説明

エンドセリン拮抗性化合物

【構成】構造式
【化1】


で表される化合物及びその類縁化合物並びにその用途。
【効果】上記構造式[I]で表される化合物及びその類縁化合物は、内在性の生理活性ペプチドであるエンドセリンに対して、ETA及び/又はETB受容体を介して強い拮抗作用を示すことから、エンドセリンが関与する種々の病態に対しての治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内在性の強力な生理活性ペプチドである3種のエンドセリン(エンドセリン−1、エンドセリン−2及びエンドセリン−3)に対する拮抗作用を有する新規化合物、その製造法及びその用途に関するものである。
【0002】本発明の化合物は、エンドセリン受容体サブタイプETA及び/又はETB受容体に対して高い親和性を有し、エンドセリンの作用を阻害することにより、血管拡張作用及び気管支拡張作用を有し、医薬の分野、特に高血圧、肺高血圧、レイノー病、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳血管攣縮、動脈硬化症、気管支喘息、胃潰瘍、糖尿病、エンドトキシンショック、エンドトキシンを起因とする多臓器不全や播種性血管内凝固及び/又はシクロスポリン誘発の腎障害や高血圧等の治療剤として利用できる。
【0003】
【従来の技術】エンドセリンは21個のアミノ酸から成るポリペプチドであり、ヒト、ブタの内皮細胞より産生され、強力な血管収縮作用及び持続的で強い昇圧作用を有する[ネイチャー(Nature)、第332巻、第411頁−第415頁(1988年)参照]。また、エンドセリンには、構造の類似したファミリーペプチドとして、3種のエンドセリン(エンドセリン−1,エンドセリン−2,エンドセリン−3)が人を含む動物で存在していることが知られ、これらのペプチドは、いずれも血管収縮作用及び昇圧作用を有することが知られている[プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl.Acad.Sci.USA),86,2863−2867(1989)参照]。
【0004】エンドセリンは、臨床上、本態性高血圧患者、急性心筋梗塞患者、肺高血圧患者、レイノー病患者、糖尿病患者、アテローム性動脈硬化症患者の血中及び喘息患者の血中或は気道洗浄液中において正常人に比べ明らかに増加していることが報告されている[日本高血圧学会誌(Japan.J.Hypertension),第12巻,第79頁(1989年)、ジャーナル・オブ・バスキュラー・メディシン・アンド・バイオロジー(J.Vascular MedicineBiology),第2巻,第207頁(1990年)、ダイアベトロジア(Diabetologia),第33巻,第306頁−第310頁(1990年)、ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(J.Am.Med.Association),第264巻,第2868頁(1990年)及びザ・ランセット(The Lancet),第2巻,第747頁−第748頁(1989年)及び第2巻,第1144頁−第1147頁(1990年)参照]。
【0005】また、実験的脳血管攣縮モデルにおいて、脳血管のエンドセリンに対する感受性の増加[日本脳循環代謝学会(Japan.Soc.Cereb.BloodFlow & Metabol.)、第1巻、第73頁(1989年)]、急性腎不全モデルにおけるエンドセリン抗体による腎機能の改善[ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J.Clin.Invest.)、第83巻、第1762頁−第1767頁(1989年)]、及び胃潰瘍モデルにおけるエンドセリン抗体による胃潰瘍発生の抑制[第19回 日本実験潰瘍研究会抄録,第50頁(1991年)]等が報告されていることより、エンドセリンはクモ膜下出血後の脳血管攣縮及び急性腎不全の原因物質のひとつとして考えられている。
【0006】更にエンドセリンは血管内皮細胞のみならず、気管上皮細胞、或は腎実質細胞からも遊離されることが明らかとなっている[フェブス・レターズ(FEBSLetters)、第255巻、第129頁−第132頁(1989年)及びフェブス・レターズ(FEBS Letters)、第249巻、第42頁−第46頁(1989年)]。
【0007】エンドセリンは、内因性生理活性ペプチドであるレニン及び心房性ナトリウム利尿ホルモン、更には内皮細胞由来の血管弛緩因子(EDRF)、トロンボキサンA2、プロスタサイクリン、ノルアドレナリン、アンジオテンシンII及びサブスタンスP等の生理活性物質の遊離を調節していることも見出された[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第157巻、第1164頁−第1168頁(1988年)、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第155巻、第167頁−第172頁(1989年)、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第85巻、第9797頁−第9800頁(1989年)、ジャーナル・オブ・カルジオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)、第13巻、第S89頁−第S92頁(1989年)、日本高血圧学会誌(Japan.J.Hypertension)、第12巻、第76頁(1989年)及びニューロサイエンス・レターズ(Neuroscience Letters)、第102巻、第179頁−第184頁(1989年)]。その他、消化管平滑筋及び子宮平滑筋をも収縮する作用を有する[フェブス・レターズ(FEBS Letters)、第247巻、第337頁−第340頁(1989年)、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)、第154巻、第227頁−第228頁(1988年)及びバイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第159巻、第317頁−第323頁(1989年)参照]。
【0008】またエンドセリンは、ラット血管平滑筋細胞の増殖を促進することが見出され、動脈肥厚との関連性が示唆されている[アテロスクレローシス(Atherosclerosis)、第78巻、第225頁−第228頁(1989年)参照]。更に、エンドセリンの受容体は末梢組織ばかりではなく中枢組織にも高濃度に存在することが知られており、脳内に投与したエンドセリンが動物行動の変化をもたらすことから、エンドセリンは神経機能の調節に対しても重要な役割を持っていると考えられている[ニューロサイエンス・レターズ(Neuroscience Letters)、第97巻、第276頁−第279頁(1989年)参照]。特に、エンドセリンは、痛覚のメディエーターの一種であることが示唆されている[ライフ・サイエンシズ(Life Sciences)、第49巻、第PL−61頁−第PL−65頁(1991年)]。
【0009】一方、エンドトキシンは内因性エンドセリン遊離を促す有力な候補物質の一つである。エンドトキシンを外因的に動物に投与した際、或は培養血管内皮細胞に添加した際に、血中或は培養上清中のエンドセリン濃度が顕著に上昇することが見出されており、エンドセリンがエンドトキシンを起因とする疾患に関与する重要なメディエーターのひとつであると考えられている[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、第161巻、第1220頁(1989年)及びアクタ・フィジオロジカ・スカンジナビカ(Acta Physiol.Scand.)、第137巻、第317頁(1989年)]。
【0010】更に、シクロスポリンを培養腎細胞(LLC−PK1細胞)に添加した際に、エンドセリンの分泌が著明に亢進されることが報告されている[ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J. Pharmacol.)、第180巻、第191頁−第192頁(1990年)]。また、シクロスポリンをラットに投与すると、糸球体濾過量の減少及び血圧の上昇が観察され、この時、循環中のエンドセリン量は顕著な上昇を示していた。このシクロスポリン誘発の腎障害はエンドセリンの抗体を投与することにより抑制される[キドニー・インターナショナル(Kidney Int.)、第37巻、第1487頁−第1491頁(1990年)]。このように、エンドセリンがシクロスポリン誘発のこれら疾患に重要な役割を果たしていることが示唆されている。
【0011】これらのエンドセリンによるさまざまな作用は、生体内に広く分布するエンドセリン受容体とエンドセリンとの結合により生じることが知られている[アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Am.J.Physiol.)、第256巻、第R856頁−第R866頁(1989年)参照]。
【0012】エンドセリン受容体は今までの研究から少なくとも2種類のサブタイプが存在し、エンドセリンによる血管収縮作用もこれら2種のエンドセリン受容体サブタイプを介して引き起こされることが知られている[ジャーナル・オブ・カルジオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)、第17(Suppl.7)巻、第S119頁−第S121頁(1991年)参照]。これらエンドセリン受容体サブタイプの一方は、エンドセリンファミリーペプチドのET−3に比べET−1に選択性を有しているエンドセリン受容体(ETA)であり、他方はET−1とET−3でほぼ同等の活性を有するエンドセリン受容体(ETB)であり、これらそれぞれの受容体蛋白はそれぞれ異なることが示されている[ネイチャー(Nature)、第348巻、第730頁−第735頁(1990年)参照]。
【0013】また、これらエンドセリンファミリーペプチド間の選択性の異なる2種のエンドセリン受容体サブタイプの組織内分布は異なっており、ETA受容体は心血管系に多いのに対して、ETB受容体は脳、腎臓、肺、心臓、血管など広範囲の組織に分布していることが知られている。
【0014】これらエンドセリン受容体ETA及び/又はETBへのエンドセリンの結合を特異的に阻害する物質は、上に述べたエンドセリンの種々の生理作用に拮抗し広範な分野で医薬品として有用であると考えられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】エンドセリンは直接的又は間接的(種々の内因性物質の遊離を調節)に血管性及び非血管性の平滑筋を持続的に収縮させる内在性の生理活性物質であり、その過剰生産や過剰分泌は高血圧症、肺高血圧症、レイノー病、気管支喘息、胃潰瘍、糖尿病、動脈硬化症、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、脳血管攣縮及び脳梗塞の病因のひとつであると考えられる。また、エンドトキシンショック或はエンドトキシン起因の多臓器不全、播種性血管内凝固等の疾患及びシクロスポリン誘発の腎障害や高血圧に対してエンドセリンが重要なメディエーターとして働いていることが示唆されている。エンドセリンの受容体としては、ETA受容体及びETB受容体が知られており、ETA受容体拮抗物質及び/又はETB受容体拮抗物質は、医薬として有用である。本発明は、ETA及び/又はETB受容体で強く拮抗活性を有する物質の発明により、上記の種々の病態に対して従来にない新規な治療法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課題を解決するために、種々の化合物を合成し、そのエンドセリン拮抗活性を調べた結果、一般式
【0017】
【化4】


