説明

オゾン水の生成装置及びオゾンミストの発生装置及びオゾンガスの生成装置

【課題】人体に安全でオゾン臭の低い低濃度のオゾン水またはオゾンミストまたはオゾンガスを簡便な構造で安定的に生成するオゾン水またはオゾンミストまたはオゾンガスの生成装置を提供する。
【解決手段】水を貯える貯水槽210と、貯水槽210の近傍に配設されたオゾン発生部230と、毛細管作用を利用し、貯水槽210の水を貯水槽210外へ送液する送液手段220とを有し、オゾン発生部230は、送液手段220内に構成されていることで、人体に安全で、且つオゾン臭の低い低濃度のオゾン水またはオゾンミストまたはオゾンガスを生成することができ、人体への安全性を確保した上で、除菌、脱臭及び有害物質の除去を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオゾン水、オゾンミスト、オゾンガスを除菌、脱臭、有害物質除去に利用したオゾン水の生成装置とオゾンミストの生成装置とオゾンガスの生成装置に関するものがある。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のオゾン水の生成装置は、放電方式または、紫外線方式のオゾン発生体により、空気中の酸素を分解して生成したオゾンガスを水に混合して、オゾン水を生成しているものである(例えば、特許文献1参照)。また、電解槽中の貯留水を電気分解してオゾン水を生成しているものである。
【0003】
図6は特許文献1に記載された従来のオゾン水の生成装置を示すものである。図6に示すように、沿面放電型のセラミックオゾナイザー(図示せず)を用いたオゾン発生部2と、オゾン水をつくるオゾン溶解部5と原料水を取入れる原料水入口部10とオゾン水出口部11と前記原料水入り口部10とオゾン水出口部11を連通する原料水導入管18とオゾン水の溶存オゾンを除くためのオゾン除去部144とから構成されている。
【0004】
以上のように構成されたオゾン水の生成装置について、以下、その動作を説明する。
【0005】
まず、沿面放電型のセラミックオゾナイザーを用いたオゾン発生部2を用いて空気中の酸素からオゾンを生成する。一方,原料水は原料水入口部10より取入れ原料水導入管18を介してオゾン溶解部5に導入される。オゾン溶解部5では原料水中に発生したオゾンガスを細かい泡として添加しオゾンを溶解してオゾン水を生成する。またこのオゾン水はオゾン除去部144の活性炭層を通してその溶存オゾンの大部分を除去し、極めて低濃度のオゾン水を生成する。
【0006】
さらに、この発明で、オゾンガスを直接装置外に取り出せばオゾンガスを生成することも同時に可能である。
【特許文献1】特開平6−144806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、オゾンガスを細かい泡にして水に添加して、オゾンを溶解し、オゾン水を作る方式のため、発生オゾンガスの大半が水中に十分に溶解しきれずに、残存オゾンガスとなり、使用者が人体に危険なオゾン濃度にさらされるという課題を有していた。また、空気清浄機、脱臭器、冷蔵庫などオゾンを利用した家庭電化製品では、オゾン水やオゾンガスの濃度はオゾン臭がしないレベルの低濃度が望まれる。この装置で生成したオゾン水を人体に安全で且つオゾン臭のしない低濃度のオゾン水にするためには、オゾン除去部でオゾン水中の溶存オゾンを再度除去しなければならないという課題を有していた。同じく、残存ガスを人体に安全で且つオゾン臭のしないレベルの低濃度にするためには、新たにオゾン分解手段を設けなければならず、構造が複雑になるという課題を有していた。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾン水とオゾンミストとオゾンガスの生成を簡便な構造で行うことのできる生成装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、上記従来の構成では発生するオゾンガスは高濃度のため、オゾン臭のレベルが低い低濃度のオゾンガスを安定的に供給することができないという課題を有していた。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、オゾン臭の低い低濃度のオゾンガスを安定的に供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のオゾン水の生成装置は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段とを有し、酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部を前記送液手段内に構成したものである。
【0012】
これによって、送液手段内の水中の溶存酸素を直接水中で分解することで、発生したオゾン水は微量のオゾンを含む低濃度のオゾン水とすることができる。
【0013】
また、本発明のオゾンミストの生成装置は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に配設された加湿手段とを有し、前記加湿手段が前記送液手段内のオゾン水を霧化するものである。
