説明

オーダエントリシステム

【課題】調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を適切な時間で促すことである。
【解決手段】コントローラ10は、アイテムのカテゴリ別に、注文時から調理指示発行までの履歴時間及びその平均時間を記憶する記憶部を備える。コントローラ10は、ハンディ端末20に調理指示発行を保留するカテゴリのアイテムを注文するオーダ情報が入力された場合に、当該オーダ情報入力確定時からの経過時間を計時し、当該経過時間が、前記記憶部に記憶された履歴時間の平均時間以上となるか否かを判別し、当該経過時間が平均時間以上となる場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報をハンディ端末20のアラーム出力部に出力させ、ハンディ端末20への調理指示発行の入力に応じて、当該カテゴリのアイテムの調理指示伝票をプリンタ30に印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダエントリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストラン等の飲食店の店舗において、接客スタッフがオーダをとるためのハンディ端末を所持し、このハンディ端末を介してオーダ情報を調理スタッフに通知するオーダエントリシステムが知られている。
【0003】
オーダエントリシステムは、少なくとも1台のハンディ端末と、コントローラ(コントロールボックス)と、プリンタと、を備える。ハンディ端末は、接客スタッフにより1人1台所持され、顧客の注文に関するオーダ情報が入力される。入力されたオーダ情報は、調理指示コマンドとして、ハンディ端末から無線通信によりコントローラへ送信され、キッチンに設置されたプリンタにより調理指示伝票として印刷される。調理スタッフは、印刷された調理指示伝票のオーダ情報を目視により確認して調理を実行する。
【0004】
コース料理を出すような飲食店では、調理タイミング指示機能(Hold & Fire)を有するオーダシステムがよく使用されている。調理タイミング指示機能とは、ハンディ端末から、前菜、スープ、主菜、デザート等からなるコース料理の注文をコントローラが受けても、コントローラは、提供順が後になるアイテム(料理)については調理指示発行をせずに保留し、顧客の食事の進み具合に応じて順にアイテムの調理指示発行を行うことで、コース料理を提供していく機能である。
【0005】
例えば、ハンディ端末が、注文を受けて提供保留していた料理の調理指示発行の入力を受け付け、その調理指示発行をコントローラに送信し、コントローラがプリンタに調理指示伝票を印刷させるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、コントローラが、保留メニュー入力から調理を確定すべき時間経過でハンディ端末に調理の確定を促す通知を行うシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−268082号公報
【特許文献2】特開2006−25195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の、保留メニュー入力から調理を確定すべき時間経過でハンディ端末に調理の確定(調理指示発行)を促す通知を行うシステムの主な目的は、保留メニューの調理指示発行の忘れを防ぐことであった。よって、調理指示発行を促す通知に従って調理指示発行を行っても、最適なタイミングでアイテムを顧客に提供できるとは限らなかった。実際には、接客スタッフが、顧客の食事の進み具合や、キッチン内の忙しさ等を考慮して調理指示を発行するタイミングを決定する必要があった。このため、ハンディ端末に調理指示発行を促す時間を最適化する要請があった。
【0008】
本発明の課題は、調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を適切な時間で促すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
注文されたアイテムの調理指示伝票をプリンタで印刷するオーダエントリシステムであって、
オーダ情報の入力を受け付ける操作部と、
アイテムのカテゴリ別に、オーダ情報入力確定時から調理指示発行までの履歴時間及びその平均時間を記憶する記憶部と、
アラーム情報の出力を行うアラーム出力部と、
前記操作部を介して調理指示発行を保留するカテゴリのアイテムを注文するオーダ情報が入力された場合に、当該オーダ情報入力確定時からの第1の経過時間を計時し、当該第1の経過時間が、前記記憶部に記憶された履歴時間の平均時間以上となるか否かを判別し、当該第1の経過時間が平均時間以上となる場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報を前記アラーム出力部に出力させ、前記操作部を介する調理指示発行の入力に応じて、当該カテゴリのアイテムの調理指示伝票を前記プリンタに印刷させる第1の制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を適切な時間で促すことができ、顧客に適切な時間でアイテムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態のオーダエントリシステムを示すブロック図である。
【図2】コントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図3】ハンディ端末の機能構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は、コントローラに記憶されるカテゴリ設定テーブルを示す図である。(b)は、コントローラに記憶される第1の条件設定テーブルを示す図である。(c)は、コントローラに記憶される履歴テーブルを示す図である。(d)は、コントローラに記憶される第1の伝票情報テーブルを示す図である。
【図5】コントローラで実行されるアラームコマンド送信処理のフローチャートである。
【図6】ハンディ端末で実行されるアラーム出力処理のフローチャートである。
【図7】ハンディ端末で実行される調理指示発行コマンド送信処理のフローチャートである。
【図8】コントローラで実行される調理指示発行処理のフローチャートである。
【図9】(a)は、コントローラに記憶される第2の条件設定テーブルを示す図である。(b)は、コントローラに記憶される第2の伝票情報テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に係る第1及び第2の実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1〜図8を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。先ず、図1〜図3を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態のオーダエントリシステム1を示すブロック図である。図2は、コントローラ10の機能構成を示すブロック図である。図3は、ハンディ端末20の機能構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施の形態のオーダエントリシステム1は、レストラン等の飲食店の店舗に設置される。オーダエントリシステム1は、ウエイター等の接客スタッフにより顧客の注文したアイテム(料理、ドリンク等)のアイテム名及び数量等のオーダ情報がハンディ端末20に入力され、そのオーダ情報を印刷してキッチンの調理スタッフに通知するシステムである。また、オーダエントリシステム1は、従来技術で説明した調理タイミング指示機能を有する。
