オンチップカラーフィルタ用フォトマスク及びオンチップカラーフィルタの製造方法
【課題】固体撮像素子の光電変換素子に対応した着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するにあたり、第2色(例えば、青色)フィルタ及び第3色(例えば、赤色)フィルタの開口(画素)領域を、好ましい形状且つ充分な大きさに確保できるオンチップカラーフィルタ用フォトマスク及びそれを用いたオンチップカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】市松模様状に配置された第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33の四隅の連結部に、補正部32が設けられたオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて緑色フィルタを作製する。
【解決手段】市松模様状に配置された第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33の四隅の連結部に、補正部32が設けられたオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて緑色フィルタを作製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ製造用のフォトマスクに関する。特に本発明が有用な分野は、固体撮像素子の光電変換素子に対応した着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するオンチップカラーフィルタ製造用フォトマスクと、それを用いたオンチップカラーフィルタの製造方法に関する分野である。中でも、市松模様状に配置された四角形状の第1色フィルタ用パターンの各4隅が相接する連結部に補正パターンを設けたオンチップカラーフィルタ製造用フォトマスクに関する分野である。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子の光電変換素子に対応した青色、緑色、赤色等の着色フィルタは、パターン精度及びパターン再現性の点から、通常、フォトリソグラフィー法にて作製されるのが一般的で、図1(a)〜(f)に示すような工程で作製される。ここに示したカラーフィルタは、カラー固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタの構成事例で、個々の着色フィルタ間にブラックマトリクスを設けない場合の事例である。
【0003】
まず、アクリル系の感光性樹脂に緑色顔料を分散した緑色感光性樹脂溶液を光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上にスピンナー等を用いて塗布し、緑色感光層24を形成する(図1(a)参照)。さらに、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、緑色フィルタ24Gを形成する(図1(b)参照)。
【0004】
次に、アクリル系の感光性樹脂に青色顔料を分散した青色感光性樹脂溶液を緑色フィルタ24Gが形成された半導体基板11上にスピンナー等を用いて塗布し、青色感光層25を形成する(図1(c)参照)。
【0005】
次に、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、青色フィルタ25Bを形成する(図1(d)参照)。
【0006】
次に、アクリル系の感光性樹脂に赤色顔料を分散した赤色感光性樹脂溶液を緑色フィルタ24G及び青色フィルタ25Bが形成された半導体基板上11にスピンナー等を用いて塗布し、赤色感光層26を形成する(図1(e)参照)。
【0007】
次に、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、赤色フィルタ26Rを形成する(図1(f)参照)。
【0008】
以上の工程で固体撮像素子基板上11上に緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rのオンチップカラーフィルタを作製することができる。
【0009】
ここで、上記オンチップカラーフィルタの平面視でのカラーフィルタ配列の一例を図2に示す。図2では、便宜上6行6列の部分しか示していないが、全体ではn行m列(n、mは任意の自然数)である。このカラーフィルタ配列では、例えば、四角形状の青色フィルタBの4辺に接するように市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されている。のみならず、四角形状の赤色フィルタRの4辺に接するようにも市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されている。
【0010】
ここで、図2のカラーフィルタ配列で、第2行第3列目の青色フィルタB周辺のカラー
フィルタ配列を部分的に取り出したのが図3である。四角形状の青色フィルタBの4辺に接するように市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されており、青色フィルタBの対角に赤色フィルタRが配置されている。
【0011】
先に記した図1の製造方法で、平面視で市松模様状とした単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製した緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26R等のオンチップカラーフィルタは、図4に示すように、緑色フィルタ24Gの各パターンのコーナー部同士が相互に連結し(この連結部分を、本件特許出願では「ブリッジ」と称することとする。)、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rの各パターンは、周囲を緑色フィルタ24Gのパターンに包囲された形とすることができる。
【0012】
このような、緑色フィルタ24Gの各4隅がブリッジで連結した形状のオンチップカラーフィルタは、剥がれに強く下地となる層への密着性が高いという特長があるとされている(例えば、特許文献1参照)。また、カラーフィルタパターンが微細になると角部が解像せず、また現像の際に角部が削られ、パターンの角部が丸みをおびやすい。そのため、緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rが相互に接するコーナー部には、隙間が生じ易くなってしまう。その隙間を模式的に表現したのが、図5である。各コーナー部に隙間が生じると、この隙間から白色光が入り込むので、カラー固体撮像素子の色再現性を悪化させるという問題が発生する。そこで、ブリッジを形成することは、オンチップカラーフィルタの製造上又、固体撮像素子の性能を上げる上で望ましいことである。
【0013】
ただし、先に記した図1の製造方法で、平面視で市松模様とした単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製した緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26R等のオンチップカラーフィルタは、このブリッジの形状にやや問題が残っている。図6の写真は、先に記した図1の製造方法によりカラーフィルタを作製した場合の代表的な例を示している。図6における[G]の印は、緑色フィルタ24Gに対応する部分であることを示す。この写真に見られるように、単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製するとブリッジが太くなり過ぎ、緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rの各パターンの出来上がり形状が悪化してしまうのである。また、ブリッジが太くなった緑色フィルタ24Gに対して、青色フィルタ25Bと赤色フィルタ26Rの各パターンを引き続き形成すると、青色フィルタ、赤色フィルタの出来上がり面積が過度に小さくなってしまう。よって、これもカラー固体撮像素子の色再現性を悪化させることにつながり問題である。
【特許文献1】特開2000−241619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記問題点に鑑み創案されたものであり、固体撮像素子の光電変換素子に対応した着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するにあたり、第1色(例えば、緑色)のブリッジの出来上がり形状を好ましい形状とし、第2色(例えば、青色)フィルタ及び第3色(例えば、赤色)フィルタの開口(画素)領域を最大限に確保できるカラーフィルタ用フォトマスク及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本件特許出願において請求項1に記載の発明は、固体撮像素子の光電変換素子に対応した各々平面視四角形状の着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するフォトマスクであって、前記フォトマスクは、第2色、もしくは第3色フィルタの4
辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであり、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0016】
本件特許出願において請求項2に記載の発明は、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなることを特徴とする請求項1に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0017】
本件特許出願において請求項3に記載の発明は、前記補正パターンが、露光機の解像限界、現像機の解像限界、フォトレジストの解像限界、第1色フィルタ用材料を溶解させるエッチング装置の加工限界のうち、少なくともいずれか一つの限界を超える微細なパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0018】
本件特許出願において請求項4に記載の発明は、前記補正パターンが、四角形パターン部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクある。
【0019】
本件特許出願において請求項5に記載の発明は、前記補正パターンが、四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0020】
本件特許出願において請求項6に記載の発明は、前記補正パターンが、1辺0.1〜0.4マイクロメートルの四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0021】
本件特許出願において請求項7に記載の発明は、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0022】
本件特許出願において請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用いることを特徴とするオンチップカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを使用してカラーフィルタを製造すると、第1色フィルタと第2色フィルタとの間、第1色フィルタと第3色フィルタとの間に、特に対向する角部間に隙間を発生させないことから、剥れに強く、また、白色光が漏れ入らないため感度特性に優れた固体撮像素子を得ることができる。しかも、第1色フィルタのブリッジが所望される精度の良い形状(図7)に形成されるため、第2色フィルタや第3色フィルタが小さくなってしまったり、或いは逆に、ブリッジが断線状態になったりといった不具合の発生も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
【0025】
課題を解決するために本件特許出願の発明者は、最初に図9に示すようなネガ型の緑感光性レジストに露光を行うための緑色フィルタ用フォトマスク使用して、緑色フィルタ24Gを作製してみた。図9は、緑色フィルタ形成用の各四角形パターンの各コーナー部分(4隅)をカットすることで、緑色フィルタ24Gのブリッジを細くすることを狙っているフォトマスクの例を示している。なお、図9におけるGPが、緑色フィルタ24G形成用の各四角形パターンを示している。
【0026】
しかし、このフォトマスクの使用は一つの解決方法例ではあるが、最良の解決方法とは言えなかった。すなわちコーナー部分をカットしてもカット面積が大きい(つまり、図9におけるd1が大きい)とブリッジは細くならず、逆にカットする大きさを小さくすると、しばしばブリッジが断線状態になってしまった。図8に、このフォトマスクの使用によりカラーフィルタを作製したときの代表例(コーナーカットが小さい場合)の写真を示す。図8における[G]の印は、緑色フィルタ24Gに対応する部分であることを示す。この写真に見られるように、ブリッジが断線状態となり易い。ブリッジが断線したところは隙間となることから、隙間から白色光が入り込んでカラー固体撮像素子の色再現性に支障が出ることを回避したり剥れに強くなったりという、既に述べたようなブリッジの特長を喪失してしまい問題である。
【0027】
この事実を基に本件特許出願の発明者は、緑色フィルタ24Gの各四角形パターンのコーナー部分(4隅)をカットするだけではなく、ブリッジが断線状態となり難いような補正部を有するフォトマスクを使用して、緑色フィルタ24Gを作製するのが、最良であることを見出した。
【0028】
この補正部を有するフォトマスクの、部分平面模式図が図10である。本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク30は、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33(開口部)と、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各パターン33の各四隅に位置する連結部の補正部32と、ブランクパターン31(遮光部)とで構成されている。ブランクパターン31は、後に第2色(例えば、青色)や第3色(例えば、赤色)カラーフィルタを形成する場所に、第1色(例えば、緑色)フィルタを形成せずに空隙とするためのパターンである。
【0029】
なお、以後では、カラーフィルタ形成用の着色レジストとして、ネガタイプのレジストを使用するものとする。すると第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33は開口部(光透過部)となり、ブランクパターン31は遮光部となる。もっとも本発明はレジストがネガタイプの場合に限定されるものではない。図10の開口部と遮光部とを入換えれば、ポジタイプのレジストの場合に使用することができる。また、カラーフィルタ自体、着色レジストで形成される場合に限定されない。レジストではない樹脂等の他の材料により形成されてもよい(別途レジスト材料を上から塗布した上で、露光描画、現像、パターニング、形成したパターンへの染色という手順を踏めば、着色レジストで形成する以下の実施例の場合と同様の実行ができる)。
【0030】
補正部32は平面形状として様々なものがあり得るが、その具体的な一例を図11に示す。
【0031】
ここで補正部32に形成されるパターン(以下「補正パターン」ということもある)の大きさは、パターン露光されたレジストを現像した際、露光されたレジストを現像した際、露光された通りのパターンが得られる大きさよりも小さくする、いわゆる、解像限界の大きさよりも小さくする。そのため、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために補正部に設けたパターン(補正パターン)通りに現像されず角が完全に丸め込まれる。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などで定めてもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0032】
なお、以下にネガ型のレジスト材料にパターンを行うマスクのパターンにつき説明を行うが、説明の都合上、遮光部を白で、開口部を黒で図示している。すなわち、実際のマスクでは図11中の33部位(黒部)は光透過部を、31部位(白部)は遮光部である。
【0033】
図11の補正部32は、1辺a=0.2μm正方形の遮光パターンと、それに重なる1辺b=0.1μm正方形の島状開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33の四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合のよりも0.01μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0034】
しかし他方で図11の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12、a=0.2μmの場合。この場合も遮光部の面積が、単純な市松模様状の場合のよりも0.01μm2大きい。)と比べると、1辺b=0.1μm正方形の島状開口パターンが連結部中央に存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0035】
なお、図11の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。本件特許出願の発明者の実験によれば、例えば、a=0.4μm、b=0.15μmの場合においても、現在使用しているカラーフィルタ形成用着色レジストには、十分な効果が認められた。このように実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【0036】
オンチップカラーフィルタ用フォトマスク30は、低反射クロムブランクスを用い、電子ビームによりレジストに露光後、現像、エッチングを行うフォトエッチング法にて作製することができる。よって、補正部32内に0.1〜0.4μmのパターンを精度良く作製できる。
