説明

オーディオシステム、オーディオ装置、音声再生方法及びプログラム

【課題】高速道路への進入及び高速道路からの退出を確実に認識し、高速道路走行中の音声データの再生音量を自動的に調整する。
【解決手段】ETC装置10とオーディオ装置20とが通信可能に接続されたオーディオシステム100であって、ETC装置10は、車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を前記オーディオ装置20に出力する出力部13を備え、オーディオ装置20は、前記出力された進入退出情報を入力する入力部21と、前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する制御部22と、を備えるオーディオシステム100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオシステム、オーディオ装置、音声再生方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の位置情報を取得するナビゲーション装置にオーディオ再生機能を付加したシステムが普及している。
【0003】
特許文献1によれば、ナビゲーション装置によって取得される車両の位置情報に応じて、オーディオ装置から出力される音声の音量を自動的に調整する技術が開示されている。
特許文献1の技術によれば、車両が走行ノイズの大きい高速道路を走行中、出力音量が自動的に増加するように調整される。よって、ユーザは手動で音量の調整を行う必要はなく、安全性を確保し得る。
【特許文献1】特開2007−240161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術によれば、車両が高速道路を実際に走行していなくとも、自動的に音量が上がってしまう場合がある。例えば、車両が高速道路と並行して走行していたり、高速道路の真下を走行していたりする場合である。このような場合、ナビゲーション装置は位置情報を誤認して検出してしまい、誤った位置情報をオーディオ装置に出力してしまう。
ナビゲーション装置の誤認によりオーディオ装置が誤って音量を上げてしまった場合、ユーザは手動で音量を再調整しなければならず、安全性が確保されない。
【0005】
本発明の目的は、高速道路への進入及び高速道路からの退出を確実に認識し、高速道路走行中における出力音量の調整を自動的に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、
ETC装置とオーディオ装置とが通信可能に接続されたオーディオシステムであって、
前記ETC装置は、
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を前記オーディオ装置に出力する出力手段を備え、
前記オーディオ装置は、
前記出力された進入退出情報を入力する入力手段と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する制御手段と、
を備えるオーディオシステムが提供される。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御手段は、前記進入退出情報に基づいて、前記車両が前記高速道路に進入し、当該高速道路から退出するまでの間、前記音声の出力音量を一定量だけ増加させるオーディオシステムが提供される。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記車両の室内のノイズレベルを検出する雑音検出手段を備え、
前記制御手段は、前記車両が前記高速道路に進入するまでの間に検出されたノイズレベルと前記車両が前記高速道路を走行中に検出されたノイズレベルとを比較し、当該比較した結果に基づいて、前記音声の出力音量を調整するオーディオシステムが提供される。
【0009】
請求項4に記載の発明によれば、
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を入力する入力手段と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する制御手段と、
を備えるオーディオ装置が提供される。
【0010】
請求項5に記載の発明によれば、
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を入力する工程と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する工程と、
を含む音声再生方法が提供される。
【0011】
請求項6に記載の発明によれば、
コンピュータに、請求項5に記載の音声再生方法を実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速道路への進入及び高速道路からの退出を確実に認識し、車両が高速道路を走行中は音声の出力音量が自動的に調整される。よって、ユーザはオーディオ装置から出力される音声の音量を手動で調整する必要はなく、安全性の確保を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本実施形態におけるオーディオシステムの最適な構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
第1実施形態では、車両が高速道路に進入し、又は高速道路から退出したことを示す進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を自動的に調整するオーディオシステムについて説明する。
【0014】
図1を参照して、オーディオシステム100の機能構成について説明する。
オーディオシステム100は、ETC(Electronic Toll Collection)装置10及びオーディオ装置20を備えて構成される。以下、ETC装置10及びオーディオ装置20の各部について説明する。
【0015】
ETC装置10は、通信部11、課金部12、出力部13、ETC制御部14を備えて構成される。
通信部11は、車両がETCゲートを通過する際、ETCゲート付近に予め設置されている無線装置と無線通信を行う。通信部11は、無線通信によって、車両が進入又は退出する情報(以下、「進入退出情報」という)や課金情報を取得する。