【0015】
オーダエントリシステム1が設置されている店舗は、キッチンと、フロアと、デシャップと、を有するものとする。キッチンは、調理スタッフが調理を行う領域である。フロアは、顧客が食事を行い且つ注文を受ける接客スタッフが配置されている領域である。デシャップは、キッチン及びフロアの間に位置し、接客スタッフが入ることが可能であり、調理スタッフから接客スタッフへの調理済のアイテムの受け渡し等を行う領域である。
【0016】
オーダエントリシステム1が設置される店舗は、簡単のため、1種類のコース料理を提供する料理店とする。このコース料理は、前菜、スープ、主菜、デザート等の複数のカテゴリ(のアイテム)からなる。これらのカテゴリのアイテムは、所定の順番(カテゴリ順)で顧客に提供される。このため、各カテゴリのアイテムの調理は、顧客の注文時からの時間経過に応じて、順次なされる。また、カテゴリ(のアイテム)の提供順は、固定されているものとする。
【0017】
また、各カテゴリのアイテムの内容は、同一カテゴリ内で変更可能であるものとする。例えば、カテゴリがスープのアイテムは、日ごとに、ポタージュスープ→トマトスープ→コンソメスープのように変更可能である。
【0018】
また、オーダエントリシステム1が設置される店舗には、複数のテーブルが設置されており、複数グループの顧客が同時に食事可能である。各テーブルには、識別情報としてのテーブル番号が付与されているものとする。1グループの顧客とは、1人客、カップル、家族等、一人又は複数人でアイテムの注文をまとめて行う顧客とする。1グループの顧客は、1つのテーブルに着席するものとする。また、オーダエントリシステム1が設置される店舗には、1グループの顧客として7人以上の顧客(例えば、10人)が着席できるテーブルも設置されているものとする。また、オーダエントリシステム1が設置される店舗には、合計で21人以上の顧客(例えば、30人)が、店内のテーブルに着席できるものとする。
【0019】
オーダエントリシステム1は、コントローラ(コントロールボックス)10と、ハンディ端末20と、プリンタ30,40と、ハブ(HUB)50と、ECR(Electronic Cash Resister)60と、を備える。
【0020】
ハンディ端末20は、複数台用意されており、フロアに配置された複数の接客スタッフの各々により1台ずつ所持されるものとする。コントローラ10、プリンタ40、ハブ50は、例えば、デシャップに配置されている。プリンタ30は、キッチンに配置されている。ECR60は、フロアに配置されている。
【0021】
コントローラ10は、オーダエントリシステム1における情報の管理装置である。コントローラ10は、オーダエントリシステム1の各装置との通信を行う通信機能、メニュー情報等の設定機能、プリンタ30,40の印刷等の制御機能等の機能を有する。
【0022】
ハンディ端末20は、接客スタッフがオーダ情報を入力するOES(Order Entry System)端末である。但し、オーダエントリシステム1におけるハンディ端末の台数は、複数台に限定されるものではなく、1台としてもよい。
【0023】
プリンタ30は、コントローラ10の制御により、ハンディ端末20で入力されたオーダ情報に対応するオーダアイテムの情報(種類及びアイテム数)を用紙に印刷して調理指示伝票として出力するプリンタである。調理スタッフは、プリンタ30で印刷された調理指示伝票に記載されたオーダアイテムの情報を目視により確認して、オーダアイテムの調理を行う。
【0024】
プリンタ40は、コントローラ10の制御により、ハンディ端末20で入力されたオーダ情報に対応するオーダアイテムの情報を用紙に印刷して顧客用の伝票として出力するプリンタである。接客スタッフは、調理スタッフから調理済のアイテムを受け取るとともに、プリンタ40で印刷された顧客用の伝票に記載されたオーダアイテムの情報を目視により確認して、オーダアイテムを顧客用の伝票とともにフロアの顧客に配膳(提供)する。
【0025】
ハブ50は、通信ネットワークの集線装置であり、コントローラ10と、プリンタ30,40、ECR60と、の通信を中継する。ECR60は、顧客の食事の精算処理を行う装置である。ECR60は、コントローラ10から精算のための情報を受信する機能、お釣り用の金銭や顧客が支払った金銭を収納する機能、レシートを印刷して発行する機能、売上データを登録する機能等を有する。
【0026】
次いで、図2を参照して、コントローラ10の内部の機能構成を説明する。図2に示すように、コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、ROM(Read Only Memory)15と、無線通信部16と、記憶部17と、通信部18と、計時部19と、を備える。コントローラ10の各部は、バス19aを介して接続されている。
【0027】
CPU11は、コントローラ10の各部を制御する。CPU11は、各種プログラムのうち指定されたプログラムをROM15から読み出してRAM13に展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0028】
操作部12は、各種設定用のキー等を有し、ユーザ(管理者)からの各種操作入力を受け付け、その操作情報をCPU21に出力する。
【0029】
RAM13は、揮発性の半導体メモリであり、各種データ及び各種プログラムを格納するワークエリアを有する。
【0030】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルで構成され、CPU11から入力される表示情報に応じて各種表示を行う。
【0031】
ROM15は、各種データ及び各種プログラムを記憶する読み出し専用のメモリである。ROM15には、調理指示発行プログラム151と、アラームコマンド送信プログラム152と、が記憶されている。
【0032】
無線通信部16は、ハンディ端末20と無線通信を行う無線通信モジュールである。無線通信部16は、アンテナ、変調部、復調部、信号処理部等を有する。無線通信部16は、送信する情報を信号処理部により信号処理し、変調部で変調し、その変調信号の無線電波をアンテナからハンディ端末20に送信する。また、無線通信部16は、アンテナによりハンディ端末20から受信した無線電波の電気信号を復調部により復調し、その復調信号を信号処理部により信号処理して受信した情報を取得する。
【0033】
記憶部17は、各種情報を読み出し及び書き込み可能に記憶する不揮発性の半導体メモリである。記憶部17は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable)や、電池でバックアップされたRAM等により構成される。記憶部17には、カテゴリ設定テーブル70、条件設定テーブル80、履歴テーブル90及び伝票情報テーブル100が記憶されている。
