説明

オリゴ糖標的物質による疾病治療薬及び疾病治療方法

哺乳類に有効な量のβ1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤を投与することを含む、悪性の哺乳類腫瘍細胞の標的方法、治療方法、又は診断方法。治療法として、この結合剤は、本質的に細胞毒性でもよく、内因性細胞毒性カスケードを起こすことができる、又は外因性の要因に関係している細胞毒性カスケードにおいて役割を果たすことができる。好適な結合剤は、β1,6−分枝オリゴ糖専用で、耐久性もよい百日咳菌である。遺伝子組み換えされた微生物も用いることができる。薬剤の組成物は、結合剤としての機能も果たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転移性の細胞生物学の分野に関し、さらに詳細には、特定のオリゴ糖特性に基づいた、転移性の細胞を標的とする薬剤及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコシル化の異常は、悪性腫瘍の特徴で、糖タンパク質、糖脂質、及びグリコサミノグリカンの炭水化物量の変化を含む。よく研究されている分野は、げっ歯類動物やヒトの細胞の悪性腫瘍の転移や、癌患者の悪い予後に関連する、N−グリカンのβ1,6−分枝オリゴ糖である。β1,6−N−アセチルグルコサミニル転移酵素V(GNT-V;E.C.2.4.1.155)は、受容体グリカンのペンタ糖類コア内のUDP-アセチルグルコサミンからα−1,6−マンノースへのN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の転移を触媒するトランス−ゴルジ酵素であり、トリ−、又はテトラ−アンテナ型のN-リカンの生成においてβ1,6−分枝構造を形成している。β1,6−GlcNAcに連結される、N-リカンのポリラクトサミンアンテナは、顆粒球と単球の正常な特徴であり、悪性腫瘍細胞にも関連している。ポリラクトサミンアンテナは、ルイス抗原やルイス抗原の担体であり、血管内異物侵入や全身性遊走(systemic
migration)の間の選択的結合(selection binding)において、正常な白血球と腫瘍細胞の両方によってN-グリカンとO-グリカンに使用される。
【0003】
GNT-Vの高い発現は、接触阻害の喪失や、基質癒着(substrate
adhesion)の減少、アポトーシスに対する感受性の増加、及びヌードマウスの発ガン性の増加を招くことが判明している。GNT-Vが不足しているマウスには、腫瘍の増殖の抑制や、転移の発生率の低下が見られた。β1インテグリンのβ1,6−分枝N−グリカンの増加は、αβインテグリンのクラスタ化を減少させ、試験管内のヒト線維内細胞の遊走を刺激する。
【0004】
レクチン、白血球フィトヘムアグルチニン(LPHA、インゲンマメ)は、β1,6−分枝オリゴ糖に高い親和結合性を示し、ホルマリン固定されたパラフィン包埋組織においてこのようなオリゴ糖を検出するレクチン組織化学に使用できる。しかし、ヒトの癌においてLPHA陽性細胞の組織学について殆ど報告されておらず、原発腫瘍のみを研究した2つの論文が存在するのみである。原発乳癌及び結腸癌に関する論文は、「細胞質内で核上に位置する粗面顆粒(coarse
granules)と小球」についてのLPHA染色に言及している(Fernandes B., Sagman U., Auger M., Demetrio M.,
Dennis J.W. (1,6-branched oligosaccharides as a marker of tumor progression in
human breast and colon neoplasia. Cancer Res. 51: 718-723, 1991)。原発乳癌に関する別の論文は、「時にゴルジ領域や原形質膜に集中するびまん性の細胞質」としてのLPHAの反応性について言及している
(Chammas, R., Cella, N., Marques, L.A., Brentani, R.R., Hynbes, N.E., and
Franco, E.L.F. re: B. Fernandes et al., beta 1-6 branched oligosaccharides as a
marker of tumor progression in human breast and colon neoplasia. Cancer Res., 51:
718-723, 1991.[letter; comment.] Cancer Res. 54: 306-307, 1994)。これらの論文は、LPHA陽性の予想程度について何も示しておらず、あるとしても転移性腫瘍内におけるものである。
【0005】
充実性腫瘍癌の化学療法の主な問題は、腫瘍細胞を消滅させるほど十分な濃度で薬剤のような治療剤を送達すると同時に、正常な細胞の損傷を最小限にすることである。このため、多くの研究室で行なわれる研究は、薬剤やプロドラッグ転換酵素、及び/又は腫瘍細胞内の遺伝子の標的送達(targeted
delivery)のための抗体やサイトカインやウィルスのような、生物学的なデリバリーシステムの設計に向けられている。Houghton and Colt,
1993, New Perspectives in Cancer Diagnosis and Cancer Diagnosis and Management
1:65-70; de Plazzo, et al., 1992a, Cell. Immunol. 142:338-347; de Palazzo et
al., 1992b, Cancer Res. 52: 5713-5719; Weiner, et al., 1993a, J. Immunotherapy
13:110-116; Weiner et al., 1993b, J. Immunol. 151:2877-2886; Adams et al.,
1993, Cancer Res. 53:4026-4034; Fanger et al., 1990, FASEB J. 4:2846-2849;
Fanger et al., 1991, Immunol. Today 12:51-54; Segal, et al., 1991, Ann N.Y. Acad.
Sci. 636:288-294; Segal et al., 1992, Immunobiology 185:390-402; Wunderlich et
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152:1802-1811; Huston et al., 1993, Intl. Rev. Immunol. 10:195-217; Stafford et
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Genetics 10:139-144; Saito et al., 1994, Cancer Res. 54:3516-3520; Li et al.,
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Gansbacher et al., 1992, Blood 80:2817-2825; Gastl et. al., 1992, Cancer Res.
52:6229-6236.
【0006】
生物学的デリバリーシステムは、その生物学的特異性のため、理論的には治療剤を腫瘍へ送達できる。しかし、デリバリーシステムとしての抗体やサイトカインやウィルスの有効性を危うくし得る数多くの障害が、充実性腫瘍に対する治療剤の送達には存在することが明らかになってきている。Jain,
1994, Scientific American 7:58-65.例えば、化学療法薬で転移性の腫瘍を根治するには、このような薬はa)脈管を経由して腫瘍に伝わらなければならない、b)腫瘍に供給している小さな血管から溢出しなければならない、c)末端の腫瘍細胞に届くように腫瘍基質から血液供給(blood
supply)に横切らなければならない、及びd)標的腫瘍細胞と効果的に相互作用しなければならない(付着、侵入、プロ−ドラッグ活性化等)。


【0007】
およそ150年前に癌治療において生菌が初めて計画的に使用され、その研究は最終的に免疫調節の分野に至った。今日、腫瘍を選択的に標的とする細菌株の発見や、ゲノム配列決定や遺伝子工学の到来による助けにより、細菌を腫瘍ベクターとして使用することが新たに関心を引いている。ビフィドバクテリウム属、クロストリジウム、及びサルモネラ菌はすべて、これらを末梢の部位から注入するとき、正常組織に比べて充実性腫瘍内において優先的に自己複製することが判明していて、3つの細菌全部は、プロドラッグ転換酵素、毒素、血管形成阻害薬、及び免疫促進サイトカイン等の遺伝子をエンコードしている因子を輸送したり増幅するために腫瘍ベクターとして遺伝子的に組み換えられている。この明細書の目的は、この分野の歴史的な評価をすることと、これらの細菌は癌患者の臨床試験用に準備されるので、これらの細菌の進歩状況に焦点を当てることである。
【0008】
たぶんドイツの内科医W. Busch (1)が、意図的に細菌に感染する予定の最初の癌患者を治療しただろう。1868年にBuschは、手術できない肉腫がある女性において腫瘍を焼灼し、「丹毒」(化膿連鎖球菌)を持つ患者が先に使った寝具に彼女を寝かせることによって細菌感染を誘起した。Buschは、一週間以内に原発性腫瘍は半分に縮小し、首のリンパ節も大きさが小さくなったが、患者は衰弱し、感染が始まった9日後に死亡したと報告した(1)。約30年後に、ニュ―ヨーク病院の若い外科医のWilliam
B.Coleyは、丹毒の重度の感染によって癌が治ったと思われる癌患者に出会った(2-3)。Coleyは、「私は、Bull医師が最後に手術した直後に丹毒の攻撃が偶然に起こった首にある非常に悪性の円形細胞肉腫で4回再発した1症例を発見していた。今回は、腫瘍が非常に広範囲に及んでいたので、首のより深い組織には腫瘍を除去しようと試みなかった。丹毒の最初の発作の2、3日後に2度目の発作が引き続いて起こり、1週間続いた。丹毒の発作の間、首の腫瘍はまったく消え、患者は良い健康状態のままであった。私は非常に苦労してこの患者の経過状況を最終的に追跡することに成功し、7年後の1891年に彼が生存していることを見出した」と書いた。この観察により、Coleyは癌患者にS発熱性を意図的に感染させることを始めた。Coleyは知らなかったが、ヨーロッパで同様の研究が既に導入されていて、1883年にドイツの外科医であるFriedrich
Fehleisenが、生菌のS発熱性物質を丹毒の原因として確認していただけでなく、癌患者を細菌の培養でもすぐに治療を始めていた(4)。
【0009】
ColeyとFehleisenはいずれも腫瘍の退縮をもたらすことに成功したことを報告し、Coleyは自分の研究結果によって非常に確信していたので、彼のライフワークの多くに癌治療において細菌の使用を研究することに充てた。Coleyは、細菌の毒素を隔離して準備するために生菌の使用をすぐに止めた。彼の研究記録は彼の娘のHelen
Coley Nautsによって丁寧に集められ、それは急性感染後に新生物疾病が退化したという200年に渡る症例報告書も要約したものだった(5-6)。癌と感染もどちらもそれほど進行性でないが、感染がかなり重症あるいは継続期間が長い場合、完全に消滅する腫瘍もあり、患者には再発の恐れがなかった。しかし、このような研究は逸話的で繰り返すのが困難であるため議論の的になっていて、このような臨床実験についての現代の水準にふさわしくないと思われる。それでも、マウスの腫瘍モデルにおける次の証拠は、少なくとも細菌感染の抗癌効果のいくらかは事実腫瘍の大きさを小さくしたことを示し、部分的にはその効果は宿主免疫系統の刺激を通して媒介されているようだった。Carswellら(7)は、グラム陰性の細菌からの内毒素(リポ多糖体類、LPS)が腫瘍壊死因子アルファの放出を阻害し、免疫系統の細胞によりサイトカインを媒介にした反応の誘因を開始し、腫瘍細胞の破壊を完結させることを最初に報告した(8)。次に、細菌免疫アジュバンドは、癌患者において免疫促進することが判明した
(例えば9-11)。今日、これらの研究と数多くの関連した研究は、William Coleyが一般的に創始者として認められている癌免疫療法の大きくて多様な分野で完成されている(1)。また、癌治療での細菌毒素の使用は、重要な目下の関心事であり続けている(12)。
【0010】
クロストリジウム
