説明

エンボス導電性布を作製するための方法

【課題】エンボス導電性布を作製するための方法を提供する。
【解決手段】この方法は、(a)天然繊維または人造繊維製の布を設けるステップと、(b)布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成するステップと、(c)布上のエンボスパターンを維持しながら、エンボスパターンを有する布に粗面化処理を施すステップと、(d)粗面化処理後の布に表面金属化処理を施すステップとを含む。本発明の方法により得られたエンボス導電性布は、優れた金属付着性を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、導電性布の技術分野に属する。特に、本発明は、エンボスパターン、布それ自体の識別特性、および優れた金属付着性を有するエンボス導電性布を作製するための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
今日では、導電性布を作製するための技術は、布に無電解めっきを施して金属化繊維を形成することを伴う。一般的な布とは、例えば、織物(例えば、平織物、立体チェック織物、あや織物、サテン織物、オックスフォード織物)、編物(例えば、丸編物、たて編、よこ編または横編)、不織布(例えば、ウォータージェット布、ニードル布)、または網布(net cloth)を包含する。しかしながら、導電性布の表面の金属化により、外観が味気ないものとなる傾向があり、また布を識別することが困難となる。
【0003】
導電性布の表面に光沢またはエンボスパターンを設けるために、ホットローラによる加圧成形またはエンボス加工が通常利用される。しかしながら、このような技法は、導電性布の表面にある薄い金属膜を破壊する傾向あり、薄い金属膜の不連続を引き起こす。結果として、導電性布の導電率、金属付着性、テクスチャおよび耐候性が影響を受ける。さらに、電磁干渉(EMI)シールド用途において、導電性布から落下する小さな金属片により短絡が生じる、またはそのEMIシールド効果が低下する。
【0004】
上記の不利な点を克服することができる導電性布が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記の不利な点を克服するエンボス導電性布を作製するための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0006】
本発明は、上記の不利な点を克服するエンボス導電性布を作製するための方法を提供する。本発明の方法により作製したエンボス導電性布は、所望のエンボスパターン、布それ自体の識別特性、および優れた金属付着性を有する。本明細書中で使用する語句「布それ自体の識別特性」とは、布が所望のマークまたは識別を有するように導電性布上に特定のエンボスパターンが形成されていることを意味する。表面にエンボスパターンがなければ、導電性布は通常類似の外観を有する。導電性布上のマークまたは識別は、様々なエンボスパターン、例えば、「FTC」(会社名)、「M2PTEX(登録商標)e」(商標)、線、花もしくは動物の画像、または記号であってよい。
【0007】
特に、本発明はエンボス導電性布を作製するための方法を提供する。この方法は、
(a)天然繊維または人造繊維製の布を用意すること、
(b)布をエンボス加工して、布にエンボスパターンを形成すること、
(c)布のエンボスパターンを維持しながら、エンボスパターンを有する布に粗面化処理を施すこと、および
(d)粗面化処理後の布に表面金属化処理を施すことを含む。
【0008】
ステップ(a)において、天然繊維は、綿、リネン、絹および羊毛を含むが、これらに限定されず、任意の天然繊維でよい。人造繊維は、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびアクリルを含むが、これらに限定されず、任意の人造繊維でよい。好ましくは、人造繊維はポリエステルである。布は、織物、編物、不織布または網布を含むが、これらに限定されず、任意の織り方で作製することができる。
【0009】
ステップ(b)は、所定のエンボスパターンを有するローラエンボッサ(roller embosser)を含むが、これに限定されず、任意の従来のエンボス加工装置を用いることによって行うことができる。好ましくは、このエンボス加工ステップは、以下のように行う。繊維案内機(fabric guider)を用いることによって布を適切な位置に供給し、強度コントローラを用いることによって布の強度を制御し、次いでゴムロールと、所定のエンボスパターンを有するステンレスの彫刻が施されたロールとを備えるローラエンボッサ用いることによって布をエンボス加工する。これらのロールを適切に配置する。例えば、これらのロールを以下のようにして配置することができる。ゴムロール(直径:360〜400mm)を下部に設置し、ステンレスの彫刻が施されたロール(直径:190〜250mm)を上部に設置する。温度制御は、ステンレスの彫刻が施されたロールにより行う。
【0010】
ステップ(b)の操作条件については特に制限はない。本発明の好ましい一実施形態によれば、以下の操作条件下でステップ(b)を行う。
・温度:約20℃〜約230℃、好ましくは約25℃〜約190℃
・圧力:約5kg/cm〜約100kg/cm、好ましくは約10kg/cm〜約50kg/cm
・エンボッサの速度:約5M/分〜約80M/分、好ましくは約10M/分〜約50M/分
【0011】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ステップ(b)の後、約1μm〜約500μm、好ましくは約10μm〜約100μmの曲線深さ(curve depth)を有するエンボスパターンを布に形成する。場合により、エンボスパターンは、線、図形、装飾図案または記号であってもよい。
【0012】
