説明

オキサビスピジンのスルホン酸塩の製造方法

式Iのスルホン酸塩、又はその溶媒和物の:(i)対応する遊離塩基;と(ii)式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物を含んでなる混合物からの単離のための方法が提供され、その方法は、式IIとIIIの化合物及びRSOアニオンの供給源の水性分散物を用意し、そして次いで、必要な場合、水性分散物のpHを3ないし8のいずれかの値に調節することを含んでなる。式IIとIIIの化合物の混合物が、例えば塩基と水相の存在下の、式IIIの化合物と式IVの化合物間の不完全な反応によって得られる方法が更に提供される。このような方法において、式Iの得られた塩のRSOアニオンは、式IVの化合物に由来することができる。更に、これらの方法のすべてにおいて、D、R、R及びRは、明細書中に与えられる意味を有する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、N−(アルコキシカルボニルアミノ)アルキル置換基を有するオキサビスピジンのスルホン酸塩の製造のための新規な方法に関する。
【0002】
背景と従来の技術
薬物物質の製造において、不純物(即ち、所望の活性物質以外の物質)のレベルが、可能な最小のレベルに保たれることが好ましい。
【0003】
特に問題となることができる不純物は、活性物質の合成からの副生成物を含み、これらの副生成物はその物質にする(構造的に)密接に関係ことができる。活性物質と副生成物間の構造的類似性は:
(a)活性物質と副生成物が、非常に類似の物理的及び化学的特性を有し、そして従って、分離することが非常に困難である;及び/又は
(b)副生成物が、望ましくない、そして潜在的に有害な薬理学的活性を有すること;
を意味することができる。
【0004】
国際特許出願WO01/028992は、広い範囲のオキサビスピジン化合物の合成を記載し、この化合物が、心臓不整脈の治療において有用であることが示されている。開示された化合物の中で、多くはN−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル置換基を有している。国際特許出願WO02/028864とWO02/083690は、N−2−(アルコキシカルボニルアミノ)エチル置換基を有するある種の化合物を含む、オキサビスピジン系化合物の合成ための新しい方法を開示している。
【0005】
しかしながら、上述の文献は、N−(アルコキシカルボニルアミノ)アルキル置換基を有するオキサビスピジンとこのような置換基を欠く対応する化合物を含んでなる混合物からの、N−(アルコキシカルボニルアミノ)アルキル置換基を有するオキサビスピジン化合物のスルホン酸塩の選択的沈澱を可能にする方法は開示していない。
【0006】
本発明者等は、いまや驚くべきことに、このような塩を、ある種のスルホン酸アニオンを含有する水性溶媒系中に分散した場合、このような混合物から容易に、そして効率よく単離することができることを見出した。
【0007】
発明の開示
本発明の第1の側面によれば、以下の式I:
【0008】
【化1】

