オブジェクトデザイン用ユーザインタフェースの改良
第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成する方法が開示される。この方法は、第1ユーザの端末において、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、前記第1ユーザの端末において、前記一組の指定されたデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定するステップと、第2ユーザの端末において、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にするステップを含む、前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にするステップと、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオブジェクトをデザインするユーザインタフェースの改良に関し、具体的には、それに限定されないが、工業的に製作されるオブジェクトを共同デザインする改良されたプロセスに関する。本発明は工業デザインを変更し、その変更をデザインされるオブジェクトの機能が保存されるように規制するための画像操作の高度な新手法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のコンピュータ支援設計ソフトウェアパッケージは2次元(2D)ベクトルベースの製図システムから3次元(3D)ソリッドモデリング及びサーフェースモデリイングシステムに及んでいる。工業オブジェクトをデザインするために既存の3Dコンピュータ支援設計(CAD)パッケージ(例えばAUTOCAD及びQCAD)が利用可能である。一般に、このようなパッケージに精通したデザイナーは特定の工業オブジェクトを多量生産用にデザインするためにこれらのパッケージを使用する。設計プロセス中に変更を加えることができ、これらの変更はCADパッケージ内で多くの場合3次元のワイヤフレームオブジェクトとして視覚化される。
【0003】
このようなパッケージは個々のデザイナーにより単独で使用され、また共同制作の場合には公平な条件で使用され、2人のデザイナーはモデル化された形状の変更及び強化のために等しいアクセス権を有する。従って、そのデザインに対して一方のデザイナーがデザインに対して他方のデザイナーより大きな規制を持つことはできない。また、この理由のために、両デザイナーがデザイン中の物品の自身の変更を表現するために既存のCADパッケージを使用できる能力は同等である。これはCADパッケージの操作知識を必要とするため、必要なCADパッケージ知識を持たない多数のデザイナーを排除することになる。
【0004】
各3D CADのオブジェクト表現はポリゴンを形成する数千の相互接続頂点(一般に3Dポリゴンメッシュと呼ばれている)で構成される。オブジェクトのデザインを変化させるためにはこれらの頂点の各々を操作しなければならない。頂点はオブジェクトの表面の形及び向き並びにオブジェクトの表面内の特徴を規定する。これらの表現を操作するのに必要とされる計算能力は、オブジェクトのすべての点に何らかの変換が適用されるので、かなり大きくなる。この大きな計算能力の要求の結果として、画像のレンダリングに多大な時間がかかり、また画像を高速にレンダリングするには高価なコンピュータハードウェアが必要とされ、著しくコストを増加する。
【発明の概要】
【0005】
工業デザイン表現を生成し操作する既存の既知の方法に関連する上述の制限の少なくとも一部分を克服することが望ましい。
【0006】
本発明の一つの態様によれば、工業デザインの表現のデザイナーが、他の共同デザイナーによる当該デザインの変更を完全な自由から制限する制約を当該デザインに加えることができる方法及びシステムが提供される。換言すれば、本発明は、2人以上の人がオブジェクトのデザイン表現を変更する場合に一人が他の人より強く規制される方法を包含する。このような場合、2種類のユーザ、即ちプロの「オリジナルデザイナー」とアマチュアの「共同デザイナー」がいる。オリジナルデザイナーはオリジナルモデルの製作者でもあり、「共同デザイナー」がデザインすることができる限界範囲を設定できる。従って、デザインの一部分はオリジナルデザイナーにより共同デザイナーに操作可能に開放される。デザインの開放されてない他の部分はロックされ、共同デザイナーにより変更され得ない。共同デザイナーは、オリジナルデザイナーにより設定された限界範囲内の「解放」として指定されたオリジナルデザインの部分を自由に操作及び/又は変更することができる。
【0007】
もっと正確に言えば、本発明の一つの態様によれば、第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成する方法が提供され、該方法は、第1ユーザの端末において、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、前記第1ユーザの端末において、前記一組の指定されたデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定するステップと、第2ユーザの端末において、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって、前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にするステップと、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、を備える。
【0008】
この方法の利点は上述したとおりである。
【0009】
この方法は、更に、前記デザイン表現の複数の点を選択し、選択した点を前記デザイン表現の機能領域としてグループ化するステップを備える。一実施例では、このグループ化はポリゴンメッシュ表現の選択した頂点にタギング(タグ付け)するプロセスによって実行される。このグループ化は、デザインの異なる領域を指定し、操作のための一組の変数をこのグループに対して設定できるために極めて有利である。このアプローチを採用すると、処理しなければならないデータ点の数がデザイン全体に比較して少なくなるので計算コストの大幅な低減が得られる。
【0010】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の非隣接点を選択し機能領域にグループ化することができる。これは、デザインの相隔たる点を共通の制約セットで制御することを可能になる。また、前記選択及びグループ化ステップは前記デザインオブジェクト表現の一組の隣接点を選択し、機能領域にグループ化することもできる。
【0011】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザイン表現の複数の機能領域を生成するために繰り返すことができ、本方法はこれらの機能領域のうちの一つを、第2ユーザによるこの部分の操作を阻止するためにロックするステップを更に備えることができる。前記デザインの所定の部分を選択しロックするこの機能は、第2ユーザにより許されるよりも高度の操作の抑制を第1ユーザに与えることができる。
【0012】
本方法は、選択された機能領域にフォールオフ重み関数を与えるステップを更に備え、前記フォールオフ重み関数は前記選択された領域の第2ユーザの操作の前記デザイン表現の他の領域への効果を段階的に変化させる。このフォールオフ重み関数は、それらの構造内の固定された領域と第2ユーザが有意の変更を行うことができる他の領域との間の遷移を滑らかにすることができる。
【0013】
本方法は、前記デザイン表現にダイナミックスキン機能を与えるステップを更に備え、ダイナミックスキン機能は、前記デザイン表現のテクスチャスキン効果を生成するために、グループ内の各頂点に別の形状をインポートし添付することができる。
【0014】
本方法は、前記デザイン表現にアセンブリ機能を与えるステップを更に備え、前記アセンブリ機能は前記デザイン表現の選択された点に所定の形状を添付することができる。
【0015】
本方法は、前記デザイン表現にグループポリ機能を与えるステップを更に備え、前記グループポリ機能は前記デザイン表現の指定された領域にユーザ定義の制約を与えることができる。
【0016】
前記制約指定ステップは、第1ユーザの端末において、第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップによる変更を阻止するために、前記デザインオブジェクト変数のセットの少なくとも一つをロックするステップを含むことができる。
【0017】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されるオブジェクトの3次元モデルとすることができ、本方法は、前記第1ユーザの端末において、前記オブジェクトのデザイン表現をインポートするステップを更に備え、前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップは、前記ポリゴンメッシュ内の構成される一つ以上のポリゴン頂点を選択するステップを含み、前記制約を指定するステップは、前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定するステップを含む。
【0018】
本方法は、前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップの結果を制約ファイルにコンパイルし、該制約ファイルを前記第2ユーザの端末に送信するステップを更に備えることができる。これは制約を第2ユーザの端末に伝達できる便利な方法である。
【0019】
本方法は、前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップの結果を最終デザインファイルにコンパイルし、該ファイルを中央データストアに送信するステップを更に備えることができる。更に、本方法は、前記最終デザインファイルを中央データストアで受信し、格納するステップを更に備えることができる。
【0020】
本方法は、前記最終デザインファイルを3次元プリンタに送るステップを更に備え、前記3次元プリンタは前記最終デザインファイルに従って3次元オブジェクトを製作するように構成されているものとし得る。このようにすると、第2ユーザのパーソナライズデザインを迅速に安価に製品に製作することができる。
【0021】
本方法は、前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第1ユーザの端末上のグラフィックユーザインタフェースで表示するステップを更に備え、前記グラフィックユーザインタフェースが前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップを実行するツールを提供するものとし得る。このようにすると、第1ユーザは実際の特定値に決定する前に前記制約を操作し、デザインに与えるその影響を観察することができ有利である。
【0022】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を提示するステップは、該グラフィック表示を提示するために前記第2ユーザの端末側でグラフィックユーザインタフェースを用いることができ、前記方法は前記操作可能化ステップを実行するツールを前記グラフィックユーザインタフェースに与えるステップを更に備える。
【0023】
前記グラフィックユーザインタフェースの前記ツールは一組のスライダアイコンを備えることができ、各スライダは一つのデザインオブジェクト変数に関連し、前記スライダの許容移動量は関連するデザインオブジェクト変数の許容変化範囲を表す。これは、デザイン変数の値を変化させる簡単で論理的で直感的な方法である。
【0024】
各スライダアイコンは、前記関連するデザインオブジェクト変数の変化範囲を制限するために、前記第1ユーザにより調整可能な可変の限界値を有する。
【0025】
本方法は、前記スライダアイコンの少なくとも一つにローカルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記チェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト変数の値を特定の量に固定する手段を提供するものとし得る。
【0026】
本方法は、前記デザインにグローバルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記グローバルチェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインの表面の方向などの少なくとも一つの特徴にグローバル機能を与える手段を提供するものとし得る。
【0027】
本方法は、物理的モジュールを用いて前記デザインの機能を維持するために必要なデザイン変数変更制約のグローバルセットを自動的に決定するステップと、前記デザインの所望の機能を阻害する変更がなされるのを阻止するためにこれらのグローバル変更制約を前記一組のデザインオブジェクト変数に加えるステップを更に備えることができる。
【0028】
前記グローバルセットのデザイン変数変更制約を決定するステップは物理的エンジンを用い、前記物理的エンジンによって指定の形状を有するオブジェクトの挙動をシミュレートし、前記指定の形状が環境内で安定であるかどうかを決定することができる。
【0029】
本方法は、前記第1ユーザにより決定された所定のデザイン表現に対する前記一組のデザインオブジェクト変数及び該オブジェクト変数に対する制約又は前記第2ユーザにより指定された所定のデザイン表現のオブジェクト変数の特定の選択された値を解析して前記デザインのオブジェクトの自動機械生成を阻害し得る論理的な矛盾を決定するステップを更に備えることができる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成するシステムが提供され、該システムは、第1ユーザの端末に設けられ、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定することができる指定モジュールと、前記第1ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定することを第1ユーザに可能にする指定モジュールと、第2ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信する受信機と、前記第2ユーザの端末に設けられ、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にする操作モジュールと、前記第2ユーザの端末に設けられ、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するグラフィックユーザインタフェース(GUI)と、を備える。
【0031】
本システムは、前記第1ユーザの端末及び前記第2ユーザの端末と通信する中央サーバを更に備えることができ、前記第1ユーザの端末は前記中央サーバから前記デザインオブジェクト変数を指定する指定モジュール及び前記制約を指定する指定モジュールをダウンロードするように構成され、前記第2ユーザの端末は前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記中央サーバに第2ユーザの最終デザインとしてアップロードするように構成されている。
【0032】
本発明の更に別の態様によれば、2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同で操作し得る共同デザインシステムが提供され、該システムは、第1ユーザの操作用に配置された第1ユーザの端末と、第2ユーザの操作用に配置された第2ユーザの端末と、前記第1及び第2ユーザの端末間でデザインオブジェクトデータを伝送し得るように構成された通信ネットワークを備え、前記第1ユーザの端末は、前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定すること及び前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定することができるように構成され、前記第2ユーザの端末は、前記一組のデザインオブジェクト変数を前記通信ネットワーク経由で受信するよう構成され、更に前記第2ユーザが前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現を操作できるように構成される。
【0033】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されたオブジェクトの3次元モデルとすることができ、前記第1ユーザの端末は、前記ポリゴンメッシュに含まれる一つ以上のポリゴン頂点を選択することによって前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するように構成され、且つ前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定することによって前記第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するように構成される。
【0034】
本システムは、第2のデザインオブジェクト表現を生成するために、前記少なくとも一つの指定されたオブジェクト変数の第2ユーザによる選択値を前記デザインオブジェクト表現と組み合わせるように構成された手段を更に備え、前記第2のデザインオブジェクト表現が前記第2ユーザのオブジェクト変数値を含むデザインオブジェクトの3次元ポリゴンメッシュを表示するようにすることができる。
【0035】
本システムは、3次元プリンタを更に備え、前記第2のデザインオブジェクト表現を前記3次元プリンタに転送するように構成され、前記3次元プリンタは、前記第2のデザインオブジェクト表現に従って3次元オブジェクを製作するように構成される。この点に関し、本システムは前記第2ユーザにより操作されたデザインオブジェクト表現を3次元プリンタにより実行可能な一組の命令に変換する変換手段を更に備えることができる。
【0036】
本システムは、第1及び第2ユーザから遠く離れて位置し、通信ネットワークを介して第1及び第2ユーザの端末と通信するように構成された共有データストアを備え、前記第2ユーザの端末は前記共有データストアに格納された前記デザインオブジェクト表現、前記一組のデザインオブジェクト変数及び前記指定された値の範囲にアクセスするように構成することができる。
【0037】
前記共有ストアは、前記第2ユーザの端末から前記少なくとも一つの指定されたオブジェクト変数の第2ユーザ選択値を受信し、その値を共有データストアに格納するように構成することができる。
【0038】
本システムは、前記受信したオブジェクト変数及び格納したオブジェクトデザイン表現に基づいて前記第2ユーザのデザインオブジェクト表現を生成する手段を更に備えることができる。また、本システムは、前記第2ユーザのデザインオブジェクト表現を3次元プリンタで実行可能なプリント命令に変換する手段を更に備えることができる。3次元プリンタはオブジェクトをレーザ焼結プロセスに従って製作するように構成するのが好ましい。
【0039】
デザインオブジェクトは第1ユニットの端末に存在するCAD手段を用いて生成するコンピュータ支援デザイン(CAD)とすることができる。
【0040】
本発明の更に別の態様によれば、共同デザインシステムの2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同操作することができる方法であって、該方法は、第1ユーザの端末において、前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、前記第1ユーザの端末において、前記一組のオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するステップと、第2ユーザの端末において、前記第1ユーザにより指定された一組のデザインオブジェクト変数及び前記デザインオブジェクト表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内においてのみ選択することによって、前記デザインオブジェクト表現を操作するステップと、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、を備える。
【0041】
本発明の更に別の態様によれば、オブジェクトデザイン表現の変更用のグラフィックユニットインタフェース(GUI)が提供され、該GUIは前記オブジェクトデザイン表現を表示する表示窓及び前記デザイン表現と関連する複数の異なる変数のユーザ変更を可能にする制御パネルを備え、各異なる変数は関連するユーザ操作可能なグラフィック装置を有し、その操作により前記表示されるデザイン表現をリアルタイムに変化させてデザイン表現に及ぼす前記デザイン変数の値の変化の影響を示すことができる。
【0042】
各グラフィック装置は前記デザイン変数の変化範囲を設定するためにユーザ調整機能を有する。前記GUIは、ユーザが前記選択されたデザイン変数の値をロックすることができるように構成することができる。前記GUIは、前記制御パネルを用いて、ユーザ操作を実行できるデザイン全体の一部分を構成する前記デザイン表現の点をユーザが選択できるように構成することができる。前記GUIは、複数の部分を選択でき、それらの部分の少なくともいくつかを更なる変化からユーザがロックすることができるように構成することができる。前記制御パネルは、摺動可能範囲の極値を固定する機能を備えるスライダ制御部を備えるものとすることができる。また、前記制御パネルはレーダグラフィック装置を備えるものとすることもでき、この場合には選択された角度の変化によりデザイン変数の変化が決まる。デザインの所定の部分をロックする機能は、オリジナルデザイナーがオブジェクトの機能を維持するとともにオブジェクトの美観を維持することを可能にする。従って、その機能を発揮するために不可欠のオブジェクトの特徴は共同デザイナーにより変更されないようにすることが極めて有利である。同様に、オリジナルデザイナーは独特のデザイン特徴を保つためにオブジェクトの美的外観を変更できる程度を規制することもできる。
【0043】
製品の色又は材料のみならず製品の形に対する大きな選択の自由に対する顧客の要求は(顧客が共同デザイナーとしての役割を果たすことによって)有利に受け入れられる。デザイナー及びブランドは、デザインの所定の特徴をロックする又は他の部分の変更量を制限すると同時に共同デザイナーにデザインの本質的でない特徴を個人的な好み合わせて変更することを許容することによって自身のデザインを支配し維持することができる。
【0044】
この種の共同制作は当業界において現在入手可能な既知のツールに対して異なるツールを必要とし、本発明は、一つの態様では、これらの機能的に新しいツールを提供する。
【0045】
本発明の別の態様は、調整時にデザインの特定の要素に変化を加えるグラフィックユーザインタフェースコントロール部、例えばスライダ、に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、従来よりも遥かに低い計算オーバヘッドで効率的に3次元グラフィックイメージを操作するメカニズムを提供する。これは、関心領域(即ち指定された頂点(隣接しても隣接しなくてもよい)のグループ)にタギングし、その後変換処理をオブジェクト全体ではなくタギングしたグループのみに適用することによって達成される。
【0047】
3Dオブジェクト表現が完成したら、それを工業用プリントプロセスに送り、CAD表現の仕様に従って現実の3Dオブジェクトを生成(プリント)することができる。このプリントプロセスはレーザ焼結プロセスであり、オブジェクト表現のオブジェクトを一層ずつ連続的に積層し、それらの層をハイパワーレーザで溶融して実際のオブジェクを生成する。次にこれを共同デザイナーに送付することができる。この方法の重要な利点は以前のプロトタイプと関連する高いコストを掛けずに少量のユニークなオブジェクトを生成できる点にある。
【0048】
