説明

オーディオ装置及びそのデータベース作成方法

【課題】簡易に、ポータブル記憶媒体に記憶されているお気に入りのオーディオファイルを再生できる「オーディオ装置及びそのデータベース作成方法」を提供する。
【解決手段】ポータブル記憶媒体100がオーディオ装置10に接続されると、再生するオーディオファイルの選択のために用いられるオーディオデータファイルデータベースの20個のエントリには、フォルダfavoriteの10個のファイルのファイル情報と、ファイルの所定の規則に従った順序上先頭の10個のファイルのファイル情報が登録される(#1)。以降、ユーザからのパーティション切り替え指示が発生したならば、フォルダfavoriteのファイルのファイル情報の登録を維持したまま、オーディオデータファイルデータベースの残る10個のエントリを、それまでファイル情報が登録されていたファイルの前記順序上次の10個のファイルのファイル情報に更新する(#2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ装置において、当該オーディオ装置に接続したリムーバブルな記憶媒体に記録されたオーディオファイルを利用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーディオ装置において、当該オーディオ装置に接続したリムーバブルな記憶媒体に記録されたオーディオファイルを利用する技術としては、当該記憶媒体に記憶されているオーディオファイルを所定の規則に従って複数のグループに分割し、各グループを仮想的なCD-DAとして取り扱うことにより、ユーザが、各グループ内のオーディオファイルをCD-DAのオーディオトラックと同様に利用できるようにする技術が知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
これらの技術によれば、記憶媒体に膨大な数のオーディオファイルが記憶されている場合でも、記憶媒体に記憶されているオーディオファイルを再生操作のためのユーザインタフェースを、ユーザが簡易に操作できるように、比較的シンプルに構成することができる。
【特許文献1】特開2002-170325号公報
【特許文献2】特開2002-278564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記憶媒体に記憶されているオーディオファイルを分割した各グループを仮想的なCD-DAとして取り扱う技術によれば、記憶媒体に記憶されているオーディオファイル内に、ユーザが頻繁に再生するお気に入りのオーティオファイルが存在する場合、このお気に入りのオーディオファイルが含まれる仮想的なCD-DAが再生対象となっていない場合には、ユーザは、直ちに、このお気に入りのオーディオファイルの再生を行うことはできず、再生に先立って、再生対象とする仮想的なCD-DAを、このお気に入りのオーディオファイルが含まれる仮想的なCD-DAに切り替える操作を行う必要がある。
【0005】
よって、当該技術によれば、ユーザのお気に入りのオーディオファイルの再生に関して、操作の煩雑化を招くという問題がある。
そこで、本発明は、接続したリムーバブルな記憶媒体に記録されたオーディオファイルの再生を行うオーディオ装置において、ユーザがより簡易に、記憶媒体に記憶されているお気に入りのオーディオファイルを再生できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、オーディオファイルを記憶したリムーバブルな記憶媒体を接続可能なオーディオ装置に、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルの属性を表すファイル情報を蓄積するデータベースと、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている複数のオーディオファイルより各々なる複数のグループのうちの、ユーザ操作に応じて定まる一つのグループを登録対象グループとし、前記データベースの内容を、前記登録対象グループに含まれる各オーディオファイルのファイル情報に更新するデータベース更新手段と、前記データベースに登録されている前記ファイル情報を利用して、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶された、前記データベースにファイル情報が登録されているオーディオファイルを再生する再生手段とを備え、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルのうちのユーザによって予め選定されたオーディオファイルは前記複数のグループの全てに含まれ、他の各オーディオファイルは各々前記複数のグループのいずれか一つのグループにのみ含まれるように、前記複数のグループが形成されるようにしたものである。
【0007】
このようなオーディオ装置によれば、リムーバブルな記憶媒体に記憶されたオーディオファイルを複数のグループに分割し、ファイル情報をデータベースに登録するオーディオファイルをグループ単位に切り替えることにより、再生対象とするオーディオファイルのグループを切り替える場合において、ユーザによって予め選定されたオーディオファイルが全てのグループに含まれるように各グループを構成する。したがって、ユーザは、頻繁に再生するお気に入りのオーディオファイル予め選定しておくことにより、当該お気に入りのオーディオファイルを、常に、再生対象とするグループを切り替えることなく、速やかに再生することができるようになる。よって、本発明によれば、ユーザは、リムーバブルな記憶媒体に記憶されたお気に入りのオーディオファイルを、より簡易に再生することができるようになる。
