説明

オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法

【課題】形成方法が簡便、高い水共適性、高い化学選択性を持ち、非常に良好な化学生産率を得ることができるという特徴を持つオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を提案する。
【解決手段】本発明のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法(Nucleophilic Acyl Substitution; NAS)は、実施例に基づき、オキソ金属錯体触媒による無水物と求核基試薬間の求核アシル基置換反応である。その内、前記オキソ金属錯体中の金属は、IVB族、VB族、VIB族の遷移金属元素より選ぶ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキソ金属錯体触媒による求核アシル基置換反応方法であり、特に、オキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機合成の領域において、例えば、アルコール類、アミン類、チオアルコール類の求核試薬のアシル基置換反応(Acyl Substitution) は、非常に重要な課題の一つであり、特に、有機合成において、官能基の転換については、求核試薬のアシル基置換反応が非常に重要な役割を果たしている。また、アシル基置換後の例えばエステル基、酸アミド類、チオエステル(thio ester)のような生産物は、それぞれ、酸類誘導の化合物中の三つの主要類別を表する。この三種の類別は、有機合成と生物化学の領域において、重要な官能基の組成もしくはキーとなる中間体の役割を果たす。
【0003】
過去五年来、TMSトリフレート(TMS triflate)と金属塩類が誘導するアシルトリフレート(acyl triflates)もしくは過塩素酸塩(perchloroates)化合物を触媒とする、無水物とアルコール類の求核アシル基置換反応 (Nucleophilic Acyl Substitution; NAS) は、すでにその良好な反応が広範に報道されている(図1に示す)。
【0004】
しかしながら、この方法の求核試薬について言うならば、例えば、アセトナイド(acetonide)、THPエーテル(THP ether)、アリル(allylic)、スチルベンタイプジオール(stilbene-type diol)等の酸敏感のある官能基である場合、化学反応性と官能基の許容性の両方を兼ねることは、往々にして難しく、これは非常に残念なことである。また、TMSトリフレート(TMS triflate)の反応性が非常に高く、且つ、水と空気に対して非常に敏感である為、この種の反応は、往々にして摂氏零度か、それ以下の温度の下において、その他官能基の破壊を低下させる必要があり、このような触媒反応上の作業は非常に不便である。この方法のもう一つの問題点は、この化合物を作る場合、多くは直接、金属酸化物と過量沸騰のアシルトリフレートを混合還流後得るか、銀のアシルトリフレート塩を交換後得る。残ったアシルトリフレートもしくは銀のアシルトリフレート塩は、アシルトリフレート塩類化合物による触媒の求核アシル基置換反応全体において、主導反応を起こすか、最悪の場合は、過度の反応を引き起こす結果となる。また、最も大きな欠点は、前述の全触媒環境が残余の酸触媒及びアシル基のアシルトリフレート置換触媒を全く回避できないという面倒な背景が存在することである。
【0005】
ここ数年来、金属トリフレート(Metal triflates) による無水物類触媒求核アシル基置換反応は、広く研究されているテーマである。図3に、金属トリフレートの例を簡単に列挙、アシル基置換反応に応用される前述の金属トリフレートもまた、良好な反応性を持つ。フェノール類、アミン類、チオアルコール類、アルコール類化合物のアシル基置換も広範性を持つ。しかし、この種の反応は、最終的にHOTf、HClO4、CH3C(O)OTf等の前駆物質を発生することが実証されている。
【0006】
金属トリフレートによる無水物類触媒の求核アシル基置換反応(NAS) は、近年、有益な触媒方式として非常に盛んになっている。しかし、この方法が普遍的であれば、多くの制限も存在する。例えば、反応性が高すぎる、副反応の発生を減少する為に常に温度低下が必要である等。金属トリフレートは、空気と水気の敏感性故に触媒反応作業が不便になる。反応性が非常に高く、常に温度を降下して副反応の発生を抑える。酸に敏感な官能基を破壊する。触媒コストが高すぎる。また、化学反応性と官能基の許容性は、往々にして兼ね合わせることができない。常に見られる状況は、例えば、Sc(OTf)3による触媒のアシル基置換反応時、アクリル基化位置のアルコール類化合物は、再排列後の生産物を容易に得ることができる。ジスルファイド(disulfide bond)を具える化合物には、ジスルファイドの破壊状況等が見られる。また、例えば、Ce(OTf)3の触媒によるアシル基置換反応の場合は、三級アルコール類は、脱離反応が起きる。一級アルコールとフェノールの選択性が高くない等の制限がある。