オリジナルデザイナーによる可能な変更は多数あり、オブジェクトの外観の変更、例えばねじれ、曲げ、伸縮又はオブジェクト表面の変更を含むことができる。デザインに満足したら、オリジナルデザイナーは製品デザインを共同デザイナーにアクセス可能なリモートサーバに掲示する。その後、共同デザイナーはサーバによりホストされたラピッドマニュファクチャリングウェブサイト(例えばUCODO.com)をナビゲートすることによって、インターネットブラウザアプリケーションを介して設計オブジェクトにアクセスし、変更を加えることができる。共同デザイナーはオリジナルデザイナーにより指定された創造の自由範囲内でデザインを自由に変更できる。
【0049】
その後、共同デザイナー(顧客)は、
1. これらの製品を3D環境でオンライン観察し、
2. 製品に変更(形、表面仕上げ及び色など)を加え、
3. 後処理技術の多数の選択を決定し、最後に
4. ユニークデザインに従って製作される各オブジェクトの一つ以上の配送をオンライン注文する
【0050】
本発明の共同設計方法は製品のデザイナー及びユーザ/顧客の伝統的な役割を大いに問題にする。本発明のシステム及び方法はプロの製品デザイナーと製品を共同生成及び共同デザインする機会をユーザに提供する。これによって、ユーザは既存のトデザインをオリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内で個人的な好みに「カスタマイズ」することができる。この工業プロセスにより製作される製品に対面すると、ユーザは、尋ねるまでもなく、希望通りの製品を購入したのか?又は交換できるのか?などの疑問に直面することは決してなく、またデザイナーはそれが自分のデザインでないか?という疑問を持つ必要もない。
【0051】
本発明によれば多量のカスタマイゼーションを実現できる。これによって、一般大衆がオンラインライブラリ又は販売店を通してプロの製品デザイナーと製品を共同生成及び共同デザインすることができる。3D環境において、製品をすべて簡単なマウス操作によってリアルタイムに変更する(例えば引き伸ばしたり、ねじったり、エンボス加工したり、組み合わせたりする)ことができる。ユーザは形を調整し、色及び材料を選択し、デザインをオンラインライブラリに保存し、配達の準備ができたら購入することができ、その注文は2週間以内とすることができる。共同デザイナーはペンなどの製品の機能を損なうことはあり得ない。同様に、共同デザイナーはティーポットのバラス又は安定性を損なうことはあり得ない。なぜなら、指定される制約が機能及び構造的完全性を維持するように少なくとも部分的に選択されるからである。
【0052】
本発明の実施例を添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態によるラピッドマニュファクチャリングシステムを示す概略ブロック図である。
【図2a】共同デザイナーのためのODOデザインファイルをセットアップする際のオリジナルデザイナーの図1のシステムとの相互作用を示す流れ図である。
【図2b】オリジナルデザイナーにより設定されたデザインファイルをCODOファイルに完成させる際の共同デザイナーの図1のシステムとの相互作用を示す流れ図である。
【図3a】図1のODOファイルの一例の主な要素を示すリストである。
【図3b】図1に示すラピッドマニュファクチャリングサーバの主な要素を示す概略ブロックズである。
【図4】図1のラピッドマニュファクチャリングシステムにより生成される、エッグホルダ(エッグカップ)のデザイン表示を示すGUIのスクリーンショットである。
【図5】メッシュの頂点としてのデザイン表示を示す図4のGUIのスクリーンショットである。
【図6】メッシュの頂点を詳細に示す図5のGUIのスクリーンショットである。
【図7】GUIを用いてデザイナーにより選択された頂点のグループを示す図6のGUIのスクリーンショットである。
【図8】図7の選択された領域に割り当てられるグループポリツールを示す図7のGUIのスクリーンショットである。
【図9】制約を設定する一組のスライダを示すとともに、選択された領域のソフト境界が下端のスライダから6番目のスライダの操作によってz方向にどのくらい減少されたかを示す図7のGUIのスクリーンショットである。
【図10a】オブジェクトの同一の指定領域にスライダ制御部の操作により影響を与える2つの異なる方法の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図10b】オブジェクトの同一の指定領域にスライダ制御部の操作により影響を与える2つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図11】スライダ制御部を詳細に示す図9のGUIのズームインスクリーンショットである。
【図12】制約がスライダ制御部を用いてオリジナルデザイナーによりどのように設定されるかを示す図9のGUIのズームインスクリーンショットである。
【図13a】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図13b】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図13c】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図14a】オブジェクトの選択された表面特徴に対する表面の再配向機能が加えられる前のオブジェクトを示す本発明の一実施例のGUIのスクリーンショットである。
【図14b】オブジェクトの選択された表面特徴に対する表面の再配向機能が加えられた後のオブジェクトを示す本発明の一実施例のGUIのスクリーンショットである。
【図15】いくつかの異なるスライダ制御部を固定の制約にし、他のスライダ制御部を可変の制約にする方法を示す図14aのGUIのズームインビューである。
【図16】制約されないオブジェクトはスライダ制御部を用いて共同制デザイナーによりオブジェクトの機能をゆがめるように操作され得ることを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図17a】オブジェクトの制約の操作のためにレーダ制御部を使用する本発明の他の実施例によるGUIのスクリーンショットである。
【図17b】オブジェクトの制約の操作のためにレーダ制御部を使用する本発明の他の実施例によるGUIのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本実施例はラピッドマニュファクチャリング及びレーザ焼結技術の存在により可能となる。本プロセスは本質的には2つの段階があり、第1の段階は所望のオブジェクトの3Dデザインの生成であり、第2の段階はオブジェクトを製作し消費者に提供するためにそのデザインを使用することにある。第1の段階はオリジナルデザイナーによる生のデザインデータからの制約付きデザインの生成及びその後の共同デザイナーによる最終デザインの生成を含む。第2の段階は、粉末状の種々のプラスティック、金属又は複合金属を用いる層ベース造形による最終デザインのプリントプロセスである。このタイプのすべての造形システムは、コンピュータ制御下で層の製作を実行するためにコンピュータCADシステムとレーザ焼結マシン(又は3Dプリンタ)の組み合わせを備える。
【0055】
本発明の一実施例はウェブベースサービスを提供するラピッドマニュファクチャリングシステムとして実施される。図1につき説明すると、ラピッドマニュファクチャリングシステム1はサービスのオペレーションを制御するラピッドマニュファクチャリングサーバ2(又はプラットフォーム)を備える。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は、3Dオブジェクトデザインファイル及びそれらの制約ファイルのライブラリを格納するデータベース4及びレーザ焼結3Dプリント6に結合される。更に、サービスをインターネット8経由でユーザに利用可能にするために、造形サーバ2にウェブサーバも設けられる。
【0056】
好適実施例では、オリジナルデザイナー及び共同デザイナーの両者はラピッドマニュファクチャリングサーバ2から遠く離れて位置する2つの異なるユーザ端末から本システムと相互作用する。ユーザ端末はローカル処理機能を有する通常のコンピュータとすることができる。また、ユーザ端末はこれらのファイルを観察し編集する機能を有する任意のコンピュータ装置とすることができる。例えば、共同デザイナー端末はインターネットブラウザ機能を有する携帯電話、テーブルコンピュータ又は携帯情報端末(PDA)とすることができる。好適実施例の確実な説明においては、端末はコンピュータとみなせる。
【0057】
図1に示されるように、オリジナルデザイナーコンピュータ10も、共同デザイナーコンピュータ12も、インターネット8又は他の通信手段を経由してラピッドマニュファクチャリングサーバ2に接続される。オリジナルデザイナーコンピュータ12は、通常のCADアプリケーションを用いて生成されたオリジナル生CADデータファイルのデータストア13を有する。現在市販されているCADアプリケーションの2〜3の例をあげると、例えばAutoCAD(登録商標)又はAutodesk 3rd Max(旧3D Studio max) (登録商標)がある。
【0058】
システム1の各ユーザはユーザ端末で実行されるローカルプログラムの使用により種々の方法でシステム1と相互作用する。本実施例では、オリジナルデザイナーコンピュータ10はオリジナルCADデザインに対する一組の制約を生成するためのオリジナルデザインオブジェクト(ODO)アプリケーション14もダウンロードしており、共同デザイナーコンピュータは、共同デザイナーコンピュータ12のウェブブラウザ(図示せず)が任意の3D CADファイルを読み込み、そのCADファイルにオリジナルデザイナーの端末からオリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内で操作及び/又は変更を行うことを可能にするために設けられた共同デザイナーオブジェクト(CODO)ブラウザプラグイン15を有する。制約はODOデータファイル16に格納され、オリジナルCAD生データファイル17と一緒にラピッドマニュファクチャリングサーバ2に送られ、データベース4内の制約付きデザインライブラリに格納される。従って、使用時に、オリジナルデザイナーは自分の端末/コンピュータ経由でODOファイル16を生成可能にするアプリケーション14を得る必要がある。例えば、このようなアプリケーション(この目的のためにODOアプリケーションプログラム14と呼ぶこともできる)はラピッドマニュファクチャリングサーバ2からオリジナルデザイナーのコンピュータ10にダウンロードすることができる。ODOアプリケーションプログラム14はその入力としてオリジナルCADデザインを保持する生データCADファイル17を取得し、オリジナルデザイナーがCADオブジェクトに制約を加えることを可能にする。このプロセスは後に詳細に説明される。
【0059】
同様に、共同デザイナーコンピュータ12は、生データ3D CADファイルの読み込みに加えて、オリジナルデザイナー生成ODOファイル16の読み込み及びアクセスを行う手段を備える必要がある。これは、ODOファイル16及び生データ3D CADファイル17を共同デザイナーのコンピュータ12にダウンロードすることによって達成することができる。好適実施例では、共同デザイナーの既存のウェブブラウザに追加の機能を与えるプラグインがダウンロードされ、ウェブブラウザを用いてODOファイル16及び生データ3D CADファイル17を読み込むことができる。プラグイン15がインストールされると、共同デザイナーのコンピュータ2のブラウザは正しいフォーマットの任意の生データ3D CADファイルを開くことができ、共同デザイナーは自分のコンピュータ12を使ってその生データ3D CADファイルをオリジナルデザイナーによりオリジナルデザイナーのコンピュータで設定された一組の制約の範囲内で操作することが可能になる。オリジナルデザイナーにより生成された制約ファイル(ODOデータファイル)及び生データCADファイルは両方とも共同デザイナーのコンピュータ12にダウンロードされ、共同デザイナー向けの最終オブジェクトデザインに適用すべき制約の最終セットを決定又は選択するために共同デザイナーにより使用される。共同デザイナーの選択はオリジナルデザイナーにより設定された全制約セット内に制限され、これはデザインの変化度を更に制限する。事実上、制約の決定において、オリジナルデザイナーは共同デザイナーに利用可能なオブジェクトデザインの自由度を決定し、共同デザイナーはデザイン作業をこれらの制約の範囲内で終了させる。このプロセスも後に詳細に説明される。
【0060】
前述したように、本発明の代替実施例はクラウドコンピューティングを利用することができ、所要のコンピュータサービスは遠隔地のラピッドマニュファクチャリングサーバ2によって提供され、あるいはまた任意の数の遠隔地のサーバによって提供される。このような実施例では、ユーザ端子10及び12は事実上最小の処理能力を有するダム端末であり、クラウド(リモートコンピューティングリソース(図示せず))により提供される共有リソースと相互作用し、すべての処理及びコード実行はクラウドで実行される。同様に、すべての処理及びコード実行タスクはラピッドマニュファクチャリングサーバによって実行することができる。このような実施例では、オリジナルデザイナー端末10にも共同デザイナー端末12にもブラウザ及びプラグインが設けられる。このような実施例では、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2がODOアプリケーションプログラムの機能を提供する必要があり、あるいはまたクラウドがこの機能を提供する必要がある。これらの代替実施例では、GUIが各ユーザのために生成され、これらのGUIは通常のウェブブラウザウィンドウに生成することができる。
【0061】
ここで、システム1の動作を図2A及び2Bを参照して説明する。システム1の動作はシステムにアクセスするユーザのタイプに応じて異なり、以下の説明ではオリジナルデザイナーのシステム1との相互作用に続いて共同デザイナーのシステム1との相互作用について説明する。図2aはオリジナルデザイナーとのシステムの相互作用を示し、図2bは共同デザイナーとのシステムの相互作用を示す。図2a及び図2bは、オリジナルデザイナー端末10及び共同デザイナー端末12の両端末が通常のパーソナルコンピュータにより提供されるローカル処理機能でエネイブルされる実施について説明する。
【0062】
最初に図2aにつき説明すると、プロセス19はステップ20においてオリジナルデザイナーがODOアプリケーションプログラム14をダウンロードすることから始まり、このプログラムはオリジナルデザイナーがCADアプリケーションで予め生成されたデザインオブジェクトに対する制約を設定することを可能にする。ODOアプリケーションプログラム14はオフライン及びオンラインモードの動作をサポートすることができる。オフライン動作モードでは、オリジナルデザイナーはオリジナルデザイナー端末10を用いて所要のデザインオブジェクトの制約を指定し、この指定をODOアプリケーションファイル16に格納する。この指定は後にラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされる。オンライン動作モードでは、オリジナルデザイナーはオリジナルデザイナー端末を用いてラピッドマニュファクチャリングサーバと直接通信してデザインオブジェクトの制約を指定する。指定された制約はそれらが選択されると同時にラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされる。この説明のために、オンライン動作モードで指定されたこれらの制約はODOファイル16と同等であるとみなせる。
【0063】
オリジナルデザイナーは任意の所望のCADパッケージで生3Dデザインを生成することができる。前述したように、市販のCADアプリケーションの例には、AutoCAD(登録商標)又はAutodesk 3ds Max(登録商標)がある。オリジナルデザイナーは次にCADアプリケーションからの形状をSTLファイル(他のフォーマットも可能)としてエクスポートし、このファイルは図1に示すようにローカルデータストア4に生データCADファイル17として格納することができる。当業者は、STLファイルは3次元オブジェクトの表面形状のみを記述し、色、テクスチャ又は他の一般的なCADモデル属性の表現は記述しないことを認識されよう。
【0064】
次にオリジナルデザイナーはステップ21においてSTLファイルに具体化された生3DモデルデザインをCADアプリケーションプログラム14にインポートする。図4〜図8は好適実施例におけるODOアプリケーションプログラム14のGUI表示の例である。上記の図は後に更に詳細に説明される。
【0065】
オリジナルデザイナーにはODOアプリケーションプログラム14内に生3Dオブジェクトモデル内の関心がある頂点の選択を可能にするツールが与えられる。当業者は、生3Dモデルは実際には所望のオブジェクトの3Dポリゴンメッシュモデルであることを認識されよう。例えば、通常3角形状のポリゴンのメッシュが使用され、この場合には各3角形は3つの異なる頂点と関連し、これらの頂点を操作及び/又は変更することができる。ステップ23において、オリジナルデザイナーは所望の頂点を選択する。選択された頂点はステップ25においてタギングプロセス(後に詳述する)によってグループ化される。グループが決定されると、ステップ27において、オリジナルデザイナーがグループ化された頂点の制約を設定するために使用できる他の変更ツールがGUIにより与えられる。タギング機能は、共同デザイナーが操作及び/又は変更することができる3Dオブジェクトのトポロジー領域を定義する。ここで、オリジナルデザイナーは共同デザイナーに許可する操作及び/又は変更の種類を、共同デザイナーが加えることができる指定された操作及び/又は変更の量の定量化に加えて、定義する。
【0066】
3Dオブジェクトの頂点は選択されたグループ内又は外のいずれかにおいて定義される。この段階で3Dオブジェクトに対して行われる任意の変更は選択されたグループ内の頂点のみに影響を及ぼす。しかし、フォールオフ(減衰)ツールを用いて「フォールオフ」を定義することによって3Dオブジェクトのトポロジー領域を定義する追加の方法がある。この方法では、頂点が指定されたグループ内に入る場合にのみ変更により影響される代わりに、フォールオフを定義することによって頂点はそれらに与えられる重みに正確に比例して影響されるようにできる。フォールオフは指定された頂点に対する操作及び/又は変更に応答して指定された頂点に隣接する頂点が操作及び/又は変更される量又は割合を定義する。フォールオフを定義する目的はデザインオブジェクトの美的魅力を維持するのに役立つ。例えば、定義されたフォールオフは共同デザイナーにとっても有益である。例えば、共同デザイナーは選択された頂点を操作することができ、そのとき隣接する頂点が選択された頂点の操作に比例して自動的に操作されるので、共同デザイナーは隣接頂点を個別に操作する必要がない。フォールオフはステップ26において定義される。
【0067】
例えば、フォールオフは3Dオブジェクト空間内に位置する3次元分布(例えばガウス分布)に関連させ、その領域内の頂点に与える変更の影響量はオブジェクト空間内の頂点の座標における分布値により決定することができる。
【0068】
図9はフォールオフの好適例である。丸で囲まれた領域93はフォールオフが定義された領域に関する。頂点の分布強度は徐々に減衰する陰影で描写されている。図示の例では、ハイライト頂点90は変更のために選択されたものであり、更にフォールオフが隣接する頂点92に与えられており、これらの隣接頂点も、共同デザイナーがハイライト頂点90の操作及び/又は変更を決定する場合に、与えられたフォールオフにより決定される量だけ変更される。例えば、図10a及び図10bはともに、共同デザイナーがハイライト頂点90をどのように操作及び/又は変更することができるかを例示する。ハイライト領域90の操作に応答して隣接頂点が操作される割合又は量は与えられるフォールオフにより定義される。
【0069】
フォールオフツールの使用はオプションであり、フォールオフを持つ又は持たない領域が完全に決定されたら、ステップ27においてその領域に変更ツールを与えることができる。変更ツールはいくつかの異なる特徴を有し、変更ツールのいくつかの異なるタイプの例は簡単に要約すると以下のとおりである。
【0070】
ダイナミックスキンツール29は別の3D形状を選択されたグループ内の各頂点にインポートし、添付又は結合することを可能にする。これはテクスチャ化されたスキン効果を生成する。インポートされる表面形状は任意の所要の角度に向けること及び適切なサイズにスケーリングすることができる。
【0071】
アセンブリツール35はオリジナルデザイナーが個々の頂点を選択し、該当領域に結合し得る組立形状の多数のオプションを指定することを可能にする。例えば、コーヒーカップ形状は、共同デザイナーが特定の頂点にアクセスし結合し得る多数の取っ手のオプションを有する。
【0072】
グループポリツール33では、フォールオフを有する領域が変更される。この変更は領域自体の形状にある。この変更は頂点(x,y,z)の位置、これらの頂点(x,y,z)の相対的回転及びそれらの相対的離間量を含むことができ、これは一般にスケーリングとして知られている。
【0073】
ソフトポリツール31は少数の頂点を通常3Dオブジェクトの様々な部分において選択するのみである点を除いてグループポリツール33に極めて類似する。その他の点ではそれらの操作はグループポリツール33と同様である。
【0074】
オリジナルデザイナーは、GUIウィンドウ内のメニューから、製作すべき3Dオブジェクトに許可する色及び後処理技術(艶出し、艶無し、染色)を選択することもできる。これは共同デザイナーが最終選択を行う際に共同デザイナーに利用可能にされる副選択を生成する(この選択については後に詳述する)。
【0075】
上述したように、オリジナルデザイナーはオブジェクトの表面を定義する頂点のグループを選択することによって領域を生成する。各領域は多数の方法で、定義された量だけ、共同デザイナーが操作することができる。従って、オリジナルデザイナーの仕事はリストから変更ツール(ダイナミックスキン29、ソフトポリ31、グループポリ33及びアセンブリ35)を選択し、共同デザイナーに変更が許されるデザインの選択された領域に対して正確な限界及び自由度を定義することにある。このプロセスが一つの領域に対して完了すると、別の領域を選択し、該領域に異なる制約を加えてデザインの該当部分に対して異なる可変性を生成することができる。オリジナルデザイナーが定義し得る領域の数に制限はない。従って、ステップ23及び25はオリジナルデザイナーが希望する多数の領域に対して定義することができる。後に示されるように、オリジナルデザイナーはODOアプリケーションプログラム14内で許容された変更を生の3Dに与える効果を視覚化するオプションを有する。好適実施例では、変更はGUI内でリアルタイムに表示され、オリジナルデザイナーは現在の制約を現在のデザインに与える影響を見ることができる。ステップ37において、オリジナルデザイナーは指定された頂点領域に適用可能な制約を定義する。
【0076】
オリジナルデザイナーが制約を定義し終わると、ステップ41においてODOファイル16(図1に示す)という制約ファイルを保存する。ODOファイル16はオリジナルデザイナーにより選択されたすべての制約を完全に定義する。このファイルはオリジナルデザイナーにより共同デザイナーに利用可能にされた色及び後処理技術も含む。
【0077】
オリジナルデザイナーのプロセスは、オブジェクトデザインの形状(STLファイル)及び制約(ODOファイル16)がステップ43においてラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされるとき、完了する。ODOファイル16(即ち制約ファイル)はオリジナル生データCADファイル(STLファイル)と一緒に、共同デザイナーがデザインオブジェクトをどのように変更できるかのパラメータを完全に定義する。オリジナルデザイナーは今や「オープンデザインプロダクツ」を生成し、共同デザイナーはこれを操作して共同デザイナーのための最終パーソナルデザインオブジェクトを生成することができる。
【0078】
