説明

オフガス流直接接触型凝縮器

炭化水素に脱水素を受けさせるための方法および装置に、オフガス工程流から化合物を除去するための直接接触型凝縮器を含める。そのような化合物の量を少なくしておくと前記オフガスから水蒸気および芳香族が除去されていることでオフガス圧縮器にかかる負荷が低下し得る。本脱水素反応装置は、エチルベンゼンに脱水素を受けさせてスチレンを生じさせる反応、イソアミレンに脱水素を受けさせてイソプレンを生じさせる反応、またはn−ペンテンに脱水素を受けさせてピペリレンを生じさせる反応などに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
該当なし。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に脱水素反応槽装置に由来するオフガスの処理に関する。
【背景技術】
【0003】
スチレン単量体は、重合体であるポリスチレンおよびポリスチレンの共重合体、例えば高耐衝撃性ポリスチレンおよびアクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体などを生じさせる基の単量体である。スチレンの重合体は電子機器のケーシングから玩具そして使い捨て可能プレートおよびコップに及ぶ品目の製造で使用可能な価値有る一般的プラスチックである。スチレン単量体の化学式はCでありそしてそれの構造はエチレン基が結合しているベンゼン環で構成されている。スチレンの製造は一般にエチルベンゼンの脱水素で行われる。エチルベンゼンはCの化学式で表されそしてそれの構造はエチル基が結合しているベンゼン環で構成されている。
【0004】
エチルベンゼンの脱水素は一連の脱水素反応用チャンバおよび下流の処理装置が備わっている脱水素反応槽装置内で行われる。過熱された水蒸気およびエチルベンゼンを反応用チャンバに水蒸気と炭化水素のモル比が少なくとも4:1などになるように入らせ、その中で脱水素用触媒がエチルベンゼンからスチレンへの変換に触媒作用を及ぼす。その反応は一般に大気圧から大気圧以下の圧力、例えば約5から20psiaなどの圧力下約300℃から650℃の温度で実施される。脱水素反応の機構は、エチル基から2個の水素原子が失われて炭素−炭素二重結合が生じることを伴う。このように、前記一連の反応用チャンバから出てきた化学物質は一般にスチレン、水素ガスおよび水蒸気ばかりでなく未反応のエチルベンゼンおよび他の化合物を含有して成り、それらをスチレンオフガスと呼ぶことができる。
【0005】
前記反応用チャンバから出て来た生成物を冷却した後、オフガス(またベントガスとしても知られる)、凝縮物および有機化合物、例えば芳香族などに分離する。そのスチレンオフガスを一般に圧縮器に送り込んだ後、冷却して凝縮させることで水素が豊富なガスを得て、それを様々な目的、例えば反応槽装置で用いる水蒸気を過熱するための燃料源を生じさせる目的などで用いることができる。
【0006】
オフガス圧縮器によって、脱水素反応を大気圧以下または低い大気圧の圧力下で起こさせる真空がもたらされる。用いる圧力が低ければ低いほど水および有機物/芳香族の蒸気が水素ガスと一緒により多い量で引き出される結果として吸引体積が大きくなることが理由でベントガス圧縮器の負荷が高くなる。スチレンオフガスは水素、水蒸気、メタン、エチレン、一酸化炭素および二酸化炭素ばかりでなく芳香族、例えばエチルベンゼンの蒸気およびトルエン、ベンゼンおよびスチレンの蒸気などを含有している可能性がある。特にスチレンの存在が厄介であり、スチレンは、オフガス工程流れが遭遇する如き高温にさらされるか或は滞留時間が長くなると容易に重合を起こす。
【0007】
従って、脱水素オフガス流、例えばスチレンオフガス流などから有機化合物、水蒸気および他の有害な化合物を除去するに適した経済的な解決法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、本発明の数多くの態様において、オフガス圧縮器の負荷を否定的に高くする
可能性のある化合物を除去する目的で、直接接触型凝縮器をオフガス流の中に前記圧縮器の上流に位置させて用いることを伴う。
【0009】