【0034】
通信部18は、ハブ50に接続されるネットワークカード等の通信部であり、ハブ50を介してプリンタ30,40及びECR60と通信を行う。
【0035】
計時部19は、現在の日時を計時する計時回路を有し、計時回路で計時された現在の日時情報をCPU11に出力するRTC(Real Time Clock)である。
【0036】
次いで、図3を参照して、ハンディ端末20の内部の機能構成を説明する。ハンディ端末20は、CPU21と、操作部22と、RAM23と、アラーム出力部としての表示部24と、ROM25と、無線通信部26と、記憶部27と、電源部28と、を備える。ハンディ端末20の電源部28を除く各部は、バス29を介して接続されている。
【0037】
CPU21、RAM23、表示部24、ROM25、無線通信部26、記憶部27は、コントローラ10のCPU11、RAM13、表示部14、ROM15、無線通信部16、記憶部17と同様の構成を有する。このため、CPU21、RAM23、表示部24、ROM25、無線通信部26、記憶部27については、コントローラ10の各部と同様の説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0038】
CPU21は、ハンディ端末20の各部を制御する。CPU21は、各種プログラムのうち指定されたプログラムをROM25から読み出してRAM23に展開し、展開されたプログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0039】
操作部22は、複数のキーを有し、ユーザ(接客スタッフ)からの各種キー操作入力を受け付け、その操作情報をCPU21に出力する。
【0040】
ROM25には、調理指示発行コマンド送信プログラム251と、アラーム出力プログラム252と、が記憶されている。無線通信部26は、コントローラ10と無線通信を行う。
【0041】
電源部28は、リチウム電池等の二次電池であり、ハンディ端末20の各部に電源供給を行う。電源部28は、アルカリ電池等の一次電池としてもよい。
【0042】
次に、図4を参照して、オーダエントリシステム1に記憶される情報を説明する。図4(a)は、コントローラ10に記憶されるカテゴリ設定テーブル70を示す図である。図4(b)は、コントローラ10に記憶される条件設定テーブル80を示す図である。図4(c)は、コントローラ10に記憶される履歴テーブル90を示す図である。図4(d)は、コントローラ10に記憶される伝票情報テーブル100を示す図である。
【0043】
図4(a)に示すカテゴリ設定テーブル70は、店舗で提供するコース料理の各アイテムのカテゴリ番号が設定されたテーブルであり、コントローラ10の記憶部17に記憶されている。カテゴリ設定テーブル70は、カテゴリ番号71と、名称72と、調理指示発行保留対象73と、の項目を有する。
【0044】
カテゴリ番号71は、コース料理の各アイテムのカテゴリを識別する情報であり、顧客への提供順に昇順に設定されている。名称72は、カテゴリ番号71のカテゴリの名称である。調理指示発行保留対象73は、カテゴリ番号71のカテゴリが注文時(オーダ情報入力確定(送信)時)に調理指示発行の保留対象であるか否かを示す情報である。
【0045】
図4(b)に示す条件設定テーブル80は、注文時(オーダ情報入力確定(送信)時)から調理指示保留となっているカテゴリについてハンディ端末20に調理指示発行を促す時間(以下、調理指示発行催促時間とする)を選択(特定)するための条件情報が設定されているカテゴリ別のテーブルであり、コントローラ10の記憶部17に記憶されている。ここでは、カテゴリがデザートである条件設定テーブル80を説明するが、他のカテゴリの条件設定テーブル80も同様の構成をとる。
【0046】
条件設定テーブル80は、テーブル客数81と、店内合計客数82と、条件83と、を有する。テーブル客数81は、店舗内の1つのテーブルに着席した1グループの顧客の客数である。テーブル客数81は、例えば、1〜3人と、4〜6人と、7人以上と、の3つの範囲に分けられている。
【0047】
店内合計客数82は、店舗内に存在する全顧客の客数である。店内合計客数82は、例えば、1〜10人と、11〜21人と、21人以上と、の3つの範囲に分けられている。条件83は、テーブル客数81及び店内合計客数82に対応する客数による条件情報である。条件83は、例えば、テーブル客数81の3つの範囲と、店内合計客数82の3つの範囲と、に応じて、条件A〜Iの9つの条件に分けられて設定されている。
【0048】
調理指示発行催促時間を特定するための条件に、テーブル客数81を用いる理由を説明する。先ず、テーブル客数が多ければ、同じカテゴリの料理を同時に用意する。すると、調理指示発行から調理終了までに時間を要する。よって、早めに調理指示を発行する必要がある。このため、調理指示発行催促時間を設定するための要因にテーブル客数が関係するからである。
【0049】
また、調理指示発行催促時間を特定するための条件に、店内合計客数82を用いる理由を説明する。先ず、店内合計客数が多ければ厨房が忙しい。すると、調理指示発行から調理終了までに時間を要する。よって、早めに調理指示を発行する必要がある。このため、調理指示発行催促時間を設定するための要因に店内合計客数が関係するからである。
【0050】
図4(c)に示す履歴テーブル90は、実際に調理指示発行を促した時間の履歴情報を格納するカテゴリ別のテーブルであり、コントローラ10の記憶部17に記憶されている。履歴テーブル90は、客数条件91と、調理指示発行回数92と、履歴時間93と、平均時間94と、有する。ここでは、カテゴリがデザートである履歴テーブル90を説明するが、他のカテゴリの履歴テーブル90も同様の構成をとる。
【0051】
客数条件91は、条件設定テーブル80で設定された客数による条件情報である。客数条件91は、例えば、条件A〜Iの9つの条件に分けられている。調理指示発行回数92は、実際に調理指示を発行した回数の情報である。調理指示発行回数92は、1〜n回目(n:任意の正の整数)が設けられている。履歴時間93は、客数条件91及び調理指示発行回数92毎の実際に調理指示発行を促した時間の履歴情報である。
【0052】
平均時間94は、客数条件91毎の履歴時間93の平均時間である。平均時間94は、調理指示発行催促時間として用いられる。また、履歴テーブル90は、調理指示発行回数92について、回数nを固定の値とし、リングバッファとすることにより、履歴テーブル90の容量を低減できる。
【0053】
図4(d)に示す伝票情報テーブル100は、店舗内にいるグループの顧客の注文に対応する伝票(プリンタ30で印刷される調理スタッフ用の調理指示伝票(及びプリンタ40で印刷される顧客用の伝票)に関する情報を有するテーブルである。伝票情報テーブル100は、店舗内の状況の変化に応じて、適宜更新される。伝票情報テーブル100は、伝票番号101と、テーブル番号102と、日付103と、注文時刻104と、保留カテゴリ105と、テーブル客数106と、を有する。
【0054】