{式中、R1は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基及び5〜10員の複素環低級アルキル基は、それぞれ独立に、それらの鎖上及び/又は環上に低級アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ホルミル基、低級アルカノイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ホルミルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基又はN,N−ジ低級アルキルカルバモイル基、メルカプト基、低級アルキルチオ基又は低級アルカノイルチオ基を有していてもよい)を示し;pは0〜2の整数を示し;A1は単結合又は低級アルキル基で置換されていてもよい2価の低級アルキレン基を示し;R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基を示し;X1は酸素原子又は式:−NR3−[式中、R3は水素原子又は低級アルキル基を示す]で表される基を示し;R4は5〜10員の複素環低級アルキル基[該5〜10員の複素環低級アルキル基は、その環上に低級アルキル又は式:R41−CO−(CH2q−(式中、R41は水素原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し;qは0〜6の整数を示す)で表される基を有していてもよい]又はアリール低級アルキル基[該アリール低級アルキル基は、その環上にニトロ基、式:R42−CO−(CH2r−(式中、R42は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し、rは0〜6の整数を示す)で表される基、式:R42−CO−X2−(式中、R42は前記の意味を有し、X2は酸素原子又は式:−NR43−(式中、R43は水素原子又は低級アルキル基を示す)で表される基又は式:R44O−(CH2s−(式中、R44は水素原子又は低級アルキル基を示し、sは0〜6の整数を示す)で表される基を有していてもよい]を示し;X3は酸素原子又は硫黄原子を示し;A2は下記一般式[II]〜[VII]で表される基よりなる群から選ばれる任意の基を示す。
【0018】
【化5】


