説明

オイルセパレータ

【課題】オイルを濾過する濾過部の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止し、濾過したオイルを効率良く冷媒ガスから分離できるオイルセパレータを提供する。
【解決手段】上流側に設けられた、ガス導入口15Aを有する入口部35Bと、下流側に設けられた、ガス導出口15Bと、オイル排出口15Cとを有する出口部35Cと、入口部35Bと出口部35Cとの間に設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第1の濾過部37と、第1の濾過部37の下流側に、第1の濾過部37と離隔して設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第2の濾過部38と、第1の濾過部37の下流側端面に設けられた第1の多孔板39Aを含むオイル分離部39とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機と冷凍機との間に設けられ、冷媒ガスに含まれるオイルを分離するオイルセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄冷器式冷凍機には、ギフォードマクマホン式冷凍機(以下「GM冷凍機」という)、ジュールトムソン式+GM冷凍機、クロードサイクル冷凍機、スターリング冷凍機等の種々の種類があるが、一般にはGM冷凍機が多く用いられている。GM冷凍機は、圧縮機と接続されており、圧縮機から供給される高圧の冷媒ガス(一般にヘリウムガスが用いられる)を冷凍機内で高圧から低圧に断熱膨張することによって冷熱を発生し、発生した冷熱を蓄冷器に設けられた蓄冷材に蓄冷することによって、極低温を得る。
【0003】
圧縮機は、GM冷凍機から戻される低圧の冷媒ガス(リターンガス)を圧縮機本体で昇圧し、サプライガスとして再びGM冷凍機に供給する処理を行うものである。GM冷凍機から戻されたリターンガスは圧縮機本体で再び昇圧され、昇圧された冷媒ガス(サプライガス)は冷媒ガス熱交換部で冷却処理が行われる。
【0004】
冷却処理が行われた冷媒ガスは、オイルセパレータに送られてオイルが分離される。このようなオイルセパレータの一例を特許文献1に示す。そして、オイルが分離された冷媒ガスはアドソーバに送られ、その後、サプライガスとしてGM冷凍機に供給される。
【0005】
特許文献1では、横置き型オイルセパレータの例が開示されている。特許文献1に示す例では、オイルセパレータは、容器、導管、ベーン式ミスト除去器、メッシュ式ミスト除去器(濾過部)を含む。容器は、第1ヘッドと、反対側の第2ヘッドと、第1ヘッドと第2ヘッドとの間に伸張している円筒形のシェルと、第1位置で容器に開口している入口と、第2位置で開口している放出口とを有する。導管は、オイルと圧縮ガスの混合物からなる流体を容器の入口へ送るためのものである。また、特許文献1に示す例では、オイルを濾過する濾過部を構成する主要な部分として、メッシュ式ミスト除去器が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2006−501985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したような冷凍機と圧縮機との間に設けられるオイルセパレータには、次のような問題がある。
【0008】
オイルセパレータ中に設けられた濾過部には、濾過部が隙間無く充填されているため、液化されたオイルが下方に流れず、冷媒ガスとオイルとが混在した状態で、濾過部の下流側端面全面から噴出する。そして、濾過部の下流側端面全面から噴出したオイルが、下流側(冷凍機側)の冷媒ガス流路に混入する。その結果、本来オイルが混入しないように保持すべき下流側(冷凍機側)の配管、タンクその他各種の機器の内部にオイルが混入するという問題がある。
【0009】
特許文献1に開示される例では、オイルセパレータの内部であって上流側にベーン式ミスト除去器も備えられているが、実質的にオイルを濾過する濾過部は、メッシュ式ミスト除去器である。そして、メッシュ式ミスト除去器においては、濾材が隙間無く充填されているため、液化されたオイルが下方に流れず、冷媒ガスとオイルとが混在した状態で、メッシュ式ミスト除去器の下流側端面全面から噴出するという問題がある。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、冷凍機用圧縮機から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイルセパレータにおいて、オイルを濾過する濾過部の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止し、濾過したオイルを効率良く冷媒ガスから分離できるオイルセパレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機から冷媒ガスを膨張させて冷熱を発生する冷凍機に向かって冷媒ガスが流れる冷媒ガス流路の途中に設けられ、冷媒ガスに含まれるオイルを分離するオイルセパレータにおいて、上流側に設けられた、冷媒ガスを導入するガス導入口を有する入口部と、下流側に設けられた、冷媒ガスを導出するガス導出口と、分離したオイルを排出するオイル排出口とを有する出口部と、前記入口部と前記出口部との間に設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第1の濾過部と、前記第1の濾過部の下流側に、前記第1の濾過部と離隔して設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第2の濾過部と、前記第1の濾過部の下流側端面に設けられた第1の多孔板を含むオイル分離部とを有する、オイルセパレータである。
【0013】
また、本発明は、上述のオイルセパレータにおいて、前記オイル分離部は、前記第2の濾過部の上流側端面に設けられた第2の多孔板を含むものである。
【0014】