【0037】
以下、オンチップカラーフィルタの、オンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いた製造方法について説明する。図13(a)〜(f)は、本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて、オンチップカラーフィルタを製造する方法の実施例の一つを示す構成断面模式図である。ここで、緑色フィルタG、青色フィルタB及び赤色フィルタGのカラーフィルタ平面視配列は図3に示す配列とする。
【0038】
まず、光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上に、ネガ型感光性樹脂に着色顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン7)と、シクロヘキサノンやPGMEAなどの有機溶剤と、酸分解性樹脂と、光酸発生剤と、分散剤とをロールミル等で混練して作製したネガ型緑色レジストをスピンコート等で塗布し、緑色感光層21を形成する(図13(a)参照)。
【0039】
次に、図13に示す、ガラス等の透明基板上に第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用
の開口パターン33と、遮光パターン31とが形成されたオンチップカラーフィルタ用フォトマスク30を用いてパターン露光、現像等のパターニング処理を行って、半導体基板11上の所定位置に緑色フィルタ21Gを形成する(図13(b)及び図14参照)。
【0040】
次に、ネガ型感光性樹脂に青色顔料(例えば、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23)と、分散剤等とをロールミル等で混練して作製したネガ型青色レジストをスピンコート等で塗布し、青色感光層22を形成する(図13(c)参照)。
【0041】
次に、四角形状のパターンが形成された青色フィルタ用露光マスクを用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、青色フィルタ22Bを形成する(図13(d)及び図15参照)。
【0042】
ここで、青色フィルタ22Bのコーナー部は、緑色フィルタ21Gの四隅に設けられた連結部21cとオーバーラップされた状態で形成されるので、緑色フィルタ21Gと青色フィルタ22Bとの間で隙間が発生しない。また、緑色フィルタが基板に強く密着しているため、緑色フィルタにオーバーラップし、緑色フィルタに支えられる青色フィルタの基板への密着性も向上する。
【0043】
次に、ネガ型感光性樹脂に赤色顔料(例えば、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド48:1及びC.I.ピグメントイエロー139)と、分散剤等とをロールミル等で混練して作製したネガ型赤色レジストをスピンコート等で塗布し、赤色感光層23を形成する(図13(e)参照)。
【0044】
次に、四角形状のパターンが形成された赤色フィルタ用露光マスクを用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、赤色フィルタ23Rを形成する(図5(f)及び図21参照)。
【0045】
ここで、赤色フィルタ23Rのコーナー部は、緑色フィルタ21Gの四隅に設けられた連結部21cとオーバーラップされた状態で形成されるので、緑色フィルタ21Gと赤色フィルタ23Rとの間で隙間が発生しない。また、上述したのと同様に、緑色フィルタに支えられる赤色フィルタの基板への密着性は向上する。
【0046】
以上の工程で、光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上に、緑色フィルタ21Gと、青色フィルタ22Bと、赤色フィルタ23Rとからなる固体撮像素子カラーフィルタを形成することができる。
【0047】
本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いた固体撮像素子カラーフィルタの製造方法では、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅が相接する連結部に補正パターンを設けたオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて第1色(緑色)フィルタを作製するため、第2色(青色)、第3色(赤色)フィルタ寸法を均一に作製することができ、第1色(緑色)フィルタと第2色(青色)フィルタとの間、第1色(緑色)フィルタと第3色(赤色)フィルタとの間で隙間が発生せず、感度特性に優れた固体撮像素子を得ることができる。
【実施例1】
【0048】
以下の実施例では、補正部の具体的な他の例を挙げてみる。以下の例でもカラーフィルタ形成用の着色レジストとしてはネガタイプのレジストを使用するものとするが、説明の
都合上、マスクパターンの遮光部と開口部は色逆煮表示している。すなわち、図16ないし図20において黒部は光透過部を、白部は遮光部を示している。なお、着色レジストとしてポジタイプのものを用いる場合には、22のパターンの白黒は図16から図20の白黒と同じになる。
【0049】
図16は、他の補正の第一の例を示す部分平面模式図である。(以下では「第一」「第二」等は便宜上番号を付したものであり、効果の大小等に直接関係しない。)
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0050】
図16の補正部32は、1辺a=0.3μm正方形の遮光パターンと、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.03μm2大きい。したがって、前記補正部にパターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32のパターンにより、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン31四隅の連結部は遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0051】
しかし他方で図16の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図16の場合と等しくなるような値(a>0.3μm)である。)と比べると、2個の1辺b=0.1μmの正方形の開口パターンが存在することから開口部間の最短距離は短くなり、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0052】
なお、図16の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。本件特許出願の発明者の実験によれば、例えば、a=0.6μm、b=0.25μmの場合においても、現在使用しているカラーフィルタ形成用着色レジストには、十分な効果が認められた。このように実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【実施例2】
【0053】
図17は、他の補正パターンの第二の例を示す部分平面模式図である。
【0054】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0055】
図17の補正部32は、1辺a=0.45μmの正方形の遮光パターンと、3個の正方形(1個の1辺b=0.15μm正方形と2個の1辺c=0.15μm正方形)の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形
成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.015μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33の四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0056】
しかし他方で図17の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図17の場合と等しくなるような値(0.2<a<0.3μm)である。)と比べると、3個の1辺b=0.15μm正方形の開口パターンが連結部中央付近に斜めに並んで存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0057】
なお、図17の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、b、cの各値のとり得る値の範囲は決まる。b=cであるとも限らない。
【実施例3】
【0058】
図18は、他の補正パターンの第三の例を示す部分平面模式図である。
【0059】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0060】