上記の初期の研究では、生菌をベクターとして、すなわち遺伝又は培養された抗癌剤を腫瘍に投与しながら、循環系の中への末梢の植菌の後に優先的に腫瘍に投入する微生物を使用するという概念はなかった。FehleisenとColeyの研究の後、最初にクロストリジウム科の胞子を用いて細菌を腫瘍ベクターとして使用する最初の試みが行われるまでに数十年かかった。クロストリジウムは、嫌気性生物の1グループで、壊死組織の良好な定着は普通であり、ガス壊疽を起こす。Vautierは早くも1813年には、ガス壊疽にかかった時癌が治ったようである癌患者について報告した(1)。クロストリジウム・ヒストリチカス菌の胞子を移植可能なマウスの肉腫に直接注射することにより、腫瘍崩壊(液化)及び腫瘍の退縮が起こったことが1947年に初めて判明した(13)。しかし、クロストリジウムに媒介された腫瘍崩壊が、急性毒性とマウスの死亡、多くの研究所で記録が取られた現象を伴ったので、ごく少数の動物しかこの治療後に生存しなかった(14-19)。「非病原性」土壌分離菌株クロストリジウム・ブチリカム菌株M−55を使用しているモーゼとモーゼ(15)は、以下のように細菌の静脈注射の結果として起こるErlich腹水腫瘍の定着と腫瘍崩壊について説明した。「胞子の注射の2、3日後に腫瘍は著しく柔らかくなり、その後すぐに触診によって増減した。今回、腫瘍は普通、この膿の一貫性を有した茶色っぽい液体状の壊死塊の自然発生的な排出と共に外へと突破した。痛みのある足は頻繁に壊死し、腹膜近くに大きな穴が残ることがあった。どのような時間の長さでも動物は普通腫瘍崩壊のこの段階で生存しなかった。腫瘍は、この時点で肉眼的に完全に消滅しているようだった。それでも、多くの場合、人はその穴の内側の端に壊死物質の層によって覆われたやや多くの腫瘍組織を組織学的に見つけると思われる。動物が非常に長く生存することはごく稀で、組織の欠陥がそれほど大きくない場合のみに起こった。」このようなクロストリジウム胞子の効果は、明らかに腫瘍の壊死部分、嫌気性部分の内部に発生させる能力のためだった。同じように準備された通性的嫌気性胞子形成微生物、バチルス・メセンテリカスまたは枯草金は、腫瘍崩壊をもたらさなかったので(しかし、腫瘍標的は評価されなかった)、胞子を形成する細菌のすべてが効果的とは限らなかった。これは、クロストリジウムの嫌気性表現型は、恐らくそれらが腫瘍の壊死部分を特定して標的とすることの根拠を強調しているが、そこで増殖する能力に他の要素も関係し得ることを示した。しかし、腫瘍が著しく酸素欠乏になるほど大きかったとき、クロストリジウム胞子は発芽と定着のみを達成した。転移性マウス腫瘍モデルでは、菌株M−55の胞子を静脈注射した後、臓器あるいはリンパ節における転移は、転移性腫瘍がそれほどの大きさ(2〜4g)に達していなかった場合、胞子には影響されなかった(18)。同様に、腫瘍が小さかった場合は、M−55を含んだ多くの非病原性クロストリジウム種の胞子を静脈注射することでは、投与時に何の効果もなかった。Thieleらによって記述されているように(17)、「胞子の発芽における性質上の相違は、本質的に新生物組織と正常組織の特徴でないようであり、より大きな腫瘍の塊内に見出される生理的状態や生化学的状態に関連していた。従って、クロストリジウム腫瘍崩壊は、よく循環し、栄養分が良い腫瘍細胞の小さな形成を見つけ出すことでうまくいくとは予想できないと思われる。」
【0011】
腫瘍の大きさの制限は、現在使用しているクロストリジウム株菌の特徴を残したままであるが、株菌は非常に毒性が低下して得られ、このため腫瘍のある動物にクロスリジウムを注射することによって生存時間が長くなり得る。初期の研究では、クロストリジウム発現ベクターを用いているFoxらは、大腸菌シトシン・デアミナーゼ遺伝子をクロストリジウム・ベイエリンキア属に変形でき、その結果変形したクロストリジウム細菌の抽出物内でシトシン・デアミナーゼ活性が増大した(20)。このような抽出物により、マウスEMT6癌細胞の培養に添加したとき、大腸菌シトシン・デアミナーゼを経由して毒性5−フルオロウラシルに変換することにより、癌細胞は5−フルオロシトシンに反応した(20)。同じように、Mintonらは、大腸菌ニトロ還元酵素遺伝子をクロストリジウム・ベイエリンキア属の中に入れて、大腸菌ニトロ還元酵素遺伝子に対して向けられた抗体の使用により、生体内のマウスの腫瘍内にこの遺伝子の発現を検出できた(21)。ニトロ還元酵素は、強力なアルキル化剤であるCB1954を活性化する。腫瘍ベクターとしてのクロストリジウムについての最近の研究は、生体内の放射性誘発性プロモーター遺伝子の使用による遺伝子治療と管理された遺伝子の発現とにおける可能性に重点を置いている(22-26)。別のグループは、化学療法と併用して(27)クロストリジウムを使用していて、細菌又は化学療法のいずれかのみと比較すると非常に改良された抗腫瘍活性を実証している。このため、クロストリジウム胞子を腫瘍に最初に注射してから長い年月の後、多くの最近の進歩が腫瘍を標的とする治療ベクターとしてのクロストリジウムについての良い見込みを証明している。
【0012】
ビフィドバクテリウム属
クロストリジウムの場合のように、ビフィドバクテリウムは、大きい腫瘍部分に存在する嫌気性増殖環境に要求される条件のために、大きい腫瘍にコロニーを形成しているのが発見されているグラム陰性通性細菌族の1つである。しかし、クロストリジウムとは対照的に、ビフィドバクテリウムは、非病原性で、胞子を形成せず、ヒトや他の動物の消化管内で自然に見つけられるので、腫瘍の治療において生菌剤として使用するのがより安全である可能性がある。細胞壁抽出物は、BCGと同じ免疫変調成分として使用されてきた(28-29)。
【0013】
このような腫瘍を標的とする研究の最初のものでは、キムラら(30)は、DDD−H−2マウスの太ももの筋肉に移植されたEhrlich腹水腫瘍を使用した。末梢静脈に乾燥ビフィドバクテリアの懸濁液を注射した。毎日ラクツロースを腹腔内に注入することにより、細菌の増殖及び/又は細菌の生存が促進された。ラクツロース、哺乳類細胞によって新陳代謝する細菌の糖基質を追加することにより、塩分調節と比較すると、細菌の相対的な増殖及び生存率が腫瘍内に1000倍増加した。細菌のターゲティング法は、96時間後他の臓器にほとんど細菌がない極めて特異的な腫瘍局在を示した。1時間後の腫瘍内の細菌は、10/g存在し、7日で10/g増加した。1匹のマウスにつき5(10
c.f.u.注射すると、直径が1.5cm以上の腫瘍に腫瘍ターゲッティング法が最良に行われた。同じ投与量で、1.5cm以下の大きさの腫瘍を標的とした結果、標的になった腫瘍の比率が著しく低下した。投与量を多くすると、小さい腫瘍のコロニー形成が増加した。このような研究では、抗腫瘍効能又は生存の長期化は見出されなかった。その後の研究は、ビフィドバクテリウムは自然に発生する腫瘍のより代表的な例であると信じられているマウスでの発癌性物を誘発する哺乳類腫瘍も標的とすることを示した(31)。
【0014】
ヤザワらは、ビフィドバクテリウム・ロンガムを用いてビフィドバクテリウムがエフェクター遺伝子を腫瘍に伝達するという証拠を提供した(32)。耐スペクチノマイシンマーカーを有するプラスミドをマウスのB16−F10メラノーマあるいはルイス肺癌に伝達する細菌の能力が評価され、両方の腫瘍タイプで耐スペクチノマイシンコロニーが得られた。同様に、エンドスタティン遺伝子を記号化するプラスミドを用いてつくられたB.アドレセンティスは、BALB/cマウスの中に埋め込まれたヘップスマウスを標的とし、血管形成と腫瘍の拡大の両方を阻害することを示した(33)。このようなデータにより、ビフィドバクテリウムはプラスミドを記号化した抗腫瘍エフェクター遺伝子を伝達するのに使用できるので、有望な腫瘍標的抗癌ベクターとして拡大する生菌のリストに加えられることが証明された。
【0015】
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、腸の感染症の原因であることが多いグラム陰性の通性嫌気性菌である。サルモネラ菌は、元来ヒト腫瘍にコロニーを形成することも知られている(34-37)。サルモネラ菌LPSと他の成分の高レベルの免疫刺激のために、早期に治療を受けなかった場合は、人体においてサルモネラ菌による全身感染症が敗血性ショックと高い死亡率を誘発する。しかし、Baconらの初期の研究は、マウス内のサルモネラ菌毒性はある栄養要求性変異体の中で弱められたことを証明した(38-40)。腫瘍のあるマウスにサルモネラ菌栄養要求体を注射したとき、1000対1を超えることが多いサルモネラ菌対正常組織の比率を達成しながら、優先的に腫瘍内に複製を作ることが1997年に最初に報告された(41)。好気状態下と嫌気状態下のいずれでもサルモネラ菌は増殖するため、大きい腫瘍と小さい腫瘍の両方にコロニーを形成することができる。サルモネラ菌は、微小転移巣の大きさと数が著しく減少する原因になるメラノーマ転移型を抑制することも証明された(42)。
【0016】
意外な研究結果は、人体の広い範囲とマウスに埋め込まれたマウスの腫瘍において腫瘍増殖を遅らせる毒性が弱められたサルモネラ菌の能力のことである。ほとんどの場合には、腫瘍増殖は、長期間抑制され、治療されずに数週間経つと腫瘍のあるマウスは死んでしまった場合もあった。遺伝子操作の容易さに加えてこのような観察結果は、サルモネラ菌は治療的抗癌剤の優れた候補であり、従って遺伝子を組み換えられたサルモネラ菌は、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(41,
43 -47)、大腸菌塩基デアミナーゼ(48)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)(49)及びコリシンE3(50)を記号化しているようなエフェクター遺伝子を発現するために開発されたことを示した。本明細書に引用文献として明確に記載されている米国特許番号6,190,657も参照のこと。
【0017】
サルモネラ菌を用いた治療を受けた癌患者のLPS誘発性敗血性ショックの可能性を低くするために、マウスとブタ内の毒性を弱める脂質A変性(msbB)サルモネラ菌栄養要求体
(purI-)を開発した(43)。このような突然変異は、宿主TNFα誘発が著しく減少したことを示し、それでもマウスにおける腫瘍標的、腫瘍増殖、及び腫瘍増殖抑制の能力を保ち、1000対1を超える腫瘍対正常組織との比率を有する単位(cfu)/g腫瘍を形成している10−1010コロニー腫瘍蓄積を達成した。下記にサルモネラ菌の腫瘍標的ベクターとしての可能性を説明している多くの実験を提示する。
【0018】
電子顕微鏡検査で見られるサルモネラ菌の腫瘍へのコロニー形成
電子顕微鏡法によってマウスにおけるマウスメラノーマのサルモネラ菌の感染とヒト細胞の様々な配列が研究された。犠牲にする5日前に細菌を腫瘍のあるマウスに静脈注射した。ヒト癌の様々な配列を含んでいる分析されたすべての腫瘍の場合のように、サルモネラ菌の極めて大多数は、壊死部分に見られた。しかし、メラノーマ細胞細胞質内に細菌が見られた場合もあり、この場合数多くのメラニン顆粒を伴った。どのサルモネラ菌によって、どんなメカニズムで、静脈又は腹腔内注射後に腫瘍感染と腫瘍の増殖を発生させるかを調査するために、宿主の全身感染の間にサルモネラ菌の増殖と生存に関っていることが周知であるサルモネラ菌染色体についての2つの主な病原性アイランドであるSPI-1及びSPI-2の潜在的な役割が研究された。
【0019】
サルモネラ菌病原性アイランド及び抗癌表現型
腫瘍内環境は、非常に複雑で、様々な物理化学的障害だけでなく、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球及び抗菌性の好中球を含む腫瘍浸潤白血球も示している。このような障害がある中で生存し、増殖するサルモネラ菌の能力は、抗癌ベクターとして使用するのに重要である。マウスチフス菌には、5つの病原性アイランド、より小さな病原性アイスレット、少なくとも1つの毒性プラスミド、及び他の染色体の部位上に記号化された毒性因子用の200の遺伝子を含んでいる(51-54)。少なくとも2種類のIII分泌系統(TTSS)もある。その片方(Inv/Spa)は、SPI-1にあり、腸からの播種の間に上皮細胞の細菌侵入を抑制する(55-56)。もう一方は、その宿主内でサルモネラ菌の全身性増殖に重要な役割を果たすSPI-2にあり、マクロファージと上皮細胞内の生存に必要である(57-61)。変異を抑止するという分析により、SPI-1でなくてSPI-2の発現は、細菌標的法によって少なくとも部分的に、また、腫瘍内の拡大によりサルモネラ菌の抗腫瘍効果には不可欠であるという結論を出した(62)。変異を抑止するSPI-1(prgH-)は、100倍生体外において侵入する率を減少させたが、生体内の腫瘍増殖抑制に効果を及ぼさなかった。しかし、変異を抑止するSPI-2(ssaT-)は、腫瘍増殖抑制を低下させた。SsaT-サルモネラ菌に加えて、トランスロコン(及び推定エフェクター)遺伝子sseA、sseB、sseC、推定シャペロン遺伝子sscA又は制御遺伝子ssrAにおける誘導体は、SPI-2+の対照物と比較すると、エフェクター遺伝子sseFとsseGにおける変異が、部分的に腫瘍増殖を遅らせたのに対して、腫瘍増殖を遅らせることができなかった。静脈間あるいは腫瘍内注射後にSPI-2変異には、腫瘍増殖の低下が見られた。SPI-2菌株は、欠陥のあるマイクロファージと好中球を用いてCD18の欠けたマウスについて腫瘍の増殖を抑制できず、SPI-2変異による野生型マウスにおける腫瘍増殖がなくなることは、単に遺伝子攻撃を受けやすくなる働きだけでないことを示した。従って、SPI-2は、たぶん腫瘍内の細菌増殖を促進することによるサルモネラ菌抗腫瘍効果に不可欠であり、このサルモネラ菌表現型について最初に確認された遺伝系である。しかし、構造は未知のままで、それによってサルモネラ菌抗癌表現型に到達するこのような非常に複雑な分子経路を理解するには更なる研究が必要である。
