説明

オフガス燃焼装置

【課題】オフガス中のメタンが大気放散してしまうことを確実に防止することが出来て、しかも、係るオフガス中のメタンを燃焼処理する際に補助燃料を必要としないオフガス燃焼装置の提供。
【解決手段】バイオガスからメタンを分離するメタン分離装置1のオフガスを燃焼するオフガス燃焼装置において、メタン分離装置1のオフガスが流れるオフガスラインL3と、オフガスを燃焼する燃焼触媒7とを備え、オフガスラインL3には、燃焼触媒7の排ガスが保有する熱量を燃焼触媒7に供給されるオフガスへ投入する熱交換器5と、熱交換器5と燃焼触媒7との間の領域で燃焼触媒7に供給されるオフガスを加熱する加熱装置6と、燃焼触媒7に供給されるオフガスの温度を計測するオフガス温度計測装置21、22と、燃焼触媒7の表面温度を計測する触媒温度計測装置23とが介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガスからメタン(CH)を分離する技術に関する。より詳細には、バイオガスからメタンを分離する装置から排出されるオフガスにメタンが含有される場合に、係るオフガス中のメタンが大気放散してしまうことを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスから生成したバイオガスは、メタン以外の成分を含有している。バイオガスの有効利用を図るためには、バイオガスからメタンを分離し、或いは、バイオガス中のメタン濃度を高める必要がある。
嫌気性発酵プロセスから発生するメタンリッチなバイオガスからメタンを分離して、高純度メタンを精製するための技術として、例えば、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式による分離技術や、膜分離法に係る分離技術が存在する。
【0003】
図6は、PSA方式の概要を示しており、塔内に充填された吸着材により不要な成分(例えば、バイオガス中のメタン以外の成分)を吸着して除去し、以って、所定の成分(例えばメタン)を分離するための装置である。
【0004】
図6において、吸着材が充填された塔Pが複数(図6では3個)設けられており、塔Pの各々には、バイオガス供給ラインLb、流路切換装置Vc、バイオガス供給分岐ラインLb1〜Lb3を介して、バイオガスが供給される。
吸着材が充填された塔P(PSA)にバイオガスを供給し、バイオガス中のメタン以外の成分を吸着材により吸着して除去すれば、残余のガスにおけるメタン濃度を高くすることが出来る。仮に、バイオガスがメタンと二酸化炭素(CO)のみを含有するのであれば、COを吸着する触媒が充填された塔P内にバイオガスを供給すれば、塔Pから出てきたガス(メタンタンクに供給されるガス)はメタンのみを含有することになり、或いは、メタン濃度が高くなる。
すなわち、PSAをメタン分離装置として用いれば、メタン以外の成分(例えば、CO)を吸着して除去することにより、相対的にメタン濃度(或いは純度)を高くすることが出来る。
【0005】
ここで、吸着材を充填した塔Pが1つのみ設けられているならば、吸着と脱着とを繰り返し、吸着の場合にのみバイオガスを供給する必要がある。そのため、メタンの分離(メタン濃度の高度化)を、いわゆる「バッチ式」で処理しなければならない。
連続してメタンの分離或いは精製を行なうためには、複数の塔Pを設け、再生された吸着材が充填されている塔にバイオガスの供給を行い、吸着材の吸着能力が低減した塔Pについては、バイオガスの供給を中止して、吸着材の脱着(再生)を行なう。すなわち、ある塔Pでは吸着材によりメタン以外の成分(例えばCOを)吸着し、他の塔Pではメタン以外の成分(例えばCO)を脱着して、吸着材を再生する。以って、バイオガスからメタン以外の成分を、連続的に、吸着処理するのである。
【0006】
脱着工程においては、脱着(再生)をするべき吸着材が充填された塔Pを減圧し、吸着材に吸着された成分(上記の例ではCO)を吸着材から分離して、塔P外へ排出する。
脱着工程において、減圧により塔P外へ排出(吸引)されたガスが、オフガスを構成する。
【0007】
吸着材を充填した塔は、一般的に、塔P内の吸着材がメタン以外の成分(例えばCO)を吸着する限界に達する以前の段階で、脱着工程(再生工程)に切り換えられる。
