説明

オゾン発生装置

【課題】 使用する部屋に応じて適切なオゾン濃度に到達するまでの時間を短縮することのできるオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】 (1)の実線のグラフを参照して、オゾン発生装置は、図示しない演算部によって、使用すべき部屋の容積に基づいて、部屋のオゾン濃度が最終的に所定のオゾン濃度Aに維持される最終オゾン発生量と、最終オゾン発生量の3倍に設定された初期オゾン発生量と、初期オゾン発生量に基づいて部屋のオゾン濃度が所定のオゾン濃度Aに達するまでに要する初期時間Tとが演算される。そして、まず初期オゾン発生量を初期時間T発生させる。すると、使用する部屋が所定のオゾン濃度Aとなる。この時点で初期オゾン発生量を最終オゾン発生量に切り替えて発生する。すると、最終オゾン発生量で最初から継続する二点鎖線によるオゾン濃度の変化に比べて、所定のオゾン濃度Aに達するまでの時間が短縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオゾン発生装置に関し、特に、室内を所定のオゾン濃度にするためのオゾン発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は特許文献1で開示されたオゾン発生装置の正面図である。
【0003】
図を参照して、オゾン発生装置であるオゾン発生器60は、ケース本体61の正面にオゾン吹出口63、エア調節ノブ64及びオゾン調節ノブ65を備えている。又、ケース本体61の内部には、図示しないエアポンプ及びオゾン発生部等が設置されており、エアポンプから吸込まれた空気はオゾン発生部に取り込まれると共に、オゾン発生部内で発生したオゾンはオゾン吹出口63から排出するように構成されている。
そして、オゾン発生器60を使用する部屋を適切なオゾン濃度にするために、エア調節ノブ64又はオゾン調節ノブ65を用いて、オゾン吹出口63から排出されるオゾンの発生量を調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3122973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来のオゾン発生装置では、上述した通り、使用する部屋を適切なオゾン濃度(例えば、0.02ppm)にするために、エア調節ノブ又はオゾン調節ノブを用いてオゾン発生量を調節する必要がある。しかしながら、一般的にオゾン発生量に使用する単位はmg/分であり、オゾン濃度に使用する単位はppmであるため、使用者にとっては対応関係がわかり難く、部屋に応じた適切なオゾン発生量の調節が困難であった。
【0006】
図9は図8で示したオゾン発生装置を使用する部屋のオゾン濃度の変化を示すグラフである。
【0007】
(1)を参照して、上述した通り適切なオゾン発生量の調節が困難であるため、例えば初期段階で大きなオゾン発生量に調節してしまった場合、オゾンを発生してから時間Tが経過した時点では、部屋のオゾン濃度が適切なオゾン濃度Aより高くなってしまい、臭い等でその状態を感じることになる。そこで、今度はオゾン発生量を大きく減少させてしまうと、オゾン発生量が自然崩壊するオゾン量より小さくなる。すると、時間Tが経過した時点で、部屋のオゾン濃度が適切なオゾン濃度Aより低くなってしまう。そこで、再度オゾン発生量を増加させる。このように、こまめな調節操作の繰り返しによって使用する部屋を適切なオゾン濃度Aにしなければならなかったため、手間が掛かると共に適切なオゾン濃度Aに到達するまでに長時間を要していた。
【0008】
次に(2)を参照して、例えば初期段階で小さなオゾン発生量に調節してしまった場合、適切なオゾン濃度Aより低いオゾン濃度に維持されてしまう。そのため、使用する部屋が適切なオゾン濃度Aに到達することが無く、仮に到達したとしても長時間を要していた。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、使用する部屋に応じて適切なオゾン濃度に到達するまでの時間を短縮することのできるオゾン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、オゾン発生装置であって、オゾンの発生量を増減できるオゾン発生手段と、使用すべき部屋に対応する空間容積を取得する容積データ取得手段と、取得された空間容積に基づいて、部屋のオゾン濃度が最終的に所定の濃度に維持される最終オゾン発生量と最終オゾン発生量を超える初期オゾン発生量とを演算すると共に、初期オゾン発生量に基づいて部屋のオゾン濃度が所定の濃度に達するまでに要する初期時間を演算する演算手段と、初期オゾン発生量が初期時間だけ継続すると共に、初期時間が終了後最終オゾン発生量となるようにオゾン発生手段を制御する制御手段とを備えたものである。