図18の補正部32は、1辺a=0.2μm正方形の遮光パターンで構成されている。また、b=a/2となっている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.02μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)カラーフィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0061】
しかし他方で図18の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図18の場合と等しくなるような値(0.2<a<0.3μm)である。)と比べると、遮光パターンの形状の違いから開口部間の最短距離は短くなっており、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0062】
なお、図18の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【実施例4】
【0063】
図19は、他の補正パターンの第四の例を示す部分平面模式図である。
【0064】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露
光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0065】
図19の補正部32は、1辺a=0.3μm正方形の遮光パターンと、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも大きい。したがって、前記補正部にパターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32のパターンにより、第1色(例えば、緑色)カラーフィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0066】
しかし他方で図19の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図19の場合と等しくなるような値である。)と比べると、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンが連結部中央付近に存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0067】
なお、図19の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、b、cの各値のとり得る値の範囲は決まる。b=cであるとも限らないし、前記遮光パターンは正方形でなくてもよい。
【実施例5】
【0068】
図20は、他の補正パターンの第五の例を示す部分平面模式図である。
【0069】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0070】
図20の補正部32は、8個の1辺a=0.1μmの正方形の遮光パターンで構成されている。このような補正パターン32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0071】
しかし他方で図20の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図20の場合と等しくなるような値である。)と比べると、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0072】
なお、図20の補正部32における、aの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、aの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】固体撮像素子カラーフィルタの製造工程の例を示す説明図である。
【図2】緑色フィルタGと、青色フィルタBと、赤色フィルタRのカラーフィルタ配列の一例を示す配置図である。
【図3】緑色フィルタGと、青色フィルタBと、赤色フィルタRのカラーフィルタ配列の一例を示す配置図である。
【図4】各コーナー部にブリッジがある場合の緑色フィルタ24Gと、青色フィルタ25Bと、赤色フィルタ26Rのカラーフィルタの平面模式図である。
【図5】各コーナー部に隙間がある場合の緑色フィルタ24Gと、青色フィルタ25Bと、赤色フィルタ26Rのカラーフィルタの平面模式図である。
【図6】ブリッジが太いカラーフィルタ(従来技術によるもの)の写真である。
【図7】ブリッジが細く好ましい出来上がり形状となっているカラーフィルタ(本発明の技術によるもの)の写真である。
【図8】ブリッジが断線状態となっているカラーフィルタの写真である。
【図9】市松模様配置された四角形状の各第1色フィルタ形成用パターンの四隅をカットしたフォトマスクの平面模式図である。
【図10】市松模様配置された四角形状の各第1色フィルタ形成用パターンの四隅に補正パターンを設けた、本発明のフォトマスクの平面模式図である。
【図11】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図12】本発明のフォトマスクにおける補正部が、単純なコーナーカット型の場合の例を示す平面模式図である。
【図13】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する断面模式図である。
【図14】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【図15】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【図16】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図17】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図18】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図19】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図20】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図21】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【符号の説明】
【0074】
11……半導体基板
21、24……緑色感光層
21c……連結部
21G、24G、G……緑色フィルタ
22、25……青色感光層
22B、25B、B……青色フィルタ
23、26……赤色感光層
33R、26R、R……赤色フィルタ
30……緑色フィルタ用フォトマスク
31……ブランクパターン(例えば、ネガレジスト使用の場合は遮光部、ポジレジスト使用の場合は開口部である)
32……補正部
33……第1色フィルタ形成用パターン(例えば、ネガレジスト使用の場合は開口部、ポジレジスト使用の場合は遮光部である)
GP……緑色フィルタ形成用パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ製造用のフォトマスクに関する。特に本発明が有用な分野は、固体撮像素子の光電変換素子に対応した着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するオンチップカラーフィルタ製造用フォトマスクと、それを用いたオンチップカラーフィルタの製造方法に関する分野である。中でも、市松模様状に配置された四角形状の第1色フィルタ用パターンの各4隅が相接する連結部に補正パターンを設けたオンチップカラーフィルタ製造用フォトマスクに関する分野である。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子の光電変換素子に対応した青色、緑色、赤色等の着色フィルタは、パターン精度及びパターン再現性の点から、通常、フォトリソグラフィー法にて作製されるのが一般的で、図1(a)〜(f)に示すような工程で作製される。ここに示したカラーフィルタは、カラー固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタの構成事例で、個々の着色フィルタ間にブラックマトリクスを設けない場合の事例である。
【0003】
まず、アクリル系の感光性樹脂に緑色顔料を分散した緑色感光性樹脂溶液を光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上にスピンナー等を用いて塗布し、緑色感光層24を形成する(図1(a)参照)。さらに、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、緑色フィルタ24Gを形成する(図1(b)参照)。
【0004】
次に、アクリル系の感光性樹脂に青色顔料を分散した青色感光性樹脂溶液を緑色フィルタ24Gが形成された半導体基板11上にスピンナー等を用いて塗布し、青色感光層25を形成する(図1(c)参照)。
【0005】
次に、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、青色フィルタ25Bを形成する(図1(d)参照)。