【0009】
{式中、Rは、H、アミノ保護基又は以下の式Ia:
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、
は、H、ハロ、C1−6アルキル、−OR、−E−N(R)Rであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−6アルキルであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール、−E−Het、−C(O)R10a、−C(O)OR10b又は−C(O)N(R11a)R11bであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール、−E−Het、−C(O)R10a、−C(O)OR10b、−S(O)10c、−[C(O)]N(R11a)R11b又は−C(NH)NHであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール又は−C(O)R10dであり;
10aないしR10dは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立にC1−6アルキル(ハロ、アリール及びHetから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)、アリール、Hetであるか、またはR10aとR10dは、独立にHであり;
11aとR11bは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキル(ハロ、アリール及びHetから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)、アリール、Hetであるか、または、R11aとR11bは一緒に、O原子によって中断されていてもよいC3−6アルキレンであり;
Eは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、直接結合又はC1−4アルキレンであり;
pは、1又は2であり;
Aは、直接結合、−J−、−J−N(R12a)−、−J−S(O)N(R12b)−、−J−N(R12c)S(O)−又は−J−O−(この後者の4個の基において、−Jは、オキサビスピジン環の窒素に接続している)であり;
Bは、−Z−{[C(O)]C(H)(R13a)}−、−Z−[C(O)]N(R13b)−、−Z−N(R13c)S(O)−、−Z−S(O)N(R13d)−、−Z−S(O)−、−Z−O−(この後者の6個の基において、Zは、RとRを有する炭素原子に接続している)、−N(R13e)−Z−、−N(R13f)S(O)−Z−、−S(O)N(R13g)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−(この後者の4個の基において、Zは、R基に接続している)であり;
Jは、−S(O)N(R12d)−又は−N(R12e)S(O)−によって中断されていてもよく、及び/又は、−OH、ハロ及びアミノから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい、C1−6アルキレンであり;
Zは、直接結合、又は−N(R13i)S(O)−又は−S(O)N(R13j)によって中断されていてもよいC1−4アルキレンであり;
a、b及びcは、独立に0又は1であり;
nは0、1又は2であり;
12aないしR12eは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキルであり;
13aは、Hであるか、又はR13aは、R基上の一つのオルト−置換基(B基が接続している位置に対してオルト−)と一緒に、O、S、N(H)又はN(C1−6アルキル)によって中断又は終結されていてもよいC2−4アルキレンであり;
13bは、H、C1−6アルキルであるか、又はR13bは、R基上の一つのオルト−置換基(B基が接続している位置に対してオルト−)と一緒に、C2−4アルキレンであり;
13cないしR13jは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキルであり;
は、フェニル又はピリジルであり、これらの両方の基は、−OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル(−N(H)C(O)OR14aによって終結されていてもよい)、C1−6アルコキシ、−N(R15a)R15b、−C(O)R15c、−C(O)OR15d、−C(O)N(R15e)R15f、−N(R15g)C(O)R15h、−N(R15i)C(O)N(R15j)R15k、−N(R15m)S(O)14b、−S(O)N(R15n)R15o、−S(O)14c、−OS(O)14d及び/又はアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
そしてオルト−置換基(Bの接続に対してオルト−)は、
(i)R13aと一緒に、O、S、N(H)又はN(C1−6アルキル)によって中断又は終結されていてもよいC2−4アルキレンであるか、または
(ii)R13bと一緒に、C2−4アルキレンである;
ことができ;
14aないしR14dは、独立にC1−6アルキルであり;
15aとR15bは、独立にH、C1−6アルキルであるか、又は一緒に、4ないし7員の窒素を含有する環となるC3−6アルキレンであり;
15cないしR15oは、独立にH又はC1−6アルキルであり;そして
HetないしHetは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立に酸素、窒素及び/又は硫黄から選択される一つ又はそれより多いヘテロ原子を含有する5ないし12員の複素環式基であり、この複素環式基は、=O、−OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、−N(R16a)R16b、−C(O)R16c、−C(O)OR16d、−C(O)N(R16e)R16f、−N(R16g)C(O)R16h、−S(O)N(R16i)(R16j)及び/又は−N(R16k)S(O)16lから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
16aないしR16lは、独立にC1−6アルキル、アリールであるか、又はR16aないしR16kは、独立にHであり;
但し:
(a)RがH又はC1−6アルキルであり;そして
Aが−J−N(R12a)−又は−J−O−である場合:
(i)Jは、Cアルキレン又は1,1−C2−6アルキレンではなく;そして
(ii)Bは、−N(R13b)−、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではなく;
(b)Rが−OR又はEが直接結合である−E−N(R)Rである場合:
(i)Aは、直接結合、−J−N(R12a)−、−J−S−(O)−N(R12b)−又は−J−O−ではなく;そして
(ii)Bは、−N(R13b)−、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではなく;
(c)Aが−J−N(R12c)S(O)−である場合、Jは、Cアルキレン又は1,1−C2−6アルキレンではなく;そして
(d)RがH又はC1−6アルキルであり、そしてAが−J−S(O)N(R12b)−である場合、Bは、−N(R13b)、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z−、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではないことを条件とする]
の構造的断片であり;そして
Dは、分枝していてもよいC2−6アルキレンであり、但し、Dは、1,1−C2−6アルキレンではなく;
は、C1−6アルキル(−OH、ハロ、シアノ、ニトロ及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)又はアリールであり;そして
は、置換されていないC1−4アルキル、C1−4ペルフルオロアルキル又はフェニルであり、この後者の基は、C1−6アルキル、ハロ、ニトロ及びC1−6アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
ここにおいて、それぞれのアリールとアリールオキシ基は、他に規定しない限り、置換されていてもよい}
の塩、又はその溶媒和物を、
以下の式II:
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、D、R及びRは、上記で定義したとおりである]
の化合物、と以下の式III:
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、Rは、上記で定義したとおりである]
の化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物を含んでなる混合物から単離するための方法が提供され、
この方法は:
(1)水性溶媒系中の
(i)上記で定義したとおりの式IIとIIIの化合物及び
(ii)Rが上記で定義したとおりであるRSOアニオンの供給源
の分散物を用意し;
(2)必要な場合、該水性分散物のpHを3ないし8のいずれかの値に調節し;そして
(3)これによって形成された該式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離する;
ことを含んでなり、この方法は、本明細書中で以下“本発明の方法”と呼ばれる。
【0016】
本発明の第1の側面による方法の好ましい態様において、式IIとIIIの化合物は、本質的に水性溶媒系中に分散される、オキサビスピジン構造単位を含んでなる唯一の化合物である。これに関して、水性溶媒系が、存在する式IIの化合物の量と比較して、合計で0.1モル当量より多くない(例えば、0.05、0.04、0.03または特に、0.025、0.02、0.015又は0.01より多くない)、式IIIの化合物以外の他のオキサビスピジン系の化合物を含有することが好ましい。
【0017】
式Iの塩に関して本明細書中で使用される場合、用語“単離”は、式IIIの化合物又はその塩(類)を実質的に含まない形態(例えば99%或いは、特に、少なくとも99.5又は99.8%)の式Iの塩を得ることに対する言及を含む。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語“水性溶媒系”は、水、及び、水と水混和性有機溶媒(例えばジ(C1−4アルキル)エーテル(テトラヒドロフランのような)、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、そして特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールのようなC1−4アルキルアルコール)との混合物、に対する言及を含む。最も好ましい水性溶媒系は、水、そして特に水と上述のアルコール(例えばイソプロパノール)のいずれかの混合物である。これに関して、水とC1−4アルキルアルコール(例えばイソプロパノール)の好ましい混合物は、2ないし30容量/容量%(例えば5ないし18容量/容量%)のアルコールを含んでなるものを含む。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語“RSOアニオンの供給源”は、水中の分散においてカチオンとRSOアニオンを与えるように解離する(又は解離することが可能である)いずれかの塩又は化合物に対する言及を含む。これに関して、記述することができる適したRSOアニオンの供給源は、RSOHと(RSOMを含み、ここにおいてMは、原子価nの金属であり、そしてnは、1ないし3の整数である。好ましいRSOの供給源は、RSOH、又は特にMがナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属であるRSOである。
【0020】
他に規定しない限り、本明細書中で定義されるアルキル基とアルコキシ基は、直鎖であることができ、或いは十分な数(例えば最低3個)の炭素原子がある場合、分枝鎖、及び/又は環式であることができる。更に、十分な数(即ち最低4個)の炭素原子がある場合、このようなアルキル基とアルコキシ基は、更に部分的に環式/非環式であることもできる。このようなアルキル基とアルコキシ基は、更に飽和であることができ、或いは十分な数(即ち最低2個)の炭素原子がある場合、不飽和であるか、及び/又は一つ若しくはそれより多い酸素及び/又は硫黄原子によって中断されていることもできる。他に規定しない限り、アルキルとアルコキシ基は、更に一つ又はそれより多いハロ、そして特にフルオロ原子によって置換されていることもできる。
【0021】
他に規定しない限り、本明細書中で定義されたとおりのアルキレン基は、直鎖であることができ、或いは十分な数(即ち最低2個)の炭素原子がある場合、分枝鎖であることができる。このようなアルキレン鎖は、更に飽和であることができ、或いは十分な数(即ち最低2個)の炭素原子がある場合、不飽和であるか、及び/又は一つ若しくはそれより多い酸素及び/又は硫黄原子によって中断されていることもできる。他に規定しない限り、アルキレン基は、更に一つ又はそれより多いハロ原子によって置換されていることもできる。
【0022】
用語“アリール”は、本明細書中で使用される場合、C6−13アリール(例えばC6−10)基を含む。このような基は、単環式、二環式又は三環式であることができ、そして多環式である場合、全体的に又は部分的に芳香族のいずれかであることができる。これに関して、記述することができるC6−13アリール基は、フェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、フルオレニル等を含む。疑義の回避のために、アリール基上の置換基の接続点は、環系のいずれかの炭素原子を経由することができる。
【0023】
同様に、用語“アリールオキシ”は、本明細書中で使用される場合、フェノキシ、ナフトキシ、フルオレノキシ等のようなC6−13アリールオキシ基を含む。疑義の回避のために、本明細書中で言及されるアリールオキシ基は、オキシ−基のO原子を経由して分子の残りの部分に接続している。
【0024】
他に規定しない限り、アリール又はアリールオキシ基は、−OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−N(R15a)R15b、−C(O)R15c、−C(O)OR15d、−C(O)N(R15e)R15f、−N(R15g)C(O)R15h、−N(R15m)S(O)14b、−S(O)N(R15n)(R15o)、−S(O)14c及び/又は−OS(O)14dから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていることができる(ここにおいて、R14bないしR14dと、R15aないしR15oは、本明細書中で先に定義したとおりである)。置換されている場合、アリールとアリールオキシ基は、好ましくは1ないし3個間の置換基によって置換されている。疑義の回避のために、アリール基上の置換基の接続点は、環系のいずれかの炭素原子を経由することができる。
【0025】
用語“ハロ”は、本明細書中で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