また、本発明は、上述のオイルセパレータにおいて、前記第2の多孔板は、スペーサ部材を介して前記第1の多孔板に固定されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷凍機用圧縮機から吐出される冷媒ガスからオイルを分離するオイルセパレータにおいて、オイルを濾過する濾過部の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止し、濾過したオイルを効率良く冷媒ガスから分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る蓄冷器式冷凍機用圧縮機の構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係るオイルセパレータの構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るオイルセパレータの別の構成の例を示す断面図である。
【図4】比較例に係るオイルセパレータの構成を示す断面図である。
【図5】比較例に係るオイルセパレータのフィルター部材を、オイルを含む冷却ガスが通過するときの様子を示す模式図である。
【図6】第1の実施の形態に係るオイルセパレータのフィルター部材を、オイルを含む冷却ガスが通過するときの様子を示す模式図である。
【図7】空隙寸法dとオイル流出速度voとの関係、及び、冷媒ガスの流速vに対する空隙寸法dの比である変数rとオイル流出速度voとの関係を示すグラフである。
【図8】第1の実施の形態の第1の変形例に係るオイルセパレータの構成を示す断面図、及び、傾斜角θを説明するための図である。
【図9】第1の実施の形態の第2の変形例に係るオイルセパレータの構成を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係るオイルセパレータの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1を参照し、本発明の第1の実施の形態に係るオイルセパレータを備えた蓄冷器式冷凍機用圧縮機について説明する。また、本実施の形態では、蓄冷器式冷凍機としてGM冷凍機を用いた例について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る蓄冷器式冷凍機用圧縮機10(以下「圧縮機」という。)の構成図である。
【0019】
圧縮機10は、圧縮機本体11、熱交換器12、高圧側配管13、低圧側配管14、オイルセパレータ15、アドソーバ16、ストレージタンク17、及びバイパス機構18等により構成されている。圧縮機10は、サプライ配管22及びリターン配管23によりGM冷凍機30に接続されている。圧縮機10は、GM冷凍機30からリターン配管23を介して戻される低圧の冷媒ガス(リターンガス)を圧縮機本体11で昇圧し、サプライガスとしてサプライ配管22を介して再びGM冷凍機30に供給するものである。
【0020】
GM冷凍機30から戻されたリターンガスは、リターン配管23を介して先ずストレージタンク17に流入する。ストレージタンク17は、リターンガスに含まれる脈動を除去するためのものである。ストレージタンク17は比較的大きな容量を有しているため、リターンガスをストレージタンク17内に導入することにより脈動を除去することができる。
【0021】
ストレージタンク17で脈動が除去されたリターンガスは、低圧側配管14に導出される。低圧側配管14は圧縮機本体11に接続されており、よってストレージタンク17において脈動を除去されたリターンガスは圧縮機本体11に供給される。
【0022】
圧縮機本体11は、例えばスクロール方式或いはロータリ式のポンプであり、リターンガスを圧縮して高圧の冷媒ガス(サプライガス)に昇圧するためのものである。圧縮機本体11は、昇圧されたサプライガスを高圧側配管13A(13)に送り出す。サプライガスは圧縮機本体11で昇圧される際、圧縮機本体11内のオイルが若干混入した状態で高圧側配管13A(13)に送り出される。
【0023】
なお、高圧側配管13は、圧縮機10からGM冷凍機30に向かって冷媒ガスが流れる冷媒ガス流路に相当する。
【0024】
また圧縮機本体11は、オイルを用いて冷却を行う構成とされている。このため、オイルを循環させるオイル冷却配管33は、熱交換器12を構成するオイル熱交換部26に接続された構成とされている。また、オイル冷却配管33には、内部を流れるオイル流量を制御するオリフィス32が設けられている。
【0025】
熱交換器12は、冷却水配管25に冷却水が循環するよう構成されている。熱交換器12は、オイル冷却配管33を流れるオイルの冷却処理を行うオイル熱交換部26と、サプライガスを冷却する冷媒ガス熱交換部27とを有している。オイル熱交換部26においてオイル冷却配管33内を流れるオイルは熱交換されて冷却され、また冷媒ガス熱交換部27において高圧側配管13A(13)内を流れるサプライガスは熱交換されて冷却される。
【0026】
圧縮機本体11で昇圧され、冷媒ガス熱交換部27で冷却されたサプライガスは、高圧側配管13A(13)を介してオイルセパレータ15に供給される。オイルセパレータ15ではサプライガスに含まれるオイルが冷媒から分離されると共に、オイルに含まれる不純物や塵埃も除去される。なお、オイルセパレータ15の詳細な構成については後述する。
【0027】
オイルセパレータ15でオイル除去が行われたサプライガスは、高圧側配管13B(13)を介してアドソーバ16に送られる。アドソーバ16は、サプライガスに含まれる特に気化したオイル成分を除去するためのものである。そして、アドソーバ16において気化したオイル成分が除去されると、サプライガスはサプライ配管22に導出され、これによりGM冷凍機30に供給される。
【0028】
バイパス機構18は、バイパス配管19、高圧側圧力検出装置20、及びバイパス弁21により構成されている。バイパス配管19は、圧縮機10のサプライガスが流れる高圧側とリターンガスが流れる低圧側とを連通する配管である。高圧側圧力検出装置20は、高圧側配管13B内のサプライガスの圧力を検出するものである。バイパス弁21は、バイパス配管19を開閉する電動弁装置である。また、バイパス弁21は常閉弁とされているが、高圧側圧力検出装置20により駆動制御される構成とされている。
【0029】
