説明

オーディオ装置

【課題】持ち運びに適した小型の筐体でありながら、外付けのアンテナを外的圧力から保護できるオーディオ装置を提供する。
【解決手段】少なくとも放送受信部17を内蔵する筐体1と、放送受信部17に接続されたアンテナ6と、アンテナ6を筐体1の外面部に沿って固定するアンテナ固定部8と、アンテナ固定部8に固定されたアンテナ6に沿って筐体1の外部面に形成された凸条部10とを備えたオーディオ装置100である。筐体1は、手で把持することが可能な奥行を有し、凸条部10は、筐体1の奥行方向片側面にあってアンテナ固定部8に固定されたアンテナ6よりも下側となる位置に形成され、且つ筐体1を手で把持するとき凸条部10の下面部10Aに指先を掛けることが可能な位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを有するオーディオ装置に係わり、特に持ち歩くことのできる可搬型にして、アンテナを外的圧力から保護できるようにしたオーディオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジオ放送などを受信して聴取することができるようアンテナを備えたオーディオ装置が知られる。その種のオーディオ装置では、アンテナを筐体の外部に取り付けていることが多く、オーディオ装置が小型化した場合には、その持ち運びに際し、誤ってアンテナに手を掛けるなどしてアンテナを変形、破損させてしまうことがある。
【0003】
そこで、機器本体に設けたハンドルに溝形のアンテナ収納部を設け、機器本体の持ち運びに際して、そのアンテナ収納部にアンテナを没入させ得るようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−252211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ハンドルを用いて把持するため、その周囲において、機器本体の部位を逃げ部として凹状に切り欠いていることから、機器の小型化が伴わず、ハンドルを含めた構造も複雑となる。
【0006】
又、特許文献1によれば、アンテナがハンドルに形成した溝形の収納部に没入されることから、その収納部からアンテナを引き出すこと困難であり、アンテナを使用に際して収納部から引き出すには、収納部から張り出した小径の先端部分を摘むことになるので、その引き出しに際して先端部分を曲げてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は持ち運びに適した小型の筐体でありながら、外付けのアンテナを外的圧力から保護できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するため、以下に記載するようなオーディオ装置を影響するものである。
(1)少なくとも放送受信部17を内蔵する筐体1と、前記放送受信部17に接続されたアンテナ6と、前記アンテナ6を前記筐体1の外面部に沿って固定するアンテナ固定部8と、前記アンテナ固定部8に固定されたアンテナ6に沿って前記筐体1の外部面に形成された凸条部10と、を備えていることを特徴とするオーディオ装置。
(2)前記筐体1は、その前面1A及び背面1Cに指先を押し当てて把持することが可能な奥行を有し、前記凸条部10は、前記筐体1の前面1A及び背面1Cのいずれか一方にあって前記アンテナ固定部8に固定されたアンテナ6よりも下側となる位置に形成され、且つ前記筐体1を手で把持するとき前記凸条部10の下面部10Aに指先を掛けることが可能な位置に形成されていることを特徴とする上記(1)記載のオーディオ装置。
(3)前記凸条部10の下面部10Aに、前記凸条部10の他の面よりも大きな摩擦力を有する滑り止め手段が設けられていることを特徴とする上記(2)記載のオーディオ装置。
(4)前記凸条部10は中空構造であり、その一部が前記筐体1内に連通して別の一部が外部に開放されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のオーディオ装置。
(5)前記筐体1の上面1Bにおける長手方向両側に、前記筐体1を把持する手が収まる間隔をあけて一対のマイクロフォン5、もしくは一対のスピーカユニットが設けられていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のオーディオ装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るオーディオ装置によれば、アンテナ固定部に固定されたアンテナに沿って形成される凸条部により、アンテナを外的圧力から保護し、装置の持ち運びなどに際してアンテナが外力を受けて曲がったり破損したりすることを防止できる。