吸着工程の際に、メタンの純度を高くするためには、バイオガスにおけるメタン以外の成分(例えばCO)がメタンに混入しない様に、注意しなければならない。そして、吸着材がメタン以外の成分を吸着しなくなり、メタン以外の成分がメタンと共にメタン貯蔵タンク側に出力されないようにするためには、吸着材の吸着能力に余裕がある段階で、吸着材による吸着工程から当該吸着材を再生する脱着工程に切り換える必要がある。すなわち、未だに吸着可能な吸着材が充填された塔について、脱着工程が行なわれる。
【0008】
上述したように、脱着工程では、塔内を減圧して排出するので、脱着工程に切り換えられた際に、当該塔内に残存しているバイオガスも、減圧により塔外に排出されて、オフガスとして処理される。
すなわち、メタンを包含するバイオガス(通常、バイオガスのメタン濃度は60%程度)がオフガスとして、塔外へ排出されるため、オフガスにはメタンが包含されてしまう。
【0009】
図6のPSAに関してのみ説明したが、その他のメタン分離装置でも、同様な問題が存在する。
例えば、膜分離法は、高分子膜、ゼオライト等の無機膜の制御された微細孔により、複数種類のガスの混合ガスから特定のガスを分離する方法であり、対象ガスの分子の大きさや、形状の違いを利用して、分離するべきガスを混合ガスから分離している。
しかし、係る膜分離法によるメタンの分離装置においても、オフガスにメタンガスが混入してしまう可能性があることは良く知られている。
【0010】
メタンを含有するオフガスについて、以前は大気放散するケースも存在した。
現状では、メタン濃度がある程度高い場合には、大気放散することはできない。メタンは、同じモル数では、COの20〜30倍の温暖化係数を持ち、メタンを大気放散することは、COの大気放散よりも20倍〜30倍のオーダーで地球環境に悪影響を与えてしまうからである。
【0011】
これに対して、メタンを包含するオフガスを燃焼して、地球環境にダメージが少なくする従来技術が存在する。係る従来技術では、余剰燃焼塔でメタンを包含するオフガスを燃焼している。
しかし、バイオガスにおけるメタン濃度は不安定であるため、上記オフガスにおけるメタン濃度も不安定である。そのため、補助燃料(例えば、都市ガス)を追加せずに、安定した燃焼をし続けることは困難である。そして、余剰燃焼塔で安定した燃焼をしないと失火の恐れがあり、余剰燃焼塔で失火すると、メタンを含有するオフガスが未燃物としてそのまま大気中に排出されてしまうので、メタンを大気放散するのと同様に、環境に対して甚大なる悪影響を及ぼしてしまう。
そのため、係る従来技術では、補助燃料(都市ガス等)を供給しつつ、メタンを含有するオフガスを燃焼しなければならず、補助燃料を供給するコストが必要となる。
【0012】
その他の従来技術として、例えば、メタン濃度やメタン貯蔵量の増加を図るために、脱硫装置と、メタン濃縮装置と、メタン吸蔵剤を充填したガスホルダとを備えた消化ガス貯蔵設備が提案されている(特許文献1参照)。
また、バイオガスの供給量や成分に応じて補助燃料ガスと空気を混合し、燃料ガスとして利用する技術も提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これ等の従来技術(特許文献1、特許文献2)は、何れもバイオガスからメタンを分離する装置からのオフガスに含有されるメタンの処理については開示していない。
【特許文献1】特開2001−949号公報
【特許文献2】特開2002−226878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、バイオガスからメタンを分離する際に排出されるオフガスにメタンが含有されている場合に、係るオフガス中のメタンが大気放散してしまうことを確実に防止することが出来て、しかも、係るオフガス中のメタンを燃焼処理する際に補助燃料を必要としないオフガス燃焼装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のオフガス燃焼装置は、バイオガスからメタンを分離するメタン分離装置(1:例えば、PSA等)のオフガスを燃焼するオフガス燃焼装置において、メタン分離装置(1)のオフガスが流れるオフガスライン(L3)と、オフガスを燃焼する燃焼触媒(7)とを備え、オフガスライン(L3)には、燃焼触媒(7)の排ガスが保有する熱量を燃焼触媒(7)に供給されるオフガスへ投入する熱交換器(5)と、熱交換器(5)と燃焼触媒(7)との間の領域で燃焼触媒(7)に供給されるオフガスを加熱する加熱装置(例えば、電気ヒータ6)と、燃焼触媒(7)に供給されるオフガスの温度を計測するオフガス温度計測装置(第1の熱電対21、