説明

オゾン液生成器及びその生成方法

【課題】
オゾン液生成器に設けられた貯液槽の貯液量を効率的に調節することを可能にする。
【解決手段】
オゾンガスを発生するオゾン発生器101と、オゾンガスと液体を混合する気液混合器102と、導入される気液混合液を気液分離する貯液槽103と、オゾン発生器101と気液混合器102と貯液槽103との間に気体を循環させる循環経路Aと、貯液槽103の貯液量に応じて貯液槽の気体導出口113から導出する気体の流動を制御する開閉制御手段104が設けられ、貯液槽102に貯液された液体の貯液量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン液生成器及びその生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾン水生成器は、オゾン発生器と気液混合器を備え、オゾン発生器で発生させたオゾンガスを水などの液体と混合させ、オゾン水を生成している。しかしながら、オゾンガスは水への溶解度が低いため、オゾン発生器で発生させた大部分のオゾンガスは、水に対して溶解しきれず排出されていた。
【0003】
そこで、オゾンガスの利用効率を高めるため、未溶解の排オゾンガスを回収して再利用するオゾン水生成装置が開示されている。例えば、特許文献1は、オゾン発生器と気液混合器と気体と液体に気液分離する機能を有する密封タンクと、密封タンクとオゾン発生器とを接続するガス返送路とを備え、密封タンクによって分離されたオゾンガスをガス返送路を介してオゾン発生器に供給する。このため、排ガスに含まれる未溶解のオゾンガスを再利用することが可能である。
【0004】
また、上述の構成は、一定時間、オゾン水の生成を続けると、気体が水に溶解してオゾン水生成装置の外部へ導出されるため、密封タンク内の気体の体積が減少してしまう。そこで、密閉タンク内の気体の減少量を検知できるレベルスイッチと、酸素ボンベからオゾン発生器へ酸素の供給を制御する制御回路を設け、酸素の補充を行うことで、安定したオゾン水の生成を継続させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−207892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のオゾン水生成装置は、密封タンクに設けられた気体の導出口に貯液量に応じて開閉する開閉弁などが設けられていないため、急激に密封タンクの水位が上昇した際に、ガス返送路への液体の侵入を強制的に遮断することができない。このため、気体の導出口を通じて液体が溢れだし、ガス返送路やオゾン発生器などが浸水してしまう。
【0007】
一般的なオゾン発生器は絶縁物を挟んだ電極間に交流電圧を印加して無声放電を発生させ、電極間に大気圧以上の空気または酸素などの気体を通過させることによりオゾンガスを生成させている。電極形状の種類は様々なものがあり、2枚の平板の金属を並列に配列し放電させるタイプや、円筒形状をした金属と前記円筒形状の中心部分に配置された円柱状の金属との間で放電させるタイプなどがある。このオゾン発生器は、電極間により無声放電を生じさせるため、多量な水分を含む湿度の高い酸素や空気に基づきオゾンガスを発生させた場合、多量な窒素酸化物などが生じ、オゾン発生器の発生効率が低下してしまうことが知られている。このため、特許文献1のオゾン水生成装置は、急激な密封タンクの水位の上昇時に、密封タンクから液体が溢れだし、生成するオゾン水のオゾン水濃度を低下させてしまう課題がある。
【0008】
また、密封タンクとガス返送路との気体の流動を開閉弁などにより、完全に遮断することができないため、正圧状態の密封タンクと接続されたガス返送路は、常に密封タンク内からガス返送路に向かって、気体が流動される状態となっている。
【0009】
このため、酸素ボンベからオゾン発生器への酸素の供給は、正圧状態の密封タンクと連通したガス返送路の内圧より高い圧力で酸素を圧送しなければ、オゾン水生成装置に酸素を導入することができない。この結果、気液混合器の自吸による吸引力だけでは、密封タンク内の気体が酸素ボンベ側へ導出してしまい、大気のような低い圧力下のオゾン水生成装置の外部から気体を吸引することは困難であった。
【0010】
本発明は上述の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は気体の導出を制御する制御弁を備えた貯液手段により、貯液量の調節を実現したオゾン液生成器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るオゾン液生成器は、オゾンガスを発生するオゾン発生器と、オゾンガスと液体を混合する気液混合器と、導入される気液混合液を気液分離する貯液槽と、オゾン発生器と気液混合器と貯液槽との間に気体を循環させる循環経路と、貯液槽の貯液量に応じて貯液槽の気体導出口から導出する気体の流動を制御する開閉制御手段が設けられている。
【0012】
本発明に係るオゾン液生成器の循環経路は、外部から気体を導入する気体導入手段をさらに備えることがよい。
【0013】
本発明に係るオゾン液生成方法は、オゾンガスと液体から生成したオゾン液を貯液槽により気液分離させ、気液分離させた気体を循環させてオゾン液を生成する方法で、貯液槽の液体の貯液量が特定量より少ないときに貯液槽から気体を導出させ、気体を循環させる工程と、貯液槽の液体の貯液量が特定量以上になったときに貯液槽から導出する気体の流動を停止させ、オゾン液生成器の外部から気体を導入する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯液槽の貯液量の調節を効率的に実現したオゾン液生成器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る気液混合部の概略説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る圧送部を備えた配管に接続された気液混合部の概略説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る貯液槽の概略説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る貯液槽の概略説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る貯液槽の概略説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る貯液槽の概略説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る貯液槽の概略説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器のフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器のフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器の各構成部の気体流量及び気体圧力の変化を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器の第1のモードの気体の流れを示す模式図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器の第2のモードの気体の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