【0011】
このように構成すると、初期段階のオゾン発生量は最終オゾン発生量より大きくなる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、演算された初期オゾン発生量がオゾン発生手段の最大オゾン発生量を超えると共に演算された最終オゾン発生量が最大オゾン発生量未満の時、演算手段及び制御手段は、初期オゾン発生量を最大オゾン発生量で置換するものである。
【0013】
このように構成すると、初期段階のオゾン発生量は最大オゾン発生量となる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、初期オゾン発生量は所定の濃度に所定の時間で達成できる発生量に設定されるものである。
【0015】
このように構成すると、極端にオゾン濃度が高い空間が発生しない。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、演算された最終オゾン発生量がオゾン発生手段の最大オゾン発生量に一致する時、演算手段及び制御手段は、初期オゾン発生量及び最終オゾン発生量の各々を最大オゾン発生量で置換するものである。
【0017】
このように構成すると、オゾン発生量は最大オゾン発生量で継続する。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、容積データ取得手段は、対数目盛で容積が表示されたダイヤルを含むものである。
【0019】
このように構成すると、容積の小さな部屋の設定精度が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、初期段階のオゾン発生量は最終オゾン発生量より大きくなるため、適切なオゾン濃度に到達する時間が短縮される。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、初期段階のオゾン発生量は最大オゾン発生量となるため、適切なオゾン濃度に到達する時間が最短となる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、極端にオゾン濃度が高い空間が発生しないため、安全且つ効率的なオゾン濃度となる。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、オゾン発生量は最大オゾン発生量で継続するため、適切なオゾン濃度に到達する時間が最短となる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、容積の小さな部屋の設定精度が向上するため、到達するオゾン濃度のばらつきが減少し、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施の形態によるオゾン発生装置の外観形状を示す正面の斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図1で示したII−IIラインの側面図である。
【図3】図2で示したX部分の拡大図である。
【図4】図1で示したオゾン発生装置の内部構成を示すブロック図である。
【図5】図1で示したオゾン発生装置におけるオゾン発生量の制御方法を示すフローチャート図である。
【図6】図1で示したオゾン発生装置から発生されるオゾン発生量の変化を示すグラフである。
【図7】図1で示したオゾン発生装置を使用する部屋のオゾン濃度の変化を示すグラフである。
【図8】従来のオゾン発生装置の正面図である。
【図9】図8で示したオゾン発生装置を使用する部屋のオゾン濃度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるオゾン発生装置の外観形状を示す正面の斜め上方から見た斜視図であり、図2は図1で示したII−IIラインの側面図であり、図3は図2で示したX部分の拡大図である。
【0027】
これらの図を参照して、オゾン発生装置1は、上方に向かってテーパーの付いた六角筒状に形成されたケース本体11と、ケース本体11の一方の側面に設置された容積入力ダイヤル12及び電源スイッチ13とを備えている。更に、ケース本体11の上面、側面の上方及び側面の下方の各々には、複数の開口17〜19の各々が形成されている。
