説明

カウンターの取付け構造

【課題】壁面に取付たブラケットにカウンターのカバーの壁側を連結するネジの螺着作業を容易にする。
【解決手段】壁面Wに取付けたブラケット6を手前へ張り出し、ブラケット7にカウンター本体3を連結し、カウンター本体3の下方に配置したカバー4の壁側接合部をブラケット6の壁側取付部に取付具8で連結し、ブラケット6の壁側取付部に手前側へ向かって上り傾斜した取付片6f−1を形成すると共に、カバー4の壁側接合部に壁側へ向かって下り傾斜した接合片4f−1を形成し、取付片6f−1に接合片4f−1を重ね合わせた箇所に取付具8を、取付けのためのねじ込み方向(矢符E)がカバーの下方から壁側へ向かって斜め上方となるようにして、取付片6f−1と接合片4f−1を連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンター本体の下方にカバーを配置したカウンターを壁面に取付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カウンターの取付け構造は、壁面に取付けたブラケットを手前へ張り出し、ブラケットにカウンター本体を連結し、カウンター本体の下方に配置したカバーの手前側をカウンター本体に連結すると共にカバーの壁側をブラケットにネジで連結したものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−97748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記カウンターの取付け構造は、ブラケットにカバーの壁側を連結するネジが鉛直な上向き状態で螺着しているため、ネジをねじ込むドライバーを鉛直な上向き状態で且つ壁面に接近させた状態でねじ込み作業を行なう必要があり、ネジの螺着作業が難しくなる問題を招くことがある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、ブラケットにカバーの壁側を連結する取付具のねじ込み作業が容易にできるカウンターの取付け構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ブラケットにカバーの壁側を連結する取付具のねじ込み作業を容易にするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、壁面に取付けたブラケットを手前へ張り出し、ブラケットにカウンター本体を連結し、カウンター本体の下方に配置したカバーの壁側接合部をブラケットの壁側取付部に取付具で連結したカウンターの取付け構造において、前記ブラケットの壁側取付部に手前側へ向かって上り傾斜した取付片を形成すると共に、前記カバーの壁側接合部に壁側へ向かって下り傾斜した接合片を形成し、取付片に接合片を重ね合わせた箇所に前記取付具を、取付けのためのねじ込み方向がカバーの下方から壁側へ向かって斜め上方となるようにして、取付片と接合片を連結したことを特徴とするカウンターの取付け構造である。なお、前記カバーは、その手前側を前記カウンター本体または前記ブラケットに連結してある。
【0006】
請求項1記載の本発明は、ねじ込み方向がカバーの下方から壁側へ向かって斜め上方となるように取付具をねじ込んで、取付片と接合片を連結してあるため、壁面及びカバー表面から離れた状態のねじ込み作業工具で壁面及びカバー表面と干渉することなくねじ込み作業を行なうことができる。なお、取付具が螺子の場合には、螺子をねじ込む前にカバーの接合片がブラケットの取付片から離れていたとしても、螺子のねじ込みに伴いカバーの接合片をブラケットの取付片に向かって移動させて、カバーの壁側を所定位置に位置させることができる。
【0007】