第2の熱電対22)と、燃焼触媒(7)の表面温度を計測する触媒温度計測装置(熱電対23)とが介装されており、燃焼触媒(7)の排ガスが流れる排ガスライン(Lx)は、前記熱交換器(5)に連通している第1の排ガスライン(Lx1)と、前記熱交換器(5)をバイパスする第2の排ガスライン(Lx2)とに分岐しており、排ガス流量を調整する機能を有する流量調整装置(電磁弁V3)が第1の排ガスライン(Lx1)或いは第2の排ガスライン(Lx2)の何れかに介装されており、燃焼触媒(7)に燃焼用空気を供給する空気供給装置(例えばブロワ8)が設けられ、空気供給装置(8)の吐出口と連通する空気供給ライン(La)は前記オフガスライン(L3)の熱交換器(5)よりも上流側(メタン分離装置1側)の領域に合流していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、燃焼触媒(7)を配置してあるので、メタン分離装置(1:例えばPSA)のオフガスに含有されるメタンを燃焼触媒(7)で燃焼するので、メタン濃度が低い範囲において、安定した燃焼が可能である。
オフガスに含有されるメタン濃度がバーナで燃焼できない様な低い場合に、燃焼触媒(7)でオフガスに含有されたメタンの燃焼を燃焼触媒側で実行することが出来る。
【0016】
その結果、オフガスに含有されたメタンを確実に燃焼することが出来る範囲(オフガス中のメタン濃度の範囲)が、特にメタン濃度が低下する側に拡大する。
【0017】
バーナを用いては安定した燃焼が保証できない程度にオフガス中のメタン濃度が低くても、燃焼触媒によって確実に当該低濃度のメタンを燃焼することが出来る。
すなわち、本発明によれば、補助燃料を使用することなく、しかも、失火することなく、オフガスに含有されるメタンが確実に燃焼される。その結果、メタンの大気放散が完全に防止され、地球環境に悪影響を与えてしまうことはなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1において、全体を符号103で示すオフガス燃焼装置は、PSA方式によるメタン分離装置(PSA)1とメタン貯蔵タンク2と熱交換器5と電気ヒータ6とオフガス中に含有されているメタンを燃焼する装置としての燃焼装置7と制御手段であるコントロールユニット10とを備えている。
PSA1は、メタンガス供給ラインL1を介して、図示しないメタンガス供給源と連通している。
【0020】
PSA1は、メタンガス搬送ラインL2によってメタン貯蔵タンク2と連通しており、そしてメタン分離装置であるPSA1と燃焼触媒7とは、メタンガス含有オフガスラインL3により接続されている。
メタンガス含有オフガスラインL3には、熱交換器5と第1の熱電対(温度センサ)21と電気ヒータ6と第2の熱電対22とが介装されている。
燃焼触媒7には、その表面温度を計測する第3の熱電対23が取り付けられ、燃焼触媒7の燃焼排ガスラインLxには第4の熱電対24が介装されている。
【0021】
燃焼触媒7からの燃焼排ガスが流れる燃焼排ガスラインLxは、分岐点Bで第1の分岐ラインLx1と第2の分岐ラインLx2とに分岐している。
第1の分岐ラインLx1は熱交換器5を経由して大気に開放されており、分岐点Bと熱交換器5との間の領域には電動弁(流量制御弁)V3が介装されている。
第2の分岐ラインLx2も、大気に開放されている。
【0022】
メタンガス含有オフガスラインL3において、熱交換器5とPSA1との間には合流点Gが形成され、この合流点Gには、空気供給ラインLaが合流している。
空気供給ラインLaには流量制御弁Vaが介装されており、且つ、その端部には空気供給用の機器であるブロワ8が接続されている。
【0023】
第1の熱電対21〜第4の熱電対24は、何れも入力信号ラインSiを介して、コントロールユニット10と接続されている。
PSA1、電気ヒータ6、電動弁V3、流量制御弁Vaは、何れも制御信号ラインSoを介して、コントロールユニット10と接続されている。
【0024】
燃焼触媒7は、例えば、アルミナに担持されたパラジウムが使用される。
燃焼触媒7で燃焼するためには、所定温度以上に加熱することが必要である。ただし、触媒の種類によって、必要な温度範囲は異なる。図示の実施形態で用いられる触媒は、オフガスに含有されているメタンを燃焼するために、例えば、400℃〜800℃の範囲内に加熱される必要がある。換言すれば、燃焼温度の下限目標値が400℃であり、上限目標値が800℃である。