具体的には、高圧側圧力検出装置20がオイルセパレータ15からアドソーバ16に至るサプライガスの圧力(即ち、高圧側配管13B内の圧力)が既定圧力以上になったことを検出した際、バイパス弁21は高圧側圧力検出装置20に駆動されて開弁される構成とされている。これにより、既定圧力以上のサプライガスがGM冷凍機30に供給されることを防止している。
【0030】
オイル戻り配管24は、高圧側がオイルセパレータ15に接続されており、低圧側が低圧側配管14に接続されている。また、オイル戻り配管24の途中には、オイルセパレータ15で分離されたオイルに含まれる塵埃を除去するフィルター28と、オイルの戻り量を制御するオリフィス29が設けられている。
【0031】
次に、図1から図3を参照し、本実施の形態に係るオイルセパレータ15について説明する。本実施の形態に係るオイルセパレータ15は、本発明に係るオイルセパレータを、横置き型オイルセパレータに適用した例である。
【0032】
図2は、本実施の形態に係るオイルセパレータ15の構成を示す断面図である。図3は、本実施の形態に係るオイルセパレータ15の別の構成の例を示す断面図である。
【0033】
なお、図2では、冷媒ガスの流れをGで示し、オイルの流れをOで示している。
【0034】
オイルセパレータ15は、シェル35とフィルターエレメント36とにより構成されている。
【0035】
シェル35は、円筒部35A、入口部35B、出口部35C及び設置台35Dにより構成されている。円筒部35Aは、略水平に延在する中空な筒形状とされている。円筒部35Aの上流側には、入口部35Bが気密に設けられている。また、円筒部35Aの下流側には、出口部35Cが気密に設けられている。
【0036】
入口部35Bには、高圧ガスである冷媒ガスを導入する高圧ガス導入口15Aが設けられており、高圧ガス導入口15Aには、高圧ガス導入用管15Dが接続されている。高圧ガス導入用管15Dは、図1に示す高圧側配管13A(13)に接続されている。なお、高圧ガス導入口15Aは、本発明におけるガス導入口に相当する。
【0037】
出口部35Cには、高圧ガスである冷媒ガスを導出する高圧ガス導出口15Bが設けられており、高圧ガス導出口15Bには、高圧ガス導出用管15Eが接続されている。高圧ガス導出用管15Eは、図1に示す高圧側配管13B(13)に接続されている。なお、高圧ガス導出口15Bは、本発明におけるガス導出口に相当する。
【0038】
また、出口部35Cには、冷媒ガスから分離したオイルを排出するオイル排出口15Cが設けられており、オイル排出口15Cには、オイル戻り用管15Fが接続されている。オイル戻り用管15Fは、図1に示すオイル戻り配管24に接続されている。
【0039】
フィルターエレメント36は、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38、オイル分離部材39により構成されている。
【0040】
なお、第1のフィルター部材37は、本発明における第1の濾過部に相当し、第2のフィルター部材38は、本発明における第2の濾過部に相当し、オイル分離部材39は、本発明におけるオイル分離部に相当する。
【0041】
第1のフィルター部材37は、円筒部35Aの内部に濾材を配置して設けられており、冷媒ガスからオイルを濾過するためのものである。また、第2のフィルター部材38は、円筒部35Aの内部であって、第1のフィルター部材37の下流側に、第1のフィルター部材37と離隔するように濾材を配置して設けられており、冷媒ガスからオイルを濾過するためのものである。
【0042】
第1のフィルター部材37は、オイルを分離するために繊維状の構造を有する濾材であることが好ましい。第1のフィルター部材37として、例えばグラスウール等を用いることができる。
【0043】
第2のフィルター部材38も、オイルを分離するために繊維状の構造を有する濾材であることが好ましい。第2のフィルター部材38として、例えばグラスウール等を用いることができる。
【0044】
なお、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38は、同一の部材であってもよい。このときは、全体として同一の部材よりなるフィルター部材の冷媒ガスの流路に沿って途中に空隙を設け、その空隙にオイル分離部材39を配置した構成を有することになる。すなわち、フィルターエレメント36は、複数のフィルター部材がオイル分離部材を介して積層された積層構造を有する。
【0045】
オイル分離部材39は、第1のフィルター部材37の下流側端面に設けられた第1の多孔板39Aを含む。オイル分離部材39は、第1のフィルター部材37で濾過されたオイルが第1の多孔板39Aの表面を伝い落ちることによって、冷媒ガスからオイルを分離するためのものである。また、オイル分離部材39は、第1の多孔板39Aにより第1のフィルター部材37を固定支持することができる。
【0046】
第1の多孔板39Aとして、例えば、金属板に、例えば第1の方向に間隔15mm程度で配列し、かつ、その配列が第1の方向と直交する第2の方向に間隔10mm程度で配列することによって、内径6mm程度の貫通孔が千鳥配置に形成されたパンチングプレートを用いることができる。
【0047】
オイル分離部材39は、第2のフィルター部材38の上流側端面に設けられた第2の多孔板39Bを含んでもよい。オイル分離部材39は、第2の多孔板39Bにより第2のフィルター部材38を固定支持することができる。
【0048】
第2の多孔板39Bとしても、第1の多孔板39Aと同様に、例えば、金属板に、例えば第1の方向に間隔15mm程度で配列し、かつ、その配列が第1の方向と直交する第2の方向に間隔10mm程度で配列することによって、内径6mm程度の貫通孔が千鳥配置に形成されたパンチングプレートを用いることができる。
【0049】
また、第2の多孔板39Bは、スペーサ部材39Cを介して第1の多孔板39Aに固定されていてもよい。これにより、第1の多孔板39Aと第2の多孔板39Bとの空隙を一定に保持した状態で離隔させることができるため、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法(第1の多孔板39Aと第2の多孔板39Bとの空隙寸法)を一定の値に保持することができる。
【0050】
なお、第1のフィルター部材37の上流側端面にも、第1の多孔板39Aと同様の多孔板37Aが設けられていてもよい。これにより、第1のフィルター部材37を上流側と下流側の両側から固定支持することができる。