【0014】
これによって、送液手段内の水中の溶存酸素を直接水中で分解することで、発生したオゾン水は微量のオゾンを含む低濃度のオゾン水とすることができ、この低濃度のオゾン水を霧化することで、低濃度のオゾンミストを生成することができる。
【0015】
また、本発明のオゾンガスの生成装置は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に強制対流を与える送風手段とを有し、前記送液手段内のオゾン水が前記送風手段によって蒸散してオゾンガスが発生するものである。
【0016】
これによって、送液手段内の水中の溶存酸素を直接水中で分解することで、発生したオゾン水は微量のオゾンを含む低濃度のオゾン水とすることができ、この微量のオゾンを含む低濃度のオゾン水から極微量のオゾンガスが安定して発生させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のオゾン水の生成装置は、簡便な構造で低濃度のオゾン水を発生させることで、人体に安全で且つオゾン臭の低いオゾン水が生成できるので、人体への安全性を確保した上で、除菌、脱臭及び有害物質の除去を行うことができる。
【0018】
また、本発明のオゾンミストの生成装置は、簡便な構造で低濃度のオゾン水を霧化することで、低濃度のオゾンミストを生成することができ、人体に安全で、且つオゾン臭の低い低濃度のオゾンミストを生成することができ、人体への安全性を確保した上で、除菌、脱臭及び有害物質の除去を行うことができる。
【0019】
また、本発明のオゾンガスの生成装置は材料コストを低く抑えられ、かつ低濃度のオゾン水とオゾンガスを安定的に同時に生成することができ、人体への安全性を確保した上で、除菌、脱臭及び有害物質の除去を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
請求項1に記載の発明は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段とを有し、酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部を前記送液手段内に構成したことにより、前記オゾン発生部と大気の接触が大幅に抑制されることで、発生した微量のオゾンを含むオゾン水を前記送液手段内に生成することとなり、特殊材料を必要としない簡便な構造で、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾン水を生成することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に配設された加湿手段とを有し、前記加湿手段が前記送液手段内のオゾン水を霧化することにより、オゾンミストを生成することとなり、特殊材料を必要としない簡便な構造で、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾンミストを生成することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に強制対流を与える送風手段とを有し、前記送液手段内のオゾン水が前記送風手段によって蒸散してオゾンガスが発生することにより、オゾンガスが発生することとなり、特殊材料を必要としない簡便な構造で、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾンガスを安定的に生成することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の発明に加えて、前記オゾン発生部は、前記送液手段内の水中の溶存酸素を分解してオゾンを発生させることによりオゾン水を生成することにより、大気中の酸素の分解が略0となり、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾンガスを生成することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の発明に加えて、前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、放電方式または紫外線方式であることにより、水中の溶存酸素を分解してオゾンを生成することとなり、簡便な構造で人体に安全な低濃度のオゾン水を生成することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4の発明に加えて、前記送液手段は、繊維材料または多孔質セラミックで構成することにより、毛細管作用が生じてオゾン発生体に常時水分が供給されることとなり、ポンプ等の手段を用いず簡便な構造で人体に安全な低濃度のオゾン水を生成することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項2の発明に加えて、前記加湿手段は、超音波加湿器であることにより、前記送液手段の下流端内のオゾン水を霧化することとなり、簡便な構造で人体に安全な低濃度のオゾンミストを生成することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7の発明に加えて、前記送液手段は一端が前記貯留水中に開口するとともに他端が前記貯水槽の外部に開口したものであり、これによって、生成されたオゾン水もしくはオゾンミストもしくはオゾンガスを必要な箇所に直接供給することができ、より確実に除菌、脱臭、有害物質の除去等を行うことができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0029】
なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるオゾン水とオゾンミストの生成装置の側断面図である。図2は同実施の形態のオゾン水の生成装置の要部構成図である。
【0031】
図1、図2において、オゾン水とオゾンミストの生成装置200には、機器収納区画201と、送風区画202が区画形成されている。
【0032】
機器収納区画201内には、主に貯水槽210と送液手段220と、オゾン発生部230が配設されている。また、送風区画202内には加湿手段240が配設されている。
【0033】
貯水槽210は、貯留水を貯留するための槽である。貯水槽210には、外部から給水を行うための給水管211が構成されており、給水管211の途中には開閉弁212が構成されている。また、貯水槽210の内部には、水位を検出するフロートスイッチ213が具備されており、貯水槽210の上部には貫通部214が形成されている。
【0034】
送液手段220は、貯水槽210の水を送風区画へ導くための送液部材であり、毛細管作用により送液することを特徴としており、第一送液部221と、第二送液部222と、第3送液部223とから構成されている。
【0035】
第一送液部221は、水の流れの上流に位置し、構成上その下端221aは貫通部214を介して貯水槽210の下部近傍に位置する。第一送液部221の材料としては、フレキシブルに形状が構成できる繊維材料を用いることが望ましい。
【0036】
第二送液部222は、多孔質セラミックを用いることが好ましく、形状としては中空の筒型形状とした。ここで、第二送液部222の一端222aは、第一送液部221の上端221bと接続されており、第二送液部222の他端222bは、第3送液部223の上流端223aと接続されている。
【0037】
第三送液部223は、貫通部203を介して送風区画202に達しており、第三送液部223の材料としては、フレキシブルに形状が構成できる繊維材料を用いることが望ましい。
【0038】
オゾン発生部230は、ランプ管231、ランプ管231の両端に電極232とを配したU次型の紫外線ランプを備えている。ここで、ランプ管231は純度の高い石英ガラスを材料としており、ランプ管231内には低圧の水銀蒸気とアルゴン、キセノン等の不活性ガスが封入されている。さらに、オゾン発生部230は、第二送液部222の中空部内壁に、ランプ管231外壁が密接するように挿入されており、ランプ管231の外壁と、第二送液部222の中空部の内壁との間には微小な隙間233が形成されている。さらに、隙間233の開放端は、シール部材234で封止されている。
【0039】
加湿手段240は、送風区画202内に構成された超音波加湿器であり、超音波加湿器の振動子には、第三送液部223の下流端223bが接続されている。
【0040】
制御部250は、開閉弁212、フロートスイッチ213、オゾン発生部230、加湿手段240の運転を制御する。
【0041】
以上のように構成されたオゾン水とオゾンミストの生成装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
まず、貯水槽210の水は、フロートスイッチ213により開閉弁212が開閉し、一定水位になるように設定されている。ここで、貯水槽210の下部近傍には、第一送液部221の下端221aが配設されており、毛細管作用により貯水槽210の水は、第二送液部222へ送液される。
【0043】
次に、第二送液部222では、第一送液部221から送液された水が他孔質セラミックで形成された第二送液部222全体に満たされることで、微小な隙間233に水が充満することになる。
【0044】
さらに、オゾン発生部230に通電されると、ランプ管230aより紫外線が発生する。ランプ管230aより発生した紫外線は、オゾン発生部230の周りに充満された水中の溶存酸素を解離してオゾンを生成し、水中に溶存するとともに、酸素原子と水分子の反応によりOHラジカルを生成する。
【0045】
次に、オゾン発生部230近傍で生成されたオゾン水は、第三送液部223の毛細管作用により、送風区画202に配設された下流端223bへ送液される。ここで、超音波加湿器である加湿手段240が運転されると、加振子に接続された下流端223bに含まれるオゾン水が霧化されて、送風区画202内に拡散することとなる。
【0046】
