説明

オーバーヘッド型コンベア

【課題】 電着液等の塗料液に浸漬することができるとともに、ワーク同士が接触することのないオーバーヘッド型のコンベアを提供する。
【解決手段】 キャリッジ1の本体部2には、略L字形の揺動部材3と、本体部から下向きに突出する突出基部4と、この突出基部に一端付近を回動自在に支持される支柱基部5が備えられている。支柱基部の先端には、第一の転動部材54と、水平方向に突出する突出部材とを有している。揺動部材は、規制端および自由端を備え、自由端には支柱基部の突出部材を係止する凹状の係止部34が設けられ、規制端には第二の転動部材35が設けられている。第一の転動部材が、第一の規制レールL1によって突出部材の位置を変更するとともに、第二の転動部材が第二の規制レールL2によって、揺動部材の姿勢を所望の状態に調整し、自由端の係止部が突出部材に到達するとき、係止部による突出部材の係止を可能にしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッド型コンベアに関し、特に、搬送物が支持される角度を調整することによって当該搬送物の姿勢を制御しつつ移動できるようにしたコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なオーバーヘッド型コンベアは、天井付近に配設された搬送レールと、このレールに沿って移動するキャリッジと、このキャリッジによって支持される支柱とで構成され、ワークを支柱先端(下端)に装着しつつキャリッジが移動することによって所望範囲を搬送させる構成であった。
【0003】
そこで、このようなオーバーヘッド型コンベアによって搬送されるワークの種類は多岐にわたるものであるところ、搬送経路の途中において加工することまで考慮されておらず、通常は、加工・塗装・組立が行われるそれぞれの作業場所間を搬送するものであった。
【0004】
しかしながら、単に作業場所間を搬送するのではなく、搬送中に塗装加工等を施すことができるのであれば、作業効率は向上するとの配慮により、種々の検討がなされている。例えば、塗装加工における中塗りまたは上塗り加工においては、塗料を噴霧して塗膜を構成する際、スプレー装置の設置された塗装ブース内にワークを搬送させ、当該搬送の途中においてスプレー装置によって塗料を噴霧することができるようなコンベアが考案されている(特許文献1参照)。他方、下塗り加工においては、電着塗装工程において、塗料液が貯留される電着槽にワークを浸漬させる方法があった(特許文献2参照)。
【0005】
そして、上記電着塗装工程において、電着槽にワークを浸漬する方法は、自動車の車体のように、窓枠等の開口部分の存在によって内部空間が開口しているものに使用されるものであった。その理由としては、内部空間が閉鎖されているワークを塗料液に浸漬すれば、大きな浮力が発生し、ワーク全体を塗装液に浸漬させることが困難となるからであった。このことは、ワークの一部が開口していたとしても、その開口部分が下位の一部分にのみ存在する場合も同様である。
【特許文献1】特開2001−198500号公報(2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平8−41687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に示した従来技術は、上述のごとく、中塗り工程または上塗り工程ではスプレー装置を使用する塗装ブース内での塗装加工を行い、下塗り工程では電着槽内への浸漬による方法が可能であるとするものであった。しかし、下塗り工程において電着液等の塗料液にワークを浸漬する場合には、上述のように、内部空間が閉鎖されているワークには不向きとされていた。つまり、オーバーヘッド型のコンベアによる搬送途中では、浮力に抗して浸漬させることが困難なため、諦めざるを得ないものとなっていた。
【0007】
また、仮に、上記浮力に抗することができるように、ワークをキャリッジに吊下するのではなく、敢えてキャリッジから下向きに支持する構成を想定した場合にあっては、通常の高さを維持しつつ移動するキャリッジは、ワークを塗料液に浸漬されるために下降させることが必要となり、すなわち、ワークを塗料液の上面から入液させ、かつ、十分な深さまで移動させることが必要となる。そして、ワークを下降させるためには、キャリッジを下り傾斜に沿って移動させなければならず、当然に、通常搬送時においてほぼ水平方向に移動していたキャリッジを下り傾斜方向に変換させることが必要となるものであった。しかし、ワークがキャリッジに対して固定的に支持される場合、下り傾斜となったキャリッジに支持されるワークは、当該キャリッジの向きに相応してワークが斜め方向に支持されることとなり、方向変換される周辺では、水平方向に移動するキャリッジによって支持されるワークと、斜め方向に移動するキャリッジによって支持されるワークとが接近することとなるものであった。そして、連続して(個々に独立して移動するキャリッジが僅かな間隔で次々に)移動する場合、先行するキャリッジに支持されるワークが、後続のキャリッジに支持されるワークと接触することになり得るものであった。
