説明

オイルミスト、臭気等の除去方法及び除去フィルター

【課題】 扱いが簡便で安価なうえ長時に使用でき、且良好な通風性とオイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去に優れる、オイルミストや臭気等の除去方法及び除去フィルターの提供。
【解決手段】 黒曜石を焼成発泡させた独立気泡構造で、見掛比重が0.2乃至0.3及び粒径が8乃至20mmの付着吸着基材と、耐火不燃性素材で収納される付着吸着基材が漏出せぬ網地体と保形材とにより、所要の収納容積の円筒形状若しくは立法形状に形成され、而もその一側面に開閉蓋が設けられたフィルター枠体とからなり、フィルター枠体内に所要容量の付着吸着基材が収納されてなる構成のオイルミストや臭気等の除去フィルター、及び調理器のダクト前部に除去フィルターを配設させるオイルミストや臭気等の除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼き、炒め、揚げ等の調理時に発生する多量のオイルミストや臭気或いは焦煙等を通風除去する方法及び除去フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、生活水準の向上と且核家族化や少子化或いは主婦の就労化等により食生活も中食化や外食化が急速に拡大化し、更には食に対する個性化や多様化の高まりから自己調理や自己調味嗜好が富みに高まっており、調理人の調理調味した料理の提供から、食材並びに調味料の提供により飲食者自身が調理し且調味する調理参加へと移行しており、かかる調理参加により急激な繁栄の例として、ロースターを配置のうえ飲食者が調理食取する焼き肉業界が挙げられる。
【0003】
かかる調理参加型の調理に際しては、当然に炭火やガス、電熱板或いは電磁誘導加熱板等の加熱調理器を有するロースター、所謂調理テーブルを配置のうえ、飲食者が該調理テーブルを囲んで適宜に調理をなすものであって、食材が魚介類や畜肉類等油脂分の多いものや、炒め並びに揚げ等調理に食用油を使用する場合には、多量のオイルミストに加えて臭気や焦煙が発生する。これがため該発生したオイルミストや臭気或いは焦煙を即時且積極的に吸引のうえダクトを介して外部排出をせぬと、店舗内にオイルミストや臭気が付着して汚損されたり、或いは店舗内に充満して劣悪な飲食環境となるため、現状においては調理テーブルの下方より吸引し若しくは調理テーブルの上方に可動自在なフードを設けたうえ、該フードより吸引のうえダクトを介して外部排出をなしている。
【0004】
ところで吸引外部排出されるオイルミストや臭気或いは焦煙のうち、とりわけオイルミストは付着性が高く且重積され易いため、直接吸引し排気させるとフードや吸引ファン或いはダクト内に付着し汚損や故障の発生ばかりか火炎危険も惹起されることとなる。これがため通常においては吸引ファンやダクト前方に通称グリスフィルターを設けて該グリスフィルターでオイルミストを付着除去させたうえ吸引且排出をなしている。
このグリスフィルターは耐火不燃性が要請されるため、セラミックス素材や金属線条素材で所要の通気性(負圧)で、而も所定の寸法の板状に形成されてなるものであって、素材的構造的に極めて強靭で高価であるものの、実用使用に際しては焼肉ロースターでの使用の場合でも略4乃至5日程度でオイルミストの付着重積により目詰まりし使用不能が招来される。
これがため現状グリスフィルターは、目詰まりと同時に洗浄処理をなさねばならぬもので、この洗浄処理には専門業者に委託し高温、高アルカリ洗浄をなす必要上から洗浄費用も著しく高価で、且かかる洗浄処理に係る発生臭気や洗浄排液も環境保全のうえから問題視されるに至っている。
【0005】