【0007】
文献によると、例えばMg(ClO4)2、LiClO4、BiO(ClO4)のような過塩素酸塩(perchlorates)による無水物類触媒の求核アシル基置換反応もまた顕著な効果をあげている(図2に示す)。
【0008】
しかしながら、注意しなければならないのは、過塩素酸(Perchloric acid)類化合物は、高温の下では爆発性があり、合成及び使用時、特別に注意が必要である。これは、これらの方法が潜在的に危険があることを意味しており、言い換えれば、これらの方法は、産業上の応用に不適当であると言える。
【0009】
前述の各種従来技術の研究から、無水物と求核試薬の間に、いかに、触媒型で穏やか且つ作業が簡単な求核アシル基置換反応を研究開発し、更にどんな酸敏感もしくはアルカリ敏感の官能基化合物であろうと、高化学生産率および高化学選択性を達成できることが重要な課題であり、現在の産業界においても非常に重要視されている研究方向である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第一目的は、オキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法を提案することにあり、これは、オキソ金属錯体による触媒の無水物類と求核試薬間の求核アシル基置換反応であり、本発明の形成方法が簡単、高い水共適性、高い化学選択性を持ち、非常に良好な化学生産率を得ることができるという特徴を持つ本発明は、コスト低下と産業利用性に有効である。更なる長所は、前述のオキソ金属錯体は、カルボン酸置換反応後回収可能で、回収後のオキソ金属錯体もまた、良好な触媒効果を発揮する。よって、本発明で提案する方法は、産業利用性に富むばかりでなく、環境保護概念も備えるものである。
【0011】
本発明の第二目的は、オキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法を提案することにあり、これは、オキソ金属錯体による触媒の混合無水物類と求核試薬間の求核アシル基置換反応であり、この方法は、作業が簡便、穏やかな反応条件の下行われ、高い水共適性と高い化学選択性を持ち、且つ、非常に良好な化学生産率を得ることができる。更なる長所は、前述のオキソ金属錯体は、カルボン酸置換反応後回収可能で、且つ回収後のオキソ金属錯体は引き続き良好な触媒効果を発揮する。よって、本発明提案のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法は、産業利用性が高く、同時に環境保護概念も兼備するものである。
【0012】
以上に述べる目的に基づき、本発明は、オキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法を提案し、前述方法はオキソ金属錯体による触媒の無水物類と求核試薬の間の求核アシル基置換反応であり、その内、前述のオキソ金属錯体中の金属は、IVB族,V B族,VIB族中任意の一元素である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、一種のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR1とR2ドナーリガンド(donor ligand)は、同様でも異なってもよく、R1とR2のドナーリガンドは、環状アルキル(alkyl)基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを含むものであり、また、オキソ金属錯体触媒による無水物と求核試薬R3YH中の置換反応において、R3ドナーリガンドは、環状アルキル基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内一つを含み、Yドナーリガンドは、O、NH、Sを含むものであり、オキソ金属錯体の化学式は、MOmn、求核基の化学式はR3YHで、その置換反応式は以下の化学構造式1に示すとおりとなり、
その内、オキソ金属錯体中の金属Mは、IVB族、VIB族の遷移金属元素で、mとnは1と等しいか大きい整数であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化1】