ステップ(c)は、例えば、布の表面に多数の均一な微細孔が形成されるようにアルカリ処理によって、またはプラズマ処理によって布の重量を減少させることでもよい任意の従来の粗面化技法を用いることによって行うことができる。好ましくは、アルカリ処理により布の重量を減少させることによってステップ(c)を行う。減量率は約5%〜約40%、好ましくは約10%〜約30%でよい。例えば、連続減量機または高温ジッガー染色機において減量を行うことができる。
【0013】
連続減量機(L−BOX)を使用する場合、以下の条件下で減量を行うことができる。
・試薬:水酸化ナトリウム水溶液2%〜40%
・ピックアップ率:10%〜200%
・反応温度:80℃〜110℃
・反応時間:1分〜20分
【0014】
高温ジッガー染色機を使用する場合、以下の条件下で減量を行うことができる。
・試薬:水酸化ナトリウム水溶液2%〜40%
・液体比率:1:0.5〜1:30
・反応温度:80℃〜135℃
・反応時間:5分〜20分
【0015】
ステップ(d)は、例えば、蒸着、スパッタリング、電解めっきおよび無電解めっきでよい任意の従来の金属化技法を用いることによって行うことができる。好ましくは、無電解めっきによりステップ(d)を行う。
【0016】
好ましくは、表面金属化処理を施す前に、任意の従来の調整技法を用いて布に表面調整処理を施す。公知の表面調整技法は、界面活性剤中に布を浸漬することである。表面調整処理に適した界面活性剤について特に制限はない。好ましくは、陽イオン界面活性剤、例えば、第四アンモニウム塩、キチンおよびエタノールアミン塩を使用する。
【0017】
一般に、蒸着は、圧力が例えば0.0001トール〜0.1トールである真空室内に布を設置し、例えば銅、ニッケル、銀、金、鉄、コバルト、これらの合金または混合物でよい適切な金属を真空室に添加し、この金属を高温(例えば、800℃〜1500℃)で噴霧し、次いで布を急激に冷却して表面が金属化された布を形成することによって行われる。
【0018】
スパッタリングは、圧力が例えば0.0001トール〜0.1トールである真空室内に布を設置し、例えば窒素、酸素、アルゴンまたはこれらの混合物でよい適切なガスを真空室に導入することによって行われる。例えば50W〜100Wの電力による、直流、無線周波または電磁波を使用してプラズマを励起する。得られたプラズマを金属ターゲット上にスパッタリングして、例えば銅、ニッケル、銀、金、鉄、コバルト、これらの合金または混合物でよい金属を、表面が金属化された布が形成されるように布の表面にスパッタリングすることを可能にする。
【0019】
めっきは、カソード上に布を設置することによって行われ、めっきしようとする金属イオンを含む電解液中に布を浸漬する。対応する純金属をアノードとして使用する。電流を流した後、所望の金属イオンを布にメッキすることができる。さらに、無電解めっきは、無電解めっき用溶液に布を浸漬し、制御された自動的な触媒還元法を用いて布に所望の金属をめっきすることによって行われる。無電解めっきにおける使用に適した金属は、優れた導電性を有する任意の金属でよく、例えば、銅、ニッケル、銀、金、鉄、コバルト、これらの合金または混合物からなる群から選択される金属でよい。好ましくは、布の最初の銅化を、布に導電性が提供されるように無電解銅めっきによって行い、後続の金属化を、銅めっきまたは無電解銅めっきによって行う。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態によれば、布の表面の金属化を以下のようにして行う。界面活性剤に浸漬→すすぎ→事前浸漬(pre−dipping)→触媒→すすぎ→加速→すすぎ→無電解銅めっき→すすぎ→ニッケル化(ニッケルめっきまたは無電解ニッケルめっき)→すすぎ→乾燥→最終製品。
【0021】
好ましくは、エンボス加工ステップ(ステップ(b))よりも前に、本発明の方法は、布を清潔に保ち、布の寸法安定性を維持するために、湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化のステップをさらに含む。これら湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化のステップは、以下の条件で任意の従来の技法を用いることによって行うことができるが、これらに限定されない。
・機械:ストレスレスの連続湯通しおよび仕上げ機
・機械の速度:10M/分〜100M/分
・試薬:水酸化ナトリウム(0.1g/L〜50g/L)と、キレート分散剤(0.1g/L〜20g/L)と、仕上げ剤(0.1g/L〜30g/L)
・反応室内保持時間:5分〜30分
・反応室の温度:70℃〜100℃
・温水(30℃〜80℃)によるすすぎ:1分〜10分
【0022】
熱硬化は、以下の条件下で熱硬化機を用いることによって行う。
・温度:160℃〜200℃
・機械の速度:20M/分〜120M/分
【0023】
本発明の方法では、布をエンボス加工してそこにエンボスパターンを形成し、次いで粗面化処理を(例えば、減量によって)施す。そうすることによって、布の表面に多数の均一な微細孔が形成される。結果として、金属化時の金属ターゲット効率が向上し、金属付着性が増大する。上記ステップの後、所望のエンボスパターン、布それ自体の識別特性、優れた金属付着性、柔らかいテクスチャおよび優れた耐候性を有するエンボス導電性布が得られるように、無電解めっきによる金属化を布に施す。
【0024】
通常、最終使用加工を容易にするために、従来の導電性感圧接着剤ゲルおよび剥離紙を、本発明のエンボス導電性布の表面(片面)に付着させまたはコーティングして、導電性布テープを形成する。この導電性布テープは、切断し巻き上げることも、またはシートのままにしておくこともできる。加えて、本発明の導電性布を、導電性布ライニングまたは導電性布成形材料として調製することもできる。
【0025】
