説明

エンドトキシンの分析

本発明は、OmpTタンパク質を、エンドトキシンを含む疑いのあるサンプルと接触させ、OmpTタンパク質のプロテアーゼ活性を分析することによって特徴づけられる、エンドトキシンの存在または非存在を検出する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、エンドトキシン分析の分野に関する。
【発明の背景】
【0002】
エンドトキシンの分析
エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁の外膜に見られるリポ多糖類(LPS)である。エンドトキシンは、リピドAと呼ばれる脂質部位、高分子のバックボーンを構築するコア オリゴ糖、および様々な繰り返しオリゴ糖残基からなるO−抗原を含む。この分子に毒性を与えるのはリピドAである。
【0003】
エンドトキシンは、強力なピロゲンであり、身体の血液または組織内に入り込んだ場合、熱、脳膜炎および血圧の急速な低下を引き起こす。グラム陰性菌が溶解または分解するとき、エンドトキシンのような外膜の成分が環境中に放出され、環境の汚染を引き起こす。この汚染は防ぐことが難しい。なぜなら、エンドトキシンは遍在し、安定しており、また、従来の滅菌フィルタを通過するほど十分に小さい。
【0004】
従って、患者の身体へ導入される薬学的製剤および医療用具をエンドトキシンの汚染について試験することは非常に重要である。現在、エンドトキシンを検出するのに好ましい方法は、カブトガニ、Limulus polyphemusの血液からのアメーバ様細胞の溶解物に基づいている。代替の方法には、ウサギを使用した発熱試験があり、エンドトキシンを含む疑いのあるサンプルがウサギに注入され、ウサギの体温がモニタリングされる。
【0005】
Limulus Amebocyte Lysate(LAL)方法は、4つの反応のステップを含む(図1を参照)。これは、コアグローゲン ペプチドの切断において終了する酵素活性化ステップのカスケードに基づいている。これは、不溶性の切断産物、イオン相互作用によって合体するコアグリンをもたらす。十分な量のコアグリンが形成された場合、混濁状態はゲル凝固へと移り変わる。コアグローゲンを切断する凝固酵素はまた、コアグローゲンと似た切断部位を含む他のペプチドを切断する。これは、そのような切断部位および発色団、パラニトロアニリド(pNA)を備えたペプチドを構築するために使用されてきた。このペプチドの切断は、黄色かつ405nmで光を吸収するpNAの放出をもたらす。従って、pNAの放出は、色原体の分析において測定することができる。LAL方法は、FDAガイドライン(1987)およびANSI/AAMIスタンダートST72:2002においてさらに記載されている。
【0006】
LAL方法の主な不利益は、多くの物質がその異なるステップにおいて当該方法を妨害するということであり、これらの物質が妨害しないように注意しなければならない。このような物質の例は、ヘパリン、イーストおよびカビ(mould)の細胞壁材料およびセルロース系材料である。
【0007】
LAL方法の他の不利益は、ライセートの成分が急速に分解してしまい、結果としてライセートのシェルフ ライフが制限されるということである。ライセートの生成はまた、生きたカニからの血液の抽出を含む。約10〜15%のカニはこの処理後に死に至り、毎年20,000〜37,500個体のカニがこの処理によって死に至っていると推定される。さらに、すべての生成物は自然界から単離されているので、ライセートの厳密な組成はバッチ間で異なり、このことがこの方法の再現性に影響を与える。
【0008】
Chaby, R. は、Cellular and Molecular Life Sciences, vol. 61(2004)pp 1697-1713.において数多くのLPS-結合分子について概説している。エンドトキシン検出試薬を見つける進行中の試みは、著者によって認められた。しかし、たとえOmpTの酵素活性がLPSのライゲーションを必要とすることがChabyに述べられていたとしても、OmpTのこの特性がエンドトキシンの検出のためのアッセイにおいて使用できることはこの著者によっては示唆されていない。
【0009】
したがって、エンドトキシン分析について、より迅速、より安価、より確実であり、かつ動物にやさしい方法に対する大きな要求が存在する。また、このような方法における使用のためのより安定な試薬に対する要求もまた存在する。
【0010】
外膜プロテアーゼT
外膜プロテアーゼT (The outer membrane protease T; OmpT)は、大腸菌(E. coli)の外膜の一成分である。これはセリン ペプチダーゼ ファミリーS18、omptinに名前を与えた。OmpTは、ompT遺伝子が大腸菌の臨床分離株において見出されたことから、尿路疾病に関与すると示唆されている。また、上皮細胞によって尿路から分泌された抗菌性ペプチドの分解においてOmpTが関与することが示唆されている。しかしながら、OmpTの一般的生物学的機能は、まだ未解明な状態にある。最近、これはその活性についてリポ多糖類に依存することが解っている (Kramer, R.A (2000), Brandenburg, K. et al (2005))。しかしながら、これらの出版物は、OmpT活性の測定によって、サンプルにおいてLPSが検出されてもよいことを開示していない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、エンドトキシンの検出のための新規かつ向上した分析方法において、リポ多糖類によるOmpTの活性化を使用することができるという認識に基づいている。