図2bを参照すると、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2との共同デザイナーの相互作用が好適実施例に対して説明され、本例では共同デザイナー端末はローカル処理機能を有する通常のコンピュータである。このプロセスは、ステップ50において、オリジナルデザイナー指定のデザインオブジェクトの開放部分をブラウザアプリケーションプログラム内で観察し、操作し、及び/又は変更することを共同デザイナー端末に可能にするプラグイン(図1に示すCODOプラグイン15)を共同デザイナーがダウンロードすることによって開始される。このプラグインはAdobe Flash(登録商標)及びMicrosoft Silverlight(登録商標)等に極めて類似し、一度インストールすれば、ブラウザはこのプラグインが正しいファイルフォーマットに遭遇するときいつでもこのプラグインを利用する。
【0079】
ステップ52において、共同デザイナーは、中央データベース4に格納され、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2を介してアクセスし得る、一以上の異なるオリジナルデザイナーにより生成された設定済みのデザインのオンラインライブラリから、製品と関連するオブジェクトデザインをサーチする。ステップ52において、共同デザイナーは所望のデザインオブジェクトを選択する。その選択時に、選択されたオブジェクトデザインと関連するSTLファイル及び対応するODOファイル16(制約ファイル)の両方が共同デザイナーのコンピュータ12にストリーミングされ、RAMに一時的に格納される。
【0080】
ステップ56において、共同デザイナーは、デザインの種々のオブジェクト変数を変化させるために、オリジナルデザイナーの選択制約により利用可能にされる操作ツール(GUI内にアイコンとして提示される)を用いる。図11〜図17は本発明の実施例による共同デザイナーGUIの例を示す。図示の実施例では、操作ツールは簡単なスライダ(図11〜図17b参照)として与えられ、各スライダは異なるオブジェクトデザイン変数の一つに関連し、変化させることができる。この簡単で使いやすい変数の変化結果は表示されている3Dデザインオブジェクトの形状表現の操作及び/又は変更として共同デザイナーに観察可能である。操作及び/又は変更は全デザインオブジェクト表現の(即ちオリジナルデザイナーにより)予め定義されたサブセット(即ちタギングされた頂点)に与えられるために、このリアルタイム観察機能のみが可能になる。
【0081】
共同デザイナーが所望の色及び後処理技術を選択し、ODOファイル16により規定される制約の範囲内でデザインオブジェクトのトポロジーを操作及び/又は変更すると、共同デザイナーの選択はステップ58において保存される。この時点において、CODOファイル18(最終カスタマイズファイル)が共同デザイナー選択のすべての変更と一緒に生成される。このファイルはステップ60においてラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされ、一時的なタイムスタンプ名が付与される。CODOファイル18のヘッダが読み取られ、共同デザインオブジェクトの境界ボックスボリュームが決定される。これは、共同デザイナーに対して、操作及び/又は変更されたデザインオブジェクトに従ってその後造形される製品の最終価額を決定し表示するためのルックアップテーブル(図示せず)内の変数として使用することができる。
【0082】
支払い(paypalなどの従来のウェブサービス支払チャネルで行うことができる)の受領時に、CODOファイル18はラピッドマニュファクチャリングサーバ2に送られる。このCODOファイルは、サーバ2により生成される共同デザイナーの購入を一意に識別する18桁の番号と一緒に格納される。当業者は、CODOファイル18はオリジナルデザイナーが指定した利用可能な制約内から共同デザイナーが選択した操作及び/又は変更(共同デザイナーにより選択されたトポロジー変更に加えて、色及びテクスチャを含む)を完全に記述することを理解されよう。この18桁の番号は3Dタグ(衣服タグに類似)に変換し、新しい共同デザイン3Dオブジェクトモデルに従って造形されるオブジェクトの物理的形状に添付することができる。換言すれば、18桁の番号は共同デザイナーにより操作及び/又は変更された3D CADデザインオブジェクトに従って造形される物理的オブジェクトに組み込まれる。18桁の番号は、物理的製品が3Dプリンタから出現するときその物理的製品を識別する手段として役立つ。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2はCODOファイル18を取り出し、それをオリジナルSTLファイル(即ち、生データオブジェクトモジュール、一般に3D CADファイルとも呼ばれる)と関連付け、共同デザイナーにより選択された操作及び/又は変更及び3Dタグを一つのコヒーレントSTLファイルに組み入れた新しい変更STLファイルを生成する。
【0083】
異なる実施例では、3Dプリンタはラピッドマニュファクチャリングサーバに所属させないで、ウェブベースのプリントサービス(印刷事務所)の一部としてサードパーティにより提供される。このような実施例では、3Dタグが添付された変更されたSTLファイルはディレクトリに置かれ、それを3D印刷事務所が見ることができる。そのとき、印刷事務所はそのウェブポータルを経由してこの新しい形状をダウンロードし、3Dプリンタに送る。印刷事務所は共同デザイナーの発送アドレスも有し、その発送アドレスを印刷し宅配サービスにより配達される包みに添付することができる。
【0084】
オリジナルデザイナーがアップロードされた生データ3Dデザインオブジェクトファイルから制約付きデザインオブジェクトを生成するプロセス、共同デザイナーが3Dオブジェクトデザインの開放部分を選択し操作及び/又は変更して最終デザインオブジェクトファイルを生成するプロセス、及び共同デザイナーにより選択されたデザインに従う物理的オブジェクトの汎用印刷について説明したが、3Dデザインオブジェクトの最終デザインの製作に関する更なる詳細を以下に説明する。
【0085】
共同デザイナー選択による最終デザインファイル(即ち、CODOファイル18)とオリジナルSTLファイルを一緒にすると、事実上共同デザイナーにより操作及び/又は変更されたオブジェクトの3D CAD表現(最終カスタマイズデザイン)になることは当業者に理解されよう。前述したように、STLファイル及びCODOファイル18は更新されたSTLファイルを生成するために融合され、これは3Dプリンタにより実行することができる。好適実施例では、3Dプリンタはレーザ焼結プロセスを使用し、最終STLファイルは3Dレーザ焼結プリンタ用に適応させる必要がある。この適応化は変更及び/又は操作された3D CAD表現を所定の厚さ(典型的には0.1〜0.25mm)の断面層にスライス化する必要がある。2次元(2D)断面プロフィールは三角メッシュ(モザイク)形式でSTLファイルに格納される。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は次にこの適応化されたSTLデータを3Dプリンタ6により実行可能なマシンデータに変換することができる。或いは又、適応化プロセスは印刷前に3Dプリンタ自身で直接実行することもできる。レーザ焼結プリンタ6が特定の造形プロセスを用いてデザインオブジェクトの各層を連続的に印刷できるために2D断面層が必要となる。
【0086】
このプロセスがスライス化された3Dオブジェクト表現の各々に対して繰り返され、デザインオブジェクトの印刷が層ごとに行われる。焼結マシン内のレーザが加熱及び溶融によって粉末材料の新しい隣接層を一緒に溶解し、数時間に亘ってソリッドオブジェクト(又は一群のオブジェクト)を徐々に「成長」する。オブジェクトは、取り出し後に、余分の表面粒子を除去するためにブラスト処理され、清浄化され、顧客の仕様に従って後処理される。
【0087】
本発明のデザインプロセスの主題とし得るオブジェクトには、非限定的な例として、ホームウェア、宝飾品、電子機器、ギフトウェア及びパーソナルウェアがある。
【0088】
その後、完成したオブジェクトは郵便などの通常の手段で共同デザイナーに送ることができる。
【0089】
図3aはODOファイル16の一例を提供し、制約ファイルに含めることができる情報のタイプを説明するのに役立つ。ここでは、体積、色及び表面の特徴がウェブヘッダ(WEBGEADER)セクション70に記入され、3D CAD生データファイル72(制約が与えられるSTLファイル)がヘッダ(HEADER)セクション内に特定され、頂点のグループの各々(頂点リスト0、頂点リスト1、頂点リスト2)が頂点グループ(VERTEX GUROUP)セクション74に指定され、ツールによって定義される与えるべき変更制約の各々が変更制約(MODIFIER CONSTRAINTS)セクション76に指定されることが分かる。この後者のセクションにおいて、2つの異なるツールが3つの頂点グループに適用され、即ちダイナミックスキン(DYNAMICSKIN)がグループ0に、ソフトポリ(SOFTPOLY)がグループ1及び2に適用されている。各ツール内の各パラメータに与えられた特定の値も提供される。変更制約(MODIFIER CONSTRAINTS)はオリジナルデザイナーが指定した変更及び/又は操作のタイプを定義し、従って共同デザイナーが選択し得る操作及び/又は変更のタイプを定義する。例えば、共同デザイナーはダイナミックスキン29及びソフトポリ31の一つ以上を生3Dオブジェクトモデルの定義された頂点グループに与えることができる。更に、オリジナルデザイナーは適用可能な変更及び/又は操作の各々の極値を設定しておく。極値は共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトに与えることができる指定された各ツールの量を定義する。換言すれば、共同デザイナーは一つ以上の指定されたツールをオリジナルデザイナー指定の極値内の量だけ自由に与えることができる。
【0090】
図3bは本発明の一実施例によるラピッドマニュファクチャリングサーバ2の概略図である。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は所要の機能を提供するいくつかのモジュールからなる。このサーバには少なくとも2つの主な機能、(1)オリジナルデザイナーとの相互作用により制約付きデータファイル(即ち、ODOファイル16)を生成する機能及び(2)共同デザイナーとの相互作用により最終カスタマイズデザインファイル(即ちCODOファイル18)を生成する機能がある。この機能はオリジナルデザイナー/共同デザイナー相互作用制御モジュール80により提供される。
【0091】
プリント制御モジュール82は3Dプリンタ6と通信するインタフェースを提供し、更新されたSTLファイルの生成を制御する。前述したように、これは3Dオブジェクトデータの変更されたトポロジーをいくつかの2D断面層として表現し、これらの2D断面層表現はその後上述した3Dプリンタ6が積層プロセスを用いて対応する物理的オブジェクトを造形するために使用される。データベース相互作用ファイルマネジメントモジュール84は3Dデザインオブジェクトデータベース4内の生3D CADデータファイル17、ODOファイル16及びCODOファイル18を制御する。このモジュールは、共同デザイナーが変更及び/又は操作のために3Dオブジェクトデザインを選択するのに必要なライブラリ機能も提供する。
【0092】
更に4つのオプショナルモジュール、即ち頂点選択及びタギングツール86、変更ツール88、フォールオフ設定ツール90及びオリジナルデザイナー/共同デザイナー特徴設定モジュール92が示されている。これらのモジュールは先に説明したODOアプリケーションプログラム14及びCODOプラグイン15の機能を提供する。具体的には、これらのオプショナルモジュールは、ODOアプリケーションプログラム14がオリジナルデザイナー端末10に局部的に記憶されておらず且つ又オリジナルデザイナー及び共同デザイナーのラピッドマニュファクチャリングサーバ2とのすべての相互作用が上述したプラグイン15によりブラウザ経由で行われる実施例に設けられる。このような実施例では、ODOアプリケーション14の機能はラピッドマニュファクチャリングサーバ2により提供される。
【0093】
当業者は、オリジナルデザイナー端末がアクセス可能なローカルODOアプリケーション処理モジュールを備える代替実施例では、上述したオプショナルモジュール、即ち頂点選択及びタギングツール86、変更ツール88、フォールオフツール90及びオリジナルデザイナー/共同デザイナー特徴設定モジュール92は必ずしもラピッドマニュファクチャリングサーバ2に設ける必要はないことを理解されよう。
【0094】
共同デザイナーが生3DデザインオブジェクトをODOファイル16に指定されたオリジナルデザイナーの制約に従って変更及び/又は操作することできるようにするために、CODOプラグイン15が変更ツール88及び特徴設定モジュール92により提供される機能のサブセットを提供する。
【0095】
タギング
図4は本実施例によるODOアプリケーションGUI100の一例を示す。ODOアプリケーション14は、共同デザイナーが後でCODOプラグイン15により加えることができる所要の3Dオブジェクトデザイン操作及び/又は変更を指定する所要の機能をオリジナルデザイナーに与える。例えば、図示のGUI100は「Modifier」101というタイトル名のドロップダウンファイルメニュータブを備え、このタブは上述した変更ツールを提供する。デザイナーは3D形状102(生デザインファイル17)をODOアプリケーション14にインポートする。前述したように、ODOアプリケーション14はオリジナルデザイナー端末10でローカルに実行することができる。また、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2でローカルに実行することもでき、この場合にはオリジナルデザイナーはリモート実行されるアプリケーションと、例えば適切なODOプラグイン(図示せず)を備えるウェブブラウザを用いて、相互作用する。開示の目的のために、2つの上述した実施例の第1の例を以下に説明する。
【0096】
ODOアプリケーションGUI100を使用することによって、オリジナルデザイナーは3Dデザインオブジェクト形状102をインポートし、規定のオブジェクト操作及び/又は変更制約を指定し保存することができる。インポートされた3Dデザインオブジェクトは頂点がハイライト表示されたワイヤフレームとして、或いは簡単にソリッドオブジェクトとして表示することができる。「View」メニュータブ103は、オリジナルデザイナーに所望の3Dデザインオブジェクトのビュータイプを選択することを可能にする。
【0097】
オリジナルデザイナーは「Modifier」タブ101からソフトポリ31、グループポリ33、ダイナミックスキン29及びアセンブリ35などの現在利用可能な変更ツールのすべてにアクセスし得る。上述した変更ツールは例示にすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、任意の3Dオブジェクトデザイン変更ツールをODOアプリケーション14に組み込むことができ、このような代替例も考えられ、本発明の範囲に含まれることが理解されよう。
【0098】
デザイン制約を指定する前に、オリジナルデザイナーは、共同デザイナーに与える3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更を視覚化することができる。例えば、オリジナルデザイナーは、共同デザイナーが規定の制約内でなし得る指定の操作及び/又は変更の異なる組み合わせのすべてについて手動的な視覚的確認を行うことができる。また、もっと高度な実施例では、ODOアプリケーション14内にシミュレーションツールモジュール(図示せず)を付加し、共同デザイナーが指定の制約範囲内で選択できる3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更のすべての可能な組み合わせをオリジナルデザイナーに見せることができる。同様に、シミュレーションモジュールは許容可能な3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更の選択のみをシミュレーションし、ODOアプリケーションGUI100に視覚的に表示することができる。例えば、シミュレーションモジュールは定義された制約範囲内における3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更のランダムな選択を示すことができる。このシミュレーションモジュールは共同デザイナーの許容可能な操作の設定範囲がデータに与える影響をオリジナルデザイナーが実感するのに極めて役立つ。
【0099】
オリジナルデザイナーが3Dオブジェクトのどの操作及び/又は変更を共同デザイナーに許可するかを決定すると、3Dオブジェクトの形状にタギングがなされる。タギングは、共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトをどのように操作及び/又は変更できるかを定義する。
【0100】
タギングは3Dデザインオブジェクトを定義する3Dポリゴン表面メッシュの頂点を選択する。選択された頂点は次にグループ化され、命名される。好適実施例では、頂点の選択はデザイナーが単に左マウスボタンを保持したまま所望の頂点までドラッグすることによって達成することができる。このようにして選択された頂点はこのときGUI内でカラーハイライト表示することができる。選択された頂点はこのときその後の参照容易のために命名することができる。例えば、選択された頂点にはコントロールキーを押したまま0−9の任意の数字を選択することによって番号をつけることができる。他の命名法も想定され、異なる選択された頂点グループが識別できれば、使用する実際の方法も本発明に含まれる。
【0101】
図5は、図4の3DデザインオブジェクトをODOアプリケーションGUI100内に表示できる別の方法を示す。3Dデザインオブジェクトは図4の3Dオブジェクトの3Dポリゴン表面メッシュ106として表示される。3Dポリゴン表面メッシュは3Dオブジェクトの表面を定義する。この3Dデザインオブジェクトの視覚表示においては頂点を容易に識別できるので、頂点を選択/タギング及びグループ化するとき、3Dポリゴン表面メッシュビューが好ましい。
【0102】
図6は図5のデザインオブジェクトの3Dポリゴン表面メッシュ108の拡大ビューである。この表面メッシュは頂点と称する角を有する3角形からなる。丸で囲まれた領域110は上述したポリゴン及び頂点の例を示す。これらの頂点を上述したように選択しタギングすることができる。
【0103】
図7はオリジナルデザイナーにより選択された頂点のグループ112を示し、図解のために陰影が付けられている。これらの頂点はグループ化され、領域として認識される。各領域のグループ化はタギングがなされる頂点を定義する。
【0104】
各領域は指定のツールを有し、該ツールは共同デザイナーがオブジェクトの該当領域とどのように相互作用できるかを定義する。
【0105】
好適実施例では、グループの頂点のタギングにより生成されるODOデータファイルの構造はそれらに与えられる変更ツールを有し、次の通りである。
【0106】
HEADER
{
Source MODEL NAME
}
VERTEXGROUPS
{
VertexList 0 - Vertex ids
}
MODIFIERCONSTRAINTS
{
MOIFIER NAME
Group NAME
MODIFIER DETAILS
}
【0107】
図3aはODOファイルの実際の一例を示し、先に説明されている。
【0108】
図8は陰影領域115に割り当てられた「グループポリ」ツールの一例を示す。グループポリツール33は「Modifier」タブメニュー101から選択される。
【0109】
グループポリ33が「Modifier」メニュー101から選択され、選択された領域に与えられると、変更ツール117がグループポリツール33の操作を可能にするいくつかのスライダの形で現れる。これらのスライダ117aは図9のGUIの左側に示される。各スライダ117aは選択された変更ツール(本例ではグループポリツール33)と関連する異なる変数に対応する。スライダ117aの変化は、グループポリツール33が3Dデザインオブジェクトの選択された領域にどのように与えられるかを操作及び/又は変更することをユーザに可能にする。換言すれば、これらのスライダ117の変化によって、ユーザは選択された変更ツール117が3Dデザインオブジェクトの選択された領域にどのように与えられるかを変更及び制御することができる。各スライダ117aは異なるタイプのグループポリツール33の操作と関連し、従って選択された領域を異なる方法で変更する。同様に、各異なる選択可能な変更ツール117は選択時にスライダ117aの同様のセットを提示する。
【0110】
各異なるスライダは選択された変更ツールを異なる方法で操作及び/又は変更することを可能にする。例えば、グループポリ変更ツールが選択される図9につき説明すると、最上部の3つの「移動」スライダ119のどれかを選択すると、選択された領域の頂点の位置をx軸、y軸及び/又はz軸のどれかに沿って移動させることができる。次の3つの「スケーリング」スライダ121のどれかを選択すると、選択された領域内の頂点の座標のスケールをx軸、y軸及び/又はz軸に沿って変更及び/又は操作することができる。次の3つの「回転」スライダ123のどれかを選択すると、選択された領域内の頂点をx軸、y軸及び/又はz軸に沿って回転させることができる。次のスライダ125の選択は3Dデザインオブジェクトの選択領域を膨張させることができる。下部の6つのスライダ127のどれかを選択すると、選択された変更ツールで影響される3Dデザインオブジェクトの拡張部分を定義することができる。漸減陰影領域92はこれを示す。陰影は選択された領域90から離れるにつれて漸減する。スライダ127の利点は、選択された変更ツールを選択された領域90に適用することができ、隣接する頂点は重み付けによって、適用された変更ツールの効果が離れた頂点で次第に減少するように変更される。これは、デザインオブジェクトの美観を維持するのに役立ち、ユーザ(即ちオリジナルデザイナー及び/又は共同デザイナー)は変更ツールの適用により変更及び/又は操作されるすべての頂点を選択し規定することが不要になる。例えば、下部の6つのスライダのうちのスライダ129の選択は選択された領域のソフト境界をz軸方向にどのくらい変更できるかを制御する。
【0111】
図10a及び10bは、図9に示す3Dデザインオブジェクトの同じ選択領域が、「移動」スライダ119、「スケーリング」スライダ121及び「回転」スライダ123の一つ以上の選択によってどのように異なる形で操作及び/又は変更されるかを示す。各スライダと関連する変更は選択された頂点に与えられ、スライダ127を用いると、隣接する頂点に重み関数に従う変更を与えることができる。いずれの場合にも、変更が個々の頂点に影響を与える程度は(陰影により示されるように)その点における変更ツールの強さに比例する。
【0112】
制約の設定
前述したように、ODOファイル16(制約付きデザインファイル)を生成するためには、オリジナルデザイナーは3Dデザインオブジェクトと関連するデザイン制約を定義する必要がある。換言すれば、オリジナルデザイナーはその範囲内で共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトを操作及び/又は変更し得る制約を定義する必要がある。
【0113】
オリジナルデザイナーは、どのタイプの操作及び/又は変更を共同デザイナーに使用可能にするか設定したら、適用可能なデザイン制約を定義する。明確に言えば、オリジナルデザイナーは、どの変更ツールを共同デザイナーに利用可能にするか選択したら、各変更ツールのデザイン制約を定義する。制約の設定は各指定された変更ツールと関連する各スライダが変化し得る量を選択するステップを含むことができる。好適実施例では、各スライダは左から右へ移動し得る一つのボタンの代わりに、3つのボタンを有する。
【0114】
図11はこの好適実施例の一例を示す。黄色のスライダボタン131は現在視覚化されている変更の位置を定義する。このスライダボタン131の左から右への移動はオブジェクトの形状を視覚的にリアルタイムに変更する。
【0115】
黄色のスライダボタン131の左側及び右側の橙色のスライダボタン133は共同デザイナーが自分のオブジェクトを変更し得る限界範囲を設定する。それらはデザイン制約を表す。
【0116】