請求項2の発明は、請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内一つ以上を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項3の発明は、請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項4の発明は、請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属Mは、IVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式2、3、4に挙げるものの一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化2】

【化3】

【化4】

請求項5の発明は、請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記LnはX4であり、そのXはハロゲン原子であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項6の発明は、請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=2である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式5、6、7に挙げるものの内の一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化5】

【化6】

【化7】

【0014】
請求項7の発明は、一種オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR1とR2ドナーリガンド(donor ligand)は、同様でも異なってもよく、R1とR2のドナーリガンドは、環状アルキル(alkyl)基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを含むものであり、また、オキソ金属錯体触媒による無水物と求核試薬R3YH中の置換反応において、R3ドナーリガンドは、環状アルキル基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内一つを含み、Yドナーリガンドは、O、NH、Sを含むものであり、オキソ金属錯体の化学式は、MOmn、求核基の化学式はR3YHで、その置換反応式は以下の化学構造式8に示すとおりとなり、
その内、オキソ金属錯体中の金属Mは、VB族の遷移金属元素で、Lnドナーリガンドは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF)2、(SO3-alkyl)2、(SO3-alkyl)2(THF)2の内の一つを含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化8】

請求項8の発明は、請求項7記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内一つ以上を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項9の発明は、請求項7記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【0015】
請求項10の発明は、一種オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR4とR5ドナーリガンドは、同様でも異なるものでもよく、且つ、環状アルキル基、三級アルコキシル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基、イソブチル(iso-butyl)官能基、Tertブチル(tert-butyl)官能基の内の一つを含むものであり、
一つのカルボン酸(carboxylic acid)とその無水物反応が混合無水物を作り、また、オキソ金属錯体触媒によるその混合無水物と求核試薬R7YHの置換反応において、R6とR7の各ドナーリガンドは独立して、環状アルキル基、非環状アルキル基、環状芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを選択、また、YドナーリガンドはO、NH、Sの内の一つを含み、オキソ金属錯体の化学式はMOmLnであって、その求核基の化学式はR7YHであり、その置換反応式は以下の化学構造式9に示すとおりであることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化9】

請求項11の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R6とR7の各ドナーリガンドは独立して、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内から一つ以上を選ぶことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項12の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R6ドナーリガンドは、更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項13の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R7ドナーリガンドは、更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項14の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはIVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式10、11、12に挙げるものの内の一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化10】

【化11】

【化12】

請求項15の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記Lnは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF)2、(SO3-alkyl) 2、(SO3-alkyl)2(THF)2の内の一つであることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項16の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記LnはX4であり、その内Xはハロゲン原子であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
請求項17の発明は、請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=2である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式13、14、15に挙げるものの内の一つであリ、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法としている。
【化13】

【化14】

【化15】

【発明の効果】
【0016】
本発明のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、IVB族、VB族、VIB族を含む遷移金属元素のオキソ金属錯体による触媒は、無水物類の求核アシル基置換反応において、高い水共適性と化学選択性を持ち、良好な生産率を得ることができる。更なる長所は、前述のオキソ金属錯体は空気と水に対して高度な安定性を持ち、反応後回収して再利用できる。また、本発明の別の実施例においては、オキソ金属錯体触媒による混合無水物類の求核アシル基置換反応方法を提案する。この方法では、従来技術と比較し、温和な反応条件の下、カルボン酸誘導体を作り、またこの誘導体は、バイオテクノロジー、医薬学、光学材料、更にはその他領域において高度な実用価値を有し、これは従来技術の金属トリフレートが到達できない領域である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施例であるオキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法を提案する。前述方法の反応式は、化学構造式16に示すとおりである。化学構造式16中のR1とR2のドナーリガンド(donor ligand)は、同様でも異なってもよく、R1とR2 のドナーリガンドは更に次に挙げるものの内一つを含む。即ち、環状アルキル(alkyl)基、非環状アルキル基、芳香族基、もしくは複素環基。求核試薬R3YH中のR3基は、次に挙げるものの内一つを含む。即ち、環状アルキル基、非環状アルキル基、芳香族基、もしくは複素環基。前述したR3グループは更に次に挙げるものの内一つもしくは一つ以上を含む。即ち、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone)基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基もしくは専門技術者の熟知する官能基。
前述のR3ドナーリガンドは更に一つの、例えば一般固相担体もしくはナモメター(Namometer)固相載體のような固相担体を含めることが可能である。求核試薬中のYドナーリガンドは、次に挙げるものの内一つを含む。即ち、O、NH、S。前述オキソ金属錯体は、次に挙げるものの内一つを含む。即ち、IVB族、VB族、VIB族の遷移金属元素。
【化16】