【0020】
変性脂質A(msbB)を有する安全なベクターの開発
サルモネラ菌のようなグラム陰性の野生型細菌を人体に全身投与する概念により、このような細菌が腫瘍壊死因子TNαによって媒介される敗血性ショックを誘発する生来の性質の重大な問題が提起された(63-64)。しかし、脂質生合成の研究は、大腸菌とサルモネラ菌ではある遺伝的閉鎖はTNFα誘発を非常に低下させ、細菌の毒性をほとんどなくさせることを示している。特に、msbB遺伝子の大腸菌遺伝的破壊には、脂質Aの末端ミリストイレーションが必要であり(65-66)、その結果細菌全部で10倍までTNFα誘発を低下させ、あるいは浄化されたLPSによって10,000倍まで低下させる安定した無条件の変異になる。msbBがサルモネラ菌の中で分裂したとき、同様の毒性プロフィールが報告された(67)。腫瘍標的用に予め使用された超侵襲性サルモネラ菌株の1つの内部のmsbBのコード配列に欠失が生じた(43)。サルモネラ菌では、このことが観察されない大腸菌とは対照的に、msbB-変異は、生体外である条件下で表現型の増殖に不具合が生じることを我々は発見した。サルモネラ菌msbB-菌株では、高い頻度で部分的にMsbB-表現型を抑制し、変形菌株を生じさせる二次的変異が起こる(68)。このような生きているmsbB-細菌(増殖サプレッサ付き及び増殖サプレッサなし)と、それらの分離した脂質では、動物におけるTNFαをもたらす能力の低下が実際に発見された。サルモネラ生菌野生型とmsbB-菌株は、マウスにおいて、注射後1時間半でTNFα誘発について比較された。TNFα誘発は、msbB-菌株を植え込んだ野生型マウスの33%にすぎなかった(表1)。同様に、msbB-生菌株には、シンクレアブタにおいてTNFαをもたらす能力の低下も発見された。シンクレアブタの耳静脈に注射したmsbB-がない細菌は、野生型によって誘発された量の14%でTNFαを誘発した。
【0021】
このTNFα誘発の減少は、生体内毒性の著しい低下を伴った。20 cfuぐらい少ない野生型サルモネラ菌を腹腔内に注射することによりマウスは死亡し、2×10cfuのmsbB-サルモネラ菌を注射した結果、100%のマウスが注射後28日間生存し、死亡率はごくわずかだった。同様に、シンクレアブタの耳静脈に10cfu注射したとき、同じ数のmsbB-変異細胞では100%のブタが28日間生存したのに対して、野生型サルモネラ菌により5日間で90%のブタが死亡した。
【0022】
その上、このようなmsbB-細菌は、TNFαにおいて減少し、生体内で弱毒化が増大しても、腫瘍を標的にし、その増殖を遅らせる能力を保持した。C57B6マウスにB16F10メラノーマを皮下に移植して腫瘍ターゲティング及びコロニーの形成を最初にテストした。10cfuの細菌を投与して5日後に、腫瘍レベルは、肝臓と比較して1000対1と2000対1との間に陽性ターゲティング率を示し、1gの腫瘍につき10から10であった(表2)。サルモネラ菌におけるmsbB-変異の存在は、皮下に移植されたB16F10メラノーマに対する腫瘍抑制活性も減少させなかった。弱毒化されたがmsbB+腫瘍標的菌株と同じく(41)、msbB-菌株は、非常に顕著な腫瘍増殖の抑制を示した。例えば、投与後18日で菌株YS8211のT/C%の抑制は94%であり、株菌YS1629は96%だった。
【0023】
このように、msbB-サルモネラ菌は安全なベクターとして良好な候補であると思われる。実際、1つのmsbB-菌株VNP2009
(45)は、3×108 cfu/m2の最大許容投与を証明している1つの試験及び若干の患者の腫瘍ターゲティングの最初の報告を添えて現在相Iの臨床試験中である(69-70)。このような細菌がヒトに安全に使用できることにより、遺伝子組み換えの菌株に以下で説明するように抗癌活性を用いて異種タンパクを生成するという更なる進展を促進してきた。
【0024】
腫瘍拡大タンパク質表現治療法(TAPETTM)
細菌がタンパク質発現系としての役割を果たす可能性は大きい。腫瘍を標的とするサルモネラ菌と他の細菌により、この可能性を抗癌治療用タンパク質の直接的な癌組織内への送達と発現の両方を含むところまで拡大する。細菌は哺乳類のグリコシル化や他のタンパク質調節に作用しないのに対して、このような調節が不必要なエフェクタータンパク質が数多くある。単純ヘルペスチミジンキナーゼ(HSV
TK)は、細菌において機能的に発現されるプロドラッグ転換酵素の1例である (41, 46, 71)。この酵素は、アシクロビル(ACV)とガシクロビル(GCV)等のヌクレシオド類似化合物を活性化する。我々は、B16F10皮下メラノーマモデルにおいてHSV TKの分泌された形式を発現しているサルモネラ菌株を使用し、1)細菌の先天性抗腫瘍活性を低下させたプラシミドベクターがあること、と2)このような細菌をGCVを用いて同時投与したとき、その結果腫瘍はGCVを追加せずに以前より2.5倍小さくなったことを観察した。この研究は、このような細菌には、化合物をその化学療法薬方法の中に活性化させるのに効果的なプロドラッグ転換酵素を送達する能力があることを示した。
【0025】
画像診断法
腫瘍の画像診断法は、更に潜在的に強力な腫瘍ターゲティングの応用例であり、HSV-TKシステムは、この方法には役立つモデルであることが判明した。HSV-TKを発現しているサルモネラ菌を用いて前治療されたマウスでの[14C]−2’フルオロ−2’デオキシ−5−イオドウラシル−(−D−アラビノフラノサイド(FIAU)の位置の特定を実証した(72)。[14C]−FIAU放射活性と細菌数データは、筋肉組織と比較してサルモネラ−TK依存14C]−FIAU蓄積が少なくとも30倍多いことを示した。このような結果は、腫瘍内のプロドラッグ転換の直接的な証拠を提供し、更に画像診断マーカーのサルマネラ菌を介した送達の実現可能性を証明した。
【0026】
放射線を併用したサルモネラ菌の抗腫瘍効果
治療対象が異なる2種類の癌治療の組み合わせにより、治療の結果生じる治療指数が向上していることが多い。このため、メラノーマ用と他の充実性腫瘍用のX線治療とを組み合わせるとき、サルモネラ菌が有用であり得るかどうかが調査された(73)。最近の研究では、メラノーマのX線治療は、局所的抑制が可能になり、さらにかなりの割合の患者において反応を完了することがわかった(74)。従って、サルモネラ菌とメラノーマと他の充実性腫瘍に対するX線とを組み合わせた治療の有効性をテストするもっともな理由があった。サルモネラ菌(静脈注射された)を使用、及び未使用でのB16F10成長抑制についての5〜15Gyの範囲であるX線照射のみの効能が確かめられた。1gの腫瘍を形成するために必要な腫瘍移植後の日数につき抗腫瘍活性を測定した。X線のみ(開いている円)では、照射依存方法において1gを形成するのにかかる時間が長引いた。サルモネラ菌のみ(閉じた円、0Gy)では、18+1dの対照値から(開円、0Gy)26+3dの値まで1gの腫瘍を形成するのにかかる時間が長引いた。驚くべきことに、サルモネラ菌とX線との組み合わせは、加法性について予想されたものより大きい用量反応曲線の傾斜のある相乗作用的抗腫瘍効果を示した。得られた用量反応曲線の実際の傾斜と唯一の加法性について予想されるその傾斜とを比較することで示すように、相乗作用は、B16F10メラノーマを使用しているマウスでは3つのX線用量反応実験の内3つ全部で示された。腫瘍増殖曲線は、サルモネラ菌と15GyのX線の1回の照射を組み合わせることでB16F10メラノーマの増殖を著しく遅らせ、他の治療法と比較すると、マウスの生存を長引かせた事を示している。サルモネラ菌と併用した1回の15GyX線の照射について同様の結果がDBA/2Jマウスにおいて皮下に移植されたクラウドマン・S91メラノーマを用いて得られた。2つの治療方法の相乗作用の観察結果は、これらの治療方法は異なる亜母集団の腫瘍細胞を標的とすることを示している。
【0027】
外部から加えられた刺激によるレポーター遺伝子の腫瘍内誘発
腫瘍内の抗癌遺伝子を外的に持続させ、あるいはパルス制御することにより、問題の遺伝子の抗腫瘍能力を向上させ得る。サルモネラ菌における腫瘍内遺伝子導入についての研究については、我々は2つのプロモーター遺伝子/レポーター遺伝子システムを探究した:テトラサイクリン感応性助触媒によって調節されるルシフェラーゼ遺伝子
(C. Clairmont, J. Pike, K. Troy and D. Bermudes,未発表)とSOS感応性助触媒によって調節されるコリシンE3遺伝子(50)。ルシフェラーゼ遺伝子を有するサルモネラ菌は、マウスへの無水テトラサイクリンの静脈注射後にテトラサイクリン感応性助触媒で生成されたルシフェラーゼに溶融した。5時間と15時間の治療プロトコル(p対基準(0.10)の両方における無水テトラサイクリンにより腫瘍内ルシフェラーゼ活性が誘発された。同様に、C57B6マウスにおいて増殖しているマウスB16F10メラノーマに、SOS誘導コリシンE3遺伝子を有するサルモネラ菌を用いてコロニーを形成したとき、それらは、マイトマイシンCの腹腔内注射又は外部から照射されたX線の後に腫瘍内コリシンE3を生成した。腫瘍上清の中のコリシンE3は、L培地内の大腸菌株MG1655の増殖抑制によって分析された。マイトマイシンCで治療された対照とマイトマイシンCで治療されなかった対照とを比較すると、腫瘍内のコリシンE3活性が8〜10培増加した。
【0028】
このため、サルモネラ菌に感染した腫瘍を用いた2つの異なるプロモータ-遺伝子系/レポーター遺伝子系の腫瘍内の活性化が達成された。本明細書には記載されていない追加的な研究では、組み換えN変異の誘発により、コリシンE3の腫瘍内SOS誘発への細菌の反応が増加した(我々の研究所からの未発表資料)。
このような研究は、遺伝子が組み換えられたサルモネラ菌を使用している外部から加えられた刺激による抗癌遺伝子の制御が、実現可能な治療方法であることを証明した。
【0029】
200年以上前に遡る逸話的症例報告は、重度の細菌感染患者における腫瘍の退縮と、癌治療における細菌の使用は、1800年代後半にFriedrich
Fehleisen博士とWilliam B. Coley博士によって別々に他に先駆けて開発され、1900年代の初めに徐々に癌治療用の免疫調節分野になったことを記載している(I-6)。多くのより最新の研究は、ヒトの癌治療における遺伝子が組み換えられた生菌の腫瘍ターゲティングベクターとしての可能性を現在証明している。動物の腫瘍モデルでは、このような細菌を選択的に腫瘍内に吸着し、増殖するので、腫瘍内の遺伝子送達及び治療効果が拡大する。微生物も固有の腫瘍抑制活性を示す場合もあるが、サルモネラ菌の場合、この効果はLPSが変換された菌株やTNFα誘発が低下した菌株でさえ残っている。遺伝子工学とゲノム配列における進歩により、この研究は非常に進歩している。
【0030】
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【0031】
ボルデテラ属
百日咳菌は、百日咳(百日咳)を引き起こす。百日咳は、単一又はペアで現われる非常に小さいグラム陰性の好気性球根菌である。その代謝は、呼吸性で非発酵性である。百日咳は、哺乳類の呼吸上皮組織の繊毛にコロニーを形成する。一般的に、百日咳は、非侵襲性であると考えられてきたが、肺胞マクファージにおいて隔離することができる。この細菌は、人及び恐らく高度な霊長類の病原体であり、他の保有宿主は知られていない。人は百日咳を予防するために常に百日咳菌に対する免疫処置を受ける。
【0032】