図12は黄色及び橙色のスライダボタン131,133を示す。オリジナルデザイナーにより設定された制約が共同デザイナーにどのくらいの影響を与え得るかの一例が、黄色のスライダボタン131が30〜70の値の範囲内のみを移動するように制限された第1のスライダ135によって示されている。
【0117】
好適実施例では、スライダスケールは正規化され、橙色のスライダボタンは一緒に除去されるので(137)、制約の数値は共同デザイナーに示されず、共同デザイナーは必ずしも30及び70の値の間に制限されていることに気付かなくてもよい。
【0118】
図13a、13b及び13cはオリジナルデザイナーにより設定された制約内で共同デザイナーが行ったオリジナルデザイン139の種々の変更をそれぞれ示す。オブジェクト(例えばエッグカップ)の変更が制約されても、共同デザイナーにかなり大きな創造の自由が残されている。
【0119】
変更のロック
別の実施例では情報をハイライト表示する方法としてチェックボックスを使用することができる。それらのチェックボックスはツールを使用する方法を変えるために使用することができ、また所定の相互作用をロックするために使用することができる。以下の例は本発明の一実施例を示し、これは前述した実施例と同様であり、以下に相違点について説明する。
【0120】
本実施例では、図示の例は、一方向に横たわる表面特徴の方向をそれらの表面に対して垂直方向に再設定するためにチェックボックス140をどのように使用できるかの一例である。図14aはチェックボックス140が選択される前の相互作用を示し、図14bはオブジェクト表示142の選択された表面特徴の方向を再設定するためにチェックボックスをどのように使用することができるかを示す。これを達成可能とするために特定の方向再設定機能が設けられる。一般に、表面方向再設定機能は頂点の方向を読み取り、同じ方向をその頂点に添付されるオブジェクトに割り当てる。
【0121】
表面特徴の寸法も同じ方法で変更することができ、変更範囲も制約スライダを用いて通常の方法で制約することができる。本例では方向がオリジナルデザイナーにより決定され、共同デザイナーが割り当てられた方向に変更する点が相違するのみである。
【0122】
本実施例におけるチェックボックスの別の使用方法は、変更を完全にロックし、選択された変更ツールと関連する特定の変数に対する共同デザイナーの如何なる相互作用も阻止する。オリジナルデザイナーは制約を定義する代わりに該当スライダの特定の値を選択し、その位置にロックする。このとき共同デザイナーはどのようにしても特徴を変更することはできない。
【0123】
チェックボックスはどのように使用できるかの一例が図15について以下に説明される。この図から明らかなように、第1の3つのスライダ141は定義された制約を有するが、スライダ143,145及び147はチェックされたチェックボックス140をそれぞれ有する。
【0124】
制約の理由
共同デザイナーの製品変更の自由に制約を設定することには3つの理由がある。
1. オリジナルデザイナーはカスタマイズされる製品の美的魅力を自分のオリジナル版に沿って維持したいと思う。オリジナル版から形状的にかけ離れすぎると魅力のない形状になり得る。
2. オブジェクトは機能を維持する必要がある。変更が無制限である場合には、オブジェクトの形状がオブジェクトの機能及び性能に悪影響を与える形状にされる可能性が高い。
3. 3Dプリンタが読み込むファイルは極めてスペシフィックにする必要があるため、未熟な共同デザイナーによる変更に極めて敏感である。形状に対して起こり得る不良変更の問題にはポリゴンの反転、不良エッジ及びホールがある。これらの誤りは、チェックされない場合、プリントプロセス中にエラーを生じ、損傷した製品を生じる。
【0125】
図16はオブジェクトのデザイン表示に対して変更が制約されなかった場合の一例を示す。明らかなように、オブジェクトの美的外観が損なわれており、もはや(エッグカップ/エッグホルダとして)正しく機能せず、多くの頂点が反転され、不良データファイルを生じ、そのファイルは3Dプリンタで実行することはできない。
【0126】
ユーザインタフェース
オリジナルデザイナーと共同デザイナーとの連携はスライダの使用に限定されず、異なる方法で制約を設定し制約内で変更する他の実施例がある。図17a及び17bについて行われる他の実施例の以下の説明はCODOアプリケーショングラフィックユーザインタフェース150に関し、本例では変更ツール117はもはや一組のスライダ117aではなく、代わりに「レーダ」160であり、GUI150上のレーダグラフィック装置160の各セグメントの選択はオブジェクト表現を様々に変更するがオリジナルデザイナーにより制約される。
【0127】
レーダインタフェースは事実上スライダインタフェースの別の実施例である。スライダでは、スライダボタンが選択され、左右に移動されるが、レーダグラフィック装置160ではボタンは動かない。それらのボタンを選択するだけで、それらのボタンはハイライト表示され、次にデザイナーのマウスをボタンの位置から離れる方向に移動させることによってスライダの左右の移動による効果と同じ効果が達成される。これは極めて美しい制御部の実施例である。特定のレーダグラフィック装置160においては、同心円が外側の円から中心に向かって「移動」、「回転」及び「スケール」の機能を表す。
【0128】
代替実施例
本発明の代替実施例は物理的モジュールを含むことができる。物理的エンジンモジュールはラピッドマニュファクチャリングサーバ2(図1)内に存在する。生3DデザインオブジェクトCADファイルが3D生デザインデータベース4にインポートされると、物理的モジュールは3Dデザインオブジェクトを解析し、デザインオブジェクトの機能を維持するために必要な一組のデザイン変数の制約を決定する。例えば、この決定は3Dデザインオブジェクトの形状の統計的解析を含む。この解析から、物理的モジュールはオブジェクトの質量中心を決定し、それに従ってどの程度の形状変更がオブジェクトの安定性に影響を与えるかを決定することができる。この解析に基づいて、物理的モジュールは、オブジェクトがその機能を失わない程度に質量中心(従ってオブジェクトの安定性)を変更しない許容可能な変更決定することができる。この機能はデザインオブジェクトが実用目的に役立つ場合に特に重要であり、例えばカップやそのトランジスタのオブジェクトは一定の安定性を必要とし、未熟な共同デザイナーによる変更はデザインに従って造形されるオブジェクトの実際の機能を不注意に低減し得る。
【0129】
物理的モジュールは決定された形状特性がどのように作用するかをシミュレートし得る物理的エンジンに関するものとすることができる。例えば、コンピュータアニメーション開発用のほとんどのアプリケーションは、仮想のオブジェクトが様々な現実の設定においてどのように挙動するか、例えば重力場にさらされたときの質量を有するオブジェクトの挙動をシミュレートする物理的モジュールを含む。
【0130】
更に、物理的モジュールの使用は、オリジナルデザイナーによるデザイン制約の決定を著しく簡単にすることもできる。オブジェクト機能の保存に関するデザイン制約は物理的モジュールにより処理される。オリジナルデザイナーはデザインの美的魅力を保存する制約を考えるだけでよい。
【0131】
オリジナルデザイナー指定の操作及び/又は変更がデザインに従って造形される製品の静的及び動的平衡に与える影響をシミュレートするために有限要素解析(FEA)を使用することもできる。FEAを実行するには物理的モジュール(図示せず)内で既知のアルゴリズムを使用することができる。
【0132】
さらに他の代替実施例では、システム1に、オリジナルデザイナーのデザイン及び共同デザイナーの変更デザインの両方をデザインオブジェクトと関連する3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾が存在するかについて解析するモジュールを設けることもできる。完成STLファイルに何らかの論理的矛盾が存在すると、3Dプリンタによってデザイン通りの製品をプリントすることができない。従って、完成STLファイルを生成する前に3Dポリゴンメッシュに存在する論理的矛盾を識別することが重要である。事実上、これは、その後生成される完成STLに不良データを導入しSTLを最終的に使用不能にするかもしれないデザインオブジェクトの3Dポリゴンメッシュの許容可能な操作及び/又は変更を識別する一形式である。
【0133】
3Dポリゴンメッシュの論理的矛盾の例には反転ポリゴン、ホール及び不良エッジが含まれる。このような論理的矛盾の存在を識別することは多くの場合オリジナルデザイナーにとって極めて難しい。「論理的矛盾」モジュールの使用は論理的矛盾を識別するタスクを自動化し、オリジナルデザイナー及び共同デザイナーの双方のユーザエクスペリエンスを著しく向上する。
【0134】
オリジナルデザイナーがデザイン制約の選択を終了すると、ローカル矛盾モジュールは、3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾を生じるかもしれない許容可能なデザイン変更及び/又は操作を識別するために指定の制約内の許容可能な変更の選択をシミュレーションする。識別された問題となる操作及び/又は変更はオリジナルデザイナーにハイライト表示し、このような矛盾を有する共同デザイナーの変更されたデザインの危険を防止するために指定のデザイン制約を訂正する機会をデザイナーに与えることができる。同様に、論理的矛盾モジュールは、許容可能なデザイン変更の一部分のみをシミュレートするのではなく、許容可能なデザイン操作及び/又は変更のすべての組み合わせ及び順列を解析しシミュレートすることができる。この解析及びシミュレーションに続いて、3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾を生じ得る操作及び/又は変更がハイライト表示される。同様に、このモジュールは、論理的矛盾を生じ得るデザイン操作及び/又は変更を除外するためにオリジナルデザイナー指定の制約を自動的に訂正するように構成することができる。
【0135】
Magics(登録商標)はCADファイルをSTLファイル(3Dプリンタに読み込ませることができる)に変換する市販のラピッド・マニュファクチャリング・プロトタイピング・アプリケーションの一例である。 Magics(登録商標)は」本発明と関連して使用することができるが、アプリケーション14でオリジナルデザイナーが許容可能な変更のすべてを手動的にシミュレートする必要がないようにするために許容可能な変更をシミュレートする若干の更なる機能が必要とされる。
【0136】
好適実施例では、許容可能なデザイン制約のシミュレーション、識別及び訂正は論理的矛盾モジュール(図示せず)により自動化される。このモジュール自体はシステム1内のどこかに、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2内のどこかに、オリジナルデザイナー端末10の位置及び/又は共同デザイナー端末12の位置に組み込むことができる。
【0137】
本発明の特定の好適実施例について説明したが、これらの実施例は例示にすぎず、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から離れることなく多くの変形や変更をなし得ることは当業者に明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明はオブジェクトをデザインするユーザインタフェースの改良に関し、具体的には、それに限定されないが、工業的に製作されるオブジェクトを共同デザインする改良されたプロセスに関する。本発明は工業デザインを変更し、その変更をデザインされるオブジェクトの機能が保存されるように規制するための画像操作の高度な新手法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のコンピュータ支援設計ソフトウェアパッケージは2次元(2D)ベクトルベースの製図システムから3次元(3D)ソリッドモデリング及びサーフェースモデリイングシステムに及んでいる。工業オブジェクトをデザインするために既存の3Dコンピュータ支援設計(CAD)パッケージ(例えばAUTOCAD及びQCAD)が利用可能である。一般に、このようなパッケージに精通したデザイナーは特定の工業オブジェクトを多量生産用にデザインするためにこれらのパッケージを使用する。設計プロセス中に変更を加えることができ、これらの変更はCADパッケージ内で多くの場合3次元のワイヤフレームオブジェクトとして視覚化される。
【0003】
このようなパッケージは個々のデザイナーにより単独で使用され、また共同制作の場合には公平な条件で使用され、2人のデザイナーはモデル化された形状の変更及び強化のために等しいアクセス権を有する。従って、そのデザインに対して一方のデザイナーがデザインに対して他方のデザイナーより大きな規制を持つことはできない。また、この理由のために、両デザイナーがデザイン中の物品の自身の変更を表現するために既存のCADパッケージを使用できる能力は同等である。これはCADパッケージの操作知識を必要とするため、必要なCADパッケージ知識を持たない多数のデザイナーを排除することになる。
【0004】
各3D CADのオブジェクト表現はポリゴンを形成する数千の相互接続頂点(一般に3Dポリゴンメッシュと呼ばれている)で構成される。オブジェクトのデザインを変化させるためにはこれらの頂点の各々を操作しなければならない。頂点はオブジェクトの表面の形及び向き並びにオブジェクトの表面内の特徴を規定する。これらの表現を操作するのに必要とされる計算能力は、オブジェクトのすべての点に何らかの変換が適用されるので、かなり大きくなる。この大きな計算能力の要求の結果として、画像のレンダリングに多大な時間がかかり、また画像を高速にレンダリングするには高価なコンピュータハードウェアが必要とされ、著しくコストを増加する。
【発明の概要】
【0005】
工業デザイン表現を生成し操作する既存の既知の方法に関連する上述の制限の少なくとも一部分を克服することが望ましい。
【0006】
本発明の一つの態様によれば、工業デザインの表現のデザイナーが、他の共同デザイナーによる当該デザインの変更を完全な自由から制限する制約を当該デザインに加えることができる方法及びシステムが提供される。換言すれば、本発明は、2人以上の人がオブジェクトのデザイン表現を変更する場合に一人が他の人より強く規制される方法を包含する。このような場合、2種類のユーザ、即ちプロの「オリジナルデザイナー」とアマチュアの「共同デザイナー」がいる。オリジナルデザイナーはオリジナルモデルの製作者でもあり、「共同デザイナー」がデザインすることができる限界範囲を設定できる。従って、デザインの一部分はオリジナルデザイナーにより共同デザイナーに操作可能に開放される。デザインの開放されてない他の部分はロックされ、共同デザイナーにより変更され得ない。共同デザイナーは、オリジナルデザイナーにより設定された限界範囲内の「解放」として指定されたオリジナルデザインの部分を自由に操作及び/又は変更することができる。
【0007】
もっと正確に言えば、本発明の一つの態様によれば、第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成する方法が提供され、該方法は、第1ユーザの端末において、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、前記第1ユーザの端末において、前記一組の指定されたデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定するステップと、第2ユーザの端末において、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって、前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にするステップと、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、を備える。
【0008】
この方法の利点は上述したとおりである。
【0009】
この方法は、更に、前記デザイン表現の複数の点を選択し、選択した点を前記デザイン表現の機能領域としてグループ化するステップを備える。一実施例では、このグループ化はポリゴンメッシュ表現の選択した頂点にタギング(タグ付け)するプロセスによって実行される。このグループ化は、デザインの異なる領域を指定し、操作のための一組の変数をこのグループに対して設定できるために極めて有利である。このアプローチを採用すると、処理しなければならないデータ点の数がデザイン全体に比較して少なくなるので計算コストの大幅な低減が得られる。
【0010】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の非隣接点を選択し機能領域にグループ化することができる。これは、デザインの相隔たる点を共通の制約セットで制御することを可能になる。また、前記選択及びグループ化ステップは前記デザインオブジェクト表現の一組の隣接点を選択し、機能領域にグループ化することもできる。
【0011】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザイン表現の複数の機能領域を生成するために繰り返すことができ、本方法はこれらの機能領域のうちの一つを、第2ユーザによるこの部分の操作を阻止するためにロックするステップを更に備えることができる。前記デザインの所定の部分を選択しロックするこの機能は、第2ユーザにより許されるよりも高度の操作の抑制を第1ユーザに与えることができる。
【0012】
本方法は、選択された機能領域にフォールオフ重み関数を与えるステップを更に備え、前記フォールオフ重み関数は前記選択された領域の第2ユーザの操作の前記デザイン表現の他の領域への効果を段階的に変化させる。このフォールオフ重み関数は、それらの構造内の固定された領域と第2ユーザが有意の変更を行うことができる他の領域との間の遷移を滑らかにすることができる。
【0013】
本方法は、前記デザイン表現にダイナミックスキン機能を与えるステップを更に備え、ダイナミックスキン機能は、前記デザイン表現のテクスチャスキン効果を生成するために、グループ内の各頂点に別の形状をインポートし添付することができる。
【0014】
本方法は、前記デザイン表現にアセンブリ機能を与えるステップを更に備え、前記アセンブリ機能は前記デザイン表現の選択された点に所定の形状を添付することができる。
【0015】
本方法は、前記デザイン表現にグループポリ機能を与えるステップを更に備え、前記グループポリ機能は前記デザイン表現の指定された領域にユーザ定義の制約を与えることができる。
【0016】
前記制約指定ステップは、第1ユーザの端末において、第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップによる変更を阻止するために、前記デザインオブジェクト変数のセットの少なくとも一つをロックするステップを含むことができる。
【0017】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されるオブジェクトの3次元モデルとすることができ、本方法は、前記第1ユーザの端末において、前記オブジェクトのデザイン表現をインポートするステップを更に備え、前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップは、前記ポリゴンメッシュ内の構成される一つ以上のポリゴン頂点を選択するステップを含み、前記制約を指定するステップは、前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定するステップを含む。
【0018】
本方法は、前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップの結果を制約ファイルにコンパイルし、該制約ファイルを前記第2ユーザの端末に送信するステップを更に備えることができる。これは制約を第2ユーザの端末に伝達できる便利な方法である。
【0019】
本方法は、前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップの結果を最終デザインファイルにコンパイルし、該ファイルを中央データストアに送信するステップを更に備えることができる。更に、本方法は、前記最終デザインファイルを中央データストアで受信し、格納するステップを更に備えることができる。
【0020】
本方法は、前記最終デザインファイルを3次元プリンタに送るステップを更に備え、前記3次元プリンタは前記最終デザインファイルに従って3次元オブジェクトを製作するように構成されているものとし得る。このようにすると、第2ユーザのパーソナライズデザインを迅速に安価に製品に製作することができる。
【0021】
本方法は、前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第1ユーザの端末上のグラフィックユーザインタフェースで表示するステップを更に備え、前記グラフィックユーザインタフェースが前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップを実行するツールを提供するものとし得る。このようにすると、第1ユーザは実際の特定値に決定する前に前記制約を操作し、デザインに与えるその影響を観察することができ有利である。
【0022】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を提示するステップは、該グラフィック表示を提示するために前記第2ユーザの端末側でグラフィックユーザインタフェースを用いることができ、前記方法は前記操作可能化ステップを実行するツールを前記グラフィックユーザインタフェースに与えるステップを更に備える。
【0023】
前記グラフィックユーザインタフェースの前記ツールは一組のスライダアイコンを備えることができ、各スライダは一つのデザインオブジェクト変数に関連し、前記スライダの許容移動量は関連するデザインオブジェクト変数の許容変化範囲を表す。これは、デザイン変数の値を変化させる簡単で論理的で直感的な方法である。
【0024】
各スライダアイコンは、前記関連するデザインオブジェクト変数の変化範囲を制限するために、前記第1ユーザにより調整可能な可変の限界値を有する。
【0025】
本方法は、前記スライダアイコンの少なくとも一つにローカルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記チェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト変数の値を特定の量に固定する手段を提供するものとし得る。
【0026】
本方法は、前記デザインにグローバルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記グローバルチェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインの表面の方向などの少なくとも一つの特徴にグローバル機能を与える手段を提供するものとし得る。
【0027】
本方法は、物理的モジュールを用いて前記デザインの機能を維持するために必要なデザイン変数変更制約のグローバルセットを自動的に決定するステップと、前記デザインの所望の機能を阻害する変更がなされるのを阻止するためにこれらのグローバル変更制約を前記一組のデザインオブジェクト変数に加えるステップを更に備えることができる。
【0028】
前記グローバルセットのデザイン変数変更制約を決定するステップは物理的エンジンを用い、前記物理的エンジンによって指定の形状を有するオブジェクトの挙動をシミュレートし、前記指定の形状が環境内で安定であるかどうかを決定することができる。
【0029】