【0051】
また、第2のフィルター部材38の下流側端面にも、第2の多孔板39Bと同様の多孔板38Aが設けられていてもよい。これにより、第2のフィルター部材38を上流側と下流側の両側から固定支持することができる。
【0052】
本実施の形態では、横置き型オイルセパレータであるオイルセパレータ15は、出口部35Cの底部が入口部35Bの底部より下方に配置されるように、設置台35D上に傾斜して設けられていてもよい。これにより、円筒部35Aの底部に溜まったオイルを上流側から下流側に容易に流すことができる。しかし、図3に示すように、出口部35Cの底部と入口部35Bとが略同一の高さに配置されるよう、設置台35D上に円筒部35Aが略水平に延在するように設けられていてもよい。
【0053】
ここで、図4から図6を参照し、本実施の形態に係るオイルセパレータ15が、オイルを濾過するフィルター部材の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止できる作用効果について、比較例と対比しながら説明する。
【0054】
図4は、比較例に係るオイルセパレータの構成を示す断面図である。図5は、比較例に係るオイルセパレータのフィルター部材37Dを、オイルを含む冷却ガスが通過するときの様子を示す模式図である。図6は、本実施の形態に係るオイルセパレータ15のフィルター部材37、38を、オイルを含む冷却ガスが通過するときの様子を示す模式図である。
【0055】
なお、図4及び図5では、フィルター部材37Dの上流側端面及び下流側端面に、それぞれ多孔板37A、38Aが設けられている例を示している。また、図6では、第1のフィルター部材37の下流側端面に第1の多孔板39Aが設けられ、第2のフィルター部材38の上流側端面に第2の多孔板39Bが設けられ、第1のフィルター部材37の上流側端面及び第2のフィルター部材38の下流側端面に、それぞれ多孔板37A、38Aが設けられている例を示している。また、図5及び図6では、図示を容易にするため、オイルセパレータ15の傾斜を省略し、オイルセパレータ15が水平に延在するように記載している。また、図6では、スペーサ部材の図示を省略している。また、図5及び図6では、冷媒ガスの流れをGで示し、オイルの流れをOで示している。
【0056】
比較例に係るオイルセパレータも、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様に、シェル35とフィルターエレメント36とにより構成されている。しかし、比較例に係るオイルセパレータでは、フィルターエレメント36が、フィルター部材37Dにより構成され、フィルター部材37Dの途中には空隙が設けられておらず、オイル分離部材も設けられていない。
【0057】
なお、図4では、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様の部分については、オイルセパレータ15と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
比較例に係るオイルセパレータのフィルター部材37Dを、オイルを含む冷却ガスが通過するときは、毛細管現象により周囲のあらゆる方向にオイルが浸透しやすくなるか、又は、フィルター部材37Dのオイル保持能力が高くなり、フィルター部材37Dの下部へオイルが流れ難くなる。その結果、図5に示すように、オイルが、フィルター部材37Dの下流側端面の上部、すなわち高圧ガス導出口15Bに近い部分から噴出し、飛沫やミストとなって冷媒ガスに同伴された状態で、高圧ガス導出口15Bから流出する。
【0059】
また、図5に示すように、フィルター部材37Dの下流側端面におけるオイル液面の高さをH0とする。
【0060】
一方、本実施の形態に係るオイルセパレータ15では、図6に示すように、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との間に空隙が挿入されている。これにより、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38をオイルを含む冷却ガスが通過するときは、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38の下部へ、段階的に自重によりオイルを落とすことができ、冷媒ガスからオイルを分離しやすくなる。また、第1のフィルター部材37で濾過されたオイルが第1の多孔板39Aの表面を伝い落ちることによって、冷媒ガスからオイルを分離しやすくなる。その結果、第2のフィルター部材38の下流側端面の上部、すなわち高圧ガス導出口15Bに近い部分からオイルが噴出することを防止できる。そして、第2のフィルター部材38の下流側端面の下部からオイルが集中して噴出し、また、オイルの密度が冷媒ガスの密度よりも極めて大きいため、オイルが飛沫やミストとなって冷媒ガスに同伴されにくい。
【0061】
図6に示すように、第1のフィルター部材37の下流側端面におけるオイル液面の高さをH1とし、第2のフィルター部材38の下流側端面におけるオイル液面の高さをH2とする。すると、H2<H1であるとともに、H2<H0とすることができる。
【0062】
従って、本実施の形態によれば、オイルを濾過するフィルター部材の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止できる。
【0063】
本実施の形態では、第1のフィルター部材37を通過する冷媒ガスの速度をvとし、所定の係数をkとするとき、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38とが離隔される距離(空隙寸法)dは、式(1)
【0064】
【数1】

を満たすことが好ましい。
【0065】
すなわち、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法dは、第1のフィルター部材37を通過する冷媒ガスの速度vに所定の係数kを乗じて得た値以上であることが好ましい。
【0066】