発明者は、かかるグリスフィルターの抱える問題に鑑み研究を重ねた結果、黒曜石を焼成発泡させて独立気泡構造で且見掛比重が0.2乃至0.3のパーライトは軽量で嵩高なうえ、耐火不燃性を保持するとともに比較的構造強度も強く且油着性に極めて優れることに注目するとともに、該パーライトの外表面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液による補強層を形成させることにより、耐火不燃性とともに更なる構造強度が補強されること、更にはパーライトの外表面にシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液の補強層形成能を以って人工ゼオライト粉体を塗着担持させることにより、オイルミストはもとより臭気や焦煙の吸着除去が可能なることを究明するとともに、これらパーライト等を耐火性素材からなり且収納されるパーライトが漏出せぬ網目合で而も主要収納容量の円筒形状若しくは立方形状で開閉蓋を有するフィルター枠体とを用い、発生するオイルミストや臭気或いは焦煙を、パーライトの収納されたフィルター枠体を通風接触せしめることによりオイルミストや臭気或いは焦煙が極めて効率的に付着並びに吸着除去できること、及びフィルターの目詰まりに際してもフィルター枠体をはずして収納パーライトの入替のみで交換が可能なることを解明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は取扱いが簡便なうえ安価で長時に亘って使用でき、且通風性が良くオイルミストの付着除去並びに臭気や焦煙の吸着除去に極めて優れるオイルミストや臭気の除去方法及び除去フィルターの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、付着吸着基材として高温度で発生するオイルミストや臭気或いは焦煙に対し付着性や吸着性を発揮させて除去し、且耐火不燃性を保持するとともに、軽量安価で使用安全性が高く而も使用後に土壌への還元が可能な素材が望まれることから、黒曜石を焼成発泡させた独立気泡構造で、見掛比重が0.2乃至0.3で且良好な通気性を保持させるうえから、その粒径が8乃至20mmのパーライトが選択される。
【0008】
更には実用使用に際しての耐圧縮強度の高いものが要請される場合には、該パーライトの外表面にパーライト容積に対して3乃至15容積%割合で、シロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液を塗着乾燥させてなる補強層が形成された補強パーライトが使用され、加えて臭気や焦煙を吸着除去させるためには、パーライトの外表面に該パーライト容積に対して3乃至15容積%割合で、その平均粒径が10乃至50μmで比表面積が100m/g以上、及び塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体がシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液を塗着材として塗着担持させた吸着パーライトが使用される。
【0009】
そしてこれらパーライトや補強パーライト若しくは吸着パーライトを、耐火不燃性素材からなり、収納されるパーライト等が漏出せぬ網目合で且所要の収納容積の円筒形状若しくは立法形状で、而もパーライトの交換のために開閉蓋を有するフィルター枠体内に、所要の粒径で所要容積を以って収納のうえ、調理テーブルの下方若しくは上方の吸引ファンや吸引ダクト前部に配置させ使用することで発生するオイルミストや臭気或いは焦煙の通風接触に際して、通風性即ち負圧を小さく維持して通風がなされるとともに、パーライトや補強パーライト或いは吸着パーライトの使用とにより、発生するオイルミストはもとより臭気や焦煙を効率良く付着吸着除去しえるオイルミストや臭気等の除去方法及び除去フィルターに存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く構成からなるもので、付着吸着素材としてのパーライト等は、その主要成分が酸化珪素及び酸化アルミからなる黒曜石を焼成発泡させた独立気泡構造で見掛比重が0.2乃至0.3のものであるから、耐火不燃性はもとより極めて軽量嵩高なため所要容量でフィルター枠体内に収納される付着吸着素材は著しく安価であるばかりか、その成分特性と独立気泡構造とにより外表面は膨大量で且微細な凹凸形状を有するためオイルミストの付着除去性に極めて優れ、而も該微細凹凸形状により臭気や焦煙の吸着除去性も発揮される。
【0011】