【0010】
又、凸条部は、筐体の前面及び背面のいずれか一方にあってアンテナ固定部に固定されたアンテナよりも下側となる位置に形成され、筐体を手で把持するとき凸条部の下面部に指先を掛けることが可能とされていることから、筐体を持ち運ぶときアンテナに指を掛けずして筐体を滑り落すことなく確りと把持することができ、しかも凸条部の下面部に滑り止め手段が設けられている構成では、筐体を持ち運ぶ際の落下の危険性を一層減らすことができる。
【0011】
加えて、アンテナ固定部に固定されたアンテナに沿って凸条部を設けるようにしていることから、筐体の内容積を減ずることなく凸条部を形成でき、しかも凸条部が中空構造のバスレフポートとして機能する構成により、音響信号を低音増強しながら出力することが可能となる。
【0012】
更に、筐体の上面における長手方向両側に、筐体を把持する手が収まる間隔をあけて一対のマイクロフォン、もしくは一対のスピーカユニットが設けられる構成では、マイクロフォンやスピーカユニットを掌で覆うことなく確実に筐体を把持し、筐体を持ち歩きながら収音したり音楽鑑賞したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るオーディオ装置の一実施形態を示す正面図
【図2】図1に示したオーディオ装置の上面図
【図3】図1に示したオーディオ装置の側面図
【図4】図1に示したオーディオ装置を背面側からみた斜視図
【図5】図1に示したオーディオ装置の背面図
【図6】図1に示したオーディオ装置の筐体を把持した状態を示す説明図
【図7】図5のX−X断面図
【図8】図5の他の形態におけるX−X断面図
【図9】図5のY−Y断面図
【図10】本発明に係るオーディオ装置の制御系の構成例を示すブロック図
【図11】凸条部の変形例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。先ず、図1において、1は本発明に係るオーディオ装置100の筐体である。係る筐体1は、その前後両面(前面1Aおよび背面1C)に指を押し当てて把持することのできる奥行(例えば、5〜8cm程度)を有した小型にして横長の形態であり、その前面1Aの中央部には液晶パネルなどからなる表示部2が設けられている。表示部2の両側には多孔状のスピーカカバー3が設けられ、そのスピーカカバー3の裏側において、筐体1には左右一対のスピーカユニット12が内蔵されている。
【0015】
又、筐体1の上面1Bには、主電源スイッチや音量調整用ボタンといったスイッチ群を配した操作部4が設けられているほか、その操作部4を挟んで長手方向両側に左右一対のマイクロフォン5が突設されている。尚、一対のマイクロフォン5は、筐体1を把持する把持者の手の幅よりも大きな間隔(例えば、8〜12cm程度)をあけて配置されている。これにより、筐体1を把持するとき、操作部4を掌で覆いながら筐体1の中央部を把持するために、オーディオ装置100を安定して把持することが可能となる。なお、操作部4は上面1Bに限らず他の面に設けられてもよく、表示部2に重ねて設けられるタッチパネルであってもよい。また、表示部2は前面1Aに限らず上面1B等他の面に設けられてもよい。
【0016】
一方、図2〜図5に示すように、筐体1の背面1Cにはアンテナ6が設けられている。図示例において、アンテナ6は口径が異なる複数の金属パイプを軸方向に伸縮自在に嵌合せしめたロッドアンテナであり、その大径側の一端は筐体1の背面1C上に突出するジョイント7に連結されている。
【0017】
ジョイント7は、筐体1の背面1Cに直交する軸回りに回転可能とされ、そのジョイント7で一端が支持されたアンテナ6は、ジョイント7の回転軸線に直交する軸回りに旋回可能とされている。したがって、アンテナ6は図2〜図5の実線で示される状態を収納位置として、ラジオ放送を受信するときなどには図5の一点鎖線で示されるように上方旋回させて筐体1の上面1Bより上方に伸長させることが可能とされている。尚、アンテナ6は、上記収納位置において、筐体1の幅方向(長手方向)に向けて背面1Cにおける外面部に沿ってアンテナ固定部8に固定され、その先端が筐体1の幅方向一端面より突出しない状態に縮小される。
【0018】
ここに、アンテナ固定部8は、筐体1の背面1Cより突出する弾性突片8Aおよびリブ8Bのほか、上記ジョイント7を含んで構成され、ジョイント7と弾性突片8Aとによりアンテナ6の軸方向両側を支持しながら、リブ8Bにてジョイント7と弾性突片8Aとの中間位置を支持する構成とされている。