【0006】
次に、アクリル系の感光性樹脂に赤色顔料を分散した赤色感光性樹脂溶液を緑色フィルタ24G及び青色フィルタ25Bが形成された半導体基板上11にスピンナー等を用いて塗布し、赤色感光層26を形成する(図1(e)参照)。
【0007】
次に、所定のフォトマスクを使ってパターン露光し、現像、ポストベーク等の一連のパターニング処理を行って、赤色フィルタ26Rを形成する(図1(f)参照)。
【0008】
以上の工程で固体撮像素子基板上11上に緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rのオンチップカラーフィルタを作製することができる。
【0009】
ここで、上記オンチップカラーフィルタの平面視でのカラーフィルタ配列の一例を図2に示す。図2では、便宜上6行6列の部分しか示していないが、全体ではn行m列(n、mは任意の自然数)である。このカラーフィルタ配列では、例えば、四角形状の青色フィルタBの4辺に接するように市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されている。のみならず、四角形状の赤色フィルタRの4辺に接するようにも市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されている。
【0010】
ここで、図2のカラーフィルタ配列で、第2行第3列目の青色フィルタB周辺のカラー
フィルタ配列を部分的に取り出したのが図3である。四角形状の青色フィルタBの4辺に接するように市松模様状に四角形状の緑色フィルタGが配置されており、青色フィルタBの対角に赤色フィルタRが配置されている。
【0011】
先に記した図1の製造方法で、平面視で市松模様状とした単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製した緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26R等のオンチップカラーフィルタは、図4に示すように、緑色フィルタ24Gの各パターンのコーナー部同士が相互に連結し(この連結部分を、本件特許出願では「ブリッジ」と称することとする。)、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rの各パターンは、周囲を緑色フィルタ24Gのパターンに包囲された形とすることができる。
【0012】
このような、緑色フィルタ24Gの各4隅がブリッジで連結した形状のオンチップカラーフィルタは、剥がれに強く下地となる層への密着性が高いという特長があるとされている(例えば、特許文献1参照)。また、カラーフィルタパターンが微細になると角部が解像せず、また現像の際に角部が削られ、パターンの角部が丸みをおびやすい。そのため、緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rが相互に接するコーナー部には、隙間が生じ易くなってしまう。その隙間を模式的に表現したのが、図5である。各コーナー部に隙間が生じると、この隙間から白色光が入り込むので、カラー固体撮像素子の色再現性を悪化させるという問題が発生する。そこで、ブリッジを形成することは、オンチップカラーフィルタの製造上又、固体撮像素子の性能を上げる上で望ましいことである。
【0013】
ただし、先に記した図1の製造方法で、平面視で市松模様とした単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製した緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26R等のオンチップカラーフィルタは、このブリッジの形状にやや問題が残っている。図6の写真は、先に記した図1の製造方法によりカラーフィルタを作製した場合の代表的な例を示している。図6における[G]の印は、緑色フィルタ24Gに対応する部分であることを示す。この写真に見られるように、単純な四角形状のパターンを有するフォトマスクで作製するとブリッジが太くなり過ぎ、緑色フィルタ24G、青色フィルタ25B、赤色フィルタ26Rの各パターンの出来上がり形状が悪化してしまうのである。また、ブリッジが太くなった緑色フィルタ24Gに対して、青色フィルタ25Bと赤色フィルタ26Rの各パターンを引き続き形成すると、青色フィルタ、赤色フィルタの出来上がり面積が過度に小さくなってしまう。よって、これもカラー固体撮像素子の色再現性を悪化させることにつながり問題である。
【特許文献1】特開2000−241619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記問題点に鑑み創案されたものであり、固体撮像素子の光電変換素子に対応した着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するにあたり、第1色(例えば、緑色)のブリッジの出来上がり形状を好ましい形状とし、第2色(例えば、青色)フィルタ及び第3色(例えば、赤色)フィルタの開口(画素)領域を最大限に確保できるカラーフィルタ用フォトマスク及びそれを用いたカラーフィルタの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本件特許出願において請求項1に記載の発明は、固体撮像素子の光電変換素子に対応した各々平面視四角形状の着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するフォトマスクであって、前記フォトマスクは、第2色、もしくは第3色フィルタの4
辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであり、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0016】
本件特許出願において請求項2に記載の発明は、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなることを特徴とする請求項1に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0017】
本件特許出願において請求項3に記載の発明は、前記補正パターンが、露光機の解像限界、現像機の解像限界、フォトレジストの解像限界、第1色フィルタ用材料を溶解させるエッチング装置の加工限界のうち、少なくともいずれか一つの限界を超える微細なパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0018】
本件特許出願において請求項4に記載の発明は、前記補正パターンが、四角形パターン部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクある。
【0019】
本件特許出願において請求項5に記載の発明は、前記補正パターンが、四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0020】
本件特許出願において請求項6に記載の発明は、前記補正パターンが、1辺0.1〜0.4マイクロメートルの四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0021】
本件特許出願において請求項7に記載の発明は、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0022】
本件特許出願において請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用いることを特徴とするオンチップカラーフィルタの製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを使用してカラーフィルタを製造すると、第1色フィルタと第2色フィルタとの間、第1色フィルタと第3色フィルタとの間に、特に対向する角部間に隙間を発生させないことから、剥れに強く、また、白色光が漏れ入らないため感度特性に優れた固体撮像素子を得ることができる。しかも、第1色フィルタのブリッジが所望される精度の良い形状(図7)に形成されるため、第2色フィルタや第3色フィルタが小さくなってしまったり、或いは逆に、ブリッジが断線状態になったりといった不具合の発生も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
【0025】
課題を解決するために本件特許出願の発明者は、最初に図9に示すようなネガ型の緑感光性レジストに露光を行うための緑色フィルタ用フォトマスク使用して、緑色フィルタ24Gを作製してみた。図9は、緑色フィルタ形成用の各四角形パターンの各コーナー部分(4隅)をカットすることで、緑色フィルタ24Gのブリッジを細くすることを狙っているフォトマスクの例を示している。なお、図9におけるGPが、緑色フィルタ24G形成用の各四角形パターンを示している。
【0026】
