説明

オーディオ信号をフィルムに同期するための装置および方法

オーディオ信号を、各フレームがインプリントされたタイムコードを備えるフレームに同期するための装置は、検出された一連のタイムコードを得るために一連のフレームのためのインプリントされたタイムコードを検出するための手段(10)を備える。さらに、初期値に基づいて一連の合成タイムコードを生成するために実行されるタイムコードジェネレータ(12)が備えられる。デコーダ(14)が備えられ、タイムコードジェネレータ(12)のための初期値を供給するために、検出された一連のタイムコードのタイムコードを復号化する。検出されたタイムコードおよび対応する合成タイムコードが比較(16)され、位相偏差が偏差閾値を超える場合、このフレームのための合成タイムコードを操作(29)するので、その時間長に関して変更される。この合成タイムコードはオーディオ処理手段(24)に供給され、これは、フレームのための合成タイムコードの検出に応答して、時間制御で、このフレームに関連付けされたオーディオ信号のサンプルを供給するために実行される。したがって、柔軟なシステムが得られ、これにより、任意の数のオーディオプレーヤがフィルムに同期され、特に、オーディオプレーヤは、同期のために所定の合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映画フィルムまたはビデオフィルムアプリケーションにそれぞれ関し、特に、映画またはビデオフィルムのフレームを備えるフィルムの各フレームに関連付けられたサンプルを備えるオーディオ信号を同期することにそれぞれ関する。
【背景技術】
【0002】
エンターテインメントエレクトロニクスの分野において、新規技術および革新的製品に対する要求が高まっている。ここで、最適な機能または性能をそれぞれ提供するにあたって、新たなマルチメディアシステムが成功するための重要な前提がある。これは、デジタル技術および特にコンピュータ技術を用いることにより達成される。このための例としては、改良された現実的なオーディオビジュアルインプレッションを提供するアプリケーションである。現在のオーディオシステムでは、重大な弱点が、自然だけでなく仮想環境の空間サウンド再生の品質にある。
【0003】
オーディオ信号のマルチチャネルラウドスピーカ再生方法は、周知のものであり、長年の間スタンダード化されてきている。全ての従来の技術は、ラウドスピーカの配置およびリスナーの位置の両方が転送フォーマットにすでに組み込まれているという欠点を有している。リスナーに対してラウドスピーカを誤って配置すると、オーディオ品質が相当に損なわれる。最適なサウンドは、いわゆるスウィートスポットと呼ばれる再生空間の小さい領域内だけで可能である。
【0004】
向上した自然のルームインプレッションおよびオーディオ再生における強力な包囲は、新たな技術の援助により達成できる。この技術の基本である、いわゆるウェーブフィールド合成(WFS)は、デルフト工科大学で研究され、1980年代後半に初めて発表された(A.J.ベルクホウト;D.ドフリース;P.フォーゲル:ウェーブフィールド合成によるアコースティック制御、JASA93,1993年)。
【0005】
この方法では計算パワーおよび伝送速度に関して非常に大きな要求がなされることから、ウェーブフィールド合成はこれまで実際にほとんど用いられていなかった。マイクロプロセッサ技術およびオーディオ符号化の分野での進歩により、今日、この技術を特定のアプリケーションに用いることができる。専門分野での最初の製品が来年予定されている。数年の間に、消費者分野での最初のウェーブフィールド合成アプリケーションが販売されることになっている。
【0006】
WFSの基本的な考え方は、波動理論におけるホイヘンスの原理の応用に基づいている。
【0007】
伝播される波面の各点は、それぞれ、球面または全周性に伝播されるさざ波のソースとなる。
【0008】
音響学に適用する場合、入射波面の任意の形状がお互いに隣同士に配列される大量のラウドスピーカ(いわゆるラウドスピーカアレイ)により再生される。再生される個々の時間正確なソースおよびラウドスピーカのリニア配列といった最も単純な場合、各ラウドスピーカのオーディオ信号は、個々ラウドスピーカの反射されたサウンドフィールドが正確に重畳されるように、時間遅延および振幅スケーリングで供給されなければならない。複数のサウンドソースについて、各ラウドスピーカに対する貢献度は各ソースに対して別個に計算され、計算で得られる信号が加えられる。再生されるソースが反射壁を有する室内にある場合、反射についてもラウドスピーカアレイを経た付加的なソースとして再生されなければならない。このように、計算の労力は、サウンドソースの数、録音室の反射特性およびラウドスピーカの数に大きく依存する。
【0009】
特にこの技術の利点は、自然の空間サウンドインプレッションが再生室の広範囲にわたって可能であるということである。周知の技術と比較すると、サウンドソースからの方向と距離が非常に正確に再生される。限度はあるが、バーチャルサウンドソースは実際のラウドスピーカアレイおよびリスナー間におかれてもよい。
【0010】
ウェーブフィールド合成は、条件のわかっている環境に対してよく機能するものの、環境の実際の条件に対応しない環境条件に基づいてウェーブフィールド合成が実行される場合または条件が変化する場合に、不規則性が生じる。
【0011】
しかしながら、ウェーブフィールド合成技術は、対応する空間オーディオ知覚によるビジュアル知覚を補うといった有利な利用も可能である。これまで、バーチャルスタジオでの製作中には、バーチャルシーンの確実なビジュアルインプレッションの供給に関心がおかれていた。画像にマッチした音響学的インプレッションは、通常、いわゆるポストプロダクションと呼ばれるマニュアル操作ステップによりオーディオ信号に組み込まれるか、実現に非常にコストおよび時間がかかると分類され無視される。これにより、通常の場合、設計した部屋、すなわち設計したシーンが信頼しにくいものと認識される事実を導く個々の感覚の矛盾が生じてしまう。
【0012】
多数のラウドスピーカに100を超えるような個々のサウンド信号を供給する必要がある上で簡単に説明したウェーブフィールド合成だけでなく、例えば、ドルビ5.1または7.1でそれぞれ用いられる従来の映画アプリケーション、または、通常のステレオアプリケーションおよびモノラルアプリケーションでも、家庭環境または特に映画環境において、フィルムおよびオーディオ素材を同期する要求が常に存在する。
【0013】
さらに、バンドサポートされたビデオ素材は、スタジオ領域においてオーディオ素材に同期させる必要がある。このために、従来、映画またはスタジオ作業のそれぞれに、基準タイムコードが用いられる。基準タイムコードは、LTC(LTC=長手方向タイムコード)とも呼ばれ、または一般的にタイムコードと呼ばれる。フィルムの一連のフレームにおけるフレームの位置を示す任意の考えられるタイムコードの例としての長手方向タイムコードは、通常フィルム素材にインプリントされているタイムコードであるので、各フレームはそれぞれ固有のタイムコードを受ける。
【0014】