更にパーライト外表面に補強層が形成された補強パーライトも、パーライト自体の補強向上に加え、該補強層はシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液を塗着のうえ、加熱によりその水分蒸散に伴って酸化珪素態で形成され、且水分蒸散に伴う微細な連続気泡構造の微孔が膨大数形成されるため、該微孔により臭気や焦煙の吸着が一段と高められる。加えてパーライトの外表面に人工ゼオライト粉体が塗着担持された吸着パーライトの場合には、人工ゼオライト粉体が保持する膨大量且微細孔隙による極めて大きな比表面積と而も大きな塩基置換容量(陽イオン交換能)により、臭気や焦煙の吸着除去が効率良くなされ、加えて人工ゼオライト粉体の触媒作用により、付着若しくは吸着された油脂の使用経過に伴い二次発生する臭気の発生も分解消臭される。
【0012】
そしてこれらパーライトや補強パーライト若しくは吸着パーライトは、耐火不燃性素材からなり、所要の収納容積で且円筒形状若しくは立法形状で開閉蓋を有し、而も収納されるパーライト等が漏出せぬ網目合で形成されるフィルター枠体内に、所要の粒径と所要の収納容量でパーライトを収納のうえ、調理テーブルの下方や上方の吸引ファンやダクト前方に配置のうえ、発生するオイルミストや臭気或いは焦煙を通風させて吸引排出させるものであるから、パーライト等の粒径と収納容量の調整次第で、吸引ファン等の吸引力に対応して通風性を保持させることが可能なばかりか、通風するオイルミストはもとより臭気や焦煙も効果的に付着吸着除去がなされる。
更にフィルター枠体は十分な通風厚さにパーライト等が収納されてなるため長期に亘って使用出来るとともに、仮令目詰まりが発生してもフィルター枠体を外し、パーライト等を入れ替えるのみであるから、誰でも簡便に入れ替え作業がなしえる。加えてオイルミスト等の付着吸着され交換されたパーライト等は、土壌菌類の飼料となり農地への還元で土壌改良材としての再利用がなしえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
付着吸着素材として黒曜石を焼成発泡させた独立気泡構造で見掛比重が0.2及びその粒径が8mmのパーライトを用いるとともに、フィルター枠体には金属線条でその網目合が4mmに織成された金網材を用いて縦、横及び高さを所要寸法の立法形状で且上面は開閉自在に開閉蓋が形成された構成のものを用い、該フィルター枠体内に付着吸着基材を収納させたうえ、調理テーブル下方の吸引ファン及びダクトの前方位置に配置させ使用する。
【実施例1】
【0014】
以下に本発明実施例を図とともに詳細に説明すれば、飲食店舗等の調理テーブルにおいて飲食者の調理、調味に際し、高温度で膨大量に発生するオイルミストを初め臭気や焦煙を、調理テーブルの下方若しくは上方より店舗内に拡散させることなく速かに吸引させ、ダクトを介して外部排出をなすためのものであって、とりわけオイルミストは付着性と重積性が強く、発生後は直ちに吸引のうえ外部排出をせぬと調理テーブルや店舗内随所に付着して短期に店舗内が汚損され、而も吸引排出に際してもオイルミストを可能な限り付着除去させたうえで吸引ファンやダクトで排出させぬと、該吸引ファンに付着重積して故障の発生ばかりか、ダクト内に付着重積し火災危険の増大ばかりか、ダクトの接続部位より汚濁油として漏出する事故等も多々発生する。
【0015】
従って本発明においては高温度で発生するものであるから、耐火不燃性素材の使用はもとよりオイルミストの付着除去とともに臭気や焦煙の吸着除去も可能なことが要望される。
反面従来からは、オイルミストを効率良く付着除去させる手段として耐火不燃性素材からなるセラミックスの連続気泡板材や金属網地等の素材を用いて、細かな通風間隙で且広面積に形成された薄板状のグリスフィルターに通風接触させて付着除去を図っているものの、該グリスフィルターは極めて多重且高価なうえ通風間隙も細かく、従って焼肉ロースターでの使用でも略4乃至5日程度で目詰まりが発生し、而も該目詰まりしたグリスフィルターの洗浄には、高温度高アルカリ剤処理が望ましく専ら専門業者に依頼せねばならず、而も多重でもあることからその取扱いや運搬も至難なこととも相俟って維持費用も莫大なものが強いられる。
【0016】
そこで本発明では、極めて安価軽量で取扱性に優れ且耐火不燃性はもとよりオイルミストの付着除去や臭気並びに焦煙の吸着除去が可能で、而も実用使用後は大幅な減容化と土壌改良材として再利用の可能な付着吸着基材1と、この付着吸着基材1の粒径や収納容量を適宜に選択することで、広範囲の通風性に対応して使用できるフィルター枠体2との構成を技術思想として採用している。