なお、オイル分離部材39が、第1の多孔板39A及び第2の多孔板39Bを含むときは、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法dは、第1の多孔板39Aと第2の多孔板39Bとの空隙寸法を意味する。
【0067】
第1のフィルター部材37を通過する冷媒ガスの流量をQとし、第1のフィルター部材37の断面積をSとし、第1のフィルター部材37の濾材物質密度をρとし、第1のフィルター部材37の濾材充填密度(実際の密度)をρとするとき、第1のフィルター部材37を通過する冷媒ガスの速度vは、式(2)
【0068】
【数2】

で表される。従って、式(1)及び式(2)より、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法dは、式(3)
【0069】
【数3】

を満たすことが好ましい。
【0070】
すなわち、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法dは、第1のフィルター部材37を通過する冷媒ガスの流量Qを、第1のフィルター部材37の断面積Sと第1のフィルター部材37の疎度(ρ−ρ)/ρとの積で割った値に、所定の係数kを乗じて得た値以上であることが好ましい。
【0071】
ここで、表1の実施例1において、空隙寸法dと、高圧ガス導出口15Bから単位時間に流出するオイルの流出量であるオイル流出速度voとの関係を調べた。
【0072】
【表1】

ここで、オイルの流出量は、例えば高圧ガス導出用管15Eの途中にフィルタ又はトラップを設け、高圧ガス導出用管15Eを通るオイルの量を測定することにより、測定することができる。このときの、空隙寸法dとオイル流出速度voとの関係を図7(a)に示す。
【0073】
図7(a)に示すように、空隙寸法dを0mmから2mmに増大させるのに伴ってオイル流出速度voは急激に減少し、更に空隙寸法dを6mm、10mm、14mm、18mmと増大させると、dが10mm以上の範囲では、オイル流出速度voはほぼ一定値に収束したままであることが分かった。
【0074】
図7(a)のグラフにおいて、空隙寸法dに代え、冷媒ガスの流速vに対する空隙寸法dの比である変数r、すなわち式(4)
【0075】
【数4】

に示す変数rを横軸としたものを図7(b)に示す。すると、図7(b)に示すように、変数rを0から1.4×10−6に増大させるのに伴ってオイル流出速度voは減少し、更に変数rを1.4×10−6以上の値に増大させると、オイル流出速度voは略一定値に収束したままであることが分かった。
【0076】
従って、図7(b)に示すように、冷媒ガスの流速vに対する空隙寸法dの比である変数rが所定の値k(k=1.4×10−6)以上であるときに、オイル流出速度voを十分に減少させることができる。その結果、濾過したオイルを効率良く冷媒ガスから分離できる。
【0077】
すなわち、所定の係数kは、空隙寸法dを増大させた場合において、オイル流出速度voが減少して略一定値に収束するときの、冷媒ガスの流速vに対する空隙寸法dの比rに等しい値である。そして、このときの空隙寸法dは、空隙寸法の最適値(最小値)となる。
【0078】
なお、表1の実施例1では、k=1.4×10−6となるときの空隙寸法dの値は、d=10mmであるため、空隙寸法dは、10mm以上であることが好ましい。
【0079】
また、上記した空隙寸法dとオイル流出速度voとの関係は、表1の実施例1に記載した各パラメータを変更した場合にも略同様に成り立つものである。
【0080】
実際に用いられるオイルセパレータの仕様としては、表1の実施例1よりも、断面積Sが大きく、疎度(ρ−ρ)/ρが大きい例、すなわち流速vに対する空隙寸法dの比(変数r)が大きい例がある。このような例を表1の実施例2に示す。
【0081】
表1の実施例2でも、空隙寸法dを増大させる(変数rを増大させる)場合において、変数rがk=1.4×10−6となるときにオイル流出速度voがほぼ収束する。また、k=1.4×10−6となるときの空隙寸法dの値は、d=2.7mmである。従って、表1の実施例2では、空隙寸法dは、2.7mm以上であることが好ましい。
【0082】
これにより、オイルを濾過する濾過部の下流側端面全面からオイルが噴出することを防止し、濾過したオイルを効率良く冷媒ガスから分離できる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図8を参照し、第1の実施の形態の第1の変形例に係るオイルセパレータについて説明する。本変形例に係るオイルセパレータ15aでは、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙が、円筒部35Aの軸方向に対して垂直でなく、上流側に傾斜するように、設けられている。
【0083】
図8(a)は、本変形例に係るオイルセパレータ15aの構成を示す断面図であり、図8(b)は、傾斜角θを説明するための図である。
【0084】
本変形例に係るオイルセパレータ15aも、フィルターエレメント36以外の部分は、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様である。従って、図8では、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様の部分については、オイルセパレータ15と同様の符号を付するとともに、本変形例では、圧縮機等も含めた、フィルターエレメント36以外の部分についての説明を省略する。
【0085】
オイルセパレータ15aが、シェル35とフィルターエレメント36とにより構成されていること、また、シェル35が、円筒部35A、入口部35B、出口部35C及び設置台35Dにより構成されていることは、第1の実施の形態と同様である。
【0086】
フィルターエレメント36は、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38、オイル分離部材39により構成されている。
【0087】
第1の実施の形態と同様に、第1のフィルター部材37は、円筒部35Aの内部に設けられている。また、第1の実施の形態と同様に、第2のフィルター部材38が、円筒部35Aの内部であって、第1のフィルター部材37の下流側に、第1のフィルター部材37と離隔して設けられている。
【0088】