百日咳病には2期ある。第1期のコロニー形成は、約10日間の期間に渡って症状が重くなる熱を伴う上部呼吸疾病、倦怠感と咳である。第1期の間、微生物は咽頭培養から多数回復可能であり、抗菌治療により重症度が軽くなり、病気の期間が短くなる。百日咳の癒着作用には、細菌の表面上にある線毛のような構造体で、細胞結合百日咳毒素(PTx)である「線維状赤血球凝集素」(FHA)を伴う。短い感染距離の溶解性毒素は、コロニー形成期中の侵入においてのように役割も果たし得る。第2期、又は毒血症期の百日咳は、コロニー形成期の比較的非特異的症状になる。第2期は、最後には特徴的な吸気性息切れ(笛声)になることが多い長期の咳や発作性の咳を伴って徐々に始まる。第2期の間は、百日咳菌から回復することはまれであり、抗菌剤は病気の進行にほとんど効果がない。第2期は、様々な溶解性毒素が介在する。百日咳の毒素は、百日咳菌のみで合成されるが、パラ百日咳菌とボルデテラ・ブロンチセプチカ菌の両方がそれらを発現しないで百日咳の遺伝子を持っている。百日咳染色体からの毒素遺伝子をパラ百日咳菌に導入するとき、パラ百日咳菌は百日咳の毒素を発現する。
【0033】
百日咳菌とその付着因子の研究は、繊毛上皮細胞のほとんどの特徴がない培養された哺乳類の細胞に集中してきた。しかし、一般論が導き出されることもあった。2つの最も重要なコロニー形成因子は、線維状赤血球凝集素(FHA)と百日咳毒素(PTx)である。線維状赤血球凝集素は、細胞表面上に細い線状構造体を形成する大きな(220
Kda)タンパク質である。FHAは、繊毛細胞の表面に非常に一般的であるスルファチドとよばれる硫酸化糖脂質の上のガラクトーズ残留物に結合する。FHA構造遺伝子の変異により微生物のコロニー形成能力が低下し、FHAに対する抗体は、感染を予防する。しかし、FHA以外の他の付着因子は、コロニー形成に関りがあり得る。FHAの構造遺伝子は、クローン化され、大腸菌において発現されてきて、非細胞(成分)ワクチンへの使用のために生成されるようになってきた。
【0034】
百日咳菌の毒素の1つである百日咳毒素(PTx)は、気管上皮組織への付着にもかかわっている。百日咳毒素は、6つのサブユニット、S1、S2、S3、S4((2)とS5から構成される105
KDaタンパク質である。この毒素は、細胞外液と細胞結合の両方の中に分泌される。細胞結合毒素の成分(S2とS3)には、付着因子として機能を果たし、細菌を宿主細胞に結合させると思われるものもある。S2とS3は、宿主細胞上の異なる受容体を用いる。S2は、主として繊毛上皮細胞について見つけられるラクトシルセラミドと呼ばれる糖脂質に特に結合する。S3は、主として食細胞について見られる糖タンパク質に結合する。
【0035】
百日咳毒素のS1サブユニットは、ADPリボシル化活性付きの成分Aであり、S2とS3の機能は、そのままの(細胞外)毒素のその標的細胞表面への結合に関係していると考えられる。PTx成分に対する抗体は、細菌による繊毛細胞のコロニー形成を防ぎ、感染を効果的に予防する。このため、百日咳毒素は、明らかに感染の初期コロニー形成期での重要な毒性因子である。
【0036】
百日咳毒素のS3サブユニットは、食細胞表面に結合でき、FHAは食細胞表面(補体C3b用の受容体)上のインテグリンCR3に付着するので、細菌はそれ自体のまきこみを促進するために優先的に食細胞に結合できる。この異常な経路により取り込まれた細菌は、抗体あるいは補体C3bによって普通、オプソニンが作用する細菌細胞の食細胞取り込みを伴う酸化破裂を刺激することを予防できる可能性がある。いったん細胞内に入ると、細菌は食細胞の殺菌作用を損なうために他の毒素(すなわち、アデニール酸シクラーゼ毒素)を用いる可能性がある。百日咳菌は、この機能を用いて細胞内寄生として食細胞の中に入り込み、食細胞内に存続し得る。
【0037】
百日咳菌は少なくとも2つの異なるタイプの付着因子、2種類の繊毛及びペルタクチンと呼ばれる非繊毛表面タンパクを生成する。
【0038】
百日咳菌は、外毒素と菌体内毒素の種類に属する毒性作用を有する様々な物質を産生する。それは、哺乳類の細胞に入り込むそれ自体の侵襲性アデニール酸シクラーゼ(AC)を分泌する(炭疽菌は同様の酵素、EFを産生する)。この毒素は、局所的に作用して食細胞作用を低下させ、多分微生物の感染が始まるのを促進すると思われる。百日咳ACは、細胞に関連し得る、又は環境の中に放出され得る45
KDaタンパク質である。アデニール酸シクラーゼ遺伝子内の百日咳菌の変異により、マウスモデルの毒性が低下している。この微生物はまだコロニーを形成できるが、致命的な病気を発生させることはできない。アデニール酸シクラーゼ毒素は、酵素領域(すなわち、アデニール酸シクラーゼ活性作用)と宿主細胞表面に結合することになる結合領域を有する単一のポリペプチドである。アデニール酸シクラーゼは、元々溶血素であることが確認された。アデニール酸シクラーゼは、赤血球溶血を引き起こして赤血球膜の中に入れることで作用し得る。アデニール酸シクラーゼ毒素は、真核アデニール酸シクラーゼの活性を促進させるカルモジュリンと呼ばれる真核制御分子が存在するときのみに活性である。同じような制御分子が原核生物に存在しないため、アデニール酸シクラーゼ毒素は真核細胞内にのみ活性であり、特に真核細胞に寄生するように進化していると思われる。炭疽菌EF(浮腫因子)は、カルモジョリン依存アデニール酸シクラーゼでもある。
【0039】
それは、炎症や百日咳菌が存在している場所付近の局所的壊死の原因になる(以前は皮膚壊死毒素と呼ばれた)非常に致命的な毒素を産生する。この致命的な毒素は、その内2つは24KDaのMWともう2つは30KDaのMV付きである4つのサブユニットから構成される102
KDaのタンパク質である。それは、マウスに少ない容量を皮下注射するとき皮膚損傷を引き起こし、量が多い場合は致命的である。
【0040】
それは、繊毛呼吸上皮組織について毒性であり、繊毛細胞が弱くなる事を止めることになる気管細胞毒素と呼ばれる物質も産生する。この物質は、タンパク質を含んでいないので、典型的な細胞外毒素ではない。気管細胞毒素は、細菌が活発に増殖している細胞外液の中に現われるペプチドグリカン片である。この毒素は繊毛細胞を死滅させ、粘膜からの押出しを起こす。それは、サイトカンIL-1の放出も刺激し、そのため熱が出る。
【0041】
それは更に病気のコロニー形成期と敗血症期の両方に介在するタンパク質である百日咳毒素PTxも産生する。PTxは2つの成分、A+B細菌外毒素である。サブユニットA(S1)は、ADPリボシル転移酵素である。5つのポリペプチドサブユニット(S2からS5)から構成される成分Bは、細胞表面の特異的炭水化物に結合する。PTxは、ボルデテラ属の増殖場所から色々な感受性細胞と宿主の組織に移される。成分Bの宿主細胞への結合後に、サブユニットAは、粘膜を通して投与され、直接侵入の仕組みにおいて細胞質の中に放出される。サブユニットAは、酵素活性を得て、NADのADPリボシル部分を普通真核アデニール酸シクラーゼを抑制する粘膜が結合した制御タンパク質Giに移植する。Giタンパク質は不活性化され、アデニール酸シクラーゼを抑制する通常の機能を果たすことができない。ATPから環状AMPへの転換は止められず、cAMPの細胞内レベルが上がる。これは、細胞機能を破壊し、食細胞の場合には走化性、まきこみ、酸化破裂、及び殺菌等の食細胞作用を低下させる効果を有する。毒素の全身的効果にはリンパ球増加と、インスリン産生の増加(低血糖症になる)及びヒスタミンに対する感受性の増強(毛細血管浸透性、低血圧とショックが増加することになる)等のcAMPによって制御されるホルモン活性の変質が含まれる。
【0042】
PTxは、実験動物の免疫系にも悪影響を及ぼす。リンパ管を残す細胞Bと細胞Tは復帰できない事を示している。これによりAMIとCMI反応の両方が変化し、百日咳を伴う二次感染が高い頻度で起こる事を説明できる(最も頻度の高い百日咳の二次感染は、肺炎と中耳炎である)。
【0043】
百日咳毒素の効果はADPリボシル化とcAMPの増加に左右されるが、PTxのBオリゴマーの結合のみが、リンパ球有系分裂、血小板活性、及びインスリン効果等の細胞表面への反応をもたらすことができることが判明している。
【0044】
アデニール酸シクラーゼ(AC)は普通刺激制御タンパク質(GS)とグアノシンシリン酸(GTP)によって活性化しているが、抑制調節タンパク質(Gi)がGTPを加水分解するため活性化は通常は短い。コレラ毒素A1片は、ADP−リボース(ADPR)の制御タンパク質Gsへの結合に触媒作用を及ぼし、それからGTPが加水分解できないGs-ADPRを形成する。GTP加水分解はアデニール酸シクラーゼ(AC)を不活性化させることなので、酵素は継続的に活性化したままである。百日咳サブユニットAは、NADのADPリボシル部分を真核アデニール酸シクラーゼを通常抑制する、粘膜に結合した制御タンパク質Giに移植する。Giタンパク質は、不活性化され、アデニール酸シクラーゼを抑制する通常の機能を果たすことができない。ATPから環状AMPへの転換は止められない。
【0045】
百日咳菌は、グラム陰性細菌としてその外側の粘膜にリポ多糖体(内毒素)を有しているが、そのLPSは特異である。それは、脂質部分のリン酸塩含有量が相違している2つの主な形態を有する異種である。脂質Aの他の形態は、脂質Xと呼ばれる。その未分割原料は、LPSの通常の作用(すなわち、IL-1の導入、補体の活性化、熱、低血圧等)をもたらすが、2つの形態のLPSにおいてそのような作用の分布は相違している。例えば脂質Xでなくて脂質Aは、発熱性であり、そのO側鎖は非常に強力な免疫補助薬である。更に、ボルデテラLPSは、他のグラム陰性細菌からのLPSよりもリムルス分析においてより強力であるため、腸内細菌科でLPSの生物活性の知識をボルデテラのLPSに適用するのは堅実ではない。百日咳の病原におけるこの特異なLPSの役割は、研究されてこなかった。
【0046】
百日咳菌は、違った方法で抑制される。毒性因子の発現は、bvgオペロンによって制御される。最初に、微生物は、ほとんどの毒性因子と若干の未確定の外側の粘膜タンパク質がなくなることになる相変異と呼ばれる事象を経験する可能性がある。相変異は、10-4〜10-6世代の遺伝子頻度で起こることがわかっていて、単一の塩基をbvgオペロンの中に投入後に起こる特異なDNAフレームシフトから生じる。
【0047】
温度、又は化学物質含有量のような環境関数に反応して表現型変調と呼ばれる同じような過程が起こり、改善できる。これは、bvgオペロンの生成物によって媒介された適応過程であり、多くの細菌によって使用された2つの成分の環境感知(制御)システムの1例である。このような制御タンパク質の発現は、それ自体環境関数によって制御されるので、宿主への侵入は、生存と病気の発生に必要とされる成分を誘発し得る。
【0048】
この明細書の中では多くの参考文献が引用されていて、そのすべての開示内容は参考としてそっくりそのまま本明細書に織り込まれている。下記を参照の事:
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【発明の開示】
【0049】
本発明は、細胞表面におけるβ1,6−分枝オリゴ糖の発現に基づいて転移細胞を標的とする組成物と方法、及び、かなり特異な特徴によって腫瘍の進行に重要な役割を果たすと信じられている細胞を特定し、標的とする組成物と方法を提供することにあり、かかる組成物と方法は、β1,6−分枝オリゴ糖と粗小水疱を包含し、これは本明細書でより明らかとなるであろう。
【0050】
ヒト癌細胞は、広範囲に発現された表現型を有し、これは、β1,6−分枝オリゴ糖を多く含有する粗小水疱の発現を含む。GNT-Vによって触媒されたβ1,6−分枝は転移と関連していて、ヒト原発乳癌と結腸癌での低い生存率が予測する。

肺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、及び肝臓癌を含む、ヒトメラノーマや他の腫瘍に関する119のアーカイブ標本におけるβ1,6−分枝(LPHAレクチン組織化学により確かめられた)の研究では、ほとんどの腫瘍(96%)がLPHAを用いてある程度染色された。染色はいつも、限定的ではないが、粗小水疱と関連していた。メラノーマでは、LPHA染色は、CD63とgp
100とともに局在化した。色素性メラノーマでは、小水疱がメラニン化し、これは「粗メラニン」として既知である。LPHA陽性の、β1,6−分枝オリゴ糖を含有する粗メラニンは、腫瘍細胞とメラノファージの両方の特徴があって、よく知られた原発メラノーマのハイパーメラニン領域を占めた。LPHA陽性腫瘍細胞は、与えられた一つの腫瘍当たり0〜100%の範囲で、第1次物(メラノーマやその他)に広範囲に変化し、その一方で、転移は、15/16転移性メラノーマと腎細胞の75%以上を構成する小水疱状のLPHA陽性腫瘍細胞とはるかに同質(p=.0080)であった。他の研究によれば、GNT-Vは、ミンクの肺胞細胞(1)(Haririら、Mol.