【0008】
ここで、前記ユーザによって予め選定されたオーディオファイルは、前記リムーバブルな記憶媒体の特定のフォルダまたはボリュームに格納されているオーディオファイルであってもよく、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている、特定の文字列を名称に含むオーディオファイルであってもよく、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている特定のプレイリストに登録されているオーディオファイルであってもよい。
【0009】
また、以上のようなオーディオ装置に、ユーザの所定の操作が行われたときに、前記再生手段が再生している前記リムーバブルな記憶媒体のオーディオファイルのファイルパスを保存するファイルパス保存手段を備え、前記ポユーザによって予め選定されたオーディオファイルを、当該リムーバブルな記憶媒体が接続されているときに前記ファイルパス保存手段が保存したファイルパスによって示されるオーディオファイルとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、接続したリムーバブルな記憶媒体に記録されたオーディオファイルの再生を行うオーディオ装置において、ユーザがより簡易に、記憶媒体に記憶されているお気に入りのオーディオファイルを再生できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1に本実施形態に係るオーディオ装置の構成を示す。
以下、本発明の実施形態を、自動車に搭載されるオーディオ装置(カーオーディオ装置)への適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係るオーディオ装置の構成を示す。
図示するように、オーディオ装置10は、複数のキーを備えた入力装置1、LCDなどである表示装置2、スピーカ3、オーディオ信号のイコライズ機能や増幅機能を備えたオーディオアンプ部4、オーディオデコーダ5、制御部6、ポータブルHDDやUSBメモリやメモリカードなどのリムーバブルな記憶媒体であるポータブル記憶媒体100を挿抜可能に接続するコネクタ7、メモリ8などを備えている。
【0012】
次に、図2に、ポータブル記憶媒体100の記憶内容と、オーディオ装置10のメモリ8の記憶内容を示す。
図2aに示すように、ポータブル記憶媒体100には、ルートフォルダ(ルートディレクトリ)を最上階層として階層化されたフォルダ(ディレクトリ)構造を用いて複数のオーディオファイルが格納されている。また、ポータブル記憶媒体100上の"favorite"の名称を持つフォルダは、ユーザが、頻繁に再生するお気に入りのオーディオファイルを格納するために用いられる。
【0013】
ここで、ユーザは、図1に点線で示したように、ポータブル記憶媒体100をパーソナルコンピュータ20に接続した状態において、パーソナルコンピュータ20を用いて、任意名称のフォルダをポータブル記憶媒体100上に作成したり、パーソナルコンピュータ20上にあるオーディオファイルを含むフォルダをポータブル記憶媒体100に転送して格納したり、パーソナルコンピュータ20上のオーディオファイルをポータブル記憶媒体100の任意フォルダ中に転送して格納することができる。
【0014】
また、このようにしてポータブル記憶媒体100に格納されるオーディオファイルは、楽曲のオーディオデータを格納したファイルであり、オーディオファイル中にはオーディオデータと共に、楽曲のタイトルやアーティストや楽曲の属するアルバムや楽曲のジャンルなどのオーディオデータのメタ情報を含むタグが格納されている。なお、このようなタグを備えたオーディオファイルフォーマットとしては、ID3タグを備えたMP3(MPEG-1 AUDIO LAYER-3)フォーマットのオーディオファイルが知られている。
【0015】
次に図2bに示すように、オーディオ装置10のメモリ8には、オーディオファイルデータベースが格納される。
図示するようにオーディオファイルデータベースは、予め固定的に定めたパーティション内楽曲数n(たとえば、100)分のエントリ(図中の各行)を有し、各エントリには、ポータブル記憶媒体100に記憶されている一つのオーディオファイルの情報を格納することができる。
【0016】
また、各エントリに登録するオーディオファイルの情報としては、オーディオファイルのロケーションを表すファイルパスと、前述したようにオーディオファイルのタグに格納されている楽曲のメタ情報(楽曲のタイトルやアーティストや楽曲の属するアルバムや楽曲のジャンルなど)を用いる。
さて、以上のような構成において、制御部6は、入力装置1と表示装置2を用いたユーザインタフェース上でユーザの各種操作を受け付けて、ポータブル記憶媒体100に格納されたオーディオファイルの再生を制御する。