[式中、Yはヒドロキシ低級アルキル基、スルホ基、ホスホノ基、式:−CO281(式中、R81は水素原子又はカルボキシ保護基を示す)で表される基又は式:−CONR8283(式中、R82及びR83はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼン環上の任意の1〜5個の水素原子がそれぞれ独立に低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基又はカルボキシ低級アルキル基を示す)で表される基を示し;R51は水素原子又は低級アルキル基を示すか、或は下記R61と一緒になってメチレン基を示し;R53、R61及びR62はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基及び複素環低級アルキル基は、それぞれ独立にそれらの鎖上及び/又は環上に水酸基、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基又はアリールオキシカルボニルアミノ基を有していてもよい)を示し、更にR61はR51と一緒になってメチレン基を示すこともでき、R62は下記R52と一緒になってメチレン基を示すことができ(但し、R51が低級アルキル基を示す場合、R61は水素原子以外の基を示し、R52が水素原子以外の基を示す場合、R62は水素原子又は低級アルキル基を示す);R52は水素原子、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルカルバモイル基又はN−アリールカルバモイル基を示すか、或はR7と一緒になって単結合を示し;R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又は水酸基を示すか、或はR52と一緒になって単結合を示し、tは2〜6の整数を示し;ZはCH又はNを示し;vは1〜3の整数を示す]}で表される化合物又はその製薬上許容される塩が強いETA及び/又はETB受容体拮抗活性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0019】次に、この明細書に記載されている各種略号の意味を以下に示す。
【0020】
略号 略号の意味 DNle D−ノルロイシン DTrp D−トリプトファン DTrp(Boc) D−(Nin−tert−ブトキシカルボニ ル)トリプトファン DTrp(CHO) D−(Nin−ホルミル)トリプトファン DTrp(COOMe) D−(Nin−メトキシカルボニル)トリプ トファン Boc tert−ブトキシカルボニル Me メチル tBu tert−ブチル DCC N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミ ド DMAP 4−(ジメチルアミノ)ピリジン DMF N,N−ジメチルホルムアミド DMSO ジメチルスルホキシド NMP N−メチルピロリドン NMM N−メチルモルホリン EDCI・HCl 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ ロピル)カルボジイミド・塩酸塩 HOBT・H2O 1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾー ル・一水和物 HOSu N−ヒドロキシスクシンイミド mCPBA メタクロロ過安息香酸 TBAHS 硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム TEA トリエチルアミン TFA トリフルオロ酢酸 THF テトラヒドロフラン TsCl p−トルエンスルホニル クロリド Ts p−トルエンスルホニル Z ベンジルオキシカルボニル MOPS 3−モルホリノプロパンスルホン酸 HEPES 2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1 −ピペラジニル]エタンスルホン酸 Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン PMSF フェニルメタンスルホニル=フルオライド次に、この明細書において用いられる各種用語の定義を説明する。
【0021】本明細書において、低級アルキル基とは、炭素数が1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0022】シクロアルキル基とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等を意味する。
【0023】シクロアルキル低級アルキル基とは、3〜9員のシクロアルキル基で置換されている低級アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロプロピルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基、シクロノニルメチル基、シクロプロピルブチル基、シクロプロピルペンチル基、シクロプロピルヘキシル基、シクロプロピルヘプチル基、シクロプロピルオクチル基、シクロプロピルノニル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルプロピル基等を挙げることができる。
【0024】アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0025】アラルキル基とは、アリール基で置換されている低級アルキル基を意味し、具体的には、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナルチルエチル基等が挙げられる。
【0026】5〜10員の複素環基とは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1個以上含む5〜10員の単環若しくは縮合環の飽和若しくは不飽和環状基を意味し、具体的には、ピロリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピロリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、インドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジヒドロインドリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピペリジル基、テトラヒドロピラニル基、ピペラジニル基等が挙げられる。
【0027】5〜10員の複素環低級アルキル基とは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1個以上含む5〜10員の単環若しくは縮合環の飽和若しくは不飽和の環状基を有する低級アルキル基を意味し、例えば、ピロリルメチル基、フリルメチル基、チエニルメチル基、チアゾリルメチル基、オキサゾリルメチル基、イミダゾリルメチル基、ピロリニルメチル基、イミダゾリニルメチル基、ピロリジルメチル基、テトラヒドロフリルメチル基、テトラヒドロチエニルメチル基、インドリルメチル基、ピリジルメチル基、ピリミジルメチル基、キノリルメチル基、イソキノリルメチル基、ピペリジルメチル基、テトラヒドロピラニルメチル基、ピペラジニルメチル基、ピロリルエチル基、フリルエチル基、チエニルプロピル基、イミダゾリルブチル基、ピペリジルメチル基、ピペリジルプロピル基等を挙げることができる。
【0028】低級アルカノル基とは、炭素数2〜6個の低級アルキルカルボニル基を意味し、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。
【0029】低級アルコキシカルボニル基とは、炭素数が1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基を意味し、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0030】モノ低級アルキルアミノ基とは、炭素数1〜6個のアルキル基を1個有するアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基等を挙げることができる。
【0031】ジ低級アルキルアミノ基とは、炭素数1〜6個のアルキル基を2個有するアミノ基を意味し、例えば、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、ブチルエチルアミノ基、ヘキシルメチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基等を挙げることができる。
【0032】低級アルコキシカルボニルアミノ基とは、、炭素数1〜6個のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基を有するアミノ基を意味し、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基、ブトキシカルボニルアミノ基、イソブトキシカルボニルアミノ基、sec−ブトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、ペンチルオキシカルボニルアミノ基、イソペンチルオキシカルボニルアミノ基、ネオペンチルオキシカルボニルアミノ基、tert−ペンチルオキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基等を挙げることができる。
【0033】アリールオキシカルボニルアミノ基とは、フェニルオキシカルボニルアミノ基、ナフチルオキシカルボニルアミノ基等を意味する。
【0034】低級アルカノイルアミノ基とは、炭素数2〜6個の低級アルキルカルボニル基を有するアミノ基を意味し、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブタノイルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、ヘキサノイルアミノ基、N−アセチル−N−メチルアミノ基、N−アセチル−N−エチルアミノ基、N−メチル−N−プロピオニルアミノ基を挙げることができる。
【0035】アロイルアミノ基とは、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基等を意味する。
【0036】N−モノ低級アルキルカルバモイル基とは、炭素数 1〜6個のアルキル基を1個有するN−モノアルキルカルバモイル基を意味し、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ペンチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロプロピルカルバモイル基、N−シクロペンチルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基等を挙げることができる。
【0037】N,N−ジ低級アルキルカルバモイル基とは、炭素数1〜6個のアルキル基を2個有するN,N−ジアルキルカルバモイル基を意味し、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−メチルカルバモイル基、N−エチル−N−プロピルカルバモイル基、N−プロピル−N−メチルカルバモイル基、N−シクロプロピル−N−エチルカルバモイル基、N−ブチル−N−メチルカルバモイル基、N−メチル−N−ペンチルカルバモイル基、N−イソプロピル−N−メチルカルバモイル基等を挙げることができる。
【0038】N−アリールカルバモイル基とは、N−フェニルカルバモイル基、N−ナフチルカルバモイル基等を意味する。
【0039】アロイル基とは、アリールカルボニル基を意味し、具体的には、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0040】低級アルケニル基とは、炭素数が3〜6個の直鎖又は分枝状のアルケニル基を意味し、具体的には、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0041】ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0042】また、低級アルコキシ基とは、炭素数が1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基を有するアルキルオキシ基を意味し、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0043】アリールオキシ基とは、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等を意味する。
【0044】低級アルキルチオ基とは、炭素数1〜6個のアルキルチオ基を意味し、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等を挙げることができる。
【0045】低級アルカノイルチオ基とは、炭素数2〜6個のアルカノイルチオ基を意味し、例えば、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基、ブタノイルチオ基、ペンタノイルチオ基、ヘキサノイルチオ基等を挙げることができる。
【0046】低級アルキルスルホニル基とは、炭素数1〜6個のアルキルスルホニル基を意味し、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等を挙げることができる。
【0047】低級アシルオキシ基とは、炭素数2〜6個のアシルオキシ基を意味し、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等を挙げることができる。
【0048】保護されたカルボキシル基における保護基とは、メチル基、エチル基、プロピル基等の低級アルキル基、ベンジル基を意味する。
【0049】低級アルキル基で置換されていてもよい2価の低級アルキレン基とは、炭素数1〜6個のアルキル基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子が直鎖上に連結している2価のアルキレン基を意味し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、エチルエチレン基、メチルエチレン基等を挙げることができる。
【0050】次に、一般式[I]において用いられている符号の意味を具体例を挙げて説明することにより本発明を更に詳細に説明する。
【0051】R1で示される基は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基及び5〜10員の複素環低級アルキル基は、それぞれ独立に、それらの鎖上及び/又は環上に低級アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ホルミル基、低級アルカノイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ホルミルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基、カルバノイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基又はN,N−ジ低級アルキルカルバモイル基、メルカプト基、低級アルキルチオ基又は低級アルカノイルチオ基を有していてもよい)を意味する。鎖上に上記置換基を有していてもよい低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。環上に上記置換基を有していてもよいシクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等が挙げられる。鎖上及び/又は環上に上記置換基を有していてもよいシクロアルキル基低級アルキル基の具体例としては、シクロプロピルメチル基、1−シクロプロピルエチル基、2−シクロプロピルエチル基、1−シクロプロピルプロピル基、2−シクロプロピルプロピル基、3−シクロプロピルプロピル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロペンチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、1−シクロペンチルプロピル基、2−シクロペンチルプロピル基、3−シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシルメチル基、1−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、1−シクロヘキシルプロピル基、2−シクロヘキシルプロピル基、3−シクロヘキシルプロピル基、シクロヘプチルメチル基、1−シクロヘプチルエチル基、1−シクロヘプチルプロピル基、1−シクロプロピル−1−メチルエチル基、1−シクロブチル−1−メチルエチル基、1−シクロペンチル−1−メチルエチル基、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル基等が挙げられる。鎖上及び/又は環上に上記置換基を有していてもよいアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。環上に上記置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。環上に上記置換基を有していてもよい5〜10員の複素環基の具体例としては、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、ピロリジノ基、ピペラジノ基、テトラヒドロイソキノリル基等が挙げられる。鎖上及び/又は環上に上記置換基を有していてもよい5〜10員の複素環低級アルキル基の具体例としては、2−フリルメチル基、3−フリルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−(2−フリル)エチル基、2−(3−フリル)エチル基、2−(2−チエニル)エチル基、2−(3−チエニル)エチル基等が挙げられる。
【0052】A1は単結合又は低級アルキル基で置換されていてもよい2価の低級アルキレン基を意味し、2価の低級アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
【0053】R2で示される基は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基を意味する。低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等が挙げられる。シクロアルキル低級アルキル基の具体例としては、シクロプロピルメチル基、1−シクロプロピルエチル基、2−シクロプロピルエチル基、1−シクロプロピル−1−メチルエチル基、シクロブチルメチル基、1−シクロブチルエチル基、2−シクロブチルエチル基、1−シクロブチル−1−メチルエチル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロペンチルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、1−シクロペンチル−1−メチルエチル基、1−シクロヘキシルメチル基、1−シクロヘキシルエチル基、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル基、1−シクロヘプチルメチル基、1−シクロヘプチルエチル基、1−シクロオクチルメチル基、1−シクロオクチルエチル基等が挙げられる。アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。5〜10員の複素環基の具体例としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−チアゾリル基、2−フリル基、3−フリル基等が挙げられ、5〜10員の複素環低級アルキル具体例としては、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−チエニルエチル基、2−チアゾリルメチル基、2−フリルメチル基等が挙げられる。
【0054】R4で示される5〜10員の複素環低級アルキル基[該5〜10員の複素環低級アルキル基は、その環上に低級アルキル又は式:R41−CO−(CH2q−(式中、R41は水素原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し;qは0〜 6の整数を示す)で表される基を有していてもよい]又はアリール低級アルキル基[該アリール低級アルキル基は、その環上にニトロ基、式:R42−CO−(CH2r−(式中、R42は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し、rは0〜6の整数を示す)で表される基、式:R42−CO−X2−(式中、R42は前記の意味を有し、X2は酸素原子又は式:−NR43−(式中、R43は水素原子又は低級アルキル基を示す)で表される基又は式:R44O−(CH2s−(式中、R44は水素原子又は低級アルキル基を示し、sは0〜6の整数を示す)で表される基]の具体例としては、3−インドリルメチル基、3−ベンゾチエニルメチル基、(1−オキソ−3−ベンゾチエニル)メチル基、(1,1−ジオキソ−3−ベンゾチエニル)メチル基、(1−メチル−3−インドリル)メチル基、(1−エチル−3−インドリル)メチル基、(1−プロピル−3−インドリル)メチル基、(1−ブチル−3−インドリル)メチル基、(1−ホルミル−3−インドリル)メチル基、(1−アセチル−3−インドリル)メチル基、(1−メトキシカルボニル−3−インドリル)メチル基、(1−エトキシカルボニル−3−インドリル)メチル基、(1−プロポキシカルボニル−3−インドリル)メチル基、(1−tert−ブトキシカルボニル−3−インドリル)メチル基、(1−ベンジルオキシカルボニル−3−インドリル)メチル基、(1−カルバモイル−3−インドリル)メチル基、(1−メチルカルバモイル−3−インドリル)メチル基、(1−エチルカルバモイル−3−インドリル)メチル基、(1−ホルミルメチル−3−インドリル)メチル基、[1−(2−オキソプロピル)−3−インドリル]メチル基、(1−カルボキシメチル−3−インドリル)メチル基、(1−メトキシカルボニルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−エトキシカルボニルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−ベンジルオキシカルボニルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−カルバモイルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−メチルカルバモイルメチル−3−インドリル)メチル基、(1−エチルカルバモイルメチル−3−インドリル)メチル基、[1−(2−ホルミルエチル)−3−インドリル]メチル基、[1−(2−カルボキシエチル)−3−インドリル]メチル基、ベンジル基、2−ニトロフェニルメチル基、3−ニトロフェニルメチル基、4−ニトロフェニルメチル基、2−アセチルフェニルメチル基、3−アセチルフェニルメチル基、4−アセチルフェニルメチル基、2−アセチルメチルフェニルメチル基、3−アセチルメチルフェニルメチル基、4−アセチルメチルフェニルメチル基、2−メトキシカルボニルフェニルメチル基、3−メトキシカルボニルフェニルメチル基、4−メトキシカルボニルフェニルメチル基、2−エトキシカルボキシフェニルメチル基、3−エトキシカルボニルフェニルメチル基、4−エトキシカルボニルフェニルメチル基、2−カルバモイルフェニルメチル基、3−カルバモイルフェニルメチル基、4−カルバモイルフェニルメチル基、2−メチルカルバモイルフェニルメチル基、3−メチルカルバモイルフェニルメチル基、4−メチルカルバモイルフェニルメチル基、2−ジメチルカルバモイルフェニルメチル基、3−ジメチルカルバモイルフェニルメチル基、4−ジメチルカルバモイルフェニルメチル基、2−メトキシカルボニルフェニルエチル基、3−メトキシカルボニルフェニルエチル基、4−メトキシカルボニルフェニルエチル基、2−アセトキシフェニルメチル基、3−アセトキシフェニルメチル基、4−アセトキシフェニルメチル基、2−メトキシカルボニルオキシフェニルメチル基、3−メトキシカルボニルオキシフェニルメチル基、4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチル基、2−アセチルアミノフェニルメチル基、3−アセチルアミノフェニルメチル基、4−アセチルアミノフェニルメチル基、2−メトキシカルボニルアミノフェニルメチル基、3−メトキシカルボニルアミノフェニルメチル基、4−メトキシカルボニルアミノフェニルメチル基、2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、4−ヒドロキシフェニルメチル基、2−メトキシフェニルメチル基、3−メトキシフェニルメチル基、4−メトキシフェニルメチル基、2−メトキシフェニルエチル基、3−メトキシフェニルエチル基、4−メトキシフェニルエチル基等が挙げられる。
【0055】R51で示される基は水素原子又は低級アルキル基を意味するか、又はR61と一緒になってメチレン基を意味し、低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0056】R61で示される基は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基及び複素環低級アルキル基は、それぞれ独立にそれらの鎖上及び/又は環上に水酸基、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基又はアリールオキシカルボニルアミノ基を有していてもよい)を意味するか、又はR61と一緒になってメチレン基を意味する。鎖上に上記置換基を有していてもよい低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基等が挙げられる。鎖上に上記置換基を有していてもよい低級アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−1−エテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、4−ペンテニル基、5−ペンテニル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよいアリール低級アルキル基の具体例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−メチル−2−フェニルエチル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1−フェニル−2−メチルプロピル基、2−フェニル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−イミダゾリル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよい複素環低級アルキル基の具体例としては、2−チアゾリルメチル基、4−チアゾリルメチル基、5−チアゾリルメチル基、2−(2−チアゾリル)エチル基、2−(4−チアゾリル)エチル基、2−(5−チアゾリル)エチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−(2−チエニル)エチル基、2−(3−チエニル)エチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−インドリルメチル基、3−インドリルメチル基、4−イミダゾリルメチル基等が挙げられる。
【0057】R52で示される基は水素原子、アリール基、アラルキル基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルカルバモイル基又はN−アリールカルバモイル基を意味するか或はR7と一緒になって単結合を形成する。
【0058】R62で示される基は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基及び複素環低級アルキル基は、それぞれ独立にそれらの鎖上及び/又は環上に水酸基、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基又はアリールオキシカルボニルアミノ基を有していてもよい)を意味する。鎖上に上記置換基を有していてもよい低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基等が挙げられる。鎖上に上記置換基を有していてもよい低級アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−1−エテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、4−ペンテニル基、5−ペンテニル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよいアリール低級アルキル基の具体例としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−メチル−2−フェニルエチル基、1−フェニルブチル基、2−フェニルブチル基、3−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、1−フェニル−2−メチルプロピル基、2−フェニル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−イミダゾリル基等が挙げられる。環状に上記置換基を有していてもよい複素環低級アルキル基の具体例としては、2−チアゾリルメチル基、4−チアゾリルメチル基、5−チアゾリルメチル基、2−(2−チアゾリル)エチル基、2−(4−チアゾリル)エチル基、2−(5−チアゾリル)エチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−(2−チエニル)エチル基、2−(3−チエニル)エチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−インドリルメチル基、3−インドリルメチル基、4−イミダゾリルメチル基等が挙げられる。
【0059】R7で示される基は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又は水酸基を意味するか或はR52と一緒になって単結合を形成する。低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、低級アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
【0060】R82で示される基は水素原子、低級アルキル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼン環上の任意の1〜5個の水素原子がそれぞれ独立して低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基又はカルボキシメチル基を意味し、低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられ、低級アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等が挙げられ、ベンゼン環上の任意の1〜5個の水素原子がそれぞれ独立して低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基の具体例としては、フェニルスルホニル基、p−トリルスルホニル基、2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0061】R83で示される基は水素原子又は低級アルキル基を意味し、低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0062】R53で示される基は水素原子、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、式:Ar−(CH2u−(式中、Ar及びuは前記の意味を有する)で表される基を意味する。低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、カルボキシ低級アルキル基の具体例としては、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられ、式:Ar−(CH2u−で表される基の具体例としては、ベンジル基、2−フリルメチル基、3−フリルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基等が挙げられる。
【0063】次に本発明の新規化合物の製造法について説明する。
【0064】本発明化合物は一般的には、一般式[VIII](式中、R1、R2、A1及びpは前記の意味を有する)で表されるカルボン酸、一般式[IX](式中、R4、X1及びX3は前記の意味を有する)で表されるα−アミノ酸若しくはα−ヒドロキシカルボン酸及び一般式[X](式中、A2は前記の意味を有する)
【0065】
【化6】