しかし、このフォトマスクの使用は一つの解決方法例ではあるが、最良の解決方法とは言えなかった。すなわちコーナー部分をカットしてもカット面積が大きい(つまり、図9におけるd1が大きい)とブリッジは細くならず、逆にカットする大きさを小さくすると、しばしばブリッジが断線状態になってしまった。図8に、このフォトマスクの使用によりカラーフィルタを作製したときの代表例(コーナーカットが小さい場合)の写真を示す。図8における[G]の印は、緑色フィルタ24Gに対応する部分であることを示す。この写真に見られるように、ブリッジが断線状態となり易い。ブリッジが断線したところは隙間となることから、隙間から白色光が入り込んでカラー固体撮像素子の色再現性に支障が出ることを回避したり剥れに強くなったりという、既に述べたようなブリッジの特長を喪失してしまい問題である。
【0027】
この事実を基に本件特許出願の発明者は、緑色フィルタ24Gの各四角形パターンのコーナー部分(4隅)をカットするだけではなく、ブリッジが断線状態となり難いような補正部を有するフォトマスクを使用して、緑色フィルタ24Gを作製するのが、最良であることを見出した。
【0028】
この補正部を有するフォトマスクの、部分平面模式図が図10である。本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク30は、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33(開口部)と、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各パターン33の各四隅に位置する連結部の補正部32と、ブランクパターン31(遮光部)とで構成されている。ブランクパターン31は、後に第2色(例えば、青色)や第3色(例えば、赤色)カラーフィルタを形成する場所に、第1色(例えば、緑色)フィルタを形成せずに空隙とするためのパターンである。
【0029】
なお、以後では、カラーフィルタ形成用の着色レジストとして、ネガタイプのレジストを使用するものとする。すると第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用のパターン33は開口部(光透過部)となり、ブランクパターン31は遮光部となる。もっとも本発明はレジストがネガタイプの場合に限定されるものではない。図10の開口部と遮光部とを入換えれば、ポジタイプのレジストの場合に使用することができる。また、カラーフィルタ自体、着色レジストで形成される場合に限定されない。レジストではない樹脂等の他の材料により形成されてもよい(別途レジスト材料を上から塗布した上で、露光描画、現像、パターニング、形成したパターンへの染色という手順を踏めば、着色レジストで形成する以下の実施例の場合と同様の実行ができる)。
【0030】
補正部32は平面形状として様々なものがあり得るが、その具体的な一例を図11に示す。
【0031】
ここで補正部32に形成されるパターン(以下「補正パターン」ということもある)の大きさは、パターン露光されたレジストを現像した際、露光されたレジストを現像した際、露光された通りのパターンが得られる大きさよりも小さくする、いわゆる、解像限界の大きさよりも小さくする。そのため、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために補正部に設けたパターン(補正パターン)通りに現像されず角が完全に丸め込まれる。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などで定めてもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0032】
なお、以下にネガ型のレジスト材料にパターンを行うマスクのパターンにつき説明を行うが、説明の都合上、遮光部を白で、開口部を黒で図示している。すなわち、実際のマスクでは図11中の33部位(黒部)は光透過部を、31部位(白部)は遮光部である。
【0033】
図11の補正部32は、1辺a=0.2μm正方形の遮光パターンと、それに重なる1辺b=0.1μm正方形の島状開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33の四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合のよりも0.01μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0034】
しかし他方で図11の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12、a=0.2μmの場合。この場合も遮光部の面積が、単純な市松模様状の場合のよりも0.01μm2大きい。)と比べると、1辺b=0.1μm正方形の島状開口パターンが連結部中央に存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0035】
なお、図11の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。本件特許出願の発明者の実験によれば、例えば、a=0.4μm、b=0.15μmの場合においても、現在使用しているカラーフィルタ形成用着色レジストには、十分な効果が認められた。このように実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【0036】
オンチップカラーフィルタ用フォトマスク30は、低反射クロムブランクスを用い、電子ビームによりレジストに露光後、現像、エッチングを行うフォトエッチング法にて作製することができる。よって、補正部32内に0.1〜0.4μmのパターンを精度良く作製できる。
【0037】
以下、オンチップカラーフィルタの、オンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いた製造方法について説明する。図13(a)〜(f)は、本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて、オンチップカラーフィルタを製造する方法の実施例の一つを示す構成断面模式図である。ここで、緑色フィルタG、青色フィルタB及び赤色フィルタGのカラーフィルタ平面視配列は図3に示す配列とする。
【0038】
まず、光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上に、ネガ型感光性樹脂に着色顔料(例えば、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン7)と、シクロヘキサノンやPGMEAなどの有機溶剤と、酸分解性樹脂と、光酸発生剤と、分散剤とをロールミル等で混練して作製したネガ型緑色レジストをスピンコート等で塗布し、緑色感光層21を形成する(図13(a)参照)。
【0039】
次に、図13に示す、ガラス等の透明基板上に第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用
の開口パターン33と、遮光パターン31とが形成されたオンチップカラーフィルタ用フォトマスク30を用いてパターン露光、現像等のパターニング処理を行って、半導体基板11上の所定位置に緑色フィルタ21Gを形成する(図13(b)及び図14参照)。
【0040】
次に、ネガ型感光性樹脂に青色顔料(例えば、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23)と、分散剤等とをロールミル等で混練して作製したネガ型青色レジストをスピンコート等で塗布し、青色感光層22を形成する(図13(c)参照)。
【0041】
次に、四角形状のパターンが形成された青色フィルタ用露光マスクを用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、青色フィルタ22Bを形成する(図13(d)及び図15参照)。
【0042】
ここで、青色フィルタ22Bのコーナー部は、緑色フィルタ21Gの四隅に設けられた連結部21cとオーバーラップされた状態で形成されるので、緑色フィルタ21Gと青色フィルタ22Bとの間で隙間が発生しない。また、緑色フィルタが基板に強く密着しているため、緑色フィルタにオーバーラップし、緑色フィルタに支えられる青色フィルタの基板への密着性も向上する。
【0043】
次に、ネガ型感光性樹脂に赤色顔料(例えば、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド48:1及びC.I.ピグメントイエロー139)と、分散剤等とをロールミル等で混練して作製したネガ型赤色レジストをスピンコート等で塗布し、赤色感光層23を形成する(図13(e)参照)。
【0044】
次に、四角形状のパターンが形成された赤色フィルタ用露光マスクを用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、赤色フィルタ23Rを形成する(図5(f)及び図21参照)。
【0045】
ここで、赤色フィルタ23Rのコーナー部は、緑色フィルタ21Gの四隅に設けられた連結部21cとオーバーラップされた状態で形成されるので、緑色フィルタ21Gと赤色フィルタ23Rとの間で隙間が発生しない。また、上述したのと同様に、緑色フィルタに支えられる赤色フィルタの基板への密着性は向上する。
