説明

オゾン滅菌管理装置

【課題】オゾン滅菌を例えば移動車両の中または閉鎖空間等で行う場合に、滅菌処理を効率的に行うことができるオゾン滅菌管理装置を提供する。
【解決手段】オゾンによる滅菌処理に使用されるオゾン滅菌管理装置1であって、オゾン発生器9が接続可能に形成されて管理装置本体および空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾンセンサー3からなり、管理装置本体は、オゾン発生器の動作を制御する信号を出力する制御出力部24と、オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度を演算処理する演算部48と、オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度Coを表示させる表示部41と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンを使用して衣服等の滅菌を行うオゾン滅菌に使用する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関が発達した現代、世界の一地域で発症した感染症は短期間で他の地域に拡散する。そして、現在、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ等のウィルスによる感染症の大流行が懸念されており、これに対する医療体制の整備等が急がれている。
これらの感染症による感染者は、病院外で発見された場合には、外部と隔離された状態で救急自動車等により感染症指定医療機関に搬送されて治療される。この過程において、感染者の救急搬送、治療等における二次感染を防止するために、救急自動車の車内、救急隊員が着用する救護服、搬送された病院の医師等が着用する白衣および繰り返し使用される治療用器具等の滅菌を、効率的にかつ確実に行うことが求められる。
【0003】
これまで、救護服等の滅菌は、着用状態で消毒液を散布して、または脱衣後に高圧蒸気雰囲気下、塩素雰囲気下に一定時間置き、若しくは消毒液に浸漬させる等によりなされていた。
しかし、消毒液または高圧蒸気を使用する方法では、滅菌処理の後に乾燥しなければ再使用できない。また、塩素を使用する方法では、使用後の残留塩素を無毒化処理が必要であり、滅菌設備が大型化するという問題がある。
【0004】
そこで、消毒液および高圧蒸気等のような後に乾燥の必要がなく、また塩素のように使用後の無毒化処理が求められないオゾンを滅菌に使用する技術が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51137号公報
【特許文献2】特開平8−150194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で提案された滅菌乾燥消臭装置は、断熱ロッカー内に着衣、医療器具等を収容し、内部に設けられたオゾンランプに空気を通過させてオゾンを発生させこれを循環させて滅菌処理を行う。
特許文献2で提案された衣類殺菌収納装置は、ロッカー形式の収納空間に衣類等を収容し、内部に設けられたオゾン発生装置および殺菌灯を動作させて滅菌処理を行う。
【0007】
特許文献1,2で提案された滅菌装置は、オゾンを使用することにより小型化を実現している。しかし、特許文献1で提案された滅菌乾燥消臭装置は、滅菌処理の終了の判断を、タイマーを用いた時間管理により行う。特許文献2には、滅菌処理の終了の判断方法について記載されていない。従来、滅菌処理は、滅菌処理の積み重ねによる経験に基づいてその処理時間が設定され、または安全を期するため十分すぎる処理時間が設定されていた。そのため、例えばインフルエンザが流行したとき等の、滅菌対象物が多量に発生する場合には、これらを効率的に滅菌処理するのが困難であった。
【0008】
また、例えば救急隊員が着用する防護服を、救急搬送を終えた帰還時に社内で滅菌することができれば、高価な防護服を多くスペアする必要がなくなる。
本発明は、上述の要請に応えるためになされたもので、オゾン滅菌を例えば移動車両の中または閉鎖空間等で行う場合に、滅菌処理を効率的に行うことができるオゾン滅菌管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るオゾン滅菌管理装置は、オゾンによる滅菌処理に使用されるオゾン滅菌管理装置であって、オゾン発生器が接続可能に形成されて管理装置本体および空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾンセンサーからなり、前記管理装置本体は、前記オゾン発生器の動作を制御する信号を出力する制御出力部と、前記オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度を演算処理する演算部と、前記オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度を表示させる表示部と、を有する。