で表される化合物を逐次的に縮合させることにより製造することができ、更には、必要に応じて、側鎖及び末端の保護基を除去することにより製造することができる。更にまた場合により、これら新規化合物を、その製薬上許容される塩に変換することにより製造することができる。
【0066】以下具体的に説明する。
【0067】本発明化合物中、一般式[I]においてX3が酸素原子であることを特徴とする化合物は、一般式[VIII]で表されるカルボン酸を、一般式
【0068】
【化7】


(式中、P1はカルボキシル保護基を示し、X1及びR4は前記の意味を有する)で表されるα−アミノ酸誘導体又はα−ヒドロキシカルボン酸誘導体と縮合させ、一般式
【0069】
【化8】


(式中、R1、R2、R4、A1、p及びP1は前記の意味を有する)で表される化合物を製造し、次いで該化合物のカルボキシル保護基P1を脱保護するか又は−OP1部分を適当なカルボキシル活性化基に変換した後、一般式[X]で表される化合物と縮合させることにより製造することができる。一般式[XII]及び[I]で表される化合物を得るための縮合反応は、DCC法、アジド法、活性エステル法、混合酸無水物法等の公知の方法[例えばエム・ボダンスキー(M.Bodansky)及びエム・エイ・オンデッティ(M.A.Ondetti)著、ペプチド・シンセシス、インターサイエンス、ニューヨーク(PeptideSynthesis,Interscience,New York)1966年; エフ・エム・フィン(F.M.Finn)及びケイ・ホフマン(K.Hofmann)著、ザ・プロテインズ(The Proteins), 第2巻, エイチ・ネンラス(H.Nenrath)及びアール・エル・ヒル(R.L.Hill)編集、アカデミック・プレス・インコーポレイテッド、ニューヨーク(Academic Press Inc.,New York)1976年;泉屋信夫他著、ペプチド合成、丸善(株)1975年等に記載されている]により行うことができる。
【0070】例えばDCC法による縮合を行う場合、一般式[VIII]で表される化合物を約−40℃〜室温にて、DMSO、NMP、DMF、THF、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶媒中、例えばDCC(又はEDCI・HCl)−HOBT・H2O等の縮合剤の作用により、一般式[XI]で表される化合物と縮合させ、一般式[XII]で表される化合物を製造する。カルボキシル保護基としてはメチル、エチル及びtert−ブチルエステル等から選択されるが、縮合後の保護基の選択的除去が可能であるように側鎖の官能基又は保護基に応じて選択すべきである。例えば側鎖に酸性条件下で不安定であるが塩基性条件下では安定な官能基や保護基が存在する場合、カルボキシル基はメチル又はエチルエステルとして保護することが好ましい。一方、側鎖に酸性条件下では安定であるが塩基性条件下では不安定な官能基や保護基が存在する場合、カルボキシル基はtert−ブチルエステルとして保護することが好ましい。tert−ブチルエステルは、ギ酸、TsOH又はTFA等の作用により、容易に除去することができる。
【0071】このようにして製造された誘導体[XII]のカルボキシル保護基P1を除去して得られる化合物に、上記と同様に縮合剤(例えばEDCI・HCl−HOBT・H2O等)の存在下、一般式[X]で表される化合物を作用させ、目的とする化合物を製造することができる。
【0072】一方、X1が−NR4−(式中、R4は前記の意味を有する)である上記化合物[XII]に、メタノール又はDMF等の溶媒中、室温にて過剰のヒドラジンを作用させてヒドラジドとした後、アジド法により目的とする化合物を得ることもできる。即ち、該ヒドラジドを塩酸、硫酸等の強酸存在下、亜硝酸低級アルキルエステル(例えば亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸イソアミル)又は亜硝酸アルカリ金属塩(例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム)等の試薬と反応させ、対応する酸アジドに変換し(この反応は、約−60℃〜−15℃の温度で水及び/又はDMF、THF若しくは1,4−ジオキサン等の溶媒存在下に行うことができる)、引き続き−70℃〜−60℃の温度でTEA等の三級アミンを加えた後、化合物[X]を加え、−20℃〜室温にて反応させることにより目的とする化合物[I]を得ることができる。使用する[X]がカルボキシル基を含む場合、該カルボキシル基は保護されていてもよいし、テトラブチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ナトリウム、カリウム等の塩として用いることもできる。
【0073】以上の製造法では、化合物[VIII]、[IX]及び[X]の縮合において化合物[X]の縮合を最後に行い目的とする誘導体を製造しているが、一方、化合物[VIII]の縮合を最後に行っても目的とする誘導体を製造することができる。
【0074】即ち、一般式
【0075】
【化9】


[式中、P2は水素原子又はα−アミノ保護基を示し、R4及びX1は前記の意味を有する]で表される化合物と一般式[X]で表される化合物とをDCC法又はアジド法等により縮合し、一般式
【0076】
【化10】


(式中、R4、X1、A2及びP2は前記の意味を有する)で表される化合物を得る。適当なα−アミノ保護基はZ基、Boc基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基及びp−ニトロベンジルオキシカルボニル基等のウレタン型保護基から選択され、また、[X]の末端にカルボキシル基が存在する場合、該カルボキシル基はエステルとして保護することができる。例えば末端カルボキシル基がtert−ブチルエステルとして保護された場合、α−アミノ保護基としてはZ基又はBoc基が好ましい。Z基は接触水素化分解により、またBoc基は、ギ酸、TFA等の緩和な酸を氷冷下で作用させることにより、容易に除去することができるが、この条件下での末端カルボキシル保護基は安定である。
【0077】このようにして製造された誘導体[XIV]のアミノ保護基P2を除去して得られる化合物に、上記と同様に縮合剤(例えばEDCI・HCl−HOBT・H2O等)存在下、カルボン酸[VIII]との縮合を行い、目的とする化合物誘導体を製造することができる。
【0078】以上の方法により製造された本発明化合物は、必要に応じて末端の保護基を適切な方法により除去することができる。例えば、カルボキシル基がtert−ブチルエステルとして保護されている場合、酸分解により容易に除去できる。即ち、ギ酸、TFA等の緩和な酸を作用させることで除去できる。またメチル又はエチルエステルの場合、アルカリ性での加水分解により保護基を除去できる。即ち、メタノール、エタノール、DMF、THF、1,4−ジオキサン等の溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を作用させることにより除去できる。
【0079】本発明化合物[I]中のX3が硫黄原子であることを特徴とする化合物を得るには、化合物[XIII]と化合物[X]とを縮合させた後、ローエッソン(Lawesson)試薬等と反応させて一般式
【0080】
【化11】


[式中、R4、X1、A2及びP2は前記の意味を有する]で表される化合物に変換し、その後前記と同様にP2を脱保護して化合物[VIII]と縮合すればよい。ローエッソン試薬との反応は、溶媒として、THF、ベンゼン、トルエン等を用い、室温〜溶媒の沸点温度にて行うことができる。
【0081】本発明化合物のうち、一般式[I]において、pが1又は2であることを特徴とする化合物は、前記合成法の適当な段階において、pが0であることを特徴とする化合物を、適当な酸化剤を用いて酸化することにより製造することもできる。この酸化反応に用いられる酸化剤としては、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸、過酢酸、mCPBA又は過ヨウ素酸等が挙げられ、その使用する当量及び反応条件を適当に調節することにより、一般式[I]においてpが1又は2であるものを選択的に製造することができる。また酸化反応は、前記化合物[XII]又は[I]に対して行えばよいが、この際、[XII]又は[I]中に酸化反応に対して不安定な基が存在する場合には、それらの官能基は、適当な保護基で保護しておく必要がある。例えば、カルボキシル基は低級アルキルエステルとして保護することが好ましく、インドール環はホルミル基や低級アルコキシカルボニル基等で保護しておくことが好ましい。反応は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、ギ酸等の溶媒中、−50℃〜溶媒の沸点温度にて行うことができる。次に、本発明化合物を製造するために重要な化合物[VIII]について、その製造法を述べる。
【0082】化合物[VIII]は、一般的に不斉合成又はラセミ体の光学分割により、所望の立体化学を持ったものとして製造することができる。不斉合成で[VIII]を得る場合には、相当するカルボン酸を、例えばエバンス(Evans)らの方法[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)第112巻、第8215−8216頁(1990年)]により一般式
【0083】
【化12】


(式中、R2は前記の意味を有する)で表されるN−アルカノイルオキサゾリドンに変換後、ジクロロメタン等の溶媒中、該オキサゾリドン誘導体を当量の四塩化チタン等のルイス酸及びジイソプロピルエチルアミン若しくはナトリウムヘキサメチルジシラジド等の塩基と処理し、引き続き一般式
【0084】
【化13】


(式中、E1は保護された水酸基又は適当な脱離基を示し、E2は脱離基を示し、A1は前記の意味を有する)で表される化合物と反応させることで、望みの立体化学を有する化合物[VIII]の前駆体となる一般式
【0085】
【化14】


(式中、E3は水酸基又はE1を示し、R2、A1及びE1は前記の意味を有する)で表される化合物を製造する。更に、化合物[XVIII]を一般式
【0086】
【化15】


(式中、R1及びpは前記の意味を有する)で表される化合物と反応させることにより、所望の立体化学を有する化合物[VIII]を製造することができる。
【0087】次に、ラセミ体の光学分割により望みの立体化学を有する化合物を得る方法について述べる。適当な方法により合成した一般式
【0088】
【化16】


(式中、R1、R2、A1及びpは前記の意味を有する)で表されるカルボン酸を、光学活性なアミンとの塩とし、このジアステレオメリックな塩を、再結晶等の公知の手法を用いて光学分割するか、或は該カルボン酸を、光学活性なアルコール又はアミンと縮合させ、生じるジアステレオメリックなエステルまたはアミドをクロマトグラフィー等の公知の手段を用いて分離し、該エステル又はアミドを加水分解することにより、所望の立体化学を有するカルボン酸[XX]を製造することができる。この際、光学活性アルコール又はアミンとして、一般式[XI]又は一般式[XIV]の脱保護体を用いれば、その後縮合体をジアステレオマー分解することによりそのまま望みの立体化学を有する化合物[XII]又は[I]を得ることができる。
【0089】上記製法における反応中間体及び目的物はそれ自体は公知の精製方法(例えば再結晶、再沈澱、分配操作、順相若しくは逆相クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィー等)により精製することができる。
【0090】上記の製造法中に用いられる原料化合物としては市販の化合物を使用することができるが、以下の原料化合物はそれぞれ公知の方法で製造したものを使用した。
【0091】DL−3−(3−エトキシカルボニルフェニル)アラニン及びDL−3−(4−メトキシカルボニルフェニル)アラニン[シンセシス(Synthesis),53(1984)]
D−3−(3−ベンゾチエニル)アラニン[ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレタン(Chem.Pharm.Bull.),24,3149(1976)]
D−S−メチルシステイン、D−S−エチルシステイン、D−S−n−プロピルシステイン[泉屋 信夫他著、ペプチド合成、丸善 1975]
D−ノルロイシノール[ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.),107,7974(1985)に準じて合成した。]
尚、実施例により製造された化合物の構造と対応する実施例No.及び化合物No.を以下の第1表に示す。
【0092】
【表1】