【0028】
ここで、図3を参照して、容積入力ダイヤル12は、オゾン発生装置1を使用する部屋の大きさ(容積)をm単位で入力するものであり、使用者にとってわかり易い設定操作となる。又、容積入力ダイヤル12には0〜100mの範囲の対数目盛16が表示されているため、小さな容積に対応する目盛間隔が相対的に大きくなり、容積の小さな部屋の設定精度が向上する。従って、後述する初期オゾン発生量等の発生によって到達するオゾン濃度のばらつきが減少し、信頼性が向上する。尚、例えば一般的なトイレの容積は約3mであり、20畳程度の部屋の容積は約80mである。
【0029】
次に、オゾン発生装置1の内部構成について説明する。
【0030】
図4は図1で示したオゾン発生装置の内部構成を示すブロック図である。
【0031】
図を参照して、オゾン発生装置1は、後述する各構成部を制御する制御部21を中心として構成されている。そして、制御部21には、データ取得部22、演算部23、及び記憶部24が接続されていると共に、発振回路28を介してオゾン発生部25が接続されている。以下に、各構成部について説明する。
【0032】
容積データ取得手段の一つであるデータ取得部22は、容積入力ダイヤル12によって入力された、使用すべき部屋の容積を取得するように構成されている。
【0033】
演算手段である演算部23は、データ取得部22によって取得された容積に基づいて、後述する初期オゾン発生量や最終オゾン発生量等を演算するように構成されている。
【0034】
ここで、演算部23における演算方法の概念となる、所定のオゾン発生量X(mg/分)を発生し続けた場合における、容積V(m)の部屋のオゾン濃度A(ppm)の演算方法について説明する。
【0035】
まず、オゾンは時間と共に酸素に戻ろうとする性質があり、発生後に自然崩壊する。即ち、オゾンは時間と共に減少する。そして、オゾンの半減期Rは、例えば季節が春秋であれば20〜40分に設定することができる。従って、1分間に発生されたオゾン量X(mg)がn分後において残存する量S(mg)は、
=X/2(n/R) ・・・(1)
となる。そして、オゾン発生装置1からは連続してオゾンが発生されるため、部屋に残存するオゾン量S(mg)は、
S=S+S+・・・+S+・・・ ・・・(2)
となる。そして、使用する部屋のオゾン濃度A(ppm)は、残存するオゾン量S(mg)を部屋の容積V(m)で除することによって求められる。オゾン濃度Aの単位はppmであるため、オゾンの比重2.14及び経験値である係数Kを加えて、
A=S/V/2.14/K ・・・(3)
となる。尚、この実施の形態においては、係数Kの値は略1に設定している。
【0036】
このような演算によって、所定のオゾン発生量X(mg/分)を発生し続けた場合における、容積V(m)の部屋の最終的なオゾン濃度A(ppm)が算出される。
【0037】
又、(3)式から、残存するオゾン量S(mg)が2倍になればオゾン濃度A(ppm)も2倍になると共に、部屋の容積V(m)が2倍になればオゾン濃度A(ppm)が半分になることがわかる。従って、例えば使用者の好みによって、使用する部屋を設定された所定のオゾン濃度の2倍のオゾン濃度にしたい場合には、入力する容積を2倍に設定すれば良い。
【0038】
次に、記憶手段である記憶部24は、データ取得部22によって取得された容積データ、及び演算部23によって演算された後述する初期オゾン発生量等を記憶するように構成されている。記憶された各数値は、演算部23による演算時、又は制御部21によるオゾン発生部25の制御時において使用される。
【0039】
オゾン発生手段であるオゾン発生部25は、発振回路28の発振回数を制御部21が制御することでオゾンの発生量を増減できるように構成されている。そして、図1及び図2で示したケース本体11の側面の下方の開口19から、側面の上方の開口18及び上面の開口17を介した空気の対流を利用してオゾンを発生している。従って、図8で示した従来例のように、オゾン発生部25に空気を送り込むエアポンプを備える必要が無い。
【0040】
制御手段である制御部21は、後述する制御方法に従って各構成部を制御するように構成されている。特に、オゾン発生部25に対しては、高電圧振幅制御によって発振回路28を制御し、オゾン発生部25のオゾン発生量の増減等を調節している。
【0041】
次に、オゾン発生装置1におけるオゾン発生量の制御方法について説明する。
【0042】
図5は図1で示したオゾン発生装置におけるオゾン発生量の制御方法を示すフローチャート図である。