【0046】
以上の工程で、光電変換素子及び平坦化層が形成された半導体基板11上に、緑色フィルタ21Gと、青色フィルタ22Bと、赤色フィルタ23Rとからなる固体撮像素子カラーフィルタを形成することができる。
【0047】
本発明のオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いた固体撮像素子カラーフィルタの製造方法では、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅が相接する連結部に補正パターンを設けたオンチップカラーフィルタ用フォトマスクを用いて第1色(緑色)フィルタを作製するため、第2色(青色)、第3色(赤色)フィルタ寸法を均一に作製することができ、第1色(緑色)フィルタと第2色(青色)フィルタとの間、第1色(緑色)フィルタと第3色(赤色)フィルタとの間で隙間が発生せず、感度特性に優れた固体撮像素子を得ることができる。
【実施例1】
【0048】
以下の実施例では、補正部の具体的な他の例を挙げてみる。以下の例でもカラーフィルタ形成用の着色レジストとしてはネガタイプのレジストを使用するものとするが、説明の
都合上、マスクパターンの遮光部と開口部は色逆煮表示している。すなわち、図16ないし図20において黒部は光透過部を、白部は遮光部を示している。なお、着色レジストとしてポジタイプのものを用いる場合には、22のパターンの白黒は図16から図20の白黒と同じになる。
【0049】
図16は、他の補正の第一の例を示す部分平面模式図である。(以下では「第一」「第二」等は便宜上番号を付したものであり、効果の大小等に直接関係しない。)
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0050】
図16の補正部32は、1辺a=0.3μm正方形の遮光パターンと、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.03μm2大きい。したがって、前記補正部にパターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32のパターンにより、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン31四隅の連結部は遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0051】
しかし他方で図16の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図16の場合と等しくなるような値(a>0.3μm)である。)と比べると、2個の1辺b=0.1μmの正方形の開口パターンが存在することから開口部間の最短距離は短くなり、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0052】
なお、図16の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。本件特許出願の発明者の実験によれば、例えば、a=0.6μm、b=0.25μmの場合においても、現在使用しているカラーフィルタ形成用着色レジストには、十分な効果が認められた。このように実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【実施例2】
【0053】
図17は、他の補正パターンの第二の例を示す部分平面模式図である。
【0054】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0055】
図17の補正部32は、1辺a=0.45μmの正方形の遮光パターンと、3個の正方形(1個の1辺b=0.15μm正方形と2個の1辺c=0.15μm正方形)の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形
成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.015μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33の四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0056】
しかし他方で図17の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図17の場合と等しくなるような値(0.2<a<0.3μm)である。)と比べると、3個の1辺b=0.15μm正方形の開口パターンが連結部中央付近に斜めに並んで存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0057】
なお、図17の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、b、cの各値のとり得る値の範囲は決まる。b=cであるとも限らない。
【実施例3】
【0058】
図18は、他の補正パターンの第三の例を示す部分平面模式図である。
【0059】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0060】
図18の補正部32は、1辺a=0.2μm正方形の遮光パターンで構成されている。また、b=a/2となっている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも0.02μm2大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)カラーフィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0061】
しかし他方で図18の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図18の場合と等しくなるような値(0.2<a<0.3μm)である。)と比べると、遮光パターンの形状の違いから開口部間の最短距離は短くなっており、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0062】
なお、図18の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、bの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【実施例4】
【0063】
図19は、他の補正パターンの第四の例を示す部分平面模式図である。
【0064】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露
光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0065】
図19の補正部32は、1辺a=0.3μm正方形の遮光パターンと、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンで構成されている。このような補正部32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも大きい。したがって、前記補正部にパターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32のパターンにより、第1色(例えば、緑色)カラーフィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0066】
しかし他方で図19の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図19の場合と等しくなるような値である。)と比べると、2個の1辺b=0.1μm正方形の開口パターンが連結部中央付近に存在することから、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0067】
なお、図19の補正部32における、a、bの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、a、b、cの各値のとり得る値の範囲は決まる。b=cであるとも限らないし、前記遮光パターンは正方形でなくてもよい。
【実施例5】
【0068】
図20は、他の補正パターンの第五の例を示す部分平面模式図である。
【0069】
ここで補正部32に形成するパターンは、カラーフィルタ形成用の着色レジストを、露光、現像しても、その解像限界を超えるために開口パターン通りに現像されず角が完全に丸め込まれてしまう、極めて微細な形状のパターンである。なお、解像限界を超えるのは、必ずしもレジストの解像限界についてである必要はなく、場合によっては、露光機の解像限界や、現像機の解像限界、エッチング装置の解像限界などでもよい。結果的に、現像後のカラーフィルタ材料の形状が、補正部32に形成したパターンと全く同一にはならず、角が丸め込まれるように形成されればよい。
【0070】