【0093】
【表2】


次に、本発明のペプチド誘導体のエンドセリン拮抗作用について述べる。
ETA受容体へのエンドセリン結合阻害試験ブタ大動脈平滑筋組織を4℃にて10mM MOPS pH7.4緩衝液中でポリトロンによりホモジェナイズした。ホモジネートにショ糖を20%になるように加え、1000Xgにて15分間遠心し、更に上澄を10000Xgにて15分間遠心した。この上澄を更に、90000Xgにて40分間遠心し、得られた沈澱を5mM HEPES/Tris pH7.4緩衝液中に懸濁させ25mg/mlになるように膜分画を調製した。
【0094】この膜分画16μlを50mM Tris/HCl pH7.4緩衝液A(10μM 塩化カルシウム、10μM 塩化マグネシウム、0.1mM PMSF、1μM ペプスタチンA、2μM ロイペプチン、1mM 1,10−フェナンスロリン、0.1% 牛血清アルブミンを含む)340μl中に懸濁させた。この懸濁液に、(A)最終濃度が0.2μMとなる非標識エンドセリン−1(非特異的結合用)、(B)緩衝液A(全結合用)、又は(C)最終濃度が1.1μMとなる試験化合物各々4μlを加え、更にそれぞれに 125I−エンドセリン−1(12000〜18000cpm)40μlを加えた。これらの混合物を25℃にて4時間インキュベーションし、グラスフィルターGF/Cにて濾過を行い、5mM HEPES/Tris pH7.4(0.3%牛血清アルブミンを含む)にて洗浄後グラスフィルター上の放射能量の測定より本発明化合物1.1μMにおける125I−エンドセリン−1結合阻害率D(%)を次式により求めた。
【0095】
【数1】


これらの検定はすべて3重に行った。
【0096】第2表に示すように、本発明化合物はETA受容体へのエンドセリン結合に対して極めて強い阻害活性を有することがわかった。尚、試験化合物は化合物No.で示した。
【0097】
【表3】


ETB受容体へのエンドセリン結合阻害試験ブタ小脳を4℃にて10mM MOPS pH7.4緩衝液中でポリトロンによりホモジェナイズした。ホモジネートにショ糖を20%になるように加え、1000Xgにて15分間遠心し、更に上澄を10000Xgにて15分間遠心した。この上澄を更に、90000Xgにて40分間遠心し、得られた沈澱を5mM HEPES/Tris pH7.4緩衝液中に懸濁させ3.3mg/mlになるように膜分画を調製した。
【0098】この膜分画16μlを50mM Tris/HCl pH7.4緩衝液A(10μM 塩化カルシウム、10μM 塩化マグネシウム、0.1mM PMSF、1μM ペプスタチンA、2μM ロイペプチン、1mM 1,10−フェナンスロリン、0.1% 牛血清アルブミンを含む)340μl中に懸濁させた。この懸濁液に、(A)最終濃度が0.2μMとなる非標識エンドセリン−1(非特異的結合用)、(B)緩衝液A(全結合用)、又は(C)最終濃度が1.1μMとなる試験化合物各々4μlを加え、更にそれぞれに 125I−エンドセリン−1(12000〜18000cpm)40μlを加えた。これらの混合物を25℃にて4時間インキュベーションし、グラスフィルターGF/Cにて濾過を行い、5mM HEPES/Tris pH7.4(0.3%牛血清アルブミンを含む)にて洗浄後グラスフィルター上の放射能量の測定より本発明化合物1.1μMにおける125I−エンドセリン−1結合阻害率D(%)を次式により求めた。
【0099】
【数2】