そのような直接接触型凝縮器は様々な反応装置、特に脱水素反応装置のオフガス流を処理しようとする時に使用可能である。本発明に適した1つの反応装置は、スチレンを生じさせるエチルベンゼン反応装置である。そのような脱水素反応装置のオフガスは有機化合物および水蒸気を含有している可能性があるが、それらはオフガス圧縮器にかかる負荷を高めかつそれの真空吸引力を低くする可能性がある。そのような直接接触型凝縮器はオフガス圧縮器に入る前のオフガス流から水蒸気および有機化合物の大部分を除去する能力を有する。本明細書に示す態様の各々を単独で解釈してもよいか或は他の態様と組み合わせて解釈してもよく、それらは限定するものでない。
【0010】
1つの態様では、前記直接接触型凝縮器をスチレンオフガス工程流のノックアウトドラム(knock out drum)の中に設置する。1つの態様では、前記直接接触型凝縮器で用いる冷却用媒体に冷水を含める。別の態様では、前記冷却用媒体に冷水に加えてエチルベンゼンも含有させる。1つの態様では、前記直接接触型凝縮器の理論的分離段階の数を1にする。別の態様では、前記直接接触型凝縮器の理論的分離段階の数を1よりも多くする。
【0011】
1つの態様において、本発明は、脱水素反応槽のオフガスから有機化合物および水蒸気を除去する方法に関する発明であり、これは、前記オフガスを直接接触型凝縮器に送り込み、前記オフガスを冷却用媒体と接触させ、凝縮した有機化合物および水蒸気を前記凝縮器の下部で集め、そして非凝縮性蒸気を前記凝縮器の上部で集める段階を含んで成る。この方法に更に前記凝縮した有機化合物および水蒸気を脱水素反応装置の主工程分離器に送り込みかつ前記非凝縮性蒸気をオフガス圧縮器に送り込む段階も含めてもよい。1つの態様における脱水素反応装置は、エチルベンゼンからスチレンを生じさせる脱水素とスチレンおよびエチルベンゼンを包含する有機化合物の凝縮を起こさせるための装置である。
【0012】
本方法に、水蒸気を反応に水蒸気と炭化水素のモル比が少なくとも4:1になるように供給しそして脱水素反応を少なくとも300℃の温度で実施することを含めてもよい。
【0013】
本発明の1つの態様は、炭化水素に脱水素を受けさせる能力を有する脱水素反応槽が備わっている脱水素反応装置である。蒸気を前記脱水素反応槽装置から取り出す能力を有するオフガス圧縮器でオフガス流を圧縮しかつ前記脱水素反応槽装置内の圧力を維持する。直接接触型凝縮器を前記反応槽と前記オフガス圧縮器の間に位置させるが、前記オフガス圧縮器は、前記オフガス流が前記凝縮器から出て前記オフガス圧縮器に入る前に前記オフガス流を急冷流と接触させる能力を有する。前記急冷流を用いて前記オフガス流を冷却しかつ前記オフガス流の中に含まれている有機化合物および水蒸気を凝縮させることができる。
【0014】
前記凝縮器をオフガス圧縮器のサクションノックアウトドラム(suction knock out drum)の中に設置してもよい。本装置はエチルベンゼンからスチレンを生じさせる脱水素または場合によりイソアミレンからイソプレンを生じさせる脱水素で使用可能である。そのようなオフガスは水蒸気、スチレンおよび非重合性有機化合物、例えば芳香族などを含有している可能性があるが、それらの全部が前記凝縮器によって大部分除去される。前記急冷流は冷水であってもよく、それにエチルベンゼンを入れてもよい。前記凝縮器の理論的分離段階の数を1以上にしてもよい。
【0015】
代替態様は炭化水素の脱水素方法であり、この方法は、炭化水素原料と脱水素用触媒の接触を前記炭化水素原料の少なくとも一部が脱水素を受けるに有効な反応条件下の反応槽
内で起こさせることを包含する。その取り出したオフガス流には前記反応槽から生じた水素が入っている。冷却用媒体を循環させかつ前記オフガス流を前記冷却用媒体と接触させる能力を有する直接接触型凝縮器を用いて前記オフガス流を冷却しかつ前記オフガス流から有機化合物および水蒸気を凝縮させることができる。有機化合物および水蒸気の含有量が低下した冷オフガス流を前記直接接触型凝縮器から取り出す。
【0016】
前記脱水素反応槽を前記炭化水素の実質的に全部が気相状態になるような減圧条件下で機能させてもよく、脱水素生成物を含有する蒸気生成物を前記脱水素反応槽から回収してもよい。
【0017】
前記冷却用媒体は冷水であってもよく、それにエチルベンゼンを入れてもよい。その凝縮させる化合物にはスチレン、エチルベンゼン、トルエンおよびベンゼンが含まれ得る。その凝縮させた化合物を炭化水素原料に混合してもよい。その冷オフガス流を前記反応槽内の圧力を維持する能力を有するオフガス圧縮器内で圧縮してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1に、スチレンオフガス工程流の中に設置した直接接触型凝縮器の態様を例示する。