すなわち、制御部6は、オーディオファイルデータベースの各エントリのファイルパスが示すオーディオファイルを順次再生対象オーディオファイルとしたり、ユーザが指定した検索条件に整合するメタ情報が登録されたオーディオファイルデータベースのエントリのファイルパスが示すオーディオファイルを再生対象オーディオファイルとしたり、メタ情報の一覧画面上でユーザによって選択されたメタ情報が登録されたオーディオファイルデータベースのエントリのファイルパスが示すオーディオファイルを再生対象オーディオファイルとしたりすることにより、再生対象オーディオファイルを決定する。
【0017】
そして、再生対象オーディオファイルをポータブル記憶媒体100上の当該再対象オーディオファイルのファイルパスが示すロケーションより読み出し、オーディオファイルに格納されているオーディオデータをオーディオデコーダ5に供給する。
オーディオデコーダ5は供給されたオーディオデータをデコードし、デコードしたオーディオ信号をオーディオアンプ部4に出力する。オーディオアンプ部4は、オーディオデコーダ5から入力するオーディオ信号に、制御部6がユーザ操作に応じて設定する特性のイコライズや増幅を施してスピーカ3に出力する。
【0018】
また、制御部6は、上述したオーディオファイルデータベースを作成するために、図3に示すオーディオファイルデータベース作成処理を行う。
図示するように、この処理では、ポータブル記憶媒体100の新規接続の発生を監視する(ステップ302)。なお、オーディオ装置10の起動時に、ポータブル記憶媒体100が接続されていた場合も、ポータブル記憶媒体100の新規接続が発生したものと見なす。
【0019】
そして、ポータブル記憶媒体100の新規接続が発生したならば、パーティションポインタを、ポータブル記憶装置に記憶されているオーディオファイルのうちの、所定の基準に従った順序上、先頭となるオーディオファイルを指し示すように設定する(ステップ304)。ここで、所定の基準に従った順序とは、ポータブル記憶媒体100上のフォルダやファイルを管理するポータブル記憶媒体100のファイルシステムにオーディオファイルが登録されている順序としてもよいし、オーディオファイルが含まれるフォルダのフォルダ名や、当該オーディオファイルのファイル名またはこれらの組み合わせをキーとしてオーディオファイルをソートした順序としてもよいし、オーディオファイルをオーディオファイルのタグのメタ情報が示すアーティストやアルバムやタイトルまたはこれらの組み合わせをキーとしてソートした順序としてもよい。
【0020】
そして、次に、ポータブル記憶媒体100に名称が"favorite"のフォルダが存在するかどうかを調べ(ステップ306)、存在しない場合には(ステップ308)、オーディオファイルデータベースの内容をクリアした上で、パーティションポインタが指し示すオーディオファイルから、前記所定の基準に従った順序に従って、順次n個(p<nとして、p個しか存在しない場合にはp個)のオーディオファイルのファイル情報を、オーディオファイルデータベースに登録する処理を行う。ここで、nは、前述したパーティション内楽曲数である。そして、パーティションポインタを、前記所定の基準に従った順序上、最後にファイル情報をオーディオファイルデータベースに登録したオーディオファイルの次のオーディオファイルを指し示すよう進める(ステップ324)。ただし、当該次のオーディオファイルが存在しない場合には、所定の基準に従った順序上、先頭となるオーディオファイルを指し示すように設定する。
【0021】
そして、ユーザからのパーティション切り替え指示の発生(ステップ326)と、ポータブル記憶媒体100の切断(オーディオ装置10からの取り外し)の発生(ステップ328)を監視し、ユーザからのパーティション切り替え指示が発生したならば(ステップ326)、ステップ324の処理に戻り、ポータブル記憶媒体100の切断が発生したならば(ステップ328)、ステップ302に戻って、ポータブル記憶媒体100の新規接続の次の発生を待つ。
【0022】
一方、ポータブル記憶媒体100に名称が"favorite"のフォルダが存在する場合には(ステップ306)、名称が"favorite"のフォルダ内の各オーディオファイルを常時組込ファイルに設定し(ステップ310)、常時組込ファイルの数kを求める(ステップ314)。
【0023】
そして、求めた常時組込ファイルの数kが、パーティション内楽曲数nより大きいかどうかを調べ、大きければ、ステップ324に進んで上述した処理を行う。また、このとき、名称が"favorite"のフォルダ内のオーディオファイル数が多すぎて全てを組み込むことができないので、"favorite"のフォルダ内のオーディオファイルの常時組込を行わない旨を示す適当なエラーメッセージを表示するようにする。
【0024】
一方、常時組込ファイルの数kが、パーティション内楽曲数n以下であれば、まず、オーディオファイルデータベースの内容をクリアした上で、各常時組込ファイルのファイル情報を、オーディオファイルデータベースに登録する(ステップ216)。
【0025】
そして、次に、常時組込ファイル以外のオーディオファイルのみを対象として、パーティションポインタが指し示すオーディオファイルから、前記所定の基準に従った順序に従って、順次n-k個(p<n-kとして、p個しか存在しない場合にはp個)の(常時組込ファイルではない)オーディオファイルのファイル情報を、オーディオファイルデータベースのk+1番目からn番目のエントリに登録する処理を行う。そして、パーティションポインタを、前記所定の基準に従った順序上、最後にファイル情報をオーディオファイルデータベースに登録したオーディオファイルの次のオーディオファイルを指し示すよう進める(ステップ318)。ただし、当該次のオーディオファイルが存在しない場合には、所定の基準に従った順序上、先頭となるオーディオファイルを指し示すように設定する。