【0008】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、電着液等の塗料液による浮力に抗して当該塗料液中に浸漬することができるとともに、連続するキャリッジに支持されるワーク同士が接触することのないオーバーヘッド型のコンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、駆動チェーンによって移動するキャリッジと、このキャリッジから搬送物を下向きに支持する支柱とを備えたオーバーヘッド型コンベアにおいて、上記キャリッジは、前輪部および後輪部によって支持される本体部と、この本体部に揺動可能に支持されてなる略L字形の揺動部材と、上記本体部から下向きに突出する突出基部と、この突出基部に一端付近を回動自在に支持されるとともに中央に上記支柱を連続してなる支柱基部とを備え、上記支柱基部は、上記突出基部に支持される回動軸に対して上記支柱を挟んで反対側に設けられた第一の転動部材と、この転動部材の中心から水平方向に突出する突出部材とを備え、上記揺動部材は、揺動中心から上記支柱基部に向かって突出する自由端と、揺動中心からキャリッジの進行方向に対して後方に延出する規制端と、上記自由端において上記支柱基部の突出部材を係止する凹状の係止部と、上記規制端に設けられた第二の転動部材とを備え、上記支柱基部に設けられた第一の転動部材が、第一の規制レールによって上記突出部材の位置を変更するとともに、上記揺動部材に設けられた第二の転動部材が第二の規制レールによって該揺動部材の姿勢を所望の状態に調整し、上記自由端の係止部が上記突出部材に到達するとき、該係止部による該突出部材の係止を可能にしてなることを特徴とするオーバーヘッド型コンベアを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、キャリッジが所定の位置を経由するとき、第一の規制レールに沿って第一の転動部材が移動することによって支柱基部の体勢が規制され、これとともに、第二にレールに沿って第二の転動部材が移動することによって揺動部材の揺動状態が規制されることとなり、両者の相対的な位置関係が調整されることによって、揺動部材の係止部が、支柱基部の突出部材を係止して、キャリッジと支柱とを一体化させることができるのである。このようにキャリッジと支柱とを一体化させることによって、キャリッジの進行状態に従って搬送物(ワーク)を進行させることができる。
【0011】
上記発明において、支柱基部の第一の転動部材は、前記突出基部に支持される回動軸よりも前記キャリッジの進行方向に対して後ろ側に配置することができる。この場合、支柱基部およびこれに支持される支柱は、支柱基部の回動軸を先頭に牽引される状態となるため、キャリッジの進行途中において支柱基部の体勢を変化させることが可能となる。
【0012】
さらに、上記発明において、揺動部材は、該揺動部材の自由端が前記支柱基部の回動軸よりも前記キャリッジの進行方向に対して後ろ側に配置することができる。また、自由端の先端に設けられる係止部は、該キャリッジの進行方向に対して後ろ側に構成することができる。このような構成にすれば、第一の転動部材と同じ位置に配置される突出部材に対して、揺動部材の自由端は前方から後方へ向かって揺動するとき、当該自由端の係止部が当該突出部材に接近することとなり、この自由端の後方側に係止部が構成されているので、係止部の接近によって、突出部材の係止を可能にすることとなる。
【0013】
また、本発明は、駆動チェーンによって移動するキャリッジと、このキャリッジから搬送物を下向きに支持する支柱とを備えたオーバーヘッド型コンベアにおいて、上記キャリッジは、前輪部および後輪部によって支持される本体部と、この本体部に揺動可能に支持されてなる略L字形の揺動部材と、上記本体部から下向きに突出する突出基部と、この突出基部に一端付近を回動自在に支持されるとともに中央に上記支柱を連続してなる支柱基部とを備え、上記支柱基部は、上記突出基部に支持される回動軸に対して上記支柱を挟んで反対側、かつ、上記キャリッジの進行方向に対して該回動軸よりも後ろ側に設けられた第一の転動部材と、この転動部材の中心から水平方向に突出する突出部材とを備え、上記揺動部材は、揺動中心から上記支柱基部に向かって突出する自由端と、揺動中心からキャリッジの進行方向に対して後方に延出する規制端と、上記自由端において上記支柱基部の突出部材を係止する凹状の係止部と、上記規制端に設けられた第二の転動部材とを備え、この揺動部材は、自由端を上記キャリッジの進行方向に対して後方向に揺動させるように付勢され、上記自由端は、上記支柱基部の回動軸よりも上記キャリッジの進行方向に対して前側に配置され、上記係止部は、上記キャリッジの進行方向に対して後ろ向きに凹状の開口部が構成され、上記支柱基部に設けられた第一の転動部材が、第一の規制レールによって上記突出部材の位置を変更するとともに、上記揺動部材に設けられた第二の転動部材が第二の規制レールによって該揺動部材の姿勢を所望の状態に調整し、上記自由端の係止部が上記突出部材に到達するとき、該係止部による該突出部材の係止を可能にしてなることを特徴とするオーバーヘッド型コンベアを要旨としている。
【0014】