見栄えよくカウンター本体及びカバーを所定位置に取付けるために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記カウンター本体に前記カバーの手前側を連結し、前記ブラケットに設けた押圧片で前記カウンター本体に設けた係止片を壁側へ向かって押圧し、カウンター本体を前記壁面に圧着した請求項1に記載のカウンターの取付け構造である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、カバーの手前側をカウンター本体に連結してカバー及びカウンター本体の手前側を一体化すると共にカウンター本体を壁面に圧着することで、カバーの壁側を壁面に接近又は当接させる所定位置に位置させることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明に係るカウンターの取付け構造は、カウンター本体の下方に配置したカバーの壁側をブラケットに連結する取付具のねじ込み作業が、ねじ込み作業工具を壁面及びカバー表面と干渉させることなく容易にでき、カバー取付け作業能率を向上させることができる。
【0010】
請求項2記載の本発明に係るカウンターの取付け構造は、見栄えよくカウンター本体及びカバーを所定位置に確実に取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るカウンターの取付け構造(以下、「本発明構造」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1乃至図9は本発明構造の実施の形態を示すものであって、図1は一部破断して示す全体の平面図、図2は本発明構造1の全体の底面図である。図3は上方のカウンター本体3、下方のカバー4及び端キャップ5を示すものであって、図(A)は三者3,4,5を分離した状態の正面図、図(B)は三者3,4,5を連結した状態の正面図である。図4の図(A)は図2のIV−IV線で断面して拡大した左側面図、図(B)はブラケット6とカバー4との連結箇所を更に拡大した左側面図である。図5は図2のV−V線で断面して拡大した左側面図、図6は図2のVI−VI線で断面した一部を拡大して示す左側面図、図7は図2のVII−VII線で断面した一部を拡大して示す左側面図である。図8はカウンター本体3の底面図である。図9はカウンター本体3及びブラケット6,6,7を分離して示す斜視図である。
【0012】
本発明構造1は、カウンター本体3とカウンター本体3の下方に配置したカバー4とからなるカウンター2を、複数個のブラケット6,6,7を介して壁面Wに取付けたものであり、ブラケット6(7)をカウンター本体3及びカバー4で覆い隠して見栄えよくしてある。本例のカウンター2は、浴室に設けられ、湯桶(図示略)を載置する等して利用されるものであって、一方の端(本例は左端)を浴槽(図示略)に接近させる共に他方の端(本例は右端)に端キャツプ5を取付けて見栄えよくしてある。
【0013】
本発明構造1は、図1、図2及び図4に示す如く、壁面Wに取付けた複数個のブラケット6,6,7を手前へ張り出し、これらブラケット6(7)にカウンター本体3を連結しすると共に、各ブラケット6(7)の壁側取付部6f(7f)にカバー4の壁側接合部4fを螺子や樹脂製のねじ込み式ジョイント部材等からなる取付具8(本例は図4に示す頭部付きボルト)で連結してある。そして、本発明構造1は、各ブラケット6(7)の壁側取付部6f(7f)に手前側へ向かって上り傾斜した取付片6f−1(7f−1)を形成すると共に、カバー4の壁側接合部4fに壁側へ向かって下り傾斜した接合片4f−1を形成し、重ね合わせた取付片6f−1(7f−1)及び接合片4f−1に、ねじ込み方向(図4に示す矢符E)がカバー4の下方から壁側へ向かって斜め上方となるように取付具8を螺着して、両片6f−1(7f−1)及び4f−1を連結してある。螺着した取付具8は、その中心線F(取付具8をねじ込むためのねじ込み作業工具Dの中心線と一致)がねじ込み方向(矢符E)と逆方向へ行く程に壁面W及びカバー4の表面から離れるようになっており、取付具8をねじ込むときのねじ込み作業工具Dを壁面W及びカバー4の表面と接触させないようにしてある。ねじ込み作業工具Dは、取付具8の種類に応じて、プラスドライバー、マイナスドライバー若しくはボックスドライバー等のドライバー、またはソケットレンチ等が用いられる。
【0014】
前記カウンター本体3は、図1、図4及び図8に示す如く、合成樹脂素材を射出成型する等して成形され、上方表面に載置面3aが形成され、周縁の適所に下垂片3bが形成され、下方裏面に補強用リブ3c、ネジ螺着部3e及び後側の係止片3fが形成され、手前側に排水口部3dが形成されている。
【0015】