上述したように、燃焼触媒7は、バーナ4が安定燃焼する程度にメタン濃度が高いオフガスの燃焼よりも、バーナを用いては失火してしまう程度までメタン濃度が低いオフガスの燃焼に適している。
【0025】
燃焼触媒7でオフガスが燃焼するためには、燃焼用の空気が必要である。そのため、図1において、前述の空気供給ラインLa及びブロワ8が装備されている。
さらに、燃焼触媒7の焼結(シンタリング)を防止するため、燃焼触媒7の温度が上限値800℃を超えない様にすることも必要である。すなわち、燃焼触媒7における温度の上限値の制御も必要である。
ここで、図示の実施形態で用いられる燃焼触媒7において、400℃は燃焼温度の下限値に対して多少の余裕を有しており、800℃は燃焼温度の上限値に対して多少の余裕を持った数値として選定されている。
もちろん、触媒の種類によって、燃焼温度の上限値、下限値が異なるため、上述した温度800℃、400℃という上限目標値と下限目標値の具体例も異なる。
【0026】
燃焼触媒7に流入するガスの温度を、例えば400℃以上に昇温するために、排ガスラインLx(第1の分岐ラインLx1)を流れる燃焼触媒7の燃焼排ガスが保有する熱量を、熱交換器5において、燃焼触媒7に流入するオフガスに投入している。
ここで、燃焼触媒7の燃焼状態によっては、熱交換器5で燃焼排ガスが保有する熱量を投入するのみでは、燃焼触媒7に流入するオフガスを必要な温度(400℃)まで昇温するのに不足である場合も存在する。その様な場合に対処するべく、図1では、メタン含有オフガスラインL3の熱交換器5よりも下流側(燃焼触媒7側)の領域には、加熱手段である電気ヒータ6が介装されており、燃焼触媒7に流入するオフガスを目標とする温度(例えば400℃)まで昇温することを可能にしている。
【0027】
バイパスラインLx2(第2の分岐ラインLx2)は、燃焼触媒7の表面温度が高くなり過ぎて、目標上限値(800℃)よりも高温となってしまうことが無い様に、燃焼触媒7の燃焼排ガスの一部(或いは全部)が熱交換器5をバイパスさせるために設けられている。
触媒温度が高くなり過ぎて、燃焼触媒7に流入するオフガスの温度を低下する必要がある場合には、電磁弁(流量制御弁)V3の開度を小さくして(電磁弁V3を絞って)、熱交換器5を流れる燃焼排ガスの流量を減少し、以って、燃焼触媒7に流入するオフガスに投入される熱量を減少している。
【0028】
上述したように、燃焼触媒7の表面温度を計測する第3の熱電対23と、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度を計測する第4の熱電対24とが設けられているが、第3の熱電対23と熱電対24は、いずれか一方だけ設けても良い。
もちろん、図1で示すように、第3の熱電対23と第4の熱電対24を両方設けても良い。
【0029】
一般的に、燃焼触媒7の反応面が異物と付着してしまうのを防止するため、(PSA1側或いは図示しないバイオガス供給源側:図1では左側)にはフィルタが必要となる。
しかし、図1で示す実施形態では、燃焼触媒7の上流側には、フィルタは介装されていない。
PSA1における図示しない吸着材により、異物が吸着されて除去されるからである。それに加えて、PSA1の出口側には、図示を省略したフィルタが設けられているので、異物はそこでも除去されるからである。
【0030】
図1で示す燃焼触媒を利用したオフガス燃焼装置103の起動時の制御について、図2を参照して説明する。
図2において、ステップS41で電気ヒータ6を作動させ、ステップS42においてはブロワ8を作動して、メタン含有オフガスラインL3に燃焼用空気を供給する。
ステップS43では電磁弁V3を全開にして、第2の熱電対22の計測値、すなわち燃焼触媒7に流入するオフガスの温度が400℃以上になるまで待機する(ステップS44がNOのループ)。
【0031】
燃焼触媒7に流入するオフガスの温度(第2の熱電対22の計測値)が400℃以上になったなら(ステップS44がYES)、ステップS45に進み、1塔目のPSA1を起動する。
その後、ステップS46に進み、1塔目のPSA1において、脱着工程を開始する。脱着工程を開始することにより、1塔目のPSA1からのオフガスが、燃焼触媒7へ送られる。
そしてステップS47では、燃焼触媒7が定常状態である場合の制御(定常時の制御:図3、図4、図5)に移行する。
【0032】
定常時の制御は、図3で示す電気ヒータ6の制御と、図4で示すブロワ8の制御と、図5で示す電磁弁V3の開閉制御とが、平行して実行される。