ただし、本変形例に係るオイルセパレータ15aでは、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙が、円筒部35Aの軸方向に対して垂直ではなく、上流側に傾斜するように設けられている。従って、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38は、上流側に傾斜するとともに互いに略平行に配置されるように設けられる。
【0089】
第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38としては、第1の実施の形態と同様の材質により構成されたものを用いることができる。
【0090】
オイル分離部材39は、第1のフィルター部材37の下流側端面に設けられた第1の多孔板39Aを含む。第1のフィルター部材37が上流側に傾斜するように設けられているため、第1の多孔板39Aも上流側に傾斜するように設けられている。
【0091】
また、オイル分離部材39は、第2のフィルター部材38の上流側端面に設けられた第2の多孔板39Bを含んでもよい。第2のフィルター部材38が上流側に傾斜するように設けられているときは、第2の多孔板39Bも上流側に傾斜するように設けられていてもよい。
【0092】
また、第2の多孔板39Bは、スペーサ部材39Cを介して第1の多孔板39Aに固定されていてもよい。第1のフィルター部材37の上流側端面にも、第1の多孔板39A等と同様の多孔板37Aが設けられていてもよい。第2のフィルター部材38の下流側端面にも、第1の多孔板39A等と同様の多孔板38Aが設けられていてもよい。
【0093】
本変形例でも、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38の下部へ、段階的に自重によりオイルを落とすことができ、冷媒ガスからオイルを分離しやすくなる。
【0094】
それに加え、本変形例では、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38が上流側に傾斜している。これにより、円筒部35A(冷媒ガス流路)に沿った第1のフィルター部材37の下流側端面と第2のフィルター部材38の上流側端面との空隙寸法d´を増大させることができる。
【0095】
傾斜角をθとするとき、空隙寸法d´は、図8(b)に示すように、式(5)
【0096】
【数5】

により表される。従って、傾斜角θを増大させることによって、空隙寸法d´を増大させることができる。空隙寸法d´が増大すると、オイル流出速度voが減少することを図7(a)及び図7(b)を用いて説明したように、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38の下部へ更にオイルを落としやすくなり、冷媒ガスからオイルを分離しやすくなる。
【0097】
また、本変形例では、横置き型オイルセパレータであるオイルセパレータ15aは、出口部35Cの底部が入口部35Bの底部より下方に配置されるよう、上流側から下流側に向かって傾斜するように、設置台35D上に設けられていてもよい。オイルセパレータ15aの傾斜角をθとするときは、空隙寸法d´は式(6)
【0098】
【数6】

のように表されるため、θ>θであることが好ましい。
【0099】
なお、本変形例でも、オイル分離部材39が、第1の多孔板39A及び第2の多孔板39Bを含むときは、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との空隙寸法dとは、第1の多孔板39Aと第2の多孔板39Bとの空隙寸法を意味する。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図9を参照し、第1の実施の形態の第2の変形例に係るオイルセパレータについて説明する。本変形例に係るオイルセパレータ15bでは、円筒部35Aの軸方向にフィルター部材が3つ積層するように設けられるとともに、それぞれのフィルター部材の間に空隙が設けられている。
【0100】
図9は、本変形例に係るオイルセパレータ15bの構成を示す断面図である。
【0101】
本変形例に係るオイルセパレータ15bも、フィルターエレメント36以外の部分は、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様である。従って、図9では、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様の部分については、オイルセパレータ15と同様の符号を付すとともに、本変形例では、圧縮機等も含めた、フィルターエレメント36以外の部分についての説明を省略する。
【0102】
オイルセパレータ15bが、シェル35とフィルターエレメント36とにより構成されていること、また、シェル35が、円筒部35A、入口部35B、出口部35C及び設置台35Dにより構成されていることは、第1の実施の形態と同様である。
【0103】
また、フィルターエレメント36は、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38及びオイル分離部材39を有することは、第1の実施の形態と同様である。
【0104】
一方、本変形例では、フィルターエレメント36は、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38及びオイル分離部材39に加え、第3のフィルター部材40及び第2のオイル分離部材41を有する。
【0105】
第3のフィルター部材40は、円筒部35Aの内部であって、第2のフィルター部材38の下流側に、第2のフィルター部材38と離隔して設けられており、冷媒ガスからオイルを濾過するためのものである。
【0106】
第3のフィルター部材40も、オイルを分離するために繊維状の構造を有するものであることが好ましい。第3のフィルター部材40として、例えばグラスウール等を用いることができる。
【0107】
なお、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38及び第3のフィルター部材40は、同一の部材であってもよい。このときは、全体として同一の部材よりなるフィルター部材の冷媒ガスの流路に沿った途中に2箇所の空隙を設け、その2箇所の空隙にそれぞれオイル分離部材を配置した構成を有することになる。すなわち、フィルターエレメント36は、複数のフィルター部材が複数のオイル分離部材を介して積層された積層構造を有する。