Biol. Cell 11:255-268, 2000)における自食作用依存性LPHA陽性小水疱の形成をもたらしており、これは、本明細書で報告されている腫瘍内の粗小水疱が、GNT-Vにより誘発されたかもしれないことを意味している。表現型の発現は、非常に一般的であり、腫瘍進行の生物学の不可欠な構成要素であるらしいということが広がった。β1,6−分枝オリゴ糖は、通常、マクロファージや顆粒球等のような骨髄性細胞によって発現され、実験的なマクロファージ・メラノーマ合成物の顕著な特徴がある(11)。本明細書に参考文献として明確に挿入されている、Tamara
Handerson and John M. Pawelek, β1,6-branched oligosaccharides and coarse
vesicles: A common, pervasive phenotype in melanoma and other human cancers,
Cancer Research, in press, 2003を参照。
【0051】
β1,6−分枝オリゴ糖の病因論を説明する1つの仮説は、元の腫瘍の場所から遠くに移動する細胞の交雑造血発生(hematopoetic origin)である。このため、原発腫瘍細胞がマクロファージに融合される場合は、転移細胞についての多くの観察結果が説明され、診断や治療に対する新しい見識も提供されることになる。発表用に提出されたChakraborty,
A., Lazova, R., Davies, S., Backvall, H., Ponten, F.,Brash, D. and Pawelek, J.,
Genetic Evidence for Tumor-Hematopoietic Cell Hybrids in a Human
Metastasis(2003年)を参照。特に、この仮説によると、細胞はマクロファージに関して重要な特性を発現するので、このような細胞の生物学は、それらの働きに影響を与えるのに使用されるかもしれない。これにより、特定の成長因子、受容体、細胞表面構造、及び恐らく細菌やウィルスの標的メカニズムを用いる機会、特に、これらの細胞や、細胞の生物学の完全な理解に関連する病理学を扱う機会や、合成物についての予測された特性を明らかする。
【0052】
それらの骨髄の発生(myeloid origins)の結果、このような細胞は、骨髄性特異成長調節因子及び骨髄性特異成長調節要素に影響されやく、例えば、腫瘍活性を誘発することにより、そしてそれにより治療に対する感受性が強くすることにより、処置の治療指数の強化に使用されたり、細胞防御と適応の仕組みを低下させるのに使用されたり、分子標的(molecular
targeting)に役立つ細胞表面マーカーの発現を増加させるために使用される。同様に、それらの交雑発生(hybrid origin)の結果、転移性腫瘍細胞も、正常な骨髄性細胞と区別できるので、正常組織を節約する機会を与える。例えば、親腫瘍組織は一般に知られているため、親腫瘍組織に対する増殖調節因子又は増殖調節要素も用いら得る。
【0053】
このような細胞を標的にする能力は、病気の診断、あるいは治療、あるいは病気の予後の決定に有利に応用できる。
【0054】
標的薬剤は、例えば、薬剤(例えば小分子)、高分子、ウィルス又は微生物でもよい。標的薬剤は、所望の結果、又はカスケードの一部、例えば工程の開始剤について直接的に関与し得る。カスケードの他の要素は、微生物に対して内因性でもよい、又は体外から投与されてもよい。
【0055】
従って、本発明の1つの態様は、このような異型オリゴ糖及びそれらに対応するタンパク質、脂質とグリコサミノグリカン複合糖質を転移性疾患用及び/又はその画像診断法用の分子医薬品として用いることである。
【0056】
転移性癌細胞に使用するβ1,6−分枝オリゴ糖は、一般化が可能な転移性疾患の治療用分子対象物を表す。このため、本発明によれば、オリゴ糖標的薬剤又はベクターは、例えば転移性疾患の画像診断法により治療又は診断に用いられ得る。このような医薬品には、限定されていないが、細菌、ウィルス、レクチン、抗体及びリポソームが含まれていて、それらの各々が異型オリゴ糖、及び/又はそれらに対応する複合糖質タンパク質、脂質、及び転移性腫瘍に使用するグリコサミノグリカンの特異的結合能力を示し得る。治療については、癌細胞を消滅させるため、又はそうでない場合は腫瘍増殖を抑制するため、ベクターの医薬品が、固有の、又は工学された抗癌毒素、薬品、又は生体活性剤等を有することが好ましい。診断については、このような属性がなくてもよく、実際ないほうが好ましい。一方、特に画像診断法用の診断剤は、それ自体又は他の医薬品と併用して標的とする属性、例えばオリゴ糖があることを厳密に、そして正確に示す属性を含む。
【0057】
同様に、マクロファージ合成物である転移性腫瘍細胞は、充実性腫瘍細胞(原発腫瘍)とマクロファージの両方の形質を発現する事実に基づいて標的としてもよく、二重に標的とされるとき、相乗効果がある治療を用いてもよいと示唆される。例えば、細胞が親細胞系専用の表面マーカーを発現する場合は、各マーカーは抗体又は受容体特異リガンドを用いて認識され得る。例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)検出方法をこのような細胞の存在を診断することに使用できる。FRETそれ自体は、治療として、特に外部照明に転移が接近しやすい場所に使用できる。そうでない場合は、同じ細胞についてのこのような抗体又はリガンドを併用して例えば両方用いられるとき、相乗的に毒性である、又は所定の反応が起こる医薬品を提供することにより、特定の治療用の細胞を標的にできる。
【0058】
このような細胞を特定し、標的とするのに、本質的に特異で組み合わせが特異もある様々な細胞表面マーカーを用いることができることも明らかである。このようなマーカーには、β1,6−分枝オリゴ糖が含まれ得る、又はそれとは異なってもよい。
【0059】
従って、交雑マクロファージ腫瘍細胞は正常組織と区別でき、それらのかなり特異な表現型、例えば表面β1,6−分枝オリゴ糖に基づいて特に標的とされ得ることは明白である。同様に、悪性細胞がマクロファージ誘導であることを認識した結果、例えば造血性増殖因子の使用又は調節という他のターゲッティング方法も用いることができる。
【0060】
若干の例では、診断剤は選択性が不十分なので、対象とする病理学の指標としてにせの陽性検出をする。従って、このような非選択的診断剤を有用な検出感度と選択性の両方を有する他の薬品と併用できる。有利なことに、診断剤と補助薬品は、同じ技術を用いて同時あるいは異なる時間のいずれかで両方が検出される。例えば、各々が次善の選択性を持つ2つの異なる薬品に基づいた画像診断法は、対応物、例えば磁気共鳴診断法、ボジトロンCT、コンピュータ断層写真、ガンマ放射等と比較できる。その技術は、1回の測定で、例えば酵素気質相互作用と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)等という2つの薬品の共同相乗効果にも左右され得る。
【0061】
β1,6−分枝オリゴ糖は、それら自体比較的に転移細胞に限定されていて、このため単独で有用な診断剤や治療剤としての機能を果たすことができる。
【0062】
本発明によれば、百日咳生菌を標的薬剤として、例えばこの微生物は転移細胞についての致死だけでなく著しい特異性も示すので、その表面にβ1,6−分枝オリゴ糖を発現している細胞用に使用することが特に好ましい。
【0063】
本発明の態様は、特定のボルデテラ及び非ボルデテラの細菌種と細菌亜種は、その転写産物又は副産物が腫瘍内の上記細菌を検出することに活用できる特定の遺伝子を含有するように、遺伝子を組み換えることができることにもある。例えば、細菌はミオグロビンの遺伝子、例えばプラシミドを挿入することにより遺伝子が組み換えられる、又は細菌ゲノムに溶け込ませることができる。ミオグロビン表現型は、発現できるか、又は細菌の標的を得ることに関連があるプロモーター遺伝子に結合され得る。ミオグロビン及び特にその酸素との関連を磁気共鳴映像法(MRI)と磁気スペクトロスコピー(MRS)の非侵襲的技術により検出できる。用いることが可能なこのような遺伝子工業技術、及び様々なレポーター、並びに活性及び/又は毒性遺伝子産物は、当業界で同様に公知である。
【0064】
本発明によれば、レポーターを発現する細菌は、癌細胞上の異型オリゴ糖と相当する複合糖タンパク質とに固有の特異性を有する可能性があるので、診断剤として有用であり得る。一方、このレポーター技術は、他の特異性又は目的の標的を有する他の細菌と一緒に用いることができる。このような検出は、治療時に治療用細菌を患者に注射した後に、いつ、どの程度まで腫瘍にコロニーが形成されるかを判定するのに有用であると思われる。同様に、このような遺伝子発現が毒性である程度まで、例えば腫瘍細胞付近に遊離基反応を強化することにより、これらは同様に有用な治療法である。
【0065】
磁気共鳴映像法、ガンマ線シンチレーション、ポジトロン放射、特定蛍光発光等により特定可能ではあるが、薬学的に容認可能である組成物を提供することにより、転移細胞集合を検出し、特定する目的で哺乳類に投与できる診断器具が提供される。
【0066】
細胞表面マーカーに対して特に標的とし、細胞毒性であるか、又はそうでない場合は細胞が死滅したり、又は重大な代謝性変化が起こったりすることになる反応を起こすことができる組成物を提供することにより、このような組成物は、転移性疾病の治療についての合理的根拠も形成する。例えば、腫瘍細胞の治療において有効である可能性があるβ1,6−分枝オリゴ糖を発現している治療標的細胞は、転移性癌、転移性メラノーマ、脳腫瘍、リンパ腫、及び骨髄性白血病から構成される群から選択される細胞型から派生している。
【0067】
本発明の好適な実施例によれば、β1,6−分枝オリゴ糖を発現している細胞を特に標的とする細胞毒性薬として百日咳菌を投与する。
【0068】
本発明の態様は、薬の投与と併用して化学療法レジメンを提供することでもある。例えば、百日咳生菌の投与後、パラ百日咳菌又はボルデテラ・ブロンチセプチカを、ボルデテラ属が宿主内で適切な反応を起こした後、例えば転移組織、エリスロマイシン、クラリスマイシン、及び/又はアジスロマイシン等の抗生物質が壊死することになる炎症反応を起こして治療薬として使用できる。従って、抗生物質は、より特異でない、恐らく細菌の悪影響からの「救済」としての機能を果たし、必要に応じて又は予防的に使用できる。実際、細菌は、特別な抗生物質に対して特に感受性を有するように組み換えられ、このため副作用の発生率が低い限られたスペクトル薬を使用できる。バクテリオファージも治療後細菌を死滅させるために使用できる。
【0069】
細菌の毒性を強めるために薬剤を投与してもよい。例えば、ヒスチジンがないと著しく増殖が遅れるのに対して、ヒスチジンの投与により生体内の百日咳の毒性が強化されることが判明している。
【0070】
組織に用いる細菌の特異性が標的組織への侵入及び/又はコロニーの形成よりもむしろ、診断テストの最も重要な点である診断方法に生菌を使用する場合は、抗生物質の同時使用を指摘してもよい。つまり、細菌の投与に一時的に似ている細菌の増殖を防ぐ薬剤の投与により、予想される拒絶反応と症候性感染の発生を減少させることができる。薬剤としての細菌は、特別な抗生物質、例えば限られたスペクトル抗生物質に対する感受性を含有するように遺伝子組み換えが行われてもよい。薬剤に対する感受性によって細菌を選択することもできる。
【0071】
同様に、診断システムで薬剤を用いることにおいて、診断の基礎であるタッグを用いて二次的に薬剤にラベルを貼ってもよい。従って、薬剤それ自体が、例えば医療画像診断技術を用いて区別できる必要はない。
【0072】
本発明の他の態様によれば、予後を予想した、又は転移の可能性を予想するために、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を用いて、原発乳癌のスペクトルを分析する。MRSは、例えば組織内のβ1,6−分枝N−グリカンの存在であるグリコシル化に反応する可能性があり、この点について区別することができる。MRSは、当業界で公知であり、本明細書でこれ以上述べる必要はない。
【0073】
本発明のさらに他の態様は、例えばアデノウィルスのような、同じようなオリゴ糖結合特異性を発現するために組み換えられた特定のウィルスは、上記の抗癌ベクターとしても有用であることにある。この場合、アデノウィルスには細胞毒性ペイロードが含まれる。同様に、類似のオリゴ糖結合特異性を発現するために組み換えられた特定のウィルス、例えばアデノウィルスは、本発明に従い個々のオリゴ糖、例えば腫瘍を発現している組織の画像診断用に使用できる。
【0074】
同様に、当業界で既知のように、その表面にβ1,6−分枝オリゴ糖を発現するように感染した細胞を誘発できる特定の細胞型に高い標的特異性を有するウィルスを生成し、それにより本発明の別の様態により薬剤を用いてそのウィルスを標的物とすることができる。β1,6−分枝オリゴ糖を発現する新生物又は他のマクロファージに関連したマーカー専用のウィルスを確認すること、又は改良することもできるが、マクロファージそれ自体は親和性が低い。
【0075】
本発明の他の態様は、同様のオリゴ糖結合特異性を発現するように改良された特定のレクチン、リポソーム、抗体等も前記の抗癌剤として有用であることにある。
【0076】
本発明の他の態様は、同様のオリゴ糖結合特異性を発現するように改良された抗体、レクチン、及びリポソームを含んでいるが、それらに限定されていない特定の非生物剤は、各々同様のオリゴ糖、例えば腫瘍を発現している組織の画像診断法にも有用であることにある。
【0077】