課金部12は、課金情報及びETC装置10に予め挿入されているETCカード(図示省略)のID情報に基づいて、課金処理を行う。
出力部13は、進入退出情報をオーディオ装置20に出力する。
ETC制御部14は、ETC装置10を構成する各部の動作を集中制御する。
【0016】
オーディオ装置20は、入力部21、制御部22、記憶部23、表示部24、操作部25、増幅部26、音声出力部27を備えて構成される。
入力部21は、出力部13から出力される進入退出情報を入力する。
制御部22は、オーディオ装置20を構成する各部の動作を集中制御する。例えば、制御部22は、入力部21によって入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する処理を行う。
記憶部23は、システムプログラムや音声再生プログラム等の各種プログラムを記憶する。また、記憶部23は、楽曲などの音声データを記憶する。
表示部24は、制御部22から出力される表示信号に基づいて、オーディオ装置20の状態表示や動作表示等を行う。
操作部25は、各種指示を制御部22に出力する。各種指示には、例えば音声を再生する指示や音声の出力音量を調整する指示等がある。
増幅部26は、音声を増幅して音声出力部27に出力する。
音声出力部27は、増幅された音声を音波として出力する。
【0017】
次に、図2を参照して、音量調整処理について説明する。
なお、前提として、オーディオシステム100の電源はONに設定されており、オーディオ装置20によって音声が再生されているものとする。また、車両は、音声を再生させながら道路上を走行しているものとし、再生している音声は、オーディオシステム100により再生している楽曲データ等とする。
【0018】
制御部22は、車両がETCゲートを通過していない場合(ステップS1;N)、継続して音声を再生させる。
一方、制御部22は、車両がETCゲートを通過した場合(ステップS1;Y)、高速道路に進入したか否かについて判断する(ステップS2)。
なお、制御部22は、入力部21によって入力された進入退出情報に基づいて、車両がETCゲートを通過したか否かの判断及び高速道路に進入したか否かの判断を行う。
【0019】
制御部22は、車両が高速道路に進入した場合(ステップS2;Y)、音声の出力音量を予め定められた範囲内で、一定量だけ増加させる(ステップS3)。
一方、制御部22は、車両が高速道路に進入していない場合(ステップS2;N)、ステップS5に移行する。
【0020】
制御部22は、車両がETCゲートを通過せず(ステップS4;N)、又は高速道路を退出していない場合(ステップS5;N)、音声の出力音量を増加させた状態で、継続して再生させる。
一方、制御部22は、車両がETCゲートを通過し(ステップS4;Y)、かつ、高速道路を退出した場合(ステップS5;Y)、音声データの出力音量を高速道路進入前の状態に戻して(ステップS6)、音量調整処理を終了する。
【0021】
図3に、上述してきた音量調整処理の概念図を示す。
車両C1は、一般道路を低速走行しており、ETCゲートG1を通過する前の状態を示している。また、車両C1は、低速走行中、音量値10で音声を再生させながら走行している状態を示している。
車両C2は、ETCゲートG1を通過して高速道路に進入した後の状態を示している。また、車両C2は、高速走行中、音量値が10から20に自動的に調整された状態を示している。
車両C3は、ETCゲートG2を通過して高速道路から一般道路に移動した状態を示している。また、車両C3は、低速走行中、音量値が20から10に自動的に調整された状態を示している。
【0022】
以上のように、第1実施形態によれば、高速道路への進入及び高速道路からの退出を示す進入退出情報に基づいて、音声の出力音量が自動的に調整される。よって、車両が走行ノイズの大きい高速道路を走行中にユーザは手動で音量を調整する必要は無く、安全性を確保することができる。
【0023】
また、音声の出力音量を自動的に調整する際、音量を予め定められた範囲内で一定量だけ増加させることとしてもよい。再生中の音声が走行ノイズで聴き難い場合でも音量が自動的に増加されるため、ユーザは音量を増加させる操作を行う手間を省くことができる。
【0024】
なお、本願発明は、上述してきた実施形態に限られず、車両の位置情報の検出が可能なナビゲーション装置を更に備えたオーディオシステムとしてもよい。ナビゲーション装置を備えたオーディオシステムとすることで、車両が実際に高速道路を走行しているのか、或いは速度制限のある有料道路を走行しているのかについて、ナビゲーション装置による位置情報に基づいてより正確に判断することができる。よって、オーディオ装置は高速走行中の再生音量をより適切に調整することが可能となる。
【0025】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態で説明した進入退出情報及び車室内のノイズレベルに基づいて、音声の出力音量を自動的に調整するオーディオシステムについて説明する。
【0026】
図4に、オーディオシステム100aの機能構成を示す。
図4に示すオーディオシステム100aは、図1に示したオーディオシステム100と基本的構成は同じである。以下、異なる構成について説明する。
【0027】
オーディオ装置20aは、雑音検出部28aを備えて構成される。
雑音検出部28aは、車両の室内のノイズレベルを検出する。検出に際し、雑音検出部28aは、室内のノイズレベルを常時検出して累積的に加算する。そして、単位時間当たりのノイズレベルを算出する。
【0028】
図5を参照して、ノイズレベルに基づく音量調整処理を説明する。
なお、前提として、オーディオシステム100の電源はONに設定されており、オーディオ装置20によって音声が再生されているものとする。また、雑音検出部28aは常時室内のノイズレベルを検出しているものとする。
【0029】
制御部22aは、車両がETCゲートを通過していない場合(ステップS11;N)、継続して音声を再生させる。
一方、制御部22aは、車両がETCゲートを通過した場合(ステップS11;Y)、高速道路に進入したか否かについて判断する(ステップS12)。
なお、制御部22aは、入力部21aが入力する進入退出情報に基づいて、車両がETCゲートを通過したか否かの判断及び高速道路に進入したか否かの判断を行う。
【0030】
制御部22aは、車両が高速道路に進入していない場合(ステップS12;N)、ステップS17に移行する。