【0043】
図5を中心に図4を併せて参照して、まず、容積入力ダイヤル12によって入力された部屋の容積を、電源(図2の電源スイッチ13)が投入されることによってデータ取得部22が取得する(S11)。
【0044】
次に、取得された容積に基づいて、使用すべき部屋のオゾン濃度が最終的に所定のオゾン濃度に維持される最終オゾン発生量を、上述した演算式を使用して演算部23で演算する(S12)。具体的には、部屋の容積V及び所定のオゾン濃度A(0.02ppm)の実数を(3)式に代入して、この条件に必要な残存オゾン量Sを演算する。そして、(1)式及び(2)式によって、残存するオゾン量の無限和を必要な残存オゾン量Sに収束させるオゾン発生量Xを演算する。このオゾン発生量Xが最終オゾン発生量となる。
【0045】
尚、この実施の形態においては、所定のオゾン濃度は上述のように0.02ppmに設定されている。自然環境におけるオゾン濃度が0.05ppmになる場合もあることから、0.02ppmは十分安全で適切なオゾン濃度と言える。
【0046】
次に、演算された最終オゾン発生量が、オゾン発生部25が発生できるオゾン発生量の最大値である最大オゾン発生量未満であるかを判別する(S13)。そして、最終オゾン発生量が最大オゾン発生量未満である場合(ステップS13でYES)、最終オゾン発生量の3倍に設定された初期オゾン発生量を演算部23で演算する(S14)。尚、具体的には、この実施の形態によるオゾン発生装置1においては、部屋の容積が100m未満の場合において、最終オゾン発生量が最大オゾン発生量未満となるように設定されている。
【0047】
次に、演算された初期オゾン発生量が、上述した最大オゾン発生量未満であるかを判別する(S15)。尚、具体的には、この実施の形態によるオゾン発生装置1においては、部屋の容積がV<50mの場合において、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量未満となるように設定されている。そして、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量未満である場合(ステップS15でYES)、初期オゾン発生量に基づいて使用すべき部屋が所定のオゾン濃度(0.02ppm)に達するまでに要する初期時間を、上述した演算式を使用して演算部23で演算する(S16)。具体的には、ステップS12で演算された必要な残存オゾン量Sと、初期オゾン発生量Xの実数を代入した(1)式の残存するオゾン量Sとを、(2)式に代入する。そして、(2)式における、必要な残存オゾン量Sに一致する第n部分和のnを演算する。このnが初期時間となる。
【0048】
次に、制御部21によってオゾン発生部25から初期オゾン発生量を発生させ(S17)、演算した初期時間の経過を判別する(S18)。そして、初期時間終了後、制御部21によってオゾン発生部25から最終オゾン発生量を継続して発生させる(S19)。このように、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量未満になる場合の制御が、第1の制御となる。
【0049】
一方、ステップS14で演算された初期オゾン発生量が最大オゾン発生量以上である場合(ステップS15でNO)、初期オゾン発生量として最大オゾン発生量を置換(S21)する。具体的には、この実施の形態によるオゾン発生装置1においては、部屋の容積が50m≦V<100mの場合において、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量以上となるように設定されている。そして、最大オゾン発生量に基づいて使用すべき部屋が所定のオゾン濃度に達するまでに要する初期時間を、上述した通り初期オゾン発生量を最大オゾン発生量に置換して、ステップS16と同様に演算部23で演算する(S22)。
【0050】
次に、制御部21によってオゾン発生部25から最大オゾン発生量を発生させ(S23)、演算した初期時間の経過を判別する(S24)。そして、初期時間終了後、制御部21によってオゾン発生部25から最終オゾン発生量を継続して発生させる(S25)。このように、最終オゾン発生量が最大オゾン発生量未満であると共に、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量を超える場合の制御が、第2の制御となる。
【0051】
