスNS0及びMS1細胞のライセートと、これらの細胞でTEM−1発現が欠如しているため反応しない。rabPAb TEM−1だけが、非還元のTEM−1と比べてより少ない程度に減少して還元したヒトTEM−1と反応する。
【0156】
本発明は上記に記載及び例示される実施形態に限定されることはなく、付加された請求項の範囲で変更及び修正されるものを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0157】
図1A及び1Bは、悪性組織でのエンドシアリン陽性細胞の免疫組織化学的解析を示す。腫瘍は直腸結腸癌の患者から単離され、液体窒素で急速冷凍された。サンプルは薄くセクションされ抗エンドシアリン又はアイソタイプコントロール抗体で染色された。示されるように、腫瘍の血管が(図1A)エンドシアリンで陽性に染色され、一方連続切片を染色したアイソタイプコントロール抗体は陰性であった(図1B)。
【0158】
図2A及び2Bは正常組織のエンドシアリン陽性細胞の免疫組織化学的解析を示す。正常組織がバイオプシーにより患者から単離され、液体窒素中で急速冷凍された。サンプルは薄くセクションされ抗エンドシアリン又はアイソタイプコントロール抗体で染色された。示されるように、正常組織は少ない数のEPCs(矢印、図2A)を含み、一方連続切片を染色したアイソタイプコントロール抗体は陰性であった(図2B)。テストされた多くの正常組織は、インサイツ又は抗体染色で測定されて少ない数のEPCsを有していた。
【0159】
図3はプライマリー血管内皮細胞の培養細胞からエンドシアリン陽性細胞の単離を示す。HMVEC細胞培養はパンニングによりEPCsを濃縮された。エンドシアリンでパンニングされた細胞培養はHMVECの親株培養とエンドシアリン発現細胞の割合を比較された。示されるように、抗エンドシアリン抗体により免疫染色され蛍光を抱合した二次抗体で引き続くことで測定されることで、パンニングされていない親株の培養に比べて、パンニングされた培養はエンドシアリン陽性細胞をよりずっと高い数有していた。それぞれのフィールドの細胞数は光学顕微鏡で測定された。
【0160】
図4は組換えエンドシアリン(Fc−TEM1)が細胞外マトリックスタンパク質(EMPs)に結合することを示す。ELISAプレートは、EMPフィブロネクチン(FN)、コラーゲン(COL、コラーゲンI型(COLI)及びコラーゲンIV型(COLIV)を含む)、ビトロネクチン、ラミニン、又はゼラチン(Gel)でプレコートされ、増加する濃度で精製Fc−TEM1タンパク質を加える前にELISAアッセイバッファーでブロックされた。2時間インキュベーションすることに引き続いて、プレートは洗浄され、標準的なELISA条件を用いて、Fcテイルに特異的なHRP結合したヤギ抗マウス二次抗体を使って結合をアッセイされた。プレートは洗浄され、現像され、そして、OD450nmでプレートリーダーを使って定量された。図4Aに示されるように、Fc−TEM1はFN及びCOLに強く結合し、一方LM、VN、又はGelとは弱い結合が観察された。図4Bでは、ELISAプレートは、オーバーナイトで以下の抗原でプレコートされた。ブドウ球菌エンテロトキシンB(STEB)、オボアルブミン(OVA)、ウシガンマグロブリン(BGG)、ほとんど全てのメラノーマ細胞に発現される癌関連90kD糖タンパク質抗原(TA90)、鶏卵リゾチーム(HEL)、破傷風トキソイド(TT)、1%BSA、ヒトメソテリン、ヒトGM−CSF、ヤギIgG、及びマウスIgG。Fc−TEM1は増加する量(5、10、50μg/ml)で加えられ2時間接着させられた。プレートはそれから洗浄され、HRP抱合したヤギ抗マウス抗体が、結合したFc−TEM1を検出するために加えられた。
【0161】
図5はエンドシアリンに対するフィブロネクチン(FN)結合ドメインのマッピングを示す。フィブロネクチン(FN)に由来する、タンパク質分解及び組換え断片がTEM−1結合を支持する能力を評価された。評価されたFN断片は以下のものを含む。N末端70kDa断片(Sigma Cat.番号F0287)(フィブロネクチンのカセプシンD消化により得られた)、30kDaへパリン結合断片(Sigma Cat.番号F9911)、45kDaゼラチン結合断片(Sigma Cat.番号F0162)(両者は70kDa断片のトリプシン消化により得られた)、細胞接着ドメインを含む120kDa断片(「120kDa断片」)、及び2つの組換え断片、最初の7つのFNIII型ドメインを含むFn2、及び鎖間のジスルフィド結合の部位とα4β1インテグリンの結合ドメインを含むFn4。FN構造の図説は、Wierzbicka−Patynowski et al.(2003)J.Cell Sci.,116:3269−76から引用した。
【0162】
図6は、阻害剤の存在下でのFc−TEM1のEMP及びフィブロネクチンへの結合を示す。M4はヒトエンドシアリンに対するヒト化抗体であり、rbtTEM1はヒトエンドシアリンに対するウサギ抗体である。アッセイは、抗体がFc−TEM1がFNに結合するのを邪魔し又はブロックする能力を測定するために加えられるのを除いては、図4に記載されるように行われた。この図に示されるように、M4はFc−TEM1がFNに結合するのを阻害することができる、一方非特異的コントロール(HuIgG)は阻害しなかった。