本発明の一実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係るオゾン液生成器の概略図である。図1のオゾン液生成器100は、気体または液体を循環する循環経路Aを有し、循環経路Aにオゾンガスを発生するオゾン発生器101と、液体とオゾンガスを混合する気液混合部102と、貯液槽103の気体導出口113から導出する気体の流動を制御する開閉制御手段104と、液体を貯液する貯液槽103とオゾン液生成器の外部から気体を導入する気体導入手段105が設けられている。
【0017】
オゾン発生器101は、空気または酸素などの気体を導入する配管cと接続された導入口106と、金属などの電極により形成され、導入された空気や酸素を材料にオゾンガスを発生するオゾンガス発生素子と、オゾンガスを導出する導出口107を備えている。導入口106より導入された酸素または空気に含まれる酸素の一部などからオゾンガスが生成され、導出口107から導出される。ここで、オゾン発生器101は、導入される空気や酸素などの気体からオゾンガスを生成する構成であれば、一般的なオゾン発生器を用いることが可能である。
【0018】
気液混合部102は、オゾン液生成器の外部から水などの液体を導入する導入口108と、配管aに接続されオゾンガスや空気などの気体を導入する導入口109と、配管bと接続され気体と液体を混合した気液混合体を導出する導出口110とを備えている。導入口108から導入された水などの液体は、導入口109から導入された空気やオゾンガスなどの気体と混合され、導出口110からオゾン液などの気液混合体として導出される。
【0019】
ここで、気液混合体とは、液体に気体が溶解した液体、または、液体に気体が気泡として含まれた液体を示し、オゾン液とは、液体にオゾンガスが溶け込んだオゾン溶液または、液体にオゾンガスが気泡として混合されるオゾンバブル液が含まれる状態を示す。また、混合される液体は、水や農耕用の溶媒として利用される栽培養液や医療用の溶媒として利用される溶液など、オゾンガスを混合させる溶液が含まれる。
【0020】
次に、気液混合部の一実施形態の詳細について、図2を用いて説明する。図2はベンチュリー型の気液混合部の概略説明図である。ベンチュリー型の気液混合部102aは、液体が導入される導入口108と導入口108と連通した導入経路21と、導入経路21に連通し、導入経路21に比べて小さな径を有する連通経路22と、連通経路22と連通し、連通経路22に比べて大きな径を有する導出経路23と、導出経路23に連通された導出口110を備え、導出口110から液体が導出される。また、連通経路22は、経路の途中に開設して設けられた導入口109を備え、配管aを介してオゾン発生器101と接続されている。ここで、開設とは、配管の側面に穴などを設けることを示し、穴として配管に開設された開設口は、他の配管と連通させて接続させることが可能である。なお、穴の形状は、丸、楕円、多角形など適宜、自由に設計して構わない。
【0021】
導入口108から液体を導入すると、導入経路21を通り連通経路22に到達した液体は、導入経路21に比べ細い管に導入されるため、ベルヌーイの定理に知られるように、流速が増加し静圧が減少する。この結果、流動する液体の静圧は負圧になり、配管aを介して連通経路22へ向かい気体が自吸される。その後、導入された気体と液体が混合され、気液混合体として導出経路23と連通された導出口110から導出される。ここで、オゾン発生器101により、オゾンガスを発生して導入されている場合、導入される液体とオゾンガスが混合され、オゾン液が生成される。ここで、気液混合部の一実施形態として、図2のベンチュリー型の気液混合部を用いて説明したが、気体の自吸が可能な気液混合部であれば、他の構成をした気液混合部を用いても構わない。
【0022】
次に、他の気液混合部の一実施形態について、図3のように、配管aまたは配管cに圧送部を備え、気体の自吸が不可能な気液混合部102と接続した概略説明図を用いて説明する。図3(a)は圧送部119を備えた配管aと接続された気液混合部の一実施形態である。図3(b)は圧送部119を備えた配管cと接続された気液混合部の一実施形態である。
【0023】
圧送部119はポンプなどにより形成され、配管を介して気液混合部102に向かって気体を流動させることができる。また、配管に設けられる圧送部119の能力は、気液混合部102に対して気体を圧送する必要があるため、気液混合部102から圧送部119へかかる圧力よりも高い圧送能力を備えたものを配置する。
【0024】
このため、図3(a)、(b)のいずれの構成も自吸力がないタイプの気液混合部を配置した場合にも、自吸力がある気液混合部と同様に、循環経路Aを介して気液混合部102に気体を導入し、導入口108から導入される液体と混合することが可能となる。
【0025】
貯液槽103は液体や気体が貯蔵できる密封可能な容器などからなる。配管bに接続され液体を導入する導入口111と、オゾン液生成器の外部へ水やオゾン液などの液体を導出する液体導出口112と、配管cに接続され、空気やオゾンガスなどの気体を導出する気体導出口113とを備える。貯液槽103の下層に導入された液体が貯液され、上層に空気やオゾンガスなどの気体が貯蔵され、気体と液体を分離することが可能であり、気液分離手段としての役割を担う。ここで、密封可能な容器とは物理的に密封された空間ではなく、気体が液体により閉じ込められた空間をもつ容器が含まれる。容器内に気体を封止することができれば、常時、液体導出口112から水が導出されていても密封状態として表現する。
【0026】
例えば、貯液槽103は、オゾン液を貯液槽103の導入口111から導入する場合、オゾン液に気泡として含まれていたオゾンガスや空気などの気体が分離され、貯液槽103の上層に貯蔵され、貯液槽103の下層に液体にオゾンガスが溶解したオゾン溶液が貯液される。
【0027】
また、気体導出口113は、貯液槽103に設けられた液体導出口112の位置より、重力方向に対して高い位置に設けられ、貯液槽103に貯液された液体の貯液量に応じて、開閉制御する開閉制御手段104が備えられている。
【0028】
開閉制御手段104は、一般的にタンクなどの貯液量が一定範囲に保つように自動的に調整する水位調整手段として役割を担い、貯液量が一定量より少ないときに弁が開状態となり、一定量を超えるときに弁が閉状態へと切り換わるように設計されている。このため、開閉制御手段104は、気液分離器103に貯液された貯液量が一定量を超えると気体導出口113が開状態から閉状態へ切り換わり、気体導出口113から気体が流出することを防ぎ、一定量を超える貯液槽103の貯液を防止する。
【0029】
例えば、液体導出口112から導出可能な水量以上の液体を導入口111に導入し、時間の経過に伴い、徐々に貯液槽103に貯液される貯液量が増加する場合も、貯液槽の貯液量を一定の範囲に調整することが可能であるため、気体導出口113から液体が溢れだすことを防止できる。なお、貯液槽103の形状は、円筒や多角柱や多角錐や円錐形状などの一般的な形状に形成させてよい。また、貯液槽103の大きさは設計に応じて、適宜、調整することが可能であり、配管の一部を広げて貯液槽を形成させても構わない。なお、図1の開閉制御手段104は貯液槽103の内部に設けられているが、循環経路Aの気体導出口113と気体導入手段105との間の配管cに配置されていても構わない。