【詳細な説明】
【0019】
本発明は、本発明の数多くの態様において、直接接触型凝縮器をオフガス流の中にオフガス圧縮器の上流に設置することを伴う。そのような直接接触型凝縮器を用いて有機化合物および水性凝縮物を前記オフガス流から除去することで当該圧縮器にかかる負荷を経済的実行性を維持しながら低くすることができる。
【0020】
直接接触型凝縮器は当該技術分野で公知である。直接接触型凝縮器を用いて冷却用媒体と蒸気の間の熱伝達を相対的に大きな度合で達成することができる、と言うのは、熱伝達量の一部を吸収する中間的表面無しに冷却用媒体と蒸気が互いに直接接触するからである。通常の熱交換器では熱伝達が配管壁表面間で起こるばかりでなく冷却用媒体と蒸気の間でも起こり、それに加えて冷却用循環水の温度が上昇する可能性もある。このように、通常の熱交換器は冷蔵装置により大きな電力要求を被ることから、特定の用途、例えばスチレンオフガス処理の場合のようなオフガス処理などでは直接接触型凝縮器の方がより経済的である。本発明で用いる種類の直接接触型凝縮器は当該技術分野で公知の如何なる凝縮器であってもよく、それらにはジェット、スプレーおよび気圧凝縮器が含まれる。
【0021】
1つの態様における直接接触型凝縮器は、図1に示す種類の凝縮器である。その直接接触型凝縮器の装置をオフガス圧縮器サクションノックアウトドラム、即ちKOドラム1の中に設置してもよくかつそれに通常の冷蔵装置2を加える。前記KOドラム1の中の装置には、急冷用充填材3、コレクターバッフル(collector baffle)4およびあふれ管5が備わっている。主スチレン工程分離器から出たスチレンオフガスはライン10によって直接接触型凝縮器の入り口(本ケースではKOドラム1の中に含まれている)に運ばれる。冷蔵装置2の中で冷却された冷却用水がライン11を通ってKOドラム1に入ってオフガスと接触する。場合により、エチルベンゼンを冷蔵装置2にライン15経由で入らせることで前記冷却用水に加えてもよい。その接触領域の中で前記オフガスが冷却されると同時に前記冷却用水が加熱される。前記冷水と接触した後のオフガスに存在する芳香族の蒸気および水蒸気(水の蒸気)が凝縮を起こしてKOドラム1の下部に向かって移動し得る。水素ガスを含有して成る非凝縮性物質は上昇してKOドラム1の上部から出た後、ライン12によって真空圧縮器(示していない)に移動し、その中でそれが通常様式で処理される。再循環水、水蒸気から凝縮した水および芳香族液体を含有する凝縮性物質は重力によって落下した後、コレクターバッフル4上に集まる。その一緒になった
液体は前記バッフル4の開口部から最初に下方に流れた後、KOドラム1の下部を横切る横方向に流れることで、軽い方の芳香族液が重い方の水から重力で分離される。その分離された芳香族液および水の流量と凝縮したオフガス流のそれは実質的に等しく、それらはあふれ管5を通って導かれる。それらは前記凝縮器からライン14を通って出た後、主スチレン工程分離器(示していない)に戻る。その循環する冷却用水をKOドラム1からライン13に通して出させた後、冷蔵装置2に戻してもよい。
【0022】
図1に本発明の特定の態様を開示するが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことは可能である。例えば、前記直接接触型凝縮器はこれの操作パラメーターの点で多様であり、それには温度、圧力および流量が含まれる。また、前記直接接触型凝縮器で取り出す有機化合物のパーセントも工程の必要性および経済性に応じて多様であり得る。その上、前記直接接触型凝縮器のデザインも当該オフガスから有機化合物を分離する度合をより大きくする目的で急冷接触領域内の理論的分離段階の数が1よりも多くなるようなデザインにすることも可能である。例えば、冷却用水の入り口の数を多くすることなどで分離段階の数をより多くすることができる。
【0023】