【0163】
図7はEMP断片へのエンドシアリンの結合及びエンドシアリン−EMP阻害化合物によるその結合の阻害を示す。フィブロネクチン断片は図5に図説された。図7AはネイティブFNに由来するタンパク質断片への結合を示す。図7Bは変性されたFNに由来するタンパク質断片への結合を示す。図7A及び7Bでは、FN断片が示された濃度でELISAプレートにコートされた。抗FNポリクローナル抗体が、それ引き続きHRP抱合したヤギ抗ウサギ二次抗体を添加して、完全な結合タンパク質を検出するのに使用された。Fc−TEM1(1.25μg/ml)が加えられ、2時間結合させられた。プレートはそれから洗浄され、HRP抱合ヤギ抗マウス抗体が結合したFc−TEM1を検出するために加えられた。図7B中の斜線のバー(Fc−TEM1ネイティブ)は、変性していないFNに対するFc−TEM1の結合を表している。示されるように、エンドシアリンはフィブロネクチンのN末端領域に結合し、FN−2、FN−4、又は120kDa断片には少し又は全く結合が検出されなかった。フィブロネクチンに対するポリクローナル抗体は全ての断片に結合した。図7C及び7DはFNの70kDa断片に対してのFc−TEM1の結合を示し、及びエンドシアリン―EMP阻害化合物による該相互作用の阻害を示す。FN全長と70kDaFNタンパク質は、両者ともに約15nmol/ウエルの固定した濃度でELISAプレート上にコートされた。Fc−TEM1(1.25μg/ml)は、抗エンドシアリン抗体M4又はアイソタイプコントロールIgGの増加する量と共に1時間4℃でプレインキュベートされた。Fc−TEM1/M4(図7C)又はFc−TEM1/IgG(図7D)複合体は、FN−及び70kDaでコートされたウエルに加えられ、室温で2時間インキュベートされた。結合したFc−TEM1タンパク質は、HRP抱合したヤギ抗マウス二次抗体を加えることで検出された。
【0164】
図8はMATRIGEL(BD Biosciences)の商品名で販売されているゼラチン様タンパク質混合物上での、エンドシアリン発現による細胞形態の変化を図示している。CHO−K1又はCHO−TEM1のいずれかの8E4細胞は、MATRIGELでコートされた96穴プレートに蒔かれ、37℃でインキュベートされた。オーバーナイトインキュベートした後、細胞は管形成を巨視的に観察するために写真を撮られた。
【0165】
図9はEMP断片へのエンドシアリンが媒介する細胞結合を示す。CHO細胞は、エンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(CHOTEM1)を発現するのが確認された。一方、モック(CHOK1)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。図9Aでは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、様々なECMタンパク質を含むプレコートされた96穴プレートに加えられた。細胞は37℃、1時間接着させられ、ウエルは緩く結合した細胞を除去するため、何度も洗浄された。接着した細胞の数はCELLTITER−GLO発光細胞生存性アッセイを使用して測定された。省略として:Col、コラーゲン;FN、フィブロネクチン;LN、ラミニン;TN、テネイシン;VN、ビトロネクチン;Neg、ウシ血清アルブミン。図9Bでは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、エンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(CHOTEM1)を発現するのがFACS解析で確認された。一方、モック(CHOK1)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、単独で、又はエンドシアリン抗体M4又はコントロールIgGと組み合わせて、EMPフィブロネクチンに結合する能力をテストされた。図9Bは抗エンドシアリン抗体M4が、FNへのエンドシアリンを介する細胞接着を減少させることを示している。細胞(1.5E5)は、4℃で1時間、M4抗体(100μg/ml)又はIgGアイソタイプコントロール抗体(100μg/ml)とともにプレインキュベートされた。図9Cでは、細胞は、FN全長又はフィブロネクチン断片と結合する能力をテストされた。図9Aに示されるように、FNでコートされたウエル中で接着したCHO−TEM1細胞の数は、親株であるCHO−K1細胞の数より6倍高かった。ラミニン又はビトロネクチンでコートされた表面上では、CHO−K1とCHO−TEM1との間で接着に有意な差は観察されなかった。一方、コラーゲンとテネイシンへの接着は任意の価値ある差異を評価するのには弱すぎた(図9A)。M4抗体でCHO−TEM1細胞を前処理することは、TEM1−FN依存性細胞接着を50%減少させたが、IgGコントロール抗体は全く影響がなかった(図9B)。M4抗体は親株であるCHO−K1細胞のFN依存性、エンドシアリン非依存性細胞接着(ベースライン接着)に影響を与えなかった。CHO−TEM1細胞は、親株であるCHO−K1細胞に比べて、FN、70kDa及び30kDa断片に対して3−5倍接着が増加することを示していたが、45kDa又はFn2断片に対しては、有意な接着は見られなかった。CHO−TEM1はCHO−K1より5倍よくMATRIGELに結合した(図9C)。