更に、ステップS12で演算された最終オゾン発生量と最大オゾン発生量とが一致する場合(ステップ13でNO)、制御部21によってオゾン発生部25から最大オゾン発生量を継続して発生(S31)する。具体的には、この実施の形態によるオゾン発生装置1においては、部屋の容積が100m(容積入力ダイヤル12で入力できる最大値)の場合において、最終オゾン発生量と最大オゾン発生量とが一致する。このような場合の制御が、第3の制御となる。
【0052】
尚、使用する部屋を変更する場合等においては、電源を切断した後、入力する部屋の容積を変更し、再度電源を投入すれば良い。すると、部屋の容積取得(S11)から再度開始されることになる。又、必要に応じて再起動スイッチ等を更に設けても良い。
【0053】
次に、このような第1〜第3の制御方法を有するオゾン発生装置における、使用すべき部屋に対する効果について説明する。
【0054】
図6は図1で示したオゾン発生装置から発生されるオゾン発生量の変化を示すグラフであって、(1)は第1及び第2の制御を示すものであり、(2)は第3の制御を示すものであり、図7は図1で示したオゾン発生装置を使用する部屋のオゾン濃度の変化を示すグラフであって、図6の各々の制御に対応するものである。
【0055】
まず、図6の(1)及び図7の(1)の実線で示す第1の制御では、初期オゾン発生量Xは最終オゾン発生量Xの3倍に設定されている。そして、初期オゾン発生量Xが初期時間T発生されると、使用する部屋が所定のオゾン濃度A(0.02ppm)となる。そして、この時点で初期オゾン発生量Xを最終オゾン発生量Xに切り替える。すると、上述した通り最終オゾン発生量Xは使用する部屋のオゾン濃度が最終的に所定のオゾン濃度Aに維持するように設定されているため、初期時間T後は所定のオゾン濃度Aが維持される。即ち、第1の制御においては、オゾンの発生から初期時間T後に、使用する部屋が所定のオゾン濃度Aに到達し、維持される。
【0056】
又、初期段階から最終オゾン発生量Xのみを発生させ続けると、部屋のオゾン濃度は図7の(1)の二点鎖線で示す曲線のようになる。そして、初期時間Tにおける部屋のオゾン濃度は、所定のオゾン濃度Aより低い濃度Aにしか到達しない。しかしながら、第1の制御においては初期時間Tの時点で所定のオゾン濃度Aに到達している。即ち、使用する部屋が適切なオゾン濃度Aに到達する時間が短縮されている。
【0057】
又、初期オゾン発生量Xは最終オゾン発生量Xの3倍に設定されているため、過度に大きな初期オゾン発生量Xとはならない。従って、使用する部屋において極端にオゾン濃度が高い空間(オゾン発生装置の周辺等)が発生することが無いため、安全且つ効率的なオゾン濃度となる。
【0058】
次に、図6の(1)及び図7の(1)の一点鎖線で示す第2の制御では、初期オゾン発生量が最大オゾン発生量Xに置換されている。そして、最大オゾン発生量Xが初期時間T発生されると、使用する部屋が所定のオゾン濃度Aとなる。そして、この時点で最大オゾン発生量Xを最終オゾン発生量Xに切り替える。すると、初期時間T後は所定のオゾン濃度Aが維持される。即ち、第2の制御においては、オゾンの発生から初期時間T後に、使用する部屋が所定のオゾン濃度Aに到達し、維持される。
ここで、上述した通り、第2の制御において初期段階に発生される最大オゾン発生量Xは、最終オゾン発生量の3倍に設定される初期オゾン発生量より低い値となる。従って、初期時間Tは第1の制御による初期時間Tより長くなることになる。しかしながら、図7の(1)の二点鎖線で示す最終オゾン発生量Xのみの発生では、初期時間Tの時点において所定のオゾン濃度Aより低いオゾン濃度Aとなっている。即ち、第2の制御においても、使用する部屋が適切なオゾン濃度Aに到達する時間が短縮されている。更に、この実施の形態によるオゾン発生装置が有するオゾン発生量の能力の範囲においては、適切なオゾン濃度Aに到達する時間が最短となる。
【0059】
次に、図6の(2)及び図7の(2)の実線で示す第3の制御では、最大オゾン発生量Xが初期から継続されている。即ち、初期オゾン発生量及び最終オゾン発生量が最大オゾン発生量Xに置換されている。そして、最大オゾン発生量Xを発生し続けることによって、使用する部屋は最終的に所定のオゾン濃度Aに到達し、維持される。即ち、この実施の形態によるオゾン発生装置が有するオゾン発生量の能力の範囲においては、適切なオゾン濃度Aに到達する時間が最短となる。
【0060】