前記カバー4は、図2及び図4に示す如く、合成樹脂素材を射出成型する等して成形され、下方表面を覆い面4aに形成し、周縁の適所に起立片4bが形成され、上方内面に補強用リブ4cが形成され、壁側寄りに前記壁側接合部4fが形成され、手前側に排水口部4dが形成されている。カバー4は、前記壁側接合部4fを形成するために、底面壁側寄りに側面三角形の凹部4gが凹設され、凹部4gの後側を接合片4f−1で形成し、接合片4f−1を壁側へ向かって下り傾斜させ、接合片4f−1に取付具用挿通孔4f−2を設けてある。カバー4は、凹部4gの上側を形成する傾斜片4hを壁側へ向かって上り傾斜させ、前記取付具8をねじ込むためのねじ込み作業工具D(図4参照)を傾斜片4hと接触させないようにしてある。
【0016】
前記カウンター2は、ブラケット6,6,7にカウンター本体3を載置してネジ9(本例は図4に示す蝶ボルト)で連結し、カウンター本体3の周縁の下垂片3bに下方のカバー4の周縁の起立片4bを重ね合わせると共に、手前側の適所をネジ10(本例は図5及び図6に示す頭部付きボルト)及び係合手段11(図7参照)で連結し、カウンター本体3の排水口部3d及びカバー4の排水口部4dで上下に開口した排水口12を形成する。上記係合手段11は、図3(A)及び図7に示す如く、カバー4の周縁の起立片4bの適所から突出した係止孔付き係止片11aと、カウンター本体3の周縁の下垂片3bの裏側に突設した突起11bとからなり、係止片11aの係止孔に突起11bを係入してある。なお、カバー4は、その手前側をカウンター本体3にの手前側に連結する以外に、図示は省略したが、ブラケット6(7)に連結することもある。
【0017】
前記ブラケット6は、図9に示す如く、金属板を折曲げ等して板金加工で成形され、起立接合片6aと、起立接合片6aの壁側の側縁から折曲げて延設した垂直な壁取付片6bと、起立接合片6aの上方側縁から折曲げて延設した水平なカウンター本体取付片6cと、壁取付片6bの上方から延設した弾性変形する押圧片6dと、壁取付片6bの下方から手前側へ延設した前記壁側取付部6fの取付片6f−1とを備え、壁取付片6b及びカウンター本体取付片6cの各々にネジ挿通孔6eを設けると共に、取付片6f−1に雌ネジ孔等からなる取付部6f−2を設けてある。起立接合片6aは、内側に開口部を成形して軽量化を図っている。前記ブラケット7は、上記ブラケット6よりも張出寸法を短くしたものであり、上記ブラケット6と同様に成形され、起立接合片7aと、起立接合片7aの壁側の側縁から折曲げて延設した壁取付片7bと、起立接合片7aの上方側縁から折曲げて延設したカウンター本体取付片7cと、壁取付片7bの上方から延設した弾性変形する押圧片7dと、壁取付片7bの下方から手前側へ延設した前記壁側取付部7fの取付片7f−1とを備え、壁取付片7b及びカウンター本体取付片7cの各々にネジ挿通孔7eを設けると共に、取付片7f−1に雌ネジ孔等からなる取付部7f−2を設けてある。ブラケット6(7)は、図4に示す如く、浴室を構築する壁パネル等からなる壁面Wにネジ14で取付け固定される。なお、ブラケット6は、樹脂で成形されたものでもよい。
【0018】
次に、本発明構造1を得るための施工は、次の手順で行なわれる。
(第1工程)
図4に示す如く、壁面Wの所定位置に複数個のブラケット6(7)をネジ14で取付け固定する。
【0019】
(第2工程)
ブラケット6(7)のカウンター本体取付片6c(7c)にカウンター本体3を載置する。載置するときに、各ブラケット6(7)に設けた押圧片6d(7d)でカウンター本体3に設けた係止片3fを壁側へ向かって押圧し、カウンター本体3を壁面Wに圧着させる。カウンター本体3を載置した後に、下方からネジ9を各ブラケット6(7)のネジ挿通孔6e(7e)を介してカウンター本体3のネジ螺着部3eへねじ込んで螺着し、カウンター本体3をブラケット6(7)に連結する。
【0020】
(第3工程)
カウンター本体3の下方にカバー4を保持しつつ上昇させ、カウンター本体3の周縁の下垂片3bに下方のカバー4の周縁の起立片4bを重ね合わせると共に、手前側の適所をネジ10及び係合手段11で連結する。
【0021】
(第4工程)