伝票番号101は、各グループの顧客の注文に対応する伝票の識別情報である。テーブル番号102は、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文をしたグループの顧客が着席するテーブルの識別情報である。日付103は、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文(オーダ情報入力確定(送信))がなされた日付の情報である。注文時刻104は、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文(オーダ情報入力確定(送信))がなされた時刻の情報である。
【0055】
保留カテゴリ105は、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文について、調理指示発行を保留中のアイテムのカテゴリのカテゴリ番号である。保留カテゴリ105は、保留のカテゴリ番号が1つもない場合に、0の値にされる。テーブル客数106は、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文をしたグループの顧客数(テーブル番号102のテーブルに着席している1グループの顧客数)の情報である。
【0056】
伝票情報テーブル100には、伝票番号101の調理指示伝票に対応する注文に対応するアイテムの買い上げ点数、小計、税金、コース料理のアイテム名等、他の情報を含む。
【0057】
次に、図5〜図8を参照して、オーダエントリシステム1の動作を説明する。図5は、コントローラ10で実行されるアラームコマンド送信処理のフローチャートである。図6は、ハンディ端末20で実行されるアラーム出力処理のフローチャートである。図7は、ハンディ端末20で実行される調理指示発行コマンド送信処理のフローチャートである。図8は、コントローラ10で実行される調理指示発行処理のフローチャートである。
【0058】
先ず、図5〜図8の各処理の前提となるオーダ情報送信処理及びオーダ情報受信処理を説明する。先ず、ハンディ端末20で実行されるオーダ情報送信処理を説明する。
【0059】
オーダエントリシステム1が設置されている店舗のフロアに、ハンディ端末20を所持する複数の接客スタッフが配置されているものとする。この店舗の営業時間内において、1グループの顧客が入店すると、ある1人の接客スタッフが、適切なテーブルを案内し、そのグループの顧客をテーブルに着席させる。そして、その接客スタッフは、テーブルに案内したグループの顧客から注文をとるため、所持しているハンディ端末20の操作部22を介して、オーダ情報送信処理の実行指示を入力する。
【0060】
オーダ情報送信処理の実行指示入力に応じて、ハンディ端末20のCPU21は、操作部22を介して接客スタッフからのオーダ情報の入力を受け付け、顧客のグループ毎にユニークな伝票番号を生成する。このオーダ情報には、注文されたアイテム(本実施の形態ではコース料理)の識別番号と、注文されたアイテム(コース料理)の数と、案内したグループの顧客が着席しているテーブルのテーブル番号と、案内したグループの顧客数であるテーブル客数と、が含まれる。本実施の形態では、コース料理の注文数と、テーブル客数と、が同じ値になる。
【0061】
そして、CPU21は、操作部22を介する接客スタッフからのオーダ情報送信操作に応じて、無線通信部26を介して、入力されたオーダ情報に、生成した伝票番号を含めてコントローラ10に送信する。
【0062】
コントローラ10のCPU11は、ハンディ端末20のオーダ情報送信処理に応じて、オーダ情報受信処理を実行する。先ず、CPU11は、無線通信部16を介して、ハンディ端末20から送信されたオーダ情報を受信する。そして、CPU11は、計時部19から現在の日時情報を取得する。そして、CPU11は、記憶部17に記憶されているカテゴリ設定テーブル70を参照し、調理指示保留対象73がNOであるカテゴリ番号71が1の名称72の前菜のアイテムを、オーダ情報の伝票番号及びテーブル番号の顧客にテーブル客数分調理するための調理指示伝票をプリンタ30に印刷させる。調理スタッフは、印刷された調理指示伝票を目視して調理を開始する。
【0063】
そして、CPU11は、オーダ情報の伝票番号、テーブル番号、取得した日時情報の日付及び時刻、カテゴリ設定テーブル70の調理指示保留対象73がYESである全てのカテゴリ番号71、オーダ情報のテーブル客数等を、記憶部17に記憶されている伝票情報テーブル100の伝票番号101、テーブル番号102、日付103、注文時刻104、保留カテゴリ105、テーブル客数106等に同一レコードとして記憶する。このようにして、コントローラ10は、オーダ情報受信処理により、全てのハンディ端末20からオーダ情報を受信していき、受信したオーダ情報に対応して伝票情報テーブル100のレコードを更新(追加)していく。なお、ユニークな伝票番号は、コントローラ10側で生成する構成としてもよい。
【0064】
次いで、図5を参照して、コントローラ10で実行されるアラームコマンド送信処理を説明する。アラームコマンド送信処理は、周期的に実行される処理であり、調理指示発行催促時間経過でハンディ端末20を所持する接客スタッフに調理指示発行を促すためのアラームコマンドを全てのハンディ端末20に送信する処理である。コントローラ10において、周期的なアラームコマンド送信処理の実行タイミングになったことをトリガとして、CPU11は、ROM15から読み出され適宜RAM13に展開されたアラームコマンド送信プログラム152との協働でアラームコマンド送信処理を実行する。
【0065】
先ず、CPU11は、記憶部17に記憶されている伝票情報テーブル100を参照し、全てのテーブル客数106から店内合計客数を算出する(ステップS11)。そして、CPU11は、伝票情報テーブル100から未選択の伝票番号101を1つ選択する(ステップS12)。そして、CPU11は、ステップS12で未選択の伝票番号101を選択したか否かを判別する(ステップS13)。未選択の伝票番号101を選択していない場合(ステップS13;NO)、未選択の伝票番号101が無く、アラームコマンド送信処理が終了する。
【0066】
未選択の伝票番号101を選択した場合(ステップS13;YES)、CPU11は、選択中の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105に保留カテゴリがあるか否かを判別する(ステップS14)。保留カテゴリがない場合(ステップS14;NO)、ステップS12に移行される。保留カテゴリがある場合(ステップS14;YES)、CPU11は、ステップS15として、記憶部17に記憶されている条件設定テーブル80を参照し、選択中の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105の次の提供順のカテゴリに対応するテーブル客数81及び店内合計客数82が、選択中の伝票番号101に対応するテーブル客数106及びステップS11で算出した店内合計客数である条件83を取得する。また、CPU11は、記憶部17に記憶されている履歴テーブル90を参照し、選択中の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105の次の提供順のカテゴリに対応する客数条件91が、取得した条件83に対応する平均時間94を読み出す(ステップS15)。