最初に、図3の電気ヒータ6の制御について説明する。
図3において、ステップS51では、第1の熱電対21をチェックする。
コントロールユニット10は、第1の熱電対21の計測値が400℃未満であるか否かを判断する(ステップS52)。
【0033】
第1の熱電対21の計測値が400℃未満であれば(ステップS52がYES)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が不十分であると判断して、ステップS53で電気ヒータ6を作動し、ステップS55に進む。
ステップS52において、第1の熱電対21の計測値が400℃以上であれば(ステップS52がNO)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)は十分であると判断して、ステップS54に進み、電気ヒータ6を作動せず、電気ヒータ6が作動していればこれを停止し、ステップS60まで進む。
【0034】
ステップS55(第1の熱電対21の計測値が400℃未満:ステップS52がYES)では、第2の熱電対22をチェックし、コントロールユニット10は、ステップS55の計測値が所定範囲であるか否かを判断する(ステップS56)。
ステップS55の計測値が所定範囲であれば(ステップS56がYES)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が適正と判断して、ステップS57に進み、電気ヒータ6の出力をそのまま維持して、ステップS60に進む。
ステップS55の計測値が所定範囲よりも低温であれば(ステップS56が「低」)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が不足していると判断してステップS58に進み、電気ヒータ6の出力を増加して、ステップS60に進む。
ステップS55の計測値が所定範囲よりも高温ならば(ステップS56が「高」)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が過剰であると判断してステップS59に進み、電気ヒータ6の出力を減少させ、ステップS60に進む。
ステップS60では、コントロールユニット10は電気ヒータ6の制御を終了するか否かを判断する。電気ヒータ6の制御を終了するのであれば(ステップS60がYES)、そのまま制御を終える。一方、制御を続行するならば(ステップS60がNO)、ステップS51まで戻り、ステップS51以降を繰り返す。
【0035】
次に、図4のブロワ8の制御を説明する。
図4において、ステップS61では、燃焼触媒7の表面温度を計測している第3の熱電対23をチェックする。そして、燃焼触媒7の表面温度が適正温度であるか否かを判断する(ステップS62)。
第3の熱電対23の計測値が適正温度(所定範囲、例えば、500℃〜700℃)であれば(ステップS62がYES)、ブロワ8〜の風量も適正であると判断して、ステップS63に進み、ブロワ8の風量を維持する。
【0036】
第3の熱電対23で計測された触媒表面温度が、適正温度よりも高温であれば(ステップS62で「温度高」)、流量制御弁Vaの開度を増やし、燃焼触媒7に供給される空気流量(ブロワ風量)を増加して、触媒表面温度を低下させる(ステップS64)。ここで、ブロワ8から大量の空気が燃焼触媒7へ供給されれば、第3の熱電対23が計測している燃焼触媒7の表面温度は降温する。
【0037】
一方、第3の熱電対23で計測された触媒表面温度が、適正温度よりも低温であれば(ステップS62で「温度低」)、流量制御弁Vaを絞り、燃焼触媒7に供給される空気流量(ブロワ風量)を減少する。
燃焼触媒7に供給される空気流量(ブロワ風量)が減少すれば、第3の熱電対3が計測している燃焼触媒7の表面温度は昇温する。
【0038】
ステップS66では、コントロールユニット10は、ブロワ8の風量制御を終了するか否かを判断する。ブロワ風量の制御を終了するのであれば(ステップS66がYES)、そのまま制御を終える。
ブロワ8の風量制御を続行するのであれば(ステップS66がNO)、ステップS61まで戻り、ステップS61以降を繰り返す。
【0039】
図5の電磁弁V3の開閉制御について説明する。