タイムコードの考えられる構成が図2に示される。図2は、一連のフレーム200、201、202、203を示し、フレーム200はフレームEBiと呼ばれ、フレーム201はフレームEBi+1と呼ばれる。図2は、いわば、図2に示す例では、毎秒24フレームを有するフィルムの「巻き出された」セクションを示している。図2の概略図の各フレームに関連付けられるフィールド204では、長手方向タイムコードの数え方が示されている。その符号化情報に関する長手方向タイムコードは、「時間情報」および「フレーム情報」からなる。時間情報は、図2に概略的に示され、フレームi(200)は、時間情報が例えば10時間0分1秒を備えるイメージである。フレーム情報は、画像200のこの秒に最初のフレームを指定している。それと同様に、フレーム202のフレーム情報は、10時間0分1秒の「時点」で24番目のフレームを指定している。
【0015】
図2に示す実施の形態では、フィルムは毎秒24フレームの再生周波数(毎秒25フレームの再生周波数もある)を有すると仮定されているので、フレームk+1(203)の時間情報が10時間0分2秒であり、このフレームのフレーム情報が1と等しいので、これが「新しい」秒における最初のフレームとなる。
【0016】
時間情報の始点がランダムに選択されてもよいことに留意されたい。時間情報の始点が例えば0に設定されていて、フィルムが90分である場合、最大時間情報は1時間30分0秒になる。時間情報で重要なことは、各フレームが一連のフレームすなわちフィルムの各フレームの位置を再構成できるオリジナルのタイムコードを得るという事実である。
【0017】
ランダムに選択されてもよく、さらに、例えば、バイナリ0およびバイナリ1の8ビットコードであるタイムコードによって、時間情報およびフレーム情報は、ともに符号化される。実施例により、バイナリ0のためにダークスポットがフィルムにインプリントされてもよく、バイナリ1のためにライトスポットがフィルムにインプリントされてもよく、または、この逆であってもよい。しかしながら、あるいは、「0」を例えば2つの短い明暗変化としてさらに「1」を長い明暗変化として符号化することも、可能であり実行である。
【0018】
オーディオサンプルは各フレームに関連付けられる。フィルムが毎秒24フレームの再生周波数を有し、オーディオサンプルが例えば48kHzのサンプル周波数で存在している場合を考えると、2000個の離散オーディオサンプルが各フレームに関連付けられる。これらのサンプルは、例えば映画では、通常、外部的にファイルにストアされ、フィルム再生中にデジタル/アナログ変換されてフレームに同期され、増幅されて、対応する位置のラウドスピーカに供給される。
【0019】
映画/フィルムの領域では、イメージ素材(ビデオおよびフィルム)をデジタルオーディオ素材(WAVファイル、MPEG−4ファイル等)に同期するために、非常に異なる方法が用いられる。ここでは、オーディオ/ビデオ素材は、しばしばアナログ形式で存在し、互いに分離していて、さらに、別々にデジタル化した後でフレームおよびサンプルに正確に一体化されることに留意されたい。この同期のために、図2で説明したタイムコードが用いられる。
【0020】
また、このような周知のシステムは、ワードクロックとも呼ばれる、一元的に生成された通常安定したクロックを備えている。実施の形態により、このワードクロックの周波数は、例えば、ストアされた離散サンプルがサンプリングされた際に用いられる周波数に等しい。
【0021】
バンドサポートされたビデオプレーヤとともにフィルム装置は、回転速度が時間とともに変化する機械的システムであり、フィルムにインプリントされたタイムコード情報およびワードクロック情報の両方は、不安定な方法で読取られる。特に、フィルムにインプリントされたこの情報は、通常の光学的読取り後にジッタが発生し、行われるこの情報の誤った処理の危険性をもたらし、そして、特に相対的に重要な時間制約がある中で作動しなければならないシステムの故障を招いてしまう。これは特にウェーブフィールド合成システムの場合であるように、特に、全てのラウドスピーカで出力されるオーディオ信号の同期協働は、ラウドスピーカによって生成されるシングルウェーブに基づいて対応する波面を再構成するために重要である。
【0022】
従来技術では、異なる同期解決法が周知であり、ライセンス可能となっている。したがって、システムSDDSまたはDTSでは、時間情報は、デジタル符号化されて、フィルムパーフォレーションに関してインプリントされる。これで、タイムコードはフィルムに符号化される。タイムコードは、イメージおよびサウンドの時間同期再生を行うために、プロセッサで復号化されて用いられる。特に、このようなフィルムでは、特別なタイムコードトラックが、フィルムストリップ上に配置される。このタイムコードは、特別なリーダよってフィルムから読取られる。CD−ROM/DVD上に存在するオーディオ素材がフィルムに同期して再生されるために、特別なデコーダがやはり必要である。イメージと、光学サウンド、フィルムサウンドまたはライヒトン(Lichtton)とそれぞれ呼ばれフィルム素材にインプリントされるアナログサウンドとは、サウンド情報を処理する際に遅延を考慮するために、フィルムストリップに規定されたオフセットで配置される。ここで、同期は、遅延時間(ドルビA、SR)の設定を経て、プロセッサにおいてマニュアルで実行される。
【0023】
全てのそのようなシステムでは、特別なハードウェア、すなわち特別なリーダおよび特別なデコーダが必要である。さらに、それぞれの方法のためのフィルムコピー工場では、特別な露光装置が、フィルム上に対応する情報をインプリントするために用いられなければならない。さらに、異なる同期/露光コンセプトは互換性がないという事実があるので、一旦コピーされたフィルムが全ての映画システムに適している限り、異なるフィルム上に異なるサウンドフォーマットが、互いにばらばらにまたは隣り合って存在することもある。しかしながら、この光学サウンドが緊急事態での変更を補償するように、光学サウンドフォーマット、すなわちサウンド情報が通常フィルムにインプリントされている光学サウンドトラックが、全てのフィルムコピーに見られることがわかっている。これは、最悪の場合、すなわち、装置の不具合により同期が行えず、例えば満員の映画は、デジタルサウンド素材ではフィルムを終了しなければならないが、光学サウンドトラックにインプリントされたサウンド素材を基に上映できるということを意味している。
【0024】
しかしながら、実行されている光学サウンドトラックの重要な特徴は、通常同じものが全てのフィルムコピーに存在し、通常全てのフィルムコピー装置が光学サウンドトラックをインプリントする手段を備え、通常全てのフィルムプレーヤが光学サウンドトラックを光学的に読取る装置を有しているという事実である。
【0025】
上記のシステムの1つの欠点は、それらのシステムが、相関性を容易に決定できないクローズドシステムであるということである。これは、特に、周知のシステムが任意の数のオーディオチャネルに対してではなく、例えば、ドルビ5.1または7.1に対してだけ用意されるということにおいては問題がある。ウェーブフィールド合成アプリケーションのために、6または8チャネルではそれぞれ相当不十分であるが、これらのシステムのために、適したイメージ/サウンド同期コンセプトが現在のところ存在しない。また、通常相互に互換性がない異なるコンセプトが存在するので、さらなる処理、特にウェーブフィールド合成フィルム/サウンド素材の処理に問題があるというさらに欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、同期すべきオーディオチャネルの数を柔軟な方法で設定できる、オーディオ信号をフィルムに同期するための柔軟なコンセプトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この目的は、請求項1に記載の同期するための装置、請求項17に記載の同期するための方法、または請求項18に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0028】