これらの検定はすべて3重に行った。
【0100】
【表4】


第3表に示すように、本発明化合物はETB受容体へのエンドセリン結合に対して極めて強い阻害活性を有することがわかった。尚、試験化合物は化合物No.で示した。
【0101】このように本発明化合物は優れたエンドセリン拮抗作用を有し、医薬品の分野で血管拡張剤及び気管支拡張剤として有用であり、高血圧症、肺高血圧症、レイノ−病、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳血管攣縮、動脈硬化症、気管支喘息、胃潰瘍、糖尿病、エンドトキシンショック、エンドトキシンを起因とする多臓器不全や播種性血管内凝固及び/又はシクロスポリン誘発の腎障害や高血圧等の治療薬となり得る。このような疾患の治療剤として使用する場合、本発明化合物は単独或は他の治療薬と組み合わせて使用することもできる。
【0102】本発明化合物は、当分野で公知の固体又は液体の賦形剤担体と混合し、非経口投与、経口投与又は外部投与に適した医薬製剤の形で使用することができる。医薬製剤としては、例えば注射剤、吸入剤、シロップ剤若しくは乳剤等の液剤、例えば錠剤、カプセル剤若しくは粒剤等の固形剤又は例えば軟膏、座剤等の外用剤等が挙げられる。また、これらの製剤には必要に応じて助剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤又は界面活性剤等の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては注射用蒸留水、リンゲル液、グルコース、ショ糖シロップ、ゼラチン、食用油、カカオ脂、エチレングリコール、ショ糖、とうもろこし澱粉、ステアリン酸マグネシウム又はタルク等が挙げられる。
【0103】エンドセリン拮抗物質としての本発明化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、及び治療する患者の容態等に応じて異なるが、成人に対する代表的な投与方法は経口投与又は非経口投与であり、成人患者に対して経口投与の場合1日あたり0.1〜100mg/Kg体重であり、非経口投与の場合1日あたり0.01〜10mg/Kg体重である。
【0104】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1化合物1A,1B,2A,2Bの合成(1)2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタン酸の合成氷冷したエタノール15ml中に、アルゴン雰囲気下水素化ナトリウム56.5mg、シクロヘキサンチオール0.86mlと2−イソブチル−2−プロペン酸エチル1.60mlを加えた。混合物を室温まで昇温し、終夜撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)を加え反応を停止し、酢酸エチル(30ml×3)にて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をドライカラムフラッシュクロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60/ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタン酸エチル2.0gを無色油状物として得た。このもの1.97gのエタノール(30ml)溶液に、1N水酸化カリウム水溶液11.6mlを加え、5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣を水(30ml)に溶解し、酢酸エチルにて洗浄した。水層に1N塩酸を加えpH2とした後、酢酸エチル(30ml×3)にて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物1.66gを淡黄色油状物として得た。
【0105】FAB−MS(m/e,(C13242S+H)+として):245(2)DTrp(CHO)−OMe・TFAの合成Boc−DTrp(CHO)−OH 2.05g、DMAP 75.3mgとメタノール0.30mlのジクロロメタン(20ml)溶液に、氷冷下EDCI・HCl 1.42gを加え、そのまま1時間、更に室温にて1時間撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈後、10%クエン酸水溶液及び飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、Boc−DTrp(CHO)−OMe 1.97gを得た。このもの1.97gを氷冷下TFA15mlに溶解し、そのまま10分間撹拌後、減圧下TFAを留去した。残渣にエーテルを加え析出した固体を濾取し、目的物1.92gを得た。
【0106】FAB−MS(m/e,(C131423+H)+として):247(3)(2S)−2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp(CHO)−OMeの合成(1)で得られた2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタン酸1.31g、(2)で得られたDTrp(CHO)−OMe・TFA 1.92g及びHOBT・H2O 1.03gのジクロロメタン溶液(40ml)に、氷冷下TEA 0.74ml及びEDCI・HCl 1.30gを加えた。混合物を室温で2時間撹拌後、水(50ml)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液及び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200/クロロホルム:酢酸エチル=20:1)にて分離精製し、目的物0.144gを無色油状物として得た。
【0107】FAB−MS(m/e,(C263624S+H)+として):4731H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.81(3H,d,J=6.2Hz),0.86(3H,d,J=6.3Hz),1.00−2.00(13H,m),2.28−2.45(1H,m),2.45−2.68(2H,m),2.68−2.78(1H,m),3.24−3.32(2H,m),3.71(3H,s),5.02(1H,dt,J=7.4Hz,6.1Hz),6.28(1H,d,J=7.4Hz),7.16−7.77(4H,m),8.34−8.48(1H,m),9.05+9.40(1H,brs×2)
(4)(2S)−2−[(RS)−シクロヘキシルスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp−OHの合成(3)で得られた(2S)−2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp(CHO)−OMe 88.5mgのジクロロメタン(1ml)溶液に、氷冷下mCPBA 32.9mgのジクロロメタン(0.8ml)溶液を加え、そのまま1時間撹拌した。溶媒を減圧留去して得た残渣を、中圧液体クロマトグラフィー(メルク社製 ローバーカラム リクロプレップSI60/ヘキサン:酢酸エチル=1:5)、引き続き分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/ヘキサン:酢酸エチル=1:5)にて精製し、(2S)−2−[(RS)−シクロヘキシルスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp(CHO)−OMe 48.8mgを得た。このもの全量をメタノール0.5mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液0.4mlを加え、室温で1.5時間撹拌した。反応液に1N塩酸を加えpH2とした後、減圧濃縮乾固して得た固体をクロロホルムに溶解し、不溶物を濾去した。クロロホルム層を減圧濃縮乾固し、目的物35.6mgを、淡黄色固体として得た。
【0108】FAB−MS(m/e,(C243424S+H)+として):447(5)化合物1A及び1Bの合成(4)で得られた(2S)−2−[(RS)−シクロヘキシルスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp−OH 34.4mg、DTrp−OMe・HCl 19.8mg及びHOBT・H2O 11.9mgのジクロロメタン(0.7ml)懸濁液に、氷冷下TEA 10.7μl及びEDCI・HCl 17.7mgを加え、室温にて3時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(20ml)にて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液及び水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣を、分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/ヘキサン:酢酸エチル=1:5)により分離精製した。スルホキシドの不斉に由来するジアステレオマーのうち、極性の低いものを化合物1A、極性の高いものを化合物1Bとし、化合物1Aを15.7mg、化合物1Bを33.8mg得た。
化合物1AFAB−MS(m/e,(C364645S+H)+として):647Rf値:0.49(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)
化合物1BFAB−MS(m/e,(C364645S+H)+として):647Rf値:0.43(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)
(6)化合物2Aの合成(5)で得られた化合物1A 14.4mgのメタノール(0.2ml)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液44μlを加え、室温にて2時間撹拌した。反応液に1N塩酸を加えpH2とした後、減圧濃縮乾固して得られた残渣を、分取薄層クロマトグラフィー(3M社製 エムポアシリカゲルシート/クロロホルム:メタノール:酢酸=10:1:1)にて精製し、目的物9.7mgを得た。
【0109】融点:137−141℃IR(KBr,cm-1):3412,3064,2938,2860,1734,1665,1524,1458,1341,1233,1011,741高分解能FAB−MS(m/e,(C354445S+H)+として):計算値 633.3111測定値 633.31401H−NMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):0.55(3H,d,J=6.6Hz),0.62(3H,d,J=6.4Hz),1.00−2.20(14H,m),2.50−2.90(4H,m),3.10−3.30(3H,m),4.45(1H,m),4.68(1H,m),6.93−7.08(4H,m),7.10(1H,d,J=2.2Hz),7.18(1H,d,J=2.2Hz),7.30(1H,d,J=7.9Hz),7.33(1H,d,J=7.6Hz),7.53(1H,d,J=7.9Hz),7.58(1H,d,J=7.6Hz),8.32(1H,d,J=6.7Hz),8.34(1H,d,J=8.3Hz),10.77(1H,d,J=2.2Hz),10.82(1H,d,J=2.2Hz)
(7)化合物2Bの合成(5)で得られた化合物1Bを用い、(6)と同様な反応を行って目的物を得た。
【0110】融点:138−142℃IR(KBr,cm-1):3418,2932,2860,1665,1581,1530,1458,1392,1341,1236,1212,1131,1104,1008,741高分解能FAB−MS(m/e,(C354445S+H)+として):計算値 633.3111測定値 633.31241H−NMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):0.57(3H,d,J=6.3Hz),0.65(3H,d,J=6.4Hz),0.79−1.37(7H,m),1.47−1.91(6H,m),2.70−2.91(4H,m),3.04−3.25(4H,m),4.40−4.53(1H,m),4.53−4.67(1H,m),6.94(1H,t,J=7.8Hz),6.97(1H,t,J=7.9Hz),7.03(1H,t,J=7.8Hz),7.05(1H,t,J=7.9Hz),7.10(1H,d,J=2.2Hz),7.18(1H,d,J=2.3Hz),7.29(1H,d,J=7.8Hz),7.32(1H,d,J=7.9Hz),7.52(1H,d,J=7.8Hz),7.57(1H,d,J=7.9Hz),8.05(1H,d,J=6.8Hz),8.37(1H,d,J=8.1Hz),10.77(1H,d,J=2.3Hz),10.83(1H,d,J=2.2Hz)
実施例2化合物3,4の合成(1)(2S)−2−シクロヘキシルスルホニルメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp−OHの合成実施例1−(3)で得られた(2S)−2−シクロヘキシルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp(CHO)−OMe 48.2mgのジクロロメタン(0.5ml)溶液にmCPBA 43.9mgを加え、室温で1時間撹拌した。以下、実施例1−(4)と同様な操作を行うことにより、目的物41.2mgを得た。
【0111】FAB−MS(m/e,(C243425S+H)+として):463(2)化合物3の合成(1)で得られた(2S)−2−シクロヘキシルスルホニルメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp−OHを用い、実施例1−(5)と同様な操作を行い、目的物を得た。
【0112】FAB−MS(m/e,(C364646S+H)+として):663(3)化合物4の合成(2)で得られた化合物3を用い、実施例1−(6)と同様な操作を行い、目的物を得た。
【0113】融点:128−137℃IR(KBr,cm-1):3382,3064,2938,2866,1734,1662,1581,1527,1461,1392,1344,1296,1269,1233,1128,744,612高分解能FAB−MS(m/e,(C354446S+H)+として):計算値 649.3060測定値 649.30401H−NMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):0.51(3H,d,J=6.4Hz),0.60(3H,d,J=6.1Hz),0.90−2.00(13H,m),2.70−2.98(4H,m),3.00−3.27(4H,m),4.39−4.52(1H,m),4.52−4.69(1H,m),6.91−7.09(4H,m),7.12(1H,d,J=2.0Hz),7.19(1H,d,J=2.1Hz),7.28(1H,d,J=7.2Hz),7.32(1H,d,J=7.8Hz),7.52(1H,d,J=7.2Hz),7.63(1H,d,J=7.8Hz),8.12−8.25(1H,m),8.46(1H,d,J=8.4Hz),10.77(1H,d,J=2.1Hz),10.84(1H,d,J=2.0Hz)
実施例3化合物5A,5B,6A,6Bの合成(1)(2S)−2−ベンジルオキシメチル−4−メチルペンタン酸の合成(S)−(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン900mgのTHF(12ml)溶液に、アルゴン雰囲気下n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.64M)3.16mlを−78℃にて加え、次いで4−メチルペンタン酸クロリド0.71mlを加えた。反応液を氷冷温度まで昇温し、30分間撹拌した。反応液に1M炭酸カリウム水溶液5mlを加え、室温にて1時間撹拌後、揮発成分を減圧留去した。有機物をジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。この溶液を減圧濃縮して、無色油状物1.31gを得た。この油状物1.27gのジクロロメタン(12ml)溶液に、アルゴン雰囲気下四塩化チタンのジクロロメタン溶液(1.0M)4.85mlを氷冷下にて滴下し、5分間撹拌した。次いで氷冷下ジイソプロピルエチルアミン0.84mlを滴下し、30分間撹拌した。この溶液にベンジル クロロメチル エーテル1.29mlを氷冷下滴下し、更に1.5時間撹拌した。反応液に水を加えた後、有機層を酢酸エチルで希釈し、分離した。この溶液を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60/酢酸エチル:ヘキサン=1:6)にて精製し、無色油状物1.45gを得た。この油状物156mgのTHF−H2O(3:1,v/v)7.5ml溶液に、氷冷下30%過酸化水素水0.2ml及び水酸化リチウム・一水和物33.2mgを加え、1時間撹拌した。反応液に、氷冷下1.5N亜硫酸ナトリウム水溶液0.58mlを加えることにより過剰の過酸化物を除去した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えpHを9〜10に調整した。THFを減圧留去した水層をジクロロメタンにて洗浄後、1N塩酸により酸性にし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水にて洗浄後、減圧濃縮することにより目的物87.5mgを得た。
【0114】1H−NMR(90MHz,CDCl3,δppm):0.92(6H,d,J=7Hz),1.05−1.90(3H,m),2.81(1H,m),3.40−3.80(2H,m),4.53(2H,s),7.17−7.40(5H,m)
(2)[(2S)−2−p−トルエンスルホニルオキシメチル−4−メチルペンタノイル]−DTrp(Boc)−OMeの合成(1)で得た化合物87.5mgのジクロロメタン(2ml)溶液に、DTrp(Boc)−OMe・HCl 133mg、NMM 43μl及びEDCI・HCl 78.2mgを氷冷下順次加え、2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧濃縮し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて精製し、縮合体148mgを得た。これをメタノール1.5mlに溶解し、10%パラジウム炭素20mgと共に常圧水素雰囲気下室温にて20時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮することにより、対応するアルコール体117mgを得た。このアルコール体117mgのジクロロメタン(1.2ml)溶液に、アルゴン雰囲気下、ピリジン24μl、TsCl 57mg及びDMAP触媒量を室温下加え、そのまま24時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧濃縮し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて精製し、目的物85mgを得た。
【0115】1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.74(3H,d,J=6.4Hz),0.75(3H,d,J=6.4Hz),1.04−1.16(1H,m),1.20−1.34(1H,m),1.34−1.46(1H,m),1.66(9H,s),2.42(3H,s),2.47−2.60(1H,m),3.17(1H,dd,J=5.9Hz,14.5Hz),3.24(1H,dd,J=4.2Hz,14.5Hz),3.70(3H,s),3.98(1H,dd,J=5.4Hz,9.4Hz),4.07(1H,dd,J=9.4Hz,14.0Hz),4.92(1H,ddd,J=4.2Hz,5.9Hz,8.1Hz),6.21(1H,d,J=8.1Hz),7.22(1H,t,J=7.4Hz),7.29(2H,d,J=8.3Hz),7.30(1H,t,J=7.4Hz),7.39(1H,s),7.49(1H,d,J=7.4Hz),7.71(2H,d,J=8.3Hz),8.11(1H,d,J=7.4Hz)
(3)[(2S)−2−シクロヘプチルスルフィニルメチル−4−メチルペンタノイル]−DTrp−OHの合成水素化ナトリウム4.1mgのDMF(0.5ml)懸濁液に、アルゴン雰囲気下シクロヘプタンチオール23mgを氷冷下加え、5分間撹拌した。このチオレート溶液に、(2)で得られた化合物84.7mgのDMF(1.5ml)溶液を氷冷下加え、更に20分間撹拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加えた後、酢酸エチルにて希釈し、有機層を分離した。この溶液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、無色油状物73.2mgを得た。この油状物72mgのジクロロメタン(3ml)溶液に、氷冷下、mCPBA 23mgを加え30分間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を加え30分間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/酢酸エチル:ヘキサン=2:1)で精製し、得られた淡黄色油状物69mgに、氷冷下ギ酸(1ml)を加え室温で7時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、メタノール0.5mlに溶解し、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液145μlを加え、室温にて24時間撹拌した。メタノールを減圧留去し、水を加え1N塩酸で酸性とし、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水にて洗浄した。この溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(3M社製エムポアシリカゲルシート/クロロホルム:メタノール:酢酸=30:1:1)にて精製することにより目的物23mgを得た。
【0116】FAB−MS(m/e,(C253624S+H)+として):461(4)化合物5A、5Bの合成(3)で得られた化合物20mgとDTrp−OMe・HCl 12mgをジクロロメタン0.5mlに溶解し、NMM 5.3μlを室温にて加え、更に氷冷下HOBT・H2O 6.5mg及びEDCI・HCl 9.2mgを加え、室温にて2時間撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。この溶液を減圧濃縮し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/酢酸エチル:ヘキサン=4:1)にて分離精製することにより、目的とするスルホキシド体をジアステレオ異性体として、それぞれ3.6mg(化合物5A、低極性)、13mg(化合物5B、高極性)得た。
化合物5AFAB−MS(m/e,(C374845S+H)+として):661Rf値:0.27(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)
化合物5BFAB−MS(m/e,(C374845S+H)+として):661Rf値:0.21(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)
(5)化合物6A、6Bの合成(4)で得られた化合物5A及び5Bを用い、実施例1−(6)と同様の反応を行うことにより、目的物を得た。
化合物6A融点:103−108℃IR(KBr,cm-1):3322,3058,2926,2860,1734,1659,1533,1464,1344,1233,1101,1011,741高分解能FAB−MS(m/e,(C364645S+H)+として):計算値 647.3267測定値 647.32341H−NMR(300MHz,Acetone−d6,δppm):0.62(3H,d,J=6.3Hz),0.65(3H,d,J=6.3Hz),0.82−1.20(3H,m),1.24−2.00(12H,m),2.57(1H,dd,J=3.5Hz,12.8Hz),2.65−2.90(3H,m),2.91(1H,dd,J=10.5Hz,14.5Hz),3.04(1H,dd,J=9.2Hz,12.8Hz),3.26−3.38(2H,m),4.66−4.80(2H,m),6.98−7.13(4H,m),7.15(1H,d,J=1.3Hz),7.21(1H,d,J=1.3Hz),7.30(1H,d,J=7.3Hz),7.36(1H,d,J=8.2Hz),7.38(1H,d,J=8.2Hz),7.54(1H,d,J=8.2Hz),7.57(1H,d,J=8.2Hz),8.17(1H,d,J=8.4Hz),10.09(1H,d,J=1.3Hz),10.11(1H,d,J=1.3Hz)
化合物6B融点:123−128℃IR(KBr,cm-1):3412,3058,2926,2860,1713,1662,1524,1464,1443,1359,1344,1230,1101,1011,741高分解能FAB−MS(m/e,(C364645S+H)+として):計算値 647.3267測定値 647.31761H−NMR(300MHz,Acetone−d6,δppm):0.65(3H,d,J=6.0Hz),0.70(3H,d,J=6.0Hz),0.80−0.93(1H,m),1.05−1.20(2H,m),1.25−2.00(12H,m),2.55(1H,dd,J=2.8Hz,12.7Hz),2.65−2.90(3H,m),2.93(1H,dd,J=9.8Hz,14.9Hz),3.02(1H,dd,J=10.9Hz,12.7Hz),3.20−3.38(2H,m),4.70−4.87(2H,m),6.93−7.12(4H,m),7.15(1H,d,J=1.3Hz),7.24(1H,d,J=1.3Hz),7.35(1H,d,J=8.2Hz),7.38(1H,d,J=8.2Hz),7.40(1H,d,J=6.2Hz),7.59(1H,d,J=8.2Hz),7.62(1H,d,J=8.2Hz),7.80(1H,d,J=7.8Hz),10.00(1H,d,J=1.3Hz),10.12(1H,d,J=1.3Hz)
実施例4化合物7A,7B,8A,8Bの合成(1)2−アセチルチオメチル−4−メチルペンタン酸の合成2−イソブチル−2−ペンテン酸4.98gをチオ酢酸5mlに溶解し、アルゴン雰囲気下85℃にて2時間加熱撹拌した。過剰のチオ酢酸を減圧下留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60/クロロホルム→酢酸エチル)にて精製し、目的物6.46gを無色固体として得た。
【0117】FAB−MS(m/e,(C9163S+H)+として):205(2)(2S)−2−アセチルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp−OMeの合成(1)で得られた2−アセチルチオメチル−4−メチルペンタン酸4.00g、DTrp−OMe 4.99g、NMM 2.15ml及びHOBT・H2O3.04gのジクロロメタン(65ml)−DMF(40ml)混合溶液に、氷冷下、EDCI・HCl 3.75gを加え、そのまま30分間、更に室温にて2.5時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を、水、7.5%炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸及び飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60/ヘキサン:酢酸エチル=2:1→3:2)にて精製し、目的物を2.28g得た。
【0118】FAB−MS(m/e,(C212824S+H)+として):405(3)(2S)−2−シクロペンチルメチルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp−OMeの合成(2)で得られたアミノ酸誘導体240mgのメタノール(2ml)溶液を−30℃に冷却し、アルゴン雰囲気下ナトリウムメトキシド37.6mgのメタノール(2ml)溶液を滴下し、0〜10℃にて2.5時間撹拌した。反応溶液を再び−10℃に冷却し、シクロペンチルメチルブロミド220mgのメタノール(2ml)溶液を加え、室温にて13.5時間撹拌し、更に、40℃にて1.5時間加熱撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後得らえた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、目的物175mgを無色油状物として得た。
【0119】FAB−MS(m/e,(C253623S+H)+として):445(4)(2S)−2−シクロペンチルメチルチオメチル−4−メチルペンタノイル−DTrp(COOMe)−OMeの合成(3)で得られたアミノ酸誘導体161mg、粉末の水酸化ナトリウム38.5mg及びTBAHS 13.6mgのジクロロメタン(1.5ml)懸濁液に、氷冷下、クロロギ酸メチル70μlのジクロロメタン(1.5ml)溶液を滴下した。反応液を室温にて終夜撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、エーテルにて抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得らえた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200/ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、目的物166mgを無色粉末として得た。
【0120】FAB−MS(m/e,(C273825S+H)+として):503(5)(2S)−2−[(RS)−シクロペンチルメチルチオスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp(COOMe)−OMeの合成(4)で得られたアミノ酸誘導体を、実施例1−(4)と同様な方法によりmCPBAと反応させ、目的物を得た。
【0121】FAB−MS(m/e,(C273826S+H)+として):519(6)化合物7A、7Bの合成(5)で得られたアミノ酸誘導体29.7mgのメタノール(1.0ml)溶液に、氷冷下1N水酸化ナトリウム水溶液69μl及び水60μlを加え、そのまま1.5時間撹拌した。1N水酸化ナトリウム水溶液30μlを追加し、氷冷下更に1.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、エーテルにて洗浄し、10%クエン酸水溶液で液性を酸性とした。有機物を酢酸エチルで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧濃縮乾固して白色粉末26.1mgを得た。この粉末26.1mg、DNle−OtBu・HCl 15.7mg及びHOBT・H2O 11.6mgのDMF(0.5ml)溶液に、氷冷下NMM 8.0μl及びEDCI・HCl 14.2mgを加え、そのまま30分間、更に室温にて3時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水及び飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得た残渣を、分取薄層クロマトグラフィー(メルク社製 シリカゲル60F254/ベンゼン:酢酸エチル=1:1)にて分離精製した。スルホキシドの不斉に由来するジアステレオマーのうち、極性の低いものを化合物7A、極性の高いものを化合物7Bとし、化合物7Aを7.6mg、1化合物7Bを17.3mg得た。
化合物7AFAB−MS(m/e,(C365537S+H)+として):674Rf値:0.46(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)
化合物7BFAB−MS(m/e,(C365537S+H)+として):674Rf値:0.40(ヘキサン:酢酸エチル=1:3)
(7)化合物8Aの合成(6)で得られた化合物7A 7.5mgを、氷冷下TFA 2.2mlに溶解し、そのまま15分間、更に室温にて1.5時間撹拌した。TFAを減圧留去後、残渣をジクロロメタン−メタノール−ヘキサンより再沈し、化合物8A 5.1mgを得た。
【0122】融点:193−194℃1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.66(3H,d,J=6.1Hz),0.71(3H,d,J=6.1Hz),0.86(3H,t,J=6.8Hz),1.08−1.33(8H,m),1.52−1.72(6H,m),1.78−1.96(3H,m),2.12−2.28(1H,m),2.50(1H,dd,J=4.2Hz,12.9Hz),2.59(1H,dd,J=8.7Hz,12.7Hz),2.66−2.76(1H,m),2.93(1H,dd,J=6.4Hz,12.9Hz),3.16−3.39(3H,m),4.01(3H,s),4.36(1H,dt,J=7.6Hz,4.5Hz),4.70(1H,ddd,J=4.2Hz,6.4Hz,7.0Hz),6.53(1H,d,J=7.0Hz),7.26(1H,t,J=7.8Hz),7.35(1H,t,J=7.8Hz),7.51(1H,s),7.62(1H,d,J=7.8Hz),7.72(1H,d,J=7.8Hz),8.16(1H,d,J=7.6Hz)
(8)化合物8Bの合成(6)で得られた化合物7Bを用い、(7)と同様の操作を行うことにより、目的物を得た。
【0123】融点:194−195℃1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.76(3H,d,J=6.1Hz),0.78(3H,d,J=5.4Hz),0.83(3H,t,J=6.9Hz),1.14−1.29(8H,m),1.52−1.70(6H,m),1.70−1.82(1H,m),1.82−1.96(2H,m),2.22(1H,sept,J=7.6Hz),2.54−2.61(2H,m),2.83(1H,dd,J=6.0Hz,12.7Hz),2.91−3.00(1H,m),3.12(1H,t,J=12.0Hz),3.21−3.33(2H,m),3.99(3H,s),4.31(1H,dt,J=5.4Hz,7.4Hz),4.82(1H,ddd,J=4.9Hz,6.0Hz,7.1Hz),7.10(1H,d,J=7.1Hz),7.17(1H,d,J=7.4Hz),7.25(1H,t,J=7.8Hz),7.33(1H,t,J=7.8Hz),7.55(1H,s),7.69(1H,d,J=7.8Hz),8.15(1H,d,J=7.8Hz)
実施例5化合物9の合成DTrp−OMe・HClを用いて、実施例4−(6)と同様な反応を行い目的物を得た(スルホキシドの不斉に由来するジアステレオマー比=1:3)。
【0124】融点:174−179℃IR(KBr,cm-1):3298,2956,1743,1662,1539,1461,1386,1260,1224,1092,1020,744高分解能FAB−MS(m/e,(C384847S+H)+として):計算値 705.3322測定値 705.33361H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):0.64+0.73(3H,d×2,J=6.3Hz,4.9Hz),0.68+0.75(3H,d×2,J=6.4Hz,5.4Hz),0.85−1.31(4H,m),1.43−1.92(7H,m),2.12−2.29(1H,m),2.40−2.58(2H,m),2.70−3.01(4H,m),3.10−3.34(3H,m),3.63+3.67(3H,s×2),3.97(3H,s),4.82(2H,dt,J=7.4Hz,5.4Hz),5.90−6.08+6.26−6.41(1H,m×2),6.73−6.80(1H,m),6.87(1H,brs),7.06(1H,t,J=7.5Hz),7.15(1H,t,J=7.5Hz),7.24(1H,t,J=7.8Hz),7.29−7.51(3H,m),7.53−7.61(2H,m),8.15(1H,d,J=7.8Hz),8.71−8.76+8.78−8.85(1H,brs×2)
実施例6化合物10の合成実施例4−(5)で得られた(2S)−2−[(RS)−シクロペンチルメチルチオスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp(COOMe)−OMe 50mgのジオキサン(0.8ml)溶液に、室温にて1N水酸化ナトリウム水溶液0.39mlを加え、そのまま2時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、エーテルにて洗浄後、水層を10%クエン酸水溶液にて酸性とし、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。この溶液を減圧濃縮乾固することにより、(2S)−2−[(RS)−シクロペンチルメチルチオスルフィニルメチル]−4−メチルペンタノイル−DTrp−OH 45.9mgを得た。このものに、実施例1−(5)、(6)と同様の反応を行い目的物を得た(スルホキシドの不斉に由来するジアステレオマー比=1:3)。
【0125】融点:133−139℃IR(KBr,cm-1):3412,3058,2956,2872,1731,1662,1521,1461,1341,1233,1014,741高分解能FAB−MS(m/e,(C354445S+H)+として):計算値 633.3111測定値 633.31211H−NMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):0.57(3H,d,J=5.9Hz),0.64(3H,d,J=6.1Hz),0.89−0.95(1H,m),0.95−1.02(1H,m),1.06−1.15(3H,m),1.18−1.28(4H,m),1.83−1.90(2H,m),2.02−2.16(1H,m),2.36−2.97(6H,m),3.04−3.51(3H,m),4.41−4.52(1H,m),4.54−4.65(1H,m),6.92−7.08(4H,m),7.11(1H,brs),7.17(1H,brs),7.29(1H,d,J=8.0Hz),7.32(1H,d,J=8.0Hz),7.52(1H,d,J=8.0Hz),7.58(1H,d,J=8.0Hz),8.13(1H,d,J=7.3Hz),8.34(1H,d,J=8.3Hz),10.76(1H,s),10.83(1H,s),12.40−12.50(1H,brs)
【0126】
【発明の効果】本発明の化合物は、内在性の生理活性ペプチドであるエンドセリンに対して強い拮抗作用を有することから、抗エンドセリン剤として有用であり、更にエンドセリンが関与する血管及び気管筋収縮作用に拮抗する薬剤として、ひいてはヒトの高血圧症、肺高血圧症、レイノー病、気管支喘息、動脈硬化症、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳血管攣縮、胃潰瘍及び糖尿病の治療薬として有用である。また、エンドトキシンショック、エンドトキシン起因の多臓器不全若しくは播種性血管内凝固更にシクロスポリン誘発の腎障害及び高血圧等の治療薬としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式
【化1】


