説明

オゾナイザー

【課題】電極端子が発生したオゾンによって腐食されるのを防止する。
【解決手段】酸化皮膜したアルミニウムの基台2にプリント回路の電極板10が設けてあり、フッ素樹脂製の蓋3によって電極板10が囲われオゾン発生空間31が形成してある。この蓋3は電極板10に設けた電極端子51、52を蓋3の外側に露出させる切抜き凹部32が設けてあり、この蓋3の上にステンレス製の蓋固定板4が設けてあり、フッ素樹脂製の蓋3の外側に電極端子51、52を位置させていることから、発生したオゾンによって腐食されることがない。また、蓋3の外縁全周には、オゾン発生空間31の気密性を維持するためにシールとなる突起33が形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沿面放電方式を利用したオゾナイザーに関し、生成したオゾンによって室内空気の滅菌装置や消毒水として利用するオゾン水の製造装置等に適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、低価格でメンテナンスが容易な沿面放電方式のオゾナイザーが多く使用されている。
沿面放電方式オゾナイザーは、高電圧電極と誘電電極とを有し、電極間における放電によって空気中の酸素をオゾンに変換するものであり、高周波放電が可能となったことで電子の加速エネルギーが高められるためにオゾンの生成効率を高めることが可能になった。
沿面放電方式の場合、放電が板状放電部の面に沿っておこなわれるので、ガラス放電管に比較して放電空間の冷却が容易ではあるが、高圧放電によって熱が発生して装置の温度が上昇し、オゾナイザーが過熱状態となるのを避けるための冷却手段が必要である。しかし冷却効率を上げるためには、冷却媒体と発熱部との接触面を増大しなければならず、また、大気放熱するために放熱フィンを設けると装置が大型化するという問題があった。
【0003】
また、オゾナイザーはオゾンが外部に漏洩するのを防ぐために、放電部が筐体で囲まれており、密閉度を上げるために筐体を腐食しにくい金属で製作され、放電空間を狭めて酸素と放電との接触機会を増加させている。金属製の筐体の場合、高電圧が作用する放電電極と筐体との間で短絡が生じると、放電電極間での放電がなくなり、オゾン発生量が低下するという問題がある。また、短絡に伴って過大電流が流れて電源が故障したり、短絡箇所が電流による熱によって異常高温となるため、電極や筐体が溶融する場合がある。
また、オゾナイザーの放電部の構造上、電極部も含めて筐体で囲まれているため、筐体内の密閉空間で放電によって生成されるオゾンにより曝露される配線や電極が酸化によって腐食されてしまい、装置の寿命が短いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2705720号公報
【特許文献2】特許第4261324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放電によって発生するオゾンは、酸化力がフッ素に次いで強いものであり、腐食力が高いのでオゾナイザーに使用する材料が限定され、耐腐食性の高いステンレス材が筐体に使用されているが、ステンレスは良導電体であり、放電発生部に十分な空間を確保しないと放電電極以外においても放電が発生してオゾン発生効率が極端に低下してしまう。
逆に空間を大きくするとオゾンの発生効率が低下してしまい、効率よくオゾンを発生させることができない。
更に、図4に示すように、放電がおこなわれるオゾン発生部である放電電極5に高圧電源を接続するための電極端子が設けてあり、蓋を貫通して電極端子51へ電源を配線しなければならず、電極端子への配線の取り回しが複雑となって製造に手間がかかり、装置の生産効率を低下させる要因となっていた。
【0006】
そして、配線が電極端子に接触する部分はコイルスプリング状の接触端子であり、電極端子に弾性力で押し付けられているが、この接触部も発生したオゾンによって腐食されて劣化し、導電性の低下や異常放電の原因となっていた。配線にもオゾンが接触するため、配線及び電極端子の劣化が短期間で生じ、装置の寿命が短いという問題があった。更に、短絡や異常放電が発生しやすいことから、装置が故障しやすく、維持修繕の頻度が高くなって装置の稼働率が低く、効率よくオゾンが得られなかった。
本発明は、以上の課題を解決し、低コストで高濃度、かつ、大流量のオゾンを製造できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
表面をアルマイト加工したアルミニウム基台に電極回路をプリントした電極板が設けてあり、フッ素樹脂製の蓋によって電極板が囲まれてオゾン発生空間が形成される。この蓋は電極板に設けた電極端子を蓋の外側に露出させる切込み凹部が設けてあり、この蓋の上にステンレス製の固定板が設けてある沿面放電方式のオゾナイザーである。
また、フッ素樹脂製の蓋の外側に電極端子を位置させていることから、蓋の下縁全周には、オゾン発生空間の気密性を維持するためにシールとなる突起が形成してある。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオゾナイザーは、電極端子が電極板を囲った絶縁性の蓋の外側に位置しており、電極及び配線が生成したオゾンに曝されることがないため、オゾンによる酸化腐食による断線や短絡を防止できることから故障要因を低減することができ、また、電極端子への配線が蓋に干渉していないためメンテナンス作業が容易にできることからランニングコストを削減することができる。
従来のオゾナイザーのように、蓋を貫通させて電極端子への配線をしておらず、構造が単純化されているので部品コストを低減でき、製造コストが削減された。
【0009】