以上のように本実施の形態では、水を貯える貯水槽210と、貯水槽210の近傍に配設されたオゾン発生部230と、毛細管作用を利用し、貯水槽210の水を貯水槽210外へ送液する送液手段220とを有し、オゾン発生部230は、送液手段220内に構成されていることにより、オゾン発生部230と大気の接触が大幅に抑制されることで、発生した微量のオゾンを含むオゾン水を送液手段220内に生成することとなり、特殊材料を必要としない簡便な構造で、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾン水を生成することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、送液手段220内のオゾン水を加湿手段240により霧化して拡散させるので、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾンミストを生成することができる。
【0048】
さらに、第二送液部222の中空部内壁に、ランプ管230外壁が密接すように挿入され、この微小な隙間233に充満した水中の溶存酸素を紫外線で解離してオゾンを生成することで、大気中の酸素と紫外線の反応を防止することができるので、人体に安全で且つオゾン臭の低い低濃度のオゾン水を生成することができる。
【0049】
なお、本実施例においては、オゾン発生部230として、紫外線ランプを用いたが、放電部を耐水処理した放電式のオゾン生成器を用いても同様の効果が期待できる。
【0050】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2のオゾン水とオゾンガスの生成装置の側断面図である。図4は同実施の形態のオゾン水とオゾンガスの生成装置の要部構成図である。図5は水中放電および空中放電によるオゾン発生量の温度特性図である。
【0051】
図3、図4において、オゾン水とオゾンガスの生成装置300には、機器収納区画201と送風区画202が区画形成されている。
【0052】
送液手段310は、貯水槽210の水を送風区画へ導くための送液部材であり、毛細管作用により送液することを特徴としており、第一送液部311と、第二送液部312と、第3送液部313とから構成されている。
【0053】
第一送液部311は、水の流れの上流に位置し、構成上その下端311aは貫通部214を介して貯水槽210の下部近傍に位置する。第一送液部311の材料としては、フレキシブルに形状が構成できる繊維材料を用いることが望ましい。
【0054】
第二送液部312は、多孔質セラミックを用いることが好ましく、形状としては中空の筒型形状とした。ここで、第二送液部312の一端312aは、第一送液部221の上端311bと接続されており、第二送液部312の他端312bは、第3送液部313の上流端313aと接続されている。
【0055】
第三送液部313は、貫通部203を介して送風区画202に達しており、第三送液部313の材料としては、フレキシブルに形状が構成できる繊維材料を用いることが望ましい。
【0056】
オゾン発生部320は、高電圧放電方式のオゾン発生体であり、電極部321と電源部322から構成される。ここで、電極部321は電極の周辺の耐水性を高めた仕様とすることが好ましく、電極部321と、第二送液部312の中空部の内壁との間には微小な隙間323が形成されている。さらに、隙間323の開放端は、シール部材324で封止されている。
【0057】
電源部322は、オゾン発生のための高電圧発生電源であり、電極部321が内蔵された第二送液部312の近傍に配設されている。
【0058】
送風手段330は、送風区画202内に構成された送風機であり、送風手段330の運転により、送風区画202内に達した第三送液部313の周辺に強制対流が生じるように構成されている。
【0059】
以上のように構成されたオゾン水とオゾンガスの生成装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0060】
まず、貯水槽210の下部近傍には、第一送液部311の下端311aが配設されており、毛細管作用により貯水槽210の水は、第二送液部312へ送液される。
【0061】
次に、第二送液部312では、第一送液部311から送液された水が他孔質セラミックで形成された第二送液部222全体に満たされることで、微小な隙間323に水が充満することになる。
【0062】
さらに、オゾン発生部320に通電されると、電極部321からの放電によって、微小な隙間323内の水中の溶存酸素が電子との衝突により酸素原子に解離される。また、酸素原子は溶存酸素分子と結合してオゾンが発生するとともに、水分子と反応してOHラジカルを同時に生成する。さらに、発生したオゾンは隙間323内の水に溶存し、オゾン水が生成される。
【0063】
次に、オゾン発生部320近傍で生成されたオゾン水は、第三送液部313の毛細管作用により、送風区画202に配設された下流端313bへ送液される。ここで、送風手段330の運転により生じた強制対流により、オゾン水の蒸散が促進される。このとき、水中に溶存したオゾンはオゾンガスとして送風区画202内に拡散することとなる。
【0064】