本発明は、任意の数のオーディオチャネルをフィルムに同期するための柔軟性が、フィルムにインプリントされるタイムコード自体が1つまたはいくつかのオーディオ処理手段を同期するために用いらずに、個々のタイムコードジェネレータのための初期値を生成するために用いられるという事実により達成できるという知見に基づいており、タイムコードの位相偏差が対応する読取りタイムコードの時間長には大きすぎる場合に、タイムコードジェネレータによって生成される合成タイムコードを操作するために、同期すべき1つまたはいくつかのオーディオ処理手段が通常光学的に検出されたタイムコードに同期されずに、規定されたエッジ峻度をそれぞれ備える一連の合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードに同期されることにより、タイムコードの信頼性が高い検出がオーディオ処理手段によってフレームにとって可能になる。
【0029】
言い換えれば、本発明によれば、フレームのための完全なタイムコードが新たに生成されるが、フィルムによって検出されるタイムコードは、タイムコードジェネレータの初期値を供給するために、さらに、操作による位相偏差を打ち消すために、すなわち合成タイムコードを延長または短縮するために用いられる。
【0030】
本発明の好適な実施の形態では、タイムコードは、一般に、常に存在する光学サウンドトラックに直接インプリントされるか、心理音響学的にマスクされた方法で光学サウンドに埋め込まれる。
【0031】
さらに好適な実施の形態では、合成タイムコードの比較的大きい短縮または延長によってそれぞれ完全なオフセットを補正するが、オーディオ再生中のアーティファクトを低減しまたは完全に消去するために合成タイムコードの比較的小さい短縮/延長だけがそれぞれ常に行われるように、操作手段が実行される。ここでは、オーディオサンプルの1また少ない数の省略または反復がリスナーによってクラッキングまたは同じようなものとして認められないことに留意されたい。したがって、この好適な実施の形態では、アーティファクトを防止するために、位相オフセットが「一気に」補正されずに、「徐々に」補正される。
【0032】
本発明のさらに好適な実施の形態では、フレームが供給される再生周波数に依存する周波数のワーククロックでクロックされるために、合成タイムコード操作手段が実行される。この場合、用いられる機械的システムにより避けられない再生周波数変動の粗い補正がすでにされており、合成タイムコードの操作は、ワーククロックが新たに更新される2つの時点の間で発生する変動を受けるだけである。
【0033】
本発明のさらなる実施の形態では、オーディオ信号に含まれる各オーディオチャネルのために個々のオーディオ処理手段が備えられ、各オーディオ処理手段は、一連の合成タイムコードおよび操作された合成タイムコードのコピーを備え、全てのオーディオチャネルの時間同期再生とフィルム素材に関するオーディオチャネルの時間同期再生とが達成される。あるいは、1つの単一のオーディオ処理手段が備えられてもよく、それにより任意のオーディオチャネルを一連の合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードによってそれぞれ制御される伝送バスに配置し、それに存在するラウドスピーカチャネルのための再生手段が接続される。この伝送バスは、好ましくは、IEEE1394規格によるファイアワイヤバスである。
【0034】
本発明は、フィルム素材上のタイムコードがどんなにひどく破壊/破損しているとしても、合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードの規定された品質にそれぞれ基づいて、オーディオ処理装置の信頼性が高い動作を達成できる点に特に利点がある。さらに、任意の数のオーディオ信号供給装置(またはオーディオプレーヤまたはオーディオ再生装置(Audiozuspieler)それぞれ)が同期されるように、デジタル合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードの大量のコピーがそれぞれ可能である。
【0035】
本発明のさらなる利点は、一方ではフィルムコピー装置および他方ではフィルム再生装置のための要求に関して、従来のフィルムコピーエンティティまたはフィルム再生環境に存在するハードウェアが復帰できるので、本発明のコンセプトの速くて広範囲の分配が互換性の障害なく行うことができることである。
【0036】
以下では、本発明の好適な実施の形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明されるが、これらの図面としては:
図1は、同期するための本発明の装置のブロック図を示し、
図2は、一般的なリニアタイムコードの概略図を示し、
図3は、図1のコンパレータおよびタイムコードマニピュレータの機能の詳細図を示し、
図4は、本発明の実施の形態による本発明のトータルシステムを説明するためのブロック図を示し、
図5は、別の実施の形態による本発明のトータルシステムを説明するためのブロック図を示し、
図6は、本発明の好適な実施の形態による図1のオーディオ処理手段の詳細図を示し、
図7aは、短縮された操作された合成タイムコードのための修正コントローラの機能の詳細図を示し、
図7bは、延長された操作された合成タイムコードのための修正コントローラの機能の詳細図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、離散サンプルに存在するオーディオ信号を、フレーム周波数で再生される一連のフレームを備えるフィルムに同期するための装置の好適な実施の形態のブロック図を示す。図2を参照して説明すると、各フレームは、一連のフレームにおけるフレームの位置を示すインプリントされたタイムコードを備える。さらに、オーディオ信号の所定数の離散サンプルは、各フレームに関連付けられる。毎秒24フレームのフレーム再生周波数が選択され、さらに、オーディオ信号が48kHzのサンプル周波数に基づく場合、2000という数の離散オーディオサンプルが、通常ひとつのフレームに関連付けられる。
【0038】
図1は、一連のフレームのためのインプリントされたタイムコードを検出するための手段10を示す。検出するための手段10は、出力側に一連の検出されたタイムコードを供給する。図1に示す装置は、さらに、初期値に基づいて一連の合成タイムコードを生成するために実行されるタイムコードジェネレータ12を備える。この初期値は、手段10の出力で一連の検出されたタイムコードから、検出された一連のタイムコードのひとつのタイムコードを復号化するためのデコーダ14によって供給される。タイムコードジェネレータ12は、手段10の出力でコンパレータ16に供給される一連の検出されたタイムコードと同様に、一連の合成タイムコードを出力側で生成する。コンパレータ16は、好ましくは、検出されたタイムコードおよび対応する合成タイムコードからなる各対に対して、すなわちフレームiのための検出されたタイムコードと例えばフレームiのための合成タイムコードとに対して、例えば、2つのタイムコードが時間内に相殺されるかどうか、すなわち位相シフトがあるか、またはどの程度時間が一致しているかを判定するために、位相比較を行うように実行される。