【0012】
第1の態様において、本発明は、エンドトキシンの存在を検出するための方法に関する。ここでは、純粋なOmpTタンパク質が、エンドトキシンを含む疑いのあるサンプルと接触させられ、OmpTタンパク質のプロテアーゼ活性が分析される。この活性は、サンプルにおけるエンドトキシンの存在を示し、他方、活性の欠乏は、エンドトキシンが存在しないことを示す。
【0013】
好ましい実施態様において、OmpTタンパク質の活性は、活性のあるOmpTによって切断され、かつそのような切断上で検出可能なシグナルを生成する、レポーター ペプチドの付加によって分析される。レポーター ペプチドは、好ましくは有色または蛍光シグナルを生成する。
【0014】
さらなる好ましい実施態様において、OmpTタンパク質は、大腸菌から精製された天然のOmpT、インビトロで合成されたもの、または組み換えによって生成されたものである。 組み換え体の宿主は、大腸菌のような細菌またはPichia pastorisのようなエンドトキシンを産出しない宿主生物のいずれであってもよい。
【0015】
サンプルは、患者、医療用具、水、空気、土、または粉塵、またはエンドトキシンで汚染される疑いのある任意の他の材料に由来するものであってもよい。
【0016】
第2の態様において、本発明は、敗血症を分析するための診断方法に関する。
【0017】
第3の態様において、本発明は、第1および第2の態様に基づいて前記方法を行なうための試薬を含むキットに関する。
【0018】
定義
本出願において使用される用語はすべて、関連技術分野における当業者によって通常与えられる意味を有することを意図する。しかしながら、いくつかの用語が、明確化するために以下に定義される。
【0019】
エンドトキシンは、グラム陰性菌の外膜中に天然に存在し、かつ哺乳動物の中で毒性を示すリポ多糖類分子である。本出願において、用語「リポ多糖類」または「LPS」は、分子の物理化学的性質(例えば、OmpTを活性化するその能力)に言及するときに使用される。また、用語「エンドトキシン」は、この分子を健康上有害なものとして言及するときに使用される。 用語「エンドトキシン」はまた、前記毒性を示す、前記リポ多糖類の一部(例えば、リピドA)を含むものとして解釈されるべきである。
【0020】
pNAは、パラ-ニトロアニリドを意味する。
【0021】
IAAは、インドール-3-酢酸を意味する。
【0022】
Abzは、o-アミノベンゾイルを意味する。
【0023】
純粋なOmpTタンパク質は、そのプロテアーゼ活性に影響を与える諸成分を実質的に含まないOmpTタンパク質の製剤を意味するものとして解釈されるべきである。特に、純粋なOmpTタンパク質は、LPSを含まない。
【0024】
本出願において使用されるようなレポーター ペプチドは、活性のあるOmpTと接触して検出可能なシグナルを生成する、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質である。
【発明の詳細な説明】
【0025】
本発明による方法は、精製されたOmpTとグラム陰性菌のリポ多糖類との相互作用に基づいている。外膜プロテアーゼOmpTは、2つの連続した塩基性アミノ酸間のペプチドを切断する、独特の基質特異性を示すプロテアーゼである。また、OmpTタンパク質は、その活性についてリポ多糖類の存在に依存している。本発明による方法は、その最も広範な態様において、精製されたOmpTがエンドトキシンを含む疑いのあるサンプルと接触させられ、かつOmpTタンパク質の活性が分析されることを特徴とする方法に関係づけられる。
【0026】
本方法の有形の実施態様は、任意の多数の構成において存在しうる。OmpTタンパク質は、マイクロプレートのような固体支持体上に固定されてもよいし、あるいは溶液中に存在していてもよい。
【0027】
OmpTについての活性分析は、以下に「レポーター ペプチド」と呼ばれるペプチドを加えることによって行われる。このペプチドは、OmpTによる切断部位を含み、このレポーター ペプチドがOmpTによって切断されたか否かが分析される。レポーター ペプチドは、サンプルおよびOmpTタンパク質が接触させられる前、後または同時に、OmpTタンパク質またはサンプルに加えることができる。レポーター ペプチドは、OmpT切断部位と、レポーター ペプチドがOmpTによって切断されたときに検出可能なシグナルを生成するシグナル基とを含むように構築されるべきである。この活性アッセイについての反応スキームを、図2に示す。
【0028】
これまでに知られた、または予想されるOmpT切断部位は、Arg-Arg、Lys-Lys、Lys-Arg、Arg-Lys、Arg-Ser、Arg-Val, Arg-Met、Arg-Ala、Lys-Ala、Lys-GlnおよびLys-Thr (Kramer, A. (2001))である。