本方法は、前記第1ユーザにより決定された所定のデザイン表現に対する前記一組のデザインオブジェクト変数及び該オブジェクト変数に対する制約又は前記第2ユーザにより指定された所定のデザイン表現のオブジェクト変数の特定の選択された値を解析して前記デザインのオブジェクトの自動機械生成を阻害し得る論理的な矛盾を決定するステップを更に備えることができる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成するシステムが提供され、該システムは、第1ユーザの端末に設けられ、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定することができる指定モジュールと、前記第1ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定することを第1ユーザに可能にする指定モジュールと、第2ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信する受信機と、前記第2ユーザの端末に設けられ、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にする操作モジュールと、前記第2ユーザの端末に設けられ、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するグラフィックユーザインタフェース(GUI)と、を備える。
【0031】
本システムは、前記第1ユーザの端末及び前記第2ユーザの端末と通信する中央サーバを更に備えることができ、前記第1ユーザの端末は前記中央サーバから前記デザインオブジェクト変数を指定する指定モジュール及び前記制約を指定する指定モジュールをダウンロードするように構成され、前記第2ユーザの端末は前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記中央サーバに第2ユーザの最終デザインとしてアップロードするように構成されている。
【0032】
本発明の更に別の態様によれば、2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同で操作し得る共同デザインシステムが提供され、該システムは、第1ユーザの操作用に配置された第1ユーザの端末と、第2ユーザの操作用に配置された第2ユーザの端末と、前記第1及び第2ユーザの端末間でデザインオブジェクトデータを伝送し得るように構成された通信ネットワークを備え、前記第1ユーザの端末は、前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定すること及び前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定することができるように構成され、前記第2ユーザの端末は、前記一組のデザインオブジェクト変数を前記通信ネットワーク経由で受信するよう構成され、更に前記第2ユーザが前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現を操作できるように構成される。
【0033】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されたオブジェクトの3次元モデルとすることができ、前記第1ユーザの端末は、前記ポリゴンメッシュに含まれる一つ以上のポリゴン頂点を選択することによって前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するように構成され、且つ前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定することによって前記第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するように構成される。
【0034】
本システムは、第2のデザインオブジェクト表現を生成するために、前記少なくとも一つの指定されたオブジェクト変数の第2ユーザによる選択値を前記デザインオブジェクト表現と組み合わせるように構成された手段を更に備え、前記第2のデザインオブジェクト表現が前記第2ユーザのオブジェクト変数値を含むデザインオブジェクトの3次元ポリゴンメッシュを表示するようにすることができる。
【0035】
本システムは、3次元プリンタを更に備え、前記第2のデザインオブジェクト表現を前記3次元プリンタに転送するように構成され、前記3次元プリンタは、前記第2のデザインオブジェクト表現に従って3次元オブジェクを製作するように構成される。この点に関し、本システムは前記第2ユーザにより操作されたデザインオブジェクト表現を3次元プリンタにより実行可能な一組の命令に変換する変換手段を更に備えることができる。
【0036】
本システムは、第1及び第2ユーザから遠く離れて位置し、通信ネットワークを介して第1及び第2ユーザの端末と通信するように構成された共有データストアを備え、前記第2ユーザの端末は前記共有データストアに格納された前記デザインオブジェクト表現、前記一組のデザインオブジェクト変数及び前記指定された値の範囲にアクセスするように構成することができる。
【0037】
前記共有ストアは、前記第2ユーザの端末から前記少なくとも一つの指定されたオブジェクト変数の第2ユーザ選択値を受信し、その値を共有データストアに格納するように構成することができる。
【0038】
本システムは、前記受信したオブジェクト変数及び格納したオブジェクトデザイン表現に基づいて前記第2ユーザのデザインオブジェクト表現を生成する手段を更に備えることができる。また、本システムは、前記第2ユーザのデザインオブジェクト表現を3次元プリンタで実行可能なプリント命令に変換する手段を更に備えることができる。3次元プリンタはオブジェクトをレーザ焼結プロセスに従って製作するように構成するのが好ましい。
【0039】
デザインオブジェクトは第1ユニットの端末に存在するCAD手段を用いて生成するコンピュータ支援デザイン(CAD)とすることができる。
【0040】
本発明の更に別の態様によれば、共同デザインシステムの2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同操作することができる方法であって、該方法は、第1ユーザの端末において、前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、前記第1ユーザの端末において、前記一組のオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するステップと、第2ユーザの端末において、前記第1ユーザにより指定された一組のデザインオブジェクト変数及び前記デザインオブジェクト表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内においてのみ選択することによって、前記デザインオブジェクト表現を操作するステップと、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、を備える。
【0041】
本発明の更に別の態様によれば、オブジェクトデザイン表現の変更用のグラフィックユニットインタフェース(GUI)が提供され、該GUIは前記オブジェクトデザイン表現を表示する表示窓及び前記デザイン表現と関連する複数の異なる変数のユーザ変更を可能にする制御パネルを備え、各異なる変数は関連するユーザ操作可能なグラフィック装置を有し、その操作により前記表示されるデザイン表現をリアルタイムに変化させてデザイン表現に及ぼす前記デザイン変数の値の変化の影響を示すことができる。
【0042】
各グラフィック装置は前記デザイン変数の変化範囲を設定するためにユーザ調整機能を有する。前記GUIは、ユーザが前記選択されたデザイン変数の値をロックすることができるように構成することができる。前記GUIは、前記制御パネルを用いて、ユーザ操作を実行できるデザイン全体の一部分を構成する前記デザイン表現の点をユーザが選択できるように構成することができる。前記GUIは、複数の部分を選択でき、それらの部分の少なくともいくつかを更なる変化からユーザがロックすることができるように構成することができる。前記制御パネルは、摺動可能範囲の極値を固定する機能を備えるスライダ制御部を備えるものとすることができる。また、前記制御パネルはレーダグラフィック装置を備えるものとすることもでき、この場合には選択された角度の変化によりデザイン変数の変化が決まる。デザインの所定の部分をロックする機能は、オリジナルデザイナーがオブジェクトの機能を維持するとともにオブジェクトの美観を維持することを可能にする。従って、その機能を発揮するために不可欠のオブジェクトの特徴は共同デザイナーにより変更されないようにすることが極めて有利である。同様に、オリジナルデザイナーは独特のデザイン特徴を保つためにオブジェクトの美的外観を変更できる程度を規制することもできる。
【0043】
製品の色又は材料のみならず製品の形に対する大きな選択の自由に対する顧客の要求は(顧客が共同デザイナーとしての役割を果たすことによって)有利に受け入れられる。デザイナー及びブランドは、デザインの所定の特徴をロックする又は他の部分の変更量を制限すると同時に共同デザイナーにデザインの本質的でない特徴を個人的な好み合わせて変更することを許容することによって自身のデザインを支配し維持することができる。
【0044】
この種の共同制作は当業界において現在入手可能な既知のツールに対して異なるツールを必要とし、本発明は、一つの態様では、これらの機能的に新しいツールを提供する。
【0045】
本発明の別の態様は、調整時にデザインの特定の要素に変化を加えるグラフィックユーザインタフェースコントロール部、例えばスライダ、に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、従来よりも遥かに低い計算オーバヘッドで効率的に3次元グラフィックイメージを操作するメカニズムを提供する。これは、関心領域(即ち指定された頂点(隣接しても隣接しなくてもよい)のグループ)にタギングし、その後変換処理をオブジェクト全体ではなくタギングしたグループのみに適用することによって達成される。
【0047】
3Dオブジェクト表現が完成したら、それを工業用プリントプロセスに送り、CAD表現の仕様に従って現実の3Dオブジェクトを生成(プリント)することができる。このプリントプロセスはレーザ焼結プロセスであり、オブジェクト表現のオブジェクトを一層ずつ連続的に積層し、それらの層をハイパワーレーザで溶融して実際のオブジェクを生成する。次にこれを共同デザイナーに送付することができる。この方法の重要な利点は以前のプロトタイプと関連する高いコストを掛けずに少量のユニークなオブジェクトを生成できる点にある。
【0048】
オリジナルデザイナーによる可能な変更は多数あり、オブジェクトの外観の変更、例えばねじれ、曲げ、伸縮又はオブジェクト表面の変更を含むことができる。デザインに満足したら、オリジナルデザイナーは製品デザインを共同デザイナーにアクセス可能なリモートサーバに掲示する。その後、共同デザイナーはサーバによりホストされたラピッドマニュファクチャリングウェブサイト(例えばUCODO.com)をナビゲートすることによって、インターネットブラウザアプリケーションを介して設計オブジェクトにアクセスし、変更を加えることができる。共同デザイナーはオリジナルデザイナーにより指定された創造の自由範囲内でデザインを自由に変更できる。
【0049】
その後、共同デザイナー(顧客)は、
1. これらの製品を3D環境でオンライン観察し、
2. 製品に変更(形、表面仕上げ及び色など)を加え、
3. 後処理技術の多数の選択を決定し、最後に
4. ユニークデザインに従って製作される各オブジェクトの一つ以上の配送をオンライン注文する
【0050】
本発明の共同設計方法は製品のデザイナー及びユーザ/顧客の伝統的な役割を大いに問題にする。本発明のシステム及び方法はプロの製品デザイナーと製品を共同生成及び共同デザインする機会をユーザに提供する。これによって、ユーザは既存のトデザインをオリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内で個人的な好みに「カスタマイズ」することができる。この工業プロセスにより製作される製品に対面すると、ユーザは、尋ねるまでもなく、希望通りの製品を購入したのか?又は交換できるのか?などの疑問に直面することは決してなく、またデザイナーはそれが自分のデザインでないか?という疑問を持つ必要もない。
【0051】
本発明によれば多量のカスタマイゼーションを実現できる。これによって、一般大衆がオンラインライブラリ又は販売店を通してプロの製品デザイナーと製品を共同生成及び共同デザインすることができる。3D環境において、製品をすべて簡単なマウス操作によってリアルタイムに変更する(例えば引き伸ばしたり、ねじったり、エンボス加工したり、組み合わせたりする)ことができる。ユーザは形を調整し、色及び材料を選択し、デザインをオンラインライブラリに保存し、配達の準備ができたら購入することができ、その注文は2週間以内とすることができる。共同デザイナーはペンなどの製品の機能を損なうことはあり得ない。同様に、共同デザイナーはティーポットのバラス又は安定性を損なうことはあり得ない。なぜなら、指定される制約が機能及び構造的完全性を維持するように少なくとも部分的に選択されるからである。
【0052】
本発明の実施例を添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態によるラピッドマニュファクチャリングシステムを示す概略ブロック図である。
【図2a】共同デザイナーのためのODOデザインファイルをセットアップする際のオリジナルデザイナーの図1のシステムとの相互作用を示す流れ図である。
【図2b】オリジナルデザイナーにより設定されたデザインファイルをCODOファイルに完成させる際の共同デザイナーの図1のシステムとの相互作用を示す流れ図である。
【図3a】図1のODOファイルの一例の主な要素を示すリストである。
【図3b】図1に示すラピッドマニュファクチャリングサーバの主な要素を示す概略ブロックズである。
【図4】図1のラピッドマニュファクチャリングシステムにより生成される、エッグホルダ(エッグカップ)のデザイン表示を示すGUIのスクリーンショットである。
【図5】メッシュの頂点としてのデザイン表示を示す図4のGUIのスクリーンショットである。
【図6】メッシュの頂点を詳細に示す図5のGUIのスクリーンショットである。
【図7】GUIを用いてデザイナーにより選択された頂点のグループを示す図6のGUIのスクリーンショットである。
【図8】図7の選択された領域に割り当てられるグループポリツールを示す図7のGUIのスクリーンショットである。
【図9】制約を設定する一組のスライダを示すとともに、選択された領域のソフト境界が下端のスライダから6番目のスライダの操作によってz方向にどのくらい減少されたかを示す図7のGUIのスクリーンショットである。
【図10a】オブジェクトの同一の指定領域にスライダ制御部の操作により影響を与える2つの異なる方法の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図10b】オブジェクトの同一の指定領域にスライダ制御部の操作により影響を与える2つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図11】スライダ制御部を詳細に示す図9のGUIのズームインスクリーンショットである。
【図12】制約がスライダ制御部を用いてオリジナルデザイナーによりどのように設定されるかを示す図9のGUIのズームインスクリーンショットである。
【図13a】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図13b】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図13c】オブジェクトの同一の指定領域に、オリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内の共同デザイナーによるスライダ制御部の操作によって影響を与える3つの異なる方法の他の一つを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図14a】オブジェクトの選択された表面特徴に対する表面の再配向機能が加えられる前のオブジェクトを示す本発明の一実施例のGUIのスクリーンショットである。
【図14b】オブジェクトの選択された表面特徴に対する表面の再配向機能が加えられた後のオブジェクトを示す本発明の一実施例のGUIのスクリーンショットである。
【図15】いくつかの異なるスライダ制御部を固定の制約にし、他のスライダ制御部を可変の制約にする方法を示す図14aのGUIのズームインビューである。
【図16】制約されないオブジェクトはスライダ制御部を用いて共同制デザイナーによりオブジェクトの機能をゆがめるように操作され得ることを示す図9のGUIのスクリーンショットである。
【図17a】オブジェクトの制約の操作のためにレーダ制御部を使用する本発明の他の実施例によるGUIのスクリーンショットである。
【図17b】オブジェクトの制約の操作のためにレーダ制御部を使用する本発明の他の実施例によるGUIのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本実施例はラピッドマニュファクチャリング及びレーザ焼結技術の存在により可能となる。本プロセスは本質的には2つの段階があり、第1の段階は所望のオブジェクトの3Dデザインの生成であり、第2の段階はオブジェクトを製作し消費者に提供するためにそのデザインを使用することにある。第1の段階はオリジナルデザイナーによる生のデザインデータからの制約付きデザインの生成及びその後の共同デザイナーによる最終デザインの生成を含む。第2の段階は、粉末状の種々のプラスティック、金属又は複合金属を用いる層ベース造形による最終デザインのプリントプロセスである。このタイプのすべての造形システムは、コンピュータ制御下で層の製作を実行するためにコンピュータCADシステムとレーザ焼結マシン(又は3Dプリンタ)の組み合わせを備える。
【0055】
本発明の一実施例はウェブベースサービスを提供するラピッドマニュファクチャリングシステムとして実施される。図1につき説明すると、ラピッドマニュファクチャリングシステム1はサービスのオペレーションを制御するラピッドマニュファクチャリングサーバ2(又はプラットフォーム)を備える。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は、3Dオブジェクトデザインファイル及びそれらの制約ファイルのライブラリを格納するデータベース4及びレーザ焼結3Dプリント6に結合される。更に、サービスをインターネット8経由でユーザに利用可能にするために、造形サーバ2にウェブサーバも設けられる。
【0056】
好適実施例では、オリジナルデザイナー及び共同デザイナーの両者はラピッドマニュファクチャリングサーバ2から遠く離れて位置する2つの異なるユーザ端末から本システムと相互作用する。ユーザ端末はローカル処理機能を有する通常のコンピュータとすることができる。また、ユーザ端末はこれらのファイルを観察し編集する機能を有する任意のコンピュータ装置とすることができる。例えば、共同デザイナー端末はインターネットブラウザ機能を有する携帯電話、テーブルコンピュータ又は携帯情報端末(PDA)とすることができる。好適実施例の確実な説明においては、端末はコンピュータとみなせる。
【0057】
図1に示されるように、オリジナルデザイナーコンピュータ10も、共同デザイナーコンピュータ12も、インターネット8又は他の通信手段を経由してラピッドマニュファクチャリングサーバ2に接続される。オリジナルデザイナーコンピュータ12は、通常のCADアプリケーションを用いて生成されたオリジナル生CADデータファイルのデータストア13を有する。現在市販されているCADアプリケーションの2〜3の例をあげると、例えばAutoCAD(登録商標)又はAutodesk 3rd Max(旧3D Studio max) (登録商標)がある。
【0058】
システム1の各ユーザはユーザ端末で実行されるローカルプログラムの使用により種々の方法でシステム1と相互作用する。本実施例では、オリジナルデザイナーコンピュータ10はオリジナルCADデザインに対する一組の制約を生成するためのオリジナルデザインオブジェクト(ODO)アプリケーション14もダウンロードしており、共同デザイナーコンピュータは、共同デザイナーコンピュータ12のウェブブラウザ(図示せず)が任意の3D CADファイルを読み込み、そのCADファイルにオリジナルデザイナーの端末からオリジナルデザイナーにより設定された制約の範囲内で操作及び/又は変更を行うことを可能にするために設けられた共同デザイナーオブジェクト(CODO)ブラウザプラグイン15を有する。制約はODOデータファイル16に格納され、オリジナルCAD生データファイル17と一緒にラピッドマニュファクチャリングサーバ2に送られ、データベース4内の制約付きデザインライブラリに格納される。従って、使用時に、オリジナルデザイナーは自分の端末/コンピュータ経由でODOファイル16を生成可能にするアプリケーション14を得る必要がある。例えば、このようなアプリケーション(この目的のためにODOアプリケーションプログラム14と呼ぶこともできる)はラピッドマニュファクチャリングサーバ2からオリジナルデザイナーのコンピュータ10にダウンロードすることができる。ODOアプリケーションプログラム14はその入力としてオリジナルCADデザインを保持する生データCADファイル17を取得し、オリジナルデザイナーがCADオブジェクトに制約を加えることを可能にする。このプロセスは後に詳細に説明される。
【0059】
同様に、共同デザイナーコンピュータ12は、生データ3D CADファイルの読み込みに加えて、オリジナルデザイナー生成ODOファイル16の読み込み及びアクセスを行う手段を備える必要がある。これは、ODOファイル16及び生データ3D CADファイル17を共同デザイナーのコンピュータ12にダウンロードすることによって達成することができる。好適実施例では、共同デザイナーの既存のウェブブラウザに追加の機能を与えるプラグインがダウンロードされ、ウェブブラウザを用いてODOファイル16及び生データ3D CADファイル17を読み込むことができる。プラグイン15がインストールされると、共同デザイナーのコンピュータ2のブラウザは正しいフォーマットの任意の生データ3D CADファイルを開くことができ、共同デザイナーは自分のコンピュータ12を使ってその生データ3D CADファイルをオリジナルデザイナーによりオリジナルデザイナーのコンピュータで設定された一組の制約の範囲内で操作することが可能になる。オリジナルデザイナーにより生成された制約ファイル(ODOデータファイル)及び生データCADファイルは両方とも共同デザイナーのコンピュータ12にダウンロードされ、共同デザイナー向けの最終オブジェクトデザインに適用すべき制約の最終セットを決定又は選択するために共同デザイナーにより使用される。共同デザイナーの選択はオリジナルデザイナーにより設定された全制約セット内に制限され、これはデザインの変化度を更に制限する。事実上、制約の決定において、オリジナルデザイナーは共同デザイナーに利用可能なオブジェクトデザインの自由度を決定し、共同デザイナーはデザイン作業をこれらの制約の範囲内で終了させる。このプロセスも後に詳細に説明される。
【0060】
前述したように、本発明の代替実施例はクラウドコンピューティングを利用することができ、所要のコンピュータサービスは遠隔地のラピッドマニュファクチャリングサーバ2によって提供され、あるいはまた任意の数の遠隔地のサーバによって提供される。このような実施例では、ユーザ端子10及び12は事実上最小の処理能力を有するダム端末であり、クラウド(リモートコンピューティングリソース(図示せず))により提供される共有リソースと相互作用し、すべての処理及びコード実行はクラウドで実行される。同様に、すべての処理及びコード実行タスクはラピッドマニュファクチャリングサーバによって実行することができる。このような実施例では、オリジナルデザイナー端末10にも共同デザイナー端末12にもブラウザ及びプラグインが設けられる。このような実施例では、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2がODOアプリケーションプログラムの機能を提供する必要があり、あるいはまたクラウドがこの機能を提供する必要がある。これらの代替実施例では、GUIが各ユーザのために生成され、これらのGUIは通常のウェブブラウザウィンドウに生成することができる。
【0061】