【0166】
図10はエンドシアリン−EMPコラーゲン阻害化合物の同定を示す。CHO細胞はエンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(CHOTEM1)を発現するのが確認された。一方、モック(CHOK1)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、単独で、又はエンドシアリン抗体M4又はコントロールIgGと組み合わせて、EMPコラーゲンI型(COLI)に結合する能力をテストされた。示されるように、エンドシアリンの過剰発現はCOLIへ細胞結合が増加した。それは、コントロール分子(IgG)と比較して、M4の様なエンドシアリンの阻害剤でブロックされ得る。RbtTEM1はまたCOLIへのFc−TEM1結合を抑制した(データは示されない)。
【0167】
図11はEMPコラーゲンへのエンドシアリンを介した細胞結合を示す。CHO細胞はエンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(CHOTEM1)を発現するのが確認された。一方、モック(CHOK1)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、それからEMPコラーゲンI型へ結合する能力をテストされた。示されるように、エンドシアリンの過剰発現によりCOLIへの細胞結合が増加した。
【0168】
図12はエンドシアリンによる細胞遊走の媒介及び抗エンドシアリン抗体M4によるその阻害を示す。MATRIGEL(図12A)、又はFN(図12B)でコートした膜を通してのCHO−TEM1及びCHO−K1細胞の遊走をM4が阻害する能力を測定した。細胞は上部チャンバーに加えられ、37℃で48時間遊走させられた。該膜が除去され、遊走した細胞の数が、CELLTITER−GLO発光細胞生存性アッセイを使用して測定された。表示されるように、細胞は、実験の期間中M4又はIgGアイソタイプコントロールで処置された。図12Aに示されるように、CHO−K1細胞は、中程度の細胞遊走を示したが、一方CHO−TEM1細胞は>10倍の亢進した遊走を示した。コントロールIgGでなくM4抗体処理がCHO−TEM1細胞遊走を消失させた。似たような結果が、FNでコートしたトランスウエルチャンバーを使った遊走実験で観察された(図12B)。
【0169】
図13は細胞パスウェイのエンドシアリンによる増強を示す。CHO細胞はエンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(CHOTEM1)を発現するのが確認された。一方、モック(CHOK1)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、細胞パスウェイをアップレギュレートする能力をテストされた。一つのそのようなパスウェイはMMP9パスウェイで、細胞遊走に役割を担っている。示されるように、エンドシアリンの過剰発現は、コントロールの細胞と対照的に、MMP−9活性が増加している。
【0170】
図14は、βインテグリンの活性化上のエンドシアリンの阻害の効果について示している。ヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞は、エンドシアリン又はモックcDNAを発現するベクターでトランスフェクトされた。細胞は細胞表面上のエンドシアリン(293TEM1)を発現するのが確認された。一方、モック(293T)をトランスフェクトされた細胞は発現していなかった。細胞は、細胞パスウェイをアップレギュレートする能力をテストされた。一つのそのようなパスウェイはインテグリンパスウェイで、細胞遊走に役割を担っている。示されるように、エンドシアリンの過剰発現は、コントロールの細胞と対照的に、インテグリンβ1活性が増加している(図14B)。一方、細胞表面β1発現への直接の影響は変化がなかった(図14A)。エンドシアリン阻害剤M4での細胞の処理は、細胞表面レベルへの影響は見られないが、インテグリン活性の抑制を生じた(図14B)。これらのデータは、エンドシアリン発現細胞中でインテグリンの機能を抑制するためにエンドシアリンの阻害剤を使用する能力を示している。
【0171】
図15は、抗体M4.1がCHO−TEM1細胞及びヒトプライマリー周皮細胞中で非還元型のヒトTEM−1を認識するが、マウス2H11細胞中のマウスTEM−1を認識しないことを図説している。ヒトTEM−1に対するウサギポリクローナル(rabPAb TEM−1)は、CHO−TEM1細胞及びヒト周皮細胞中でヒトTEM−1を認識するが、マウス2H11細胞中のマウスTEM−1をも認識する。M4.1又はrabPAb TEM−1は、TEM−1発現が欠如しているために、親株であるCHO−K1細胞又はマウスNS0及びMS1細胞のライセートに反応を示さない。rabPAb TEM−1だけが、非還元のTEM−1に比べるとより少ない程度に減少して、還元型ヒトTEM−1と反応する。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3】