【0010】
好ましくは、前記オゾン発生器を動作させるための電力を供給するコネクタを有する。
また、好ましくは、外部警報機器を動作させるための電力を供給するコネクタを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、オゾン滅菌を例えば移動車両の中または閉鎖空間等で行う場合に、滅菌処理を効率的に行うことができるオゾン滅菌管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はオゾン滅菌管理装置の正面図である。
【図2】図2は図1における右側面図である。
【図3】図3はオゾン滅菌管理装置の構成および外部機器との関係を示す図である。
【図4】図4はオゾン滅菌管理装置の使用状態を示す図である。
【図5】図5はオゾン滅菌管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6はオゾン滅菌管理装置の動作の一部を示すフローチャートである。
【図7】図7は他のオゾン滅菌管理装置の操作表示部の一部を示す図である。
【図8】図8は他のオゾン滅菌管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はオゾン滅菌管理装置1の正面図、図2は図1における右側面図、図3はオゾン滅菌管理装置1の構成および外部機器との関係を示す図、図4はオゾン滅菌管理装置1の使用状態を示す図、図5,6はオゾン滅菌管理装置1の動作を示すフローチャートである。
オゾン滅菌管理装置1は、筐体(ケース)2、オゾンセンサー3、操作表示部4および制御部5等からなる。
【0014】
筐体2は、鉄板で略直方体に形成される。筐体2は、下側の面11にゴム足12,12,12が取り付けられ、上側の面13には、持ち運びに便利なように取っ手14が取り付けられている。
筐体2の前面15となる側面の1つには、横方向の一方の側に偏って操作表示部4が設けられている。前面における操作表示部4から外れた他方の側の端近傍は、下側の面11近傍を除き凹状となっている。前面15における凹状となった部分には、後述するオゾンセンサー3を着脱可能に保持する濃度計保持部17が設けられている(図3参照)。
【0015】
筐体2における、前面15の凹状となった側に直交する側面16には、AC100V用電源コードのコネクタ21、オゾン発生器用電源のコネクタ22、外部警報機器電源用のコネクタ23およびオゾン発生器制御出力用のコネクタ24が設けられている。 筐体2内には、コネクタ21から受け入れたAC100Vの電源を、オゾンセンサー3、操作表示部4の各表示装置、ならびに制御部5の駆動等にそれぞれ適した電圧に変換するトランスおよび整流器等からなる電源部が組み込まれている。また、筐体2には、滅菌処理の完了を知らせる完了ブザーが取り付けられている。
【0016】
オゾンセンサー3は、0.01ppm〜10.00ppmの濃度範囲のオゾンを検出することができるものであり、検出したオゾン濃度に応じた0〜2Vのアナログ出力が可能である。オゾンセンサー3は、外形が直方体である。オゾンセンサー3は、動作電源コードおよびアナログ出力コードが纏められたカールコード25により、筐体2内の電源部および制御部5に接続されている。オゾンセンサー3は、筐体2の凹状部分に設けられた濃度計保持部17に保持される。オゾンセンサー3には、貫通孔が設けられた被保持部26が側面に設けられ、折り畳み可能な吊り下げ用のフック27が裏面の上端に取り付けられている。
【0017】
操作表示部4は、操作部7および表示部8からなる
操作部7は、電源スイッチ31、設定入力部32、スタートボタン33、リセットボタン34およびブザースイッチ35で構成される。
電源スイッチ31は、オゾン滅菌管理装置1全体の電源をオン−オフするためのスイッチである。
【0018】
設定入力部32は、4つの7セグメントディスプレイにより4桁数値を表示するCT設定値表示部36、アップボタン37およびダウンボタン38で形成される。CT設定値表示部36は、滅菌処理の終了を判断する指標であるCT設定値を表示するものである。アップボタン37は、押されることによりCT設定値表示部36に表示されるCT設定値を大きくする。ダウンボタン38は、押されることによりCT設定値表示部36に表示されるCT設定値を小さくする。いずれも、押し初めは1桁目の数値が1つずつ変化し、押す時間が長くなるにつれて、順に2桁単位、3桁単位、4桁単位で数値が変化する。