【0019】
又、図4および図5に示すように、筐体1の背面1Cには、アンテナ固定部8に固定されたアンテナ6に沿って凸条部10が形成されている。その凸条部10は、アンテナ固定部8に固定されたアンテナ6よりも下側となる位置に形成され、収納位置における最短状態のアンテナ6より大きな長さ有して水平方向に延び、その両端がジョイント7および最短状態に短縮されたアンテナ6の先端よりも筐体1の幅方向に張り出している。特に、凸条部10は、図6のように筐体1の前面1Aと背面1Cに指を押し当てて筐体1を把持するとき、凸条部10の下面部10Aに指先を掛け得る高さ位置に形成されている。例えば、凸条部10はその下面部10Aが筐体1の上面1Bから2〜4cm程度の距離となる位置に形成されている。これにより、例えば図6のように筐体1の前面1Aに第1指(親指)を押し当てつつ他の4指を凸条部10の下面部10Aに押し当てて筐体1を把持することが可能とされている。これによれば、筐体1を把持して持ち運ぶとき、アンテナ6に指を掛けるなどしてアンテナ6を曲げてしまうことを防止しながら、筐体1を滑り落すことなく確実に把持して持ち運ぶことができる。
【0020】
尚、図6において、凸条部10は、筐体1の背面1Cからの突出量(高さ)がアンテナ固定部8に固定されたアンテナ6よりも若干小さくなる設定とされているが、これをアンテナ6に対し同一高さ又は高くしてもよく、具体的にはその高さを0.7〜1.5cm程度とすることが好ましい。
【0021】
又、図示例において、凸条部10の下面部10Aは、筐体1の背面1Cから隔たるに伴って高くなる傾斜面とされ、これにより指先を違和感なく掛けられるようになっているが、その下面部10Aを筐体1の背面1Cに対して直交する水平面としてもよい。
【0022】
更に、凸条部10の下面部10Aには、凸条部10の他の面より大きな摩擦力を有する滑り止め手段として、複数条の溝を形成したりゴム板などの摩擦板を貼り付けたりすることが好ましく、これにより筐体1を持ち運ぶ際の落下の危険性を一層減らすことができる。
【0023】
次に、図7〜図9において、スピーカユニット12は、筐体1に内蔵される出力部13(例えば、アンプ)を介して制御部14に導電接続されている。
【0024】
又、凸条部10は中空構造にして図7に示す一端または図8に示すように分断した中空構造の一端が筐体1内に連通し、他の一端が外部に開放されていてもよい。このため、スピーカユニット12の後方に出力された音波が凸条部10の内部で共振することにより、共振周波数近傍の周波数帯域を増強させることができる。つまり、上記凸条部10は、アンテナ6を外的圧力から保護する防護壁、ならびに筐体1を把持する際のグリップ部として機能するほか、低音増強用のバスレフポートとしても機能する。なお、図7においては、凸条部10の全体が1つのバスレフポート20となっており、その一端部が開口部21として外部に開放されている。
【0025】
図8は、筐体1の内部構造が左右のスピーカユニット12を備える空間および図示しない回路基板を備える空間に区切られており、左右のスピーカユニット12を備える各々の空間に対して凸条部によるバスレフポートが設けられていることを示している。このため左右各々の空間に対してバスレフポート21が設けられ、各々のバスレフポートに開口部21が設けられる。
【0026】
図9の断面図により、凸条部10は内部が中空となっていることが分かると共に、凸条部10はアンテナ6を外的圧力から保護する役割を有していることが分かる。また、凸条部10はアンテナ6に限らずアンテナ6を固定する弾性突片8Aおよびリブ8Bを外的圧力から保護する機能も有する。リブ8Bは凸条部10に一体的に形成されていてもよく、凸条部10を構成する一部がリブ8Bとして機能してもよい。
【0027】
更に、筐体1には、上記マイクロフォン5に導電接続する入力部15のほか、マイクロフォン5などから取得される音響信号を格納する記憶部16、ならびに放送受信部17として例えばラジオチューナが内蔵され、その放送受信部17とアンテナ6が上記ジョイント7を介して導電接続する構成とされている。
【0028】
図9および図10に示すように、上記表示部2、操作部4、出力部13、入力部15、記憶部16、ならびに放送受信部17は、制御部14に導電接続されており、マイクロフォン5やアンテナ6を通じて取得される音響信号を制御部14によって記憶部16に格納したり、記憶部16に格納せずしてスピーカユニット12から直に外部出力したりすることが可能とされている。
【0029】
図10において、制御部10はCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital
Signal Processor)等により構成され、操作部4に入力された操作信号等に基づきCPUやDSPが備えるRAM(Random Access
Memory)やROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを動作させることにより、各部を制御する。
【0030】
記憶部17は、オーディオ装置100に内蔵されたHDDやフラッシュメモリ等であり、楽曲データや放送受信部17により受信した放送の録音データ等を記憶する。記憶部17は、図示しないメモリカードスロットや各種端子等により接続されるメモリカードや外部記憶媒体であってもよい。放送受信部17は、制御部14の制御によりアンテナ6から入力した放送電波における所望の周波数を選択し、受信した放送信号を復調する。
【0031】
出力部13は、記憶部16や放送受信部17から出力された音声データを、スピーカ12や外部装置に出力する。出力部13はアナログ音声信号やデジタル音声データが出力され、出力されるデジタル音声データをアナログ音声信号に変換するDAC(Digital Analog Converter)を含んでいてもよい。また、出力部13は音声信号や音声データを増幅する増幅部(アンプ)を備えていてもよい。
【0032】
入力部15は、マイクロフォン5や外部装置から各種信号やファイルを入力する。入力部15は、アナログ音声信号やデジタル音声データが入力され、入力されるアナログ音声信号をデジタル音声データに変換するADC(Analog Digital Converter)を含んでいてもよい。
【0033】
以上、本発明に係るオーディオ装置100の実施形態を説明したが、凸条部10は筐体1の外側にのみ凸となる形態に限らず、図11のように筐体1の内側に対しても凸となっている形態にしてもよい。このような形態により凸条部として適切なサイズであるとともに、バスレフポートとして凸条部のサイズにとらわれない適切な容量とすることができる。
【0034】
一方、アンテナ6は伸縮するロッドアンテナに限らず、無伸縮型でもシート基材に導線部を形成した薄板型などでもよく、その用途もラジオ受信用に限らず、テレビ放送の受信用であったり、送信専用あるいは送受信兼用であったりしてもよい。
【0035】
又、マイクロフォン5に代えて、スピーカユニットを筐体1の上面1Bに設けてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 筐体
5 マイクロフォン
6 アンテナ
7 ジョイント
8 アンテナ固定部
8A 弾性突片
8B リブ
10 凸条部
10A 下面部
12 スピーカユニット
17 放送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも放送受信部を内蔵する筐体と、
前記放送受信部に接続されたアンテナと、
前記アンテナを前記筐体の外面部に沿って固定するアンテナ固定部と、
前記アンテナ固定部に固定されたアンテナに沿って前記筐体の外部面に形成された凸条部と、
を備えていることを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
前記筐体は、その前面及び背面に指先を押し当てて把持することが可能な奥行を有し、
前記凸条部は、前記筐体の前面及び背面のいずれか一方にあって前記アンテナ固定部に固定されたアンテナよりも下側となる位置に形成され、且つ前記筐体を手で把持するとき前記凸条部の下面部に指先を掛けることが可能な位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記凸条部の下面部に、前記凸条部の他の面よりも大きな摩擦力を有する滑り止め手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記凸条部は中空構造であり、その一部が前記筐体内に連通して別の一部が外部に開放されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記筐体の上面における長手方向両側に、前記筐体を把持する手が収まる間隔をあけて一対のマイクロフォン、もしくは一対のスピーカユニットが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオーディオ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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