【0067】
そして、CPU11は、計時部19から現在の日時情報を取得し、選択中の伝票番号101に対応する日付103及び注文時刻104からの現在の日時情報の経過時間を算出し、算出した経過時間がステップS15で読み出した平均時間94以上であるか否かを判別する(ステップS16)。経過時間<平均時間である場合(ステップS16;NO)、ステップS12に移行される。経過時間≧平均時間である場合(ステップS16;YES)、注文時(オーダ情報入力確定(送信)時)から調理指示発行催促時間経過しており、CPU11は、選択中の伝票番号101と、この伝票番号101に対応する保留カテゴリ105の次の提供順のカテゴリのカテゴリ番号と、この伝票番号101に対応するテーブル番号102と、を含むアラームコマンドを生成し、無線通信部16を介して全てのハンディ端末20に無線送信し(ステップS17)、ステップS12に移行される。
【0068】
次いで、図6を参照して、全てのハンディ端末20で実行されるアラーム出力処理を説明する。アラーム出力処理は、周期的に実行される処理であり、図5のアラームコマンド送信処理によりコントローラ10から送信されたアラームコマンドに応じて、ハンディ端末20を所持する接客スタッフに調理指示発行を促すためのアラームを出力(表示)する処理である。ハンディ端末20において、周期的なアラーム出力処理の実行タイミングになったことをトリガとして、CPU21は、ROM25から読み出され適宜RAM23に展開されたアラーム出力プログラム252との協働でアラーム出力処理を実行する。
【0069】
先ず、CPU21は、操作部22を介して接客スタッフから操作入力があるか否かを判別する(ステップS21)。ステップS21の操作入力は、例えば、上述のオーダ情報送信処理や、後述する調理指示発行コマンド送信処理の実行指示の操作入力である。操作入力がある場合(ステップS21;YES)、CPU21は、ステップS21の操作入力に応じた処理を行い(ステップS22)、アラーム出力処理を終了する。ステップS22の操作入力に応じた処理は、例えば、オーダ情報送信処理の実行指示に対応するオーダ情報送信処理や、調理指示発行コマンド送信処理の実行指示に対応する調理指示発行コマンド送信処理である。
【0070】
操作入力がない場合(ステップS21;NO)、CPU21は、図5のアラームコマンド送信処理のステップS17に対応して、無線通信部16を介して、コントローラ10から送信されたアラームコマンドを受信したか否かを判別する(ステップS23)。アラームコマンドを受信していない場合(ステップS23;NO)、アラーム出力処理が終了する。
【0071】
アラームコマンドを受信した場合(ステップS23;YES)、CPU21は、受信したアラームコマンドに含まれる伝票番号、カテゴリ番号及びテーブル番号を取得し、取得した伝票番号とともに、取得したテーブル番号のグループ顧客に対応して、取得したカテゴリ番号のカテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報を生成して表示部24に表示し(ステップS24)、アラーム出力処理を終了する。ステップS24では、例えば、「伝票番号2、テーブル番号6の主菜の調理指示時間になりました。お食事の進み具合を確認して調理指示発行して下さい」のメッセージがアラーム情報として表示される。アラーム出力処理により、全てのハンディ端末20でアラーム情報が出力される。
【0072】
次いで、図7を参照して、ハンディ端末20で実行される調理指示発行コマンド送信処理を説明する。調理指示発行コマンド送信処理は、図6のアラーム出力処理によるアラーム情報出力及び顧客の食事の進み具合に応じた接客スタッフの操作入力により、調理指示発行が保留中のカテゴリのアイテムの調理を指示する調理指示発行コマンドをコントローラ10に送信する処理である。ハンディ端末20において、接客スタッフから操作部22を介して調理指示発行コマンド送信処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、CPU21は、ROM25から読み出され適宜RAM23に展開された調理指示発行コマンド送信プログラム251との協働で調理指示発行コマンド送信処理を実行する。この調理指示発行コマンド送信処理の実行指示の操作は、例えば、アラーム情報のテーブル番号に対応するテーブルに近い位置の接客スタッフが行い、あるいは各接客スタッフが担当するテーブルが予め決まっている場合に、アラーム情報のテーブル番号に対応するテーブルを担当する接客スタッフが行う。
【0073】
先ず、CPU21は、操作部22を介して接客スタッフから、調理指示を行う顧客の伝票番号と、調理指示を行うカテゴリのカテゴリ番号と、の入力を受け付ける(ステップS31)。そして、CPU21は、ステップS31で入力された伝票番号及びカテゴリ番号を含む調理指示発行コマンドを生成し、無線通信部26を介してコントローラ10に無線送信する(ステップS32)。
【0074】
そして、CPU21は、ステップS32で送信した調理指示発行コマンドを受信した旨を示す応答情報を、無線通信部26を介してコントローラ10から受信したか否かを判別する(ステップS33)。応答情報を受信した場合(ステップS33;YES)、CPU21は、ステップS33で受信した応答情報に応じて、応答結果を表示部24に表示し(ステップS34)、調理指示発行コマンド送信処理を終了する。応答情報を受信していない場合(ステップS33;NO)、CPU21は、エラー処理を行い(ステップS35)、調理指示発行コマンド送信処理を終了する。
【0075】
次いで、図8を参照して、コントローラ10で実行される調理指示発行処理を説明する。調理指示発行処理は、図7の調理指示発行コマンド送信処理によりハンディ端末20から送信された調理指示発行コマンドに応じて、カテゴリのアイテムの調理指示を行う処理である。コントローラ10において、無線通信部16を介してハンディ端末20から送信された調理指示発行コマンドを受信開始したことをトリガとして、CPU11は、ROM15から読み出され適宜RAM13に展開された調理指示発行プログラム151との協働で調理指示発行処理を実行する。
【0076】
先ず、CPU11は、無線通信部16を介して、ハンディ端末20から送信された調理指示発行コマンドを受信完了する(ステップS41)。そして、CPU11は、記憶部17に記憶されている伝票情報テーブル100を参照し、全てのテーブル客数106から店内合計客数を算出する(ステップS42)。
【0077】
そして、CPU11は、ステップS41で受信した調理指示発行コマンドに含まれる調理指示指定の伝票番号が、伝票情報テーブル100の伝票番号101にあるか否かを判別する(ステップS43)。調理指示指定の伝票番号がある場合(ステップS43;YES)、CPU11は、ステップS41で受信した調理指示発行コマンドに含まれる調理指示指定のカテゴリ番号が、伝票情報テーブル100の調理指示指定の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105にあるか否かを判別する(ステップS44)。