【0039】
この点で、フィルムを通常では光学的手段で検出したという事実のために、検出されたタイムコードが、オーディオ処理手段が正確に同期されるように、正確に規定された信号形状を有しているわけではないことに留意されたい。しかしながら、最小の立上りエッジおよび立下りエッジを検出することができる。検出されたタイムコードが非常に破損されている場合、それにもかかわらず、形状が周知であり、パラレル合成タイムコードの形状に正確に対応しているという事実に基づいて、位相比較を行うために復元することが可能である。その他に、タイムコードは、通常、フィルムにおける完全なフレームに広がるので、タイムコード自体によって規定されたパターンに、複数の立上りエッジおよび立下りエッジを備えることに留意されたい。位相比較については、原則として、1つの個々のエッジまたは1つの個々の0の通過それぞれが必要であり(タイムコード自体のエッジの位置がわかっている場合)、検出されたタイムコードが非常に破損されている場合にも位相比較が実行できる。タイムコードは位相比較が行えないほど強く破損されている場合、これも問題がなく、パラレル合成タイムコードを用いて、操作は実行されずに、シーケンス内の次の検出されたタイムコードとシーケンス内の次の合成タイムコードとの比較が再び実行され、すなわち、良好な位相比較が可能であることに基づいて、検出されたタイムコードが再び判定されるまで実行される。
【0040】
コンパレータ16が、検出されたタイムコードおよび合成タイムコードからなる対間に位相偏差があると判定した場合、その量に関して所定の偏差閾値を超えていれば、すなわち、出力ライン18上に確認応答信号(はい)がタイムコードマニピュレータ20に出力されると、タイムコードマニピュレータは、この偏差が判定された現在の合成タイムコードを操作して、ライン22を介してタイムコードマニピュレータ20に供給する。ライン18上でコンパレータ16からマニピュレータ20に信号を送信しない場合、現在考慮された合成タイムコードは、操作されないで、同期目的のためにオーディオ処理手段24に合成タイムコードとして単に送られる。
【0041】
したがって、コンパレータ16が、検出された一連のタイムコードのタイムコードおよび合成タイムコード間の位相偏差がその量に関して所定の偏差閾値を超えると判定する場合、タイムコードマニピュレータ20は、遭遇した合成タイムコードの合成タイムコードの時間長を変更し、操作された合成タイムコードを得るために実行される。操作された合成タイムコードの後に続く合成タイムコードと、対応する検出されたタイムコードとの間の位相偏差が低減されるように、合成タイムコードの時間長の変更が起こる。
【0042】
位相比較結果により、合成タイムコードジェネレータ12が一連の検出されたタイムコードより相当速く動作する場合、合成タイムコードは延長されるように操作される。合成タイムコードジェネレータ12が検出された一連のタイムコードより相当ゆっくりと動作する場合、合成タイムコードの操作は、通常タイムコードジェネレータによって出力される基準タイムコードの短縮となる。
【0043】
したがって、タイムコードマニピュレータ20の出力では、一連の合成タイムコードおよび操作された合成タイムコードの結果が、オーディオ処理手段24に供給される。オーディオ処理手段が、フレームに関連付けられた合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードをそれぞれ検出した場合、フレームに関連付けられたオーディオ信号の所定数の離散サンプルを時間制御供給するために、オーディオ処理手段24が実行される。好ましくは、同期は各フレームに対して行われる。しかしながら、それほど品質集約的でないアプリケーションのために、同期は、例えば、第2、第3、第4番目等のフレーム毎にだけ実行されてもよい。これは、一連の合成タイムコードおよび操作された合成タイムコードから特定のタイムコードを考慮することによりオーディオ処理手段24から常に行うことができる。しかしながら、あるいは、合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードそれぞれを、例えば、検出されたタイムコードの4番目毎に生成することにより、対応する機能が達成されてもよい。
【0044】
以下では、図1のコンパレータ16およびタイムコードマニピュレータ20の機能について、図3を参照してより詳細に説明される。第1のステップ30では、例えば、後述するワードクロックのクロックサイクルのイベントと同様に、コンパレータが基準時点に関して、検出されたタイムコードiおよび対応する合成タイムコードiを読取る。クロックイベントとしては、例えば、立上りエッジ、立下りエッジまたは、実施例により、ワードクロックの0の通過が用いられてもよい。
【0045】
以下では、合成タイムコードと検出されたタイムコードとの間に位相偏差が存在するかどうかを判定するために、タイムコードの位相比較が実行される。これが実行されると、フィルムプロジェクタの実施例により、例えば、完全なフレームにわたるまたはフレーム領域(例えば前方)に配置される広がるタイムコードは、図2に示されたように、フレーム情報および時間情報の両方を符号化する、規定された一連の立上りエッジおよび立下りエッジを備える。検出されたタイムコードは、光学的に読取られた場合、通常、非常によい形状を有しない。特に、ジッタが発生して雑音がある。それと対照的に、個々のデジタル合成タイムコードジェネレータによって生成された合成タイムコードは、雑音もジッタもないエッジ峻度に関して、規定された明確に指定された形状である。
【0046】
さらに、比較するコードはいずれも同じフレーム情報および時間情報を符号化するので、一連の立上りエッジおよび立下りエッジは、検出されたタイムコードおよび合成タイムコードにおいて同一である。したがって、位相比較が行われて、検出されたタイムコードに関して合成タイムコードが時間的に正または負の方向にシフトされているかどうか、すなわち、正または負の位相オフセットを有するかどうかが判定されてもよい。図3のステップ32で実行されたこの位相比較により、位相偏差が閾値を超えると決定ボックス34で決定された場合は、処理が以下で述べるステップ36に移行される。しかしながら、決定ブロック34で偏差が閾値を下回ると判定された場合、ステップ30が次の検出されたタイムコードおよび次の合成タイムコードの対に対して実行され、これは、インクリメントボックス38で象徴的に示される。
【0047】
偏差が閾値を超える場合、さらに、合成タイムコードが早すぎるかどうか、すなわち、タイムコードジェネレータ12が遭遇した検出されたタイムコードに関して動作が早すぎるかどうかを判定する。この場合、合成タイムコードは、すなわち、好ましくは1つの個々のワードクロック期間を、好ましくは合成タイムコードの終わりに挿入することにより、延長される。しかしながら、合成タイムコードが遅いと判定された場合、図1のタイムコードジェネレータ12が一連の検出されたタイムコードに関して遅すぎるので、位相偏差が発生した合成タイムコードが短縮される。これは、好ましくは、図1に点線26で概略で示されるように、すなわち、次のタイムコードの有効な初期値を用いることにより、タイムコードジェネレータ12を再スタートすることにより行う。
【0048】