【0029】
シグナル基には、検出可能なシグナルを発する全ての基が含まれる。必要に応じて、レポーター ペプチドは、ペプチドが切断されるまでシグナル基からのシグナルを消光する消光基を含むべきである。現在好ましいものには、色素産生基および蛍光基、例えばp-ニトロアニリドまたはo-アミノベンゾイルがある。
【0030】
レポーター ペプチドの1つの例は、Abz-Ala-Arg-Arg-Ala-Tyr(NO2)-NH2である。 325nmの光でのAbz-基の励起は、430nmで発光の最大値を示す蛍光シグナルをもたらす。この蛍光は、この基がレポーター ペプチドの切断によって分離されるまで、Tyr (NO2)-基によって消光される。
【0031】
レポーター ペプチドの他の例は、IAA-Arg-Arg-pNAである。OmpTによるこのペプチドの切断は、IAA-Argをもたらす。その後、これをアミノペプチダーゼMによって切断してIAAのみにしてもよい。IAAは、405nmで分光測光法で検出することができる。
【0032】
OmpTタンパク質は、所望の性質を有する限りにおいて、任意の利用可能な供給源に由来してもよい。すなわち、これはLPSの存在によって活性化されるべきであり、また、これは特定のプロテアーゼ活性を有するべきである。好ましくは、OmpTタンパク質は、大腸菌(UniProt Knowledgebase 受託番号P09169)からのOmpTである。しかし、他のグラム陰性菌からのこのタンパク質の任意の同族体もまた本発明において有用である蓋然性が高い。OmpTタンパク質は、OmpTを必然的に産生する生物体から単離されてもよく、あるいは、好ましくはPichia pastorisのようなLPSを産生しない生物体において組み換え技術によって産生されてもよい。また、無細胞合成によってインビトロで合成することができる。
【0033】
分析対象となるサンプルは、分析を妨害する物質を含んでいてもよい。 そのような妨害物質の1つの群は、エンドトキシンの存在とは無関係にアッセイにおいて陽性の結果を与えるレポーター ペプチドを切断するプロテアーゼである。本発明の1つの実施態様において、このようなプロテアーゼはアッセイ中で抑制される。 これらは、物理的手段、例えば加熱、pHまたは電荷の変更、または化学的手段、例えばプロテアーゼ インヒビターの付加によって阻害されてもよい。 しかしながら、このようなインヒビターは、OmpTプロテアーゼ活性を阻害するべきでない。
【0034】
分析対象となるサンプルは、多くの異なる起源を有していてもよい。それは、個人、例えばドナーの血液、血漿または他のある器官に由来するものであったり、あるいは自己輸血を受ける患者に由来するものであってもよい。また、それは、外科用器具および移植装置のような患者の体液または内臓と接触する医療機器に由来するものであってもよい。それは、薬学的組成物に由来するものであってもよい。さらに、それは、汚染の疑いのある、あるいは湿気によって被害を受けた建物など、環境によって汚染された疑いのある空気、粉塵、土または固形物に由来するものであってもよい。
1つの側面において、本発明は、敗血症の発症のための初期のマーカーとしてのエンドトキシンの検出に関する。この側面において、敗血症になるリスクのある患者からの血液サンプルは、第1の側面による方法に供される。
【0035】
さらなる側面において、本発明は、エンドトキシンを検出する方法を実行するための必要なパーツを含むキットに関する。このようなキットは、好ましくは純粋なOmpTタンパク質の製剤およびレポーター ペプチドを含んでいる。これはさらに、サンプルを採取する手段、例えば、綿球(swab)、へら、注射器またはエアーフィルター、サンプリング装置のための洗浄液、サンプルを稀釈するための緩衝液および/またはアッセイを実行するためのバイアルを含む。
【実施例】
【0036】
大腸菌由来のOmpTプロテアーゼの産生
(以下の精製プロトコルは、Kramer A (2001) によって記載された改良を伴うスギムラおよびニシムラ(1988)によって記載された方法に従う改良型である。)
培養: 在来の大腸菌(E.coli)の外膜からの在来のOmpTの精製のために、野生型のOmpTおよびそのシグナル配列を発現する細胞が、所望の量のOmpTを達成するのに必要な量だけ、およびpHと温度に関してOmpT発現のための最適な条件下で、適切なサイズのバイオリアクター内で培養される。培養は、グルコース付加を含む複合体および塩培地中において、および回分培養または流加培養条件中で行うことができる。
回収: 細胞培養物は、遠心分離(2500 rmp、15分)によって収穫される。また、ペレットは、バッファーA (50mM Tris/HCl、pH 7.5) で洗浄され、再遠心処理される。その後、ペレットは、バッファーA中に再懸濁される。
【0037】
細胞破壊:続いて、細胞は、フレンチ・プレスまたは他の細胞を均質化する方法の使用を通して、せん断力によって破壊される。破壊されなかった細胞は、遠心分離 (1000g、10分) によって取り除かれる。全細胞膜の画分は、遠心分離(36000g、40分間)によって回収される。