本発明のエンボス導電性布は優れた金属付着性を有するため、EMIシールド効果をもたらし、電気機械、基地局、家庭電化製品または産業設備からの電磁波による損傷から人間を保護することができる、あるいは産業設備の電磁波干渉または誤作動を防止することができる。用途については、例えば、EMIシールドカーテン、壁装飾用のEMIシールド材料およびEMIシールド布として、本発明のエンボス導電性布を製造することができる。
【実施例】
【0026】
本発明は、以下の実施例を参照することにより明らかとなるであろう。これらの実施例は純粋に例示を目的としたものであり、決して特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0027】
[実施例1]
エンボス導電性平織布を以下のようにして製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、150スレッド/インチのたて糸密度および120スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.1mmの布を平織りした。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.エンボス加工:温度180℃、圧力40kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.表面調整:100℃の陽イオン界面活性剤(エタノールアミン塩、5g/L)中に3分間平織布を浸漬し、その後完全にすすいだ。
事前浸漬:30℃の塩化水素溶液(100ml/L)中に1分間平織布を浸漬した。
触媒:塩化パラジウム(100mg/L)、塩化第一スズ(10g/L)および塩化水素(100ml/L)を含む30℃の溶液中に3分間平織布を浸漬し、その後完全にすすいだ。
加速:45℃の塩化水素溶液(100ml/L)中に3分間平織布を浸漬し、その後完全にすすいだ。
6.無電解銅めっき:平織布に金属銅を均一にめっきするために、硫酸銅(10g/L)、ホルムアルデヒド(7.5ml/L)、水酸化ナトリウム(8g/L)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA−4Na)(30g/L)および安定剤(0.25ml/L)を含む40℃の溶液中に20分間平織布を浸漬し、その後完全にすすいだ。
7.無電解ニッケルめっき:平織布に金属ニッケル(5g/M2)を均一にめっきするために、硫酸ニッケル(22.5g/L)、次亜リン酸ナトリウム(18g/L)、クエン酸ナトリウム(0.1M/L)およびアンモニア水(20ml/L)を含む40℃の溶液中に5分間平織布を浸漬した。その後平織布を完全にすすぎ、乾燥させて、エンボス導電性平織布を得た。
【0028】
[実施例2]
以下に従ってエンボス導電性平織布を製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、150スレッド/インチのたて糸密度および120スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.1mmの布を平織りした。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.エンボス加工:温度30℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって平織布を金属化して、エンボス導電性平織布を得た。
【0029】
[実施例3]
以下のようにしてエンボス導電性立体チェック布を製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/72繊維数のよこ糸で作製され、148スレッド/インチのたて糸密度および118スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.11mmの立体チェック布を織った。
2.立体チェック布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって立体チェック布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、90℃の水酸化ナトリウム(25%)水溶液中に15分間立体チェック布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって立体チェック布を金属化して、エンボス導電性立体チェック布を得た。
【0030】
[実施例4]
以下のようにしてエンボス導電性不織布を製造した。
1.破断応力を増大させるために、高温ホットメルト接着剤ゲルドットが面繊維に付着するようにドットを繊維上にプレスすることによって、複合ポリエステル繊維不織布を製造した。この布の重量は55G/M2、厚さは0.25mm、単繊維は2デニール、繊維長は51mmであった。
複合ポリエステル繊維の不可欠な成分には、外層としての低融点(融点:190℃)を有する35重量%の量のポリエステル繊維と、内層としての正規の融点(融点:245℃)を有する75重量%の量のポリエステル繊維とが含まれる。
2.不織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:37秒
3.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって不織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、90℃の水酸化ナトリウム(25%)水溶液中に15分間不織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって不織布を金属化して、エンボス導電性不織布を得た。
【0031】
[実施例5]
以下のようにしてエンボス導電性網布を製造した。