したがって、合成タイムコードの延長または短縮は、それぞれ、通常、タイムコードの最後のパルスが幾分短くなるかまたは幾分長くなるという事実により表される。しかしながら、これは、実際の条件が考慮される場合、タイムコードデコーダに対して問題はない。フレームが24Hzの周波数で再生され、タイムコードが完全なフレームに広がり、タイムコードが8ビット長で、各ビットに対して2つのタイムコードクロック期間が相当すると仮定すると、タイムコードの基礎となる信号周波数は約384Hzとなる。それと対照的に、合成タイムコードジェネレータを動作するワードクロックは、通常48kHzである。これは、125のワードクロック期間が、1つのタイムコードクロック期間に相当することを意味する。最後のタイムコード期間が125の期間ではなく、今では124または126の期間となっている偏差は、次のデコーダ回路に対して問題を起こさない。
【0049】
図4は、オーディオ信号供給装置をいわゆるADAT規格に同期するための本発明の好適な実施の形態のトータルシステムを示す。図4に左上に、フィルムにインプリントされるタイムコード40が示されている。図4に示す実施の形態では、論理「1」が1つの長いライトパルスまたはダークパルスそれぞれで符号化され、論理「0」が2つの短いライトパルスまたはダークパルスそれぞれで符号化される。この実施の形態では、図1に示す検出するための手段10が、例えば光検出器(例えばフォトダイオード)42aを用いて、フィルムに直接インプリントされるタイムコードを読取りために、実行される。冗長性のために、図4に示す実施の形態では、さらに第2のタイムコードトラック40bが、第2のフォトダイオード42bで読取られるフィルム上に用いられる。2つのフォトダイオードの結果は、一連の検出されたタイムコードを出力46に出力するために、加算回路44で合計される。一連の検出されたタイムコードについて、図4では同様に、「LTCアナログ」で示される。
【0050】
図4に示す実施の形態では、さらに、ワードクロック周波数を有するワードクロックWCを生成するための手段48が存在し、手段48は、図4に示すように、一連の検出されたタイムコードに基づいて実行されるので、ワードクロック周波数は、一連の検出されたタイムコードを最終的に有するフレーム周波数に適用される。したがって、手段48は、ワードクロック50を出力側に供給し、手段48を単に通過する一連の検出されたタイムコードが入力側に供給される。
【0051】
好ましくは、ワードクロックを生成するための手段として、「ローゼンダールナノシンクロ(Rosendahl−Nanosync)」という名称で周知である周知のワードクロックジェネレータが用いられる。このワードクロックジェネレータ48の機能は、現在のフレーム周波数を一連の検出されたタイムコードから抽出することにある。これは、例えば、常に、検出されたタイムコードの最初のクロックエッジを判定し、それらの最初のエッジの時間距離についてのメッセージに基づいて、フレームの現在の周波数を判定することによって実行できる。好適な実施の形態では、フレーム周波数は毎秒24フレームである。この実施の形態では、ワードクロックは、正確に24Hzのフレーム周波数に対して48kHzであるワードクロック周波数が必要である。これは、理想的な場合に、2000のワードクロックサイクルが1つのフレーム内に存在するように、ワードクロックが選択されるという意味である。フィルムプロジェクタに通常発生する機械的変動に基づいて、フィルムプロジェクタは、必ずしも正確に24Hzで動作されずに、24Hzより小さく24Hzより大きい値に及ぶ変動範囲で動作されてもよい。
【0052】
図4に示す本発明の実施の形態では、この変動は、例えば5から15秒毎に、好ましくは10秒毎に、ワードクロックが特定の時点で更新されるという事実によりすでに考慮されている。ここで、ジェネレータ48は、時間内の平均フレーム周波数を判定するために、さらに、例えば2000といった一定のファクタに基づくワードクロック周波数を設定するために、実行される。したがって、フレーム周波数の変動により、ワードクロック周波数は、例えば、現在のフレーム周波数に基づく47.995kHzから48.005kHzの間で変動する。
【0053】
ワードクロックジェネレータ48では、アナログ形式で存在する一連の検出されたタイムコードをアナログ/デジタル変換し、これをタイムコード平滑装置52に供給するために、アナログ/デジタル変換器が下流に接続され、これはサウンドカードを有するパソコンで実行される。タイムコード平滑装置52は、図1のエレメント12、14、16、20を結合し、一連の合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードそれぞれを、出力側、すなわち出力54に供給する。図4に示す実施の形態では、離散サンプルに存在するオーディオ信号は、1つのオーディオチャネルだけでなく、n個のオーディオチャネルを備える。オーディオチャネルは、通常、オーディオ処理手段56a、56bにストアされる。図4に示す実施の形態では、オーディオ処理手段56aまたは56bは、それぞれ、オーディオ処理手段24に対応している。ライン54上の一連の同期して生成された合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードは、その一連のコピーを実行し同時にその一連の分配を全てのオーディオプレーヤ56a、56bに供給する分配器58に供給される。したがって、全てのプレーヤがサンプルに対して正確な同じ安定したタイムコードを受信することが保証される。図4に示す実施の形態では、ワードクロック50の各クロックサイクルに対して、各オーディオ処理手段が下流のデジタル/アナログ変換器58aまたは58bそれぞれに対応するオーディオチャネルおよび対応するフレームのサンプルを供給するように、各オーディオ処理手段は、さらに、ワードクロック50が供給される。次に、デジタル/アナログ変換されたサンプルは、好ましくは分岐ごとの8倍増幅器60a、60bで増幅され、対応するラウドスピーカパネル62a、62bに供給される。ラウドスピーカパネルは、1つのラウドスピーカ、または同じオーディオチャネルで制御される隣接した1群のラウドスピーカを備える。
【0054】
フィルムストリップ上には、基準タイムコードが、アナログ形式で、好ましくは通常全てのフォーマットに存在する光学サウンドトラックにインプリントされる。このために、好ましくは、LTCとも呼ばれるアナログタイムコードが用いられ、このタイムコードは通常のスタジオ環境に存在するので、このタイムコードを生成するために新しいハードウェアが必要とされない。
【0055】
通常の複製エンティティは、アナログトラックをフィルムにインプリントすることができる。その限りにおいて、このような複製エンティティのためのアナログオーディオ素材として、タイムコードを露光することになる。したがって、複製エンティティに対しても、新しいハードウェアが必要とされない。
【0056】
一般の映画館では、映画装置は、常に、光学サウンドリーダ(アナログリーダ)が備えられている。したがって、フィルムにインプリントされているタイムコードがこれらの従来のリーダを用いて再び読取られてもよいので、特別なリーダが、検出されたシステムのために必要とされない。手段42a、42b、44により、タイムコードは、読取られて、そのレベルに関して適用される。これは、通常、レベル変換を行うマイクロホンプリアンプによって実行されるので、例えば、約20mVのレベルが例えば0.775Vのレベルに変換される。