【0030】
また、貯液槽103は気体と液体への気液分離の効率を向上させるため、貯液槽103に導入された液体の流動を抑制する位置に流動抑制板などの流動抑制手段を設けてもよい。貯液槽103に導入される気泡が含まれた液体は、導入口111から液体導出口112へ高速に流動する場合、液体に含まれる気泡を気液分離しきれず、液体導出口112から導出してしまうことがある。このため、貯液槽103内で液体の流動速度を抑え、気液分離の効率を向上させることが効果的である。
【0031】
例えば、図4のように容器内に流動抑制板を備えた貯液槽103aを用い、気液分離の効率を向上させてもよい。図4は本発明に係る貯液槽103aの一実施形態を説明する概略説明図であり、図1の貯液槽103の底面に流動抑制手段を設けた構成をしている。図4(a)は貯液槽103aの斜視図である。図4(b)は貯液槽103aを横から見た概略説明図である。
【0032】
図4の貯液槽103aは外壁41に囲まれた密封可能な容器部120を有し、容器部120に液体を導入する導入口111と、オゾン液などの液体を導出する液体導出口112と、気体を導出する気体導出口113と流動抑制板42を備えている。
【0033】
気体導出口113は、貯液槽103aに設けられた液体導出口112の位置より、重力方向に対して高い位置に設けられ、貯液槽103aに貯液された液体の貯液量に応じて、開閉制御する開閉制御手段104が備えられている。なお、図4では、説明のため、開閉制御手段104を模式的に示しているが、本実施例に記載した開閉制御手段だけでなく、他の開閉制御手段を備えることが可能である。また、気体導出口113は効率的に気体を導出させるため容器部120の天井近傍に設け、液体導出口112は効率的に液体を導出させるため容器部120の底面近傍に設けることがよい。
【0034】
流動抑制板42は容器部の底面に配置され、導入口111から導入された液体の流動を抑制する流動抑制手段としての役割を担う。なお、図4では、長方体状の流動抑制板42を記載しているが、導入される液体の流動を抑制することができれば、多角柱や多角錐や円弧状の壁など、他の形状の流動抑制板を形成させても構わない。
【0035】
導入口111から導入された液体は、流動抑制板42に衝突し、液体の流動速度が抑制された後に、液体導出口112から導出される。このため、導入された液体は一定時間、貯液槽103a内を滞留することになるため、オゾン液に含まれるオゾンガスなどの気体の気液分離をより効果的に行うことが可能となる。
【0036】
また、例えば図5のような二重管構造の容器を備えた貯液槽103bを用い、気液分離の効率を向上させてもよい。図5は本発明に係る貯液槽103bの一実施形態を説明する概略説明図である。図5(a)は貯液槽103bの斜視図である。図5(b)は貯液槽103bを横から見た概略説明図である。
【0037】
図5の貯液槽103bは外壁51に囲まれた液体や気体を貯蔵する容器部120を有し、容器部120に液体を導入する導入口111と、オゾン液などの液体を導出する液体導出口112と、気体を導出する気体導出口113を備えている。また、容器部120は、導入口111と連通し、内壁52により形成された内水筒53と外壁51と内壁52との間に形成され、液体を貯液可能な外水筒54を備えた2重管構造として形成されている。気体導出口113は、内壁52により形成される壁の高さより重力方向に対して高い位置に設けられ、液体導出口112は内壁52により形成される壁の高さより重力方向に対して低い位置に設けられている。ここで、気体導出口113は効率的に気体を導出させるため容器部120の天井近傍に設け、液体導出口112は効率的に液体を導出させるため容器部120の底面近傍に設けることがよい。
【0038】
導入口111から導入された液体は、容器部120の内水筒53に貯液され、やがて貯液された液体の水位が内壁52の壁の高さを超えて溢れると、外水筒54に貯液されることとなる。その後、外水筒54に貯液された液体は、液体導出口112から導出される。このため、貯液槽103bはオゾン液生成モード時に容器部120の下層に液体が貯液され、容器部120の上層に気体が貯蔵されることとなる。この結果、貯液槽103bは導入口111から液体を導入し、気体導出口113から気体を導出させることが可能となる。なお、貯液槽103bは、導入口111から導入させた液体の流れを内壁52に衝突させることでさえぎり、内水筒53に貯液させた後に、液体導出口112から導出させるため、オゾン液に含まれるオゾンガスなどの気体の気液分離をより効果的に行うことが可能となる。
【0039】
なお、図5では液体導出口112を貯液槽103bの底面に設けているが、オゾン液を外水筒54に貯液できるように、外水筒54の底面と内壁52の上部との間に位置する外壁51に液体導出口112を設けても構わない。
【0040】
また、気体導出口113は、貯液槽103bに設けられた液体導出口112の位置より、重力方向に対して高い位置に設けられ、貯液槽103bに貯液された液体の貯液量に応じて、開閉制御する開閉制御手段104が備えられている。なお、図5では、説明のため、開閉制御手段104を模式的に示しているが、本実施例に記載した開閉制御手段だけでなく、他の開閉制御手段を備えることが可能である。
【0041】
なお、図5では、二重管構造により形成された貯液槽103bについて説明をしたが、円筒形状として構成する必要はなく、多角形等の二重構造にしてもよく、気体と液体を分離することが可能な構成であれば、他の構成を用いても構わない。
【0042】
次に開閉制御手段を備えた貯液槽の一実施形態の詳細について図6の概略説明図を用いて説明する。図6(a)は貯液槽103の上面図である。図6(b)は貯液槽103を横から見た概略説明図である。図6の貯液槽103は、液体や気体を密封して貯蔵可能な容器部120を備え、容器部120に液体を導入する導入口111と、液体を導出する液体導出口112と、気体を導出する気体導出口113と開閉制御手段104aを有している。
【0043】
容器部120は、例えば直径が30〜80mm、高さが100〜300mm程度の円筒形状をした密封可能な容器に導入口から3L/min程度の水流量が導入するように設計されている。気体導出口113は、液体導出口112より重力方向に対して高い位置に設けられ、貯液槽103の液面に応じて開閉制御が可能な開閉制御手段104aが備えられている。
【0044】
図6の開閉制御手段104aは、貯液槽に貯液された液体の液面に応じて開閉制御可能なフロート弁104aとして形成されている。以下、図6の開閉制御手段104aをフロート弁104aとよぶ。
【0045】
ここで、フロート弁とは、液体より比重の小さい物質からなる物体や中空の物体などが液体に浮く浮力を利用し、液体に浮かべた物体を上下させることで開閉状態を切り替える弁のことである。一般的にタンクなどに貯液された液体の液面を一定範囲に保つように自動的に調整する水位調整手段としての役割を担う。
【0046】