本発明の他の態様によれば、原発腫瘍の生体外生検試料又は生体内腫瘍自体は、特異である、あるいはβ1,6−分枝N−グリカンに高い親和性を有する薬剤に影響される。それから、例えば光学顕微鏡又はMRSを使って細胞に対する薬剤の親和性を判断するために腫瘍を分析する。より高レベルの親和性を発現している細胞は、一般的により悪い予後と関連している。この方法は、治療に対する反応を予想するのにも使用できる。腫瘍がβ1,6−分枝N−0グリカン専用の診断剤に高い親和性を有する場合は、治療法はこのような細胞表面マーカーに特有であるようである。診断テストでの低い親和性は、対応する治療剤への低い反応を示す可能性がある。しかし、同じ原因からの異なる腫瘍は、違った風に反応する可能性があることに注目する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
(実施例1)
実験結果:乳癌
β1,6−分枝N−グリカンとして知られるグリコシル化の異常形態を区別するレクチンLPHA(白血球のフィトヘムアグルチニン)を用いて、腫瘍初期及び腫瘍転移の乳房組織マイクロアレイを染色した。転移の染色状態については何もわからなかったが、このタイプのグリコシル化は、従来から乳癌初期での検出時に低い生存率と関連があった。対照的に、腫瘍初期(並べて処理された)を非常に低い度合いで染色した。従って、これにより原発腫瘍と転移性腫瘍とを区別する根拠、及び高い転移の可能性のある原発腫瘍とより良性である原発腫瘍とを区別する根拠が与えられる。
ヒト乳癌は、このため百日咳菌治療又は他のオリゴ糖標的治療の候補であると思われる。60症例の原発メラノーマと転移性メラノーマ、肺癌、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌及び肝臓癌を含む59症例の様々な新生物、及び組織マイクロアレイについての600症例近い乳癌のアーカイブ人体試料において、「結節陽性」原発腫瘍と優劣がつかない腫瘍陽性リンパ節から成るLPHAレクチン組織化学によるβ1,6−分枝を研究した。腫瘍転移はたいてい原発腫瘍よりも高い度合いで染色した。約300症例の転移と500症例の結節陽性初期を得て、95%以上の転移細胞が均質的に染色されていて、非常に高い度合いで転移の染色が著しく増加したのがわかった。染色は、限定的ではないがいつも粗小水疱と関連があった。リンパ節に転移した乳癌を原発腫瘍(p<0001)よりもかなり高い度合いでLPHAを用いて染色した。本明細書で報告された腫瘍内の粗小水疱が、GNT-Vによって誘起された可能性がある。乳癌、乳房のメラノーマ、及び他の様々なヒト癌におけるLPHA陽性により、細胞質の粗小水疱とβ1,6−分枝N−グリカンの同時発現が明らかになった。
LPHAとヘマトキシリンを用いて並べて染色された患者に合った腫瘍マイロアレイでは、総合的LPHA染色度は、原発腫瘍と比較するとリンパ節転移においてより高いことが見られる。各部の腫瘍細胞をLPHA染色度について0〜4の相対得点を得た。結果を図1でグラフ上に示し、「結節陽性」原発腫瘍と比較すると転移毎の染色度において非常に高い(p<0001)上昇を表している。
このような研究は、拡大して「結節陰性」初期を含んだ。まとめると、「結節陰性」一次乳癌のLPHA染色度は平均して約1(n=〜200腫瘍)であり、「結節陽性」初期の染色度は平均して約2(n=〜500腫瘍)であり、癌陽性結節の染色度は平均して約4(n=〜300腫瘍)であった。従って、このような構造の機能を示し、腫瘍が進行するにつれてβ1,6−分枝N−グリカンは増加した。
このような結果は、β1,6−分枝オリゴ糖が乳癌、特に転移性腫瘍に共通の特質であることも示している。予備調査では、少数の転移性メラノーマ(n=13)、腎細胞癌(n=3)、及びホジキンリンパ腫(n=13)について同様の結果であった。
従って、このようなオリゴ糖と、ポリラクトシアミンとルイスのようなフーコス化された改良物を含んでいるそれらに関連した構造体は、特に特定のオリゴ糖標的細菌、ウィルス、レクチン、リポソーム、抗体等を用いて診断テスト及び/又は治療的介在の標的であることがわかっている。また、癌細胞、特に転移性癌細胞により発現された特定のβ1,6−分枝オリゴ糖を含有する糖タンパク質、糖脂質又はグリコサミノグリカンは、前記薬剤による診断テスト及び/又は治療的介在の標的でもある。このような糖タンパク質にはリポソーム関係のタンパク質1及び2、β1インテグリン、CD63とMAC−1が含まれている。
【0079】
(実施例2)
転移標的ベクターとしてのボルデテラ属
百日咳菌、パラ百日咳菌及びボルデテラブロンチセプティカを含むボルデテラ属は、ヒトと他の哺乳類に呼吸器感染症を発症させるグラム陰性細菌亜種と密接に関連がある。例えば百日咳菌は、その通常のライフサイクルでは繊毛上皮やマクロファージ等の気道細胞上で特定のオリゴ糖とタンパク質に結合することにより、人体の気道に感染する(Tuomanen E. Subversion of leukocyte adhesion systems by respiratory
pathogens. ASM News 59:292-296,1992)。これは、高い親和性(「厳重に保管」)結合メカニズムによる哺乳類の細胞表面のオリゴ糖とタンパク質に付着する「付着因子」である細菌性タンパク質により行われる(Saukkonen
K, Burnette WN, Mar VL, Masure HR, Tuomanen EI. Pertussis toxin has
eukaryotic-like carbonydrate recognition domains. Proc. Natl. Acad. Sci. USA
89:118-122, 1992)。このような同じ又は非常に類似の気道細胞のオリゴ糖とタンパク質は、転移性のヒト癌でも存在し、百日咳菌では生体内のヒト癌細胞に侵入するこのような標的を使用することが本明細書で示されている。
ボレデテラ属は、癌細胞への付着、例えば癌細胞上、特に転移性癌細胞上に異常に発現した特定のオリゴ糖とタンパク質への付着という特異な仕組みがあったため、また下記で述べる追加的な理由のため、ボレデテラ属は診断補助剤や診断補助ツール、画像診断剤として、また特にヒトや他の哺乳類の転移について抗癌ベクターとして有用である。
癌細胞上の異常オリゴ糖と相当する複合糖質タンパク質について同じような固有の特異性を有する特定の非ボルデテラ属の細菌種と細菌亜種は、前記抗癌ベクターとしても、また診断用、例えば画像診断用剤やツールとしても有用である。更に、遺伝子工学技術により、細胞の標的用に適切な微生物、例えば他の改良種におけるボルデテラ属の付着を発現して構成できる。同様に、ボルデテラ属は、より選択的に特定の細胞を標的とするように、そして/又はこのような細胞又はそれらの周囲組織に特別な効果を及ぼすように適切に遺伝子を組み換えることができる。
【0080】
(実施例3)
百日咳菌による腫瘍性ヒト細胞と正常ヒト細胞との区別
ヒト転移性メラノーマ細胞(Skmel-23/C22)を百日咳菌株536(ATCC 10380)の侵入用の宿主として正常なヒトメラニン細胞と正常なヒト線繊芽細胞とを並べて比較した。細菌は、同じ30分間の間で正常なメラニン細胞と線繊芽細胞に侵入するよりも20倍から30倍メラノーマに侵入した。従って、百日咳菌は、癌細胞と正常細胞とを区別するその能力に関係している腫瘍に特異なベクターであり、治療時に正常細胞への望ましくない副作用の可能性を減少させる。百日咳は、更に、癌細胞と正常細胞とを区別するその能力のために画像診断法で有利であるので、正常細胞から背景の偽のシグナルを減少させる。
【表1】

37℃のインキュバーター内でボルデーシャング寒天平板上(Remel,
Inc.)に百日咳菌を48時間から72時間培養した。細菌を哺乳類の細胞にさらすまでに、細菌をLB培地(LB)液体増殖媒体にループ移転させ、109
cfu/ml (CD600=0.5)の濃度に調節した。ヒトのSkmel-23/C22転移性メラノーマ細胞、正常なヒトメラニン細胞又は正常なヒト線繊芽細胞を10%の多胎ウシ胎仔血清で補充された抗生物質を含まないDMEM増殖媒体においてコーニング12ウエル組織培養平板(2-4
´ 104 細胞/ウエル)の中に植菌し、37℃のガスを入れ加湿したインキュベーターの中に置いた。24時間後、メラノーマ細胞に1
mlの新しい溶剤を充填し、15〜20時間後、下記のように百日咳菌株536を添加した。言及されたように、細菌を接種する直前、又は2時間前までにボルデテラ属の付着とメラノーマ細胞の浸潤に有望な阻害剤を加えた。ボレデテラ属の侵入分析は以下の通りであった。実験にもよるが、106-108 cfu/wellを達成するために細菌(LB液体媒体中に0.1
ml)をメラノーマ細胞培養媒体に直接添加した。その後12個のウエル平板を37℃で温置した。30分後、その媒体をポリミキシンB(100 mg/ml)を含有している新しいDMEM/FBSに取り替えて、もう60分間温置を続けた(ポリミキシンBは哺乳類の細胞に浸透できないので、癌細胞内に侵入している細菌が死滅しないのに対して、癌細胞外の非侵襲性細菌はこの過程で死滅した)。
ポリミキシンBを含有している媒体をトリプシン(0.25%
wt/vol)とEDTA(1mM)を含有している塩分なしのCa++/Mg++に取り替え、平板をもう10分間37℃で温置してメラノーマ細胞を集菌した。その後メラノーマ細胞を連続希釈法でボーディット・シャングー寒天平板上に置き、4日間37℃で温置し、百日咳菌を「コロニー形成単位」(cfu)としてコロニー計数法により定量した。グリコシダーゼF(ペプチド・N−グリコシダーゼ;PNゲーズ F;EC
3.5.1.52)は、Sigma-Aldrich Co.製であり、レクチン LPHA(インゲンマメからの白血球のフィトヘムアグレチニン)は、Vector
Laboratories, Inc.製であり、抗CD11B(抗ヒト反応性付きネズミ抗マウスモノクローナル抗体 CBL13B)は、Cymbus
Biotechnology LTD.製であり、抗CD15(マウス抗ヒトモノクロナール抗体クローンC3D−1)はDako, Inc.製である)レクチンTGP(テトラゴノバス・プルレアス)、RGD(Arg-Gly-Asp)及び梅毒ヒバマタは、Sigma-Aldrich,
Co.製であった。
【0081】
(実施例4)
メラノーマ細胞への付着と侵入時の蛍光標識された百日咳菌の可視化
蛍光標識された(FITC)百日咳菌は、培養状態のSkmel-23/C22ヒト転移性メラノーマ細胞に付着している、及び/又は侵入しているのを蛍光顕微鏡で見ることができる。ポリミキシンBを用いた侵入手順は上記の通りであり、FITC標識された細菌のみを使用し、写真を取る前に広範囲に塩分を洗い流した。蛍光視界像と蛍光プラス明視界光学写真とを比較すると、細菌はメラノーマ細胞内にある、あるいはメラノーマ細胞に付着していることがわかる。このような結果により、百日咳菌がヒト癌細胞に付着する、又はメラノーマ細胞内に侵入する証拠が示される。
百日咳菌の癌細胞への付着と侵入についての構造的必要条件
百日咳菌のヒトメラノーマ細胞への付着と侵入についての構造的必要条件を調べるために、様々な添加物を用いて定量的侵入分析を行った。下記表1に記載された添加物はすべて百日咳菌の侵入を阻害した。阻害剤によって明らかになった推定標的は、右手欄に記載されている。
【表2】

従って、百日咳菌の付着と侵入には、少なくともそのいくらかがβ1,6分枝N−グリカンであり、少なくともそのいくらかがルイスのようなフーコス化構造体を含んでいるメラノーマ細胞N−グリカンを含んでいた。百日咳菌についてのメラノーマ細胞上のタンパク質/ペプチド付着場所には、MAC−1又はMAC−1のような配列、及びArg-Gly-Asp 3価ペプチド配列が含まれた。このため、ボルデテラ属が癌細胞に侵入する過程でこのような構造体を用いることは明白である。また、本発明によれば、このような構造体は、ボルデテラ属抗癌ベクターを用いた治療的介在用の標的である。同様に、このような細胞マーカーを自然に標的とする、又はこのようなマーカーを標的とするように改良される微生物は、本発明によって使用することもできる。本発明の更なる態様は、このような構造体は、診断用、例えばボルデテラベクターを用いた画像診断法の標的であることにある。
【0082】
(実施例5)
癌細胞に対する百日咳菌の毒性
培養状態で癌細胞を百日咳菌及び/又は百日咳菌によって放出された物質にさらすことにより、緊急の形態変化、細胞毒性、及び培養状態でのヒト癌細胞の死滅が起こった。癌細胞細胞毒性は、マウスの生体内でも見られ(以下により詳細に記載)、従って本発明の態様は、ヒト又は哺乳類の癌治療として百日咳菌を使用することにある。
百日咳菌を培養液に投入して、又は投入しないでSkmel-23/C22ヒトメラノーマ細胞を15時間培養した。百日咳菌は、異様な樹状突起を発生させ、その後細胞が分裂して死滅した。
このため、百日咳菌をベクターとして使用することに加えて、微生物を固有に産生された抗癌毒素を腫瘍に送達するのに使用できる。また、百日咳菌は、毒素、プロドラッグ転換酵素、サイトカイン等の抗癌作用を有する追加的な薬剤を製造するために遺伝子を組み換えることができる。例えば、参考文献として明確に本明細書に記載されている米国特許番号6,190,657を参照。
【0083】
(実施例6)
癌細胞に対する百日咳菌のヒスチジン媒介毒性
百日咳菌の生体内の癌細胞への侵入を研究している間に、野生型細菌株Tohama
I (ATCC BAA-589, NCTC 13251)により、様々な癌の種類に対する強力な細胞毒性が示された。Tohama Iの誘導体である菌株536は、同様の毒性を示したが、それはアミノ酸ヒスチジンの存在下でのみであった。試験される癌細胞は、ヒト乳癌、肺癌、腎臓癌、及びメラノーマだった。Tohama