【0057】
同期基準ジェネレータ(ローゼンダールナノシンクロ)48は、フィルムから読取ったタイムコードからクロックを生成して、その周波数をフィルムに適用するように動作する。クロック信号は、通常スタジオ環境で用いられる技術における当業者に周知のワードクロックである。
【0058】
読取りタイムコードは、機械を基本とするシステムを介して供給されるので、やはり安定しておらず、すなわち変動するので、ジッタが発生し、特に周波数に関して不安定である。
【0059】
アナログ/デジタル変換器49により、やはりアナログ形式で存在する一連の検出されたタイムコードは、サンプリングされ、ライン46上に量子化(デジタル化)され、さらに、本発明の好適な実施の形態で以下に説明するように、タイムコード平滑装置52で平滑化され安定化される。
【0060】
まず始めに、デジタル化されたアナログタイムコードは、フレームのために復号化され、図1のタイムコードジェネレータ12で生成された内部的に生成された純粋なデジタルタイムコードと比較される。この内部タイムコードは連続的に前に送られ、好ましくは、一定のものではなく、フレームの再生周波数によりワードクロックジェネレータ48で追跡されるワードクロックによってクロックされる。
【0061】
外部ワードクロックがライン46上で入力アナログタイムコードの速度に適用され、したがってフィルムの速度に適用され、内部的に生成されたタイムコード(図1のタイムコードジェネレータ12)および外部タイムコード(図4のライン46上にある)は、すでにほとんど同期して動作されている。したがって、フィルム再生速度に従ってワードクロックを生成するためにワードクロックジェネレータ48を用いることにより、すでに粗い同期が行われている。
【0062】
一連の検出されたタイムコードと一連の合成タイムコードとの間にやはり存在する変動を平滑化するために、内部および外部タイムコードの間の差が連続して比較され、非常に大きい差が存在する場合、内部タイムコードジェネレータは、好ましくは、現在の外部タイムコードを用いて再スタートされる。したがって、現在の外部タイムコードが、図1のタイムコードジェネレータ12を再スタートさせるための初期値として用いられる。
【0063】
これは、タイムコードジェネレータにより以前にすでに生成されたタイムコードが完全に書き込まれていないが、上記したものよりも若干速く終了することを自動的に意味する。したがって、タイムコードジェネレータを再スタートすることにより、タイムコードジェネレータを再スタートする前に直接生成された合成タイムコードは操作される。
【0064】
本発明の好適な実施の形態では、アーティファクトが低減されたタイムコード合成コードの近似が達成される。ここで、サンプルの最も小さい飛越しがサウンド内のクラックとして目立たないという事実が利用される。内部および外部タイムコードが逸脱している場合、内部的に生成されたタイムコード内で、1期間のワードクロックが省略され、または、1期間のワードクロックが挿入され、全てのオーディオ処理手段またはオーディオプレーヤそれぞれが、サンプルの周囲で飛越しを行うという事実になり、すなわち、サンプルを省略しまたはサンプルを繰り返すので、それらの再生位置がゆっくりと正しい時間位置に適用することになる。この場合、1つのオーディオ処理手段またはいくつかのオーディオ処理手段は、それぞれ、例えば立上りエッジ、立下りエッジまたは0の通過を用いて、ワードクロックのクロックサイクルにおいて特定のイベントに対する次のオーディオサンプルを常に供給するように、ワードクロックを用いて制御される。
【0065】
内部タイムコード、すなわち一連の合成タイムコードおよび操作された合成タイムコードは、デジタルで生成されているため、規定された急峻なエッジを備えるので、全てのオーディオ処理手段またはオーディオプレーヤは、それぞれ、一体型タイムコードデコーダを介してこれらのエッジに同期できる。ここで、最後の復号化されたタイムコードの位置は、オーディオ処理手段またはオーディオプレーヤそれぞれの入力バッファで判定され、ここから再生される次のバッファの開始時点を計算するために、ワードクロックを介してクロックされる。この時点は、実際の再生位置と比較され、オフセットが存在する場合、操作された合成タイムコードサンプルに基づいて自動的に適用される。
【0066】
このように、任意の数の接続されたオーディオプレーヤが同期できるので、任意の数のオーディオトラックまたはオーディオチャネルは、それぞれ、1本のフィルムに同期できる。
【0067】
この点において、オーディオ処理手段24または図4のオーディオ処理手段56a、56bの好適な実施例が、それぞれ、図6に示される。各オーディオ処理手段は、少なくともフレーム(EBi)のオーディオサンプルをストアするオーディオサンプルバッファを備える。バッファは、図6に64で示される。入力側では、オーディオ処理手段24は、図1で示されるように、合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードをそれぞれ受信し、まずデコーダ66に供給する。デコーダ66は、受信したタイムコードまたは合成タイムコードそれぞれから、フィルムを表す一連のフレームにおけるフレームのフレーム数またはフィルム位置を判定する。
【0068】
数または位置は、それぞれ、アクチベーションコントローラ68に供給され、それに同時にワードクロック50(図4)が供給される。本発明の一実施の形態では、アクチベーションコントローラ68は、復号化されたフレーム数またはフレーム位置がそれぞれ手段68で受信され、次の規定されたイベントがワードクロック50のクロックサイクルで続く場合に、起動信号をオーディオバッファ64に供給するために実行される。このイベントは、例えば、立上りクロックエッジ、立下りクロックエッジまたは0の通過である。
【0069】
起動信号は、出力であるデコーダ66で判定されたフレームの最初のオーディオサンプルを生じる。次に、いわば、新しいワードクロックサイクル毎にワードクロックにより自動的に制御されて、さらなるオーディオサンプルが出力される。このオーディオ出力は、アクチベーションコントローラ68が新しい起動信号をオーディオバッファに提供するまで実行され、これは、次の合成タイムコードが復号化されアクチベーションコントローラに供給されたことを示す。
【0070】
この時点で、フレームiに供給されるオーディオサンプルがまだバッファ64にある場合、フレームi+1のためのサンプルの出力がすでに要求されているが、次に修正コントローラ70は実行され、バッファに存在するフレームiのための残っているサンプルを廃棄し、すなわち、同じものを出力しないで、フレームi+1のサンプルを直接続ける。しかしながら、バッファ64が空の場合、新しい起動信号がアクチベーションコントローラ68から受信されないが、修正コントローラ70は、バッファ64から抽出された最後のオーディオサンプルを繰り返しさらに得られるギャップを埋めるために実行される。もちろん、ギャップを埋めるためには、他の方策、例えば、サンプルの補間、一時停止等がとられてもよい。
【0071】
修正コントローラ70の機能は、新しい起動信号が新しい合成タイムコードの受信によりすでに存在するが、サンプルがバッファにまだない場合について図7aに示される。それと対照的に、図7bは、バッファはすでに空であるが、次のフレームのためのタイムコードがまだない場合について示す。
【0072】