{式中、R1は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基及び5〜10員の複素環低級アルキル基は、それぞれ独立に、それらの鎖上及び/又は環上に低級アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ホルミル基、低級アルカノイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ホルミルアミノ基、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基又はN,N−ジ低級アルキルカルバモイル基、メルカプト基、低級アルキルチオ基又は低級アルカノイルチオ基を有していてもよい)を示し;pは0〜2の整数を示し;A1は単結合又は低級アルキル基で置換されていてもよい2価の低級アルキレン基を示し;R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アラルキル基、アリール基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基を示し;X1は酸素原子又は式:−NR3−[式中、R3は水素原子又は低級アルキル基を示す]で表される基を示し;R4は5〜10員の複素環低級アルキル基[該5〜10員の複素環低級アルキル基は、その環上に低級アルキル又は式:R41−CO−(CH2q−(式中、R41は水素原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し;qは0〜6の整数を示す)で表される基を有していてもよい]又はアリール低級アルキル基[該アリール低級アルキル基は、その環上にニトロ基、式:R42−CO−(CH2r−(式中、R42は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基を示し、rは0〜6の整数を示す)で表される基、式:R42−CO−X2−(式中、R42は前記の意味を有し、X2は酸素原子又は式:−NR43−(式中、R43は水素原子又は低級アルキル基を示す)で表される基又は式:R44O−(CH2s−(式中、R44は水素原子又は低級アルキル基を示し、sは0〜6の整数を示す)で表される基を有していてもよい]を示し;X3は酸素原子又は硫黄原子を示し;A2は下記一般式[II]〜[VII]で表される基よりなる群から選ばれる任意の基を示す。
【化2】