オゾン発生部分より隔離して電極端子を設け、蓋により仕切ってオゾン発生空間の外側に電極端子を配置したので、発生したオゾンの酸化腐食による配線及び電極端子の劣化が生じない。また、オゾン発生空間に電極端子が設けてある従来のオゾナイザーのように、オゾン接触による劣化防止のためのシリコン樹脂による被覆をする必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
耐熱性、耐酸化性、かつ電気絶縁体であるフッ素樹脂製の蓋を使用することによって高電圧電極板と蓋の間の放電空間を狭くすることが可能となり、効率よくオゾンを発生させることができ、高濃度のオゾンを得ることが可能となった。
また、熱伝導率が高いアルミニウムをオゾナイザーの基台に使用しており、更に基台の背面を、例えばオゾン水製造装置のオゾン水タンクに密着設置できることから、オゾナイザーの冷却効率が向上し、長時間の連続運転が可能であるとともに、オゾナイザーの実装において占有する空間を小さくすることでき、オゾナイザーを使用した装置をコンパクトにすることができる。
【0010】
本発明によれば、コンパクトなオゾナイザーを提供することができ、メンテナンスが容易で且つ機能劣化が少ないオゾナイザーの製造が可能となり、更に、従来にはない高効率なオゾナイザーが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のオゾナイザーの斜視図。
【図2】本発明のオゾナイザーの電極板の平面図。
【図3】本発明のオゾナイザーの側面図。
【図4】従来のオゾナイザーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面に示す実施例を参照して本発明のオゾナイザーを説明する。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2において、オゾナイザー1は、酸化皮膜を形成したアルミニウム製基台2の表面に放電電極5が形成してある電極板10が固定してある。電極板10は、セラミック製の薄板にスクリーン印刷で格子状の放電電極5が表面にプリントされているものである。図1の実施例では放電電極5が二系統に分割形成されており、夫々の放電電極に電源を接続するための電極端子51、52は電極板10の長手方向中央部の側辺部に対称に設けてある。この二系統の放電電極5及び電極端子51、52は導電性の高い金属、例えば、モリブデンやタングステン等の金属から形成されている。
【0014】
図3において、放電電極5は、フッ素樹脂製の蓋3で覆われてオゾン発生空間31が形成されている。この蓋3は、ステンレス製の固定板4によりアルミニウム製基台2に固定されており、放電電極5と蓋3の間の距離は、電極5に加える電圧にもよるが1〜10mm程度とするのが好ましい。距離を小さくして1mm未満とするとオゾン発生空間における圧力が上昇し、放電が停止することがある。また、10mmを超えると、オゾンの発生効率が低下するので好ましくない。
蓋3の一端側には空気をオゾン発生空間31に送り込む送気口が設けてあり、空気を送り込むためのホースが連結してあり、他端側には発生したオゾンを取り出す取出口が設けてある。
【0015】
放電電極5に高圧電流を供給するための配線を接続する電極端子51、52がオゾン発生空間31内にあると、発生したオゾンが接触して腐食されるので、電極端子51、52がオゾン発生空間31の外側に位置するように蓋3に切込み凹部32が形成してある。蓋3を基台2に取り付け固定する際は、放電電極51、52が蓋3の切込み凹部32に位置するようにする。
また、蓋3と基台20で形成されるオゾン発生空間からオゾンが漏出しないように、蓋3の下端全周にシールとして作用する突起33が形成してあるので、蓋3を基台2に固定すると突起33が潰れてシールとなって、オゾン発生空間31の気密性が維持される。
【0016】
こうすることによって発生したオゾンが電極端子51、52に接触して電極端子51、52を腐食することがない。また、電極端子51、52が蓋3の外側に露出しているため、従来のオゾナイザーのように蓋や基台を貫通して配線する必要がなく組立て製造が容易となり、コストの低減となる。
【符号の説明】
【0017】
1 オゾナイザー
10 電極板
2 基台
3 蓋
4 固定板
5 放電電極
51、52 電極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沿面放電方式のオゾナイザーであって、金属製の基台の表面に放電電極が形成してある電極板が設けてあり、フッ素樹脂製の蓋によって電極板の周囲を密閉して囲んでオゾン発生空間が形成してあり、この蓋には放電電極の電極端子を蓋の外側に露出させる切欠凹部が設けてある沿面放電方式のオゾナイザー。
【請求項2】
請求項1において、電極板と蓋で形成されるオゾン発生空間の高さが1〜10mmである沿面放電方式のオゾナイザー。
【請求項3】
請求項1または2において、フッ素樹脂製の蓋の外縁全周に、オゾン発生空間の気密性を維持するためにシールとなる突起が形成してあり、電極板は、セラミック板に回路をプリントしたものである沿面放電方式のオゾナイザー。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−36025(P2012−36025A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175708(P2010−175708)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(509200897)エコテックス株式会社 (2)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】