上記構成によれば、略L字形の揺動部材は、自由端をキャリッジの進行方向に対して後方向に付勢されていることから、当該揺動部材の規制端が第二の規制レールによって規制されないときには、当該自由端が支柱基部の回動軸に向かって揺動することとなる。そして、この揺動における自由端の先端(係止部)の移動軌跡上に支柱基部の突出部材が位置するとき、凹状の係止部に突出部材が係入し、上記付勢により当該突出部材が係止されることとなるのである。このような突出部材の位置は、第一の転動部材を第一の規制レールが規制することによって調整され、他方、揺動部材の自由端は、第二の規制レールが第二の転動部材を規制して、当該揺動部材の規制端を上記付勢に抗して揺動させることにより、先端に構成される係止部の位置を調整できる。
【0015】
上記各発明において、前記支柱基部の第一の転動部材を規制する第一の規制レールは、前記キャリッジからの距離を変化させることにより、支柱基部のキャリッジに対する相対的な位置関係を調整し、前記揺動部材の係止部を上記支柱基部に接近させつつ該係止部による前記突出部材の係止を許容するように構成することができる。このような構成であれば、キャリッジに対する支柱基部の長手方向の相対的な角度は、キャリッジと第一の規制レールとの距離に応じて変化することとなり、支柱基部の第一の転動部材の位置、すなわち、突出部材の位置は、上記キャリッジに対する支柱基部の相対的な角度によって決定させることができる。他方、揺動部材は略L字形であり、その規制端はキャリッジの進行方向に延出するから、この規制端の位置、すなわち、第二の転動部材の位置が、キャリッジから離れる方向に移動するとき、自由端は支柱基部の回動軸に向かって揺動し、支柱基部の突出部材が適宜位置に存在するときには当該突出部材に接近させることができる。
【0016】
また、上記各発明において、前記支柱基部の第一の転動部材を規制する第一の規制レールは、搬送物を液体中に浸漬するとき、該第一の転動部材の位置を規制するように構成することができる。このような構成であれば、搬送物を液体中に浸漬させたとき、当該搬送物に作用する浮力等によって、上向き、横向きまたはこれらが複雑に作用する外力を受ける場合においても、キャリッジ全体の移動に与える影響を緩和させることができる。
【0017】
さらに、上記各発明において、前記第二の規制レールは、前記揺動部材の係止部が支柱基部の突出部材を係止するとき、および、係止を解除するときにのみ配置されて上記揺動部材を揺動させるように構成することができる。このような構成であれば、揺動部材の揺動が必要な場合、すなわち、自由端の係止部によって支柱基部の突出部材を係止させるための操作、または、既に係止された状態の突出部材を自由端の係止部から離脱させるための操作の際に、当該揺動部材を揺動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のオーバーヘッド型コンベアによれば、搬送途中における適宜範囲、すなわち、搬送物が塗料液を通過する範囲において、支柱基部を揺動部材によって支持させることとなるので、支柱基部および支柱を介してキャリッジと搬送物とを一体化させることができ、これにより、塗料液中に浸漬される搬送物に浮力が作用しても、支柱、支柱基部およびキャリッジが、搬送物の上昇を抑えることができる。また、上記のようにキャリッジと搬送物とを一体化させることのできるコンベアであっても、揺動部材の係止部による突出部材の係止状態を解除することにより、支柱基部の角度を調整できることから、キャリッジの進行方向を変換する場合において、支柱基部の角度を調整することによって、先行するキャリッジと後続のキャリッジにそれぞれ支持される搬送物同士が接触することを回避し得ることとなる。
【0019】
さらに、搬送物が塗料液に浸漬される区間において、第一の転動部材を第一の規制レールが規制する構成であれば、塗料液中を進行する搬送物に対する抵抗力や浮力等によって複雑な振動がキャリッジに伝達される場合であっても、キャリッジの搬送状態および係止部による係止状態に与える影響を緩和させることができる。このように、本発明では、電着液などの液体塗料による塗装加工を搬送途中のワークに対して実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のオーバーヘッド型コンベアは、キャリッジ1と、このキャリッジ1から搬送物を下向きに支持する支柱6とを備えている。キャリッジ1は、前輪部11および後輪部12によって支持される本体部2を有しており、この本体部2には、さらに、略L字形の揺動部材3と、上記本体部2から下向きに突出する突出基部4とが備えられている。突出基部4は、平板状の支柱基部5の一端を回動自在に軸支しており、上記支柱6は、この支柱基部5に連続して設けられている。
【0021】
キャリッジ1の本体部2は、進行方向Xに対して長尺に設けられ、その長手方向前後端付近にそれぞれ前輪部11および後輪部12が装着されている。この前輪部11および後輪部12は、搬送経路に沿って連続して配置される単一の走行レールLの内部を走行できるようになっており、キャリッジ1、支柱6および搬送物Wの重量を支えながら、上記走行レールLによって吊下されつつ移動可能となっている。なお、この前輪部11および後輪部12の上方には、図示せぬ駆動チェーンが搬送経路に沿って配置されており、この駆動チェーンから駆動力の伝達を受けて(駆動チェーンの一部に係止されて)、キャリッジ1が走行できるように構成されている。