【0038】
精製:ペレットは、バッファーAで洗浄され、かつ再遠心処理 (36000g、40分) に供される。ペレットは、内膜および外膜を分離するために、振盪中4℃で1時間にわたってバッファーA中の0.1% サルコシルで洗浄される。ペレットは、超遠心分離 (36000g、40分) によって回収される。OmpTは、振盪ボード上、室温で1時間にわたってバッファーA中のTritonX-100および5 mM EDTAで膜から抽出される。超遠心分離後(36000g、40分)、上清は、バッファーB(10 mM DodMe2NPrSO3、20mM Tris/HCl、pH 7.5)によって平衡化されたDEAEセルロースカラムに適用される。吸収されたタンパク質は、700 mLのバッファーB中においてNaClの線形勾配によって0.5 Mまで溶出される。画分はSDS-PAGEおよび比色定量アッセイによる活性によって分析される。 純粋なOmpTを含む画分が集められ、バッファーBに対して透析され、−20℃で貯蔵される。
【0039】
組み換えOmpTの生成
遺伝子をコードする大腸菌OmpTプロテアーゼは、鋳型として大腸菌染色体DNAを使用する、標準的なPCR増幅における1セットのプライマーを使用して、PCRによって単離される。適切な発現ベクター内へのPCR産物のクローニングが行なわれる。このベクターにおいて、OmpT遺伝子は、効率的な精製の可能性を増強するために、および/またはOmpTタンパク質の共有結合の可能性を与えるために、適切な親和性のパートナーに非融合または融合の形態をとる。このタンパク質はその後、汚染源となるあらゆるLPSをもたらさない方式において、候補となる多様な宿主中において生成されうる。仮にこのタンパク質が大腸菌内において過剰発現した場合、これはサイトゾル内、大腸菌の周辺質(periplasm)内、または外膜内において生成され得る。後者の2つはシグナル配列の使用による。いくつかのシグナルはまた、他の生物体から使用することができる。外膜において産生を最大にするために、天然のシグナルが使用される。また、周辺質内において産生を増強するために、外膜シグナルが回避され、周辺質タンパク質配列が、その代りに使用される(例えば、外膜と干渉しない結果が出ているMalEまたはOmpAの輸送のために使用されるシグナル)。
【0040】
親和性の融合パートナーを含まない精製:細胞質に位置するタンパク質画分の精製は、全細胞の収穫または外膜および周辺質の選択的な除去によって行われる。詳細は、上述した天然のOmpTの抽出のためのプロトコルの精製の説明箇所のとおりである。周辺質に局在する生成物でも、同じ戦略が採用されるが、外膜および周辺質画分が収集される。
【0041】
親和性のパートナーを使用する精製:親和性パートナーが使用される場合、全細胞の抽出液を、例えば、カラムが使用される融合タグの吸着に適している場合、吸着流動床(expanded bed adsorption)(EBA)の原理を使用して、精製カラムに加えることができる。
【0042】
OmpT活性のためのレポーター ペプチド基質の生成
OmpTのタンパク質分解活性の検出は、好ましくはFRETに基づいた分析によって行われる。レポーター ペプチドは、タンパク質の分解を生ずる切断部位に特異的に位置するフルオロフォアおよびクエンチャー基のカップリングに導くプロセスにおいて、従来の固相ペプチド化学によってもたらされてもよい。また、タンパク質の分解を生ずる切断部位は、OmpTによって切断されやすいものから選択される。これまでに公知の切断部位は、Arg-Arg、Lys-Lys、Lys-Arg、Arg-Lys、Arg-Ser、Arg-Val、Arg-Met、Arg-Ala、Lys-Ala、Lys-GlnおよびLys-Thrである。分析はHPLC解析/MSによって行なわれる。
【0043】
レポーター ペプチドはまた、商業的に購入することもできる(例えば、Bachem、スイス)。
表面上に固定されたOmpTプロテアーゼを使用するエンドトキシンの分析
組み換えまたは天然のOmpTプロテアーゼは、プラスチック表面(例えば、ポリスチレン)上での吸着を可能にする適切なバッファー中において懸濁される。代わりに、親和性の融合-タグ化OmpTプロテアーゼ タンパク質を使用して、このような固定は、生物特異的な相互作用、例えば、第一級アミンで表面を活性化されたEDC/NHSまたは他の適切なカップリング化学を介した共有結合を介して達成することができる。表面付着が達成された後、OmpTプロテアーゼを活性化するLPSサンプルが加えられる。最後に、レポーター ペプチドが添加され、エンドトキシンがサンプル中に存在する場合、レポーター ペプチドのOmpT切断が誘導される。レポーター・シグナルの検出および定量化は、各サンプルごと、またはスキャニング マルチパラレルな様式のいずれも可能であるスペクトル解析の分析によって行われる。 その分析は、最適なpHおよび温度で行われ、そのパラメーターは当業者によって容易に調節される。
【0044】
溶液中においてOmpTプロテアーゼを使用するエンドトキシンの分析