図5は、図4の再生成されたタイムコードの「分配」のための別の実施例を示す。好ましくは、図5に示す実施の形態では、IEEE1394規格によるデータ伝送フォーマットが用いられる。この規格は、クロックが、例えば8kHzの周波数のクロックのように、一定のクロックであることに特徴がある。このため、可変ワードクロック50を、前述のように、8kHzの周波数74の低い周波数クロックに変換するサンプルレート変換器72が備えられる。ここで好ましくは、サンプルレート変換器72の変換は、フィルムに適用されるワードクロック50がIEEE1394クロック74に同期されるように起こる。これは、好ましくは、サンプルレート変換器72をハードウェアソリューションとして用いて実行される。したがって、図1のオーディオ処理手段24に対応するオーディオ処理手段76は、図4に示す実施の形態とは対照的に、任意のオーディオチャネルを時間に正確に1つの伝送バス78に配置するために、IEEE1394クロックと、ワードクロック50と、一連の同期タイムコードまたは操作された同期タイムコードとをそれぞれ得る。任意の下流の信号プロセッサ/変換器結合体80a、80bは、それを下流の増幅器に最終的に対応するラウドスピーカパネルに供給するために、伝送バス78にアクセスし、それぞれに割り当てられたオーディオチャネルを抽出する。
【0073】
別の本発明の実施の形態では、モノラルダウンミキシングとも呼ばれる光学サウンドトラックが、まだ利用できるのでタイムコードでインプリントされない。タイムコードのインプリントのためには、別の光学サウンドトラックが用いられる。次に、2チャネルリーダが、1本のトラック(モノラルダウンミキシング)からサウンドと、別のトラックからタイムコードとを読取る。
【0074】
あるいは、再び、アナログタイムコードについても、フィルムで利用できる別の位置にインプリントされてもよい。したがって、光学サウンドに関する従来のフィルム素材の互換性が得られる。タイムコードを読取るために、さらなるリーダが備えられ、または、光学サウンドリーダの一部または完全な光学サウンドリーダが再プログラムされる。
【0075】
互換性のための所望のアナログ光学サウンドトラックを得るために、タイムコードがすかしとして、すなわち、埋め込みデータチャネルという意味で、アナログサウンドに埋め込まれてもよい。ここで、アナログトラックにインプリントされたサウンド信号の心理音響学的にマスクされた閾値がタイムコードのエネルギー以上になるように、タイムコードのスペクトル重み付けが実行されるので、アナログサウンドは、一方では、歪みなく再生することができ、他方では、「アナログサウンド信号」を光学的に復号化し、さらに、聞こえないように埋め込んだタイムコードを一連の検出されたタイムコードから引き続いて抽出することによって、インプリントされた「アナログサウンド信号」から、図1の手段10の出力で検出することもできる。
【0076】
この場合、対応するタイムコードを埋め込むためのエンコーダとタイムコードを抽出するためのデコーダとが必要になる。
【0077】
すでに述べたように、フィルム上でタイムコードトラックに冗長性があることは好ましい。したがって、タイムコードを2回フィルムにインプリントすることが好ましく、すなわち、例えば、光学サウンドトラックとアナログタイムコードとの両方をインプリントして、次に、タイムコードを光学的に検出した後で、図5のフォトダイオード42a、42bの出力信号を合計する。したがって、光学サウンドトラック上のエラーまたは2つの光学サウンドトラックの一方上のエラーまたは両方の光学サウンドトラック上のエラーを補正することができる。
【0078】
また、2つのタイムコードトラックを別々にサンプリングし、さらに、エラー認識により復号化しているタイムコードで最も見込みがあるタイムコードをさらに処理することにより、正確な冗長性が達成される。
【0079】
環境により、離散サンプルに存在するオーディオ信号をフィルムに同期するための本発明の方法は、ハードウェアまたはソフトウェアで実行されてもよい。この実施は、この方法を実行するようにプログラマブルコンピュータシステムと協働する電子的に読取可能な制御信号を備えるデジタル記憶媒体、特にフロッピー(登録商標)ディスクまたはCDによって行うことができる。したがって、一般に、本発明は、コンピュータプログラム製品がコンピュータで実行される場合、本発明の方法を実行するためのマシンで読取り可能なキャリアにストアされたプログラムコード有するコンピュータプログラム製品からなる。言い換えれば、本発明は、コンピュータプログラムがコンピュータで実行される場合、本方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、同期するための本発明の装置のブロック図を示す。
【図2】図2は、一般的なリニアタイムコードの概略図を示す。
【図3】図3は、図1のコンパレータおよびタイムコードマニピュレータの機能の詳細図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施の形態による本発明のトータルシステムを説明するためのブロック図を示す。
【図5】図5は、別の実施の形態による本発明のトータルシステムを説明するためのブロック図を示す。
【図6】図6は、本発明の好適な実施の形態による図1のオーディオ処理手段の詳細図を示す。
【図7】図7aは、短縮された操作された合成タイムコードのための修正コントローラの機能の詳細図を示し、図7bは、延長された操作された合成タイムコードのための修正コントローラの機能の詳細図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム周波数で再生される一連のフレームを備えるフィルムに離散サンプルに存在するオーディオ信号を同期するための装置であって、各フレームが一連のフレームにおいてフレームの位置を示すインプリントされたタイムコードを備え、さらにオーディオ信号の所定数の離散サンプルがフレームに関連付けられ、
検出された一連のタイムコードを得るために一連のフレームのためのインプリントされたタイムコードを検出するための手段(10)、
初期値に基づく一連の合成タイムコードを生成するために実行されるタイムコードジェネレータ(12)、
タイムコードジェネレータに初期値を供給するために検出された一連のタイムコードのタイムコードを復号化するためのデコーダ(14)、
一連の合成タイムコードを検出された一連のタイムコードと比較するためのコンパレータ(16)、
コンパレータ(16)が検出された一連のタイムコードのタイムコードと一連の合成タイムコードの合成タイムコードとの間の位相偏差がその量に関して所定の偏差閾値を超えると判定するときに、操作された合成タイムコードを得るために、一連の合成タイムコードの合成タイムコードの時間長を変更するためのタイムコードマニピュレータ(20)、および
オーディオ処理手段(24)がフレームを識別する合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードを検出するときに、フレームに関連付けられたオーディオ信号の所定数の離散サンプルを時間制御供給するためのオーディオ処理手段(24)を備える、装置。
【請求項2】
ワードクロック周波数がフレーム周波数に適合されるように、検出された一連のタイムコードに基づくワードクロック周波数を有するワードクロック(50)を生成するための手段(48)をさらに備え、