尚、この実施の形態によるオゾン発生装置においては、第3の制御によって使用する部屋が所定のオゾン濃度Aに到達するのは、上述した通り、演算された最終オゾン発生量と最大オゾン発生量とが一致した時のみである。即ち、使用する部屋の容積が100mの場合のみである。そして、使用する部屋の容積が100mを超える場合には、図7の(2)の二点鎖線で示すように、所定のオゾン濃度Aには到達せず、最終的には所定のオゾン濃度Aより低い濃度に維持されることになる。
【0061】
尚、上記の実施の形態では、特定形状のケース本体を備えているが、オゾン発生装置が有する各機能が確実に発揮できれば、例えば円筒状又は箱状等、ケース本体は他の形状であっても良い。
【0062】
又、上記の実施の形態では、オゾン発生部は対流する空気を利用してオゾンを発生させるように構成されているが、オゾンの発生量を増減できるものであれば、例えば従来例のようにケース本体内にエアポンプを設置し、オゾン発生部に空気を送り込むように構成されていても良い。
【0063】
更に、上記の実施の形態では、図6の(1)で示すように初期時間終了時点で即座に初期オゾン発生量から最終オゾン発生量に切替えられているが、例えば継続してオゾンを発生した状態で切替える場合、初期オゾン発生量を徐々に減少させて最終オゾン発生量に切替える必要がある。その場合、上述した即座に切替える場合と比べて、初期オゾン発生量が最終オゾン発生量に切替るまでには若干の変換時間が必要になり、その間では中間的なオゾン発生量となる。又、例えば初期オゾン発生量を初期時間発生した後、オゾン発生部の発振回路を停止させ、再度発振回路を起動させて最終オゾン発生量に切替えるような制御もある。その場合においても、オゾン発生量は0の状態から徐々に増加して最終オゾン発生量となるため、上述した即座に切替える場合と比べて、初期オゾン発生量が最終オゾン発生量に切替るまでには若干の変換時間が必要になる。そして、本発明における、初期時間の終了後に初期オゾン発生量が最終オゾン発生量となるオゾン発生部の制御とは、上述した初期オゾン発生量が最終オゾン発生量となるまでの変換時間や中間的なオゾン発生量の存在も含む概念である。尚、上述した各制御をおこなう場合、立上り特性の良い発振回路を使用することによって、部分的に発振を停止してオゾン発生量を調節する制御が可能となるため、節電効果が期待できる。
【0064】
更に、上記の実施の形態では、所定のオゾン濃度は0.02ppmを前提に制御されているが、使用者の好み等の種々の条件によっては、他のオゾン濃度を前提に制御されていても良いことは言うまでも無い。
【0065】
更に、上記の実施の形態では、制御部は高電圧振幅制御によってオゾン発生部を制御するように構成されているが、初期オゾン発生量が初期時間だけ継続すると共に、初期時間が終了後最終オゾン発生量となるようにオゾン発生部を制御できれば、他の方法で制御されていても良い。
【0066】
更に、上記の実施の形態では、初期オゾン発生量は最終オゾン発生量の3倍に設定されているが、初期オゾン発生量は使用する部屋を所定のオゾン濃度に所定の時間で達成できる発生量に設定されていても良い。その場合、例えば所定の時間を1分を超える値に設定することによって、使用する部屋が初期オゾン発生量の発生から1分以内に所定のオゾン濃度に達することが無くなる。そのため、発生されたオゾンが部屋全体に拡散する時間が確保されることになり、極端にオゾン濃度が高い空間が発生することが無く、使用する部屋を平均的に所定のオゾン濃度にできる。従って、安全且つ効率的なオゾン濃度となる。又、このような初期オゾン発生量の演算においては、まず図5で示したフローチャート図におけるステップS12で演算された必要な残存オゾン量S、所定の時間nの実数、及び(1)式を(2)式に代入する。そして、(2)式における初期オゾン発生量Xを演算すれば良い。更に、このように初期オゾン発生量を設定した場合、初期オゾン発生量を発生させる初期時間は予め所定の時間に設定されている。従って、図5で示すフローチャート図における初期オゾン発生量(最大オゾン発生量)の発生時間の演算(S16)は必要無くなる。又は、初期オゾン発生量はオゾン発生の初期段階においてオゾンと反応する物質(使用する部屋に既存する物質)量を考慮することで、例えば最終オゾン発生量の3倍を超えるように設定されていても良い。又は、初期オゾン発生量は最終オゾン発生量を超えるものであれば良い。
【0067】
更に、上記の実施の形態では、第1〜第3の制御の各々が選択される部屋の容積の範囲が固定されているが、オゾン発生部が有する最大オゾン発生量が相違すれば、当然第1〜第3の制御の各々が選択される部屋の容積の範囲も相違することは言うまでも無い。
【0068】