1.135 MESH Countを用いることによって、エンボス導電性網布を製造した。たて糸およびよこ糸はそれぞれ135スレッド/(インチ)の量であった。この網布は、厚さ0.09mmであった。
2.網布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:37秒
3.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって網布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、90℃の水酸化ナトリウム(25%)水溶液中に15分間網布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって網布を金属化して、エンボス導電性網布を得た。
【0032】
[実施例6]
以下に従ってエンボス導電性編布を製造した。
1.エンボス導電性編布を、丸編物によって製造した。たて糸およびよこ糸は、75デニール/繊維数の加工糸であった。この編布の重量は62G/M2、厚さは0.28mmであった。
2.編布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:37秒
3.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって編布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、90℃の水酸化ナトリウム(25%)水溶液中に15分間編布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって編布を金属化して、エンボス導電性編布を得た。
【0033】
[実施例7]
以下のようにしてエンボス導電性平織布を製造した。
1.75デニール/36繊維数のたて糸および75デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、120スレッド/インチのたて糸密度および90スレッド/インチのよこ糸密度を有する複合ポリエステル織物を使用して、厚さ0.12mmの布を平織りした。
複合ポリエステル繊維の不可欠な成分には、外層としての低融点(融点:190℃)を有する35重量%の量のポリエステル繊維と、内層としての正規の融点(融点:245℃)を有する75重量%の量のポリエステル繊維とが含まれる。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.エンボス加工:温度180℃、圧力40kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
4.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして、無電解めっきによって平織布を金属化して、エンボス導電性平織布を得た。
【0034】
[比較例1]
エンボス導電性平織布を以下のようにして製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、150スレッド/インチのたて糸密度および120スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.1mmの布を平織りした。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
4.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって平織布を金属化して、エンボス導電性平織布を得た。
5.エンボス加工:温度180℃、圧力40kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
【0035】
[比較例2]
エンボス導電性平織布を以下のようにして製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、150スレッド/インチのたて糸密度および120スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.1mmの布を平織りした。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
4.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって平織布を金属化して、エンボス導電性平織布を得た。
5.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
【0036】
[比較例3]
エンボス導電性平織布を以下のようにして製造した。
1.製織:50デニール/36繊維数のたて糸および50デニール/36繊維数のよこ糸で作製され、150スレッド/インチのたて糸密度および120スレッド/インチのよこ糸密度を有するポリエステル織物を使用して、厚さ0.1mmの布を平織りした。
2.平織布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化:
湯通しおよび仕上げ/すすぎ
・機械の速度:50M/分
・反応室内保持時間:10分
・試薬:水酸化ナトリウム(5g/L)と、キレート分散剤(1g/L)と、仕上げ剤(2g/L)
・反応室の温度:85℃
・温水(50℃)によるすすぎ:3分
熱硬化
・機械の速度:50M/分
・温度:190℃
・時間:30秒
3.粗面化:減量のために、80℃の水酸化ナトリウム(20%)水溶液中に15分間平織布を浸漬した。減量率は15%〜25%であった。その後、布を水ですすいだ。
4.エンボス加工:温度35℃、圧力15kg/cmおよび速度30M/分でエンボッサによって平織布をエンボス加工して、布上にエンボスパターンを形成した。
5.実施例1のステップ5〜7の記載と同様にして無電解めっきによって平織布を金属化して、平織布エンボス導電性平織布を得た。