【0018】
本発明の一実施例において、前述するオキソ金属錯体中の金属は、IVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式17、18、19に挙げるものの内一つもしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドを含む。
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含む。
【化17】

【化18】

【化19】

【0019】
本実施例において、反応を約0.3〜168時間行った後、生産率約40〜100%の求核アシル基置換反応の生産物を得ることができる。更に詳しい説明を加えるために、本発明の一実施例の反応を以下の化学構造式20に示す。
【化20】

【0020】
本発明のもう一つの実施例において、前述するオキソ金属錯体中の金属は、V B族の遷移金属元素である。m=1の時、Lnは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF)2、(OAc)2、(OTs)2、(OSO2C12H25)2、(SO3-alkyl)2、(SO3-alkyl)2(THF)2もしくはその他専門技術者の熟知するドナーリガンドから選択可能である。実施例において、反応を約9〜76時間行うと、生産率約60〜99%の求核アシル基置換反応の生産物が得られる。本実施例の反応を更に一歩進めて説明する為に、本実施例中の一つの良好な反応を以下の化学構造式21に示す。
【化21】

【0021】
本発明のもう一つの実施例において、前述のオキソ金属錯体中の金属は、VIB族の遷移金属元素である。m=1である場合、LnはX4から選択でき、Xはハロゲンもしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドである。m=2である場合は、Lnは(OTf)2、X2と以下の化学構造式22、23、24に挙げるものの内一つもしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドを含む。
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含む。
【化22】

【化23】

【化24】

本発明の実施例において、約0.1〜51時間の反応を行った後、生産率95%以上の求核アシル基置換反応の生産物を得ることができる。反応について更に説明を加える為に、以下の化学構造式25に実施例中の良好な反応例を示す。
【化25】

【0022】
アシル基置換反応の実験ステップは次に説明するとおりである。
50mlの乾燥した二股フラスコを用意し、直接、天秤でオキソ金属錯体(0.01mmol)を量り、並びに窒素気体の下、3ml無水の溶剤(ここではジクロルメタンを用いる)を加える。その後、室温の下、無水物 (1.5mmol)を加え、並びにこの触媒と無水物の混合物を室温の下30分間攪拌する。求核試薬 (1.0 mmolを2ml無水ジクロルメタン中に溶解)を前述触媒と無水物の混合物中に少しずつたらして加える。全反応の進行はTLCにより追跡、反応完了後、5ml氷の飽和炭酸水素ナトリウム溶液によりクエンチング(quanching)する。抽出後の有機層は、硫酸マグネシウム粉末により乾燥、濾過後、旋回濃縮機を用いて過多の溶剤を取り除く為、大多数の粗生産物は高純度を持ち、管柱層析法による純化が不要である。
【0023】
触媒回収の実験ステップは、下記に説明するとおりである。
250mlの乾燥した二股フラスコを用意し、直接天秤でオキソ金属錯体 (0.5 mmol)を量り、並びに窒素気体の下、50ml無水の溶剤(例えばジクロルメタン)を加える。その後、室温において無水物 (75 mmol)を加え、並びに触媒と無水物の混合物を室温において30 分間攪拌する。求核試薬 (50 mmolを20ml無水ジクロルメタン中に溶解)を前述触媒と無水物の混合物中に少しずつ加える。全反応の進行はTLCにより追跡、反応完了後は100mlの氷水によりクエンチング(quanching)する。抽出後の水層は、旋回濃縮機により大部分の水を取り除き、並びに真空ポンプの下、2時間乾燥させると、オキソ金属錯体のリサイクルが得られる (回収率>95%)。
【0024】
2-酢酸フェニルエチル(Phenylethyl Acetate)
以下の化学構造式26のData: 1H NMR (200 MHz, CDCl3) 7.32-7.20 (m, 5H), 4.28 (t, J = 7.2, 2H), 2.93 (t, J = 7.2, 2H), 2.03 (s, 3H);13C NMR (50 MHz, CDCl3) 171.07, 137.84, 128.89, 128.51, 126.57, 64.85, 34.99, 20.83; TLC Rf0.62 (EtOAc/hexane, 1/ 20).
【化26】