タイムコードジェネレータ(12)はワードクロック(50)によってクロックされるために実行される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
オーディオ処理手段(24)は、ワードクロックに従ってまたはワードクロックから引き出されたクロックに従ってフレームに離散サンプルを供給するために実行される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
オーディオ処理手段(24)は、同期タイムコードまたは操作された同期タイムコードが復号化されるときにかつさらにワードクロックまたはワードクロックから引き出されたクロックが規定されたクロックイベントを備えるときに、サンプルの供給を行うために実行されるアクチベーションコントローラ(68)を備える、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項5】
オーディオ処理手段(24)は、操作された合成タイムコードが操作されない合成タイムコードよりも時間的に短い場合にフレームのための少なくとも1つのサンプルを破棄し、さらに、操作された合成タイムコードが操作されない合成タイムコードよりも時間的に長い場合にフレームのための少なくとも1つのサンプルを生成するように実行される修正コントローラ(70)を備える、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの生成されたサンプルは、対応するフレームのための最後のサンプルのコピーである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
タイムコードマニピュレータ(20)は、偏差が判定されたフレームに続くフレームの位置を示す初期値が偏差閾値を超える場合に、タイムコードジェネレータ(12)を再スタートするために実行される、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項8】
タイムコードマニピュレータ(20)は、操作されないタイムコードに関してワードクロックサイクル数以下だけ操作されたタイムコードを変更するために実行される、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
クロックサイクル数は、正確にワードクロックの1つのクロックサイクルを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
オーディオ信号は異なるラウドスピーカのための複数のオーディオチャネルを備え、オーディオチャネルは別々のファイルにストアされ、さらに
装置は複数のオーディオ処理手段(56a、56b)を備え、各オーディオ処理手段はオーディオチャネルを供給するために実行され、
装置は、一連の合成タイムコードおよび操作された合成タイムコードをコピーし、さらにコピーを複数のオーディオ処理手段(56a、56b)に分配するために実行される分配手段(58)をさらに備える、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項11】
オーディオ信号は異なるラウドスピーカのための複数のオーディオチャネルを備え、オーディオチャネルは別々のファイルにストアされ、
オーディオ処理手段は、時間に関して制御される伝送バス(78)に複数のオーディオチャネルを供給するためにセントラル供給手段(76)を備え、さらに
オーディオ処理手段は、伝送バス(78)に接続される複数の再生装置(80a、80b)をさらに備える、請求項1から9の1つに記載の装置。
【請求項12】
伝送バス(78)は、IEEE1394規格によるファイアワイヤバスである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
検出するための手段(10)は、タイムコードの光学的検出を行うために実行される、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項14】
タイムコードはフィルム上の光学サウンドトラックに埋め込まれ、
検出するための手段(10)は、光学サウンドトラックを光学的に検出し、サウンド信号を得て、さらに、そのサウンド信号からタイムコードを抽出するために実行される、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項15】
フィルム上に少なくとも2つの等しいタイムコードがフレームに存在し、
検出するための手段(10)は、フレームのための両方のタイムコードを検出し、さらにデコーダ(14)およびコンパレータ(16)に供給される2つの検出されたタイムコードに基づいてフレームにエラー補正されたタイムコードを供給するために実行される、先行する請求項の1つに記載の装置。
【請求項16】
検出するための手段(10)は1つのフレームのための両方のタイムコードを別々にサンプリングするために実行されて、2つの別々にサンプリングされたタイムコードのうちの一方のタイムコードであって他方のタイムコードよりもエラーが少ないものが用いられ、または、検出するための手段(10)は2つの検出されたタイムコードをアナログで合算するために実行される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
フレーム周波数で再生される一連のフレームを備えるフィルムに離散サンプルに存在するオーディオ信号を同期するための方法であって、各フレームが一連のフレームにおいてフレームの位置を示すインプリントされたタイムコードを備え、さらにオーディオ信号の所定数の離散サンプルがフレームに関連付けられ、
検出された一連のタイムコードを得るために一連のフレームのためのインプリントされたタイムコードを検出するステップ(10)、
初期値に基づく一連の合成タイムコードを生成するステップ(12)、
初期値を供給するために検出された一連のタイムコードのタイムコードを復号化するステップ(14)、
一連の合成タイムコードを検出された一連のタイムコードと比較するステップ(16)、
検出された一連のタイムコードのタイムコードと一連の合成タイムコードの合成タイムコードとの間の位相偏差がその量に関して所定の偏差閾値を超えると判定されるときに、操作された合成タイムコードを得るために、一連の合成タイムコードの合成タイムコードの時間長を変更するステップ(20)、および
フレームを識別する合成タイムコードまたは操作された合成タイムコードの検出に応答して、フレームに関連付けられたオーディオ信号の所定数の離散サンプルを供給するステップ(24)を備える、方法。
【請求項18】
プログラムがコンピュータ上で動作する際に、請求項17の方法を実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2007−505437(P2007−505437A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529724(P2006−529724)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004602
【国際公開番号】WO2004/105034
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591037214)フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ (259)
【Fターム(参考)】