【0078】
調理指示指定のカテゴリ番号がある場合(ステップS44;YES)、CPU11は、調理指示指定の伝票番号に対応するテーブル番号102について、調理指示指定のカテゴリ番号のアイテムを調理指示する旨の調理指示指定伝票をプリンタ30に印刷させ、無線通信部16を介して、調理指示発行コマンドの応答情報をハンディ端末20に無線送信する(ステップS45)。
【0079】
そして、CPU11は、調理指示伝票を印刷したカテゴリのカテゴリ番号を、伝票情報テーブル100の調理指示指定の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105から削除する(ステップS46)。ステップS46において、保留カテゴリ105は、全てのカテゴリ番号が削除されると、0の値にされる。
【0080】
そして、CPU11は、ステップS47として、記憶部17に記憶されている条件設定テーブル80を参照し、調理指示指定の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105の調理指示指定のカテゴリ番号に対応するテーブル客数81及び店内合計客数82が、調理指示指定の伝票番号101に対応するテーブル客数106及びステップS41で算出した店内合計客数である条件83を取得する。また、CPU11は、ステップS47として、計時部19から現在の日時情報を取得し、調理指示指定の伝票番号101に対応する日付103及び注文時刻104からの現在の日時情報の経過時間を算出する。また、CPU11は、記憶部17に記憶されている履歴テーブル90を参照し、調理指示指定の伝票番号101に対応する保留カテゴリ105の各カテゴリに対応する客数条件91が、取得した条件83であり、且つ対応する回数の調理指示発行回数92である履歴時間93に、算出した経過時間を記憶させる(ステップS47)。
【0081】
そして、CPU11は、履歴テーブル90のステップS47で履歴時間93を記憶したレコードの全ての履歴時間93の平均時間を算出し、同じレコードの平均時間94に記憶して更新し(ステップS48)、調理指示発行処理を終了する。ステップS48の平均時間の算出方法は、全ての履歴時間93の単純平均算出とするが、中央値をとる方法等、他の平均時間の算出方法でもよい。
【0082】
調理指示指定の伝票番号がない場合(ステップS43;NO)、又は調理指示指定のカテゴリ番号がない場合(ステップS44;NO)、CPU11は、エラー処理を行い(ステップS49)、調理指示発行処理を終了する。
【0083】
以上、本実施の形態によれば、コントローラ10は、ハンディ端末20の操作部22に調理指示発行を保留するカテゴリのアイテムを注文するオーダ情報が入力された場合に、当該オーダ情報入力確定(送信)時からの経過時間を計時し、当該経過時間が、記憶部17に記憶された当該カテゴリの履歴テーブル90の履歴時間93の平均時間94以上となるか否かを判別する。コントローラ10は、当該経過時間が平均時間94以上となる場合に、前記カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラームコマンドをハンディ端末20に送信する。ハンディ端末20は、アラームコマンドを受信するとカテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報を表示部14に表示する。ハンディ端末20は、操作部22を介する調理指示発行の入力に応じて、当該カテゴリのアイテムの調理指示伝票をプリンタ30に印刷させる。
【0084】
このため、過去にアイテムを提供した履歴時間に応じて、調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を、ハンディ端末20を所持する接客スタッフに適切な時間で促すことができ、顧客に適切な時間でアイテムを提供できる。
【0085】
また、ハンディ端末20は、操作部22を介してアラームコマンドに応じたカテゴリの調理指示発行が指示入力された場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示を行う調理指示発行コマンドをコントローラ10に送信する。コントローラ10は、調理指示発行コマンドをハンディ端末20から受信すると、当該調理指示発行コマンドのカテゴリのアイテムの調理指示伝票をプリンタ30に印刷させ、オーダ情報入力時から当該調理指示発行までの経過時間を計時し、当該経過時間を当該カテゴリに対応付けて記憶部10に記憶されている履歴テーブル90の履歴時間93に追加してその平均時間94を更新する。このため、過去にアイテムを提供した履歴時間及びその平均時間を容易且つ適切に更新できる。
【0086】
また、ハンディ端末20は、履歴テーブル90に、客数(テーブル客数及び店内合計客数)の条件別でカテゴリ別に履歴時間93及びその平均時間94を記憶し、またカテゴリと顧客の客数とを含むオーダ情報の入力を受け付ける。コントローラ10は、オーダ情報のカテゴリと客数の条件とに対応する履歴時間93の平均時間94を履歴テーブル90から読み出して、オーダ情報入力確定(送信)時からの経過時間が、読み出した平均時間94以上となるか否かを判別する。このため、顧客及び店舗の状況(顧客の人数状況、キッチンの忙しさ等)に応じて、調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を、ハンディ端末20を所持する接客スタッフに適切な時間で促すことができる。
【0087】
(第2の実施の形態)
図9を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図9(a)は、コントローラ10に記憶される条件設定テーブル200を示す図である。図9(b)は、コントローラ10に記憶される伝票情報テーブル300を示す図である。
【0088】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、オーダエントリシステム1が用いられる。第1の実施の形態では、コントローラ10に記憶される条件設定テーブル80に示されるように、調理指示発行催促時間を特定するための条件は、カテゴリ別のテーブル客数81及び店内合計客数82であった。本実施の形態では、条件設定テーブル80に代えて、図9(a)に示す条件設定テーブル200が、コントローラ10の記憶部17に記憶される。
【0089】
条件設定テーブル200は、顧客の客層別でカテゴリ別の条件設定テーブルである。客層は、女性グループ、家族、カップル等である。ここでは、客層が女性グループである条件設定テーブル200を説明するが、他の客層の条件設定テーブル200も同様の構成をとる。
【0090】
条件設定テーブル200は、カテゴリ別に、条件設定テーブル210a,210b〜を有する。カテゴリがスープの条件設定テーブル210a、カテゴリが主菜の条件設定テーブル210bは、それぞれ、テーブル客数211と、店内合計客数212と、条件213と、を有する。他のカテゴリの条件設定テーブルも同様の構成をとる。
【0091】
また、第1の実施の形態における履歴テーブル90も、条件設定テーブル200と同様に、本実施の形態では、客層別でカテゴリ別の履歴テーブルとなる。