即ち付着吸着基材1は、耐火不燃性はもとより軽量嵩高によるコスト的安価さと実用使用強度を保持し、且通風空隙10Dの調整のための粒径とオイルミストに対する付着性や、臭気及び焦煙に対する吸着性と、更には使用後の廃棄再利用性の可能なものが要請される。
【0017】
そこで付着吸着基材1としては図1に示す如く、主要成分が酸化珪素並びに酸化アルミからなり、結晶水を保持する黒曜石を適宜大きさに破砕のうえ略1,200℃で焼成させて、独立気泡構造で見掛比重が0.2乃至0.3の軽量嵩高で比較的耐圧縮強度の強いものが好適で、且実用使用に際してフィルター枠体2内に収納させた場合、通風間隙10Dを自在に選択して通風性を調整するうえから、その粒径として8乃至20mmのパーライト1Aが選択される。加えてフィルター枠体2内に収納されるパーライト1Aには、吸引ファンや排出能力によっては大きな通風圧が付加され、或いは通風圧を低減させるために少ない収納がなされた場合には、通風に伴いパーライト1が軽量嵩高であるためにパーライト1A相互が転動衝突し合って摩損や破損の恐れが危惧される。
【0018】
これの対処としては図2に示す如く、パーライト1Aの耐圧縮強度を補強した補強パーライト1Bの採用が提案されるもので、該補強パーライト1Bも当然にパーライト1Aの保持する諸性能を損なうことなく、パーライト1Aの補強と且臭気や焦煙の吸着性を付与せしめることが、より好都合である。
これがためには、パーライト1Aと強固に塗着でき且微細な連続気泡構造1Bを生成する酸化珪素態からなる補強層10Bを形成させた補強パーライト1Bの採用が望ましい。
この補強パーライト1Bに形成される補強層10Bは、シロキサン及びシラノール塩からなる固形分が略55乃至60重量%に水分が40乃至45重量%の組成からなるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液、若しくは珪酸ナトリウム水溶液で且その水分割合が略40乃至45重量%のものをパーライト1Aの外表面に3乃至15容積%割合で塗着させたうえ、略180乃至240℃程度の加熱乾燥により、その水分蒸散を図ることで容易に形成しえる。
【0019】
更に望ましくは、仮令オイルミストを効率良く付着除去して外部排出をなしても、近年の如く都市化が進んだ状況下においては、外部排出する飲食店舗に隣接して多くの営業店舗や事務所或いは集合住宅等が林立しており、従来のグリスフィルターでは除去されぬ臭気や焦煙が排出拡散されて新たな環境公害を招来している。これがためにはオイルミストの除去と共に臭気や焦煙の吸着除去が強く要望されている。この対処としては図3に示す如き吸着パーライト1Cの採用が好適である。
【0020】
この吸着パーライト1Cは、パーライト1Aに無機質からなりその粒径が10乃至50

積が100m/g以上と膨大な物理的吸着性と、臭気分子や焦煙微粒子に対する強力な化学的吸着性、即ち塩基置換容量(meq/100g)所謂陽イオン交換能が200mg以上で而も触媒作用を有する人工ゼオライト粉体10Cが、パーライト1Aの容積に対して3乃至15容積%割合で塗着担持されてなるもので、該人工ゼオライト粉体10Cの担持には、耐火不燃性を保持し且相互に強力な接着性を発揮させるうえから、補強パーライト1Bの補強層10Bを形成させるシロキサン及びシラノール塩多分子量溶液若しくは珪酸ナトリウム水溶液が好都合であって、その塗着量もパーライト1Aの容積に対して3乃至15容積%割合の使用で十分である。
【0021】
かかる如くして選択されるパーライト1A、補強パーライト1B若しくは吸着パーライト1Cは、所要の形状と収納容積で形成されるフィルター枠体2内に所要の粒径と収納容量に収納して実用使用に供される。かかる場合に図4に示す如くフィルター枠体2に収納されるパーライト1A等は相互に積層接合されるものであって、フィルター枠体2の単位容積内に積層接合されるパーライト1A等の相互で形成される通風間隙10Dの総通風間隙割合はパーライト1A等の粒径に係らず21.5%であるが、粒径毎の通風間隙10D自体は粒径の大きなもの程大きく形成される。従って発生するオイルミストや臭気或いは焦煙の通風量が多い場合には、通風性の増大即ち負圧を小さく形成させるうえから、粒径の大きな物が望まれる。
【0022】