Iのでなくて百日咳菌株536の毒性は、LB培地細菌増殖媒体等の寒天を多く含んだ培養液、又はトリプトンあるいはカザミノ酸等のアミノ酸を多く含んだ培養液の同時添加に左右された。等しい量の生理的食塩の存在下でなくて、このような混合物の存在下では、百日咳菌を用いて試された癌細胞は、6時間以内に急性ストレスの症状と24時間までに大量の溶解(細胞の90%以上)を示した。これらの培養液中の主要有効成分は、アミノ酸ヒスチジンだった。細菌はヒスチジンがない場合には腫瘍細胞に侵入し、少なくとも7日間それらにコロニーを形成したが、癌細胞に対してほとんど又は何も毒性の症状を示さなかった。試験された18のアミノ酸の内、ヒスチジンのみがボルデテラ属媒介細胞毒性/溶解効果を誘起した。ヒスチジンは単独では毒性を示さなかった。
従って、ヒスチジン、ヒスチジン類似物、又は他のアミノ酸と関連がある化合物を腫瘍内の百日咳菌媒介細胞毒性の活性化に有利に使用できる。腫瘍内に誘起されたボルデテラ属媒介細胞毒性は、ヒスチジンの全身投与又は経口投与により、あるいはボルデテラ属のコロニーが形成された腫瘍のある癌患者に対する類似物により抑制できる。このような投与により、正常組織に対する毒性をほとんど持たずに、腫瘍内で直接毒性を抑制することができる。投与のタイミングにより、毒性の抑制の持続又はパルス化が行われると思われる。
【表3】

【0084】
(実施例7)
ヌードマウス内で増殖するヒト肺癌A549の標的法
百日咳菌は、ヌードマウス内に移植したヒト肺癌をうまく標的とし、コロニーを形成した(表X)。このため、百日咳菌を癌患者の血流に注入するとき、百日咳菌は同じように転移性腫瘍を標的とすることが示される。上記で証明された百日咳菌の付着能力と侵入能力は、ヒト腫瘍を標的とする新規で非常に選択的な仕組みを提供する。このため、本発明の態様として、百日咳菌は腫瘍細胞の破壊を目的に、又はそうでない場合は腫瘍増殖の抑制を目的にヒト腫瘍を標的とするのに有用である。
【表4】

【0085】
(実施例8)
百日咳菌を用いた免疫療法
ほとんどの人間は予防接種を受けている、及び/又は百日咳菌に対して自然免疫を持っており、この百日咳菌株により腫瘍にコロニーが形成されることにより、細菌と癌細胞の両方に対して遅いが強力な腫瘍内免疫応答をもたらすと予想される。従って、百日咳菌への固有の免疫原性のため、細菌のコロニーが形成された腫瘍、特に転移性腫瘍に対する免疫療法に有用であると思われる。非ボルデテラ属免疫遺伝子又はサイトカインを発現するために付加的に遺伝子組み換えされ、抗腫瘍免疫応答をもたらすことが可能である百日咳菌は、癌治療における免疫治療剤としても有用である。同様に、核磁気、放射性、蛍光性のラベル、又は他のラベルで微生物を区別できるので、投与後に体内での微生物の位置特定を判断できる。強い局所的免疫応答が起こる場合、これは標的位置を決めるために既知の方法で位置決め又は可視化できる。同様に、免疫治療法を、例えば標的薬剤の投与の前、又は同時に行い、局所的応答を強化できる。
標的の位置特定により、放射線治療、光線力学療法、化学療法等の他の標的治療法も用いることができる。従って、この実施例によると、標的微生物又は標的組成物自体が細胞毒性であること、あるいは直接細胞毒性反応を起こす必要はなく、むしろそれは別の手段として用いられた治療法で明確にそして確実に標的とする必要がある。
【0086】
(実施例9)
腫瘍の好気領域の治療
ボルデテラ属の重要な特質は、好気細菌であり、その点について血管新生化された腫瘍の好気領域、とりわけ最も高い腫瘍増殖速度の領域において代謝的に活性であることにある。従って、本発明の態様としては、ボルデテラ属は壊死がほとんど又は全くない小さい腫瘍へのコロニー形成に有用であり、腫瘍の大部分は血管新生化され、好気性であることである。このため、本発明は、大きな腫瘍の存在に左右されない。同様に、組織レベルよりも細胞レベルでターゲティングするため、小さい細胞集団でさえこの治療に悪影響を受けることがある。
【0087】
(実施例10)
併用療法
ボルデテラ属及び特定の付加的な非ボルデテラ属、オリゴ糖標的細菌は、単独であるいは補足的な抗癌能力を有する他の細菌ベクターと併用して使用できる。ボルデテラ属は、X線、化学療法薬及び生物学的薬物等の他の治療剤と併用しても使用できる。
【0088】
(実施例11)
マウスの安全性テスト
マウスの50%致死量の研究により、百日咳菌を血流へ注入すると、より多い実行可能な投与量(109/動物)の注入を3回繰り返しても動物への顕著な毒性のある副作用はなかったことが証明された。このように、マウスでは、大腸菌又はサルモネラ菌の同じような注入の後に敗血性ショックを起こして死ぬことが知られているレベルの100倍以上を超えるレベルで百日咳菌を注入しても敗血性ショックは起こらなかった。従って、本発明によれば、野生型百日咳菌を抗癌ベクターとしてこれ以上弱毒化せずに用いて敗血性ショックを引き起こさないようにできることが明白である。このため、これにより改良された病原性微生物の周囲への放出の危険性が最小限になる。
しかし、特定の環境においては、更に弱毒化が必要で好ましいことがあり、このため、本発明によれば、弱毒化された百日咳菌抗癌ベクターを提供できる。
従って、本発明は、癌細胞上に異型オリゴ糖と対応する複合糖質並びに脂質の開発を提供し、特定のオリゴ糖標的細菌及びウィルス、レクチン、リポソーム、抗体、薬品、巨大分子等により腫瘍、特に転移性腫瘍を標的とすることと腫瘍の治療法を提供する。本発明は、このような診断ツールとしての異型オリゴ糖を標的とする薬剤とベクターの使用も裏付けている。診断には生検試料にオリゴ糖標的薬剤を投与すること、オリゴ糖標的薬剤の生体内投与、血液検査等が含まれ得る。このため、本発明は、ベクターとしての特定の微生物、経口、静脈内、経粘膜的に、又は侵入門脈により投与され得る薬剤と診断剤、このような医薬品とベクターを用いる治療法及び/又は診断法、薬剤又はベクターを投与する目的でつくられた器具、病理学を画像化又は診断する器具、及び診断又は治療の副作用を抑制する目的の薬品、例えば抗生物質を網羅している。
【0089】
(実施例12)
ヒト肺癌A549:ヌードマウスにおける百日咳菌を用いた治療後の腫瘍増殖抑制と腫瘍退縮
ヒト肺癌A549を「ヌード」マウスの皮下に移植した。このようなマウスは、一般的に免疫力が弱まっていて、このためヒト組織の許容宿主である。腫瘍細胞の移植から8週間後、その動物の内24匹について平均200〜400 mgの充実性腫瘍を触診できた。これらの動物を2つのグループ:1)対照:塩分注入したもの(n=8匹のマウス);2)実験用:百日咳菌を注射したもの(109
cfu細菌/マウス)(n=16匹のマウス)に 分けた。マウスに1:1の百日咳菌野生型菌株Tohama Iと変異菌株Bp536を注射した。各マウスは、腹腔内と腫瘍内に注射した。1〜2週間毎に細菌又は塩分調節の注射を繰り返した。マウス1匹ずつにしるしを付け、マウス毎に固有な腫瘍増殖を追跡した。下記は最初の細菌注射から40日後の概要である。
腫瘍の増殖
結果は、図2にグラフで示されている。
1.対照マウス(白丸)
8匹の塩分を注入された対照の内、3匹が腫瘍で死亡した。残っている動物の内、各マウスの個々の腫瘍塊は40日にわたって安定して増殖したので、対照動物において平均5倍の腫瘍塊の増殖があった。対照腫瘍は、腫瘍形成又は瘢痕なしに非常に血管新生化した。
2.細菌を注射したマウス
16匹の細菌を注射した動物の内、初期の腫瘍増殖があったが、各マウスの個々の腫瘍は、最終的に腫瘍の塊が小さくなったことを示したので、治療開始後40日で個体群の平均的な腫瘍の大きさは、開始時の大きさより若干小さかった。3匹のマウスには、腫瘍は腫瘍の塊が測定不可能なほど退縮した。細菌で治療したマウスの大部分において、退縮に伴い腫瘍形成と瘢痕組織形成があった。
3.安全性
40日にわたってマウスは4回の細菌投与を受けた。各投与量は、約109 コロニー形成単位(cfu)/マウスで、顕著な副作用はなかった。このように、ベクターのこのような投与量は、マウスにとってほとんど又は全然毒性を示さなかった。
【0090】
(実施例13)
転移細胞のハイブリッド発生
同種骨髄移植の後で転移性腎細胞癌を発症した子供のハイブリッド細胞の証拠についてヒト腫瘍DNAを分析した。O/O移植者腫瘍細胞内で供給者のA血液グループ対立遺伝子について転移を調べた。転移の様々な領域における腫瘍細胞集団を決まった組織部分で顕微解剖した。テストされた21個のDNA試料の内、16個がPCR産物を生み出し、16個全部は供給者A対立遺伝子を含有していた。もっとも確かな説明は、転移にはどこでも供給者―移植者ハイブリッドが含まれていたということである。腫瘍細胞で骨髄性型オリゴ糖、実験用マクロファージ腫瘍細胞融合ハイブリッドの形質も染色した。その結果は、この患者の転移進行の原因として腫瘍造血性細胞ハイブリッド形成を示唆した。
骨髄から派生した幹細胞と肝細胞との融合は、マウスの肝再生機能として最近取り上げられている(1-2)。このような結果により多くの転移細胞の特質を有する腫瘍浸潤マクロファージが腫瘍細胞に融合する場合、転移が起きるという仮説を見直すことが妥当になる。白血球腫瘍細胞ハイブリッド形成が悪性腫瘍の因果事象である可能性があるという概念は、100年近く前に初めて出された(3-5)。そのとき以来、移植された腫瘍細胞と宿主の正常腫瘍浸潤細胞との間の自発的な融合ハイブリッドの動物腫瘍モデルにおいて多くの報告があった(6-9)。異種の遺伝子マーカーが両親の遺伝子型を区別するのに用いられたため、動物の融合ハイブリッドについての研究は可能であった。ヒトの癌においてハイブリッド形成の可能性を発展させるために、我々は転移を検出する8ヶ月前に、彼のHLA一致同胞(兄弟)から骨髄移植(BMT)を受けていた5歳の少年のリンパ腺内のホルマリンで固定したパラフィン包埋腎細胞癌の転移を検査した。患者のABO型はOで、供給者の型はAであった。腫瘍細胞をレーザー顕微鏡解剖により単離した(10)。DNAを抽出し、A型とO型の血液型対立遺伝子を拡大するようにつくられたプライマーセットを用いて特定の拡大された断片をアガロース・ゲル電気泳動法により、いくつかのケースではゲルから分離された群を順序付けることにより同定した。また、LPHA(白血球ファイドヘムアグルチニン、インゲンマメ)を有するレクチンによってβ1,6−分枝オリゴ糖を対象にして腫瘍部分を染色した。普通マクロファージや顆粒球のような骨髄性細胞によって発現されるこのような複合糖は、実験用のマクロファージ・メラノーマハイブリッドの顕著な特徴でもあり(11)、最近、粗細胞質小水疱に沿ったこのような糖の同時発現は、多彩なヒト充実性腫瘍、特に転移の一般的で広汎性の表現型であることが判明した(12)。遺伝子研究と病理組織学研究の両方から、このデータは本明細書で説明している転移性腫瘍が主に供給者−移植者融合ハイブリッドから構成されたという概念を裏付けていると思われる。
その結果は、A対立遺伝子と表されている供給者のDNAは、転移を通して腫瘍細胞内に遍在したことを示している。これは、供給者BMT細胞と移植者腫瘍細胞との融合ハイブリッド形成のためであったのがもっともありそうだった。この転移には供給者DNAが含まれていたので、ハイブリッド形成事象は、単位の初期世代で、恐らく一次腫瘍において起こったと思われる。
供給者細胞融合パートナーの性質は大いに関心があると思われる。転移性ハイブリッドは、マクロファージのような腫瘍浸潤食細胞によりアポトーシスを起こした異常食作用によって形成される可能性があり(6-8)、事実アポトーシスを起こしたものの食作用の間に遺伝子情報の水平移動が培養において観察されている(16-19)。更に、マウスでは骨髄派生の幹細胞は、幹細に胞媒された肝再生時に既存の肝細胞を用いてハイブリッドを形成するようであることが最近判明した(1-
2)。骨髄派生の幹細胞と全ての血流系統はBMTの後、多分供給者細胞に取り替えられるので、多くの造血性細胞型は一次癌を用いた融合パートナーの有望な候補である。この腫瘍のLPHAレクチン組織化学により、β1,6−分枝オリゴ糖と粗小水疱−マクロファージや顆粒球等の骨髄細胞の正常形質の幅広い発現が明らかになった(20)。この表現型は、実験用のマクロファージ・メラノーマハイブリッドにおける顕著な形質でもあり、ヒトの癌、特に転移において一般的で広汎性表現型である(12)。別の腎臓癌患者の最近の症例研究では、肺と脊髄内の大部分の転移細胞はこの表現型を有したのに対して、原発腫瘍の少数の集団のみがLPHA陽性細胞、小水疱状の細胞から構成されていた(12)。この観察結果は、原発腫瘍内のLPHA陽性細胞は、転移の可能性が高かったことを示している。
転移の一般的で有力な見方は、腫瘍進行は、「より積極的なサブラインの逐次選択を可能にする原クローン内の遺伝的変異性」に起因するということである(21)。多くの最近の研究は、転移性進行に関連する遺伝子発現特性の描写に焦点を当てている(22-27)。腫瘍ハイブリッド形成モデルは、転移性変形における開始事象と同様にこのような特性の基礎を強調することを取り扱うようである。特に、ハイブリッド腫瘍細胞は、転移と非常に関連がある異数性形質である傾向がある(3-6,28)。ハイブリッド表現型は、ハイブリッドゲノムの中に組み込まれた両親遺伝子の数や性質に左右され、理論では両親融合パートナーの異なる進行系統との間の優性−劣性関係によって決定されるようである。ハイブリッドが腫瘍個体群の少数又は多数の成分を含んでいたかどうかは、他の腫瘍細胞と比較してハイブリッドの細胞周期の長さだけでなく、原発腫瘍の発現時の融合ハイブリッド形成のタイミングに左右されると思われる。
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【0091】
(実施例14)
マクロファージ腫瘍誘導ハイブリッド細胞の診断テスト