【0025】
前述したとおり、本実施例は、オキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応方法であり、IVB族、VB族、VIB族遷移金属元素のオキソ金属錯体触媒による無水物類の求核アシル基置換反応において、水共適性、高い化学選択性を有する、生産率の良好な生産物が得られる。更なる長所は、前述オキソ金属錯体は、空気と水に対して高度な安定性を持ち、反応後回収して再利用できる。更には、触媒、オキソ金属錯体を有する前述方法は、反応後回収して再利用できる長所を持つ。また、前述のオキソ金属錯体は、反応後、相当良好な回収率を達することができる。これらの長所は、産業利用性を大幅にアップさせるだけでなく、環境保護にも根ざした概念である。
【0026】
本発明オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法のもう一つの実施例を示す。前述方法の反応式は、化学構造式27に示すとおりである。その内R4とR5ドナーリガンドは、同様でも異なってもよく、R4とR5ドナーリガンドは、更に次に挙げるものの内一つを含む。環状アルキル基、三級アルコキシル基、芳香族基、複素環基もしくは例えばイソブチル(iso-butyl)もしくはTertブチル(tert-butyl)官能基のような、立体効果のあるアルキル基。カルボン酸(carboxylic acid)試薬において、R6ドナーリガンドは、次に挙げるものの内一つを含む。即ち、環状アルキル基、非環状アルキル基、環状芳香族基、複素環基。前述するR6ドナーリガンドは、更に次に挙げるものの内一つもしくは一つ以上を含む。即ち、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基もしくは専門技術者の熟知する官能基。前述のR6ドナーリガンドは更に、例えば一般固相担体もしくはナモメター固相載體のような固相担体を含むことも可能である。
【化27】

【0027】
求核試薬R7YH中のR7ドナーリガンドは、下記の一つを含む。即ち、環状アルキル基、非環状アルキル基、環状芳香族基、複素環基。前述のR7ドナーリガンドには、次に挙げるものの内一つもしくは一つ以上を含めることができる。即ち、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプルピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基もしくは専門技術者の熟知する官能基。前述のR7ドナーリガンドには更に、例えば一般固相担体やナモメター固相載體のような固相担体を含めることが可能である。求核試薬中のYドナーリガンドは、次に挙げるものの内一つを含む。即ち、O,NH,S。前述するオキソ金属錯体中の金属は次に挙げるものの内一つを含む。即ち、IVB族、VB族、VIB族の遷移金属元素。
【0028】
本発明の一実施例において、前述オキソ金属錯体中の金属は、IVB族の遷移金属元素である。m=1の場合、Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式28、29、30に挙げるものの内一つもしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドを含む。
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含む。
【化28】

【化29】

【化30】

【0029】
本発明のもう一つの実施例において、前述のオキソ金属錯体中の金属は、VB族の遷移金属元素である。m=1である場合、Lnは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF) 2、(OAc)2、(OTs)2、(OSO2C12H25)2、(SO3-alkyl)2、(SO3-alkyl)2(THF)2もしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドから選択可能である。
【0030】
本発明の更にもう一つの実施例において、前述のオキソ金属錯体中の金属は、VIB族の遷移金属元素であり、m=1の場合、LnはX4もしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドである。また、m=2の場合、Lnは(OTf)2、X2と以下の化学構造式31、32、33に挙げるものの内一つもしくは専門技術者の熟知するドナーリガンドから選択する。
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含む。
【化31】