【0022】
揺動部材3は、上記本体部2の進行方向Xに対して左右の両側に対称に設けられている。すなわち、二枚の揺動部材3のそれぞれが、折曲個所31を中心として長さの異なる二つの揺動節32,33を構成する同じ略L字形に形成され、一方(自由端側)の揺動節32の先端(自由端)には凹状の係止部34が、他方(規制端側)の揺動節33の先端(規制端)には転動部材(第二の転動部材)35がそれぞれ設けられており、両方の揺動部材3は、規制端側の揺動節33を進行方向Xに対して後方に延出させ、かつ、それぞれの転動部材35を外向きにして配置しているのである。なお、この揺動部材3の規制端側に設けられる転動部材35は、この転動部材35の位置を規制するレール(第二の規制レール)L2の表面を転動するように構成されており、この第二の規制レールL2が設けられる区間においては、キャリッジ1の走行状態とは無関係に、当該レールL2によって転動部材35の位置が独立して決定されることとなるのである。
【0023】
そして、上記揺動部材3は、折曲個所31において揺動軸36により軸支されていることから、規制端の転動部材35の位置が変動すると、揺動部材3が揺動することとなり、自由端の係止部34の位置が変化するようになっている。ここで、自由端の係止部34は、後述の支柱基部5に設けられる突出部材51を係止するものである。そのため、自由端側の揺動節32は、揺動中心36から上記支柱基部の先端に向かって突出するように配置されている。
【0024】
支柱基部5は、既述のとおり、長方形の平面部を有しつつ全体的には平板状に形成されており、当該長方形の短辺の片側一端52が突出基部4に軸支されている。つまり、支柱基部5が形成している長方形の片側短辺付近には、当該短辺に沿った方向に貫通孔が設けられ、突出基部4の先端付近に貫設される回動軸41が当該貫通孔に挿通されているのである。このように支柱基部5を支持する突出基部4の構成は、キャリッジ1の本体部2の下側表面に台部42が固着され、この台部42から、本体部2の左右両側に分岐した支持部43,44が設けられる構成となっている。従って、支柱基部5の片側一端52は、左右両側を支持部43,44によって挟まれた状態で回動自在(正逆方向への回転が自在)となっているのである。また、支柱基部5の他端53には、左右両側方向に突出する突出部材51が設けられている。この突出部材51は、片側一端52の回動軸41と軸線を平行にして設けられており、支柱基部5の回動により、回動軸41を中心に円弧を描くように移動するものである。また、突出部材5の先端には転動部材(第一の転動部材)54が設けられており、この転動部材54の位置に応じて、支柱基部5の回動の状態が決定するようになっている。さらに、この支柱基部5のほぼ中央には、支柱6が下向きに固着されているため、この支柱基部5の回動により、すなわち、キャリッジ1の本体部2の進行方向Xに対する支柱基部5の角度が変化するとき、支柱6の下向きの角度も変化するようになっている。なお、支柱基部5に設けられる転動部材54は、第一の規制レールL1によって規制されることとなり、キャリッジ1の走行状態とは無関係に、第一の規制レールL1によって独立して位置が決定することから、その相対的な位置関係により、上記角度が調整されることとなるのである。
【0025】
次に、揺動部材3および支柱基部5の作動態様について説明する。支柱基部5が回動する状態を図2(a)に示し、揺動部材3が揺動する状態を図2(b)に示している。既に説明したとおり、支柱基部5は、その一端52を突出基部4に軸支されている。そのため、当該回動軸41を中心として回動自在となっているのであるから、この回動により、他端53は円弧状の軌跡を描くこととなるのである(図2(a)参照)。これに対し、揺動部材3は、揺動軸36を中心として両節32,33が全体として揺れ動く状態となるのである。ただし、自由端のみに焦点を当てれば、結果的には揺動軸36を中心に回動していることと同様の動きをするため、当該自由端に設けられている係止部34は、揺動軸36を中心とする円弧状の軌跡を描くこととなる(図2(b)参照)。
【0026】
ここで、揺動部材3の自由端に設けられている係止部34が、支柱基部5の他端53に設けられている突出部材51を係止するためには、支柱基部5の回動に伴って描かれる突出部材51の円弧状の軌跡と、揺動部材3の揺動によって描かれる係止部34の円弧状の軌跡との交点に、当該支柱基部5の突出部材51および揺動部材3の係止部34が位置することが必要となる。そして、本実施形態においては、当該交点は、支柱基部5がその長手方向をキャリッジ1の本体部2の長手方向と平行になるときに調整されている。
【0027】