ここで、システム1の動作を図2A及び2Bを参照して説明する。システム1の動作はシステムにアクセスするユーザのタイプに応じて異なり、以下の説明ではオリジナルデザイナーのシステム1との相互作用に続いて共同デザイナーのシステム1との相互作用について説明する。図2aはオリジナルデザイナーとのシステムの相互作用を示し、図2bは共同デザイナーとのシステムの相互作用を示す。図2a及び図2bは、オリジナルデザイナー端末10及び共同デザイナー端末12の両端末が通常のパーソナルコンピュータにより提供されるローカル処理機能でエネイブルされる実施について説明する。
【0062】
最初に図2aにつき説明すると、プロセス19はステップ20においてオリジナルデザイナーがODOアプリケーションプログラム14をダウンロードすることから始まり、このプログラムはオリジナルデザイナーがCADアプリケーションで予め生成されたデザインオブジェクトに対する制約を設定することを可能にする。ODOアプリケーションプログラム14はオフライン及びオンラインモードの動作をサポートすることができる。オフライン動作モードでは、オリジナルデザイナーはオリジナルデザイナー端末10を用いて所要のデザインオブジェクトの制約を指定し、この指定をODOアプリケーションファイル16に格納する。この指定は後にラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされる。オンライン動作モードでは、オリジナルデザイナーはオリジナルデザイナー端末を用いてラピッドマニュファクチャリングサーバと直接通信してデザインオブジェクトの制約を指定する。指定された制約はそれらが選択されると同時にラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされる。この説明のために、オンライン動作モードで指定されたこれらの制約はODOファイル16と同等であるとみなせる。
【0063】
オリジナルデザイナーは任意の所望のCADパッケージで生3Dデザインを生成することができる。前述したように、市販のCADアプリケーションの例には、AutoCAD(登録商標)又はAutodesk 3ds Max(登録商標)がある。オリジナルデザイナーは次にCADアプリケーションからの形状をSTLファイル(他のフォーマットも可能)としてエクスポートし、このファイルは図1に示すようにローカルデータストア4に生データCADファイル17として格納することができる。当業者は、STLファイルは3次元オブジェクトの表面形状のみを記述し、色、テクスチャ又は他の一般的なCADモデル属性の表現は記述しないことを認識されよう。
【0064】
次にオリジナルデザイナーはステップ21においてSTLファイルに具体化された生3DモデルデザインをCADアプリケーションプログラム14にインポートする。図4〜図8は好適実施例におけるODOアプリケーションプログラム14のGUI表示の例である。上記の図は後に更に詳細に説明される。
【0065】
オリジナルデザイナーにはODOアプリケーションプログラム14内に生3Dオブジェクトモデル内の関心がある頂点の選択を可能にするツールが与えられる。当業者は、生3Dモデルは実際には所望のオブジェクトの3Dポリゴンメッシュモデルであることを認識されよう。例えば、通常3角形状のポリゴンのメッシュが使用され、この場合には各3角形は3つの異なる頂点と関連し、これらの頂点を操作及び/又は変更することができる。ステップ23において、オリジナルデザイナーは所望の頂点を選択する。選択された頂点はステップ25においてタギングプロセス(後に詳述する)によってグループ化される。グループが決定されると、ステップ27において、オリジナルデザイナーがグループ化された頂点の制約を設定するために使用できる他の変更ツールがGUIにより与えられる。タギング機能は、共同デザイナーが操作及び/又は変更することができる3Dオブジェクトのトポロジー領域を定義する。ここで、オリジナルデザイナーは共同デザイナーに許可する操作及び/又は変更の種類を、共同デザイナーが加えることができる指定された操作及び/又は変更の量の定量化に加えて、定義する。
【0066】
3Dオブジェクトの頂点は選択されたグループ内又は外のいずれかにおいて定義される。この段階で3Dオブジェクトに対して行われる任意の変更は選択されたグループ内の頂点のみに影響を及ぼす。しかし、フォールオフ(減衰)ツールを用いて「フォールオフ」を定義することによって3Dオブジェクトのトポロジー領域を定義する追加の方法がある。この方法では、頂点が指定されたグループ内に入る場合にのみ変更により影響される代わりに、フォールオフを定義することによって頂点はそれらに与えられる重みに正確に比例して影響されるようにできる。フォールオフは指定された頂点に対する操作及び/又は変更に応答して指定された頂点に隣接する頂点が操作及び/又は変更される量又は割合を定義する。フォールオフを定義する目的はデザインオブジェクトの美的魅力を維持するのに役立つ。例えば、定義されたフォールオフは共同デザイナーにとっても有益である。例えば、共同デザイナーは選択された頂点を操作することができ、そのとき隣接する頂点が選択された頂点の操作に比例して自動的に操作されるので、共同デザイナーは隣接頂点を個別に操作する必要がない。フォールオフはステップ26において定義される。
【0067】
例えば、フォールオフは3Dオブジェクト空間内に位置する3次元分布(例えばガウス分布)に関連させ、その領域内の頂点に与える変更の影響量はオブジェクト空間内の頂点の座標における分布値により決定することができる。
【0068】
図9はフォールオフの好適例である。丸で囲まれた領域93はフォールオフが定義された領域に関する。頂点の分布強度は徐々に減衰する陰影で描写されている。図示の例では、ハイライト頂点90は変更のために選択されたものであり、更にフォールオフが隣接する頂点92に与えられており、これらの隣接頂点も、共同デザイナーがハイライト頂点90の操作及び/又は変更を決定する場合に、与えられたフォールオフにより決定される量だけ変更される。例えば、図10a及び図10bはともに、共同デザイナーがハイライト頂点90をどのように操作及び/又は変更することができるかを例示する。ハイライト領域90の操作に応答して隣接頂点が操作される割合又は量は与えられるフォールオフにより定義される。
【0069】
フォールオフツールの使用はオプションであり、フォールオフを持つ又は持たない領域が完全に決定されたら、ステップ27においてその領域に変更ツールを与えることができる。変更ツールはいくつかの異なる特徴を有し、変更ツールのいくつかの異なるタイプの例は簡単に要約すると以下のとおりである。
【0070】
ダイナミックスキンツール29は別の3D形状を選択されたグループ内の各頂点にインポートし、添付又は結合することを可能にする。これはテクスチャ化されたスキン効果を生成する。インポートされる表面形状は任意の所要の角度に向けること及び適切なサイズにスケーリングすることができる。
【0071】
アセンブリツール35はオリジナルデザイナーが個々の頂点を選択し、該当領域に結合し得る組立形状の多数のオプションを指定することを可能にする。例えば、コーヒーカップ形状は、共同デザイナーが特定の頂点にアクセスし結合し得る多数の取っ手のオプションを有する。
【0072】
グループポリツール33では、フォールオフを有する領域が変更される。この変更は領域自体の形状にある。この変更は頂点(x,y,z)の位置、これらの頂点(x,y,z)の相対的回転及びそれらの相対的離間量を含むことができ、これは一般にスケーリングとして知られている。
【0073】
ソフトポリツール31は少数の頂点を通常3Dオブジェクトの様々な部分において選択するのみである点を除いてグループポリツール33に極めて類似する。その他の点ではそれらの操作はグループポリツール33と同様である。
【0074】
オリジナルデザイナーは、GUIウィンドウ内のメニューから、製作すべき3Dオブジェクトに許可する色及び後処理技術(艶出し、艶無し、染色)を選択することもできる。これは共同デザイナーが最終選択を行う際に共同デザイナーに利用可能にされる副選択を生成する(この選択については後に詳述する)。
【0075】
上述したように、オリジナルデザイナーはオブジェクトの表面を定義する頂点のグループを選択することによって領域を生成する。各領域は多数の方法で、定義された量だけ、共同デザイナーが操作することができる。従って、オリジナルデザイナーの仕事はリストから変更ツール(ダイナミックスキン29、ソフトポリ31、グループポリ33及びアセンブリ35)を選択し、共同デザイナーに変更が許されるデザインの選択された領域に対して正確な限界及び自由度を定義することにある。このプロセスが一つの領域に対して完了すると、別の領域を選択し、該領域に異なる制約を加えてデザインの該当部分に対して異なる可変性を生成することができる。オリジナルデザイナーが定義し得る領域の数に制限はない。従って、ステップ23及び25はオリジナルデザイナーが希望する多数の領域に対して定義することができる。後に示されるように、オリジナルデザイナーはODOアプリケーションプログラム14内で許容された変更を生の3Dに与える効果を視覚化するオプションを有する。好適実施例では、変更はGUI内でリアルタイムに表示され、オリジナルデザイナーは現在の制約を現在のデザインに与える影響を見ることができる。ステップ37において、オリジナルデザイナーは指定された頂点領域に適用可能な制約を定義する。
【0076】
オリジナルデザイナーが制約を定義し終わると、ステップ41においてODOファイル16(図1に示す)という制約ファイルを保存する。ODOファイル16はオリジナルデザイナーにより選択されたすべての制約を完全に定義する。このファイルはオリジナルデザイナーにより共同デザイナーに利用可能にされた色及び後処理技術も含む。
【0077】
オリジナルデザイナーのプロセスは、オブジェクトデザインの形状(STLファイル)及び制約(ODOファイル16)がステップ43においてラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされるとき、完了する。ODOファイル16(即ち制約ファイル)はオリジナル生データCADファイル(STLファイル)と一緒に、共同デザイナーがデザインオブジェクトをどのように変更できるかのパラメータを完全に定義する。オリジナルデザイナーは今や「オープンデザインプロダクツ」を生成し、共同デザイナーはこれを操作して共同デザイナーのための最終パーソナルデザインオブジェクトを生成することができる。
【0078】
図2bを参照すると、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2との共同デザイナーの相互作用が好適実施例に対して説明され、本例では共同デザイナー端末はローカル処理機能を有する通常のコンピュータである。このプロセスは、ステップ50において、オリジナルデザイナー指定のデザインオブジェクトの開放部分をブラウザアプリケーションプログラム内で観察し、操作し、及び/又は変更することを共同デザイナー端末に可能にするプラグイン(図1に示すCODOプラグイン15)を共同デザイナーがダウンロードすることによって開始される。このプラグインはAdobe Flash(登録商標)及びMicrosoft Silverlight(登録商標)等に極めて類似し、一度インストールすれば、ブラウザはこのプラグインが正しいファイルフォーマットに遭遇するときいつでもこのプラグインを利用する。
【0079】
ステップ52において、共同デザイナーは、中央データベース4に格納され、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2を介してアクセスし得る、一以上の異なるオリジナルデザイナーにより生成された設定済みのデザインのオンラインライブラリから、製品と関連するオブジェクトデザインをサーチする。ステップ52において、共同デザイナーは所望のデザインオブジェクトを選択する。その選択時に、選択されたオブジェクトデザインと関連するSTLファイル及び対応するODOファイル16(制約ファイル)の両方が共同デザイナーのコンピュータ12にストリーミングされ、RAMに一時的に格納される。
【0080】
ステップ56において、共同デザイナーは、デザインの種々のオブジェクト変数を変化させるために、オリジナルデザイナーの選択制約により利用可能にされる操作ツール(GUI内にアイコンとして提示される)を用いる。図11〜図17は本発明の実施例による共同デザイナーGUIの例を示す。図示の実施例では、操作ツールは簡単なスライダ(図11〜図17b参照)として与えられ、各スライダは異なるオブジェクトデザイン変数の一つに関連し、変化させることができる。この簡単で使いやすい変数の変化結果は表示されている3Dデザインオブジェクトの形状表現の操作及び/又は変更として共同デザイナーに観察可能である。操作及び/又は変更は全デザインオブジェクト表現の(即ちオリジナルデザイナーにより)予め定義されたサブセット(即ちタギングされた頂点)に与えられるために、このリアルタイム観察機能のみが可能になる。
【0081】
共同デザイナーが所望の色及び後処理技術を選択し、ODOファイル16により規定される制約の範囲内でデザインオブジェクトのトポロジーを操作及び/又は変更すると、共同デザイナーの選択はステップ58において保存される。この時点において、CODOファイル18(最終カスタマイズファイル)が共同デザイナー選択のすべての変更と一緒に生成される。このファイルはステップ60においてラピッドマニュファクチャリングサーバ2にアップロードされ、一時的なタイムスタンプ名が付与される。CODOファイル18のヘッダが読み取られ、共同デザインオブジェクトの境界ボックスボリュームが決定される。これは、共同デザイナーに対して、操作及び/又は変更されたデザインオブジェクトに従ってその後造形される製品の最終価額を決定し表示するためのルックアップテーブル(図示せず)内の変数として使用することができる。
【0082】
支払い(paypalなどの従来のウェブサービス支払チャネルで行うことができる)の受領時に、CODOファイル18はラピッドマニュファクチャリングサーバ2に送られる。このCODOファイルは、サーバ2により生成される共同デザイナーの購入を一意に識別する18桁の番号と一緒に格納される。当業者は、CODOファイル18はオリジナルデザイナーが指定した利用可能な制約内から共同デザイナーが選択した操作及び/又は変更(共同デザイナーにより選択されたトポロジー変更に加えて、色及びテクスチャを含む)を完全に記述することを理解されよう。この18桁の番号は3Dタグ(衣服タグに類似)に変換し、新しい共同デザイン3Dオブジェクトモデルに従って造形されるオブジェクトの物理的形状に添付することができる。換言すれば、18桁の番号は共同デザイナーにより操作及び/又は変更された3D CADデザインオブジェクトに従って造形される物理的オブジェクトに組み込まれる。18桁の番号は、物理的製品が3Dプリンタから出現するときその物理的製品を識別する手段として役立つ。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2はCODOファイル18を取り出し、それをオリジナルSTLファイル(即ち、生データオブジェクトモジュール、一般に3D CADファイルとも呼ばれる)と関連付け、共同デザイナーにより選択された操作及び/又は変更及び3Dタグを一つのコヒーレントSTLファイルに組み入れた新しい変更STLファイルを生成する。
【0083】
異なる実施例では、3Dプリンタはラピッドマニュファクチャリングサーバに所属させないで、ウェブベースのプリントサービス(印刷事務所)の一部としてサードパーティにより提供される。このような実施例では、3Dタグが添付された変更されたSTLファイルはディレクトリに置かれ、それを3D印刷事務所が見ることができる。そのとき、印刷事務所はそのウェブポータルを経由してこの新しい形状をダウンロードし、3Dプリンタに送る。印刷事務所は共同デザイナーの発送アドレスも有し、その発送アドレスを印刷し宅配サービスにより配達される包みに添付することができる。
【0084】
オリジナルデザイナーがアップロードされた生データ3Dデザインオブジェクトファイルから制約付きデザインオブジェクトを生成するプロセス、共同デザイナーが3Dオブジェクトデザインの開放部分を選択し操作及び/又は変更して最終デザインオブジェクトファイルを生成するプロセス、及び共同デザイナーにより選択されたデザインに従う物理的オブジェクトの汎用印刷について説明したが、3Dデザインオブジェクトの最終デザインの製作に関する更なる詳細を以下に説明する。
【0085】
共同デザイナー選択による最終デザインファイル(即ち、CODOファイル18)とオリジナルSTLファイルを一緒にすると、事実上共同デザイナーにより操作及び/又は変更されたオブジェクトの3D CAD表現(最終カスタマイズデザイン)になることは当業者に理解されよう。前述したように、STLファイル及びCODOファイル18は更新されたSTLファイルを生成するために融合され、これは3Dプリンタにより実行することができる。好適実施例では、3Dプリンタはレーザ焼結プロセスを使用し、最終STLファイルは3Dレーザ焼結プリンタ用に適応させる必要がある。この適応化は変更及び/又は操作された3D CAD表現を所定の厚さ(典型的には0.1〜0.25mm)の断面層にスライス化する必要がある。2次元(2D)断面プロフィールは三角メッシュ(モザイク)形式でSTLファイルに格納される。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は次にこの適応化されたSTLデータを3Dプリンタ6により実行可能なマシンデータに変換することができる。或いは又、適応化プロセスは印刷前に3Dプリンタ自身で直接実行することもできる。レーザ焼結プリンタ6が特定の造形プロセスを用いてデザインオブジェクトの各層を連続的に印刷できるために2D断面層が必要となる。
【0086】
このプロセスがスライス化された3Dオブジェクト表現の各々に対して繰り返され、デザインオブジェクトの印刷が層ごとに行われる。焼結マシン内のレーザが加熱及び溶融によって粉末材料の新しい隣接層を一緒に溶解し、数時間に亘ってソリッドオブジェクト(又は一群のオブジェクト)を徐々に「成長」する。オブジェクトは、取り出し後に、余分の表面粒子を除去するためにブラスト処理され、清浄化され、顧客の仕様に従って後処理される。
【0087】
本発明のデザインプロセスの主題とし得るオブジェクトには、非限定的な例として、ホームウェア、宝飾品、電子機器、ギフトウェア及びパーソナルウェアがある。
【0088】
その後、完成したオブジェクトは郵便などの通常の手段で共同デザイナーに送ることができる。
【0089】
図3aはODOファイル16の一例を提供し、制約ファイルに含めることができる情報のタイプを説明するのに役立つ。ここでは、体積、色及び表面の特徴がウェブヘッダ(WEBGEADER)セクション70に記入され、3D CAD生データファイル72(制約が与えられるSTLファイル)がヘッダ(HEADER)セクション内に特定され、頂点のグループの各々(頂点リスト0、頂点リスト1、頂点リスト2)が頂点グループ(VERTEX GUROUP)セクション74に指定され、ツールによって定義される与えるべき変更制約の各々が変更制約(MODIFIER CONSTRAINTS)セクション76に指定されることが分かる。この後者のセクションにおいて、2つの異なるツールが3つの頂点グループに適用され、即ちダイナミックスキン(DYNAMICSKIN)がグループ0に、ソフトポリ(SOFTPOLY)がグループ1及び2に適用されている。各ツール内の各パラメータに与えられた特定の値も提供される。変更制約(MODIFIER CONSTRAINTS)はオリジナルデザイナーが指定した変更及び/又は操作のタイプを定義し、従って共同デザイナーが選択し得る操作及び/又は変更のタイプを定義する。例えば、共同デザイナーはダイナミックスキン29及びソフトポリ31の一つ以上を生3Dオブジェクトモデルの定義された頂点グループに与えることができる。更に、オリジナルデザイナーは適用可能な変更及び/又は操作の各々の極値を設定しておく。極値は共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトに与えることができる指定された各ツールの量を定義する。換言すれば、共同デザイナーは一つ以上の指定されたツールをオリジナルデザイナー指定の極値内の量だけ自由に与えることができる。
【0090】
図3bは本発明の一実施例によるラピッドマニュファクチャリングサーバ2の概略図である。ラピッドマニュファクチャリングサーバ2は所要の機能を提供するいくつかのモジュールからなる。このサーバには少なくとも2つの主な機能、(1)オリジナルデザイナーとの相互作用により制約付きデータファイル(即ち、ODOファイル16)を生成する機能及び(2)共同デザイナーとの相互作用により最終カスタマイズデザインファイル(即ちCODOファイル18)を生成する機能がある。この機能はオリジナルデザイナー/共同デザイナー相互作用制御モジュール80により提供される。
【0091】
プリント制御モジュール82は3Dプリンタ6と通信するインタフェースを提供し、更新されたSTLファイルの生成を制御する。前述したように、これは3Dオブジェクトデータの変更されたトポロジーをいくつかの2D断面層として表現し、これらの2D断面層表現はその後上述した3Dプリンタ6が積層プロセスを用いて対応する物理的オブジェクトを造形するために使用される。データベース相互作用ファイルマネジメントモジュール84は3Dデザインオブジェクトデータベース4内の生3D CADデータファイル17、ODOファイル16及びCODOファイル18を制御する。このモジュールは、共同デザイナーが変更及び/又は操作のために3Dオブジェクトデザインを選択するのに必要なライブラリ機能も提供する。
【0092】
更に4つのオプショナルモジュール、即ち頂点選択及びタギングツール86、変更ツール88、フォールオフ設定ツール90及びオリジナルデザイナー/共同デザイナー特徴設定モジュール92が示されている。これらのモジュールは先に説明したODOアプリケーションプログラム14及びCODOプラグイン15の機能を提供する。具体的には、これらのオプショナルモジュールは、ODOアプリケーションプログラム14がオリジナルデザイナー端末10に局部的に記憶されておらず且つ又オリジナルデザイナー及び共同デザイナーのラピッドマニュファクチャリングサーバ2とのすべての相互作用が上述したプラグイン15によりブラウザ経由で行われる実施例に設けられる。このような実施例では、ODOアプリケーション14の機能はラピッドマニュファクチャリングサーバ2により提供される。
【0093】
当業者は、オリジナルデザイナー端末がアクセス可能なローカルODOアプリケーション処理モジュールを備える代替実施例では、上述したオプショナルモジュール、即ち頂点選択及びタギングツール86、変更ツール88、フォールオフツール90及びオリジナルデザイナー/共同デザイナー特徴設定モジュール92は必ずしもラピッドマニュファクチャリングサーバ2に設ける必要はないことを理解されよう。
【0094】
共同デザイナーが生3DデザインオブジェクトをODOファイル16に指定されたオリジナルデザイナーの制約に従って変更及び/又は操作することできるようにするために、CODOプラグイン15が変更ツール88及び特徴設定モジュール92により提供される機能のサブセットを提供する。
【0095】
タギング
図4は本実施例によるODOアプリケーションGUI100の一例を示す。ODOアプリケーション14は、共同デザイナーが後でCODOプラグイン15により加えることができる所要の3Dオブジェクトデザイン操作及び/又は変更を指定する所要の機能をオリジナルデザイナーに与える。例えば、図示のGUI100は「Modifier」101というタイトル名のドロップダウンファイルメニュータブを備え、このタブは上述した変更ツールを提供する。デザイナーは3D形状102(生デザインファイル17)をODOアプリケーション14にインポートする。前述したように、ODOアプリケーション14はオリジナルデザイナー端末10でローカルに実行することができる。また、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2でローカルに実行することもでき、この場合にはオリジナルデザイナーはリモート実行されるアプリケーションと、例えば適切なODOプラグイン(図示せず)を備えるウェブブラウザを用いて、相互作用する。開示の目的のために、2つの上述した実施例の第1の例を以下に説明する。
【0096】