本発明をまたエチルベンゼン以外の反応体を用いる脱水素反応装置に適用することも可能である。様々なビニル芳香族化合物の製造を相当するCまたはCアルキル芳香族化合物に接触脱水素を受けさせることで実施することができる。そのような反応には、モノアルキルもしくはポリアルキル芳香族、例えばジエチルベンゼンなどの接触脱水素、またはアルキル置換多核芳香族化合物、例えばエチルナフタレンなどの脱水素が含まれる。一例として、n−プロピルベンゼンに脱水素を受けさせることでベータメチルスチレンを生じさせることができ、そしてクメンに脱水素を受けさせることでアルファメチルスチレンを生じさせることができる。他の反応には、これらに限定するものでないが、エチルトルエンからビニルトルエンを生じさせる脱水素およびジエチルベンゼンからジビニルベンゼンを生じさせる脱水素が含まれる。別の例として、イソアミレンの脱水素反応でイソプレンを生じさせることができ、またはn−ペンテンの脱水素でピペリレンを生じさせることができる。そのような反応の全部で水素オフガスが生じ、それを真空圧縮器に送ることができる。エチルベンゼンの脱水素と正に同様に、そのようなオフガスには真空圧縮器にとって有害であり得る有機物の蒸気が入っている可能性がある。従って、そのような反応も本発明に従って直接接触型凝縮器をオフガス工程流れの中に用いることで利益を受け得る。
【0024】
1つの態様における本発明は、脱水素反応装置のオフガスから有機化合物および水蒸気を除去する方法である。この方法は、当該オフガスをオフガス圧縮器の上流に位置させた直接接触型凝縮器の中に送り込むことを含んで成る。この方法に更に冷却用媒体、例えば水または水とエチルベンゼンの組み合わせなどを前記直接接触型凝縮器の中に送り込むことも含め、その中で前記冷却用媒体とオフガスが熱伝達のための接触ゾーンを形成する。この方法に更に凝縮した水蒸気および有機化合物を前記直接接触型凝縮器の下部で集めそしてそれらを脱水素反応装置の主工程分離器に送って戻すことも含める。この方法に更に水素および他のガスを含有して成る非凝縮性蒸気を前記直接接触型凝縮器の上部で集めそしてそれをオフガス圧縮器に送ることも含める。
【0025】
いくつかの態様では、本方法を用いて当該オフガス流から有機化合物および水蒸気の大部分を凝縮させる。代替態様では、本方法を用いて当該オフガス流から有機化合物および水蒸気の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%を凝縮させる。
【0026】
本方法に、水蒸気を反応に水蒸気と炭化水素のモル比が少なくとも4:1、場合により少なくとも5:1、場合により少なくとも8:1、場合により少なくとも10:1になる
ように供給することを含めてもよい。脱水素反応を少なくとも300℃、場合により少なくとも350℃、場合により少なくとも400℃、場合により少なくとも450℃、場合により少なくとも500℃の温度で起こさせてもよい。脱水素反応を適切な如何なる圧力で起こさせてもよく、例えば大気圧以上の圧力から大気圧以下の圧力で起こさせてもよい。いくつかの態様では、反応を2から30psia、場合により5から20psiaで実施してもよい。
【0027】
1つの態様における脱水素反応装置は、エチルベンゼンに脱水素を受けさせてスチレンを生じさせかつスチレンおよびエチルベンゼンを含有する有機化合物を凝縮させるための装置である。
【0028】
本発明は、本発明の数多くの態様において、脱水素反応装置にいくつかの潜在的利点をもたらし得る。1つの利点は、水素オフガス圧縮器にかかる負荷を低下させかつ脱水素反応装置をより低くてより経済的な圧力で機能させることができるように前記圧縮器に入る有機化合物、例えば芳香族などの量を少なくすることができる点にある。
【0029】
本発明の直接接触型凝縮器の別の利点は、スチレン単量体である芳香族の凝縮を他の非重合性有機化合物、例えば当該水素オフガスに存在するエチルベンゼン、トルエンおよびベンゼンを包含する芳香族などのそれに比べて優先的に起こさせることができる点にある。スチレン単量体は液状形態の時に重合する傾向がありかつ真空圧縮器内の装置を汚す傾向がある。スチレンの重合は温度が高い方が起こり易くかつ非重合性有機化合物による希釈度が低い時に起こり易い。本直接接触型凝縮器は、急冷温度をより低くして機能させることができ、エチルベンゼンを冷却用水に添加することができかつ急冷接触領域内の理論的分離段階の数を多くすることができることで、当該オフガスからのスチレン単量体の優先的凝縮を助長することを可能にするものである。
【0030】