レクチン、骨髄型オリゴ糖の表示と腫瘍特殊マーカーのテストの組み合わせを含んでいる二重ラベル技術により、ハイブリッド細胞の有無が判定できる。このテストには、同じ標本である必要はなく、例えば生検等の隣の部分でもよい。勿論、ハイブリッドを表す両方の指示薬を用いて同じ標本を異なる指示薬で標識できる。上記のように、判定の前に物理的に、又は試験時に細胞の境界を観察することにより、ハイブリッドから正常骨髄性細胞を分離するのに注意を払わなければならない。
レクチン(骨髄型オリゴ糖用):
1)レクチン LPHA(白血球ファイトヘムアグルチニン)(Cummings,
R.D., and Kornfeld, S. Characterization of the structural determinants required
for the high affinity interaction of asparagine-linked oligosaccharides with
immobilized phaseolus vulgaris leukoagglutinating and phytoagglutinating
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progression in human breast and colon neoplasia. Cancer Res. 51: 718-723,
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2)ピーナツ凝集素レクチン (Tuomanen et al.
Receptor analog and monoclonal antibodies that inhibit adherence of Bordetella
pertussis to human ciliated respiratory epithelial cells. J. Exp Med 168:
267-277, (1988).
3)テトラゴノロガス・パープリアス・レクチン (Tuomanen
et al. Receptor analogs and monoclonal antibodies that inhibit adherence of
Bordetella pertussis to human ciliated respiratory epithelial cells. J. Exp Med
168: 267-277, (1988).
腫瘍特殊マーカー
メラノーマ(S100 タンパク質gp100に対する抗体)
癌(肺、胸部、結腸など)(サイトケラチンに対する抗体)
原発腫瘍における転移細胞の診断法
診断ツールとしてビオチン化又は蛍光標識を使用して、腫瘍特異抗体を有するレクチンa-c(あるいは付加的で適切なレクチン)のいくらか又はすべてを化合する。個々の染色は、腫瘍の連続部分に適用できるので、染色を共同で行う必要はない。
【0092】
実施例は、本発明の多くの態様の説明であるため、本明細書でクレームされ、説明された本発明は、本明細書で開示された具体的な実施例の範囲に限定されない。実際、明細書に示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な改良は、前述の明細書から当業界の技術者には明白である。このような改良は、添付のクレームの範囲内になることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】組織マイクロアレイの2つの観測装置による盲検評点を表すグラフである。
【図2】調節に対する時間の経過についてヒト肺癌A549と百日咳菌で治療したマウスのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類に有効な量のβ1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤を投与することを含む哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法であり、前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤が造影剤又は細胞毒素過程に関係がある、哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項2】
前記腫瘍細胞は、転移性癌、転移性メラノーマ、脳腫瘍、リンパ腫、及び骨髄性白血病から成る群から選択される細胞型から得られる請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項3】
前記腫瘍細胞は、胸、腎臓、メラニン細胞、及びリンパ球から成る群から選択される細胞型から得られる請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項4】
前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤は、骨髄性細胞系の特徴を示すオリゴ糖に特異的に結合する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項5】
前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤は、ヒトマクロファージの特徴を示すオリゴ糖に特異的に結合する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項6】
前記結合剤は細菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項7】
前記細菌を投与後、哺乳類に抗生物質を投与する工程を更に含む請求項6に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項8】
前記結合剤は、ボルデテラ属の細菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項9】
前記結合剤は、ボルデテラ属の付着に関連して生じる付着力を発現している細菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項10】
前記結合剤は、百日咳菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項11】
前記結合剤は、弱毒化された百日咳菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項12】
前記結合剤は、百日咳菌、パラ百日咳菌、及びボルデテラ・ブロンチセプチカから成る群から選択される微生物を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項13】
前記結合剤は、遺伝子が組み換えられた百日咳菌を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項14】
前記結合剤は、映像化が可能な遺伝子産物を発現する、遺伝的に組み換えられたボルデテラ属菌株を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項15】
前記結合剤は、ミオグロビンを発現する、遺伝的に組み換えられたボルデテラ菌株を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項16】
前記結合剤は抗体を含有する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項17】
前記結合剤は細胞毒性である請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項18】
前記結合剤は、内因性細胞毒性カスケードを起こす請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項19】
前記結合剤は、外因性の要因に作用して細胞毒性カスケードを起こす請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項20】
前記β1,6−分枝オリゴ糖結合剤は、タンパク質、脂質、グルコサミノグリカン、又は細胞上の糖と共役される糖に特異的に結合する請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項21】
前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤は、細菌、ウィルス、レクチン、リポソーム、又は抗体を含有していて、異型オリゴ糖、及び/又はそれに関連して生じる異型複合糖質タンパク質、脂質、及び転移性腫瘍上のグリコサミノグリカンを有する細胞に親和性を持つ請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項22】
前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤は、癌細胞を破壊するために、またはそうでない場合は、腫瘍増殖を抑制するために、固有の、又は改変された抗癌毒素、化学薬品、又は生体活性剤を含有する請求項19に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項23】
前記β1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤は、磁気共鳴影像法、ガンマ塵閃光、ポジトロン放射、特定の蛍光を構成するグループの1つ以上から選択される方法により映像化できる造影剤に関係がある請求項19に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項24】
細菌による動物の感染を治療するために、その動物に抗生物質を投与する工程をさらに含む請求項1に記載の哺乳類の腫瘍細胞の検出方法又は治療方法。
【請求項25】
所定の細胞表面オリゴ糖の形態を有する組織に親和性を有する細菌から構成される生菌を多細胞生物に投与する工程と、
前記細菌の親和性に依存して、前記所定の細胞表面オリゴ糖の形態を有する組織の有無を判断する工程とを含む方法。
【請求項26】
生体内において、前記組織への前記細菌の親和性の様式を映像化する工程をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
生体外において、前記組織への前記細菌の親和性の様式を映像化する工程をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
細菌による動物の感染を治療するためにその動物に抗生物質を投与する工程を更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
磁気共鳴スペクトル法を用いて細胞のグリコシル化の様式を分析することを含む腫瘍の悪性を評価する方法。
【請求項30】
前記磁気共鳴スペクトル法がグリコシル化の様式の位置に対応する画像をつくる請求項29に記載の腫瘍の悪性を評価する方法。
【請求項31】
前記磁気共鳴スペクトル法を行う前に、又は行うと同時に、薬学的に許可される組成物を所定のグリコシル化の様式に親和性を有する患者に投与する請求項29に記載の腫瘍の悪性を評価する方法。
【請求項32】
ヒトに投与するために用いられる製薬製剤であり、生きたボルデテラ属を含有する製薬製剤。
【請求項33】
前記ボルデテラ属は、ミオグロビンを生成するために遺伝子的に組み換えられた請求項32に記載の製薬製剤。
【請求項34】
前記ボルデテラ属は、百日咳菌Tohama I(ATCC BAA−589、NCTC13251)を含有する請求項32に記載の製薬製剤。
【請求項35】
前記ボルデテラ属は、百日咳菌株536(ATCC 10380)を含有する請求項32に記載の製薬製剤。
【請求項36】
細胞毒素に複合されるβ1,6−分枝オリゴ糖特異結合剤を含有する製薬製剤。
【請求項37】
前記特異結合剤はレクチンである請求項36に記載の製薬製剤。
【請求項38】
生きている原核生物、及び、ヒト生体内において原核生物の増殖率又は細胞毒性を強化する、薬学的に認められた組成物を含んで構成される、ヒトに投与するために用いられる製薬製剤であり、前記原核生物の増殖率、又は細胞毒性が、ヒトの組成物を強化するレベルが低下するにつれて衰退する製薬製剤。
【請求項39】
骨髄性型特徴を持つ細胞の集団を標的とし、また、細胞毒性をそこに産生する、生体内で複製される生物学的微生物を含んで構成される、宿主の転移性腫瘍を治療するための製薬製剤であり、前記生物学的微生物は、正常な宿主組織に耐性で、正常宿主免疫防御により消え、それにより、薬学的に認められる治療指標を有する製薬製剤。
【請求項40】
所定の表面オリゴ糖の形態を有する細胞に高い親和性を持つ自己複製型の微生物と、前記微生物に対する増殖要因とを含む製薬製剤であって、前記微生物は、所定のオリゴ糖の形態を発現していない宿主組織に対して低い毒性を持ち、宿主免疫系により消える製薬製剤。
【請求項41】
前記所定表面オリゴ糖の形態は、腫瘍細胞に特異である請求項40に記載の製剤。
【請求項42】
前記所定表面オリゴ糖の形態は、転移性腫瘍細胞に特異である請求項40に記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−514690(P2006−514690A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507869(P2005−507869)
【出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2003/024284
【国際公開番号】WO2005/016231
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(505042664)エール大学 (3)
【Fターム(参考)】