図6のフロート弁104aは、フロート121aとフロートガイド122aとフロート栓123aから形成される。フロート121aは、貯液槽に貯液される液体の比重より小さな値を有する物質からなる物体または中空の物体などにより形成され、貯液槽に貯液された液体に浮かべられ、液面の高さに応じて上下し、液面の上昇に応じて上昇し、液面の下降に応じて下降する。
【0047】
フロート栓123aは、フロート121aと接続されており、気体導出口113と接触し、流路を塞ぐ栓としての役割を果たすため、円錐形状、円柱状、角柱状、球状、平板、円板などの形状をしている。なお、フロート弁104aは、フロート121aとフロート栓123aとを個別に形成して接続させてもよいし、一体に形成させても構わない。例えばフロート栓123aを貯液槽に貯液される液体の比重より小さな値を有する物質からなる物体または中空の物体などにより形成し、流路を塞ぐ栓の役割とフロート121aの役割を兼ねさせてもよい。
【0048】
フロートガイド122aは、棒線状や平板状やストラップ状などに形成され、一端が容器部120aに接続され、もう一端がフロート121aまたはフロート栓123aと接続される。フロートガイド122aは、貯液槽に貯液された液面の上昇に応じて、フロート121aが上昇し、気体導出口113をフロート栓123aが閉塞するように設けられている。また、液面の下降に応じて、フロート121aが下降し、気体導出口113の閉塞を解除する。
【0049】
このため、貯液槽103に貯液された液体の水位が一定の水位より低いときは、気体導出口113は開状態となり、貯液槽103に液体を貯液し一定の水位以上になったときは、気体導出口113はフロート弁104aにより塞がれ、閉状態となる。
【0050】
例えば、図6では、円筒形状のフロート121aと円錐形状のフロート栓123aを含むフロート弁104aを記載し、貯液槽の貯液量が低く、気体導出口113が開状態のときのフロート弁104aを実線で示し、貯液槽の貯液量が高く、気体導出口113を塞ぐ閉状態のときのフロート弁104a´を点線で示している。
【0051】
フロート弁104aは、貯液槽103に貯液された液面が一定量を超えると気体導出口113を開状態から閉状態へと切り換えるため、気体導出口113から一定量を超える気体または液体の流出を防止する。このため、フロート弁104aは水位センサや制御回路や電磁弁などを備えなくても動作が可能であり、低コストで小規模な構成にて貯液槽103に貯液された液面の調整を、自力で制御することが可能である。
【0052】
なお、貯液槽103の形状は、円筒や多角柱や多角錐や円錐形状などの一般的な形状に形成させてよく、また、気体と液体への気液分離の効率をあげるための装置や機構を設けてもよい。また、液体導出口112は、オゾンガスや空気などの気体が気泡として流出することを抑制するため、容器部の底面近傍に設けることが好ましい。また、導出口が設けられる方向は、中心に液体が導入されるように設けられても、円周方向に液体が導入されるように設けられても構わない。気体導出口113は効率的に気体を導出させるため、容器部の天井近傍に設けられることが好ましい。
【0053】
また、図6では、液面の上昇に伴いフロート121aが上昇し、貯液槽内103の気体導出口113の流路を塞ぐフロート弁を記載して説明しているが、他のフロート弁を備えた構成としてもよく、これに限定されない。
【0054】
次に他の開閉制御手段を備えた貯液槽の一実施形態の詳細について図7の概略説明図を用いて説明する。図7(a)は貯液槽103の上面図である。図7(b)は貯液槽103を横から見た概略説明図である。
【0055】
図7の貯液槽103は、液体や気体を密封して貯蔵可能な容器部120を備え、容器部120に液体を導入する導入口111と、液体を導出する液体導出口112と、気体を導出する気体導出口113と開閉制御手段104bを有している。なお、図7の貯液槽は開閉制御手段104bを除き、図6の各構成要素と同一であるため、同一部分の構成要素には同一の番号を付与し、詳細な説明を省略する。
【0056】
図7の開閉制御手段104bは、貯液槽に貯液された液体の液面に応じて開閉制御可能なフロート弁104bとして形成されている。以下、図7の開閉制御手段104bをフロート弁104bとよぶ。
【0057】
フロート弁104bは、フロート121bとフロートガイド122bとフロート栓123bから形成される。
【0058】
フロート121bは、貯液槽に貯液される液体の比重より小さな値を有する物質からなる物体または中空の物体などにより形成され、貯液槽に貯液された液体に浮かべられ、液面の高さに応じて上下し、液面の上昇に応じて上昇し、液面の下降に応じて下降する。
【0059】
フロート栓123bは、気体導出口113と接触し、流路を塞ぐ栓としての役割を果たすため、円錐形状、円柱状、角柱状、球状、平板、円板などの形状をしている。
【0060】
フロートガイド122bは、棒線状や平板状などに形成され、一端が容器部120に接続され、もう一端がフロート121bと接続されている。また、フロートガイド122bは、容器部120との接続点とフロート121bとの接続点との間の接続間の一部または全面にフロート栓123bが設けられ、貯液槽に貯液された液面の上昇に応じて、フロート121bが上昇し、フロート栓123bが気体導出口113を閉塞するように設けられている。ここで、フロート121bは、必ずしもフロートガイド122bの端に設けられる必要はなく、フロートガイド122の中間部分でフロート121bと接続されていてもよい。
【0061】
このため、貯液槽103に貯液された液体の水位が一定の水位より低いときは、気体導出口113は開状態となり、貯液槽103に液体を貯液し一定の水位以上になったときは、気体導出口113はフロート弁104bにより塞がれ、閉状態となる。
【0062】
なお、フロート弁104bは、フロートガイド122bとフロート栓123bとを個別に形成して接続させてもよいし、一体に形成させてもよい。例えばフロートガイド122bを気体導出口113を閉塞可能なゴムのような弾力性のある素材で形成し、フロートガイド122bの役割と、流路を塞ぐフロート栓123bとしての役割を兼ねさせてもよい。
【0063】
例えば、図7では、円筒状のフロート121bと平板状のフロートガイド122bと平板上のフロート栓123bを含むフロート弁104bを記載し、貯液槽の液面の高さが低く、気体導出口113が開状態のときのフロート弁104bを実線で示し、液面の高さが高く、気体導出口113を塞ぐ閉状態のときのフロート弁104b´を点線で示している。
【0064】
このため、フロート弁104bは、貯液槽103に貯液された液面が一定の高さを超えると気体導出口113を開状態から閉状態へと切り換えるため、気体導出口113から一定量を超える気体または液体の流出を防止する。
【0065】
また、図7のフロート弁104bは、てこの原理を利用し、気体導出口113に対して、より高い押圧により閉塞させることが可能である。フロートガイド122bと容器部120との接続点を支点x、フロートガイド122bとフロート121bとの接続点を力点y、フロート栓123bと気体導出口113とが接触するフロート栓123bの接触部zを作用点とすることで、てこの原理の利用が可能となる。このため、低い浮力しか得られない小さなフロート121bを利用して導出口を閉状態にさせることができるため、フロート弁104bの省スペース化を図ることが可能となる。なお、てこの原理をより有効に利用するためには、力点yであるフロート121bは、支点xから可能な限り遠くに配置することがよく、例えばフロート121bはフロートガイド122bの端部に設けることがよい。また、作用点zであるフロート栓123bは、支点xから可能な限り近い位置に配置することがよいため、気体導出口113及びフロート栓123bは、支点xから可能な限り近い位置に設けることがよい。