本発明の直接接触型凝縮器の別の利点は、水素オフガスの圧力降下を通常の熱交換器のそれに比べて相対的に低くすることができる点にある。圧力降下の度合が相対的に低いと圧縮器による吸引に要する圧力を低くすることができることで圧縮の負荷が低くなり得る。
【0031】
本発明の直接接触型凝縮器の別の利点は、投資費用を相対的に低くすることができる点にある。既に述べた理由で冷蔵装置の費用を低くすることができる。冷蔵装置は直接接触または熱交換のいずれかでオフガスを冷却する装置の主要な費用品目である。また、本直接接触型凝縮器の他の投資費用も通常の熱交換凝縮器のそれに比べて低い可能性がある。
【0032】
用語“アルキル”は、単結合の炭素と水素原子のみで構成されている官能基もしくは側鎖、例えばメチルまたはエチルなどを指す。
【0033】
用語“芳香族”は、場合により置換されていてもよい1個以上のベンゼン環で本質的に構成されている化学物質を指す。エチルベンゼンの脱水素を言及する場合のスチレンオフガスに含まれている芳香族には、スチレン、エチルベンゼン、ベンゼン、トルエンおよび他の可能な芳香族が含まれ得る。
【0034】
用語“凝縮性物質”は、熱交換器によって処理された時に凝縮して液体の状態になる化学物質を指す。用語“凝縮物”は、より具体的には熱交換器から液体の状態で出る水を指す。本発明に従う直接接触型凝縮器を言及する場合の凝縮物は、冷却用水に由来する再循環水ばかりでなくオフガス中の蒸気に由来する水を含有して成り得る。
【0035】
用語“直接接触型凝縮器”は、冷却用媒体と蒸気が直接接触する種類の熱交換器を指す

【0036】
用語“非凝縮性物質”は、熱交換器によって処理された時に凝縮せず、従って蒸気の状態のままである化学物質を指す。
【0037】
本明細書で用いる如き用語“オフガス”は、主工程分離器から蒸気の状態で出る脱水素反応生成物を指す。
【0038】
本明細書で“本発明”を言及する場合、文脈に応じて、それらはある場合には全部が特定の具体的態様のみを指し得る。他の場合として、それは、必ずしも全部ではないが1つ以上の請求項に示す主題事項を指し得る。前述は本発明の態様、変形および例に向けたものであるが、それらは、通常の当業者が本特許の中の情報を入手可能な情報および技術と組み合わせた時に本発明を成しかつ使用することができるようにする目的で含めたものであり、本発明をそのような個々の態様、変形および例のみに限定するものでない。本発明の基本的範囲から逸脱しない限り本発明の他のさらなる態様、変形および例を考案することができ、本発明の範囲を以下の請求項で決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水素反応装置であって、
炭化水素に脱水素を受けさせる能力を有する脱水素反応槽、
前記脱水素反応槽から蒸気をオフガス流によって取り出しかつ前記脱水素反応槽内の圧力を維持する能力を有するオフガス圧縮器、
前記脱水素反応槽と前記オフガス圧縮器の間に位置する直接接触型凝縮器、
を含有して成っていて、前記直接接触型凝縮器が前記オフガス流が前記直接接触型凝縮器から出て前記オフガス圧縮器に入る前に前記オフガス流を急冷流と接触させる能力を有していて前記急冷流によって前記オフガス流が冷却されかつ前記オフガス流内の化合物が凝縮され得る反応装置。
【請求項2】
前記凝縮器がオフガス圧縮器のサクションノックアウトドラムの中に設置されている請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
エチルベンゼンに脱水素を受けさせてスチレンを生じさせる目的で使用される請求項1記載の反応装置。
【請求項4】
イソアミレンに脱水素を受けさせてイソプレンを生じさせる目的で使用される請求項1記載の反応装置。
【請求項5】
n−ペンテンに脱水素を受けさせてピペリレンを生じさせる目的で使用される請求項1記載の反応装置。
【請求項6】
前記オフガス流が水蒸気、スチレンおよび非重合性有機化合物を含有して成っていてそれらの大部分が前記直接接触型凝縮器によって取り出される請求項1記載の反応装置。
【請求項7】
前記急冷流が冷水を含有して成る請求項1記載の反応装置。
【請求項8】
前記急冷流が更にエチルベンゼンも含有して成る請求項7記載の反応装置。
【請求項9】
前記凝縮器が有する理論的分離段階の数が1である請求項1記載の反応装置。
【請求項10】