ODOアプリケーションGUI100を使用することによって、オリジナルデザイナーは3Dデザインオブジェクト形状102をインポートし、規定のオブジェクト操作及び/又は変更制約を指定し保存することができる。インポートされた3Dデザインオブジェクトは頂点がハイライト表示されたワイヤフレームとして、或いは簡単にソリッドオブジェクトとして表示することができる。「View」メニュータブ103は、オリジナルデザイナーに所望の3Dデザインオブジェクトのビュータイプを選択することを可能にする。
【0097】
オリジナルデザイナーは「Modifier」タブ101からソフトポリ31、グループポリ33、ダイナミックスキン29及びアセンブリ35などの現在利用可能な変更ツールのすべてにアクセスし得る。上述した変更ツールは例示にすぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、任意の3Dオブジェクトデザイン変更ツールをODOアプリケーション14に組み込むことができ、このような代替例も考えられ、本発明の範囲に含まれることが理解されよう。
【0098】
デザイン制約を指定する前に、オリジナルデザイナーは、共同デザイナーに与える3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更を視覚化することができる。例えば、オリジナルデザイナーは、共同デザイナーが規定の制約内でなし得る指定の操作及び/又は変更の異なる組み合わせのすべてについて手動的な視覚的確認を行うことができる。また、もっと高度な実施例では、ODOアプリケーション14内にシミュレーションツールモジュール(図示せず)を付加し、共同デザイナーが指定の制約範囲内で選択できる3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更のすべての可能な組み合わせをオリジナルデザイナーに見せることができる。同様に、シミュレーションモジュールは許容可能な3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更の選択のみをシミュレーションし、ODOアプリケーションGUI100に視覚的に表示することができる。例えば、シミュレーションモジュールは定義された制約範囲内における3Dオブジェクトデザインの操作及び/又は変更のランダムな選択を示すことができる。このシミュレーションモジュールは共同デザイナーの許容可能な操作の設定範囲がデータに与える影響をオリジナルデザイナーが実感するのに極めて役立つ。
【0099】
オリジナルデザイナーが3Dオブジェクトのどの操作及び/又は変更を共同デザイナーに許可するかを決定すると、3Dオブジェクトの形状にタギングがなされる。タギングは、共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトをどのように操作及び/又は変更できるかを定義する。
【0100】
タギングは3Dデザインオブジェクトを定義する3Dポリゴン表面メッシュの頂点を選択する。選択された頂点は次にグループ化され、命名される。好適実施例では、頂点の選択はデザイナーが単に左マウスボタンを保持したまま所望の頂点までドラッグすることによって達成することができる。このようにして選択された頂点はこのときGUI内でカラーハイライト表示することができる。選択された頂点はこのときその後の参照容易のために命名することができる。例えば、選択された頂点にはコントロールキーを押したまま0−9の任意の数字を選択することによって番号をつけることができる。他の命名法も想定され、異なる選択された頂点グループが識別できれば、使用する実際の方法も本発明に含まれる。
【0101】
図5は、図4の3DデザインオブジェクトをODOアプリケーションGUI100内に表示できる別の方法を示す。3Dデザインオブジェクトは図4の3Dオブジェクトの3Dポリゴン表面メッシュ106として表示される。3Dポリゴン表面メッシュは3Dオブジェクトの表面を定義する。この3Dデザインオブジェクトの視覚表示においては頂点を容易に識別できるので、頂点を選択/タギング及びグループ化するとき、3Dポリゴン表面メッシュビューが好ましい。
【0102】
図6は図5のデザインオブジェクトの3Dポリゴン表面メッシュ108の拡大ビューである。この表面メッシュは頂点と称する角を有する3角形からなる。丸で囲まれた領域110は上述したポリゴン及び頂点の例を示す。これらの頂点を上述したように選択しタギングすることができる。
【0103】
図7はオリジナルデザイナーにより選択された頂点のグループ112を示し、図解のために陰影が付けられている。これらの頂点はグループ化され、領域として認識される。各領域のグループ化はタギングがなされる頂点を定義する。
【0104】
各領域は指定のツールを有し、該ツールは共同デザイナーがオブジェクトの該当領域とどのように相互作用できるかを定義する。
【0105】
好適実施例では、グループの頂点のタギングにより生成されるODOデータファイルの構造はそれらに与えられる変更ツールを有し、次の通りである。
【0106】
HEADER
{
Source MODEL NAME
}
VERTEXGROUPS
{
VertexList 0 - Vertex ids
}
MODIFIERCONSTRAINTS
{
MOIFIER NAME
Group NAME
MODIFIER DETAILS
}
【0107】
図3aはODOファイルの実際の一例を示し、先に説明されている。
【0108】
図8は陰影領域115に割り当てられた「グループポリ」ツールの一例を示す。グループポリツール33は「Modifier」タブメニュー101から選択される。
【0109】
グループポリ33が「Modifier」メニュー101から選択され、選択された領域に与えられると、変更ツール117がグループポリツール33の操作を可能にするいくつかのスライダの形で現れる。これらのスライダ117aは図9のGUIの左側に示される。各スライダ117aは選択された変更ツール(本例ではグループポリツール33)と関連する異なる変数に対応する。スライダ117aの変化は、グループポリツール33が3Dデザインオブジェクトの選択された領域にどのように与えられるかを操作及び/又は変更することをユーザに可能にする。換言すれば、これらのスライダ117の変化によって、ユーザは選択された変更ツール117が3Dデザインオブジェクトの選択された領域にどのように与えられるかを変更及び制御することができる。各スライダ117aは異なるタイプのグループポリツール33の操作と関連し、従って選択された領域を異なる方法で変更する。同様に、各異なる選択可能な変更ツール117は選択時にスライダ117aの同様のセットを提示する。
【0110】
各異なるスライダは選択された変更ツールを異なる方法で操作及び/又は変更することを可能にする。例えば、グループポリ変更ツールが選択される図9につき説明すると、最上部の3つの「移動」スライダ119のどれかを選択すると、選択された領域の頂点の位置をx軸、y軸及び/又はz軸のどれかに沿って移動させることができる。次の3つの「スケーリング」スライダ121のどれかを選択すると、選択された領域内の頂点の座標のスケールをx軸、y軸及び/又はz軸に沿って変更及び/又は操作することができる。次の3つの「回転」スライダ123のどれかを選択すると、選択された領域内の頂点をx軸、y軸及び/又はz軸に沿って回転させることができる。次のスライダ125の選択は3Dデザインオブジェクトの選択領域を膨張させることができる。下部の6つのスライダ127のどれかを選択すると、選択された変更ツールで影響される3Dデザインオブジェクトの拡張部分を定義することができる。漸減陰影領域92はこれを示す。陰影は選択された領域90から離れるにつれて漸減する。スライダ127の利点は、選択された変更ツールを選択された領域90に適用することができ、隣接する頂点は重み付けによって、適用された変更ツールの効果が離れた頂点で次第に減少するように変更される。これは、デザインオブジェクトの美観を維持するのに役立ち、ユーザ(即ちオリジナルデザイナー及び/又は共同デザイナー)は変更ツールの適用により変更及び/又は操作されるすべての頂点を選択し規定することが不要になる。例えば、下部の6つのスライダのうちのスライダ129の選択は選択された領域のソフト境界をz軸方向にどのくらい変更できるかを制御する。
【0111】
図10a及び10bは、図9に示す3Dデザインオブジェクトの同じ選択領域が、「移動」スライダ119、「スケーリング」スライダ121及び「回転」スライダ123の一つ以上の選択によってどのように異なる形で操作及び/又は変更されるかを示す。各スライダと関連する変更は選択された頂点に与えられ、スライダ127を用いると、隣接する頂点に重み関数に従う変更を与えることができる。いずれの場合にも、変更が個々の頂点に影響を与える程度は(陰影により示されるように)その点における変更ツールの強さに比例する。
【0112】
制約の設定
前述したように、ODOファイル16(制約付きデザインファイル)を生成するためには、オリジナルデザイナーは3Dデザインオブジェクトと関連するデザイン制約を定義する必要がある。換言すれば、オリジナルデザイナーはその範囲内で共同デザイナーが3Dデザインオブジェクトを操作及び/又は変更し得る制約を定義する必要がある。
【0113】
オリジナルデザイナーは、どのタイプの操作及び/又は変更を共同デザイナーに使用可能にするか設定したら、適用可能なデザイン制約を定義する。明確に言えば、オリジナルデザイナーは、どの変更ツールを共同デザイナーに利用可能にするか選択したら、各変更ツールのデザイン制約を定義する。制約の設定は各指定された変更ツールと関連する各スライダが変化し得る量を選択するステップを含むことができる。好適実施例では、各スライダは左から右へ移動し得る一つのボタンの代わりに、3つのボタンを有する。
【0114】
図11はこの好適実施例の一例を示す。黄色のスライダボタン131は現在視覚化されている変更の位置を定義する。このスライダボタン131の左から右への移動はオブジェクトの形状を視覚的にリアルタイムに変更する。
【0115】
黄色のスライダボタン131の左側及び右側の橙色のスライダボタン133は共同デザイナーが自分のオブジェクトを変更し得る限界範囲を設定する。それらはデザイン制約を表す。
【0116】
図12は黄色及び橙色のスライダボタン131,133を示す。オリジナルデザイナーにより設定された制約が共同デザイナーにどのくらいの影響を与え得るかの一例が、黄色のスライダボタン131が30〜70の値の範囲内のみを移動するように制限された第1のスライダ135によって示されている。
【0117】
好適実施例では、スライダスケールは正規化され、橙色のスライダボタンは一緒に除去されるので(137)、制約の数値は共同デザイナーに示されず、共同デザイナーは必ずしも30及び70の値の間に制限されていることに気付かなくてもよい。
【0118】
図13a、13b及び13cはオリジナルデザイナーにより設定された制約内で共同デザイナーが行ったオリジナルデザイン139の種々の変更をそれぞれ示す。オブジェクト(例えばエッグカップ)の変更が制約されても、共同デザイナーにかなり大きな創造の自由が残されている。
【0119】
変更のロック
別の実施例では情報をハイライト表示する方法としてチェックボックスを使用することができる。それらのチェックボックスはツールを使用する方法を変えるために使用することができ、また所定の相互作用をロックするために使用することができる。以下の例は本発明の一実施例を示し、これは前述した実施例と同様であり、以下に相違点について説明する。
【0120】
本実施例では、図示の例は、一方向に横たわる表面特徴の方向をそれらの表面に対して垂直方向に再設定するためにチェックボックス140をどのように使用できるかの一例である。図14aはチェックボックス140が選択される前の相互作用を示し、図14bはオブジェクト表示142の選択された表面特徴の方向を再設定するためにチェックボックスをどのように使用することができるかを示す。これを達成可能とするために特定の方向再設定機能が設けられる。一般に、表面方向再設定機能は頂点の方向を読み取り、同じ方向をその頂点に添付されるオブジェクトに割り当てる。
【0121】
表面特徴の寸法も同じ方法で変更することができ、変更範囲も制約スライダを用いて通常の方法で制約することができる。本例では方向がオリジナルデザイナーにより決定され、共同デザイナーが割り当てられた方向に変更する点が相違するのみである。
【0122】
本実施例におけるチェックボックスの別の使用方法は、変更を完全にロックし、選択された変更ツールと関連する特定の変数に対する共同デザイナーの如何なる相互作用も阻止する。オリジナルデザイナーは制約を定義する代わりに該当スライダの特定の値を選択し、その位置にロックする。このとき共同デザイナーはどのようにしても特徴を変更することはできない。
【0123】
チェックボックスはどのように使用できるかの一例が図15について以下に説明される。この図から明らかなように、第1の3つのスライダ141は定義された制約を有するが、スライダ143,145及び147はチェックされたチェックボックス140をそれぞれ有する。
【0124】
制約の理由
共同デザイナーの製品変更の自由に制約を設定することには3つの理由がある。
1. オリジナルデザイナーはカスタマイズされる製品の美的魅力を自分のオリジナル版に沿って維持したいと思う。オリジナル版から形状的にかけ離れすぎると魅力のない形状になり得る。
2. オブジェクトは機能を維持する必要がある。変更が無制限である場合には、オブジェクトの形状がオブジェクトの機能及び性能に悪影響を与える形状にされる可能性が高い。
3. 3Dプリンタが読み込むファイルは極めてスペシフィックにする必要があるため、未熟な共同デザイナーによる変更に極めて敏感である。形状に対して起こり得る不良変更の問題にはポリゴンの反転、不良エッジ及びホールがある。これらの誤りは、チェックされない場合、プリントプロセス中にエラーを生じ、損傷した製品を生じる。
【0125】
図16はオブジェクトのデザイン表示に対して変更が制約されなかった場合の一例を示す。明らかなように、オブジェクトの美的外観が損なわれており、もはや(エッグカップ/エッグホルダとして)正しく機能せず、多くの頂点が反転され、不良データファイルを生じ、そのファイルは3Dプリンタで実行することはできない。
【0126】
ユーザインタフェース
オリジナルデザイナーと共同デザイナーとの連携はスライダの使用に限定されず、異なる方法で制約を設定し制約内で変更する他の実施例がある。図17a及び17bについて行われる他の実施例の以下の説明はCODOアプリケーショングラフィックユーザインタフェース150に関し、本例では変更ツール117はもはや一組のスライダ117aではなく、代わりに「レーダ」160であり、GUI150上のレーダグラフィック装置160の各セグメントの選択はオブジェクト表現を様々に変更するがオリジナルデザイナーにより制約される。
【0127】
レーダインタフェースは事実上スライダインタフェースの別の実施例である。スライダでは、スライダボタンが選択され、左右に移動されるが、レーダグラフィック装置160ではボタンは動かない。それらのボタンを選択するだけで、それらのボタンはハイライト表示され、次にデザイナーのマウスをボタンの位置から離れる方向に移動させることによってスライダの左右の移動による効果と同じ効果が達成される。これは極めて美しい制御部の実施例である。特定のレーダグラフィック装置160においては、同心円が外側の円から中心に向かって「移動」、「回転」及び「スケール」の機能を表す。
【0128】
代替実施例
本発明の代替実施例は物理的モジュールを含むことができる。物理的エンジンモジュールはラピッドマニュファクチャリングサーバ2(図1)内に存在する。生3DデザインオブジェクトCADファイルが3D生デザインデータベース4にインポートされると、物理的モジュールは3Dデザインオブジェクトを解析し、デザインオブジェクトの機能を維持するために必要な一組のデザイン変数の制約を決定する。例えば、この決定は3Dデザインオブジェクトの形状の統計的解析を含む。この解析から、物理的モジュールはオブジェクトの質量中心を決定し、それに従ってどの程度の形状変更がオブジェクトの安定性に影響を与えるかを決定することができる。この解析に基づいて、物理的モジュールは、オブジェクトがその機能を失わない程度に質量中心(従ってオブジェクトの安定性)を変更しない許容可能な変更決定することができる。この機能はデザインオブジェクトが実用目的に役立つ場合に特に重要であり、例えばカップやそのトランジスタのオブジェクトは一定の安定性を必要とし、未熟な共同デザイナーによる変更はデザインに従って造形されるオブジェクトの実際の機能を不注意に低減し得る。
【0129】
物理的モジュールは決定された形状特性がどのように作用するかをシミュレートし得る物理的エンジンに関するものとすることができる。例えば、コンピュータアニメーション開発用のほとんどのアプリケーションは、仮想のオブジェクトが様々な現実の設定においてどのように挙動するか、例えば重力場にさらされたときの質量を有するオブジェクトの挙動をシミュレートする物理的モジュールを含む。
【0130】
更に、物理的モジュールの使用は、オリジナルデザイナーによるデザイン制約の決定を著しく簡単にすることもできる。オブジェクト機能の保存に関するデザイン制約は物理的モジュールにより処理される。オリジナルデザイナーはデザインの美的魅力を保存する制約を考えるだけでよい。
【0131】
オリジナルデザイナー指定の操作及び/又は変更がデザインに従って造形される製品の静的及び動的平衡に与える影響をシミュレートするために有限要素解析(FEA)を使用することもできる。FEAを実行するには物理的モジュール(図示せず)内で既知のアルゴリズムを使用することができる。
【0132】
さらに他の代替実施例では、システム1に、オリジナルデザイナーのデザイン及び共同デザイナーの変更デザインの両方をデザインオブジェクトと関連する3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾が存在するかについて解析するモジュールを設けることもできる。完成STLファイルに何らかの論理的矛盾が存在すると、3Dプリンタによってデザイン通りの製品をプリントすることができない。従って、完成STLファイルを生成する前に3Dポリゴンメッシュに存在する論理的矛盾を識別することが重要である。事実上、これは、その後生成される完成STLに不良データを導入しSTLを最終的に使用不能にするかもしれないデザインオブジェクトの3Dポリゴンメッシュの許容可能な操作及び/又は変更を識別する一形式である。
【0133】
3Dポリゴンメッシュの論理的矛盾の例には反転ポリゴン、ホール及び不良エッジが含まれる。このような論理的矛盾の存在を識別することは多くの場合オリジナルデザイナーにとって極めて難しい。「論理的矛盾」モジュールの使用は論理的矛盾を識別するタスクを自動化し、オリジナルデザイナー及び共同デザイナーの双方のユーザエクスペリエンスを著しく向上する。
【0134】
オリジナルデザイナーがデザイン制約の選択を終了すると、ローカル矛盾モジュールは、3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾を生じるかもしれない許容可能なデザイン変更及び/又は操作を識別するために指定の制約内の許容可能な変更の選択をシミュレーションする。識別された問題となる操作及び/又は変更はオリジナルデザイナーにハイライト表示し、このような矛盾を有する共同デザイナーの変更されたデザインの危険を防止するために指定のデザイン制約を訂正する機会をデザイナーに与えることができる。同様に、論理的矛盾モジュールは、許容可能なデザイン変更の一部分のみをシミュレートするのではなく、許容可能なデザイン操作及び/又は変更のすべての組み合わせ及び順列を解析しシミュレートすることができる。この解析及びシミュレーションに続いて、3Dポリゴンメッシュに論理的矛盾を生じ得る操作及び/又は変更がハイライト表示される。同様に、このモジュールは、論理的矛盾を生じ得るデザイン操作及び/又は変更を除外するためにオリジナルデザイナー指定の制約を自動的に訂正するように構成することができる。
【0135】
Magics(登録商標)はCADファイルをSTLファイル(3Dプリンタに読み込ませることができる)に変換する市販のラピッド・マニュファクチャリング・プロトタイピング・アプリケーションの一例である。 Magics(登録商標)は」本発明と関連して使用することができるが、アプリケーション14でオリジナルデザイナーが許容可能な変更のすべてを手動的にシミュレートする必要がないようにするために許容可能な変更をシミュレートする若干の更なる機能が必要とされる。
【0136】
好適実施例では、許容可能なデザイン制約のシミュレーション、識別及び訂正は論理的矛盾モジュール(図示せず)により自動化される。このモジュール自体はシステム1内のどこかに、ラピッドマニュファクチャリングサーバ2内のどこかに、オリジナルデザイナー端末10の位置及び/又は共同デザイナー端末12の位置に組み込むことができる。
【0137】
本発明の特定の好適実施例について説明したが、これらの実施例は例示にすぎず、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から離れることなく多くの変形や変更をなし得ることは当業者に明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成する方法であって、該方法は、
第1ユーザの端末において、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、
前記第1ユーザの端末において、前記一組の指定されたデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲含む制約を指定するステップと、
第2ユーザの端末において、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する前記制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、
前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約の値の範囲内でのみ可能にすることによって、前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にするステップと、