【0026】
そして、ステップ320に進み、ユーザからのパーティション切り替え指示の発生(ステップ320)と、ポータブル記憶媒体100の切断(オーディオ装置10からの取り外し)の発生(ステップ322)を監視する。
そして、ユーザからのパーティション切り替え指示が発生したならば(ステップ320)、ステップ318からの処理に戻り、ポータブル記憶媒体100の切断が発生したならば(ステップ322)、ステップ302に戻って、ポータブル記憶媒体100の新規接続の次の発生を待つ。
【0027】
以上、制御部6が行うオーディオファイルデータベース作成処理について説明した。
ここで、図4に、このようなオーディオファイルデータベース作成処理の処理例を示す。
いま、ポータブル記憶媒体100に、A、B、C、D...、favoriteの各フォルダが存在し、各フォルダに、10個づつオーディオファイルが格納されているものとする。
そして、各オーディオファイルは、所定の基準に従って、図示するように、001から170に順序づけられるものとする。すなわち、フォルダAの10個のファイルが001から010に、フォルダBの10個のファイルが011から020に、フォルダCの10個のファイルが021から030に、フォルダDの10個のファイルが031から040にと順序づけられており、フォルダfavoriteの10個のファイルは161から171に順序づけられているものとする。
【0028】
また、ここでは、オーディオファイルデータベースのエントリ数を表すパーティション内楽曲数nは20であるものとする。
この場合、このポータブル記憶媒体100がオーディオ装置10に接続されると、まず、メモリ8のオーディオデータファイルデータベースには、#1として示すようにフォルダfavoriteの10個のファイル161-171のファイル情報が登録され、次に、オーディオデータファイルデータベースの残る10個のエントリには、ファイルの順序に従って、フォルダAの10個のファイル001-010のファイル情報が登録される。
【0029】
したがって、この状態において、ユーザは、オーディオファイルデータベースを利用して、フォルダfavoriteの10個のファイル161-171と、フォルダAの10個のファイル001-010を適宜再生することができる。
次に、この状態で、ユーザからのパーティション切り替え指示が発生すると、#2として示すように、メモリ8のオーディオデータファイルデータベースは、フォルダfavoriteの10個のファイル161-171のファイル情報が登録の登録が維持されたまま、残る10個のエントリが、それまで登録されていたファイル001-010の次の10個のファイルであるフォルダBの10個のファイル011-020のファイル情報に更新される。
【0030】
したがって、この状態において、ユーザは、オーディオファイルデータベースを利用して、フォルダfavoriteの10個のファイル161-171と、フォルダBの10個のファイル011-020を適宜再生することができる。
また、さらに、この状態において、ユーザからのパーティション切り替え指示が発生すると、#3として示すように、メモリ8のオーディオデータファイルデータベースは、フォルダfavoriteの10個のファイル161-171のファイル情報が登録の登録が維持されたまま、残る10個のエントリが、それまで登録されていたファイル011-020の次の10個のファイルであるフォルダCの10個のファイル021-030のファイル情報に更新される。
【0031】
そして、この状態において、ユーザは、オーディオファイルデータベースを利用して、フォルダfavoriteの10個のファイル161-171と、ファイル011-020の次の10個のファイルであるフォルダCの10個のファイル021-030を適宜再生することができるようになる。
【0032】
このように、本実施形態では、ポータブル記憶媒体100の名称"favorite"のフォルダ内のオーディオファイルは、常に、オーディオファイルデータベースに登録されるので、ユーザは、この"favorite"のフォルダに頻繁に再生するお気に入りのオーディオファイル格納しておくことにより、当該お気に入りのオーディオファイルを、常に、パーティションの切り替えを指示することなく、適宜再生することができるようになる。よって、本発明によれば、ユーザは、ポータブル記憶媒体100に記憶されたお気に入りのオーディオファイルを、常時簡便な操作で再生することができるようになる
以上、本発明の実施形態について説明した。
【0033】