更に、上記の実施の形態では、第1〜第3の制御によってオゾン発生量等が調節されているが、少なくとも第1の制御によって制御されていれば、例えば第1及び第2の制御のみ、又は第1及び第3の制御のみによってオゾン発生量等を調節しても良い。
【0069】
更に、上記の実施の形態では、使用する部屋の容積は対数目盛で表示された容積入力ダイヤルで入力しているが、例えばスライド式又はタッチパネル式等、他の方法で容積を入力するように構成しても良い。又は、目盛は等間隔のものであっても良い。
【0070】
更に、上記の実施の形態では、使用する部屋の容積をm単位で入力しているが、例えば、坪単位で入力するように構成しても良い。その場合、入力された坪数に予め記憶させた一定の高さを乗じることによって、使用する部屋の容積を取得すれば良い。尚、本明細書における部屋の容積とは、部屋自体の空間容積に限らず、例えば設置されている家具等の容積を除いた実際的な部屋の空間容積等、使用すべき部屋に対応する空間容積を含む概念のものである。
【0071】
更に、上記の実施の形態では、オゾンの半減期は春秋時に対応する20〜40分に設定されているが、例えば夏季は15〜30分、冬季は30〜60分に実際上はなるので、季節に応じて初期発生量等を補正して制御するように構成しても良い。具体的には、例えば容積入力ダイヤルの目盛に夏用(春秋時の約1.5倍の容量に相当)及び冬用(春秋時の約0.7倍の容量に相当)の目盛を追加すれば良い。又は、例えば上述した夏季及び冬季の半減期に対応する演算及び制御を追加すると共に、ケース本体に切替スイッチを設置し、使用者が季節毎に切り替えて制御するように構成しても良い。又、温度や湿度の変化、使用する部屋内におけるオゾンと反応する物質(臭い等)量等に対応すべく、上述した補正の方法等を用いて制御するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…オゾン発生装置
12…容積入力ダイヤル
16…対数目盛
21…制御部
22…データ取得部
23…演算部
25…オゾン発生部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生装置であって、
オゾンの発生量を増減できるオゾン発生手段と、
使用すべき部屋に対応する空間容積を取得する容積データ取得手段と、
前記取得された空間容積に基づいて、前記部屋のオゾン濃度が最終的に所定の濃度に維持される最終オゾン発生量と前記最終オゾン発生量を超える初期オゾン発生量とを演算すると共に、前記初期オゾン発生量に基づいて前記部屋のオゾン濃度が前記所定の濃度に達するまでに要する初期時間を演算する演算手段と、
前記初期オゾン発生量が前記初期時間だけ継続すると共に、前記初期時間が終了後前記最終オゾン発生量となるように前記オゾン発生手段を制御する制御手段とを備えた、オゾン発生装置。
【請求項2】
前記演算された初期オゾン発生量が前記オゾン発生手段の最大オゾン発生量を超えると共に前記演算された最終オゾン発生量が前記最大オゾン発生量未満の時、前記演算手段及び前記制御手段は、前記初期オゾン発生量を前記最大オゾン発生量で置換する、請求項1記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記初期オゾン発生量は前記所定の濃度に所定の時間で達成できる発生量に設定される、請求項1又は請求項2記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記演算された最終オゾン発生量が前記オゾン発生手段の最大オゾン発生量に一致する時、前記演算手段及び前記制御手段は、前記初期オゾン発生量及び前記最終オゾン発生量の各々を前記最大オゾン発生量で置換する、請求項1から請求項3のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記容積データ取得手段は、対数目盛で容積が表示されたダイヤルを含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載のオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−193050(P2012−193050A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56065(P2011−56065)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(595034400)株式会社大進工業研究所 (2)
【Fターム(参考)】