図20の補正部32は、8個の1辺a=0.1μmの正方形の遮光パターンで構成されている。このような補正パターン32を、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターンの四隅の連結部に配置する。これにより当該連結部での遮光部の面積は、この補正部32がない単純な市松模様状の場合よりも大きい。したがって、前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなる。よって、補正部32により、第1色(例えば、緑色)フィルタ形成用の各開口パターン33四隅の連結部は、遮光率が上昇し、カラーフィルタ形成用着色レジストは残り難くなる。すなわち、ブリッジは細くなる。
【0071】
しかし他方で図20の補正部32がある場合を、単純なコーナーカットの場合(図12。aの値は、開口部の面積が図20の場合と等しくなるような値である。)と比べると、ブリッジが断線状態になり難くなっている。
【0072】
なお、図20の補正部32における、aの各値は、前掲の値に限られる訳ではない。実際には、解像限界値により、aの各値のとり得る値の範囲は決まる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】固体撮像素子カラーフィルタの製造工程の例を示す説明図である。
【図2】緑色フィルタGと、青色フィルタBと、赤色フィルタRのカラーフィルタ配列の一例を示す配置図である。
【図3】緑色フィルタGと、青色フィルタBと、赤色フィルタRのカラーフィルタ配列の一例を示す配置図である。
【図4】各コーナー部にブリッジがある場合の緑色フィルタ24Gと、青色フィルタ25Bと、赤色フィルタ26Rのカラーフィルタの平面模式図である。
【図5】各コーナー部に隙間がある場合の緑色フィルタ24Gと、青色フィルタ25Bと、赤色フィルタ26Rのカラーフィルタの平面模式図である。
【図6】ブリッジが太いカラーフィルタ(従来技術によるもの)の写真である。
【図7】ブリッジが細く好ましい出来上がり形状となっているカラーフィルタ(本発明の技術によるもの)の写真である。
【図8】ブリッジが断線状態となっているカラーフィルタの写真である。
【図9】市松模様配置された四角形状の各第1色フィルタ形成用パターンの四隅をカットしたフォトマスクの平面模式図である。
【図10】市松模様配置された四角形状の各第1色フィルタ形成用パターンの四隅に補正パターンを設けた、本発明のフォトマスクの平面模式図である。
【図11】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図12】本発明のフォトマスクにおける補正部が、単純なコーナーカット型の場合の例を示す平面模式図である。
【図13】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する断面模式図である。
【図14】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【図15】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【図16】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図17】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図18】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図19】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図20】本発明のフォトマスクにおける、補正部の一例を示す平面模式図である。
【図21】本発明のフォトマスク製造工程の例を説明する平面模式図である。
【符号の説明】
【0074】
11……半導体基板
21、24……緑色感光層
21c……連結部
21G、24G、G……緑色フィルタ
22、25……青色感光層
22B、25B、B……青色フィルタ
23、26……赤色感光層
33R、26R、R……赤色フィルタ
30……緑色フィルタ用フォトマスク
31……ブランクパターン(例えば、ネガレジスト使用の場合は遮光部、ポジレジスト使用の場合は開口部である)
32……補正部
33……第1色フィルタ形成用パターン(例えば、ネガレジスト使用の場合は開口部、ポジレジスト使用の場合は遮光部である)
GP……緑色フィルタ形成用パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の光電変換素子に対応した各々平面視四角形状の着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するフォトマスクであって、前記フォトマスクは、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであり、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項2】
前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなることを特徴とする請求項1に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項3】
前記補正パターンが、露光機の解像限界、現像機の解像限界、フォトレジストの解像限界、第1色フィルタ用材料を溶解させるエッチング装置の加工限界のうち、少なくともいずれか一つの限界を超える微細なパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項4】
前記補正パターンが、四角形パターン部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項5】
前記補正パターンが、四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項6】
前記補正パターンが、1辺0.1〜0.4マイクロメートルの四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項7】
第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用いることを特徴とするオンチップカラーフィルタの製造方法。
【請求項1】
固体撮像素子の光電変換素子に対応した各々平面視四角形状の着色フィルタをフォトリソグラフィー法にて作製するために使用するフォトマスクであって、前記フォトマスクは、第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであり、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項2】
前記補正パターンを設けたことにより、前記第1色フィルタ形成用パターンの面積が、前記補正パターンなしの単純な市松模様状の場合と比較して、小さくなることを特徴とする請求項1に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項3】
前記補正パターンが、露光機の解像限界、現像機の解像限界、フォトレジストの解像限界、第1色フィルタ用材料を溶解させるエッチング装置の加工限界のうち、少なくともいずれか一つの限界を超える微細なパターンを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項4】
前記補正パターンが、四角形パターン部分を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項5】
前記補正パターンが、四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項6】
前記補正パターンが、1辺0.1〜0.4マイクロメートルの四角形パターンの組合せ又は/及び重ね合せからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のオンチップカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項7】
第2色、もしくは第3色フィルタの4辺に接するように市松模様状に配置された第1色フィルタを作製するための第1色フィルタ用フォトマスクであって、前記第1色フィルタに対応するように配置された四角形状の第1色フィルタ形成用パターンの4隅の連結部に補正パターンを設けたことを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用いることを特徴とするオンチップカラーフィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−192574(P2009−192574A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30118(P2008−30118)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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