【化32】

【化33】

本実施例において更に詳細な説明を加える為に、反応式及びその結果を以下の化学構造式34に示す。
【化34】

【0031】
次に例を挙げて説明する。
50mlの乾燥した二股フラスコを準備、直接天秤でオキソ金属錯体 (0.05mmol)を量り、並びに窒素気体の下、2ml無水のジクロルメタンを加える。カルボン酸(carboxylic acid)(1.05 mmol) を室温において無水(anhydride) (1.1 mmol) 中に加え、並びに、オキソ金属錯体、カルボン酸、無水の混合物を室温下において約0.5〜2時間攪拌し、混合、無水物を作る。求核試薬 (1.0 mmolを 5ml無水ジクロルメタンに溶解)を前記オキソ金属錯体と混合無水物の混合物中に徐々に一滴ずつ加える。全反応の進行は、TLCにより追跡する。反応完了後は、20ml氷の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をクエンチング反応を一時間行う。抽出後の有機層は、硫酸マグネシウム粉末により乾燥、濾過後は旋回濃縮機を使って余分な溶剤を取り除き、粗生産物は管柱層析法を用いて純化(EtOAc/hexane, 3/97)して生産物を得る。
【0032】
2-Oxo-propionic acid 1-phenethyl-but-3-enyl ester
以下の化学構造式35のData: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.30-7.15 (m, 5H), 5.79-5.69 (m, 1H), 5.13-5.05 (m, 3H), 2.72-2.60 (m, 2H), 2.45-2.41 (m, 5H), 2.12-1.95 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) 191.97, 160.54, 140.92, 132.72, 128.50, 128.30, 126.13, 118.57, 75.77, 38.50, 34.97, 31.67, 26.74; IR (CH2Cl2) 3491 (m), 3052 (s), 2685 (s), 2524 (s), 2306 (s), 1738 (s), 1694 (s), 1605 (m), 1585 (m), 1420 (s), 1319 (s), 1287 (s), 1250 (s), 1177 (m), 1071 (m), 1026 (m), 896 (s); MS (70 eV) 246 (M+, 2), 205 (13), 158 (24), 133 (13), 117 (100), 104 (21), 91 (69); TLC Rf0.31 (EtOAc/hexane, 1/9); HR-MS Calcd. For M+, C15H18O3: 246.1256, found: 246.1256.
【化35】

【0033】
前述したとおり、本発明の実施例は、全く新しい方法を提案する。混合無水物の求核アシル基置換反応により、エステル類、酸アミド類もしくはその他カルボン酸誘導体を作る方法である。従来技術においては、通常、加熱によって、あるいは激烈な反応条件によって反応を引き起こさせて、本発明実施例のような結果を得る。多くの例において従来技術のやり方は、作業が不便であるばかりでなく、その反応で得る生産率もまた理想的でない。しかしながら、本発明の実施例に基づくやり方では、反応の進行における条件が穏やかであるばかりか、多くの実施例が室温下において反応を起こさせ、良好な反応生産率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】TMSトリフレートの触媒図である。
【図2】Mg(ClO4)2、LiClO4、BiO(ClO4)のような過塩素酸塩(perchlorates)による無水物類触媒の求核アシル基置換反応である。
【図3】金属トリフレートと過塩素酸塩触媒のアシル基置換反応である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR1とR2ドナーリガンド(donor ligand)は、同様でも異なってもよく、R1とR2のドナーリガンドは、環状アルキル(alkyl)基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを含むものであり、また、オキソ金属錯体触媒による無水物と求核試薬R3YH中の置換反応において、R3ドナーリガンドは、環状アルキル基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内一つを含み、Yドナーリガンドは、O、NH、Sを含むものであり、オキソ金属錯体の化学式は、MOmn、求核基の化学式はR3YHで、その置換反応式は以下の化学構造式1に示すとおりとなり、
その内、オキソ金属錯体中の金属Mは、IVB族、VIB族の遷移金属元素で、mとnは1と等しいか大きい整数であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内一つ以上を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項3】
請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項4】
請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属Mは、IVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式2、3、4に挙げるものの一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化2】