【0092】
また、第1の実施の形態における伝票情報テーブル100に代えて、図9(b)に示す伝票情報テーブル300が記憶部17に記憶される。伝票情報テーブル300は、伝票番号301、テーブル番号302、日付303、注文時刻304、保留カテゴリ305、テーブル客数306、客層307等を有する。
【0093】
オーダエントリシステム1では、第1の実施の形態と同様に、ハンディ端末20において、オーダ情報送信処理、図6のアラーム出力処理、図7の調理指示発行コマンド送信処理、が実行され、コントローラ10において、オーダ情報受信処理、図5のアラームコマンド送信処理、図8の調理指示発行コマンド送信処理、が実行される。
【0094】
但し、オーダ情報送信処理では、顧客の客層も操作部22を介して操作入力されてオーダ情報に含められる。オーダ情報受信処理では、受信したオーダ情報の客層を客層307とした伝票情報テーブル300が記憶部17に記憶される。また、アラームコマンド送信処理のステップS15では、選択中の伝票番号のテーブル客数、店内合計客数及び客層に応じた条件が読み出され、この条件に対応する平均時間が読み出される。
【0095】
また、調理指示発行処理のステップS47では、調理指示指定の伝票番号のテーブル客数、店内合計客数及び客層に応じた条件が読み出され、この条件に対応する履歴時間が履歴テーブルに記憶される。
【0096】
以上、本実施の形態によれば、ハンディ端末20は、履歴テーブルに、客数(テーブル客数及び店内合計客数)及び客層の条件別でカテゴリ別に履歴時間及びその平均時間を記憶し、またカテゴリと顧客の客数及び客層とを含むオーダ情報の入力を受け付ける。コントローラ10は、オーダ情報のカテゴリと客数及び客層の条件とに対応する履歴時間の平均時間を履歴テーブルから読み出して、オーダ情報入力確定(送信)時からの経過時間が、読み出した平均時間以上となるか否かを判別する。このため、顧客及び店舗の状況(顧客の人数状況、キッチンの忙しさ等)及び客層に応じて、調理指示発行が保留されたアイテムの調理指示発行を、ハンディ端末20を所持する接客スタッフに適切な時間で促すことができる。
【0097】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るオーダエントリシステムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0098】
上記実施の形態では、オーダエントリシステム1が、1種類のコース料理を提供する店舗に設置されて、このコース料理のカテゴリ毎に、アラーム出力及び調理指示発行を行う構成を説明したが、これに限定されるものではない。複数のコース料理を提供する構成や、コース料理内のカテゴリの種類及びカテゴリ数やアイテムの種類を顧客が選択可能な構成としてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、コントローラ10が、アラームコマンドを全てのハンディ端末20へ一斉に送信し、全てのハンディ端末20がアラーム情報を出力する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、コントローラ10が、送信対象のアラームコマンドに対応するオーダ情報の送信元のハンディ端末20へ当該アラームコマンドを送信する構成としてもよい。この構成において、テーブル毎に担当する接客スタッフが固定されていてもいなくてもよい。例えば、オーダ情報には、当該オーダ情報の送信元のハンディ端末20の端末識別情報が含められるものとし、コントローラ10は、受信したオーダ情報に含まれる伝票番号及び端末識別情報を対応付けて記憶しておくものとする。コントローラ10は、アラームコマンドの送信時に、伝票情報テーブルを参照して、送信対象のアラームコマンドに含まれるテーブル番号に対応する伝票番号の端末識別情報を取得し、取得した端末識別情報のハンディ端末20へ当該アラームコマンドを送信する構成としてもよい。あるいは、ハンディ端末20が、自機が送信したオーダ情報の伝票番号を記憶しておくものとする。コントローラ10がアラームコマンドを全てのハンディ端末20へ一斉に送信した場合に、各ハンディ端末20は、受信したアラームコマンドに含まれる伝票番号が自機の記憶する伝票番号と同じであるか否かを判別し、同じである場合に、アラーム情報を出力し、異なる場合に、アラーム情報を出力しない構成としてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態では、ハンディ端末20及びコントローラ10を備えるオーダエントリシステム1でアラーム出力及び調理指示発行を行う構成を説明したが、このシステムに限定されるものではない。例えば、売上データ処理装置(ECR等)と、プリンタ30と、を備えるオーダエントリシステムとしてもよい。このオーダエントリシステムでは、売上データ処理装置が、ハンディ端末20及びコントローラ10の機能を有する。このオーダエントリシステムにおいて、オーダ情報送信処理、図6のアラーム出力処理、図7の調理指示発行コマンド送信処理、オーダ情報受信処理、図5のアラームコマンド送信処理、図8の調理指示発行コマンド送信処理、と同様の処理が、売上データ処理装置のCPUで実行される(但し、無線通信に関する処理は、実行されない)。
【0101】
また、上記実施の形態では、ハンディ端末20が、調理指示発行を促すアラーム情報をアラーム出力部としての表示部24に表示してアラーム出力する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ハンディ端末20が、LED(Light Emitting Diode)等の発光部、バイブレータ、音(音声)出力部のアラーム出力部を備え、表示部24によるアラーム情報の表示出力を、発光部による発光出力、バイブレータによる振動出力、音(音声)出力部による音(音声)出力と組み合わせて行う構成としてもよい。アラーム出力部が音声出力部である場合には、アラーム情報を音声により出力する構成としてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態では、コントローラ10の記憶部17に記憶する履歴テーブルの履歴時間が、テーブル客数、店内合計客数、客数の条件毎に記憶される構成としたが、これに限定されるものではない。履歴時間を特定するための条件として、時間帯、曜日、月(季節)、接客スタッフ及び調理スタッフの出勤状況等、他の条件を含めることとしてもよい。同一カテゴリでアイテムの種類を選択可能な構成では、アイテムの種類によって、食事に要する時間が異なる場合には、調理指示発行催促時間を特定するための条件に、アイテム(の種類)を含める構成としてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態におけるオーダエントリシステムの各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0104】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
注文されたアイテムの調理指示伝票をプリンタで印刷するオーダエントリシステムであって、
オーダ情報の入力を受け付ける操作部と、