【0019】
スタートボタン33は、押されることにより、オゾン滅菌管理装置1に接続されたオゾン発生器9を起動させ、同時にオゾンセンサー3が検出したオゾン濃度により滅菌処理の管理を開始する。
リセットボタン34は、押されることにより、完了ブザーの動作およびコネクタ23に接続されたパトライト71等の外部警報機器の動作を停止させる。また、リセットボタン34は、ダウンボタン38と同時に押されることにより、CT設定値をリセット、つまり0にセットする機能を有する。
【0020】
ブザースイッチ35は、オンにすることにより、滅菌処理が終了したときに筐体2に取り付けられた完了ブザーを動作させる。
表示部8は、オゾン濃度表示部41、経過時間表示部42、CT測定値表示部43、進捗度表示部44および処理完了表示部45からなる。
オゾン濃度表示部41は、オゾンセンサー3が検出したオゾン濃度を表示する。視認し易さを考慮して、表示される濃度は、制御部5において演算された一定時間間隔ごとの平均値である。経過時間表示部42は、滅菌処理が開始されてからの経過時間を表示する。CT測定値表示部43は、経過時間表示部42に表示される経過時間におけるCT値(CT値については後述する)を表示する。
【0021】
進捗度表示部44は、5つの表示灯で構成される。5つの表示灯は、CT測定値表示部43の下に、CT測定値表示部の4つの7セグメントディスプレイの並びと同方向に並べて配されている。5つの表示灯は、左から順に、CT測定値表示部43の表示値がCT設定値表示部の表示値の20%以上、40%以上、60%以上、80%以上、100%以上になったときに点灯する。
【0022】
処理完了表示部45は、進捗度表示部44の並びの右に設けられ、オゾンによる滅菌処理が終了したとき表示される。
制御部5は、図4を参照して、入出力部47、演算部48および記憶部49からなる。入出力部47は、操作部7、表示部8およびオゾンセンサー3との情報の受け渡し、ならびに接続するオゾン発生器9および外部警報装置等の電源のオンオフ等を行う。入出力部47は、例えば、オゾンセンサーからのオゾン濃度に応じたアナログ出力を、演算部48が処理可能なデジタルデータに変換するA/D変換器、およびオゾン発生器および外部警報装置等の電源のオンオフを行うデジタルリレーを備える。
【0023】
演算部48は、種々の情報を演算処理するCPUで構成される。記憶部49は、操作部7から入力されたオゾン滅菌処理に関する条件等、滅菌処理においてオゾンセンサーにより計測されたオゾン濃度の経時データおよび演算の途中に生じ消去されるデータ等を記憶する。記憶部49は、半導体による大容量の揮発性メモリ(DRAM)および不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)で構成される。
【0024】
次に、オゾン滅菌管理装置1を使用した滅菌処理について説明する。
図4を参照して、滅菌処理の準備として、オゾン滅菌管理装置1にオゾン発生器9および外部警報機、すなわちここではパトライト71が接続される。オゾン滅菌管理装置1とオゾン発生器9とは、電源ケーブル72およびオゾン滅菌管理装置1からオゾン発生器9に対して出力されるデータコード73で接続される。電源ケーブル72の一端はオゾン発生器用電源のコネクタ22に連結され、データコード73の一端はオゾン発生器制御出力用のコネクタ24に連結される。
【0025】
オゾン滅菌管理装置1とパトライト71とは、電源ケーブル74で接続される。電源ケーブル74は、外部警報機器電源用のコネクタ23に連結される。続いて、オゾン滅菌管理装置1の電源コード75がコネクタ21に連結される。
オゾン滅菌管理装置1、オゾン発生器9は、例えば救急出動して患者を病院に送り届けた後の帰還途中の救急自動車の搬送室に置かれ、パトライト(超小型回転灯)51は運転室に置かれる。搬送室には、救急隊員が耐オゾンガスマスクを着用した救急隊員が乗車する。オゾンセンサー3は、オゾン発生器9から離れた位置に設置されるのが好ましい。筐体2に保持された状態でオゾン滅菌管理装置1をそのような位置に置くことができない場合には、オゾンセンサー3は、濃度計保持部17から外されて、オゾン発生器9から離れた位置に設置される。オゾンセンサー3単独の設置には、被保持部26またはフック27が利用される。
【0026】