而してフィルター枠体2は図5に示すように、耐火不燃性素材からなりその内部に収納されるパーライト1Aや補強パーライト1B若しくは吸着パーライト1Cが漏出せぬ網目合からなる網地体2Aにより、所要の収納容積で円筒形状若しくは立法形状に形成されるものであって、該網地体2Aとしては鉄線条やステンレス線条が加工性や価格的に安価なうえから望まれる。そして収納されるパーライト1A等の粒径が8乃至20mmのものが使用されるため、該網地体2Aの網目合は略4乃至6mm程度に織成されたものが用いられる。
そして該フィルター枠体2の収納容積は、調理テーブル3に設けられる調理器3Aからの発生するオイルミストや臭気或いは焦煙の発生量及び排出量に合せて具体的に決定されるが、一般的には1000乃至3300cc程度とされるため、該フィルター枠体2の寸法としては縦、横、高さで各10cmから15cm程度の寸法となる。
【0023】
してみると収納されるパーライト1Aや補強パーライト1B若しくは吸着パーライト1Cは、その見掛比重が略0.2乃至0.3程度の軽量の物であるから、収納重量としてもせいぜい0.2乃至1.0kg程度であるから、網地体2Aには収納重量付加も僅かであるから、該網地体2Aの形成素材たる鉄線条やステンレス線条は、その分径で0.1乃至0.3mm程度の細線条のもので十分である。無論該網地体2Aは、鉄線条やステンレス線条を織成させた物の他に、薄肉な鉄板やステンレス板に多孔打抜き加工を施した所謂パンチングメタル板材も使用できる。
【0024】
反面該フィルター枠体2には、調理器3Aより多量に発生するオイルミストや臭気或いは焦煙が通風され、付着吸着されたうえ排出されるためかなりの通風圧が付加されるものであるから、使用中フィルター枠体2が変形せぬよう保形され配置されることが望まれる。
これがためには、フィルター枠体2の上辺及び下辺部並びに4側面の折合辺部には保形材2Bが用いられてなるもので、当然に該保形材2Bは十分な強度を保持させるうえから、通常ではその分径が1.5乃至3.0mmの鉄線条若しくはステンレス線条が用いられる。そして網地体2Aと保形材2Bとの連結2Cは特段な制約は無く溶接連接や金属線条での絡着連結或いは網地体2Aを保形材2Bに嵌着させる連結方法等が挙げられる。
【0025】
加えてフィルター枠体2には内部に新しいパーライト1A等を収納し且使用後の汚損パーライト1A等を取り出し交換するために、その一側面には開閉蓋20が設けられてなるもので、該開閉蓋20もその一側面の寸法形状に合せて形成された保形材2Bと、且該保形材2Bには網地体2Aが連結2Cされている。そして該開閉蓋20はフィルター枠体2と開閉可能に取付けられる必要上から、該開閉蓋20の一側の保形材20Bとフィルター枠体2の保形材2Bとが可動自在な可動リング20Cにより連着されてなり、且該閉塞蓋20の対向側にはフィルター枠体2の保形材2Bに着脱自在に嵌着固定できる嵌着ピン20Dが設けられている。
【0026】
更にフィルター枠体2は設置される調理テーブル3の調理器3A等の設計次第で円筒形状や立法形状並びに具体的寸法も決定される。そしてかかるフィルター枠体2内へのパーライト1A等の収納に際しては図6に示す如く、収納容積全体に収納させる場合や収納容積に対して適宜の容積割合で収納し使用することもなされる。
かかる場合にフィルター枠体2の内容積全体にパーライト1A等が収納された場合には、その収納容量及び該パーライト1Aの粒径相互の積層接合されるパーライト1A等の相互で形成される通風間隙10Dの総通風間隙割合で通風性や負圧が決定されるが、パーライト1A等の収納容量が少なくなると通風に伴って矢印で示す如く収納されたパーライト1A等が転動し積層接合状態が崩れ通風性が著しく増大する反面、オイルミストや臭気或いは焦煙の付着吸着除去性が低下するため、通風性即ち負圧の低下を図る場合にもフィルター枠体2の内容積に対し少なくとも50乃至70%以上の収納容量で、パーライト1A等を収納させることが望ましい。
【0027】
図7は本発明の使用態様の説明図であって、該図7は一般的に採用されてなる焼き肉ロースターの場合のもので、調理テーブル3の中央部には炭火や電熱による調理器3Aがフード3Bの内側に配され、飲食者は調理器3Aの上部の焼き網若しくは焼板3Cにおいて、好みに合せた焼き調理をなす。そしてかかる調理により発生するオイルミストや臭気或いは焦煙は、調理器3Aの上縁周辺に設けた吸気穴3Dよりフード3B内を吸引ファン3Eによる吸引によりダクト3Fを経由して外部排出させるものである。従ってパーライト1A等が収納されたフィルター枠体2は、フード3B下部位に設けたダクト係止部3G内に挿入係止させることで使用され、且所要期間の使用後はフード3Bとダクト3Fを分割のうえフィルター枠体2を取除し汚損されたパーライト1A等を新規のパーライト1A等に交換するのみで良い。