【図4A】

【図4B】

【図5】

【図6】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図7D】

【図8】

【図9A】

【図9B】

【図9C】

【図10】

【図11】

【図12A】

【図12B】

【図13】

【図14A】

【図14B】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法であって、前記エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片とを接触させることを含み、そこでは、前記抗体又は抗原結合断片と該エンドシアリン発現細胞の表面上に発現されるエンドシアリンとの結合が、前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、該エンドシアリンリガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がマウスエンドシアリンに結合しない方法。
【請求項4】
請求項1の方法において、エンドシアリンに対する前記抗体又は抗原結合断片の親和性が約1x10−7M未満である方法。
【請求項5】
請求項1の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がキメラ抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がヒト化抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項7】
請求項1の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号28のCDR1、配列ID番号30のCDR2、及び配列ID番号32のCDR3を含む重鎖並びに、配列ID番号13のCDR1、配列ID番号15のCDR2、及び配列ID番号17のCDR3を含む軽鎖を含む方法。
【請求項8】
請求項7の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含む方法。
【請求項9】
請求項8の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む方法。
【請求項10】
請求項1の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、ATCCアクセス番号PTA−7554又はATCCアクセス番号______を有する細胞によって生産された抗体の特性を含む方法。
【請求項11】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することが、該エンドシアリン発現細胞の遊走を阻害する方法。
【請求項12】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの活性化を阻害する方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項14】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの発現を阻害する方法。
【請求項15】
請求項14の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項16】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害することが、インテグリンβ1、β2、又はβ3の活性化を阻害する方法。
【請求項17】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞が哺乳類細胞である方法。
【請求項18】
請求項1の方法において、前記エンドシアリン発現細胞が腫瘍性の細胞である方法。
【請求項19】
被検体中の新血管形成を阻害する方法であって、エンドシアリンに特異的に結合する治療的に有効量の抗体又は抗原結合断片を該被検体に投与することを含み、そこでは、前記抗体又は抗原結合断片が細胞表面上に発現されたエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、及び前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが該被検体中の組織、器官、又は腫瘍の新血管形成を阻害する方法。
【請求項20】
請求項19の方法において、該リガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項21】
請求項19の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がマウスエンドシアリンに結合しない方法。
【請求項22】
請求項19の方法において、エンドシアリンに対する前記抗体又は抗原結合断片の親和性が約1x10−7M未満である方法。
【請求項23】
請求項19の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がキメラ抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項24】
請求項19の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がヒト化抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項25】
請求項19の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号28のCDR1、配列ID番号30のCDR2、及び配列ID番号32のCDR3を含む重鎖並びに、配列ID番号13のCDR1、配列ID番号15のCDR2、及び配列ID番号17のCDR3を含む軽鎖を含む方法。
【請求項26】
請求項25の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含む方法。
【請求項27】