記述することができるHet(Het、Het、Het、Het及びHet)基は、1ないし4個のヘテロ原子(酸素、窒素及び/又は硫黄基から選択される)を含有するものを含み、そしてここにおいて、環系中の原子の総数は、5ないし12個間である。Het(Het、Het、Het、Het及びHet)基は、特徴として、完全に飽和、全体的に芳香族、部分的に芳香族及び/又は二環式であることができる。記述することができる複素環式基は、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセパニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾモルホリニル、2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾオキサゾール−イジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾ[e]ピリミジン、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラニル、1,3−ジヒドロベンゾ[c]フラニル、2,3−ジヒドロピロロ[2,3−b]ピリジル、ジオキサニル、フラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヒダントイニル、イミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、イミダゾ[2,3−b]チアゾリル、インドリル、イソキノリニル、イソオキサゾリル、マレイミド、モルホリニル、オキサジアゾリル、1,3−オキサジナニル、オキサゾリル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロロ[2,3−b]ピリジル、ピロロ[5,1−b]ピリジル、ピロロ[2,3−c]ピリジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、スルホラニル、3−スルホレニル、4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾピラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ[e]ピリミジン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、3,4,5,6−テトラヒドロピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロピリミジニル、3,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、チエノ[5,1−c]ピリジル、チオクロマニル、トリアゾリル、1,3,4−トリアゾロ[2,3−b]ピリミジニル等を含む。
【0026】
Het(Het、Het、Het、Het及びHet)基上の置換基は、適宜に、ヘテロ原子を含む環系中のいずれかの原子上に位置することができる。Het(Het、Het、Het、Het及びHet)基の接続点は、ヘテロ原子(適宜に)を含む環系中のいずれかの原子、又は環系の一部として存在することができるいずれかの縮合した炭素環式環上の原子を経由することができる。Het(Het、Het、Het、Het及びHet)基は、更にN−オキシド形態又はS−オキシド形態であることもできる。
【0027】
記述することができる式Iの塩の溶媒和物は、一水和物又は半水和物のような水和物を含む。
本発明の方法によって使用されるか、又は製造される化合物は、互変異性を示すことができる。本発明の方法は、その互変異性の形態のこのような化合物のいずれか、或いはこのような形態の混合物のいずれかの使用又は製造を包含する。
【0028】
同様に、本発明の方法によって使用されるか、又は製造される化合物は、更に一つ又はそれより多い不斉炭素原子を含有することができ、そして従って、鏡像異性体又はジアステレオ異性体として存在することができ、そして光学活性を示すことができる。従って、本発明の方法は、その光学的又はジアステレオ異性体の形態のいずれかのこのような化合物、或いはこのような形態のいずれかの混合物の使用及び製造を包含する。
【0029】
略語は、本明細書の最後に収載されている。
本明細書中で使用される場合、用語“アミノ保護基”は、“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rdedition,T.W. Greene & P.G.M. Wutz,Wiley-Interscince (1999)、特にこの文献の“Protection for the Amino Group”と題する章(494ないし502頁参照)中に記載されている基を含み、この文献中の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0030】
従って、アミノ保護基の具体的な例は:
(a)カルバメート酸基を形成する(例えばメチル、シクロプロピルメチル、1−メチル−1−シクロプロピルメチル、ジイソプロピルメチル、9−フルオレニルメチル、9−(2−スルホ)フルオレニルメチル、2−フラニルメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ハロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−メチルチオエチル、2−メチルスルホニルエチル、2(p−トルエンスルホニル)エチル、2−ホスホニオエチル、1,1−ジメチルプロピニル、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキシアミド)プロピル、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジエチルアミノ)−プロピル、1−メチル−1−(1−アダマンチル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、1−メチル−1−(ビフェニリル)エチル、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチル、1,1−ジメチル−2−ハロエチル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル、1,1,−ジメチル−2−シアノエチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、シクロブチル、1−メチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、1−アダマンチル、イソボルニル、ビニル、アリル、シンナミル、フェニル、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、m−ニトロフェニル、S−フェニル、8−キノリニル、N−ヒドロキシピペリジニル、4−(1,4−ジメチルピペリジニル)、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−メトキシベンジル、3,5−ジメトキシベンジル、p−デシルオキシベンジル、p−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル、p−ブロモベンジル、クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、o−(N,N−ジメチルカルボキシアミドベンジル)ベンジル、m−クロロ−p−アシルオキシベンジル、p−(ジヒドロキシボルニル)ベンジル、p−(フェニルアゾ)ベンジル、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジル、5−ベンゾイソオキサゾリルメチル、9−アントリルメチル、ジフェニルメチル、フェニル(o−ニトロフェニル)メチル、ジ(2−ピリジル)メチル、1−メチル−1−(4−ピリジル)−エチル、イソニコチニル、又はS−ベンジル、カルバメート基を与える)もの;
(b)アミド基を形成する(例えば、N−ホルミル、N−アセチル、N−クロロアセチル、N−ジクロロアセチル、N−トリクロロアセチル、N−トリフルオロアセチル、N−o−ニトロフェニルアセチル、N−o−ニトロフェノキシアセチル、N−アセトアセチル、N−アセチル−ピリジニウム、N−3−フェニルプロピオニル、N−3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル、N−3−(o−ニトロフェニル)プロピオニル、N−2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロピオニル、N−2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロピオニル、N−4−クロロブチリル、N−イソブチリル、N−o−ニトロシンナモイル、N−ピコリノイル、N−(N’−アセチルメチオニル)、N−(N’−ベンゾイルフェニルアラニル)、N−ベンゾイル、N−p−フェニルベンゾイル、N−p−メトキシベンゾイル、N−o−ニトロベンゾイル、又はN−o−(ベンゾイルオキシメチル)ベンゾイルアミド基を与える)もの:
(c)N−アルキル基(例えば、N−アリル、N−フェナシル、N−3−アセトキシプロピル、N−(4−ニトロ−1−シクロヘキシル−2−オキソ−ピロリン−3−イル)、N−メトキシメチル、N−クロロエトキシメチル、N−ベンジルオキシメチル、N−ピバロイルオキシメチル、N−2−テトラヒドロピラニル、N−2,4−ジニトロフェニル、N−ベンジル、N−3,4−ジ−メトキシ−ベンジル、N−o−ニトロベンジル、N−ジ(p−メトキシフェニル)メチル、N−トリフェニルメチル、N−(p−メトキシフェニル)−ジフェニルメチル、N−ジフェニル−4−ピリジルメチル、N−2−ピコリルN’−オキシド、又はN−ジベンゾスベリル基)を形成するもの;
(d)N−ホスフィニル及びN−ホスホリル基(例えば、N−ジフェニルホスフィニル、N−ジメチルチオホスフィニル、N−ジフェニルチオホスフィニル、N−ジエチル−ホスホリル、N−ジベンジルホスホリル、又はN−フェニルホスホリル基)を形成するもの;
(e)N−スルフェニル基(例えば、N−ベンゼンスルフェニル、N−o−ニトロ−ベンゼンスルフェニル、N−2,4−ジニトロベンゼンスルフェニル、N−ペンタクロロベンゼンスルフェニル、N−2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェニル、又はN−トリフェニルメチル−スルフェニル基)を形成するもの;
(f)N−スルホニル基(例えば、N−ベンゼンスルホニル、N−p−ニトロベンゼンスルホニル、N−p−メトキシベンゼンスルホニル、N−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル、N−トルエンスルホニル、N−ベンジルスルホニル、N−p−メチルベンジルスルホニル、N−トリフルオロメチルスルホニル、又はN−フェナシルスルホニル基);を形成するもの及び
(g)N−トリメチルシリル基を形成するもの;
を含む。
【0031】
好ましいアミノ保護基は、上述のカルバメート、N−アルキル及びN−スルホニル基を与えるものを含む。従って、具体的な保護基は、tert−ブトキシカルボニル(カルバミン酸tert−ブチル基を形成する)、ベンゼンスルホニル、4−ニトロベンゼンスルホニル、及び3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、(ベンジル)ベンジル(例えば(4−ベンジル)−ベンジル)のような所望により置換されたベンジル基、そして特に置換されていないベンジル基を含む。
【0032】
の好ましい意義は、アミノ保護基、又は式Iaの構造的断片を含み、ここにおいて:
は、H、ハロ、C1−3アルキル、−OR、−N(H)Rであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−3アルキルであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−(置換されていてもよいフェニル)又は−E−Hetであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−(置換されていてもよいフェニル)、−C(O)R10a、−C(O)OR10b、S(O)10c、−C(O)N(R11a)R11b又は−C(NH)NHであり;
10aないしR10cは、独立にC1−6アルキルであるか、又はR10aは、Hであり;
11aとR11bは、独立にH又はC1−4アルキルであり;
Eは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、直接結合又はC1−2アルキレンであり;
Aは、−J−、−J−N(R12a)又は−J−O−であり;
Bは、−Z−、−Z−N(R13b)、−Z−S(O)−、又は−Z−O−であり;
Jは、C1−4アルキレンであり;
Zは、直接結合又はC1−3アルキレンであり;
12aとR13bは、独立にH又はC1−4アルキルであり;
nは、0又は2であり;
は、フェニル又はピリジルであり、この基の両方は、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−NH、-C(O)N(R15e)R15f、−N(R15g)C(O)R15h及び−N(R15m)S(O)−R14bから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
14bは、C1−3アルキルであり;
15eないしR15mは、本明細書中で使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−4アルキルであり;
HetないしHetは、=O、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−N(R16a)R16b、−C(O)R16及びC(O)OR16dから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
16aないしR16dは、独立にH、C1−4アルキル又はアリールであり;
アリールとアリールオキシ基上の所望による置換基は、他に記述しない限り、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基である。
【0033】
更に好ましいRの意義は、アミノ保護基、又は式Iaの構造的断片であり、ここにおいて:
は、H、メチル、−OR又は−N(H)Rであり;
は、H又はメチルであり;
は、H、C1−2アルキル又はフェニル(このフェニル基は、シアノとC1−4アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)であり;
は、H、C1−2アルキル、フェニル(このフェニル基は、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)、−C(O)−R10a又は−C(O)O−R10bであり;
10aとR10bは、独立にC1−6アルキルであり;
Aは、C1−4アルキレンであり;
Bは、−Z−、−Z−N(R13b)−、−Z−S(O)−又は−Z−O−であり;
13bは、H又はメチルであり;
は、ピリジル又はフェニルであり、この後者の基は、ハロ、又は特にシアノ、ニトロ、C1−2アルコキシ、NH及び−N(H)S(O)CHから選択される一つないし三つの置換基によって置換されていてもよい。
【0034】
なお更に好ましいRの意義は、アミノ保護基、又は式Iaの構造的断片を含み、ここにおいて:
は、H、−OR又は−N(H)Rであり;
は、H又はフェニル(シアノとC1−2アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)であり;
は、H、フェニル(一つ又はそれより多いシアノ基によって置換されていてもよい)又は−C(O)O−C1−5アルキルであり;
Aは、C1−3アルキレンであり;
Bは、−Z−、−Z−N(H)−、−Z−S(O)−又は−Z−O−であり;
は、パラ位(Bに対して)においてシアノによって置換され、そしてオルト位(Bに対して)においてフルオロによって置換されていてもよいフェニル(例えばBに対してオルト及び/又は、特に、パラ位においてシアノによって置換されたフェニル)である。
【0035】
の特に好ましい意義は、アミノ保護基、又は式Iaの構造的断片を含み、ここにおいて:
は、H又は−OHであり;
は、Hであり;
Aは、CHであり;
Bは、−Z−、−Z−N(H)−又は−Z−Oであり;
Zは、直接結合又はC1−2アルキレンであり;
は、2−フルオロ−4−シアノフェニル又は、特にパラ−シアノフェニルである。
【0036】
の特に好ましい意義は、アミノ保護基、又は以下の副構造:
【0037】
【化5】