アイテムのカテゴリ別に、オーダ情報入力確定時から調理指示発行までの履歴時間及びその平均時間を記憶する記憶部と、
アラーム情報の出力を行うアラーム出力部と、
前記操作部を介して調理指示発行を保留するカテゴリのアイテムを注文するオーダ情報が入力された場合に、当該オーダ情報入力確定時からの第1の経過時間を計時し、当該第1の経過時間が、前記記憶部に記憶された履歴時間の平均時間以上となるか否かを判別し、当該第1の経過時間が平均時間以上となる場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報を前記アラーム出力部に出力させ、前記操作部を介する調理指示発行の入力に応じて、当該カテゴリのアイテムの調理指示伝票を前記プリンタに印刷させる第1の制御部と、を備えるオーダエントリシステム。
<請求項2>
ハンディ端末と、当該ハンディ端末と通信可能なコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記記憶部と、
前記第1の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、前記第1の経過時間が平均時間以上となる場合に、前記カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラームコマンドを前記コントローラに送信し、
前記ハンディ端末は、
前記操作部と、
前記アラーム出力部と、
前記操作部を介して入力されたオーダ情報を前記コントローラに送信し、前記アラームコマンドを前記コントローラから受信すると、当該アラームコマンドに応じたアラーム情報を前記アラーム出力部に出力させる第2の制御部と、を備える請求項1に記載のオーダエントリシステム。
<請求項3>
前記第2の制御部は、前記操作部を介して前記アラームコマンドに応じたカテゴリの調理指示発行が入力された場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示を行う調理指示発行コマンドを前記コントローラに送信し、
前記第1の制御部は、前記調理指示発行コマンドを前記ハンディ端末から受信すると、当該調理指示発行コマンドのカテゴリのアイテムの調理指示伝票を前記プリンタに印刷させ、オーダ情報入力確定時から当該調理指示発行までの第2の経過時間を計時し、当該第2の経過時間を当該カテゴリに対応付けて前記記憶部に記憶されている履歴時間に追加してその平均時間を更新する請求項2に記載のオーダエントリシステム。
<請求項4>
前記記憶部は、客数及び客層の少なくとも一つの条件別でカテゴリ別に履歴時間及びその平均時間を記憶し、
前記操作部は、オーダしたアイテムのカテゴリとオーダを行った顧客の客数及び客層の少なくとも一つとを含むオーダ情報の入力を受け付け、
前記第1の制御部は、前記操作部を介してオーダ情報の入力が行われた場合に、当該オーダ情報のカテゴリと客数及び客層の少なくとも一つの条件とに対応する履歴時間の平均時間を前記記憶部から読み出して前記第1の経過時間と比較する請求項3に記載のオーダエントリシステム。
【符号の説明】
【0105】
1 オーダエントリシステム
10 コントローラ
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 ROM
16 無線通信部
17 記憶部
18 通信部
19 計時部
19a バス
20 ハンディ端末
21 CPU
22 操作部
23 RAM
24 表示部
25 ROM
26 無線通信部
27 記憶部
28 電源部
29 バス
30,40 プリンタ
50 ハブ
60 ECR

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文されたアイテムの調理指示伝票をプリンタで印刷するオーダエントリシステムであって、
オーダ情報の入力を受け付ける操作部と、
アイテムのカテゴリ別に、オーダ情報入力確定時から調理指示発行までの履歴時間及びその平均時間を記憶する記憶部と、
アラーム情報の出力を行うアラーム出力部と、
前記操作部を介して調理指示発行を保留するカテゴリのアイテムを注文するオーダ情報が入力された場合に、当該オーダ情報入力確定時からの第1の経過時間を計時し、当該第1の経過時間が、前記記憶部に記憶された履歴時間の平均時間以上となるか否かを判別し、当該第1の経過時間が平均時間以上となる場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラーム情報を前記アラーム出力部に出力させ、前記操作部を介する調理指示発行の入力に応じて、当該カテゴリのアイテムの調理指示伝票を前記プリンタに印刷させる第1の制御部と、を備えるオーダエントリシステム。
【請求項2】
ハンディ端末と、当該ハンディ端末と通信可能なコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記記憶部と、
前記第1の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、前記第1の経過時間が平均時間以上となる場合に、前記カテゴリのアイテムの調理指示発行を促すアラームコマンドを前記コントローラに送信し、
前記ハンディ端末は、
前記操作部と、
前記アラーム出力部と、
前記操作部を介して入力されたオーダ情報を前記コントローラに送信し、前記アラームコマンドを前記コントローラから受信すると、当該アラームコマンドに応じたアラーム情報を前記アラーム出力部に出力させる第2の制御部と、を備える請求項1に記載のオーダエントリシステム。
【請求項3】
前記第2の制御部は、前記操作部を介して前記アラームコマンドに応じたカテゴリの調理指示発行が入力された場合に、当該カテゴリのアイテムの調理指示を行う調理指示発行コマンドを前記コントローラに送信し、
前記第1の制御部は、前記調理指示発行コマンドを前記ハンディ端末から受信すると、当該調理指示発行コマンドのカテゴリのアイテムの調理指示伝票を前記プリンタに印刷させ、オーダ情報入力確定時から当該調理指示発行までの第2の経過時間を計時し、当該第2の経過時間を当該カテゴリに対応付けて前記記憶部に記憶されている履歴時間に追加してその平均時間を更新する請求項2に記載のオーダエントリシステム。
【請求項4】
前記記憶部は、客数及び客層の少なくとも一つの条件別でカテゴリ別に履歴時間及びその平均時間を記憶し、
前記操作部は、オーダしたアイテムのカテゴリとオーダを行った顧客の客数及び客層の少なくとも一つとを含むオーダ情報の入力を受け付け、
前記第1の制御部は、前記操作部を介してオーダ情報の入力が行われた場合に、当該オーダ情報のカテゴリと客数及び客層の少なくとも一つの条件とに対応する履歴時間の平均時間を前記記憶部から読み出して前記第1の経過時間と比較する請求項3に記載のオーダエントリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37557(P2013−37557A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173667(P2011−173667)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】