前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記デザイン表現の複数の点を選択し、選択した点を前記デザイン表現の機能領域としてグループ化するステップを更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の非隣接点を選択し、前記機能領域にグループ化するステップを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の隣接点を選択し、機能領域にグループ化するステップを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザイン表現の複数の機能領域を生成するために繰り返えされ、前記方法は、これらの機能領域のうちの一つを、前記第2ユーザによるこの部分の如何なる操作も阻止するためにロックするステップを更に備える、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記選択された機能領域にフォールオフ重み関数を与えるステップを更に備え、前記フォールオフ重み関数は前記選択された領域の第2ユーザ操作の前記デザイン表現の他の領域への影響を段階的に変化させる、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記デザイン表現にダイナミックスキン機能を与えるステップを更に備え、前記ダイナミックスキン機能は、前記デザイン表現のテクスチャスキン効果を生成するために、グループ内の各頂点に別の形状をインポートし添付する、請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記デザイン表現にアセンブリ機能を与えるステップを更に備え、前記アセンブリ機能は前記デザイン表現の選択された点に所定の形状を添付する、請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記デザイン表現にグループポリ機能を与えるステップを更に備え、前記グループポリ機能は前記デザイン表現の指定された領域にユーザ定義の制約を与える、請求項2〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記制約指定ステップは、前記第1ユーザの端末において、前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップによる変更を阻止するために、前記一組のデザインオブジェクト変数の少なくとも一つをロックするステップを含む、請求項2〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されたオブジェクトの3次元モデルであり、前記方法は、前記第1ユーザの端末において、前記オブジェクトのデザイン表現をインポートするステップを更に備え、前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップは、前記ポリゴンメッシュに含まれる一つ以上のポリゴン頂点を選択するステップを含み、前記制約を指定するステップは、前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定するステップを含む、請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップの結果を制約ファイルにコンパイルし、該ファイルを前記第2ユーザの端末に送信するステップを更に備える、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップの結果を最終デザインファイルにコンパイルし、該ファイルを中央データストアに送信するステップを更に備える、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記最終デザインファイルを前記中央データストアで受信し、格納するステップを更に備える、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記最終デザインファイルを3次元プリンタに送るステップを更に備え、前記3次元プリンタは前記最終デザインファイルに従って3次元オブジェクトを造形するように構成されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第1ユーザの端末上でグラフィックユーザインタフェースに表示するステップを更に備え、前記グラフィックユーザインタフェースが前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップを実行するツールを提供する、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を提示するステップは、該グラフィック表示を提示するために前記第2ユーザの端末上のグラフィックユーザインタフェースを用い、前記方法は前記操作可能化ステップを実行するツールを前記グラフィックユーザインタフェースに与えるステップを更に備える、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記グラフィックユーザインタフェースの前記ツールは一組のスライダアイコンを備え、各スライダは一つのデザインオブジェクト変数に関連し、前記スライダの許容移動量は関連するデザインオブジェクト変数の許容変化範囲を表す、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
各スライダアイコンは、前記関連するデザインオブジェクト変数の変化範囲を制限するために、前記第1ユーザにより調整可能な可変の限界値を有する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記スライダアイコンの少なくとも一つにローカルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記チェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト変数の値を特定の量に固定する手段を提供する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記デザインにグローバルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記グローバルチェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインの表面の向きなどの少なくとも一つの特徴にグローバル機能を与える手段を提供する、請求項18又は19記載の方法。
【請求項22】
物理的モジュールを用いて前記デザインの機能を維持するために必要なデザイン変数変更制約のグローバルセットを自動的に決定するステップと、
前記デザインの所望の機能を阻害する変更がなされるのを阻止するためにこれらのグローバル変更制約を前記一組のデザインオブジェクト変数に加えるステップと、
を更に備える請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記グローバルセットのデザイン変数変更制約を決定するステップは物理的エンジンを用い、前記物理的エンジンによって指定の形状を有するオブジェクトの挙動をシミュレートし、前記指定の形状が環境内で安定であるかどうかを決定することができる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1ユーザにより決定された所定のデザイン表現に対する前記一組のデザインオブジェクト変数及び該オブジェクト変数に対する制約又は前記第2ユーザにより指定された所定のデザイン表現のオブジェクト変数の特定の選択された値を解析して前記デザインのオブジェクトの自動機械生成を阻害し得る論理的な矛盾を決定するステップを更に備える、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成するシステムであって、該システムは、
第1ユーザの端末に設けられ、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定することができる指定モジュールと、
前記第1ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定することを第1ユーザに可能にする指定モジュールと、
第2ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する前記制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信する受信機と、
前記第2ユーザの端末に設けられ、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にする操作モジュールと、
前記第2ユーザの端末に設けられ、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するグラフィックユーザインタフェース(GUI)と、
を備えるシステム。
【請求項26】
前記第1ユーザの端末及び前記第2ユーザの端末と通信する中央サーバを更に備え、前記第1ユーザの端末は前記中央サーバから前記デザインオブジェクト変数を指定する指定モジュール及び前記制約を指定する指定モジュールをダウンロードするように構成され、前記第2ユーザの端末は前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記中央サーバに第2ユーザの最終デザインとしてアップロードするように構成されている、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同で操作し得る共同デザインシステムであって、該システムは、
第1ユーザの操作用に配置された第1ユーザの端末と、
第2ユーザの操作用に配置された第2ユーザの端末と、
前記第1及び第2ユーザの端末間でデザインオブジェクトデータを伝送し得るように構成された通信ネットワークを備え、
前記第1ユーザの端末は、前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定すること及び前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定することができるように構成され、
前記第2ユーザの端末は、前記一組のデザインオブジェクト変数を前記通信ネットワーク経由で受信するよう構成され、更に前記第2ユーザが前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現を操作できるように構成されている、共同デザインシステム。
【請求項28】
共同デザインシステムの2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同操作することができる方法であって、該方法は、
第1ユーザの端末において、前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、
前記第1ユーザの端末において、前記一組のオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するステップと、
第2ユーザの端末において、前記第1ユーザにより指定された一組のデザインオブジェクト変数及び前記デザインオブジェクト表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、
前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ選択するステップを含む、前記デザインオブジェクト表現を操作するステップと、
前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、
を備える方法。
【請求項1】
第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成する方法であって、該方法は、
第1ユーザの端末において、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、
前記第1ユーザの端末において、前記一組の指定されたデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲含む制約を指定するステップと、
第2ユーザの端末において、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する前記制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、
前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約の値の範囲内でのみ可能にすることによって、前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にするステップと、
前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記デザイン表現の複数の点を選択し、選択した点を前記デザイン表現の機能領域としてグループ化するステップを更に備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の非隣接点を選択し、前記機能領域にグループ化するステップを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザインオブジェクト表現の一組の隣接点を選択し、機能領域にグループ化するステップを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記選択及びグループ化ステップは、前記デザイン表現の複数の機能領域を生成するために繰り返えされ、前記方法は、これらの機能領域のうちの一つを、前記第2ユーザによるこの部分の如何なる操作も阻止するためにロックするステップを更に備える、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記選択された機能領域にフォールオフ重み関数を与えるステップを更に備え、前記フォールオフ重み関数は前記選択された領域の第2ユーザ操作の前記デザイン表現の他の領域への影響を段階的に変化させる、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記デザイン表現にダイナミックスキン機能を与えるステップを更に備え、前記ダイナミックスキン機能は、前記デザイン表現のテクスチャスキン効果を生成するために、グループ内の各頂点に別の形状をインポートし添付する、請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記デザイン表現にアセンブリ機能を与えるステップを更に備え、前記アセンブリ機能は前記デザイン表現の選択された点に所定の形状を添付する、請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記デザイン表現にグループポリ機能を与えるステップを更に備え、前記グループポリ機能は前記デザイン表現の指定された領域にユーザ定義の制約を与える、請求項2〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記制約指定ステップは、前記第1ユーザの端末において、前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップによる変更を阻止するために、前記一組のデザインオブジェクト変数の少なくとも一つをロックするステップを含む、請求項2〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記デザインオブジェクト表現はポリゴンメッシュで表現されたオブジェクトの3次元モデルであり、前記方法は、前記第1ユーザの端末において、前記オブジェクトのデザイン表現をインポートするステップを更に備え、前記一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップは、前記ポリゴンメッシュに含まれる一つ以上のポリゴン頂点を選択するステップを含み、前記制約を指定するステップは、前記一つ以上のポリゴン頂点の各々に対して座標値の範囲を指定するステップを含む、請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップの結果を制約ファイルにコンパイルし、該ファイルを前記第2ユーザの端末に送信するステップを更に備える、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2ユーザの端末における前記操作可能化ステップの結果を最終デザインファイルにコンパイルし、該ファイルを中央データストアに送信するステップを更に備える、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記最終デザインファイルを前記中央データストアで受信し、格納するステップを更に備える、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記最終デザインファイルを3次元プリンタに送るステップを更に備え、前記3次元プリンタは前記最終デザインファイルに従って3次元オブジェクトを造形するように構成されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第1ユーザの端末上でグラフィックユーザインタフェースに表示するステップを更に備え、前記グラフィックユーザインタフェースが前記制約指定ステップ及び前記デザインオブジェクト変数指定ステップを実行するツールを提供する、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を提示するステップは、該グラフィック表示を提示するために前記第2ユーザの端末上のグラフィックユーザインタフェースを用い、前記方法は前記操作可能化ステップを実行するツールを前記グラフィックユーザインタフェースに与えるステップを更に備える、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記グラフィックユーザインタフェースの前記ツールは一組のスライダアイコンを備え、各スライダは一つのデザインオブジェクト変数に関連し、前記スライダの許容移動量は関連するデザインオブジェクト変数の許容変化範囲を表す、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
各スライダアイコンは、前記関連するデザインオブジェクト変数の変化範囲を制限するために、前記第1ユーザにより調整可能な可変の限界値を有する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記スライダアイコンの少なくとも一つにローカルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記チェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト変数の値を特定の量に固定する手段を提供する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記デザインにグローバルチェックボックスを設けるステップを更に備え、前記グローバルチェックボックスは前記第1ユーザが前記デザインの表面の向きなどの少なくとも一つの特徴にグローバル機能を与える手段を提供する、請求項18又は19記載の方法。
【請求項22】
物理的モジュールを用いて前記デザインの機能を維持するために必要なデザイン変数変更制約のグローバルセットを自動的に決定するステップと、
前記デザインの所望の機能を阻害する変更がなされるのを阻止するためにこれらのグローバル変更制約を前記一組のデザインオブジェクト変数に加えるステップと、
を更に備える請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記グローバルセットのデザイン変数変更制約を決定するステップは物理的エンジンを用い、前記物理的エンジンによって指定の形状を有するオブジェクトの挙動をシミュレートし、前記指定の形状が環境内で安定であるかどうかを決定することができる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1ユーザにより決定された所定のデザイン表現に対する前記一組のデザインオブジェクト変数及び該オブジェクト変数に対する制約又は前記第2ユーザにより指定された所定のデザイン表現のオブジェクト変数の特定の選択された値を解析して前記デザインのオブジェクトの自動機械生成を阻害し得る論理的な矛盾を決定するステップを更に備える、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
第1ユーザと第2ユーザが共同でオブジェクトのデザイン表現を生成するシステムであって、該システムは、
第1ユーザの端末に設けられ、前記デザイン表現の種々の特徴に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定することができる指定モジュールと、
前記第1ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を含む制約を指定することを第1ユーザに可能にする指定モジュールと、
第2ユーザの端末に設けられ、前記一組のデザインオブジェクト変数、前記一組のデザインオブジェクト変数に対する前記制約及び前記デザイン表現を通信ネットワーク経由で受信する受信機と、
前記第2ユーザの端末に設けられ、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現の操作を可能にする操作モジュールと、
前記第2ユーザの端末に設けられ、前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するグラフィックユーザインタフェース(GUI)と、
を備えるシステム。
【請求項26】
前記第1ユーザの端末及び前記第2ユーザの端末と通信する中央サーバを更に備え、前記第1ユーザの端末は前記中央サーバから前記デザインオブジェクト変数を指定する指定モジュール及び前記制約を指定する指定モジュールをダウンロードするように構成され、前記第2ユーザの端末は前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値の選択を前記中央サーバに第2ユーザの最終デザインとしてアップロードするように構成されている、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同で操作し得る共同デザインシステムであって、該システムは、
第1ユーザの操作用に配置された第1ユーザの端末と、
第2ユーザの操作用に配置された第2ユーザの端末と、
前記第1及び第2ユーザの端末間でデザインオブジェクトデータを伝送し得るように構成された通信ネットワークを備え、
前記第1ユーザの端末は、前記第1ユーザが前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定すること及び前記一組のデザインオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定することができるように構成され、
前記第2ユーザの端末は、前記一組のデザインオブジェクト変数を前記通信ネットワーク経由で受信するよう構成され、更に前記第2ユーザが前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記値の範囲内でのみ可能にすることによって前記デザインオブジェクト表現を操作できるように構成されている、共同デザインシステム。
【請求項28】
共同デザインシステムの2人の異なるユーザがデザインオブジェクト表現を共同操作することができる方法であって、該方法は、
第1ユーザの端末において、前記デザインオブジェクト表現に関する一組のデザインオブジェクト変数を指定するステップと、
前記第1ユーザの端末において、前記一組のオブジェクト変数の各々に対して第1ユーザにより指定された値の範囲を指定するステップと、
第2ユーザの端末において、前記第1ユーザにより指定された一組のデザインオブジェクト変数及び前記デザインオブジェクト表現を通信ネットワーク経由で受信するステップと、
前記第2ユーザの端末において、前記指定されたオブジェクト変数の少なくとも一つの特定の値を前記第1ユーザにより指定された前記制約された値の範囲内でのみ選択するステップを含む、前記デザインオブジェクト表現を操作するステップと、
前記第2ユーザの選択により指定された前記デザインオブジェクト表現のグラフィック表示を前記第2ユーザの端末に提示するステップと、
を備える方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【公表番号】特表2013−510358(P2013−510358A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537448(P2012−537448)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051846
【国際公開番号】WO2011/055144
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512116491)デジタル フォーミング エル ティ ディ (1)
【氏名又は名称原語表記】DIGITAL FORMING LTD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051846
【国際公開番号】WO2011/055144
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512116491)デジタル フォーミング エル ティ ディ (1)
【氏名又は名称原語表記】DIGITAL FORMING LTD
【Fターム(参考)】
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