【0038】
を含む。
本発明の別の態様において、記述することができるRの意義は、以下の副構造:
【0039】
【化6】

【0040】
を含む。
本発明の方法は、最も好ましくは、Rが、ベンジルのような上記で定義したとおりのアミノ保護基である式Iの塩を得るために行われる。
【0041】
Dの好ましい意義は、−(CH−又は、特に−(CH-を含む。
の好ましい意義は、C1−6アルキル、特に飽和のC1−6アルキルを含む。
の更に好ましい意義は、飽和のC3−5アルキル、特にtert−ブチルのような飽和のCアルキルを含む。
【0042】
の好ましい意義は、C1−3アルキル(例えばメチル)、ハロ及びニトロから選択される一つ又はそれより多い(例えば一つないし三つ)置換基(例えば一つ)によって置換されていてもよいフェニル、特に置換されていないフェニル、メチルフェニル(4−メチルフェニルのような)又はトリメチルフェニル(2,4,6−トリメチルフェニルにような)を含む。
【0043】
の最も好ましい意義は、2,4,6−トリメチルフェニルである。
本発明の別の態様において(例えばDが−(CH−である場合)、Rは、4−ハロフェニル(例えば4-クロロフェニル)である。
【0044】
従って、式Iの特に好ましい塩は、以下の式Ib:
【0045】
【化7】

【0046】
[式中、Rは、上記で定義したとおりである]
の塩、又はその水和物を含む。
本発明の別の態様において、記述することができる他の式Iの塩は、以下の式Ic:
【0047】
【化8】

【0048】
[式中、Rは、上記で定義したとおりである]
の塩、又はその水和物を含む。
SOアニオンのモル量が、式IIの化合物のモル量に概略等しいことが好ましい。これに関して、RSOアニオンと式IIの化合物のモル比が、好ましくは12:10ないし10:11のような、15:10ないし10:15のいずれかの値(例えば約1:1)である。
【0049】
水性混合物のpHの調節が行われる場合(上記工程(2))、混合物が調節されるpHは、好ましくは4ないし7のいずれかの値(例えば5ないし7)である。
水性混合物のpHが調節される場合、好ましくは弱い水溶性の酸が、調節を行うために使用される。用語“弱い水溶性の酸”は、本明細書中で使用される場合、1mg/mL又はそれより大きい水中の溶解度と2ないし7(好ましくは3ないし5)のいずれかの値のpKa(水中で測定された)を有する酸に対する言及を含む。これに関して、記述することができる好ましい弱い水溶性の酸は、酢酸又は、特にクエン酸のようなカルボン酸を含む。
【0050】
式Iの塩、又はその溶媒和物は、本明細書中で以下に記載されるもののような当業者にとって既知の方法(例えば濾過)によって単離することができる。
本発明の第1の側面の好ましい態様において、式IIとIIIの化合物の混合物は、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物の、以下の式IV:
【0051】
【化9】