【0066】
次に、他の開閉制御手段を備えた貯液槽の一実施形態の詳細について図8の概略説明図を用いて説明する。図8(a)は貯液槽103の上面図である。図8(b)は貯液槽103を横から見た概略説明図である。図8の貯液槽103は、液体や気体を密封して貯蔵可能な容器部120を備え、容器部120に液体を導入する導入口111と、液体を導出する液体導出口112と、気体を導出する気体導出口113と開閉制御手段104cを有している。
【0067】
気体導出口113は、液体導出口112より重力方向に対して高い位置に設けられ、貯液槽103の液面に応じて開閉制御が可能な自重開閉制御手段104cが備えられている。
【0068】
図8の自重開閉制御手段104cは、容器部に貯液された液体の重量により気体導出口を開閉する自重開閉制御手段104cとして形成されている。以下、図8の開閉制御手段104cを自重開閉制御手段104cとよぶ。
【0069】
自重開閉制御手段とは、重力方向に移動可能な容器に貯液された液体の重力を利用し、貯液量が一定量より低いときに導出口を開状態とさせ、一定量以上になったときに閉状態とさせるように開閉状態を切り替える弁のことである。一般的にタンクなどに貯液された液体の液面を一定範囲に保つように自動的に調整する貯水量調整手段としての役割を担う。
【0070】
図8の自重開閉制御手段104cは、容器部120を重力方向に隔てる仕切り板126と、仕切り板126に接続された支持部128と、支持部128に接続された自重栓124と、自重栓124と密着して合わせることで、気体導出口113の流路を塞ぎ、閉状態にさせる閉塞部125と、仕切り板126が受ける重力の大きさに応じて、仕切り板126を重力方向に移動させる弾性手段127を備えている。
【0071】
仕切り板126は、容器部120の断面と同様な形状をしており、ゴムなどの柔軟性を有する素材により形成され、容器部120を2つの空間に隔てる役割を果たす。重力方向に対して仕切り板126の上方に位置する第1の貯蔵室130には導入口111と、液体導出口112と、気体導出口113が設けられ、液体が導入され貯液される構成となっている。一方、重力方向に対して仕切り板126の下方に位置する第2の貯蔵室131は、弾性手段127が形成され、弾性手段127は仕切り板126に対して一定の圧力で押圧している。
【0072】
また、仕切り板126は容器部120に沿い上下に移動が可能なパッキンとしての機能を有する。例えば、円板の形状をしており、容器部120と接触する仕切り板126の外周部がゴムなどの柔軟性を有する素材により形成させてもよい。なお、弾性手段127を格納した空間は、仕切り板126を柔軟に上下させるために通気口129を設けておくことがよい。
【0073】
支持部128は、棒線状またはストラップ状に形成され、一端が仕切り板126に接続され、もう一端が自重栓124に接続され、仕切り板126の移動にともない自重栓124を上下させる。
【0074】
閉塞部125は、容器部120に連通する気体導出口113を円柱状の容器が囲むように設けられ、円柱状の容器に容器部120に連通する穴が設けられている。また、閉塞部125は自重栓124が収納され、自重栓124の上下の移動により閉塞部125の穴と自重栓124が密着することで、気体導出口113への流路を塞ぐことが可能な構成となっている。なお、閉塞部125の形状は円柱状に限らず、円錐、多角柱、多角錐などの形状でもよく、閉塞部125と自重栓124により、気体導出口113への流路を塞ぐことが可能な構成であればよい。また、自重栓124の形状は閉塞部125に設けられた穴を塞ぐことが可能であればよく、円板の形状に限らず、平板、球状など他の形状にて形成しても構わない。
【0075】
例えば、図8では、円柱状の閉塞部125に設けられた穴を円板状の自重栓124が塞ぐ構成になっている。このため、自重栓124が重力方向に下降することにより、閉塞部125の穴を塞ぎ、自重栓124が重力方向に上昇することにより、閉塞部125の穴が解放されることとなる。
【0076】
弾性手段127はバネなどにより形成され、容器部120の底面と仕切り板126に接続され、仕切り板126に対して反発力として一定の押力を発生させる。なお、バネのような弾性手段127の換わりに第2の貯蔵室131を密封させておき、第1の貯蔵室130から仕切り板126に対する押圧に応じた気体の圧縮により、仕切り板126が重力方向に上下する現象を利用してもよい。
【0077】
なお、図8では、自重開閉制御手段104cを記載し、貯液槽の液体の貯液量が軽く、気体導出口113が開状態のときの自重開閉制御手段104cを実線で示し、貯液量が重く、気体導出口113を塞ぐ閉状態のときの自重開閉制御手段104c´を点線で示している。
【0078】
このため、自重開閉制御手段104cは、貯液槽103の液体の重量が一定重量を超えると気体導出口113を開状態から閉状態へと切り換えるため、気体導出口113から一定量を超える気体または液体の流出を防止する。このため、自重開閉制御手段104cは重量センサや制御回路や電磁弁などを備えなくても動作が可能であり、低コストで小規模な構成にて貯液槽103に貯液された貯液量の調整を自力で制御することが可能である。
【0079】
貯液槽103に貯液された液体の貯液量が、一定の貯液量より低いときは、気体導出口113を閉状態とさせ、一定の貯液量より高いときは気体導出口113を閉状態とさせる。なお、貯液槽103の形状は、円筒や多角柱や多角錐や円錐形状などの一般的な形状に形成させてよく、また、気体と液体への気液分離の効率をあげるための装置や機構を設けてもよい。
【0080】
また、液体導出口112は、オゾンガスや空気などの気体が気泡として流出することを抑制するため、容器部の底面近傍に設けることが好ましい。気体導出口113は効率的に気体を導出させるため、容器部の天井及び天井近傍に設けられることが好ましい。なお、図8の自重開閉制御手段104cは、容器に貯液された液体の重力を利用し、開閉制御する構成であればよく、図8の構成に限定されない。
【0081】
循環経路Aはホースやパイプなどからなる配管系から形成され、オゾン発生器101の導出口107と気液混合部102の導入口111との間を接続する配管aと、気液混合部102の導出口110と貯液槽103の導入口111との間を接続する配管bと、貯液槽103の気体導出口113とオゾン発生器101の導入口106との間を接続する配管cから構成されている。
【0082】
配管cは、経路の途中に開設して設けられた開設口114を備え、オゾン液生成器の外部から内部への気体の導入を制御する気体導入手段105と接続されている。
【0083】
気体導入手段105は、第1の逆止弁115が設けられた配管dにより構成され、配管dの一方は、配管cの経路の途中に開設して設けられた開設口114と連通して接続され、もう一方は大気または酸素や空気を貯蔵したガスボンベなどと連通した外部口116が形成されている。