ところで、以上の実施形態では、特定の名称を有するフォルダ(名称が"favorite"のフォルダ)内のオーディオファイルを常時組込オーティオファイルとして、常に、常時組込オーティオファイルのファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにしたが、これば、他の基準によって常時組込ファイルを設定するようにしてもよい。すなわち、たとえば、特定の文字列を先頭に含むファイル名を有するオーディオファイルの全てを常時組込ファイルとして、常に、常時組込ファイルのファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにしてもよいし、ポータブル記憶媒体100に複数のオーディオファイルを登録したプレイリストが格納されている場合に、特定の名称を持つプレイリストに登録されているオーディオファイルの全てを常時組込ファイルとして、常に、常時組込ファイルのファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにしてもよいし、ポータブル記憶媒体100が複数のボリュームに区分けされている場合に、特定の名称を持つボリュームに格納されているオーディオファイルの全てを常時組込ファイルとして、常に、常時組込ファイルのファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにしてもよい。
【0034】
なお、これらの場合は、図3のオーディオファイルデータベース作成処理の、ステップ306、308、324を排して、ステップ304からステップ310に進み、ステップ310において、以上のオーディオファイルのファイル名や所属ボリューム名や登録プレイリスト名の基準に基づいて常時組込ファイルを設定するようにすればよい。
【0035】
また、このような常時組込ファイルとするオーディオファイルをオーディオ装置10においてユーザが設定できるようにしてもよい。
すなわち、この場合には、メモリ8に図5aに示すような、お気に入りファイルテーブルを設ける。図示するように、このお気に入りファイルテーブルの各エントリ(図中の各行)には、ポータブル記憶媒体100の識別子(ポータブル記憶媒体100のボリューム名やMACアドレスなど)とファイルのポータブル記憶媒体100内のファイルパスを登録することができる。
【0036】
そして、制御部6において、図5bに示すお気に入り楽曲登録処理を行う。
ここで、このお気に入り楽曲登録処理では、オーディオファイルの再生中に、ユーザのお気に入り登録操作が発生すると(ステップ502)、お気に入りファイルテーブルに新規エントリを作成し、作成したエントリに、再生中のオーディオファイルが格納されているポータブル記憶媒体100の識別子と、再生中オーディオファイルのポータブル記憶媒体100内のファイルパスを登録する(ステップ504)処理を繰り返し行う。
【0037】
そして、前述したオーディオファイルデータベース作成処理において、接続されているポータブル記憶媒体100の識別子を含むお気に入りファイルテーブルのエントリに登録されているファイルパスによって示されるオーディオファイルを常時組込ファイルとして取り扱い、常に、ファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにする。ただし、接続されているポータブル記憶媒体100の識別子を含むお気に入りファイルテーブルのエントリに登録されているファイルパスによって示されるオーディオファイルが、接続されているポータブル記憶媒体100に存在しない(消去された)場合には、このオーディオファイルは、常時組込ファイルとしては取り扱わない。
【0038】
ここで、このようなお気に入りファイルテーブルを用いた処理は、図3のオーディオファイルデータベース作成処理の、ステップ306、308、324を排して、ステップ304からステップ310に進み、ステップ310において、接続されているポータブル記憶媒体100の識別子を含むお気に入りファイルテーブルのエントリに登録されているファイルパスによって示されるオーディオファイルを常時組込ファイルに設定するようにすれば実現できる。
【0039】
なお、お気に入り楽曲登録処理は、オーディオファイルの再生中に、ユーザからお気に入り登録操作が発生したときに、再生中のオーディオファイルのポータブル記憶媒体100内のファイルパスを、当該ポータブル記憶媒体100上に作成したオーディオファイルに登録する動作を繰り返す処理としてもよい。また、この場合には、オーディオファイルデータベース作成処理において、接続されているポータブル記憶媒体100に記憶されているお気に入りファイルテーブルのエントリに登録されているファイルパスによって示されるオーディオファイルを常時組込ファイルとして取り扱い、常に、常時組込ファイルのファイル情報がオーディオファイルデータベースに登録されるようにする。ただし、お気に入りファイルテーブルのファイルパスによって示されるオーディオファイルが、接続されているポータブル記憶媒体100に存在しない(消去された)場合には、このオーディオファイルは、常時組込ファイルとしては取り扱わない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係るオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るポータブル記憶媒体とオーディオ装置のメモリの記憶内容を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るオーディオファイルデータベース作成処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るオーディオファイルデータベース作成処理の処理例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るオーディオ装置の他の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…入力装置、2…表示装置、3…スピーカ、4…オーディオアンプ部、5…オーディオデコーダ、6…制御部、7…コネクタ、8…メモリ、10…オーディオ装置、20…パーソナルコンピュータ、100…ポータブル記憶媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオファイルを記憶したリムーバブルな記憶媒体を接続可能なオーディオ装置であって、