また、例えば、被災地においては、オゾン滅菌管理装置1、オゾン発生器9は、滅菌対象物が収容された仮設テント内に置かれ、パトライト71はその外に置かれる。
外部警報機器は、パトライト71等の目視による確認に換えて、騒音等の問題が生じなければ、警報ブザー等の音による確認手段を使用できる。
オゾン滅菌のための各機器が所定の場所に設置されたら、オゾン滅菌管理装置1の電源スイッチを入れ、オゾンによる滅菌処理の終了条件であるCT設定値を、CT設定値表示部36の表示を確認しながら、設定入力部32からオゾン滅菌管理装置1に入力する。CT値とは、オゾン濃度(ppm)と滅菌時間(分)との積であり、一般にオゾンによる滅菌処理を行うときの処理時間の目安とされるものである。CT設定値は、オゾン滅菌管理装置1においては滅菌処理における実測オゾン濃度と経過時間との積と比較され、滅菌処理の終了の判断に利用される。CT設定値は、滅菌処理の対象とする菌等のオゾン耐性の程度に応じて決定され入力される。入力されたCT設定値(Ect)は、記憶部49に記憶される。
【0027】
滅菌処理は、操作部7のスタートボタン33が押されることにより開始される。
図5を参照して、オゾン滅菌管理装置1は、スタートボタン33が押されたことを検出すると、デジタルリレーを動作させ、コネクタ23に接続されたパトライト71を点灯させ、コネクタ21に接続されたオゾン発生器9に電力の供給を可能とする。また、これと同時に、オゾン発生器制御出力用のコネクタ24からオゾン発生器9に起動信号を発し、演算部48は、経過時間Mtを管理する管理タイマー、およびCT測定値(Sct)をリセット(Mt=0,Sct=0)する(S1)。
【0028】
続いて、演算部48は、オゾン濃度Coのサンプリング間隔を管理するためのサンプリングタイマーの値Tsをリセット(Ts=0)する(S2)。以後、CT測定値表示部43には計測されたオゾン濃度に基づくCT値が表示され、経過時間表示部42には経過時間Mtが表示されて、オゾン滅菌管理装置1による実質的なCT値管理が行われる。
演算部48は、オゾンセンサー3からの出力を入出力部47がデジタル化したデータ(オゾン濃度)を繰り返し読み込み、それを積算するとともに読み込み回数を記憶部49記憶する。そして、演算部48は、予めサンプリング間隔として記憶された時間Te(分)が経過する(Ts≧Te)と(S3)、記憶部49からオゾン濃度の積算値および積算回数を読み出し、その間のオゾン濃度(平均オゾン濃度)Coを算出する。
【0029】
演算部48は、サンプリングタイマーの値Ts(分)と算出(サンプリング)されたオゾン濃度Co(ppm)との積をCT測定値Sctに加算する(S4)。サンプリング間隔Teは、0.5〜5秒に設定される。サンプリング間隔Teをこれ以下としても、またはこれ以上としてもよい。
なお、CT測定値Sctに加算する値として、サンプリング間隔として設定された時間Te(分)とサンプリングされたオゾン濃度Co(ppm)との積を用いてもよい。演算部48(CPU)の処理速度を考慮すると、実際のサンプリング間隔Ts(分)を用いて積算した場合との差は無視できる程度に小さいからである。
【0030】
CT測定値表示部43は、CT測定値Sctが更新されるごとに更新されたCT測定値Sctが表示される。
図6を参照して、演算部48は、CT測定値Sctにサンプリング間隔Tsとサンプリングされたオゾン濃度Coとの積が加算されるごとに、加算されたCT測定値Sctは、CT設定値Ectの20%、40%、60%、80%の数値およびCT設定値Ectと比較される(S5,S6)。この比較の結果、CT測定値Sctが20%以上となったとき進捗度表示部44の20%に対応する表示灯を点灯させる(S11)。CT測定値Sctが40%以上となったときは、40%に対応する表示灯を点灯させ(S12)、60%以上、80%以上となったときも同様にそれぞれ対応する表示灯を点灯させる(S13,S14)。
【0031】
更新されたCT測定値SctがCT設定値Ect以下のとき(S6でNO)、サンプリングタイマーの値Tsをリセットして(S2)オゾン濃度のサンプリング等を繰り返す(S3,S4)。
比較の結果、CT測定値SctがCT設定値Ect以上のとき(S6でYES)、演算部48は、進捗度表示部44の100%の表示灯を点灯させる。オゾン滅菌管理装置1は、コネクタ24からオゾン発生器9に向けて動作の停止信号を発する。なお、オゾン発生器用電源のコネクタ22からはこの後もオゾン発生器9に電力が供給され、オゾン発生器9は、オゾンランプ消灯後一定時間オゾンランプの冷却のために送風機が稼働する(S7)。
【0032】