【0108】
第2のオイル分離部材41は、第2のフィルター部材38の下流側端面に設けられた第3の多孔板41Aを含む。第2のオイル分離部材41は、第2のフィルター部材38で濾過されたオイルが第3の多孔板41Aの表面を伝い落ちることによって、冷媒ガスからオイルを分離するためのものである。また、第2のオイル分離部材41は、第3の多孔板41Aにより第2のフィルター部材38を固定支持することができる。その他、第3の多孔板41Aの材質等は、オイル分離部材39を構成する第1の多孔板39Aと同様にすることができる。
【0109】
また、第2のオイル分離部材41は、第3のフィルター部材40の上流側端面に設けられた第4の多孔板41Bを含んでもよい。第2のオイル分離部材41は、第4の多孔板41Bにより第3のフィルター部材40を固定支持することができる。
【0110】
また、第4の多孔板41Bは、スペーサ部材41Cを介して第3の多孔板41Aに固定されていてもよい。第1のフィルター部材37の上流側端面にも、第1の多孔板39A等と同様の多孔板37Aが設けられていてもよい。第3のフィルター部材40の下流側端面にも、第1の多孔板39A等と同様の多孔板40Aが設けられていてもよい。
【0111】
本変形例では、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38及び第3のフィルター部材40の下部へ、段階的に自重によりオイルを落とすことができ、冷媒ガスからオイルを更に分離しやすくなる。
(第2の実施の形態)
次に、図10を参照し、第2の実施の形態に係るオイルセパレータについて説明する。本実施の形態に係るオイルセパレータ15cは、本発明に係るオイルセパレータを、縦置き型オイルセパレータに適用した例である。
【0112】
本実施の形態に係るオイルセパレータ15cでは、略鉛直に延在する円筒部35Eの中に、それぞれ円筒形状の第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38とが互いに同心に設けられている。そして、同心に設けられた第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38との間に、空隙が設けられている。
【0113】
本実施の形態に係るオイルセパレータ15cも、フィルターエレメント36以外の部分は、第1の実施の形態に係るオイルセパレータ15と同様である。従って、本実施の形態では、圧縮機等も含めた、フィルターエレメント36以外の部分についての説明を省略する。
【0114】
図10は、本実施の形態に係るオイルセパレータ15cの構成を示す断面図である。
【0115】
なお、図10では、冷媒ガスの流れをGで示し、オイルの流れをOで示している。
【0116】
オイルセパレータ15cは、シェル35とフィルターエレメント36とにより構成されている。
【0117】
シェル35は、円筒部35E、上部フランジ35F及び下部フランジ35Gにより構成されている。円筒部35Eは、中空な筒形状とされている。ただし、本実施の形態では、円筒部35Eの軸は略垂直に延在する。円筒部35Eの下端部には下部フランジ35Gが溶接により固定されており、よって気密に塞がれた構成とされている。また、円筒部35Eの上端部には上部フランジ35Fが溶接により固定されており、よって気密に閉蓋された構成とされている。
【0118】
上部フランジ35Fには、高圧ガス導入用管15D、高圧ガス導出口15B、及びオイル戻り用管15Fが設けられている。
【0119】
高圧ガス導入用管15Dは、上部フランジ35Fを貫通するように設けられている。上部フランジ35Fの上方において、高圧ガス導入用管15Dは、図1に示す高圧側配管13A(13)に接続されている。また、上部フランジ35Fの下方において、高圧ガス導入用管15Dは、後述するように、上部蓋体42に設けられた高圧ガス導入口15Aに接続されている。
【0120】
なお、高圧ガス導入口15Aは、本発明におけるガス導入口に相当し、高圧ガス導出口15Bは、本発明におけるガス導出口に相当する。
【0121】
高圧ガス導出口15Bには、高圧ガス導出用管15Eが接続されており、高圧ガス導出用管15Eは、図1に示す高圧側配管13B(13)に接続されている。
【0122】
オイル戻り用管15Fは、上部フランジ35Fから下部フランジ35Gの付近まで延在する。オイル戻り用管15Fの下端部には、冷媒ガスから分離したオイルを排出するオイル排出口15Cが設けられている。オイル戻り用管15Fは、上部フランジ35Fの上方で、図1に示すオイル戻り配管24に接続されている。
【0123】
フィルターエレメント36は、第1のフィルター部材37、第2のフィルター部材38、オイル分離部材39、上部蓋体42及び下部蓋体43等により構成されている。なお、第1のフィルター部材37は、本発明における第1の濾過部に相当し、第2のフィルター部材38は、本発明における第2の濾過部に相当し、オイル分離部材39は、本発明におけるオイル分離部に相当する。
【0124】
上部蓋体42には、高圧ガス導入口15Aが設けられており、高圧ガス導入口15Aには、高圧ガス導入用管15Dが接続されている。
【0125】
上部蓋体42と下部蓋体43との間には、例えばパンチングプレートを円筒形状に曲げてなる芯部材44が設けられている。なお、芯部材44の内部の空間であって、上部蓋体42と下部蓋体43とにより挟まれており、高圧ガス導入口15Aが設けられている空間は、入口部35Bに相当する。
【0126】
また、上部蓋体42よりも上方に位置し、上部フランジ35Fと上部蓋体42とにより挟まれており、高圧ガス導出口15Bが設けられている空間は、出口部35Cに相当する。また、上部蓋体42と下部蓋体43との間に位置し、フィルターエレメント36の外方の空間も、出口部35Cに相当する。更に、下部蓋体43よりも下方に位置し、下部フランジ35Gと下部蓋体43とにより挟まれており、オイル排出口15Cが設けられている空間も、出口部35Cに相当する。
【0127】