【0028】
かくして実用使用に供され、オイルミストの付着除去や臭気及び焦煙の吸着除去されて汚損されたパーライト1Aや補強パーライト1B或いは吸着パーライト1Cは、見掛比重が0.2乃至0.3で且総通風間隙割合も21.5%に及ぶ収納容量であるから、僅かな外力で容易に破砕粉砕されて略1/4乃至1/5程度に著しく減容化され廃棄が容易なばかりか、付着されてなるオイルミストが土壌菌類の格好の飼料として土壌菌が繁殖するため、土壌への還元により土壌改良材として再利用ができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
調理テーブルの下方若しくは上方に設けられるダクトの入口部位に、パーライト等が収納されたフィルター枠体を配設させたうえ、パーライトに接触通風させることで、オイルミストの付着除去と臭気及び焦煙の吸着除去がなしえる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 付着吸着基材のパーライトの拡大説明図である。
【図2】 付着吸着基材の補強パーライトの拡大説明図である。
【図3】 付着吸着基材の吸着パーライトの拡大説明図である。
【図4】 接合間隙の説明図である。
【図5】 フィルター枠体の説明図である。
【図6】 収納パーライトの転動状態の説明図である。
【図7】 本発明の使用態様図である。
【符号の説明】
【0031】
1 付着吸着基材
1A パーライト
1B 補強パーライト
1C 吸着パーライト
10B 補強層
10C 人工ゼオライト
10D 通風間隙
11B 微細連続気泡構造
2 フィルター枠体
2A 網地体
2B 保形材
2C 連結
20 開閉蓋
20B 開閉蓋の保形材
20C 可動リング
20D 嵌着ピン
3 調理テーブル
3A 調理器
3B フード
3C 焼き網若しくは焼板
3D 吸気穴
3E 吸引ファン
3F ダクト
3G ダクト係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着吸着基材が黒曜石を焼成発泡させた独立気泡構造で、見掛比重が0.2乃至0.3及びその粒径が8乃至20mmのパーライトからなり、更にフィルター枠体が耐火不燃性素材で、収納される付着吸着基材が漏出せぬ網目合の網地体と保形材とにより、所要の収納容積の円筒形状若しくは立法形状に形成され、且その一側面には開閉蓋が設けられてなり、フィルター枠体の内部に所要容量の付着吸着基材が収納される構成からなる、オイルミストや臭気等の除去フィルター。
【請求項2】
付着吸着基材が、パーライトの外表面に酸化珪素態からなる連続気泡構造の補強層が形成されてなる補強パーライトである、請求項1記載のオイルミストや臭気等の除去フィルター。
【請求項3】
付着吸着基材が、パーライトの外表面に酸化珪素態の連続気泡構造の補強層により、その粒径が10乃至50μmで比表面積が100m/g以上及び塩基置換容量(meq/100g)が200mg以上の人工ゼオライト粉体が担持された吸着パーライトである、請求項1記載のオイルミストや臭気等の除去フィルター。
【請求項4】
その粒径が8乃至20mmのパーライト、補強パーライト若しくは吸着パーライトからなる付着吸着基材が、耐火不燃性素材からなり所要の収容容積の円筒形状若しくは立法形状のフィルター枠体内に所要の収納容量で収納されたうえ、調理器の下方若しくは上方に配設されたダクト前部に配置させ、調理器で発生するオイルミストや臭気及び焦煙を通風接触せしめ、オイルミストの付着除去と臭気や焦煙の吸着除去をなすことを特徴とする、オイルミストや臭気等の除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−247135(P2010−247135A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115943(P2009−115943)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(504384516)
【Fターム(参考)】