次に図5は一定空間において、本発明の実施の形態2における水中溶存酸素からオゾンを発生する水中放電と従来の空気中の酸素からオゾンを発生する空中放電のオゾン発生量に与える温度の影響を示したものである。従来の空中放電は周囲温度変動の影響が大きく、周囲温度が低いとオゾン発生量が多くなり、逆に周囲温度が高くなるとオゾン発生量が少なくなる特性をもつ。一方、本発明の水中放電は、オゾンガスをオゾン水からの遊離により生成するため、周囲の温度変動の影響が空気に比べ小さく、周囲温度変動によるオゾン発生量の変動幅も小さくなる。したがって、オゾン水からオゾンガスを発生する本発明の実施の形態の方がより安定してオゾンガスを生成することができる。
【0065】
以上のように本実施の形態では、水を貯える貯水槽210と、毛細管作用を利用し、貯水槽210の水を貯水槽210外へ送液する送液手段310と、送液手段310内に配設されたオゾン発生部320と、送液手段310の下流端313b近傍に強制対流を与える送風手段330とを有し、送液手段310内の水中の溶存酸素を分解して得られるオゾン水を送風区画202内で再びガス化させるので、通常の空中放電によるオゾンガスの発生量は周囲温度変動の影響が大きく、安定して発生するのが困難であるのに対して、本実施の形態では、周囲の温度変動の影響が、空気に比べ小さいことから、発生するオゾンガス量への影響が小さくなり、人体に安全な低濃度のオゾンガスを安定的に供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明にかかるオゾン水とオゾンミストとオゾンガスの発生装置は、低濃度のオゾン水と低濃度のオゾンミストと低濃度のオゾンガスを安定的に生成し、高性能な脱臭、除菌、有害物質の除去を行なうことができるため、家庭用冷蔵庫、業務用冷蔵庫、食品洗浄器、食器洗浄器、医療器具洗浄器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1におけるオゾン水とオゾンミストの生成装置の側断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるオゾン水の生成装置の要部構成図
【図3】本発明の実施の形態2におけるオゾン水とオゾンガスの生成装置の側断面図
【図4】本発明の実施の形態2におけるオゾン水とオゾンガスの生成装置の要部構成図
【図5】本発明の実施の形態2における水中放電および空中放電によるオゾン発生量の温度特性図
【図6】従来のオゾン水の生成装置を示す図
【符号の説明】
【0068】
200 オゾン水とオゾンミストの生成装置
210 貯水槽
220,310 送液手段
230 オゾン発生部(紫外線方式)
240 加湿手段
300 オゾン水とオゾンガスの生成装置
320 オゾン発生部(放電方式)
330 送風手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、毛細管作用を利用して前記貯留水を送液する送液手段とを有し、酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部を前記送液手段内に構成したオゾン水の生成装置。
【請求項2】
貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に配設された加湿手段とを有し、前記加湿手段が前記送液手段内のオゾン水を霧化するオゾンミストの生成装置。
【請求項3】
貯留水を貯える貯水槽と、一端が前記貯留水中に開口し、他端が前記貯留水の外部に連通するとともに毛細管作用を利用して前記貯水槽の水を前記貯水槽外へ送液する送液手段と、前記送液手段内に配設され酸素を分解してオゾンを発生させるオゾン発生部と、前記送液手段の前記貯留水外部に連通している下流端近傍に強制対流を与える送風手段とを有し、前記送液手段内のオゾン水が前記送風手段によって蒸散してオゾンガスが発生するオゾンガスの生成装置。
【請求項4】
前記オゾン発生部は、前記送液手段内の水中の溶存酸素を分解してオゾンを発生させることによりオゾン水を生成する請求項1から3のいずれか一項に記載のオゾン水の生成装置またはオゾンミストの生成装置またはオゾンガスの生成装置。
【請求項5】
前記オゾン発生部のオゾン発生方式は、放電方式または紫外線方式である請求項1から4のいずれか一項に記載のオゾン水の生成装置またはオゾンミストの生成装置またはオゾンガスの生成装置。
【請求項6】
前記送液手段は、繊維材料または多孔質セラミックで構成されている請求項1から4のいずれか一項に記載のオゾン水の生成装置またはオゾンミストの生成装置またはオゾンガスの生成装置。
【請求項7】
前記加湿手段は、超音波加湿器である請求項2に記載のオゾンミストの生成装置。
【請求項8】
前記送液手段は一端が前記貯留水中に開口するとともに他端が前記貯水槽の外部に開口したものである請求項1から7のいずれか一項に記載のオゾン水の生成装置またはオゾンミストの生成装置またはオゾンガスの生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35009(P2006−35009A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214065(P2004−214065)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】