一方、制御部22aは、車両が高速道路に進入した場合(ステップS12;Y)、雑音検出部28aによる検出処理を一時停止させ、検出処理停止時におけるノイズレベルの情報を記憶部23aに記憶させる(ステップS13)。
【0031】
制御部22aは、一時停止させたノイズレベルの検出処理を再開させる(ステップS14)。このとき、雑音検出部28aは、室内のノイズレベルをあらためて累積的に加算し、高速道路走行中における単位時間当たりのノイズレベルを算出する。
【0032】
制御部22aは、車両が高速道路を走行中、記憶部23aに記憶させたノイズレベルと雑音検出部28aによって検出されるノイズレベルとを比較し、比較結果に基づいて、音声の出力音量を調整する(ステップS15)。
ステップS15における具体的な処理は、次の通りである。
まず、制御部22aは、高速道路進入後のノイズレベルから進入前のノイズレベルを差し引く処理を行う。そして、制御部22aは、差し引いて得られた値に予め定められた係数を乗じて、音量の増加量を算出する。最後に、制御部22aは、算出した増加量を音声の出力音量に加えて音量を増加させる。なお、制御部22aは、算出した増加量が一定の範囲以上である場合に限って、音量を増加させるとしてもよい。
【0033】
制御部22aは、車両がETCゲートを通過せず(ステップS16;N)、又は高速道路を退出していない場合(ステップS17;N)、音声データの音量を増加させた状態で、継続して再生させる。
一方、制御部22aは、車両がETCゲートを通過し(ステップS16;Y)、かつ、高速道路を退出した場合(ステップS17;Y)、音声の出力音量を高速道路進入前の状態に戻して(ステップS18)、ノイズレベルに基づく音量調整処理を終了する。
【0034】
図6に、上述してきたノイズレベルに基づく音量調整処理の概念図を示す。
車両C1aは、一般道路を低速走行しており、ETCゲートG1を通過する前の状態を示している。また、車両C1aは、低速走行中、音量値10で音声を再生させながら走行している状態を示している。
車両C2aは、ETCゲートG1を通過して高速道路に進入した後の状態を示している。また、車両C2aは、高速走行中、音量値が10から11、12、・・・20に自動的に調整された状態を示している。なお、調整される音量値は高速道路走行中のノイズレベルに応じて異なる。この場合、高速道路走行中のノイズレベルに応じて調整する音量値の最大値を予め設定してもよい。これにより走行中のノイズレベルが大きくても、そのノイズレベルに応じた音量が過大であった場合、過大な音量での再生を防止することもできる。
車両C3aは、ETCゲートG2を通過して高速道路から一般道路に移動した状態を示している。また、車両C3aは、低速走行中、音量値が10に自動的に調整された状態を示している。
【0035】
以上のように、第2実施形態によれば、進入退出情報とともに、車両の室内のノイズレベルに基づいて、音声の出力音量が自動的に調整される。よって、車両が走行ノイズの大きい高速道路を走行中にユーザは手動で再生音量を調整する必要はなく、安全性を確保することができる。また、渋滞等によって高速走行していない場合であっても、室内のノイズレベルに応じて音量が調整されるため、ユーザは手動で音量を調整する必要はなく、安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】オーディオシステムの機能構成を示す図である。
【図2】音量調整処理を示すフロー図である。
【図3】音量調整処理を説明する概念図である。
【図4】オーディオシステムの機能構成を示す図である。
【図5】ノイズレベルに基づく音量調整処理を示すフロー図である。
【図6】ノイズレベルに基づく音量調整処理を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0037】
100、100a オーディオシステム
10 ETC装置
20、20a オーディオ装置
21、21a 入力部
22、22a 制御部
23、23a 記憶部
24、24a 表示部
25、25a 操作部
26、26a 増幅部
27、27a 音声出力部
28 雑音検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETC装置とオーディオ装置とが通信可能に接続されたオーディオシステムであって、
前記ETC装置は、
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を前記オーディオ装置に出力する出力手段を備え、
前記オーディオ装置は、
前記出力された進入退出情報を入力する入力手段と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する制御手段と、
を備えるオーディオシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記進入退出情報に基づいて、前記車両が前記高速道路に進入し、当該高速道路から退出するまでの間、前記音声の出力音量を一定量だけ増加させる請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記車両の室内のノイズレベルを検出する雑音検出手段を備え、
前記制御手段は、前記車両が前記高速道路に進入するまでの間に検出されたノイズレベルと前記車両が前記高速道路を走行中に検出されたノイズレベルとを比較し、当該比較した結果に基づいて、前記音声の出力音量を調整する請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を入力する入力手段と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する制御手段と、
を備えるオーディオ装置。
【請求項5】
車両が高速道路に進入し、又は当該高速道路から退出したことを示す進入退出情報を入力する工程と、
前記入力された進入退出情報に基づいて、音声の出力音量を調整する工程と、
を含む音声再生方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項5に記載の音声再生方法を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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