【0084】
ここで、逆止弁とは、気体や液体などの流体が流動する配管などに取り付けられ、流体がある方向から逆方向への流れを止めるための制御弁である。逆止弁が設けられた配管は流体を一方向にのみ流動させることが可能となる。このため、第1の逆止弁115が設けられた配管dは、外部口116から配管aへの一方向にのみ気体を流動させるため、循環経路から外部への気体の解放を防止する。
【0085】
なお、気体導入手段105は、貯液槽103とオゾン発生器101とをつなぐ配管dに取り付けられているが、この位置に限定されない。オゾン発生器101と混合部102の間の配管aに取り付けられてもよい。
【0086】
なお、気体導入手段105は、オゾン液生成器の外部から内部へ気体の導入が可能な手段であればよく、開設口114に配管を介さず、逆止弁を備えた構成としても構わない。また、逆止弁の換わりにオゾン水生成器への導入を制御可能な開閉バルブや電子的に制御が可能な電磁バルブ等により構成してもよい。
【0087】
また、配管dはオゾンガスを還元する機能を有するオゾンフィルタ117を設けてもよい。オゾンフィルタ117はフィルタを通るオゾンガスを分解することが可能なため、外部口116から気体を安全に開放することができる。このため、第1の逆止弁115がオゾンガスに腐食されて破損した場合にも、オゾン水生成器100の内部のオゾンガスが外部空間に漏れ出すのを防ぐことができる。なお、オゾンフィルタ117はオゾン分解触媒を格子状に構成した紙やアルミニウム付着させたものなど一般的なオゾンフィルタを配置する。
【0088】
また、配管cは貯液槽103の導入口111と開設口114との間に第2の逆止弁118を設けてもよい。第2の逆止弁118は、気体導出口113から開設口114へ向かって気体が流動するように設けられているため、外部口116から導入される気体が配管cを介して貯液槽103の気体導出口113から侵入することを防止する。このため、第2の逆止弁118によって、開閉制御手段の動作が安定し、外部口116から吸入した気体を確実に貯液槽103の導入口111から導入させ液面調整をすることができる。
【0089】
≪動作説明≫
次に本発明に係るオゾン液生成器の動作について図1〜図13を用いて説明する。なお、説明を簡略化するため、気体は空気、液体は水を用い、オゾン水を生成する説明を行うが、気体は空気の他に酸素などを利用してもよく、液体は水の他にオゾンガスを溶解させることが可能な溶液であれば他の溶液を利用してオゾン溶液を生成しても構わない。
【0090】
図9は本発明に係るオゾン液生成器のフローチャートである。本発明に係るオゾン液生成器は、図9のように第1のモードによる動作と、第2のモードによる動作とを含み、貯液槽103に貯液された貯液量の値である貯液量Xの増減に応じ、あらかじめ定められた特定の値Hを閾値として以下のようにモード切り替えが行われる。
【0091】
図9に示すS1において、気液混合部102に水を導入し、オゾン発生器101をON状態にし、オゾン液の生成を開始する。ここで、貯液槽103は既に貯液されていた液体の貯液量Xが空の状態または値Hより少ない状態で生成を開始し、気液混合部102に導入する水の流量は、貯液槽103の液体導出口112から導出される液体の導出量より多量な水を導入する。このため、貯液槽103に貯液される貯液量Xは、時間の経過とともに増加することとなる。
【0092】
次にS2において、貯液槽103に貯液された貯液量Xがあらかじめ設定した特定の値H以上になっているかを確認する。ここで、特定の値Hは、貯液槽から液体を溢れださないように設定する際は、貯液槽103の貯液可能な貯液量よりも低く設定する。
【0093】
また、例えば、貯液槽103に開閉制御手段104として、図6や図7に記載されたフロート弁や図8に記載された自重開閉制御手段などの自動的に自力で開閉できる制御手段を設ける場合、開閉制御手段104が閉状態になるときの貯液量の値を特定の値Hとする。このとき、自動的に開閉制御手段104は貯液量Xと特定の値Hを比較していることとなる。
【0094】
なお、開閉制御手段104を電磁弁として形成する場合、差圧式水位センサやレベルセンサなどの一般的な水位センサや重量センサなどを用いて貯液槽103に貯液された貯液量をセンシングして、センシングした貯液量Xと特定の値Hとを比較してもよい。
【0095】
S2において、貯液量Xが特定の値Hより小さいときはS3に進み、第1のモードにてオゾン液を生成する。ここで、第1のモードとは開閉制御手段104が開状態で、気体導入手段105が閉状態にてオゾン液生成器の循環経路Aに気体を循環させて、オゾン液を生成させる内部気体循環モードを示す。S3にて、この第1のモードにて動作を行い、S5に進む。
【0096】
一方、S2において、貯液量Xが特定の値H以上になっているときはS4に進み、第2のモードにて動作を行う。ここで、第2のモードとは、開閉制御手段104が閉状態で、気体導入手段105が開状態にてオゾン液生成器の外部から気体導入手段105を介して気体を導入させる外部気体導入モードを示す。S4にて、この第2のモードにて動作を行い、S5に進む。
【0097】
なお、例えば、オゾン液生成器が図6や図7に記載されたフロート弁や図8に記載された自重開閉制御手段などのように自動的に自力に開閉できる開閉制御手段104と、逆止弁を備えた気体導入手段105を備える場合は、電子的な制御を行わずに機械的にモードの切り替えを行うことが可能である。
【0098】
貯液槽103の貯液量Xが特定の値Hに達するときに自動的に気体または液体の流動を遮断するため、貯液量Xが特定の値Hを超えず、貯液槽103の気体導出口113から液体の導出を防止することが可能となる。
【0099】
S5では、オゾン液の生成を停止させるか否かの選択を確認する。S5において、オゾン液の生成を停止させるときは、液体の導入を停止し、オゾン発生器101の電源をOFF状態にして、オゾン液生成器を停止させる。ここで、オゾン液生成器の生成停止は、あらかじめ終了時間をプログラムしておいてもよく、例えば、生成開始から一定時間が経過したときにオゾン液の生成を停止させる選択をするようにしておいてもよい。また、オゾン液の生成量に応じて生成が停止されるようにプログラムされていてもよく、例えば、オゾン液生成器により生成されるオゾン液生成量をセンシングし、一定量以上になったときにオゾン液の生成を停止させる選択をするようにしておいてもよい。また、オゾン液生成器は、手動により命令したオゾン液の生成を停止させる選択を確認し、生成を停止させてもよい。
【0100】
S5において、オゾン液生成器を停止させないときは、再び、S2に戻り、S5にてオゾン液生成器を停止させるまで、上記の動作を繰り返す。このため、オゾン液生成器によりオゾン液の生成を開始させてから停止させるまで、貯液槽103に貯液された液体の貯液量Xは、特定の値Hより低い値になるように制御する。
【0101】
なお、S5におけるオゾン液生成器の生成停止は、フローチャートのどの工程の間にも手動で行うことが可能であり、例えば図10のフローチャートのように、オゾン液生成器による生成を開始してから、手動で停止させるまで、S2とS3の工程と、S2とS4の工程とを交互に繰り返すように設定してもよい。この場合、S4の工程の後にS2の工程に戻り、また、S3の工程の後にS2の工程に戻るように制御されるため、オゾン液の生成が停止されるまで、オゾン液生成器は、第1のモードと第2のモードとを交互に切り替えて動作することとなる。