請求項26の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む方法。
【請求項28】
請求項19の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、ATCCアクセス番号PTA−7554又はATCCアクセス番号______を有する細胞によって生産された抗体の特性を含む方法。
【請求項29】
請求項19の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、該細胞の遊走を阻害する方法。
【請求項30】
請求項19の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの活性化を阻害する方法。
【請求項31】
請求項30の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項32】
請求項19の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの発現を阻害する方法。
【請求項33】
請求項32の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項34】
請求項19の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、インテグリンβ1、β2、又はβ3の活性化を阻害する方法。
【請求項35】
請求項19の方法において、前記細胞が哺乳類細胞である方法。
【請求項36】
請求項19の方法において、前記細胞が腫瘍性の細胞である方法。
【請求項37】
被検体中の血管新生を阻害する方法であって、エンドシアリンに特異的に結合する治療的に有効量の抗体又は抗原結合断片を該被検体に投与することを含み、そこでは、前記抗体又は抗原結合断片が細胞表面上に発現されたエンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害し、及び前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが該被検体中の組織、器官、又は腫瘍の血管新生を阻害する方法。
【請求項38】
請求項37の方法において、該リガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項39】
請求項37の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がマウスエンドシアリンに結合しない方法。
【請求項40】
請求項37の方法において、エンドシアリンに対する前記抗体又は抗原結合断片の親和性が約1x10−7M未満である方法。
【請求項41】
請求項37の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がキメラ抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項42】
請求項37の方法において、前記抗体又は抗原結合断片がヒト化抗体又は抗原結合断片である方法。
【請求項43】
請求項37の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号28のCDR1、配列ID番号30のCDR2、及び配列ID番号32のCDR3を含む重鎖並びに、配列ID番号13のCDR1、配列ID番号15のCDR2、及び配列ID番号17のCDR3を含む軽鎖を含む方法。
【請求項44】
請求項43の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号34の可変ドメインを含む重鎖及び配列ID番号19の可変ドメインを含む軽鎖を含む方法。
【請求項45】
請求項44の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、配列ID番号22又は26のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列ID番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む方法。
【請求項46】
請求項37の方法において、該抗体又は抗原結合断片は、ATCCアクセス番号PTA−7554又はATCCアクセス番号______を有する細胞によって生産された抗体の特性を含む方法。
【請求項47】
請求項37の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、該細胞の遊走を阻害する方法。
【請求項48】
請求項37の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの活性化を阻害する方法。
【請求項49】
請求項48の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項50】
請求項37の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、マトリックスメタロプロテアーゼの発現を阻害する方法。
【請求項51】
請求項50の方法において、該マトリックスメタロプロテアーゼがMMP−9である方法。
【請求項52】
請求項37の方法において、前記細胞の表面上に発現されたエンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとの前記相互作用を阻害することが、インテグリンβ1、β2、又はβ3の活性化を阻害する方法。
【請求項53】
請求項37の方法において、前記細胞が哺乳類細胞である方法。
【請求項54】
請求項37の方法において、前記細胞が腫瘍性の細胞である方法。
【請求項55】
エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法であって、前記エンドシアリンリガンドと前記エンドシアリンリガンドに特異的に結合する抗体又は抗原結合断片を接触させることを含み、従って、前記エンドシアリンリガンドと前記細胞の表面上に発現したエンドシアリンとの相互作用を妨害し、そこでは前記妨害が前記エンドシアリン発現細胞と前記エンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法。