そこで、揺動部材3の係止部34によって支柱基部5の突出部材51を係止するときの作動態様を説明すれば、まず、係止する前に揺動部材3を揺動させて、自由端側の揺動節32を起立状態とすることが必要となる。この揺動は、規制端側の揺動節33が(第二の)転動部材35の位置変更により行われるが、このように揺動節32を起立状態とするとき、突出部材51の係止は当然に解除された状態であり、しかも、揺動部材3の揺動節32に接触することもないこととなるため、支柱基部5の回動が自在となるのである。従って、回動自在な状態の支柱基部5に対して、(第一の)転動部材54を規制することにより、支柱基部5の回動が制限され、当該支柱基部5の長手方向の角度を調整するのである。そして、この調整により、支柱基部5の長手方向をキャリッジ1の本体部2の長手方向と平行な状態としたとき、揺動部材3を揺動させることにより、係止部34を突出部材51に係止させることができるのである。
【0028】
なお、揺動部材3の揺動軸36には、ねじりコイルバネ38が設けられ、揺動部材3の自由端側の揺動節32を後方(傾倒方向)へ付勢しており、係止部34が突出部材51を係止する状態において、第二の転動部材35の規制を解除しても上記係止状態は維持されることとなる。また、(第二の)転動部材35付近にはストッパ37が設けられ、その傾倒方向への付勢を適宜位置で停止させているため、係止部34が突出部材51を係止せず、しかも(第二の)レールL2によって揺動部材3に対する揺動状態の規制が作用しないときには、当該ストッパ37によって傾倒状態が停止された状態で安定した姿勢を維持することとなる。
【0029】
次に、係止を解除するときの作動態様について説明すれば、まず、揺動部材3を揺動させて自由端側の揺動節32を起立状態とすることで、係止部34を突出部材51から遠ざけることが可能となる。しかし、支柱基部5の(第一の)転動部材54の位置を規制していなければ、支柱6に作用する荷重が突出部材51を介して係止部34にも作用するため、上記揺動が容易ではないこととなる。そこで、揺動部材3の揺動を開始する前に、支柱基部5の(第一の)転動部材54が(第一の)レールL1に沿って移動できるようにすることが必要となる。従って、係止を解除すべき位置においては、第一の規制レールL1が配置されており、第一の転動部材54の転動を許容しているのである。なお、このように、揺動部材3の係止部34による係止がなされない状態において、第一の規制レールL1が配置されることにより、すなわち、第一の転動部材54の位置が規制されることにより、当該レールL1の位置に応じて支柱基部5の長手方向とキャリッジ1の本体部2の長手方向との角度を調整することができることとなる。そのため、例えば、キャリッジ1が上り傾斜または下り傾斜を移動するとき、本体部2の長手方向は水平面に対して傾斜することとなるが、上記第一の規制レールL1により第一の転動部材54の高さを調整することによって、支柱6を鉛直方向に一致させることも可能となるのである。
【0030】
本実施形態は、上記のような構成であるから、図3に示すように、揺動部材3の係止部34によって支柱基部5の突出部材51を係止した状態において、支柱6およびこの支柱6によって吊下される搬送物の総重量αは、支柱基部5の両端付近で二つの分力β,γに分解されることとなる。ここで、支柱基部5の両端付近のうち、回動軸41に作用する分力βは、突出基部4がキャリッジ1の本体部2に固定されていることから、この突出基部4の長手方向に作用することとなる。他方、突出部材51に作用する分力γは、揺動可能な揺動部材4の揺動節32と回動可能な支柱基部5との双方がともに回動する方向への分力γ1と、揺動部材4の揺動節32の長手方向への分力γ2とに分解されるが、揺動節32および支柱基部5は係止状態において回動できないことから、結果的に、揺動節32の長手方向の分力γ2と支柱基部5の長手方向への分力γ3に分解され、両節ともに回動することなく総重量αを安定的に支えることができるようになっている。
【0031】
また、搬送物に浮力が作用する場合、すなわち、電着液等の塗料液または他の液体Pに搬送物Wを浸漬する場合には、上記とは異なる方向の荷重が作用することとなる。つまり、入液時は、図4に示すように、キャリッジ1は進行方向Xを下向きにして移動し、全体の高さを徐々に下降させ、搬送物Wの全体が液体Pに浸漬されるまで当該下降が維持されることとなる。なお、入液前における下り傾斜における重量αの支持は、上述の場合(図3)と分力β,γの角度が変化するものの各部材にほぼ同様に当該分力β,γが作用することとなる。
【0032】
そして、電着液等の塗装液に搬送物Wを沈降させる場合には、上述のとおり、キャリッジ1を下り傾斜方向に進行させるのであるが、入液後においては入液前とは異なり、浮力Fが鉛直上向きに作用することとなるから、支柱6を介して支柱基部5に作用する浮力Fは、突出基部4の回動軸41を中心として、支柱基部5を回転させる方向に作用することとなる。また、液中を移動する搬送物Wには液体Pの抵抗力Aを受けることとなり、この抵抗力Aも浮力Fと同様に支柱6を介して支柱基部5を回動させる方向に作用することとなるのである。このような浮力Fおよび抵抗力Aによる回転モーメントは、係止部34を経由して揺動部材3に作用することとなるが、このとき、係止部34による突出部材51の係止により、当該揺動部材3および支柱基部5の回動が制限されるため、係止部34による係止状態が変化することはないのである。従って、キャリッジ1が下降した程度に応じて搬送物Wを液中に沈降させることが可能となるのである。
【0033】