【0052】
[式中、D、R及びRは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物との、溶媒と塩基の存在下の不完全な反応によって得られる。
式IIIとIVの化合物の反応のために適した塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属炭酸水素塩のような水溶性の塩基を含む。特に好ましい塩基は、水酸化カリウム、又は特に水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物を含む。
【0053】
SOアニオンが、式IIIとIVの化合物の反応の副生成物である(即ち、これらは、式IVの化合物からの求核置換によって製造される)ことを当業者は認識するものである。
【0054】
これらのアニオンが、本発明の第1の側面による方法の工程(1)において使用されることは可能である。従って、式IIとIIIの化合物の混合物が、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物の、式IVの化合物との不完全な反応によって得られる場合、上記工程(1)の水性分散物中に存在するRSOアニオンが、式IVの化合物に由来することが好ましい。
【0055】
“式IVの化合物に由来する”によって、本発明者等は、上記工程(1)のRSOアニオンが、式IIIとIVの化合物の反応によって、全体的又は部分的のいずれかで得られる(式IVの化合物からのRSOの求核置換による)ことを意味する。工程(1)で使用される実質的にすべての(例えば95%より多い)RSOアニオンが、この方法で式IVの化合物から誘導されることが特に好ましい。
【0056】
本発明の第1の側面による方法の工程(1)において使用するために好都合な形態で式IVの化合物に由来するRSOアニオン得る一つの方法は、式IIIとIVの化合物の反応において、塩基と水性溶媒系を使用することである。この方法において、RSOアニオンは、一旦形成されると、水性溶媒系中に分散させることができる。
【0057】
従って、本発明の第1の側面の特に好ましい態様において、式IIとIIIの化合物の混合物は、式IIIとIVの化合物との、水相と塩基の存在下の不完全な反応によって得られる。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語“水相の存在下”は:
(a)単相性で、そして水性溶媒系に基づく(例えば本質的にこれからなる)、即ち単相性水性溶媒系を形成する;又は
(b)部分的に水性で、そして二相性、即ち一つが水性溶媒系に基づき(例えば本質的にこれからなる)、そして他方が有機溶媒系に基づく(例えば本質的にこれからなる)、二つの非混和性の相からなる二相系を形成する;
溶媒系の存在下で行われる反応に対する言及を含む。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語“有機溶媒系”は、単一の有機溶媒、並びに二つ又はそれより多い有機溶媒の混合物に対する言及を含む。これに関連して記述することができる有機溶媒は:ジ(C1−6アルキル)エーテル(例えばジエチルエーテルのようなジ(C1−4アルキル)エーテル)、C1−6アルキルアセテート(例えばC1−4アルキルアセテート、例えば酢酸エチルのような);塩素化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素のような塩素化されたC1−4アルカン);ヘキサン;石油エーテル:ベンゼン及びモノ−、ジ−又はトリ−アルキルベンゼン(例えばメシチレン、キシレン、又はトルエン)のような芳香族炭化水素;及び、これらの混合物を含む。好ましい有機溶媒系は、ベンゼン又は、特にトルエンを含む。
【0060】
単相性水性溶媒系において行われる場合、式IIIとIVの化合物間の不完全な反応は、水性溶媒系中に分散された式IIとIIIの化合物、並びにRSOアニオンの供給源(式IVの化合物からのスルホン酸基の求核置換による)の混合物を、直接的に与えることができる。
【0061】
従って、本発明の第2の側面によれば、本明細書中で先に定義したとおりの式Iの塩、又はその溶媒和物を製造するための方法が提供され、この方法は:
(I)塩基、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、本明細書中で先に定義したとおりの式IVの化合物間の反応を、単相性水性溶媒系の存在下で行い;
(II)必要な場合、得られた水性分散物のpHを、3ないし8のいずれかの値に調節し;そして
(III)それによって形成された、式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離すること;
を含んでなる。
【0062】
本発明のこの側面において、式Iの塩、塩基及びpHの調節に対する選択は、本発明の第1の側面に関して上記に記載したものと同じである。
上記工程(1)が、塩基、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、本明細書中で先に定義したとおりの式IVの化合物間の不完全な反応を、単相性の水性溶媒系の存在下で行うことを含んでなることが好ましい。
【0063】
上記工程(I)の後、上記工程(II)の前又は後のいずれかに、式Iの塩の制御された沈澱を容易にするために、水混和性アルコール(例えば、水混和性有機溶媒に関して先に記述したもののようなアルコール(例えばイソプロパノール))が、反応混合物に所望により加えられる。水混和性アルコールは、工程(I)において使用された水性溶媒系が、C1−4アルキルアルコールを含んでいたか否かに関わらず加えることができるが、しかし、使用される場合、好ましくは、水混和性アルコール(類)が得られる溶媒系の2ないし30容量/容量%(例えば5ないし18容量/容量%)であるような量で加えられる。
【0064】
式IIIとIVの化合物間の反応が、塩基と、部分的に水性で、そして二相性である溶媒系の存在下でが行われる場合、得られた式IIとIIIの化合物の混合物は、RSOアニオンの供給源(これは典型的には水相に属するものである)とは異なった相(例えば有機相)中に属する。従って、本発明の第1の側面による方法の工程(1)に記載された水性分散物を得るために、これらの状況下で、式IIとIIIの化合物を水性溶媒系中に抽出することが好都合である。
【0065】
従って、本発明の第3の側面によれば、本明細書中で先に定義されたとおりの式Iの塩、又はその溶媒和物を製造するための方法が提供され、この方法は:
(A)塩基、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、本明細書中で先に定義したとおりの式IVの化合物間の反応を、塩基と部分的に水性で、そして二相性である溶媒系の存在下で行い;
(B)工程(A)実行の後に得られた第1の有機相と第1の水相を分離し、そしてこれらの相の両方を保持し;
(C)第1の有機相を酸の水溶液で抽出して、第2の水相を製造し;
(D)第2の水相を分離し、そして次いでこれを第1の水相と混合して、沈澱混合物を製造し;
(E)必要な場合、沈澱混合物のpHを3ないし8のいずれかの値に調節し;そして次いで
(F)これによって形成された、式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離すること;
を含んでなる。
【0066】
本発明のこの側面においても、式Iの塩、塩基及びpH調節に対する選択は、本発明の第1の側面に関して先に記載したものと同じである。
再び、上記の工程(A)が、塩基、本明細書中で先に定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、本明細書中で先に定義したとおりの式IVの化合物間の不完全な反応を、塩基と、部分的に水性で、そして二相性である溶媒系の存在下で行うことを含んでなることが好ましい。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語“不完全な反応を行うこと”は、75ないし99.9%完結(例えば95ないし99%のような90ないし99.9%完結)間のいずれかの反応を行うことに対する言及を含む。疑義の回避のために、完結パーセントは、反応混合物中に存在する最も低い数のモル当量を有する試薬(これは、ある態様において、式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物であることができる)の消費の対して計算される。更に、式IIIとIVの化合物間の反応は、式IIの化合物(又は、使用される条件によるが、式Iの塩)を得るように行われる。
【0068】
疑義の回避のために、部分的に水性で、そして二相性である溶媒系(即ち上記工程(A)において使用される)は、一つは先に定義したような本質的に水性溶媒系からなり、そして他方は、これも先に定義したような有機溶媒系からなる、二つの別個の非混和性の相を含んでなる。本発明のこの側面において使用することができる好ましい水性溶媒系は、水を含む。
【0069】
塩基は、工程(A)において固体として、又は、好ましくは水溶液の形態で使用することができる。塩基が水溶液として使用される場合、溶液のモル濃度は、1ないし5M、例えば2ないし4Mの範囲、そして好ましくは約2.5Mのような2.25ないし3.5M間である。このような水溶液が使用される場合、これは、上記工程(A)の溶媒系(即ち部分的に水性で、そして二相性である溶媒系)の水相の一部又は、好ましくは全体を構成することができる。
【0070】
塩基は、工程(A)において、式IIIの化合物に、式IVの化合物の添加の前に、同時に、又は後で加えることができる。式IVの化合物の添加後に加えられる場合、塩基は、実質的に一括で、又は3時間ないし6時間のような、30分ないし8時間のいずれかの時間をかけて加えることができる。好ましくは、塩基は、実質的に一括で式IVの化合物の添加の前に加えられる。
【0071】
使用される塩基の量は、好ましくは式IIIとIVの化合物間の反応によって作られるスルホン酸を中和するために十分な量である(例えば使用される式IIIの化合物の量に対して少なくとも等モルである量)。更に、式IIIの化合物が塩の形態で存在する場合、使用される塩基の量は、式IIIの化合物の遊離塩基の形態を遊離するために十分でなければならない(例えば式IIIのジプロトン化された塩が使用される場合、使用される塩基の量は、好ましくは式IIIの塩の量と比較して少なくとも3モル当量である)。
【0072】
式IIIの化合物の二ハロゲン化水素酸(例えば二塩酸)塩が使用される場合、式IIIの化合物と塩基の化学量論比は、好ましくは1:2ないし1:5の範囲、特に10:32ないし10:33又はその近辺のような1:3ないし1:4の範囲である。
【0073】
上記工程(A)の二相性溶媒系の有機溶媒成分は、式IVの化合物の添加の前に、同時に、又は後で式IIIの化合物に加えることができる。
式IVの化合物は、上記工程(A)の反応混合物に、固体として加えることができる。この場合、二相性溶媒系の有機溶媒は、反応混合物に式IVの化合物の添加の前に、最中に又は後で(例えば前又は後のいずれか)加えることができる。別の方法として、式IVの化合物は、溶液の形態で、例えば二相性溶媒系の有機相を全体的に又は、好ましくは部分的に形成することになる有機溶媒中に溶解して加えることができる。この場合、式IVの化合物は、別個の容器中で有機溶媒と混合することができ、そして得られた溶液を温めて(例えば28ないし40℃のいずれかの温度に)、式IVの化合物の溶解を促進することができる。
【0074】
式IIIとIVの化合物間の反応(即ち上記工程(A))は、周囲温度で、又はそれより上(例えば10ないし100℃のいずれかの温度、好ましくは25ないし90℃、そして特に50ないし80℃)で行うことができる。例えば、使用される溶媒系が、水とトルエンの混合物である場合、反応は、55ないし75℃(60ないし70℃のような)いずれかの温度で行うことができる。
【0075】
反応混合物は、特に使用される試薬の濃度と反応温度によるが、規定された温度で、1時間ないし24時間のようないずれかの時間、例えば4ないし16時間撹拌することができる。当業者は、反応の温度が、工程(a)の完結時間に影響するものであることを認識するものである。例えばより低い温で反応を行うことは、反応がより高い温度で行われる場合に必要なものより長い反応時間を必要とすることができる(そして逆も真である)。
【0076】
式IIIの化合物と式IVの化合物の化学量論比は、好ましくは3:2ないし2:3の範囲、特に20:21のような1:1ないし4:5の範囲である。
上記工程(B)において、第1の水相からの第1の有機相の分離は、好ましくは、式IIIとIVの化合物間の反応(即ち工程(A)−上記参照)と同じ温度で行われる。
【0077】
上記工程(C)において使用される酸が、本明細書中で先に本発明の第1の側面に関して定義したもののような弱い水溶性の酸であることが好ましい。
上記工程(C)において使用される酸の量は、好ましくは第1の有機相中に存在する式IIの化合物と式IIIの化合物の実質的にすべての化合物を第2の水相中に抽出するために十分な量である。式IIIの化合物(上記工程(A)において使用される量)と酸の化学量論比は、従って酸が三価(例えばクエン酸)である場合、好ましくは2:1ないし3:1のいずれかの値(例えば17:10ないし12:10のような18:10ないし10:25)である。
【0078】
本発明の第1ないし第3の側面による方法において、記述することにできる式IIIの化合物の溶媒和物は、水和物を含む。記述することができる式IIIの化合物の塩は、一又は二ハロゲン化水素酸塩(例えば二塩酸塩)のような酸付加塩を含む。記述することができる式IIIの化合物の塩の溶媒和物は、一又は、特に半水和物のような水和物を含む。
【0079】
他に記述しない限り、酸と塩基に関して本明細書中でモル当量と化学量論比が引用された場合、これらは、酸又は塩基のモル当り1モルのみの水素イオンをそれぞれ提供又は受容する酸と塩基の使用を仮定している。1モルより多い水素イオンを供与又は受容する能力を有する酸又は塩基の使用は企図されており、そして引用されたモル当量又は化学量論比の対応する再計算が必要となる。従って、使用される酸がジプロトン性である場合、モノプロトン性の酸が使用される場合と比較して、半分のモル当量のみが必要となるものである。同様に、二塩基性の化合物(例えばNaCO)の使用は、一塩基性化合物(例えばNaHCO)が使用される場合に必要なものと比較して、半分のモル量の使用される塩基が必要である、等である。
【0080】
工程(C)の抽出は、周囲温度で、又はそれより上で、好ましくは室温ないし75℃のいずれかの温度で、好ましくは40℃又はその近辺のような、30ないし60℃で行われる。
【0081】
好ましくは、第1の水相と第2の水相が混合される場合(上記工程(D))、更なる水及び/又は水混和性アルコール(例えば水混和性有機溶媒に関して先に記述したもののようなアルコール)が、これが得られる沈澱混合物中に存在するように加えられる。
【0082】
好ましい水混和性アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノールと、特にイソプロパノールを含む。水混和性アルコールは、好ましくは得られた沈澱混合物中に、2ないし30容量/容量%(例えば5ないし18容量/容量%)の量で存在する。
【0083】
更なる水及び/又は水混和性アルコールは、好ましくは第1の水相に、この相が第2の水相と混合される前に加えられる。本発明の別の態様において、そして水と水混和性アルコールの両方が第1の水相に加えられる場合、水の供給は、式IIIとIVの化合物間の反応の前に又は反応の最中に加えられ、そして水混和性アルコールの供給は、第1の水相に、この相が第1の有機相から分離された後にのみ加えられる(即ち上記工程(B)の後)。
【0084】
更に、第1と第2の水相が上昇した温度(例えば60ないし80℃のいずれかの温度のような50℃より上(例えば70ないし80℃又は65ないし75℃)で混合されることが好ましい。好ましくは、第2の水相が、第1の水相に加えられる。二つの水相が上昇した温度で混合される場合、第1の水相が、上昇した温度に加熱され、その後、第2の水相が、上昇した温度を実質的に維持するような速度で加えられることが好ましい。第1と第2の水相が混合される場合、上昇した温度(混合過程において使用された場合)は、10分から2時間のようないずれかの長さの時間、好ましくは約1時間維持することができる。
【0085】
pHの調節が行われる(即ち上記工程(E))場合、pHは、本発明の第1の側面に関して本明細書中で先に記載したように調節される。
上記(F)において単離された式Iの固体の塩は、沈澱混合物を静置させる、及び/又は第1と第2の水相を混合する場合に上昇した温度が使用された場合、沈澱混合物を周囲温度又はそれより低く(例えば5ないし25℃のような0ないし30℃のいずれかの温度に)冷却させることによって形成される。このような場合、沈澱混合物は、30分ないし12時間のいずれかの長さの時間、好ましくは4時間又はその近辺のような2ないし6時間冷却され、又は冷却させられる。
【0086】
工程(F)の単離は、例えば本明細書中で以下に記載するように、濾過及び/又は溶媒の蒸発のような既知の技術を使用して行うことができる。
式Iの塩は、所望する場合、水及び/又は水混和性の低級(例えばC1−6)アルキルアルコール、好ましくはC1−4アルキルアルコール、例えばイソプロパノールのような所望により分枝したプロピルアルコールのような適した溶媒系からの再結晶によって更に精製することができる。
【0087】
別の方法として、精製は、式Iの塩を、再結晶化に関して本明細書中で先に記述したもののような溶媒で洗浄することによって行うことができる。
本発明の第2の側面において(式IIIとIVの化合物間の、単相性水性溶媒系の存在下の反応による式Iの塩の製造)、塩基及び式IIIとIVの化合物は、如何なる順序ででも混合することができる。更に、これらの成分の化学量論比は、本発明の第3の側面に関して本明細書中で先に記載したとおりであることができる。更に、本発明の第2の側面において使用される反応条件は、関連する場合、本発明の第3の側面において使用されるものと同様であることができる(例えば反応時間と温度に関して)。
【0088】
本発明の第2の側面の使用される場合の工程(II)と、工程(III)は、好ましくは式IIIとIVの化合物間の反応が実質的に完結した時点で行われる。
pHの調節(即ち本発明の第2の側面の工程(II))は、本発明の第1の側面に関して本明細書中で先に記載したとおりに(即ち上記工程(I)から得られた水性混合物に、本明細書中で先に定義したとおりの水溶解性酸の添加によって)行うことができる。
【0089】
更に、式Iの固体の塩の形成は、工程(I)と(II)から得られた混合物を冷却し、及び/又は本明細書中で先に定義したとおりの水混和性アルコールを加えることによって更に促進することができる。
【0090】
疑義の回避のために、用語“単相性水性溶媒系”は、本明細書中で使用される場合、溶媒のみに関して単相であることを指す。即ち、この用語は、本明細書中で試薬又は生成物として示された成分の物理的形状に関係せず(これらの成分が、水性溶媒系の相と別個の形態の固体又は油状物である場合でさえ)に適用される。
【0091】
本発明の最初の三つの側面のすべてに共通である技術的特徴は、プロトン化された“一置換”オキサビスピジンを、プロトン化された“N,N’−二置換”オキサビスピジンからある種のスルホン酸アニオンの存在下で分離するための水性溶媒系の使用である。
【0092】
この側面において、そして本発明の第4の側面によれば、以下の式IIa:
【0093】
【化10】