カバー4の下方から取付具8をカバー4の取付具用挿通孔4f−2を介して各ブラケット6(7)の取付部6f−2(7f−2)にねじ込んで取付け、各ブラケット6(7)にカバー4の壁側を連結する。ねじ込み作業者は、ねじ込み作業工具Dをカバー4の外側から壁側へ向かって斜め上方へ向かうねじ込み方向(矢符E方向)の姿勢でねじ込むことになるため、ねじ込み作業工具Dを壁面W及びカバー表面4aから離した状態で壁面W及びカバー表面4aと干渉させることなくねじ込み作業を行なうことができ、容易に取付具8をねじ込むことができる。また、ねじ込み作業工具Dとして電動ドライバー(図示略)を用いても、電動ドライバー本体を壁面W及びカバー表面4aと干渉させることなく、ねじ込み作業ができるので、手動でねじ込む場合に比べてカバー取付け作業能率を向上させることができる。なお、取付具8が螺子からなるときには、連結前のカバー4の接合片4f−1がブラケット6の取付片6f−1から離れていたとしても、螺子8のねじ込みによる螺進に伴いカバー4の接合片4f−1をブラケット6の取付片6f−1に向かって移動させて、カバー4の壁側を所定位置に位置させることができる。
【0022】
前記第1工程乃至第4工程の順番で作業されて得た本発明構造1は、カバー4の手前側をカウンター本体3に連結することでカバー4及びカウンター本体3の手前側の一体化が図れると共に、壁面Wにカウンター本体3を圧着させると共に、壁面Wに接近する所定位置にカバー4の壁側を位置させることができ、見栄えよくカウンター本体3及びカバー4を所定位置に確実に取付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明構造1は、浴室に設けて湯桶(図示略)を載置するカウンターに適用する以外に、洗面所等に設置するカウンターに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明構造の実施の形態を示すものであって一部破断して示す全体の平面図である。
【図2】同実施の形態における全体の底面図である。
【図3】同実施の形態における上方のカウンター本体、下方のカバー及び端キャップを示すものであって、図(A)は三者を分離した状態の正面図、図(B)は三者を連結した状態の正面図である。
【図4】図(A)は図2のIV−IV線で断面して拡大した左側面図、図(B)はブラケットとカバーとの連結箇所を更に拡大した左側面図である。
【図5】図2のV−V線で断面して拡大した左側面図である。
【図6】図2のVI−VI線で断面した一部を拡大して示す左側面図である。
【図7】図2のVII−VII線で断面した一部を拡大して示す左側面図である。
【図8】同実施の形態におけるカウンター本体の底面図である。
【図9】同実施の形態におけるカウンター本体及びブラケットを分離して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
2…カウンター、3…カウンター本体、4…カバー、4f…壁側接合部、4f−1…接合片、6(7)…ブラケット、6f(7f)…壁側取付部、6f−1(7f−1)…取付片、8…取付具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取付けたブラケットを手前へ張り出し、ブラケットにカウンター本体を連結し、カウンター本体の下方に配置したカバーの壁側接合部をブラケットの壁側取付部に取付具で連結したカウンターの取付け構造において、前記ブラケットの壁側取付部に手前側へ向かって上り傾斜した取付片を形成すると共に、前記カバーの壁側接合部に壁側へ向かって下り傾斜した接合片を形成し、取付片に接合片を重ね合わせた箇所に前記取付具を、取付けのためのねじ込み方向がカバーの下方から壁側へ向かって斜め上方となるようにして、取付片と接合片を連結したことを特徴とするカウンターの取付け構造。
【請求項2】
前記カウンター本体に前記カバーの手前側を連結し、前記ブラケットに設けた押圧片で前記カウンター本体に設けた係止片を壁側へ向かって押圧し、カウンター本体を前記壁面に圧着した請求項1に記載のカウンターの取付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−89889(P2009−89889A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263316(P2007−263316)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】