また、オゾン滅菌管理装置1は、入出力部47にオゾン発生器9およびパトライト71への電力供給を停止させ、処理完了表示部45の表示灯を点灯させ、完了ブザーを動作させる(S7)。
オゾン滅菌管理装置1が、帰還する救急自動車内で使用される場合には、滅菌処理の終了は、パトライト71の消灯により運転席の隊員に知らされ、完了ブザーの音により搬送室の隊員に知らされる(S7)。
【0033】
オゾン滅菌管理装置1は、オゾンセンサー3と一体化され持ち運び可能であり、かつオゾン発生器9に接続してそのオンオフ動作を制御することができるため、前述した救急自動車の車内に限られず、どのような場所でも滅菌処理を行うことができる。
例えば、オゾン滅菌管理装置1を使用することにより、地震等の被災地等の衛生上問題が有る地域においても、可搬式発電機、仮設テント等を利用して効率よく治療用器具等の滅菌を行うことができる。
【0034】
図7は他のオゾン滅菌管理装置1Bの操作表示部4Bの一部を示す図である。
オゾン滅菌管理装置1Bは、オゾン滅菌管理装置1の機能に加えて、滅菌環境のオゾン濃度を設定範囲に維持する機能を有する。
オゾン滅菌管理装置1Bにおける操作表示部4Bは、操作部7Bに、管理方法切換スイッチ39Bおよび濃度上下限設定部40Bを有する。
【0035】
管理方法切換スイッチ39Bは、オゾン発生器9の管理を、CT値で行うか(「CT値管理」)またはオゾン濃度で行うか(「濃度管理」)を選択するのに使用される。管理方法切換スイッチ39BでCT値管理が選択された場合には、オゾン滅菌管理装置1と同様にCT設定値が設定され、オゾン滅菌処理において、オゾン滅菌管理装置1と全く同じ動作を行う。このとき、濃度上下限設定部40Bは、(条件変更)入力を行うことができない(入力を受け付けない)。
【0036】
管理方法切換スイッチ39Bで濃度管理が選択された場合には、濃度上下限設定部40Bの入力が許可され、CT設定値の変更が禁止される。
濃度上下限設定部40Bは、濃度入力部51Bおよび設定濃度表示部52Bからなる。濃度入力部51Bは、上限選択ボタン53B、下限選択ボタン54B、アップボタン55Bおよびダウンボタン56Bで形成される。設定濃度表示部52Bは、オゾン濃度上限表示部57Bおよびオゾン濃度下限表示部58Bからなる。オゾン濃度上限表示部57Bおよびオゾン濃度下限表示部58Bは、それぞれ、オゾン発生器9の運転を濃度管理で行わせるときの、設定オゾン濃度上限値Csおよび設定オゾン濃度下限値Clを表示する。
【0037】
オゾン滅菌管理装置1Bにおけるオゾン濃度上限値およびオゾン濃度下限値の設定は、次のようにして行われる。
オゾン濃度上限値を設定する場合、上限選択ボタン53Bが押される。上限選択ボタンが押下されると、上限選択ランプ59Bが点灯し、オゾン濃度上限値の設定が可能となる。オゾン濃度上限表示部57Bに表示されるオゾン濃度上限値は、アップボタン55Bを押すことにより増加し、ダウンボタン56Bを押すことにより減少する。いずれも長く押すことにより、その数値変化速度が速くなる。同様に、下限選択ボタン54Bが押されると、下限選択ランプ60Bが点灯し、アップボタン55Bおよびダウンボタン56Bにより、オゾン濃度下限表示部58Bに表示されるオゾン濃度下限値を変更することができる。オゾン濃度上限値は、例えば0.1ppmであり、オゾン濃度下限値は、例えば0.06ppmである。
【0038】
上限選択ランプ59Bおよび下限選択ランプ60Bは、「濃度管理」が選択されているときはいずれかが点灯し、「CT値管理」が選択されているときはいずれも消灯する。
オゾン滅菌管理装置1Bにおいてオゾン滅菌管理装置1と同じ構成の部分についてはその説明を省略し、図7において図1と同じ符合を付す。
次に、オゾン滅菌管理装置1Bによるオゾン発生器の制御について説明する。
【0039】
図8はオゾン滅菌管理装置1Bの動作を示すフローチャートである。
滅菌処理は、操作部7Bのスタートボタン33が押されることにより開始される。
オゾン滅菌管理装置1Bは、スタートボタン33が押されたことを検出すると、コネクタ23に接続されたパトライト71を点灯させ、オゾン発生器制御出力用のコネクタからオゾン発生器に起動信号を発する。同時に、オゾン滅菌管理装置1Bは、経過時間Mtを管理する管理タイマーをリセット(Mt=0)する(S21)。
【0040】
続いて、オゾン滅菌管理装置1Bは、オゾン濃度Coのサンプリング間隔を管理するためのサンプリングタイマーの値Tsをリセット(Ts=0)する(S22)。以後、CT測定値表示部43には計測されたオゾン濃度に基づくCT値が表示され、経過時間表示部42には経過時間Mtが表示される。