[式中、Yはヒドロキシ低級アルキル基、スルホ基、ホスホノ基、式:−CO281(式中、R81は水素原子又はカルボキシ保護基を示す)で表される基又は式:−CONR8283(式中、R82及びR83はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼン環上の任意の1〜5個の水素原子がそれぞれ独立に低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基又はカルボキシ低級アルキル基を示す)で表される基を示し;R51は水素原子又は低級アルキル基を示すか、或は下記R61と一緒になってメチレン基を示し;R53、R61及びR62はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基又は5〜10員の複素環低級アルキル基(該低級アルキル基、低級アルケニル基、アリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員の複素環基及び複素環低級アルキル基は、それぞれ独立にそれらの鎖上及び/又は環上に水酸基、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基又はアリールオキシカルボニルアミノ基を有していてもよい)を示し、更にR61はR51と一緒になってメチレン基を示すこともでき、R62は下記R52と一緒になってメチレン基を示すことができ(但し、R51が低級アルキル基を示す場合、R61は水素原子以外の基を示し、R52が水素原子以外の基を示す場合、R62は水素原子又は低級アルキル基を示す);R52は水素原子、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルカルバモイル基又はN−アリールカルバモイル基を示すか、或はR7と一緒になって単結合を示し;R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又は水酸基を示すか、或はR52と一緒になって単結合を示し、tは2〜6の整数を示し;ZはCH又はNを示し;vは1〜3の整数を示す]}で表される化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項2】R1が低級アルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、5〜10員のヘテロアリール基又は5〜10員のヘテロアリール低級アルキル基(該アリール基、アラルキル基、ヘテロアリール基及びヘテロアリール低級アルキル基は、それらの環上に、低級アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ホルミル基、低級アルカノイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、低級アルカノイルアミノ基、カルバモイル基、N−モノ低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ低級アルキルカルバモイル基、メルカプト基及び低級アルキルチオ基からなる群から選ばれる同一又は異なる1〜5個の置換基を有していてもよい)であり;A1は単結合であるか又は低級アルキル基で置換されていてもよい炭素数1〜3個の2価のアルキレン基であり;R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル低級アルキル基、アリール基、5〜10員のヘテロアリール基、アリール低級アルキル基、5〜10員のヘテロアリール低級アルキル基であり;R4はインドール環1位が、低級アルキル基若しくは式:R41−CO−(CH2q−(式中、R41は水素原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ベンジルオキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基であり、qは0〜6である)で表される基で置換されていてもよい3−インドリルメチル基、3−ベンゾチエニルメチル基、(1−オキソ−3−ベンゾチエニル)メチル基、(1,1−ジオキソ−3−ベンゾチエニル)メチル基、ナフチルメチル基、アリール低級アルキル基又は単環性ヘテロアリール低級アルキル基(該アリール低級アルキル基及び単環性ヘテロアリール低級アルキル基は、環上にニトロ基、式:R43−CO−(CH2r−(式中、R43は低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基又はジ低級アルキルアミノ基であり、rは0〜6の整数である)で表される基、式:R43−CO−X2−[式中、R43は前記の意味を有し、X2は酸素原子又は式:−NR44−(式中、R44は水素原子又は低級アルキル基である)で表される基又は式:R45O−(CH2s−(式中、R45は水素原子又は低級アルキル基であり、sは0〜6の整数である)で表される基を有していてもよい]であり;Aは下記一般式[II]〜[VII]で表される基よりなる群から選ばれる任意の基である。
【化3】


[式中、Yはヒドロキシメチル基、スルホ基、ホスホノ基、式:−CO281(式中、R81は水素原子、低級アルキル基又はベンジル基である)で表される基又は式:−CONR8283(式中、R82は水素原子、低級アルキル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼン環上の任意の1〜5個の水素原子がそれぞれ独立して低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニルスルホニル基又はカルボキシメチル基であり、R83は水素原子又は低級アルキル基である)で表される基であり;R51は水素原子又は低級アルキル基であるか又は下記のR61と一緒になってメチレン基であり;R61は水素原子、水酸基、低級アルコキシ基若しくは低級アルキルチオ基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基、チエニル基、チアゾリル基、ピリジル基、ベンゼン環上の任意の水素原子が水酸基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基若しくはベンジルオキシ基で置換されていてもよいフェニル低級アルキル基、チエニル低級アルキル基、チアゾリル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、イミダゾリル低級アルキル基、インドリル低級アルキル基、カルバモイル低級アルキル基又はN−ベンジルオキシカルボニル−ω−アミノ低級直鎖アルキル基であるか或はR51と一緒になってメチレン基であり(但し、R51が低級アルキル基である場合、R61は水素原子以外の基である);R52は水素原子、フェニル基、ベンジル基、カルボキシル基、カルバモイル基又はN−フェニルカルバモイル基であるか或はR7と一緒になって単結合であり;R62は水素原子、低級アルキル基、フェニル低級アルキル基、チエニル低級アルキル基、チアゾリル低級アルキル基、ピリジル低級アルキル基、インドリル低級アルキル基、フェニル基、カルバモイル基又はN−フェニルカルバモイル基であり(但し、R52が水素原子以外の基である場合、R62は水素原子又は低級アルキル基である);R53は水素原子、低級アルキル基、カルボキシ低級アルキル基、式:Ar−(CH2u−(式中、Arはフェニル基、フリル基、チエニル基であり、uは1又は2である)で表される基]}である請求項1記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項3】請求項1記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含有することを特徴とするエンドセリン拮抗剤。
【請求項4】請求項1記載の一般式[I]で表されるペプチド誘導体又はその製薬上許容される塩を含有することを特徴とする高血圧、肺高血圧、レイノー病、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳血管攣縮、動脈硬化症、気管支喘息、胃潰瘍、糖尿病、エンドトキシンショック、エンドトキシンを起因とする多臓器不全や播種性血管内凝固及び/又はシクロスポリン誘発の腎障害や高血圧等の治療薬。

【公開番号】特開平5−178890
【公開日】平成5年(1993)7月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−361569
【出願日】平成3年(1991)12月26日
【出願人】(000005072)萬有製薬株式会社 (51)