【0094】
[式中、D、R及びRは、本明細書中で先に定義したとおりである]
のカチオンを含有する本明細書中で先に定義したとおりの式Iの塩を、このカチオンと以下の式IIIa:
【0095】
【化11】

【0096】
[式中、Rは、本明細書中で先に定義したとおりである]
のカチオンを含んでなる混合物から単離する方法における、本明細書中で先に定義したとおりの水性溶媒系の使用が提供され、この方法は:
(a)式IIaとIIIaのカチオンの混合物を、本明細書中で先に定義したとおりの水性溶媒系と、Rが本明細書中で定義したとおりであるRSOアニオンの供給源と接触させ;
(b)必要な場合、得られた混合物のpHを3ないし8のいずれかの値に調節し;そして
(c)これによって形成された式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離すること;
を含んでなり、この塩は、式IIaのカチオンを含有する。
【0097】
先に記述したように、記述することができる式Iの化合物の溶媒和物は、水和物(例えば一水和物)を含む。
本発明のこの側面において、式Iの塩、pHの調節及びRSOアニオンの供給源のための選択は、本発明の第1の側面に関して先に記載したものと同じである。更に、水性溶媒系が、上記工程(a)と(b)に記載した混合物中に存在する唯一の溶媒(類)を提供することが好ましい。
【0098】
当業者は、それぞれの式IIaとIIIaのカチオンは、常に対アニオンと結合するものであるが、しかしカチオンと対アニオンは、片方及び/又は他方が溶媒和された場合(例えば水溶液中で)、互いに解離することができることを認識するものである。
【0099】
これに関して、式IIaとIIIaのカチオンの混合物は、例えば一つの塩が式IIaのカチオンを含有し、そして他方が式IIIaのカチオンを含有し、それぞれのカチオンが一つ又はそれより多い対アニオンと結合している二つの塩を含んでなる混合物中に見出すことができる。この塩の混合物は、固体の混合物の形態で又は本明細書中で先に定義したとおりの水性溶媒系中の溶液として、本発明の第4の側面による方法において使用することができる。
【0100】
本発明の第4の側面による方法は、例えば、ハロゲン化物、クエン酸塩及び/又はRが本明細書中で先に定義したとおりであるRSOアニオンを含む一つ又はそれより多いいずれかの対アニオンを組込んだような、式IIaと式IIIaのカチオンを含んでなる塩の混合物を構想する。しかしながら、本発明の第4の側面の特に好ましい態様において、上記(a)と(b)中に記載された混合物中に存在する唯一のアニオンは、RSOアニオン、及び所望により、ハロゲン化物とクエン酸塩アニオンの一つ又は両方である。
【0101】
式IIIとIVの化合物は、国際特許出願WO01/028992、WO02/028864、WO02/083690及びWO2004/035592中に記載されているもののような当業者にとって既知の技術によって製造することができ、これらの開示は、参照として本明細書に取込まれる。
【0102】
例えば、式IIIの化合物は、以下の式V:
【0103】
【化12】

【0104】
[式中、Rは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物、又は保護された(例えばN−ベンゼンスルホニル又はN−ニトロベンゼンスルホニル(例えばN−4−ニトロベンゼンスルホニル))その誘導体の脱水的環化によって製造することができる。環化は、WO02/083690中に記載されているもののような条件下(例えば強酸(例えばメタンスルホン酸又は硫酸)のような脱水剤と、反応に不活性な有機溶媒(例えばトルエン又はクロロベンゼン)の存在下で)で行うことができる。
【0105】
がH又はアミノ保護基である式IIIの化合物は、別の方法として、以下の式VI:
【0106】
【化13】

【0107】
[式中、R1aは、H又はアミノ保護基であり(本明細書中で先に定義したとおりの)、そしてLは、適当な脱離基(例えばヨードのようなハロ)である]
の化合物の、アンモニア又は保護されたその誘導体(例えばベンジルアミン)との、例えばChem. Ber. 96(11), 2827 (1963)中に記載されているもののような条件下の反応のような既知の技術によって、又はそれに類似した技術によって製造することができる。
【0108】
が式Iaの構造的断片である式IIIの化合物は、別の方法として、RがHである式IIIの化合物(即ち化合物9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン)、又は他の窒素原子において保護されている誘導体の、以下の式VII:
【0109】
【化14】

【0110】
[式中、Lは、脱離基(例えばメシラート、トシラート、メシチレンスルホナート又はハロ)であり、そしてR、R、R、AとBは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物との、例えばWO02/083690中に記載されているもののような反応条件下(例えば、上昇した温度(例えば35℃ないし還流温度間)で、適した塩基(例えばトリエチルアミン又は炭酸カリウム)と適当な溶媒(例えばエタノール、トルエン又は水(又はこれらの混合物)))の存在下の反応によって製造することができる。
【0111】
が、AがCアルキレンであり、そしてRとRが、一緒に=Oである式Iaの構造的断片である式IIIの化合物は、別の方法として、9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、又はN−保護されたその誘導体の、以下の式VIII:
【0112】
【化15】

【0113】
[式中、RとBは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物との、例えばWO02/083690中に記載されたもののような条件下(例えば、室温で、適した有機溶媒(例えばエタノール)の存在下)の反応によって製造することができる。
【0114】
が、AがCHであり、そしてRが−OH又は−N(H)Rである式Iaの構造的断片である式IIIの化合物は、別の方法として、9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、又はN−保護されたその誘導体の、以下の式IX:
【0115】
【化16】

【0116】
[式中、Yは、−O−又は−N(R)−であり、そしてR、R、R及びBは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物との、例えばWO02/083690中に記載されているもののような反応条件下(例えば、上昇した温度(例えば60℃ないし還流間)で、適した溶媒(例えば水、イソプロパノール、エタノール又はトルエン(又はこれらの混合物)))の存在下の反応によって製造することができる。
【0117】
が式Iaの構造的断片である他の式IIIの化合物は、別の方法として、既知の技術によって、例えばWO01/028992中に記載されている技術によって、又は対応するビスピジン化合物への及び/又はその中の(適宜に)対応する側鎖の導入及び/又は化学転換のための当技術において既知の関連する方法との類似性によって、例えばこれらの文献のすべての開示が参照によって本明細書に取込まれる国際特許出願WO99/031100、WO00/076997、WO00/076998、WO00/076999及びWO00/077000中に記載されているように製造することができる。
【0118】
式IVの化合物は、対応する以下の式X:
【0119】
【化17】