【請求項56】
請求項55の方法において、前記エンドシアリンリガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項57】
被検体中の新血管形成を阻害する方法であって、エンドシアリンリガンドに特異的に結合する治療的に有効量の抗体又は抗原結合断片を該被検体に投与することを含み、従って、該エンドシアリンリガンドとエンドシアリンとの相互作用を妨害し、及び該被検体中の組織、器官、又は腫瘍の新血管形成を阻害する方法。
【請求項58】
請求項38の方法において、前記エンドシアリンリガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項59】
被検体中の血管新生を阻害する方法であって、エンドシアリンリガンドに特異的に結合する治療的に有効量の抗体又は抗原結合断片を該被検体に投与することを含み、従って、該エンドシアリンリガンドとエンドシアリンとの相互作用を妨害し、及び該被検体中の組織、器官、又は腫瘍の血管新生を阻害する方法。
【請求項60】
請求項59の方法において、前記エンドシアリンリガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項61】
エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法であって、前記細胞の表面上に発現されるエンドシアリンを妨害することを含み、そこでは、前記妨害が前記細胞と前記リガンドとの相互作用を阻害する方法。
【請求項62】
請求項61の方法において、該エンドシアリンリガンドがコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項63】
請求項61の方法において、前記妨害が、前記細胞とエンドシアリンに特異的に結合する抗体又は抗原結合断片とを接触させることを含む方法。
【請求項64】
請求項61の方法において、前記妨害が、前記細胞とエンドシアリンの競合的阻害剤を接触させることを含む方法。
【請求項65】
請求項64の方法において、前記エンドシアリンの競合的阻害剤がコラーゲン又はフィブロネクチンのエンドシアリン結合断片を含む方法。
【請求項66】
請求項64の方法において、前記エンドシアリンの競合的阻害剤がフィブロネクチンの70kDaN末端断片、フィブロネクチンの45kDaゼラチン結合断片、又はフィブロネクチンの30kDaへパリン結合断片を含む方法。
【請求項67】
エンドシアリン発現細胞とエンドシアリンリガンドとの相互作用を阻害する方法であって、
エンドシアリン発現細胞中でエンドシアリンの発現を阻害することを含み、そこでは、前記細胞中でエンドシアリンの発現を阻害することは前記細胞と前記リガンドとの相互作用を阻害する方法。
【請求項68】
請求項67の方法において、該リガンドはコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項69】
請求項67の方法において、前記エンドシアリン発現細胞は哺乳類細胞である方法。
【請求項70】
請求項67の方法において、前記エンドシアリン発現細胞中でエンドシアリンの発現を阻害することは、エンドシアリンをコードする遺伝子の発現と干渉する核酸分子を前記細胞中に導入することを含む方法。
【請求項71】
請求項67の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記リガンドとの相互作用を阻害することは該細胞の遊走を阻害する方法。
【請求項72】
請求項67の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記リガンドとの相互作用を阻害することはマトリックスメタロプロテアーゼの発現又は活性化を阻害する方法。
【請求項73】
請求項70の方法において、前記エンドシアリン発現細胞と前記リガンドとの相互作用を阻害することはインテグリンβ1、β2、又はβ3の活性化を阻害する方法。
【請求項74】
エンドシアリンとエンドシアリンリガンドとの相互作用の作動薬又は拮抗薬を同定する方法であって、エンドシアリンと前記エンドシアリンリガンドとをテスト化合物の存在下及び非存在下で接触させ、並びにエンドシアリンと該リガンドとの相互作用を定量的に測定することを含み、そこでは、テスト化合物の存在下でエンドシアリンと前記リガンドとの相互作用のレベルが増加し又は減少することが、テスト化合物がエンドシアリンと前記リガンドとの相互作用のそれぞれ作動薬又は拮抗薬であることを示す方法。
【請求項75】
請求項74の方法において、該エンドシアリンは細胞膜、細胞膜断片、又は人工脂質二重膜に結合させられる方法。
【請求項76】
請求項75の方法において、該細胞膜、又は細胞膜断片は哺乳類細胞からである方法。
【請求項77】
請求項76の方法において、該哺乳類細胞はエンドシアリンを発現する安定細胞、又は安定細胞株である方法。
【請求項78】
請求項74の方法において、該リガンドはコラーゲン又はフィブロネクチンである方法。
【請求項79】
請求項74の方法において、該エンドシアリンは固相担体に結合させられる方法。
【請求項80】
請求項74の方法において、該リガンドは固相担体に結合させられる方法。

【公表番号】特表2010−523592(P2010−523592A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502317(P2010−502317)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/059374
【国際公開番号】WO2008/124570
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(506031948)モルフォテック、インク. (16)
【Fターム(参考)】