【化3】

【化4】

【請求項5】
請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記LnはX4であり、そのXはハロゲン原子であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項6】
請求項1記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=2である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式5、6、7に挙げるものの内の一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化5】

【化6】

【化7】

【請求項7】
一種オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR1とR2ドナーリガンド(donor ligand)は、同様でも異なってもよく、R1とR2のドナーリガンドは、環状アルキル(alkyl)基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを含むものであり、また、オキソ金属錯体触媒による無水物と求核試薬R3YH中の置換反応において、R3ドナーリガンドは、環状アルキル基、非環状アルキル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内一つを含み、Yドナーリガンドは、O、NH、Sを含むものであり、オキソ金属錯体の化学式は、MOmn、求核基の化学式はR3YHで、その置換反応式は以下の化学構造式8に示すとおりとなり、
その内、オキソ金属錯体中の金属Mは、VB族の遷移金属元素で、Lnドナーリガンドは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF)2、(SO3-alkyl)2、(SO3-alkyl)2(THF)2の内の一つを含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化8】

【請求項8】
請求項7記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内一つ以上を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項9】
請求項7記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R3ドナーリガンドは更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項10】
一種オキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法を包含し、
一つの無水物を構成するR4とR5ドナーリガンドは、同様でも異なるものでもよく、且つ、環状アルキル基、三級アルコキシル基、芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基、イソブチル(iso-butyl)官能基、Tertブチル(tert-butyl)官能基の内の一つを含むものであり、
一つのカルボン酸(carboxylic acid)とその無水物反応が混合無水物を作り、また、オキソ金属錯体触媒によるその混合無水物と求核試薬R7YHの置換反応において、R6とR7の各ドナーリガンドは独立して、環状アルキル基、非環状アルキル基、環状芳香族基、N、O、P、もしくはSを含む複素環基の内の一つを選択、また、YドナーリガンドはO、NH、Sの内の一つを含み、オキソ金属錯体の化学式はMOmLnであって、その求核基の化学式はR7YHであり、その置換反応式は以下の化学構造式9に示すとおりであることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化9】

【請求項11】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R6とR7の各ドナーリガンドは独立して、アルケン基、エーテル基、エステル基、ラクトン基、アクリル酸エステル基、アルデヒド基、ケトン基、コンデンセイテッドプロピルケトン(condensated propyl ketone) 基、酸イミド基、酸アミド基、糖質(Carbohydrate)基、ペプチド基、二硫化物基の内から一つ以上を選ぶことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項12】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R6ドナーリガンドは、更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項13】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記R7ドナーリガンドは、更に一つの固相担体を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項14】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはIVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式10、11、12に挙げるものの内の一つであり、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化10】

【化11】

【化12】

【請求項15】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記Lnは、(OTf)2(THF)2、Cl2(THF)2、(SO3-alkyl) 2、(SO3-alkyl)2(THF)2の内の一つであることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項16】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=1である場合、前記LnはX4であり、その内Xはハロゲン原子であることを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【請求項17】
請求項10記載のオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法において、前記金属MはVIB族の遷移金属元素であり、m=2である場合、前記Lnは、(OTf)2、X2と以下の化学構造式13、14、15に挙げるものの内の一つであリ、
その内、
Xはハロゲンを含み、
R'=R"、 もしくはR'≠R" 、
R' R"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
R'"は、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含み、
Rは、alkyl、aryl、N、O、P、もしくはSを含む複素環を含むことを特徴とするオキソ金属錯体触媒による無水物の求核アシル基置換反応方法。
【化13】

【化14】

【化15】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−206588(P2006−206588A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15068(P2006−15068)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(506027251)國立台湾師範大学 (2)
【Fターム(参考)】