【0120】
[式中、DとRは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物の、以下の式XI:
−S(O)−L XI
[式中、Lは、脱離基(例えばクロロのようなハロ)であり、そしてRは、本明細書中で先に定義したとおりである]
の化合物との、例えばWO02/083690中に記載されているもののような反応条件下の反応によって製造することができる。
【0121】
式V、VI、VII、VIII、IX、X及びXIの化合物、及びその誘導体は、商業的に入手可能であるか、文献中で既知であるか(例えば式V、VI、VII及びIXの化合物の製造は、WO02/083690中に記載されている)、又は既知の技術による慣用的な合成方法によって、容易に入手可能な出発物質から適当な試薬と反応条件を使用して得ることができるかのいずれかである。
【0122】
先に記述したように、本発明の方法は、好ましくはRがベンジルのようなアミノ保護基である式Iのスルホン酸塩を製造するために行われる。
がアミノ保護基である式Iの塩は、更に塩の中和(即ち式IIの遊離塩基の遊離によって)、アミノ保護基の除去、そして次いで式IaのR基の導入によって作り上げることができる。
【0123】
従って、本発明の以下の三つの更なる側面が提供される。
(I)本明細書中で先に定義したとおりの式IIの化合物の製造のための方法であって、この方法は、式Iの対応するスルホン酸塩の製造のために本明細書中で先に記載した方法、それに続くこの塩の中和を含んでなる。
【0124】
(II)RがHである本明細書中で先に定義した式IIの化合物の製造のための方法であって、この方法は、Rがアミノ保護基である式Iの対応するスルホン酸塩の製造のための本明細書中で先に記載したとおりの方法、それに続くこの塩の中和、そして次いでアミノ保護基の除去を含んでなる。
【0125】
(III)Rが:
a)式Iaの構造的断片;
b)AがCアルキレンであり、そしてRとRが、一緒に=Oである式Iaの構造的断片;又は
c)AがCHであり、そしてRが−OH又は−N(H)Rである式Iaの構造的断片;
である本明細書中で先に定義したとおりの式IIの化合物の製造のための方法であって、この方法は、RがHである式IIの対応する化合物の製造のための上記(I)と(II)のいずれかによる方法、それに続くその化合物のそれぞれ:
1)本明細書中で先に定義したとおりの式VIIの化合物、
2)本明細書中で先に定義したとおりの式VIIIの化合物、又は
3)本明細書中で先に定義したとおりの式IXの化合物
との反応を含んでなる。
【0126】
上記の方法(III)において、R(式Iaの構造的断片)の好ましい意義は、式Iのスルホン酸塩に関して先に詳述した式Iaの断片の好ましい意義を含む。
本発明のこれらの更なる側面において、中和とアミノ保護基の除去は、WO02/083690中に記載されているもののような、当業者にとって既知の条件下で行うことができる。例えば、中和は、塩基(例えばアルカリ金属水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩)との反応によって行うことができる。更に、アミノ保護基がベンジルである場合、この基は、適当な触媒(例えばPd/C又はPt/C)の存在下の水素化によって除去することができる。
【0127】
更に、RがHである式IIの化合物と式VII、VIII又はIXの化合物間のカップリングは、式IIの化合物の製造に関して本明細書中で先に記載した条件下で行うことができる。
【0128】
先に記載した本発明のこれらの更なる側面に加えて、式I又はIIのある種の化合物を、それぞれ式I又はIIのある種の他の化合物から、或いは構造的に関連する化合物から製造することができることを当業者は認識するものである。例えば、Rが式Iaのある種の構造的断片である式I又はIIの化合物を、当技術において既知の関連する方法によって、Rがアミノ保護基又は式Iaの異なった構造的断片である式I又はIIの対応する化合物のそれぞれの相互変換によって(例えば国際特許出願WO99/031100、WO00/076997、WO00/076998、WO00/076999、WO00/077000及びWO01/028992中に記載されている方法との類似性によって)製造することができる。
【0129】
先に記載した方法において、中間体化合物の官能基は、保護基によって保護することができるか、又はそれが必要であることができることは当業者によって認識されるものである。
【0130】
保護することが好ましい官能基は、ヒドロキシとアミノを含む。ヒドロキシのために適した保護基は、トリアルキルシリルとジアリールアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル及びアルキルカルボニル基(例えばメチルカルボニル基及びエチルカルボニル基)を含む。アミノのために適した保護基は、ベンジル、スルホニル(例えばベンゼンスルホニル又は4−ニトロベンゼンスルホニル)、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルのような本明細書中で先に記述したアミノ保護基を含む。
【0131】
官能基の保護と脱保護は、本明細書中で先に記載した反応工程のいずれかの前又は後に行うことができる。
保護基は、当業者にとって周知の技術によって、そして本明細書中の以下に記載されるように除去することができる。
【0132】
保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Chemistry”, edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973)、及び“Protective Groups in Organic Synthsis”, 3rd edition, T.W. Greene & P.G.M. Wutz, Wiley-Interscience (1999)に記載されている。
【0133】
本発明の方法は、式Iの塩、又はその溶媒和物が、多くの所望しない有機物質及び無機物質を含有する混合物から、高純度で選択的に単離される利益を有することができる。
特に、本発明の方法は、更に式Iの塩が、これが形成された反応混合物から直接、制御された結晶化工程によって得ることができる利益を有する。これは、式Iの塩を、高収率で、従来の技術の方法によって必要とされるものである更なる精製方法を省略する方法によって取扱いを容易にする、受容可能な純度及び/又は形態で製造することを可能にする(即ち従来の技術の方法と比較して、減少された数の単位操作を含む方法によって)。
【0134】
更に、本発明の方法は、式Iの塩が、従来の技術において開示されている方法と比較して、より高い収率で、より高い純度で、より短時間で、更に好都合な(即ち取扱いが容易)形態で、より好都合な(例えば取扱いが容易)前駆体から、より低い経費で及び/又は物質(試薬と溶媒を含む)のより少ない使用及び/又は廃棄を伴って製造される利益も更に有する。
【0135】
“実質的に”は、本明細書中で使用される場合、50%より大きい、好ましくは75%より大きい、例えば95%より大きい、そして特に99%より大きいことを意味することができる。
【0136】
用語“相対容量”(rel.vol.)は、本明細書中で使用される場合、使用される試薬のグラム当りの体積(ミリリットル)を指す。
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、しかし如何なる方法ででも制約されるものではない。
【0137】
以下の実施例中のすべての相対容量(rel.vol.)と当量(eq.)は、使用される3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩の量に関して測定される。
【0138】
実施例1
[2−(7−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチルエステル,2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩一水和物
別法I
固体の3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩(200.2g、1.0当量;WO02/083690参照)、水酸化ナトリウム水溶液(2.5M、900mL、4.5相対容量)及び固体の2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)エチル(248.4g、1.05当量;WO02/083690参照)を、反応容器に入れた。攪拌を開始し、トルエン(500mL、2.5相対容量)を入れ、そして反応物を27℃から65℃に20分かけて加熱した。反応物を65℃±5℃に12時間保ち、そして次いで周囲温度で8時間撹拌し、そして24時間静置したまま放置した。混合物を65℃に再加熱し、そして攪拌を停止した。下部の水層(第1の水相)を分離し、そして水(900mL、4.5相対容量)とイソプロパノール(400mL、2相対容量)の混合物に加え、これによって希釈された第1の水相を製造した。
【0139】
元の反応容器中に残された上部のトルエン層(第1の有機相)の温度は、60℃と記録された。次いで冷(20℃)クエン酸水溶液(10重量/容量%、1000mL、5相対容量)をこのトルエン相に加えた。得られた混合物は38℃の温度を有していた。この混合物を5分間撹拌し、そして次いで攪拌を停止して、上部有機相と下部水相(第2の水相)を得た。これらの相を分離し、そして有機相だけを廃棄した。希釈された第1の水相を75℃に加熱した。次いで第2の水相を、温度が70℃より上のままであるような速度で加えた(これは22分を要した)。混合物を75℃で1時間撹拌し、次いで41℃に4時間かけて冷却させた。次いで混合物を65時間攪拌した。23℃となった混合物を濾過した。フィルターケーキを、水(800mL、4相対容量、水温は22℃であった)、そして次いで冷イソプロパノール(800mL、4相対容量、IPAの温度は5℃であった)による置換によって洗浄した。ケーキをフィルター上で40分間吸引乾燥し、次いで固体を真空オーブンに移した。固体を真空中の50℃で20時間一定重量まで乾燥した。これにより表題化合物を、白色の固体(346.3g、90%)として得た。
KF分析による水=3.4%(一水和物は3.1%を要する)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.44 (9H, s), 2.23 (3H, s), 2.73 (6H, s), 2.74-2.90 (5H, m), 2.95-3.0 (4H, m), 3.4-3.45 (2H, m), 3.65-3.70 (4H, m), 4.19 (2H, s), 4.30 (2H, s), 6.84 (2H, s), 6.95 (1H, bs), 7.40 (5H, s)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.43 (9H, s), 2.17 (3H, s), 2.75 (2H, t), 2.90-2.94 (4H, m), 3.14-3.22 (4H, m), 3.22-3.4 (6H, m), 3.89 (2H, s), 4.13 (2H, s), 6.74 (2H, s), 7.12 (1H, bs), 7.42-7.46 (5H, m)。
【0140】
別法II
固体の3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩(100.1g、1.0当量;WO02/083690参照)を、反応容器中の水酸化ナトリウム水溶液(394gの水中に溶解された44gの固体のNaOH)に加えた。25℃で、固体の2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)エチル(124.0g、1.05当量;WO02/083690参照)を反応容器に入れた。攪拌を開始し、トルエン(100g、1.0相対重量)を入れ、そして反応物を25℃から65℃±3℃に10分かけて加熱した。反応物を65℃±3℃で7時間保った。攪拌を停止し、そして下部の水層(第1の水相)を60−65℃で分離し(少量の界面物質は、有機相と共に保持した)、そして水(450g、4.5相対重量)とイソプロパノール(150g、1.5相対重量)の混合物に加え、これによって希釈された第1の水相を製造した。元の反応容器中に残された上部のトルエン層(第1の有機相)の温度は、60℃と記録された。冷(20℃)クエン酸水溶液(10重量/重量%、500g、5相対重量)をこのトルエン相に加えた。得られた混合物は40℃の温度を有していた。この混合物を5分間撹拌し、そして次いで攪拌を停止して、上部有機相と下部水相(第2の水相)を得た。これらの相を分離し、そして有機相だけを廃棄した。
【0141】
希釈した第1の水相を75℃に加熱した。次いで第2の水相を、温められ希釈された第1の水相に、温度が75℃±5℃の範囲に維持されるように加えた(これは54分を要した)。混合物を75℃±5℃で1時間18分撹拌してから、72℃から68℃に13分かけて自然に冷却させた(この時間中に大量の沈殿物が形成した)。次いでスラリーを68℃から40℃に2時間かけて自然に冷却させ、その後、これを氷/水浴で40℃から5℃に47分かけて冷却し、そして次いで5℃で1時間攪拌した。混合物を濾過し、そしてフィルターケーキを冷(5℃)水(400g、4.0相対容量)、次いで冷(5℃)イソプロパノール(300g、3.0相対重量)による置換によって洗浄した。フィルターケーキをフィルター上の吸引によって37分間乾燥してから、皿に移し、そして放置して、一晩空気乾燥した。次いで得られた固体(195g)を真空オーブン中で50℃で6時間30分一定重量まで乾燥した。これにより、表題化合物を、白色の固体(176.50g、91%)として得た。
KF分析による水=3.26%(一水和物は3.1%を要する)。
【0142】
別法III
固体の3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩(100g、1.0当量;WO02/083690参照)、水酸化ナトリウム水溶液(2.5M、450mL、4.5相対容量)と固体の2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)エチル(117.86g、1.0当量;WO02/083690参照)を、反応容器に入れた。攪拌を開始し、そして反応物を65℃±5℃で6時間加熱した。この時点で、イソプロパノール(200mL、2相対容量)と水(400mL、4相対容量)を反応混合物に加え、次いでこれを75℃に加熱した。クエン酸(10重量/容量%、500mL、5相対容量)を、温度が70℃より上に維持されるようにゆっくりと加えた。クエン酸の添加中、生成物が溶液から沈澱するのが観察された。得られた混合物をゆっくりと室温まで冷却させ、これをこの温度で一晩攪拌した。固体の生成物を濾過によって単離し、そして水(3×200mL、6相対容量)でフィルター上で洗浄した。次いでフィルターケーキを冷イソプロパノール(200mL、2相対容量)で洗浄してから、フィルター上で吸引によって乾燥し、そして次いで真空オーブンに移した。生成物を一定重量まで真空中の50℃で20時間乾燥した。これにより、表題化合物を、白色の固体(168g、87%)として得た。
KF分析による水=3.17%(一水和物は3.1%を要する)。
【0143】
別法IV
22℃の20重量/重量%の水酸化ナトリウム水溶液(1.10moles;220.00g)を、2Lのフラスコに300rpmで撹拌しながら加えた。次いで22℃の水(24.98moles;450.00mL;450.00g)を加えた。得られた混合物の最終温度は23℃であった。固体の3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩(1.00当量;343.38mmols;100.00g;WO02/083690参照)を加え、この時点で混合物の温度は26℃に上昇した。固体の2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)エチル(1.05当量;361.05mmols;124.00g;WO02/083690参照)を加えた(この添加による温度上昇は観察されなかった)。次いで22℃のトルエン(2.17moles;231.21mL;200.00g)を加え、これは混合物の温度を23℃に低下することを起こした。混合物を23℃から65℃±5℃に16分で加熱し、そして次いでこの温度で6時間20分保った。攪拌を停止し、そして相を静置させた(これは55秒を要した)。水相(第1の水相)を有機相から分離し、界面物質を有機相に保持した。分離時の両相の温度は約54℃であった。撹拌下で、10重量/重量%のクエン酸水溶液(260.25mmols;500.00g)をトルエン相に加えて、40℃の温度を有する混合物を得た。次いで混合物の温度を45℃に調節し、この温度で攪拌を停止し、そして相を静置させた(これは49秒を要した)。得られた水相(第2の水相)を有機相から分離し、界面物質を有機相に残した。次いで有機相を廃棄した。22℃のイソプロパノール(2.50mols;191.08mL;150.00g)を第1の水相(その時点で45℃であった)に加えて、47℃の温度を有する混合物を得た。その時点で43℃の第2の水相を、希釈された第1の水相(その時点で44℃の温度を有する)に50秒の時間をかけて加えた。これにより、47℃の最終温度を有する混合物を得た。添加中に、沈澱が形成され、これは最終的に容器中の攪拌を阻害した。撹拌速度を400rpmに増加し、そして混合物を72℃±3℃に加熱した。62℃で混合物は攪拌可能となった。72℃に達した時点で、撹拌速度を350rpmに減少し、そして混合物を72℃±3℃に30分間維持してから、一晩冷却させた。次いで混合物を22℃から5℃に1時間の時間をかけて冷却してから、5℃で55分間保った。生成物を濾過(15cm直径のブフナー漏斗)によって収集し、これは65秒を要した。生成物のケーキを冷(5℃)水(22.20moles;400.00mL;400.00g)で洗浄し、これは35秒を要した。次に生成物のケーキを冷(5℃)イソプロパノール(4.99moles;382.17mL;300.00g)で洗浄し、これは60秒を要した(所望する場合、このイソプロパノール洗浄は、収率を増加するために省略することができるが、しかし潜在的に生成物の純度は減少する)。ケーキを90分かけて吸引して、可能な限り乾燥し、その後、得られた湿った固体(236g)を真空中で(70℃で5時間)乾燥して、表題化合物を、白色の固体(174.4g、90.4g)を得た。所望する場合、70℃の真空中でより長い乾燥時間(例えば59時間)を使用することができて、より低い水含有率(概略0.3重量/重量%の水含有率)の固体が得られる。
KF分析による水=2.8重量/重量%(一水和物は3.1重量/重量%を要する)。
【0144】
混合物の撹拌特性、並びに濾過と洗浄特性を改良するために、例えば以下のような別の冷却特性を、混合物(第1と第2の水性相の)に適用することができる。
反応混合物を室温に(便宜上)一晩冷却した後、混合物を500rpmで撹拌しながら80℃に加熱する。次いで混合物を:
(i)60分の時間をかけて70℃に冷却し;
(ii)30分の時間をかけて70℃から75℃に加熱し;
(iii)60分の時間をかけて75℃から65℃に冷却し;そして
(iv)120分の時間をかけて65℃から5℃に冷却する。
【0145】
次いで得られた混合物を、5℃で2時間保持する。生成物を濾過によって収集し、次いで上記のように洗浄し、そして乾燥する。
実施例2
[2−(7−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ−3−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチルエステル,2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩無水物
固体の3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩(55.0kg、1.0当量;WO02/083690参照)と水酸化ナトリウム水溶液(2.5M、270.3kg、4.5相対容量)を、反応容器(容器1)に入れた。トルエン(79.0kg、1.66相対容量)を加え、そして攪拌を開始した。固体の2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)エチル(71.5kg、1.10mol.当量;WO02/083690参照)を第2の容器(容器2)に入れ、そしてトルエン(171.0kg、3.59相対容量)を加えた。攪拌を開始し、そして混合物を29.3℃に44分かけて加熱して、溶液を形成した。次いで容器2中の29.3℃の溶液を、容器1中の混合物に加えた。次いで容器2にトルエン(45kg、0.95相対容量)を入れ、29.7℃に加熱し、そして次いで容器1中の混合物に加えた。容器1中の混合物を66.0℃に28分かけて撹拌しながら加熱し、そしてこの温度で17時間55分保った。攪拌を停止し、相を66分かけて分離させ、そして下部の水相(第1の水相)を容器(容器3)に64.4℃で送った。脱イオン水(137.5kg、2.5相対容量)とイソプロパノール(86.7kg、2相対容量)を容器3に加え、希釈された第1の水相を得て、これの温度を35℃に調節した。容器1中に保持された有機相(第1の有機相)を17.4℃に冷却し、そしてクエン酸水溶液(0.5M、275.0kg、5相対容量)を加え、そして36分間攪拌した。攪拌を停止し、そして相を25分間で分離させた。下部の水相(第2の水相)を、容器(容器4)に分離し、そして上部の有機相を廃棄した。第1の水相(容器3中)を75.6℃に加熱し、そしてこれに第2の水相を47分かけて(容器3中の温度を70℃より高く維持するような速度で)加えた。容器4に脱イオン水(109.7kg、2相対容量)を入れ、そして濯いで容器3中の混合物に入れた。次いで混合物(最初73.3℃であると観察)を4時間17分かけて20.6℃に冷却してから、10時間33分攪拌した(この時間は、4時間で十分であるが、便宜上使用された)。次いで混合物を濾過して、固体を得た。脱イオン水(330.4kg、6相対容量)による置換洗浄を行った。次いで固体を、フィルター上で真空を適用することによって、そして次いで50℃で66時間加熱することによって乾燥した。これにより、表題化合物を湿った白色の固体(104.40kg取り出し、乾燥重量は92.26kg、87%に等しい)として得た。
【0146】
実施例3
上記の実施例1と2によって製造された物質を、HPLCによって3−ベンジル−9−オキサ−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン(即ち未反応の出発物質)の含有率に対して分析し、そして0.075%より少ない(220nmで測定されたHPLCのピーク面積として)この物質を含有することが見出された。
【0147】
略語
bs =幅広(NMRに関して)
DMSO=ジメチルスルホキシド
Et =エチル
eq. =当量
IPA =イソプロピルアルコール(イソプロパノール)
m =多重線(NMRに関して)
Me =メチル
min.=分(単数又は複数)
mol.=モル
Pd/C=炭素上のパラジウム
Pt/C=炭素上の白金
s =一重線(NMRに関して)
t =三重線(NMRに関して)
接頭辞n−、s−、i−、t−及びtert−は、その通常の意味:ノルマル、第二、イソ、と第三を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