オゾン滅菌管理装置1Bは、サンプリングタイマーの値Tsが予め設定されたサンプリング間隔の時間Teに達するまでオゾンセンサー3からの出力をデジタル化して繰り返し読み込む。サンプリングタイマーの値Tsのリセット後、時間Te(分)が経過する(Ts≧Te)と(S23)、その間の平均オゾン濃度Coを算出し、オゾン濃度表示部41に表示する。
【0041】
オゾン滅菌管理装置1Bは、平均オゾン濃度Coが設定オゾン濃度上限値Clおよび設定オゾン濃度下限値Csの範囲であるかどうかを判断し(S25)、平均オゾン濃度Coがこの範囲内である場合(S25でYES)、サンプリングタイマーをリセットしてオゾン濃度の測定を繰り返す(S22〜S25)。
平均オゾン濃度Coが設定オゾン濃度上限値Clを超えたときには、オゾン滅菌管理装置1Bは、オゾン発生器制御出力用のコネクタ24からオゾン発生器9にオゾン発生の停止信号を発信する(S26)。
【0042】
平均オゾン濃度Coが設定オゾン濃度下限値Csを下回ったときには、オゾン滅菌管理装置1Bは、オゾン発生器制御出力用のコネクタ24からオゾン発生器9にオゾン発生動作の信号を発信する(S27)。
オゾン発生器9の能力に対して過剰な容積の滅菌空間であり、常に平均オゾン濃度Coが設定オゾン濃度下限値Cs未満の場合には、オゾン発生器9は停止されることなく連続的に動作する。また、濃度入力部51Bは、オゾン滅菌管理装置1Bが動作中であっても設定オゾン濃度上限値Clおよび設定オゾン濃度下限値Csを変更させることができる。したがって、オゾン滅菌管理装置1Bは、オゾン濃度表示部41に表示される平均オゾン濃度Coを参考に、滅菌処理中に設定オゾン濃度上限値Clまたは設定オゾン濃度下限値Csを変更することができる。
【0043】
オゾン滅菌管理装置1Bは、上記動作を行いながら、常にリセットボタン34の押下を監視し(S28)、リセットボタン34が押下されると(S28でYES)、オゾン発生器9のオゾン発生を停止させ、パトライト71を消灯させ、および完了ランプ45を点灯させる。なお、図8ではリセットボタン34の押下の監視をシーケンシャルな動作として記載したが、実際には、リセットボタン34の押下はS21〜S27のいずれの段階でも認識可能な優先度の高い割り込み処理で監視される。
【0044】
オゾン滅菌管理装置1Bは、特に、病院、保育園、学校および図書館等の公共の場において、オゾン発生器9が生成するオゾン濃度を人体に害を及ぼさない程度に低く抑えて継続的に環境の滅菌を行う場合に適する。
上述の実施形態において、オゾン滅菌管理装置1,1B、およびオゾン滅菌管理装置1,1Bの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、オゾンを使用して衣服等の滅菌を行うオゾン滅菌に使用する制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1,1B オゾン滅菌管理装置
9 オゾン発生器
22 (オゾン発生器用)コネクタ
23 (外部警報機器用の)コネクタ
24 コネクタ(制御出力部)
41 オゾン濃度表示部
47 入出力部(制御出力部)
48 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンによる滅菌処理に使用されるオゾン滅菌管理装置であって、
オゾン発生器が接続可能に形成されて管理装置本体および空気中のオゾン濃度を測定するためのオゾンセンサーからなり、
前記管理装置本体は、
前記オゾン発生器の動作を制御する信号を出力する制御出力部と、
前記オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度を演算処理する演算部と、
前記オゾンセンサーから出力されるオゾン濃度を表示させる表示部と、を有する
ことを特徴とするオゾン滅菌管理装置。
【請求項2】
前記オゾン発生器を動作させるための電力を供給するコネクタを有する
請求項1に記載のオゾン滅菌管理装置。
【請求項3】
外部警報機器を動作させるための電力を供給するコネクタを有する
請求項1または請求項2に記載のオゾン滅菌管理装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−217837(P2011−217837A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87838(P2010−87838)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(503242877)株式会社タムラテコ (11)
【Fターム(参考)】