【0037】
[試験および結果]
実施例1〜7および比較例1〜3により得られるエンボス導電性布に、以下のようにして、また以下の条件下で、エンボス導電性布の物理的特性についての様々な試験を行った。
1.表面抵抗(Ω/)試験:水平配向に沿った布の抵抗を試験した。
試料として、10cm×10cmの導電性布試料を使用した。この試験は、JIS K−7194標準に従って、機械Mitsubish Loresta MCP−T600を用いて行った。4点プローブ試験を行った。導電性布試料の表面にプローブを水平に押し当て、表面抵抗の安定値を記録した。
2.環境試験:布の耐候性を試験した。
この試験を行うための温度、相対湿度(RH)、時間(hour、hr)を以下に示した。
50℃80%RH5HRS→90℃90%RH10HRS→120℃5HRS→20℃50%RH5HRS→−15℃10HRS→40℃65%RH5HRS
この試験を連続して5回繰り返した。導電性布試料の外観の色変化が観測され、以下の基準に従って記録した。
○:外観の色変化はほとんど観測されない。
△:外観の色変化および酸化がわずかに観測される。
×:外観の色変化および酸化がかなり観測される。
3.金属付着性:
幅1.9cm、長さ15cmの3M 610テープを、導電性布試料の表面に取り付ける。重量2kgのステンレスローラを、試料上で前後に10回転がした。3M 610テープを、試料の表面から素早く取り除いた。テープに付着した金属粉末の量を観察し、金属付着性のレベルを決定するための以下の基準に従って記録した。
レベル1:大量の金属粉末が観測された。
レベル2:テープの表面一面に広がっている少量の金属粉末が観測された。
レベル3:テープの表面の一部に広がっている少量の金属粉末が観測された。
レベル4:ごく少量の金属粉末が観測された。
レベル5:金属粉末はほとんど観測されなかった。
4.EMIシールド値(dB値)
13.2cm×13.2cmの導電性布試料を試験に使用した。この試験は、ASTM D4935標準に従って、機械Agilent Vector Network Analyzer(E5062A)を用いて行った。試験用の周波数は、300kHz〜3GHzの範囲に及んでいた。EMIシールド試験用の試料を、内径が7.6cm、外径が13.2cmである円錐形の銅金属器具に入れた。EMIシールド値(dB値)は、20log(Ei/Et)dBであった。Eiは入射波(ボルト/m)の電子場の強度、Etは透過波(ボルト/m)の電子場の強度である。
【0038】
実施例1〜7および比較例1〜3により得られるエンボス導電性布の物理的特性についての試験のデータを、表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス導電性布を作製するための方法であって、
(a)天然繊維または人造繊維製の布を用意するステップと、
(b)前記布をエンボス加工して、前記布にエンボスパターンを形成するステップと、
(c)前記布の前記エンボスパターンを維持しながら、前記エンボスパターンを有する前記布に粗面化処理を施すステップと、
(d)粗面化処理後の前記布に表面金属化処理を施すステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記天然繊維が綿、リネン、絹および羊毛を含み、前記人造繊維がレーヨン、ナイロン、ポリエステルおよびアクリルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記布が、織物、編物、不織布または網布である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)を、以下の操作条件、
温度:約20℃〜約230℃
圧力:約5kg/cm〜約100kg/cm
エンボッサの速度:約5M/分〜約80M/分
の下で行う、請求項1に記載の作製方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)を行った後、約1μm〜約500μmの曲線深さを有するエンボスパターンを前記布に形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)を、アルカリ処理により前記布の重量を減少させることによって行い、減量率を約5%〜約40%とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
連続減量機または高温ジッガー染色機において前記減量を行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
銅、ニッケル、銀、金、鉄、コバルト、これらの合金およびこれらの混合物からなる群から選択される金属を、前記布の表面にめっきすることによって前記ステップ(d)を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
無電解銅めっきを用いて最初の銅化を行い、次いで電解ニッケルめっきまたは無電解ニッケルめっきを用いて後続のニッケル化を行うことによって、前記ステップ(d)を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(b)よりも前に、前記布の湯通しおよび仕上げ、すすぎならびに熱硬化のステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2009−12469(P2009−12469A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−174898(P2008−174898)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(505302694)フォーモサ タフェタ カンパニー,リミティド (7)
【Fターム(参考)】