前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルの属性を表すファイル情報を蓄積するデータベースと、
前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている複数のオーディオファイルより各々なる複数のグループのうちの、ユーザ操作に応じて定まる一つのグループを登録対象グループとし、前記データベースの内容を、前記登録対象グループに含まれる各オーディオファイルのファイル情報に更新するデータベース更新手段と、
前記データベースに登録されている前記ファイル情報を利用して、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶された、前記データベースにファイル情報が登録されているオーディオファイルを再生する再生手段とを有し、
前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルのうちのユーザによって予め選定されたオーディオファイルは前記複数のグループの全てに含まれ、他の各オーディオファイルは各々前記複数のグループのいずれか一つのグループにのみ含まれるように、前記複数のグループは形成されることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
請求項1記載のオーディオ装置であって、
前記ユーザによって予め選定されたオーディオファイルとは、前記リムーバブルな記憶媒体の特定のフォルダまたはボリュームに格納されているオーディオファイルであることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項3】
請求項1記載のオーディオ装置であって、
前記ユーザによって予め選定されたオーディオファイルとは、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶された、特定の文字列を名称に含むオーディオファイルであることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項4】
請求項1記載のオーディオ装置であって、
前記ユーザによって予め選定されたオーディオファイルとは、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている特定のプレイリストに登録されているオーディオファイルであることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項5】
請求項1記載のオーディオ装置であって、
ユーザの所定の操作が行われたときに、前記再生手段が再生している前記リムーバブルな記憶媒体のオーディオファイルのファイルパスを保存するファイルパス保存手段を有し、
前記ユーザによって予め選定されたオーディオファイルとは、当該リムーバブルな記憶媒体が接続されているときに前記ファイルパス保存手段が保存したファイルパスによって示されるオーディオファイルであることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項6】
オーディオファイルを記憶したリムーバブルな記憶媒体に接続し、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルの属性を表すファイル情報を蓄積するデータベースを作成するオーディオ装置のデータベース作成方法であって、
前記データベースの更新を行う際に、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されている複数のオーディオファイルよりなるグループを複数形成するグループ形成ステップと、
前記データベースの内容を前記形成したグループに含まれる各オーディオファイルの属性を表すファイル情報に更新する更新ステップとを有し、
前記グループ形成ステップにおいて、前記リムーバブルな記憶媒体に記憶されているオーディオファイルのうちのユーザによって予め選定されたオーディオファイルを全てのグループに含み、かつ、他のオーディオファイルは前記複数のグループのいずれか一つのグループにのみ含むようにすることを特徴とするデータベース作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−293550(P2008−293550A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135204(P2007−135204)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】