さらに、図4において一点鎖線で示しているように、搬送物Wが液体中を移動する区間において、当該区間をキャリッジ1が移動する範囲に第一の規制レールL1を配置する態様をとることによって、支柱基部5の転動部材54の位置を規制することも可能となるのである。この第一の規制レールL1の配置によって、第一の転動部材54の上昇を防止することができ、揺動部材3または支柱基部5に対する浮力Fの作用を緩和できるとともに、液中を移動する搬送物Wが抵抗力Aの作用等によって振動したり、大きく揺動したりするような状況下において、それらの振動または揺動がキャリッジ1に伝達されるのを防止できることとなる。
【0034】
また、搬送物Wが液中を水平に移動する場合においても、図5に示すように、浮力Fは鉛直方向に作用するから、支柱6の軸線方向上向きに作用することとなるが、この場合においても係止部34による突出部材51の係止状態が安定しているため、浮力Fによって揺動部材3および支柱基部5の状態が大きく変化することはないのである。また、搬送物Wが前進することにより、当該搬送物Wに対する抵抗力Aが後ろ向きに作用することなるため、両者の合力は、結局のところ支柱基部5を回動させる方向に作用することとなり、この状態は、前述の下り傾斜方向にキャリッジ1が移動する場合に似た状態となる。さらに、搬送物Wが水平方向に移動する場合においても、抵抗力Aの作用等による振動等が生じ得るため、第一の規制レールL1を配置する態様をとってもよい。
【0035】
上記のように、揺動部材3の係止部34によって支柱基部5の先端を係止させつつ搬送物Wを入液させる場合のほか、係止部34による係止を解除した状態で入液させることも可能である。すなわち、図6に示すように、揺動部材3の第二の転動部材35の位置を第二の規制レールL2によって規制し、揺動部材3を揺動させることによって、係止部34による突出部材51の係止を解除させるとともに、第一の転動部材54の位置を第一の規制レールL1によって規制するのである。この状態において、第一の規制レールL1が走行レールLに接近するとき、第一の転動部材54は、キャリッジ1の本体部2に接近し、支柱基部5によって支持される支柱6は、キャリッジ1の進行方向Xに対して後ろ側に傾斜することとなる(図6(a))。これとは逆に、第一の規制レールL1を走行レールLから離れるときは、支柱6がキャリッジ1の進行方向Xの前側に傾斜することとなる。このように、支柱6を傾斜させて搬送物Wの姿勢を制御することにより、搬送物Wが塗料液に侵入する際の当該搬送物Wの前面と液面との角度を調整することができる。従って、当然に、塗料液Pに入液する角度が調整されることとなるから、搬送物Wの形状または種類などによって、内部空気の排出状態や塗料液との接触状態などを最適にすることが可能となるのである。
【0036】
また、上記のような搬送物Wの姿勢の制御は、当該搬送物Wが液中を移動する際にも可能である。図7に示すように、揺動部材3の係止部34による突出部材51の係止を解除した状態において、第一の転動部材54を第一の規制レールL1によって規制することにより、支柱6を進行方向に対して後ろ側(図7(a))または前側(図7(b))に、それぞれ傾斜させることができる。このように搬送物Wの姿勢を制御することにより、塗料液中における搬送物Wを所望の状態とすることができるのである。
【0037】
次に、キャリッジ1の移動途中において、揺動部材3による支柱基部5の係止の態様について説明する。図8に示すように、キャリッジ1の上方に配置される走行レールLは、連続して設けられており、この走行レールLの内側表面を前輪部11および後輪部12が転動することによって、キャリッジ1を所望の経路に沿って移動させることができるものである。また、前輪部11と後輪部12は、キャリッジ1の本体部2に装着されるものであり、上記走行レールLが配置される位置によって、本体部2の位置および姿勢が決定されるものである。そして、複数のキャリッジ1が、個別に駆動チェーンから駆動力を付与されて独立しつつ僅かな間隔を有して次々に移動(この状態を連続移動と称する)するものであり、間断なく搬送物Wが搬送されるように構成されている。
【0038】
そこで、既述のような本実施形態の構成では、キャリッジ1の本体部2に対する相対的な関係、概略すれば、走行レールLに対する相対的な位置関係をもって第一および第二の規制レールL1,L2を配置することにより、第一および第二の転動部材54,35の位置を変化させ、支柱基部5の回動および揺動部材3の揺動を実現し得ることとなる。具体的には、図8において示しているように、第一の規制レールL1が走行レールLから離れるように配置することにより、支柱基部5を回動させ、支柱6の軸線方向を進行方向に傾斜させることができ(先行するキャリッジ1a参照)、逆に、第一の規制レールL1を走行レールLに接近させることにより、支柱6の軸線方向を進行方向に対して後方に傾斜させることができる(後続のキャリッジ1b参照)。また、第二の規制レールL2を走行レールLから離れるように配置することによって、揺動部材3が揺動し、自由端の係止部34による突出部材51の係止を解除させることができる(最後尾のキャリッジ1c参照)。
【0039】