【0102】
なお、上述のフローチャートに基づき、各構成部について電気的な制御を行う場合、開閉制御手段104や気体導入手段105を電磁弁として形成させ、電磁弁に対する開閉制御の命令や各構成部に対する開始や停止の命令などを制御するコントロール手段を備えてもよい。
【0103】
図11は図9または図10に示すフローチャートにともなうオゾン液生成器の各構成部の圧力、流量の変化の実験結果を模式的に示した図である。ここで、図11の貯液量(X)は、貯液槽103に貯液された液体の貯液量を示している。図11の気体導出口の気体流量と気体導出口の気体圧力は、気体導出口113を流動する気体の流量と気体の圧力を示している。図11の気体導入手段の気体流量は、気体導入手段105を流動する気体の流量を示している。図11のオゾン発生器の気体流量は、オゾン発生器101を流動する気体の流量を示している。なお、開閉制御手段104は、貯液槽103の内部に設けられ、気体導出口113は貯液槽103の外部に連通して設けられた構成である。
【0104】
また、実験はオゾン発生量100mg/hのオゾン発生器と、連通経路が径φ2.6mm×長さ5mmのベンチュリー型の気液混合部102aと、導入口φ9mm、気体導出口φ1mm、液体導出口φ9mm、貯液許容量200ccの貯液槽を用い、水流量3.5L/min、水圧0.15MPaの水を気液混合器に導入して測定したものである。図11でH=400cc、a1=390cc、b1=2.8L/min、c1=20KPa、C2=−3KPa、d1=1.5L/min程度の値となるが、説明のため、模式的に示して説明を行う。
【0105】
はじめに気液混合部102に水を導入し、オゾン発生器101をON状態にし、オゾン液の生成を開始する。図11のt0及び図9または図10のフローチャートのS1の状態に該当する。ここで、貯液槽103に貯液された液体の貯液量の値Xは空の状態で、貯液槽103から導出する液体の導出量よりも多量な水を気液混合部102に導入する。
【0106】
次に動作を開始すると、動作開始直後の貯液槽103の貯液量の値Xは特定の値Hよりも小さいため(X<H)、オゾン液生成器100は、気体導出口113が開状態となり、気体導入手段が閉状態となる第1のモードとして動作が開始する。図11のt0〜t1及び、図9または図10のS3の状態に該当する。
【0107】
気液混合部102の導入口108から導入された水は、配管bを介して貯液槽103に導入されて貯液される。このため、貯液槽103に貯蔵されていた空気の一部は、導入された水に押し出されように貯液槽103の液体導出口112から導出される。やがて、貯液槽103に貯液された水の水位が高くなり、貯液槽103の液体導出口112が位置する高さを超えると、液体導出口112は水により塞がれる。
【0108】
このとき、オゾン液生成器100内の空気は、貯液槽103と配管aと配管cの空間に閉じ込められた密封状態となる。ここで、密封状態とは物理的に密封された状態ではなく、気体が液体により閉じ込められた状態を示す。
【0109】
閉じ込められた空気は水流により流動され、配管cを介してオゾン発生器101に導入され、オゾンガスが生成される。このため、気体導出口113の気体流量及びオゾン発生器101の気体流量はb1となり、気体導出口の気体圧力はc1となる。
【0110】
なお、オゾン液生成器の生成を開始後、液体導出口112が液体で塞がれ、貯液槽103内の気体が密封状態となるまでの経過時間は、極めて短時間となる構成にて説明を行っているため、図11の気体導出口の気体流量と気体圧力は、オゾン液生成器の生成開始後、急激に上昇した模式図となっている。
【0111】
オゾン発生器101に導入されたオゾンガスは、配管aを介して、気液混合部102の導入口109から導入され、もう一方の導入口108から導入された水と混合されることでオゾン液が生成される。生成したオゾン液は、配管bを介して、貯液槽103に導出され、気体と液体に分離される。
【0112】
ここで、気体と液体に分離とは、オゾン液には液体にオゾンガスが溶け込んだオゾン溶液や液体にオゾンガスが気泡として混合されるオゾンバブル液が含まれているため、貯液槽103にてオゾンガスや空気などを含む気体とオゾン溶液を含む液体に分離されることを示す。
【0113】
分離されたオゾンガスや空気を含む気体は、もとの閉じ込められた空間に戻り、再び循環することになる。このため、オゾン液生成器内の気体は、図12のオゾン液生成器の第1のモードの気体の流れを示す模式図のように、貯液槽103→配管c→オゾン発生器101→配管a→気液混合部102→配管b→貯液槽103→配管c→オゾン発生器101→気液混合部102→の順に循環することになる。この結果、オゾン発生器101は、水に溶解しきれず気液分離されたオゾンガスを含む気体をもとにオゾン液を生成するため、気体を循環させずにオゾン液を生成させる構成に比べ、より高濃度なオゾン液を生成することが可能となる。なお、貯液槽103の貯液量は、時間の経過とともに徐々に増加していく。
【0114】
次に、さらに動作を続け、徐々に貯液槽103の貯液量が増加し、貯液量の値Xが特定の値H以上になると、オゾン液生成器100は、気体導出口113が閉状態となり、気体導入手段105が開状態となる第2のモードに切り替わり、動作を開始する。図11のt1〜t2及び図9または図10のフローチャートのS4の状態に該当する。
【0115】
例えば、貯液槽103に開閉制御手段104として、図6や図7に記載されたフロート弁や図8に記載された自重開閉制御手段などの自動的に自力で開閉できる制御手段を設ける場合、開閉制御手段104は図11のt1にて自動的に閉状態となる。
【0116】
第2のモードに切り替わると開閉制御手段104は閉状態に切り替わるため、貯液槽103の気体導出口113から導出する気体の流動が止まり、気体導出口113の気体圧力はc2まで低下し、負圧となる。これは気体導出口113が開閉制御手段104により物理的に遮断されることで、正圧状態の貯液槽103の気体により圧送されていた気体導出口113の気体は、気液混合部102の吸引力により吸引され、負圧になることに起因する。
【0117】
また、気体導出口113と連通した配管cも負圧になり、図13のオゾン液生成器の第2のモードの模式図のように気体導入手段105を介してオゾン液生成器の外部から内部へ空気が吸引される。このときの気体導入手段105の気体流量はd1である。
【0118】
なお、気体導入手段105は、開閉制御手段104に連動して電子的な開閉制御がなされ、気体を導入する構成としても構わないが、例えば、オゾン液生成器の内部から外部への気体の流動を止める逆止弁115を有する気体導入手段105を備えることで、負圧になった配管aに対して、自動的に外部から気体を吸引することが可能となる。このため、電子的な開閉制御のための電磁弁や制御装置などを必要とせず、低コストかつ省スペースな構成にて、気体の導入が可能となる。
【0119】