第1のフィルター部材37は、円筒形状の芯部材44の周りに、濾材を円筒形状に巻回すように配置して設けられている。また、第2のフィルター部材38は、円筒形状に巻回して構成される第1のフィルター部材37の周りに、濾材を円筒形状に巻回すように配置して設けられている。また、第2のフィルター部材38は、第1のフィルター部材37と略同心に設けられている。第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38も、芯部材44と同様に、上部蓋体42と下部蓋体43とにより挟まれるように設けられている。
【0128】
本実施の形態では、芯部材44から第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38の径方向外方に向け、平面視において放射状に冷媒ガスが流れる。従って、第1のフィルター部材37は、冷媒ガス流路の途中に濾材を配置して設けられており、冷媒ガスからオイルを濾過するためのものである。また、第2のフィルター部材38は、冷媒ガス流路の途中であって、第1のフィルター部材37の下流側に、第1のフィルター部材37と離隔するように濾材を配置して設けられており、冷媒ガスからオイルを濾過するためのものである。
【0129】
本実施の形態でも、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38は、オイルを分離するために繊維状の構造を有する濾材であることが好ましい。第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38として、例えばグラスウール等を用いることができる。
【0130】
なお、第1のフィルター部材37及び第2のフィルター部材38は、同一の部材であってもよい。このときは、全体として同一の部材よりなる円筒形状のフィルター部材の径方向に沿って途中に空隙を設け、その空隙にオイル分離部材39を配置した構成を有することになる。
【0131】
オイル分離部材39は、第1のフィルター部材37の下流側端面である外周面に設けられた第1の多孔板39Aを含む。オイル分離部材39は、第1のフィルター部材37で濾過されたオイルが第1の多孔板39Aの表面を伝い落ちることによって、冷媒ガスからオイルを分離するためのものである。また、オイル分離部材39は、第1の多孔板39Aにより第1のフィルター部材37を固定支持することができる。
【0132】
オイル分離部材39は、第2のフィルター部材38の上流側端面である内周面に設けられた第2の多孔板39Bを含んでもよい。オイル分離部材39は、第2の多孔板39Bにより第2のフィルター部材38を固定支持することができる。
【0133】
また、第2の多孔板39Bは、スペーサ部材39Cを介して第1の多孔板39Aに固定されていてもよい。これにより、第1の多孔板39Aの下流側端面である外周面と第2の多孔板39Bの上流側端面である内周面との間隔を一定にした状態で保持することができるため、第1のフィルター部材37の外周面と第2のフィルター部材38の内周面との空隙寸法を一定の値に保持することができる。
【0134】
また、第2のフィルター部材38の下流側端面である外周面にも、第2の多孔板39Bと同様の多孔板38Aが設けられていてもよい。これにより、第2のフィルター部材38を上流側と下流側の両側から固定支持することができる。
【0135】
本実施の形態でも、第1のフィルター部材37と第2のフィルター部材38の下部へ、段階的に自重によりオイルを落とすことができ、冷媒ガスからオイルを分離しやすくなる。
【0136】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0137】
実施の形態では、多孔板としてパンチングメタルを用いる構成を例に説明したが、金網、スリットを設けた板、棒材を格子状に並べた部材など、ガスの流れを阻害せずにフィルター部材を支えてオイルを分離することができればどのような構成でも良い。
【符号の説明】
【0138】
10 圧縮機
11 圧縮機本体
15、15a〜15c オイルセパレータ
15A 高圧ガス導入口
15B 高圧ガス導出口
15C オイル排出口
30 GM冷凍機
35 シェル
35A、35E 円筒部
35B 入口部
35C 出口部
36 フィルターエレメント
37 第1のフィルター部材
37A、38A 多孔板
38 第2のフィルター部材
39 オイル分離部材
39A 第1の多孔板
39B 第2の多孔板
39C、41C スペーサ部材
40 第3のフィルター部材
41 第2のオイル分離部材
41A 第3の多孔板
41B 第4の多孔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒ガスを圧縮する圧縮機から冷媒ガスを膨張させて冷熱を発生する冷凍機に向かって冷媒ガスが流れる冷媒ガス流路の途中に設けられ、冷媒ガスに含まれるオイルを分離するオイルセパレータにおいて、
上流側に設けられた、冷媒ガスを導入するガス導入口を有する入口部と、
下流側に設けられた、冷媒ガスを導出するガス導出口と、分離したオイルを排出するオイル排出口とを有する出口部と、
前記入口部と前記出口部との間に設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第1の濾過部と、
前記第1の濾過部の下流側に、前記第1の濾過部と離隔して設けられた、冷媒ガスからオイルを濾過する第2の濾過部と、
前記第1の濾過部の下流側端面に設けられた第1の多孔板を含むオイル分離部と
を有する、オイルセパレータ。
【請求項2】
前記オイル分離部は、前記第2の濾過部の上流側端面に設けられた第2の多孔板を含むものである、請求項1に記載のオイルセパレータ。
【請求項3】
前記第2の多孔板は、スペーサ部材を介して前記第1の多孔板に固定されている、請求項2に記載のオイルセパレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−107834(P2012−107834A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258139(P2010−258139)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】