前記凝縮器が有する理論的分離段階の数が1よりも多い請求項1記載の反応装置。
【請求項11】
炭化水素の脱水素方法であって、
炭化水素原料と脱水素用触媒の接触を前記炭化水素原料の少なくとも一部が脱水素を脱水素反応中に受けるに有効な反応条件下の反応槽内で起こさせ、
水素を含有して成るオフガス流を前記反応槽から取り出し、
冷却用媒体を循環させかつ前記オフガス流を前記冷却用媒体と接触させる能力を有する直接接触型凝縮器を準備しておき、
前記オフガス流の冷却を前記オフガス流から化合物を凝縮させる能力を有する直接接触型凝縮器内で起こさせ、
前記冷却用媒体と接触する前のオフガス流に比べて凝縮性化合物の含有量が低下した冷オフガス流を前記直接接触型凝縮器から取り出す、
ことを含んで成る方法。
【請求項12】
更に、
水蒸気を前記脱水素反応に水蒸気と炭化水素のモル比が少なくとも4:1になるように供給し、そして
前記反応槽を少なくとも300℃の温度で機能させる、
ことも含んで成る請求項11記載の方法。
【請求項13】
更に、
前記反応槽を前記炭化水素の実質的に全部が気相状態になるような真空条件下で機能させ、そして
脱水素生成物を含有して成る蒸気生成物を前記反応槽から回収する、
ことも含んで成る請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記オフガス流がエチルベンゼン反応装置に由来するスチレンオフガスを含有して成る請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記冷却用媒体が冷水を含有して成る請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記冷却用媒体が更にエチルベンゼンも含有して成る請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記オフガス流に由来する化合物の凝縮によってスチレン、エチルベンゼン、トルエンおよびベンゼンの中の1種以上を含有して成る凝縮した化合物をもたらす請求項11記載の方法。
【請求項18】
更に前記凝縮した化合物を前記炭化水素原料の中に混合することも含んで成る請求項17記載の方法。
【請求項19】
更に前記冷オフガス流の圧縮を前記反応槽内の圧力を維持する能力を有するオフガス圧縮器内で起こさせることも含んで成る請求項11記載の方法。
【請求項20】
脱水素反応槽のオフガスから芳香族および水蒸気を除去する方法であって、
オフガス流を直接接触型凝縮器の中に送り込み、
前記オフガス流を冷却用媒体と接触させ、
有機化合物および水蒸気を前記オフガス流から凝縮させ、
凝縮した有機化合物および水蒸気を前記直接接触型凝縮器から取り出し、そして
非凝縮性蒸気を前記直接接触型凝縮器から取り出す、
ことを含んで成る方法。
【請求項21】
前記オフガス流がエチルベンゼン反応装置に由来するスチレンオフガスを含有して成る請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記冷却用媒体が冷水を含有して成る請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記冷却用媒体が更にエチルベンゼンも含有して成る請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記凝縮した有機化合物がスチレン、エチルベンゼン、トルエンおよびベンゼンの中の1種以上を含有して成る請求項20記載の方法。
【請求項25】
更に前記凝縮した有機化合物を主工程分離器に送ることも含んで成る請求項20記載の方法。
【請求項26】
更に前記非凝縮性蒸気をオフガス圧縮器に送ることも含んで成る請求項20記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−505266(P2013−505266A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529959(P2012−529959)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/049472
【国際公開番号】WO2011/037861
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】