吸引された空気はオゾン発生器101にてオゾンガスとなり、気液混合部102で水と混合された後に、気液混合体として、貯液槽103へ導入される。貯液槽103に導入された気液混合体は、再び、気泡として含まれていたオゾンガスまたは空気などの気体と液体に分離され、貯液槽103内部の空気の体積が増加する。この結果、貯液槽103に貯蔵される気体の体積が増加し、貯液槽103に貯液可能な液体の体積が減少するため、貯液槽103の貯液量Xは減少し、特定の値Hより低くなり、再び第1のモードに切り替わる。図11のt2〜t4及び図9または図10のフローチャートのS3の状態に該当する。例えば、開閉制御手段104として図6や図7に記載されたフロート弁や図8に記載された自重開閉制御手段などのように自動的に自力に開閉できる開閉制御手段を備えた場合は、流路を閉塞できる貯液量Xより少なくなり、自動的に開閉制御手段104が開状態に切り替わる状態を示す。
【0120】
第1のモード切り替わった直後はt1〜t2の期間に気体導入手段105から導入された空気が循環経路を介して貯液槽103に導入されるため、貯液槽103の貯液量は減少し、やがて安定する。このときの貯液槽103の貯液量Xは図11のa1であり、図11のt3に該当する。図11では説明のため、模式的に示しているが、Hとa1との値の差は極めて小さく、Hとa1はほぼ等しい値となるように構成させることが可能である。
【0121】
その後、オゾン液生成器は前述の第1のモードと同様に動作し、貯液槽103の貯液量Xは再び上昇に転じる。そして、貯液量Xが特定の値H以上になると第2のモードに切り替わり、動作を開始する。図11のt4〜t5及び図9または図10のフローチャートのS4の状態に該当する。
【0122】
以降、図11のt4〜t7にように、貯液槽の貯液量に応じて前述の第1のモードと第2のモードに交互に切り替わり、貯液槽103の貯液量Xを一定の貯液量に調整することが可能となる。
【0123】
なお、第2のモードの動作期間は、図11では説明のため、模式的に示しているが、実施構成の設計により調整が適宜可能であり、極めて短時間に動作するように構成しても構わない。
【0124】
なお、上述のモード切り替えは、貯液槽103に貯液された液体の貯液量Xに応じて、開閉制御手段104により、自動的に切り替えが行われるように設定されているが、開閉制御手段104による自動的な切り替えは、図6〜図8の開閉制御手段のように機械的な装置により開閉制御がなされても、電子的な制御により開閉制御がなされても構わない。
【0125】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
100 オゾン液生成器
101 オゾン発生器
102 気液混合部
103 貯液槽
104 開閉制御手段
105 気体導入手段
106 導入口
107 導出口
108 導入口
109 導入口
110 導出口
111 導入口
112 液体導出口
113 気体導出口
114 開設口
115 第1の逆止弁
116 外部口
117 オゾンフィルタ
118 第2の逆止弁
104a、104b フロート弁
104c 自重開閉制御手段
119 圧送部
120 容器部
121a、121b フロート
122a、122b フロートガイド
123a、123b フロート栓
124 自重栓
125 閉塞部
126 仕切り板
127 弾性手段
128 支持部
129 通気口
130 第1の貯蔵室
131 第2の貯蔵室
21 導入経路
22 連通経路
23 導出経路
41 外壁
42 流動抑制板
51 外壁
52 内壁
53 内水筒
54 外水筒
A 循環経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを発生するオゾン発生器と、
前記オゾンガスと液体を混合する気液混合器と、
導入される気液混合液を気液分離する貯液槽と、
オゾン発生器と気液混合器と貯液槽との間に気体を循環させる循環経路と、
前記貯液槽の貯液量に応じて前記貯液槽の気体導出口から導出する気体の流動を制御する開閉制御手段が設けられていることを特徴とするオゾン液生成器。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、前記貯液槽内に貯液された液面が一定の高さ以上になったときに前記貯液槽の前記気体導出口の流路を塞ぐフロート弁であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン液生成器。
【請求項3】
前記フロート弁は、前記貯液槽の液体に浮かべられるフロートと、
前記貯液槽の前記気体導出口を塞ぐフロート栓と、
前記フロート栓を前記貯液槽の前記気体導出口への移動を促すフロートガイドからなることを特徴とする請求項2に記載のオゾン液生成器。
【請求項4】
前記フロートガイドは線状または板状の形状をしており、前記貯液槽と前記フロートに接続され、前記貯液槽と前記フロートとの接続間に前記フロート栓が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のオゾン液生成器。
【請求項5】
前記開閉制御手段は、前記貯液槽に貯液された液体の重量が一定の重さ以上になったときに前記貯液槽の前記気体導出口の流路を塞ぐ自重開閉制御手段であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン液生成器。
【請求項6】
前記自重開閉制御手段は、
前記貯液槽を重力方向に隔てる仕切り板と、
前記仕切り板を一定の圧力で押圧する弾性手段と、
前記仕切り板に支持部を介して接続された自重栓と、
前記気体導出口に設けられ、前記自重栓と合わせて流路を閉塞させる閉塞部と
を備える請求項5に記載のオゾン液生成器。
【請求項7】
前記循環経路は、外部から気体を導入する気体導入手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のオゾン液生成器。
【請求項8】
前記気体導入手段は、前記循環経路の内部から前記気体導入手段の外部への気体の流動を止める逆止弁を備えていることを特徴とする請求項7に記載のオゾン液生成器。
【請求項9】
前記循環経路は、前記貯液槽の前記気体導出口と前記気体導入手段との間に、前記オゾン発生器から前記貯液槽への気体の流れを止める逆止弁が設けられる請求項7に記載のオゾン水生成器。
【請求項10】
オゾンガスと液体から生成したオゾン液を貯液槽により気液分離させ、気液分離させた気体を循環させるオゾン液生成器のオゾン液生成方法であって
前記貯液槽の液体の貯液量が特定量より少ないときに前記貯液槽から気体を導出させ、気体を循環させる工程と
前記貯液槽の液体の貯液量が特定量以上になったときに前記貯液槽から導出する気体の流動を停止させ、オゾン液生成器の外部から気体を導入する工程と、を含むことを特徴とするオゾン液生成方法。
【請求項11】
オゾンガスと液体から生成したオゾン液を貯液槽により気液分離させ、気液分離させた気体を循環させるオゾン液生成器の貯液方法であって、
前記貯液槽の貯液量が特定量以上になったときに前記貯液槽から導出する気体の流動を停止させ、オゾン液生成器の外部から気体を導入し、前記貯液槽の貯液量を調整することを特徴とする貯液方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−196589(P2012−196589A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60510(P2011−60510)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】