搬送物Wを電着液等の塗料液に浸漬するためには、キャリッジ1を下り傾斜方向に移動させなければならないが、水平移動から下り傾斜に移行する境界付近では、下向きに延出する支柱6の先端には搬送物Wが装着されているため、先行して走行するキャリッジ1aが下り傾斜を通過するとき、本体部2aの長手方向に対して垂直な方向に支柱6が傾斜すると、その先端に装着される搬送物Waが、後続のキャリッジ2bに垂下される搬送物Wbに接近することとなり得る。そのため、不用意に方向を転換させるときには、両搬送物Wa,Wbが接触することとなり、搬送物Wが破損する可能性がある。そこで、本実施形態のように、第一の規制レールL1によって支柱基部5を単独で傾斜させることができれば、既に下り傾斜に到達したキャリッジ1bの搬送物Wbから十分な間隙Cを設けることができる。このとき、先行するキャリッジ1aの支柱基部5aの傾斜の程度は、走行レールLの湾曲率および後続キャリッジ1bとの距離などによって異なるが、搬送時の振動等による前後方向の揺れを考慮して、搬送物Wa,Wbが相互に接触しない程度の間隙Cを保持し得る程度に、先行するキャリッジ1aの支柱6aを傾斜させることが必要である。なお、先行するキャリッジ1aの支柱6aを傾斜させると同時に、後続のキャリッジ1bにおいても支柱6bを逆向きに傾斜させることによって、両キャリッジ1a,1bに搬送される搬送物Wa,Wbの間隔Cを大きく保持させることが可能となる(図8参照)。
【0040】
このように、先行するキャリッジ1aの支柱基部5aを単独で回動させるためには、揺動部材3の係止部34が支柱基部5の突出部材51を係止されていないことが要件となる。そこで、上記のように、走行レールLが下り方向に傾斜する前において、第二の規制レールL2は、本体部2(概略的には走行レールL)から離れた位置に配置されている。これにより、第二の規制レールL2に沿って規制される第二の転動部材35が下向きに移動するから、揺動部材3を揺動させ、係止部34による突出部材51の係止を解除させることができるのである。
【0041】
上記のように、水平方向から下り傾斜へと方向が変換するときにのみ係止部34による突出部材51の傾斜を解除し、支柱基部5の角度を自在にしておくことから、キャリッジ1が下り傾斜に沿って十分に移動した後には、再び係止部34によって突出部材51を係止させることとなる。そのためには、第一の規制レールL1がキャリッジ1の本体部2(概略的には走行レールL)からの距離をもとの状態に戻し、支柱基部5の長手方向が本体部2の長手方向に平行となる状態とし、さらに、その後、第二の規制レールL2についても、もとの状態に戻すことによって、揺動部材3の係止部34が突出部材51を係止するように揺動させることができる。このように、支柱基部5および揺動部材3を回動または揺動させることにより、必要な個所においてのみ支柱基部5の角度を調整し、それ以外の個所では、係止部34によって突出部材51を係止させることにより、当該個所における支柱6の軸線方向がキャリッジ1aの本体部2の長手方向に対して垂直な状態を維持し得るものである。
【0042】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲における変更は可能である。例えば、キャリッジ1における前輪部11および後輪部12に関し、または、キャリッジ1に対する駆動力付与のための駆動チェーンに関しては、実施形態の説明中において一部割愛しているが、既に開発済みの駆動チェーン等を使用したもので構わない。また、本実施形態は、電着液等の塗料液に搬送物を浸漬する態様について説明したが、各種工業製品において液体中を進行させる必要がある場合にも転用できる。さらに、液体中を進行させることにとどまらず、搬送物Wの高さを変更すべき場合、または、移動中の搬送物Wの角度(姿勢)を制御しなければならない場合にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態の概略を示す斜視図である。
【図2】(a)は支柱基部の作動態様を示す説明図であり、(b)は揺動部材の作動態様を示す説明図である。
【図3】キャリッジに作用する荷重の状態を示す説明図である。
【図4】キャリッジに浮力が作用する状態を示す説明図である。
【図5】キャリッジに浮力が作用する状態を示す説明図である。
【図6】入液時における支柱の角度を調整した状態を示す説明図である。
【図7】液体中の進行時における支柱の角度を調整した状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態が作動する態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 キャリッジ
2 本体部
3 揺動部材
4 突出基部
5 支柱基部
6 支柱
11 前輪部
12 後輪部
31 折曲個所
32 自由端側の揺動節
33 規制端側の揺動節
34 係止部
35 第二の転動部材
36 揺動軸
37 ストッパ
38 ねじりコイルバネ
41 回動軸
42 台部
43,44 支持部
51 突出部材
52,53 支柱基部の両端
54 第一の転動部材
A 抵抗力
C 搬送物同士の間隔
F 浮力
L 走行レール
L1 第一の規制レール
L2 第二の規制レール