図5において、ステップS71では、ブロワ8の風量が最大となるまで待機する(ステップS71がNOのループ)。ブロワ風量が最大となったなら(ステップS71がYES)、燃焼触媒7の燃焼排ガスの温度と対応する燃焼触媒7の表面温度を計測している第3の熱電対23、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度を計測している第3の熱電対24をチェックする(ステップS72)。
そしてステップS73において、燃焼触媒7の表面温度(第3の熱電対23の計測値)、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度(第3の熱電対24の計測値)に対応して、電磁弁V3の開度を適正な開度に制御する。ここで、燃焼触媒7の表面温度(第3の熱電対23の計測値)、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度(第4の熱電対24の計測値)と、電磁弁V3の適正な開度との関係は、予め設定して、特性式、特性表、特性マップ等の形態で、コントロールユニット10内に記憶されている。
ステップS74では電磁弁V3の開閉制御を終了するか否かを判断し、制御を続行するのであれば(ステップS74がNO)、ステップS71まで戻る。り、再びステップS71以降を繰り返す。
【0040】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態では、バイオガスからメタンを精製或いは分離する装置として、PSA法によるメタン分離装置を用いているが、膜分離法によるメタン分離装置を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図。
【図2】実施形態の起動手順を示すフローチャート。
【図3】実施形態の定常時における電気ヒータの制御を示すフローチャート。
【図4】実施形態の定常時におけるブロワの制御を示すフローチャート。
【図5】実施形態の定常時における触媒燃焼排ガスの熱交換器への流量制御を示すフローチャート。
【図6】PSA分離装置の概要を示す説明図。
【符号の説明】
【0042】
1・・・メタン分離装置/PSA
2・・・メタン貯蔵タンク
5・・・熱交換器
6・・・電気ヒータ
7・・・燃焼触媒
8・・・ブロワ
10・・・制御手段/コントロールユニット
21〜24・・・第1〜第4のの熱電対
L1・・・バイオガス供給ライン
L2・・・メタンガス搬送ライン
L3・・・メタン含有オフガスライン
Lx・・・排ガスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオガスからメタンを分離するメタン分離装置(1)のオフガスを燃焼するオフガス燃焼装置において、メタン分離装置(1)のオフガスが流れるオフガスライン(L3)と、オフガスを燃焼する燃焼触媒(7)とを備え、オフガスライン(L3)には、燃焼触媒(7)の排ガスが保有する熱量を燃焼触媒(7)に供給されるオフガスへ投入する熱交換器(5)と、熱交換器(5)と燃焼触媒(7)との間の領域で燃焼触媒(7)に供給されるオフガスを加熱する加熱装置(6)と、燃焼触媒(7)に供給されるオフガスの温度を計測するオフガス温度計測装置(21、22)と、燃焼触媒(7)の表面温度を計測する触媒温度計測装置(23)とが介装されており、燃焼触媒(7)の排ガスが流れる排ガスライン(Lx)は、前記熱交換器(5)に連通している第1の排ガスライン(Lx1)と、前記熱交換器(5)をバイパスする第2の排ガスライン(Lx2)とに分岐しており、排ガス流量を調整する機能を有する流量調整装置(V3)が第1の排ガスライン(Lx1)或いは第2の排ガスライン(Lx2)の何れかに介装されており、燃焼触媒(7)に燃焼用空気を供給する空気供給装置(8)が設けられ、空気供給装置(8)の吐出口と連通する空気供給ライン(La)は前記オフガスライン(L3)の熱交換器(5)よりも上流側の領域に合流していることを特徴とするオフガス燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−246495(P2012−246495A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175802(P2012−175802)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2008−187061(P2008−187061)の分割
【原出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】