組み換えまたは天然のOmpTプロテアーゼは、プロテアーゼ機能の活性化を可能にする、エンドトキシンを含む疑いのあるサンプルと適切なバッファ中において懸濁される。続いて、レポーター ペプチドが付加され、エンドトキシンがサンプル中に存在する場合、レポーター ペプチドのOmpT切断が誘導される。
レポーター シグナルの検出は、上記のとおり行われる。その分析は、最適なpHおよび温度で行なわれ、そのパラメーターは、当業者によって容易に調節される。
【0045】
[参考文献]
American National Standards Institute (2002), ANSI/AAMI ST72:2002, Bacterial endotoxins -Test methodologies, routine monitoring, and alternatives to batch testing
Brandenburg, K. (2005) et al, Eur. Biophys. J., vol. 34, pp. 28-41
Chaby, R. (2004), Cellular and Molecular Life Sciences, vol. 61 pp 1697-1713
Food and Drug Administration (1987), Guideline on validation of the Limulus Amebocyte Lysate test as an end-product endotoxin test for human and animal parenteral drugs, biological products, and medical devices.
Kramer, R.A. (2000), et al, Eur. J. Biochem., vol 267, pp 885-893
Kramer A (2001) PhD thesis University of Utrecht, NL, ISBN 90-393-2791-2
Sugimura and Nishihara (1988), Purification, characterisation and primary structure of Escherichia coli protease VII with specificity for paired basic residues: the identity of protease VII and OmpT. J Bact 170:5625-5632
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、Limulus Amebocyte Lysateでの既知のエンドトキシン分析のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明による分析方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OmpTタンパク質を、エンドトキシンを含む疑いのあるサンプルと接触させ、OmpTタンパク質のプロテアーゼ活性を分析することによって特徴づけられる、エンドトキシンの存在または非存在を検出する方法。
【請求項2】
前記プロテアーゼ活性が、OmpT切断部位を含むレポーター ペプチドを加えることによって分析され、前記レポーター ペプチドが、切断によって検出可能なシグナルを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記OmpTタンパク質が、大腸菌からの精製されたOmpTである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記OmpTタンパク質が、組み換えによって生成されるかまたはインビトロで合成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが、患者サンプル、医薬組成物、医療用具、水、空気、土および粉塵からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
患者からの血液、血漿または血清サンプルが、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法に用いられる、敗血症の発病を検出する方法。
【請求項7】
OmpTタンパク質、レポーター ペプチドおよび任意に適切なバッファー、バイアルおよび/またはサンプリング器具を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を行うためのキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−514524(P2009−514524A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538847(P2008−538847)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050448
【国際公開番号】WO2007/053107
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(508135286)
【氏名又は名称原語表記】GL Bioteknik HB
【Fターム(参考)】