P 塗料液
W 搬送物
X 進行方向
α 全重量
β,γ 分力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動チェーンによって移動するキャリッジと、このキャリッジから搬送物を下向きに支持する支柱とを備えたオーバーヘッド型コンベアにおいて、
上記キャリッジは、前輪部および後輪部によって支持される本体部と、この本体部に揺動可能に支持されてなる略L字形の揺動部材と、上記本体部から下向きに突出する突出基部と、この突出基部に一端付近を回動自在に支持されるとともに中央に上記支柱を連続してなる支柱基部とを備え、
上記支柱基部は、上記突出基部に支持される回動軸に対して上記支柱を挟んで反対側に設けられた第一の転動部材と、この転動部材の中心から水平方向に突出する突出部材とを備え、
上記揺動部材は、揺動中心から上記支柱基部に向かって突出する自由端と、揺動中心からキャリッジの進行方向に対して後方に延出する規制端と、上記自由端において上記支柱基部の突出部材を係止する凹状の係止部と、上記規制端に設けられた第二の転動部材とを備え、
上記支柱基部に設けられた第一の転動部材が、第一の規制レールによって上記突出部材の位置を変更するとともに、上記揺動部材に設けられた第二の転動部材が第二の規制レールによって該揺動部材の姿勢を所望の状態に調整し、上記自由端の係止部が上記突出部材に到達するとき、該係止部による該突出部材の係止を可能にしてなることを特徴とするオーバーヘッド型コンベア。
【請求項2】
前記支柱基部の第一の転動部材は、前記突出基部に支持される回動軸よりも前記キャリッジの進行方向に対して後ろ側に配置された転動部材である請求項1記載のオーバーヘッド型コンベア。
【請求項3】
前記揺動部材は、該揺動部材の自由端が前記支柱基部の回動軸よりも前記キャリッジの進行方向に対して後ろ側に配置された揺動部材であり、上記自由端の先端に設けられる前記係止部は、該キャリッジの進行方向に対して後ろ側に構成した係止部である請求項2記載のオーバーヘッド型コンベア。
【請求項4】
駆動チェーンによって移動するキャリッジと、このキャリッジから搬送物を下向きに支持する支柱とを備えたオーバーヘッド型コンベアにおいて、
上記キャリッジは、前輪部および後輪部によって支持される本体部と、この本体部に揺動可能に支持されてなる略L字形の揺動部材と、上記本体部から下向きに突出する突出基部と、この突出基部に一端付近を回動自在に支持されるとともに中央に上記支柱を連続してなる支柱基部とを備え、
上記支柱基部は、上記突出基部に支持される回動軸に対して上記支柱を挟んで反対側、かつ、上記キャリッジの進行方向に対して該回動軸よりも後ろ側に設けられた第一の転動部材と、この転動部材の中心から水平方向に突出する突出部材とを備え、
上記揺動部材は、揺動中心から上記支柱基部に向かって突出する自由端と、揺動中心からキャリッジの進行方向に対して後方に延出する規制端と、上記自由端において上記支柱基部の突出部材を係止する凹状の係止部と、上記規制端に設けられた第二の転動部材とを備え、この揺動部材は、自由端を上記キャリッジの進行方向に対して後方向に揺動させるように付勢され、上記自由端は、上記支柱基部の回動軸よりも上記キャリッジの進行方向に対して前側に配置され、上記係止部は、上記キャリッジの進行方向に対して後ろ向きに凹状の開口部が構成され、
上記支柱基部に設けられた第一の転動部材が、第一の規制レールによって上記突出部材の位置を変更するとともに、上記揺動部材に設けられた第二の転動部材が第二の規制レールによって該揺動部材の姿勢を所望の状態に調整し、上記自由端の係止部が上記突出部材に到達するとき、該係止部による該突出部材の係止を可能にしてなることを特徴とするオーバーヘッド型コンベア。
【請求項5】
前記支柱基部の第一の転動部材を規制する第一の規制レールは、前記キャリッジからの距離を変化させることにより、支柱基部のキャリッジに対する相対的な位置関係を調整し、前記揺動部材の係止部を上記支柱基部に接近させつつ該係止部による前記突出部材の係止を許容するように構成したレールである請求項1ないし4のいずれかに記載のオーバーヘッド型コンベア。
【請求項6】
前記支柱基部の第一の転動部材を規制する第一の規制レールは、搬送物を液体中に浸漬するとき、該第一の転動部材の位置を規制するように構成したレールである請求項1ないし5のいずれかに記載のオーバーヘッド型コンベア。
【請求項7】
前記第二の規制レールは、前記揺動部材の係止部が支柱基部の突出部材を係止するとき、および、係止を解除するときにのみ配置されて上記揺動部材を揺動させるように構成した第二の規制レールである請求項1ないし6のいずれかに記載のオーバーヘッド型コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−297082(P2008−297082A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145972(P2007−145972)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(598096452)イズテック株式会社 (13)
【Fターム(参考)】