{式中、Rは、H、アミノ保護基又は以下の式Ia:
【化2】

[式中、
は、H、ハロ、C1−6アルキル、−OR、−E−N(R)Rであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−6アルキルであるか、又はRと一緒に=Oであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール、−E−Het、−C(O)R10a、−C(O)OR10b又は−C(O)N(R11a)R11bであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール、−E−Het、−C(O)R10a、−C(O)OR10b、−S(O)10c、−[C(O)]N(R11a)R11b又は−C(NH)NHであり;
は、H、C1−6アルキル、−E−アリール又は−C(O)R10dであり;
10aないしR10dは、使用される場合、それぞれの出現において、独立にC1−6アルキル(ハロ、アリール及びHetから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)、アリール、Hetであるか、または、R10aとR10dは、独立にHであり;
11aとR11bは、使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキル(ハロ、アリール及びHetから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)、アリール、Hetであるか、または、R11aとR11bは一緒に、O原子によって中断されていてもよいC3−6アルキレンであり;
Eは、使用される場合、それぞれの出現において、直接結合又はC1−4アルキレンであり;
pは、1又は2であり;
Aは、直接結合、−J−、−J−N(R12a)−、−J−S(O)N(R12b)−、−J−N(R12c)S(O)−又は−J−O−(この後者の4個の基において、−Jは、オキサビスピジン環の窒素に接続している)であり;
Bは、−Z−{[C(O)]C(H)(R13a)}−、−Z−[C(O)]N(R13b)−、−Z−N(R13c)S(O)−、−Z−S(O)N(R13d)−、−Z−S(O)−、−Z−O−(この後者の6個の基において、Zは、RとRを保有する炭素原子に接続している)、−N(R13e)−Z−、−N(R13f)S(O)−Z−、−S(O)N(R13g)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−(この後者の4個の基において、Zは、R基に接続している)であり;
Jは、−S(O)N(R12d)−又は−N(R12e)S(O)−によって中断されていてもよく、及び/又は−OH、ハロ及びアミノから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい、C1−6アルキレンであり;
Zは、直接結合、または、−N(R13i)S(O)−又は−S(O)N(R13j)によって中断されていてもよいC1−4アルキレンであり;
a、b及びcは、独立に0又は1であり;
nは、0、1又は2であり;
12aないしR12eは、使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキルであり;
13aは、Hであるか、又はR13aは、R基上の一つのオルト−置換基(B基が接続している位置に対してオルト−)と一緒に、O、S、N(H)又はN(C1−6アルキル)によって中断又は終結されていてもよいC2−4アルキレンであり;
13bは、H、C1−6アルキルであるか、又はR13bは、R基上の一つのオルト−置換基(B基が接続している位置に対してオルト−)と一緒に、C2−4アルキレンであり;
13cないしR13jは、使用される場合、それぞれの出現において、独立にH又はC1−6アルキルであり;
は、フェニル又はピリジルであり、これらの両方の基は、−OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル(−N(H)C(O)OR14aによって終結されていてもよい)、C1−6アルコキシ、−N(R15a)R15b、−C(O)R15c、−C(O)OR15d、−C(O)N(R15e)R15f、−N(R15g)C(O)R15h、−N(R15i)C(O)N(R15j)R15k、−N(R15m)S(O)14b、−S(O)N(R15n)R15o、−S(O)14c、−OS(O)14d及び/又はアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
そしてオルト−置換基(Bの接続に対してオルト−)は、
(i)R13aと一緒に、O、S、N(H)又はN(C1−6アルキル)によって中断又は終結されていてもよいC2−4アルキレンであるか、または
(ii)R13bと一緒に、C2−4アルキレンである;
ことができ;
14aないしR14dは、独立にC1−6アルキルであり;
15aとR15bは、独立にH、C1−6アルキルであるか、又は一緒に、4ないし7員の窒素を含有する環となるC3−6アルキレンであり;
15cないしR15oは、独立にH又はC1−6アルキルであり;そして
HetないしHetは、使用される場合、それぞれの出現において、独立に酸素、窒素及び/又は硫黄から選択される一つ又はそれより多いヘテロ原子を含有する5ないし12員の複素環式基であり、この複素環式基は、=O、−OH、シアノ、ハロ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、アリールオキシ、−N(R16a)R16b、−C(O)R16c、−C(O)OR16d、−C(O)N(R16e)R16f、−N(R16g)C(O)R16h、−S(O)N(R16i)(R16j)及び/又は−N(R16k)S(O)16lから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
16aないしR16lは、独立にC1−6アルキル、アリールであるか、又はR16aないしR16kは、独立にHであり;
但し:
(a)RがH又はC1−6アルキルであり;そして
Aが−J−N(R12a)−又は−J−O−である場合:
(i)Jは、Cアルキレン又は1,1−C2−6アルキレンではなく;そして
(ii)Bは、−N(R13b)−、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではなく;
(b)Rが−OR又はEが直接結合である−E−N(R)Rである場合:
(i)Aは、直接結合、−J−N(R12a)−、−J−S−(O)−N(R12b)−又は−J−O−ではなく;そして
(ii)Bは、−N(R13b)−、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではなく;
(c)Aが−J−N(R12c)S(O)−である場合、Jは、Cアルキレン又は1,1−C2−6アルキレンではなく;そして
(d)RがH又はC1−6アルキルであり、そしてAが−J−S(O)N(R12b)−である場合、Bは、−N(R13b)、−N(R13c)S(O)−、−S(O)−、−O−、−N(R13e)−Z−、−N(R13f)S(O)−Z−又は−N(R13h)C(O)O−Z−ではないことを条件とする;]
の構造的断片であり;そして
Dは、分枝していてもよいC2−6アルキレンであり、但し、Dは、1,1−C2−6アルキレンではなく;
は、C1−6アルキル(−OH、ハロ、シアノ、ニトロ及びアリールから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよい)又はアリールであり;そして
は、置換されていないC1−4アルキル、C1−4ペルフルオロアルキル又はフェニルであり、この後者の基は、C1−6アルキル、ハロ、ニトロ及びC1−6アルコキシから選択される一つ又はそれより多い置換基によって置換されていてもよく;
ここにおいて、それぞれのアリールとアリールオキシ基は、他に規定しない限り、置換されていてもよい;}
の塩、又はその溶媒和物を、以下の式II:
【化3】

[式中、D、R及びRは、上記で定義したとおりである]
の化合物、と以下の式III:
【化4】

[式中、Rは、上記で定義したとおりである]
の化合物、又はその塩及び/又はその溶媒和物、を含んでなる混合物から、単離するための方法であって、
(1)水性溶媒系中の
(i)上記で定義したとおりの式IIとIIIの化合物及び
(ii)Rが上記で定義したとおりであるRSOアニオンの供給源
の分散物を用意し;
(2)必要な場合、該水性分散物のpHを3ないし8のいずれかの値に調節し;そして
(3)これによって形成された該式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離する;
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
前記塩が、以下の式Ib:
【化5】

[式中、Rは、請求項1において定義したとおりである]
のもの又はその水和物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がtert−ブチルである、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式IIとIIIの化合物の混合物が、請求項1において定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物の、以下の式IV:
【化6】

[式中、D、RとRは、請求項1において定義したとおりである]
の化合物との、溶媒と塩基の存在下の不完全な反応によって得られる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記式IIとIIIの化合物の混合物が、式IIIとIVの化合物の、水相と塩基の存在下の不完全な反応によって得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(1)の分散物中に存在するRSOアニオンが、式IVの化合物に由来する、請求項4又は請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1において定義したとおりの式Iの塩、又はその溶媒和物を製造するための方法であって:
(A)塩基、請求項1において定義したとおりの式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、請求項4において定義したとおりの式IVの化合物との反応を、塩基と、部分的に水性であり、そして二相性である溶媒系の存在下で行い;
(B)工程(A)の実行後得られた第1の有機相と第1の水相を分離し、そしてこれらの両方の相を保持し;
(C)該第1の有機相を酸の水溶液で抽出して、第2の水相を製造し;
(D)該第2の水相を分離し、そして次いでこれを該第1の水相と混合して、沈澱混合物を製造し;
(E)必要な場合、該沈澱混合物のpHを、3ないし8のいずれかの値に調節し;そして次いで
(F)これによって形成された式Iの固体の塩、又はその溶媒和物を単離すること;
を含んでなる方法。
【請求項8】
工程(A)が、塩基、式IIIの化合物、またはその塩及び/又はその溶媒和物と、式IVの化合物との、塩基と、部分的に水性であり、そして二相性である溶媒系の存在下の不完全な反応を行うことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二相性溶媒系の有機溶媒が、芳香族炭化水素である、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒がトルエンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記式IIIの化合物が、酸付加塩の形態で使用される、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記式IIIの化合物が、二塩酸塩の形態で使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物である、請求項7ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記塩基が水酸化ナトリウムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(C)において使用される酸が、弱い水溶性酸である、請求項7ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記酸がクエン酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1と第2の水相が混合される場合、更なる水及び/又は水混和性アルコールが、これが得られた該沈澱混合物中に存在するように加えられる、請求項7ないし16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記水混和性アルコールが、イソプロパノールである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水とイソプロパノールの混合物から式Iの塩を再結晶する更なる工程を含む、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1において定義したとおりの式IIの化合物の製造のための方法であって、式Iの対応するスルホン酸塩の製造のための請求項1ないし19のいずれか一項において定義した方法、それに続く該塩の中和を含んでなる方法。
【請求項21】
がHである請求項1において定義したとおりの式IIの化合物の製造のための方法であって、Rがアミノ保護基である式Iの対応するスルホン酸塩の製造のための請求項1ないし19のいずれか一項において定義した方法、それに続く該塩の中和、そして次いで該アミノ保護基の除去を含んでなる方法。
【請求項22】
が:
a)式Iaの構造的断片;
b)AがCアルキレンであり、そしてRとRが一緒に=Oである、式Iaの構造的断片;又は
c)AがCHであり、そしてRが−OH又は−N(H)Rである、式Iaの構造的断片;
である請求項1において定義したとおりの式IIの化合物の製造のための方法であって、RがHである式IIの対応する化合物の製造のための、請求項20又は請求項21において定義したとおりの方法、それに続く該化合物の、それぞれ:
1)以下の式VII:
【化7】

[式中、Lは脱離基であり、そしてR、R、R、A及びBは、請求項1において定義したとおりである]
の化合物、
2)以下の式VIII:
【化8】

[式中、RとBは、請求項1において定義したとおりである]
の化合物、又は
3)以下の式IX:
【化9】

[式中、Yは、−O−又は−N(R)−であり、そしてR、R、R及びBは、請求項1において定義したとおりである]
の化合物、との反応を含んでなる方法。
【請求項23】
最終的に製造される式IIの化合物中の式Iaの構造的断片が、以下の式:
【化10】

である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
最終的に製造される式IIの化合物中の式Iaの構造的断片が、以下の式:
【化11】

である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
最終的に製造される式IIの化合物中の式Iaの構造的断片が、以下の式:
【化12】

である、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2008−546764(P2008−546764A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518072(P2008−518072)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000691
【国際公開番号】WO2006/137771
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】